説明

遊技機

【課題】複数の図柄を用いて抽選結果を導出表示させる場合、優先する方の図柄が安定して変動できる状況をもたらす。
【解決手段】パチンコ機の主制御装置(主制御CPU)は、第1特別図柄表示装置又は第2特別図柄表示装置を制御して第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示とその停止表示を制御する。第1特別図柄又は第2特別図柄に対応する入賞が発生すると、主制御装置はそれぞれ大当り判定乱数を記憶する。両方の記憶がある場合、主制御装置は第2特別図柄の記憶を優先的に用いて大当り判定を行う。両方の記憶がない状態で第2特別図柄に対応する入賞が発生し、変動開始により第2特別図柄の記憶数が0になると、主制御装置は高確率・時短時であっても図柄の変動時間を長く設定し、次の入賞を発生しやすくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技中に何らかの事象が生じたことを契機として抽選を行うと、図柄の変動表示を行った後に抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示させる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機に関する先行技術として、普通可変入賞球装置(いわゆる電チュー)に球が入賞すると、可変表示装置を制御して図柄の表示結果を導出させ、予め定められた特定の表示結果になった場合に所定の遊技価値が付与可能な状態となるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特に上記の先行技術は、電チュー等の普通可変入賞球装置に球が入賞したことを上限(4個)まで記憶しておき、この記憶数が比較的少ない場合は可変表示装置に対して表示結果の導出制御が行われる時間(変動時間)を長くし、入賞の記憶数が比較的多くなってくると、逆に変動時間を短縮するものである。これにより先行技術は、特にリーチ等の長い変動が発生しない場合に記憶数が上限を超えてしまったり(オーバーフロー)、逆に記憶数が途絶えてしまったりする(記憶0個で無変動状態になる)のを防止している。
【0004】
さらに先行技術は、通常よりも電チューが頻繁に作動する状態(確率向上状態)になると、それだけ入賞の記憶数も多くなりやすい状況であるため、変動時間の設定を全体的に通常よりも短縮するものである。これにより、確率向上状態では遊技の進行がスピーディになるため、遊技者にとっては時間あたりの抽選回数が増加し、それだけ時間効率が向上すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3359577号公報(第2−3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら先行技術の考え方では、これを複数(例えば2つ)の図柄を用いて変動表示を行う遊技機に適用した場合に次の問題を生じる。例えば、先行技術の考え方を適用する遊技機として、抽選に関して2つの図柄を使用し、それぞれ当選時に遊技者が享受できる付加価値に差が設けられているものを想定する。このような遊技機では、より付加価値が高い方の図柄を優先的に変動させた方が遊技者にとって利益である。このため特に、先行技術でいう確率向上状態のように時間効率が高くなっている場合、なるべく付加価値が高い方の図柄だけを数多く変動させ、付加価値が低い方の図柄については、たとえ入賞の記憶数が多くたまっていても、極力変動させない方が遊技者に対する訴求力は高まる。
【0007】
ところが先行技術の考え方では、確率向上状態になると図柄の変動時間を全体的に大きく短縮してしまうため、たとえ電チューへの入賞が発生しやすくなっていても、時間あたりの変動回数に対して入賞回数が追いつかなければ、やがて記憶数が途切れてしまう可能性がある。この場合、変動を優先させたい方の図柄について入賞の記憶がなくなり、その結果、優先したくない方の図柄を変動させざるを得なくなるという不本意な状況(遊技者にとって好ましくない状況)を招いてしまう。
【0008】
そこで本発明は、優先させたい方の図柄を安定して変動させることができる技術の提供を課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の手段を採用する。
解決手段1:本発明の遊技機は、遊技中に少なくとも第1事象又は第2事象が発生すると、それぞれ第1抽選要素又は第2抽選要素を取得する抽選要素取得手段と、前記第1又は第2抽選要素のいずれかを用いて遊技者の利益に関わる内部抽選が行われると、これを契機として前記第1又は第2抽選要素にそれぞれ対応した第1図柄又は第2図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で前記第1又は第2図柄を停止表示させる図柄表示手段と、前記図柄表示手段により特定の当選態様で前記第1又は第2図柄が停止表示されると、通常とは異なる特別な条件が適用された特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、前記図柄表示手段により前記第1又は第2図柄のいずれかの変動表示の開始を可能とする始動条件が満たされた状態で前記第2事象が発生すると、前記抽選要素取得手段により取得された前記第2抽選要素を記憶する抽選要素記憶手段と、前記抽選要素記憶手段により前記第2抽選要素が記憶された場合、その記憶された前記第2抽選要素を用いて前記内部抽選を実行する抽選実行手段と、前記抽選実行手段により前記内部抽選に用いられた前記第2抽選要素の記憶を前記抽選要素記憶手段から消去する記憶消去手段と、前記記憶消去手段により前記第2抽選要素の記憶が消去された結果、前記図柄表示手段による前記第2図柄の変動表示の開始時に前記抽選要素記憶手段から前記第2抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合、少なくとも次の前記始動条件が満たされるまでの間に前記第2事象が発生することを促進する事象発生促進手段とを備える。
【0010】
解決手段2:解決手段1において、前記特別遊技が終了すると、通常よりも前記図柄表示手段により前記第1又は第2図柄の変動表示を行う変動時間が短縮された時間短縮状態に移行させる時間短縮状態移行手段をさらに備え、前記事象発生促進手段は、前記時間短縮状態のときに前記抽選要素記憶手段から前記第2抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合、少なくとも次の前記始動条件が満たされるまでの間に前記第2事象が発生することを促進する。
【0011】
解決手段3:解決手段1又は2において、前記抽選要素記憶手段は、前記図柄表示手段により前記第1又は第2図柄のいずれかの変動表示の開始を可能とする始動条件が満たされる前に前記第1又は第2事象が発生すると、前記抽選要素取得手段により取得された前記第1又は第2抽選要素を所定の上限数まで保留扱いとして個別に記憶するものであり、前記内部抽選で非当選となった場合、前記図柄表示手段が前記第1又は第2図柄の表示の変動を開始するに際して、少なくとも前記抽選要素記憶手段により保留扱いとして記憶された前記第1又は第2抽選要素の記憶数に基づいて、前記第1又は第2図柄について個別に変動時間を設定する変動時間設定手段をさらに備え、前記事象発生促進手段は、前記第2抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合に前記変動時間設定手段により前記第2図柄について設定される変動時間を、前記第1抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合に前記変動時間設定手段により前記第1図柄について設定される変動時間よりも長くする。
【0012】
解決手段4:解決手段1から3のいずれかにおいて、前記第1抽選要素を用いた前記内部抽選で当選した場合に比較して、前記第2抽選要素を用いた前記内部抽選で当選した場合に遊技者が享受できる利益を大きく設定する利益設定手段をさらに備える。
【0013】
本発明の遊技機は、複数の図柄(少なくとも第1図柄及び第2図柄の2つであり、3つ以上でもよい。)のそれぞれに対応する抽選要素(第1抽選要素又は第2抽選要素)を用いて内部抽選を行う。ただし、図柄は複数あっても、内部抽選は並行して行われない。すなわち本発明の遊技機は、1回の内部抽選を行うと、これに対応する図柄の変動表示を行い、内部抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示してから、また次の内部抽選を実行する。
【0014】
内部抽選を実行するためには、その前提として抽選契機となる事象(第1事象又は第2事象)が発生していなければならない。このため遊技者は、この抽選契機となる事象を発生させることを最初の目標として遊技を行うことになる。抽選契機となる第1事象及び第2事象は無作為(又は偶発的、ランダム)に発生するものであり、通常、いずれかの事象だけが作為的(又は必然的)に発生することはあまりない。このように第1又は第2事象が無作為に発生すると、その都度、第1又は第2抽選要素が取得される。これら第1抽選要素と第2抽選要素は、それぞれ第1図柄と第2図柄に対応するものである。
【0015】
一方、図柄の変動表示が開始されてから、その停止表示が行われるまでにはある程度の時間(変動時間)を要し、ひとたび図柄の変動表示が開始されると、その停止表示が完了するまで次の抽選は行われない。このため、図柄の変動表示中(又は停止表示が完了する前)に抽選契機となる事象が発生すると、それによって取得された抽選要素は記憶され、そこで一旦、保留扱いとなる。そして、次に図柄の始動条件が満たされると、それまで保留扱いとして記憶されていた抽選要素を用いて抽選が行われ、改めて図柄の変動表示が開始されるのである。ただし、記憶数には所定の上限(例えば1つの図柄につき4個)が設けられており、この上限を超えて記憶数が増えることはない。
【0016】
本発明の遊技機は、図柄の停止表示時に(1)第1抽選要素と第2抽選要素の両方が記憶されていれば、第2抽選要素の方を優先的に用いて内部抽選を実行し、(2)いずれかの抽選要素だけが記憶されていれば、その記憶されている方の抽選要素を用いて抽選を実行する。このため、第2抽選要素の記憶数が残存しているうちは、常に第2図柄の変動表示のみが行われることになる。これにより、例えば第1図柄と第2図柄とで互いに当選時の価値が異なる場合においては、より価値の高い方の変動表示が優先して行われることになり、それによって遊技者に対する訴求力を高めることができる。
【0017】
そうはいっても、上記のように第1事象や第2事象はそれぞれ無作為に発生するものであり、作為的に第2事象だけを発生させたり、第1事象だけを発生させなくしたりすることはできない。このため、第2図柄の変動表示を次々と優先して行っていると、やがて第2抽選要素の記憶数が途絶えてしまい、やむなく第1図柄の変動表示を行わなければならなくなる状況になりやすい。
【0018】
そこで本発明の遊技機は、第2抽選要素の記憶数が残存しなくなると、次に図柄の変動表示の開始を可能とする始動条件が満たされるまでの間に、第2事象の発生を促進することで上記の課題を解決している。すなわち、たとえ第2抽選要素の記憶数が残存しなくなったとしても、次に図柄の始動条件が満たされるまでの間に第2事象が発生すれば、それによって第2抽選要素の記憶数が復活する(増える)ので、次も第2図柄の方を優先して変動表示させることができる。これにより、第1図柄の変動表示が開始されてしまう事態を未然に防止し、遊技者に対する訴求力の低下を抑制することができる。つまり、優先する方の図柄について一時的に抽選要素の記憶数が途切れたとしても、すぐに抽選要素の記憶数を回復させることができ、それによって遊技に対する期待感の低下を防止し続けることができる。また、たとえ優先しない方の図柄の変動が開始されたとしても、次の変動開始までに優先する方の図柄について抽選要素の記憶数を回復させることができるので、優先しない方の図柄の変動回数を最小限に抑えることができ、それによって遊技者に大きな安心感を与えることができる。なお、「少なくとも次の始動条件が満たされるまでの間」には、次の1回目だけでなく、2回目以降の始動条件が満たされるまでの期間が含まれる。また、第2事象の発生を促進する具体的手法については後述する。
【0019】
上記のように本発明の遊技機は、第1抽選要素を用いた内部抽選で当選した場合に比較して、第2抽選要素を用いた内部抽選で当選した場合に遊技者が享受できる利益を大きく設定する利益設定手段をさらに備える。
【0020】
第1抽選要素、第2抽選要素のいずれを用いたとしても、利益抽選で当選すると、本発明の遊技機は特別遊技を実行する。この特別遊技中に遊技者が享受できる利益として、一般的に特別な入賞の機会が付与されるものが挙げられる。特別な入賞の機会は、例えば通常時に作動しない特別な可変入賞装置が作動して、特別な入賞口(大入賞口)を複数回にわたり開放する(例えば1回あたりの開放中に規定数の入賞が発生するか、30秒程度が経過すると1回の開放を終了し、このような開放動作を一定のインターバルで15回程度連続して行う)ことで与えられる。このような特別な入賞の機会が付与されると、遊技者は通常時なら発生しない入賞を頻繁に発生させることができ、それによって時間あたりに多くの入賞特典(例えば遊技媒体の払い出し)を獲得することができる。
【0021】
ただし、特別遊技の中にも、実質的にはほとんど入賞の機会がなく、比較的短時間のうちに終了してしまうものがある。上記の特別な可変入賞装置の例で言えば、入賞口が開放している時間が極端に短かったり、開放する回数が極端に少なかったりすることが該当する。「時間が極端に短い」とは、例えば遊技球を連続的に発射して遊技を行うパチンコ遊技機の場合、遊技球を1個ずつ発射する間隔(時間間隔)よりも、入賞口が開放している時間の方が短いことを意味する。この程度の短時間内の開放では、実質的に遊技球を入賞させることは困難であり、たまたま開放直前のタイミングで直近位置を遊技球が流下していたという状況でもない限り、実質的に入賞が発生することは困難である。また「回数が極端に少ない」とは、例えば1回より多い最少の回数(=2回)であることを意味する。
【0022】
いずれにしても、ほとんど入賞の機会が与えられない特別遊技中は、かろうじて入賞が発生するか、もしくは全く入賞が発生しないかのいずれかであるため、「特別遊技」といっても遊技者が享受できる利益は少ない。では、このような利益の少ない特別遊技にどのようなメリットがあるかといえば、それは、特別遊技の終了後に遊技者に対して付与される有利な特典である。この有利な特典は、例えば(1)内部抽選の当選確率が通常よりも高く変更されることであったり(確率変動状態)、(2)平均的な図柄の変動時間が通常時と比較して短縮されることであったり(時短状態)するものである(あるいは(1)と(2)の両方)。内部抽選の当選確率が高くなれば、遊技者は通常よりも有利な条件で内部抽選を受けることができるし、平均的な図柄の変動時間が短縮されれば、それだけ遊技者は時間あたりに多くの内部抽選を受けることができ、時間効率が高まる。
【0023】
このような有利な特典は、第1抽選要素を用いた内部抽選で当選した場合でも、第2抽選要素を用いた内部抽選で当選した場合でも同様に付与されるが、「特別遊技中」の利益に大小の差が設けられているため、遊技者からみれば、やはり第2抽選要素を用いた内部抽選で当選した方が自己にとって利益である。そうすると、第1図柄と第2図柄とでは、より付加価値の高い第2図柄の変動表示を優先した方が遊技者に対する訴求力は高まる。したがって、上記のように第2抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合に第2事象の発生を促進すれば、それだけ遊技者に対する訴求力を失いにくすることができる。
【0024】
また、上記のように本発明の遊技機は、内部抽選で非当選となった場合、図柄表示手段が第1又は第2図柄の表示の変動を開始するに際して、少なくとも抽選要素記憶手段により保留扱いとして記憶された第1又は第2抽選要素の記憶数に基づいて、第1又は第2図柄について個別に変動時間を設定する変動時間設定手段をさらに備える。この場合、上記の事象発生促進手段は、第2抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合に変動時間設定手段により第2図柄について設定される変動時間を、第1抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合に変動時間設定手段により第1図柄について設定される変動時間よりも長くすることが好ましい。なお変動時間は、記憶数に基づいて設定される場合の他に、特殊な条件に基づいて設定される場合(例えば、はずれリーチ変動の実行時)がある。
【0025】
ここで、具体的な促進手法について言及する。上記のように第1事象や第2事象は、いずれも無作為に発生するものであるが、遊技者が滞ることなく遊技を継続していれば、ある程度の頻度で自然に発生するものと見込まれる。パチンコ遊技機の例でいうと、遊技球がある程度の間隔をおいて連続的に発射されていれば(意図的に発射を停止していない状況)、たとえ一時的に第2抽選要素の記憶数が残存しなくなったとしても、やがて期待値に近い頻度(確率)で第2事象が発生し、それによって第2抽選要素の記憶数が回復(つまり増加)すると見込まれる。
【0026】
そこで本発明の遊技機は、それぞれ第1抽選要素、第2抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合に第1図柄について設定される変動時間よりも、優先する方の第2図柄の変動時間を長く設定することで、実際に次の始動条件が満たされるまでの間に第2事象が発生する確率を高めている。これにより、次回(又はそれ以降)の始動条件が満たされたときに第2抽選要素の記憶数が途切れたままになるのを有効に防止することができる。
【0027】
上記のように、本発明の遊技機は、特別遊技が終了すると、通常よりも図柄表示手段により第1又は第2図柄の変動表示を行う変動時間が短縮された時間短縮状態に移行させる時間短縮状態移行手段をさらに備えていてもよい。そして事象発生促進手段は、時間短縮状態のときに抽選要素記憶手段から第2抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合、少なくとも次の始動条件が満たされるまでの間に第2事象が発生することを促進することが望ましい。なお「時間短縮状態」には、内部抽選の当選確率が通常よりも高く変更された状態(高確率状態、確率変動状態)が含まれる。
【0028】
この場合、本発明の遊技機における遊技性は、例えば以下の特徴を有したものとなる。
(1)通常時の内部抽選で当選すると、それによって特別遊技の機会が与えられる。
(2)第1図柄(第1抽選要素を用いた内部抽選)で当選した場合と、第2図柄(第2抽選要素を用いた内部抽選)で当選した場合とでは、後者の方が特別遊技中の利益が大きいので、遊技者は潜在的に第2図柄で当選することを望む傾向にある。
(3)第1図柄、第2図柄のどちらで当選した場合でも、特別遊技の終了後は時間短縮状態に移行する。時間短縮状態は、図柄の変動時間が短縮されているため、遊技者は通常よりもスピーディに遊技を進行させることができ、それだけ当選の期待感を高めることができる。
(4)このため時間短縮状態は、連続して当選を得る(いわゆる連チャンする)可能性の高いチャンスであるから、なるべく次は第2図柄で当選する方が遊技者にとって利益である。
(5)時間短縮状態のときに第2抽選要素の記憶数が残存しなくなっても、次の始動条件が満たされるまでの間に第2事象の発生が促進されるため、「次は第2図柄で当選しやすい」という安心感を遊技者に与えることができる。
【0029】
なお、事象発生促進手段は、時間短縮状態に移行している場合であっても、変動時間設定手段により第1図柄について設定される変動時間を、通常時に設定される変動時間と同等程度に維持する態様であってもよい。
【0030】
上記の態様によれば、時間短縮状態に移行している間に、たとえ第2の事象の発生が間に合わず、それによって第1図柄の変動表示が開始されてしまったとしても、第1図柄の変動時間が通常時と同程度に設定される。「同程度」とは、通常時と全く同じか、極僅かに短縮されるか、もしくはほとんど短縮されないか等である。このため、たとえ時間短縮状態であったとしても、時間短縮状態の中で第1図柄の変動時間は相対的に長くなり、それだけ変動表示中に第2事象が発生することに期待できる。そして、実際に第2抽選要素の記憶数が回復した場合は、次の変動で第2図柄を優先させることができる。これにより、時間短縮状態の間に第1図柄の変動表示が行われたとしても、その変動を極力最少限度に抑えることができ、それだけ遊技者に対する訴求力の低下を抑制することができる。
【0031】
なお、本発明の遊技機は、遊技盤面に形成された遊技領域に向けて遊技球を打ち込む球発射手段と、遊技領域内に設置され、遊技領域内を流下する遊技球が無作為に流入することで第1事象を発生させる第1始動入賞口と、遊技領域内に設置され、所定の可動片が閉位置にある状態では遊技領域を流下する遊技球の流入を困難にする一方、可動片が閉位置から開位置に向けて作動した状態では遊技球の流入を容易化するとともに、その流入により第2事象を発生させる第2始動入賞口と、遊技領域内に設置され、遊技領域内を流下する遊技球が無作為に通過可能な始動ゲートと、始動ゲートを遊技球が通過したことを契機として、第2始動入賞口の可動片を作動させるか否かの作動抽選を実行する作動抽選実行手段と、作動抽選で当選すると、第2始動入賞口の可動片を開位置に向けて作動させる可動片作動手段とをさらに備える。そして時間短縮状態では、変動時間の短縮に加えて、少なくとも作動抽選の当選確率が通常よりも高く変更されている。
【0032】
この場合、本発明の遊技機には以下の特徴が追加される。
(1)通常、第1始動入賞口の方が入賞(遊技球の流入)は容易であり、第2始動入賞口は入賞が困難である。第2始動入賞口への入賞は、作動抽選に当選することが条件になるため、それだけ入賞の発生確率は低くなる。したがって、通常時は第2事象よりも第1事象の方が発生しやすい。
(2)一方、時間短縮状態では、通常時よりも作動抽選の当選確率が高くなり、それによって第2始動入賞口への入賞の発生確率が高くなる。
(3)このため時間短縮状態は、通常よりもスピーディに遊技を進行できる上、第2図柄で当選を得ることができる大きなチャンスであり、それだけ遊技者の期待感を大きく高めることができる。
(4)その上で、本発明の遊技機は時間短縮状態のときに第2抽選要素の記憶数が途切れるのを防止することで、遊技者の期待感を減退させず、遊技に対する意欲を長く維持することができる。
(5)ただし、時間短縮状態であるにもかかわらず変動時間を長くするのは、第2抽選要素の記憶数が途切れたとき(1回の変動中)だけであり、記憶数が回復すれば、次の変動時間は短縮される。したがって、時間短縮状態の間に遊技の時間効率が低下するのを最小限度に抑えることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の遊技機によれば、優先する方の図柄について一時的に抽選要素の記憶数が途切れたとしても、遊技に対する期待感の低下を防止し続けることができる。また、たとえ優先しない方の図柄の変動が開始されたとしても、遊技者に大きな安心感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】パチンコ機の正面図である。
【図2】パチンコ機に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。
【図3】リセットスタート処理の手順例を示すフローチャート(1/2)である。
【図4】リセットスタート処理の手順例を示すフローチャート(2/2)である。
【図5】割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【図6】始動入賞処理の手順例を示すフローチャートである。
【図7】特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。
【図8】特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。
【図9】はずれ時変動パターン決定処理の手順例を示すフローチャートである。
【図10】選択例1〜8を通じて選択される変動時間の例を一覧にして示した表である。
【図11】はずれ時変動パターン決定処理の手順(第2例)を示すフローチャートである。
【図12】第2例で選択される変動時間の例を一覧にして示した表である。
【図13】実際の遊技の進行に伴い、第2特別図柄に対応する変動開始時作動記憶数と変動時間とが変化する様子を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。
【0036】
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、ガラス枠ユニット4、受け皿ユニット6及び図示しない遊技機枠を備えている。このうち外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。その他のガラス枠ユニット4や受け皿ユニット6、図示しない遊技機枠は外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
【0037】
遊技機枠の右側縁部には、その内側(裏側)に図示しない施錠ユニットが設けられており、これに対応してガラス枠ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠ユニット2に対してガラス枠ユニット4及び遊技機枠が閉じた状態で、その施錠ユニットは施錠具とともにガラス枠ユニット4及び遊技機枠の開放を不能にしている。
【0038】
受け皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6cが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6cを時計回りに捻ると、施錠ユニットが作動して遊技機枠とともにガラス枠ユニット4及び受け皿ユニット6の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、パチンコ機1の裏側が露出することになる。パチンコ機1の裏側には、図示しない払出装置ユニットや発射装置ユニット等が設置されている他、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(制御コンピュータを含む)、接続端子等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図2)に基づいてさらに後述する。
【0039】
一方、シリンダ錠6cを反時計回りに捻ると、遊技機枠は施錠されたままでガラス枠ユニット4の施錠が外れ、ガラス枠ユニット4が開放可能となる。ガラス枠ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。またガラス枠ユニット4を開放すると、受け皿ユニット6のロック機構(図示していない)が露出する。この状態でロック機構を解除すると、受け皿ユニット6を遊技機枠に対して前面側へ開放することができる。
【0040】
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤8を備えている。遊技盤8は、ガラス枠ユニット4の背後で図示しない遊技機枠に支持されている。遊技盤8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態で遊技機枠に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と遊技盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
【0041】
受け皿ユニット6の上面には、上皿6aが形成されている。この上皿6aには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に払出装置ユニットから受け皿ユニット6(主に上皿6a)に払い出される。また受け皿ユニット6には、上皿6aよりも下段位置に下皿6bが形成されている。この下皿6bには、上皿6aに入りきらない遊技球か、もしくは上皿6aから排出された遊技球を貯留することができる。
【0042】
受け皿ユニット6の上面には、操作パネルユニット9が設置されており、この操作パネルユニット9には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、ICメモリ内蔵媒体等)を投入した状態で、球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。操作パネルユニット9の上面には図示しない度数表示部が配置されており、この度数表示部には、有価媒体の残存度数が表示される。なお遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。さらに操作パネルユニット9には、演出用の押しボタン14や上下左右の方向キー15が設置されており、これら押しボタン14や方向キー15は、遊技中に適宜、遊技者が操作することができる。
【0043】
受け皿ユニット6の左上部には上皿球抜きレバー6dが設置されており、また、下皿6bを囲む壁部分の前面には下皿球抜きレバー6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きレバー6dを操作することで、上皿6aに貯留された遊技球を下皿6bに流下させることができる。また遊技者は、下皿球抜きレバー6eを操作することで、下皿6bに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
【0044】
受け皿ユニット6の右下部には、グリップユニット16が設置されている。遊技者はこのグリップユニット16を操作することで図示しない発射装置ユニットを作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる。発射された遊技球は、遊技盤8の左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により案内されながら遊技領域8a内を流下する。
【0045】
〔盤面の構成〕
遊技領域8a内には、ゲート20や普通入賞口22,24、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等が設置されている。遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為にゲート20を通過したり、あるいは、普通入賞口22,24や上始動入賞口26に入賞(流入)したりする。また可変始動入賞装置28や可変入賞装置30には、それぞれの作動時に遊技球の流入が可能な状態となる。ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、入賞した遊技球は遊技盤8に形成された貫通穴を通じて裏側へ回収される。
【0046】
なお、上記の可変始動入賞装置28は、所定の条件が満たされた場合(普通図柄が所定の態様で停止表示された場合)に作動し、下始動入賞口28aへの入賞を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の可動片28bを有しており、これら可動片28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。図示のように先端が上を向いた状態で左右の可動片28bは閉位置にあり、このとき下始動入賞口28aへの入賞は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。可変始動入賞装置28が作動すると、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、下始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の流入が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入賞を発生させる。なお、遊技盤8に設置されている障害釘の配列(ゲージ)は、可変始動入賞装置28に向けて遊技球の流下を案内しやすい態様となっている。
【0047】
また上記の可変入賞装置30は、特定の条件が満たされた場合(特別図柄が特定の態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口(参照符号なし)への入賞を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置にあり、このとき大入賞口への入賞は不能(大入賞口は閉塞中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁を中心として前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が可能な状態となり、大入賞口への入賞を発生させる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。
【0048】
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、入賞しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。回収された遊技球は図示しない島設備の補給経路に合流する。
【0049】
遊技盤8には、例えば窓4a内の右上位置に普通図柄表示装置33と普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置36、第1作動記憶ランプ34a、第2作動記憶ランプ36a及び遊技状態表示装置38が設けられている。このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。
【0050】
第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置36は、例えば7セグメントLED(ドット付き)により、それぞれ第1特別図柄、第2特別図柄の変動状態と停止状態とをそれぞれ表示することができる。また、第1作動記憶ランプ34a及び第2作動記憶ランプ36aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせにより、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する。例えば、ランプが全て消灯のときは記憶数0個を表示し、1つのランプが点灯すると記憶数1個を表示し、同じ1つのランプが点滅すると記憶数2個を表示し、この状態からもう1つのランプが点灯すると記憶数3個を表示し、そして2つのランプがともに点滅すると記憶数4個を表示する、といった具合である。本実施形態では、一方の作動記憶ランプ34aが第1特別図柄の作動記憶数を表し、他方の作動記憶ランプ36aが第2特別図柄の作動記憶数を表している。
【0051】
また遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ(2ラウンド又は15ラウンド)、確率変動状態表示ランプ、時間短縮状態表示ランプにそれぞれ対応する4つのランプ(LED)が含まれている。
【0052】
本実施形態では、遊技盤8の大部分が透明な部材で構成されており、上記の普通図柄表示装置33や第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置36等は、いずれも透明な部材の背後(遊技者から容易に視認可能な位置)に設置されている。さらに遊技盤8の後側には、比較的大型の液晶表示器40が設置されており、この液晶表示器40には、第1又は第2特別図柄に対応させた演出図柄Dをはじめ、第1作動記憶ランプ34a、第2作動記憶ランプ36aの表示に連動させた記憶数表示マーカM1,M2が表示される他、各種の演出画像が表示される。液晶表示器40の表示画面は、透明な遊技盤8を透過して前面側から良好に視認可能である。
【0053】
また遊技盤8には、その上縁部に沿って区画部材42が設置されている。区画部材42は、その上面が遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能し、遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、区画部材42の上面に沿って左右いずれかに振り分けられる。遊技領域8a内の左側縁部にはワープ入口44が設置されており、透明な遊技盤8の裏面側には、ワープ入口44に通じる球案内通路46が形成されている。球案内通路46もまた透明な部材で構成されているため、それによって液晶表示器40の視認性が阻害されることはないし、球案内通路46を通過する遊技球は、遊技者から明瞭に視認可能である。
【0054】
さらに遊技盤8には、その略中央から僅かに下寄りの位置に転動ステージ48が形成されている。上記のワープ入口44は遊技領域8a内にて上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為にワープ入口44内に流入すると、その遊技球は球案内通路46を通じて転動ステージ48上に放出される。転動ステージ48の上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。遊技盤8には、転動ステージ48の前面側を開放するべく開口が形成されており、転動ステージ48上を転動した遊技球は、やがて開口を通じて下方の遊技領域8a内に流下する。また、転動ステージ48の中央位置には球放出路50が形成されており、この球放出路50は、遊技盤8の背後で転動ステージ48の上面から下方に延び、さらに前方へ屈曲されて遊技盤8の前面にて開口している。転動ステージ48から球放出路50内に流下した遊技球は、前面の開口から放出されてくる。そして、放出された遊技球は、その真下にある上始動入賞口26に入賞しやすくなる。なお、転動ステージ48や球放出路50を構成する部材もまた透明であるため、液晶表示器40の視認性が阻害されることはないし、転動ステージ48や球放出路50を通過する遊技球は、遊技者から明瞭に視認可能である。
【0055】
〔枠前面の構成〕
ガラス枠ユニット4には、演出用の構成要素としてガラス枠上ランプ52やガラス枠左ランプ54、ガラス枠右ランプ56が設置されている。これらランプ52,54,56は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)による演出を実行する。またガラス枠ユニット4の上部には、左右一対の上スピーカ58が内蔵されており、そして受け皿ユニット6の中央から僅かに右寄りの位置には下スピーカ60が内蔵されている。これらスピーカ58,60は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
【0056】
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図2は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70(主制御コンピュータ)を備え、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有する。主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。
【0057】
また主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路76が装備されている。このうち乱数発生器75は、大当り判定用にハードウエア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。なお、本実施形態では大当り判定に第1特別図柄、第2特別図柄の2つの図柄を用いているため、これら図柄ごとに乱数発生器75を設けてもよい。その他にも主制御装置70には、図示しないクロック発生回路や入出力ドライバ(PIO)、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
【0058】
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また遊技盤8には、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82及び大入賞口スイッチ84が装備されている。始動入賞口スイッチ80,82は、それぞれ上始動入賞口26、可変始動入賞装置28(下始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。また大入賞口スイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口)への遊技球の入賞を検出するためのものである。同様に遊技盤8には、普通入賞口22,24への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。これらスイッチ類78〜86の検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。
【0059】
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1,第2特別図柄表示装置34,36、第1,第2作動記憶ランプ34a,36a及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置34,36,38及びランプ33a,34a,36aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。
【0060】
また遊技盤8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して下始動口ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。これらソレノイド88,90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、可変入賞装置30を開閉動作(作動)させる。
【0061】
パチンコ機1には、賞球払出制御装置92が装備されている。この賞球払出制御装置92(賞球払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニットの動作を制御する。賞球払出制御装置92には、図示しない払出制御CPUを実装した回路基板が装備されており、この払出制御CPUもまた、図示しないCPUコアとともにROM、RAM等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。賞球払出制御装置92(払出制御CPU)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出制御ユニットの動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。
【0062】
上記の主制御装置70とは別に、パチンコ機1は制御上の構成として演出制御装置94(演出制御コンピュータ)を備えている。この演出制御装置94は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置94にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU96を実装した回路基板が装備されている。演出制御CPU96には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM98やRAM100等の半導体メモリが内蔵されている。
【0063】
また演出制御装置94には、図示しない入出力ドライバや各種のICが装備されている他、ランプ駆動回路102や音響駆動回路104が装備されている。演出制御CPU96は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路102や音響駆動回路104に指令を与えて各種ランプを発光させたり、スピーカ58,60から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
【0064】
ランプ駆動回路102は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路102は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお各種ランプには、上記のガラス枠上ランプ52やガラス枠左ランプ54、ガラス枠右ランプ56の他に、遊技盤8に設置された装飾・演出用のランプ(参照符号なし)が含まれる。
【0065】
また音響駆動回路104は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC(DSP)、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路104は、上スピーカ58及び下スピーカ60を駆動して音響出力を行う。
【0066】
上記の液晶表示器40は遊技盤8の裏側に設置されているが、遊技盤8とは別体であり、遊技盤8を取り替える際(いわゆる盤替え時)に液晶表示器40を合わせて交換する必要はない。遊技機枠の裏側には表示制御装置114が設置されており、液晶表示器40による表示動作は、表示制御装置114により制御されている。表示制御装置114には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU116とともに、表示プロセッサであるVDP122を実装した回路基板が装備されている。このうち表示制御CPU116は、図示しないCPUコアとともにROM118、RAM120等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。またVDP122は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM124やVRAM126等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なおVRAM126は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
【0067】
演出制御CPU96のROM98には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU96は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプやスピーカ58,60を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器40を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU96は、表示制御CPU116に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出パターン番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU116は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
【0068】
表示制御CPU116は、VDP122に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP122は、制御信号に基づいて画像ROM124にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM126に転送する。さらにVDP122は、VRAM126上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器40の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。
【0069】
その他、図示していないが、遊技機枠の裏側には電源制御ユニットが装備されている。この電源制御ユニットは島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込み、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成する。電源制御ユニットで生成された電力は、主制御装置70や演出制御装置94、賞球払出制御装置92、表示制御装置114をはじめ、パチンコ機1の各所に供給される。
【0070】
また、主制御CPU72は図示しない外部端子板を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報(特別図柄変動開始情報、賞球払出要求情報、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中といった遊技ステータス情報)を出力することができる。外部端子板から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータで集計される。
【0071】
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。続いて、主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
【0072】
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。またリセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理として位置付けられる。
【0073】
図3及び図4は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
【0074】
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
【0075】
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
ステップS103:主制御CPU72は、マスクレジスタの初期設定を行う。
【0076】
ステップS104:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS105を実行する。
【0077】
ステップS105:主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS106を実行する。
【0078】
ステップS106:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。チェック結果が正常であれば(Yes)、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)し、次に主制御CPU72はステップS107を実行する。
【0079】
ステップS107:主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置94に対し、復帰用のコマンドを送信する。これを受けて演出制御装置94は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、演出図柄の表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させる。
【0080】
ステップS108:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元に、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。そして、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧し、そのプログラムアドレスから処理を続行する。
【0081】
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS104:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS105:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS106:No)、主制御CPU72はステップS109に移行する。
【0082】
ステップS109:主制御CPU72は、RAM76の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76にバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
【0083】
ステップS110:また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているコマンド送信要求バッファをクリアする。
【0084】
ステップS111:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72がリセット後に演出制御装置94に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
【0085】
ステップS112:主制御CPU72は、CTC初期化処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期化を行う。そして主制御CPU72は、図4に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
【0086】
ステップS113,ステップS114:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される信号を参照し、電源遮断の発生(供給電圧の低下)を監視する。なお、電源遮断が発生すると、主制御CPU72はレジスタを退避し、RAM76全体の内容をバックアップして処理を停止(NOP)する。電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS115を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
【0087】
ステップS115:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り判定用乱数以外に各種の乱数をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(図5中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS115では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS113で割込を禁止した後にステップS115を実行しているのは、別の割込処理(図5中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。
【0088】
ステップS116,ステップS117:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち大当り種別の判定に関わらない乱数(変動パターン決定用乱数、リーチ判定用乱数、はずれ図柄決定用乱数等)である。
【0089】
ステップS118:次に主制御CPU72は、割込回数カウンタの値を参照し、ここまでに実行した割込処理が所定回数(例えば2回)を超えたか否かを判断する。割込回数カウンタの値が所定値を超えていなければ(No)、主制御CPU72はステップS113に戻る。一方、割込回数カウンタの値が所定値を超えていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS119を実行する。これにより、メインループの実行中に少なくとも2回のタイマ割込が発生して後述の割込管理処理が実行されるとともに、さらに主制御CPU72は、タイマ割込が発生する残り時間にて電源断発生チェック処理(ステップS114)及び初期値更新乱数更新処理(ステップS115)を実行する。
【0090】
ステップS119,ステップS120:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が演出制御装置94に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファをクリアする。
【0091】
ステップS121:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、別の割込処理(図5中のステップS203)において各種入賞口スイッチ80,82,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、賞球払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。
【0092】
ステップS122,ステップS123:主制御CPU72は、メインループ中において特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた第1,第2特別図柄表示装置34,36による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。また普通図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は別の割込管理処理(図5)の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数を記憶しておく。そして主制御CPU72は、この普通図柄遊技処理の中で乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は下始動口ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0093】
ステップS124:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は外部端子板を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報を出力する。
【0094】
ステップS125:また主制御CPU72は、メインループにおいて試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中、エラー発生中)を表す試験信号を生成し、これを主制御装置70の外部に出力する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
【0095】
ステップS126:次に主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファを参照し、各種ソレノイド(下始動口ソレノイド88、大入賞口ソレノイド90)の励磁状態(ON又はOFF)を出力ポートに出力する。
【0096】
なお本実施形態では、ステップS119〜ステップS126の処理をメインループ中に組み込んだ例を挙げているが、これら処理をCPUがタイマ割込処理として実行している公知のプログラミング例もある。
【0097】
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図5は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ミリ秒)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
【0098】
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値が書き込まれる。
【0099】
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数、大当り種別判定用乱数、普通図柄当り判定用乱数等が含まれる。なお、本実施形態では第1特別図柄、第2特別図柄の2つの図柄を用いているため、これら図柄ごとに大当り図柄乱数を発生させてもよい。この場合、さらに初期値更新用乱数を各図柄別に用意してもよい。
【0100】
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
【0101】
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力ドライバ(PIO)から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、ゲートスイッチ78からの通過検出信号や、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82、大入賞口スイッチ84、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
【0102】
ステップS204:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、ゲートスイッチ78、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82からの検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。
【0103】
本実施形態では、上始動入賞口スイッチ80から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は第1特別図柄に対応した抽選契機となる事象(第1事象)が発生したと判定する。また主制御CPU72は、下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、第2特別図柄に対応した抽選契機となる事象(第2事象)が発生したと判定する。またゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0104】
ステップS205:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置36、第1作動記憶ランプ34a、第2作動記憶ランプ36a、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、各LEDに対して印加する駆動信号(バイトデータ)を生成し、出力ポートから出力する。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
【0105】
ステップS206:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込回数カウンタを更新する。このカウンタは、先に述べたメインループ中のステップS118で参照されるものである。
【0106】
ステップS207,ステップS208:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
【0107】
〔始動入賞処理〕
次に、上記のスイッチ入力イベント処理(ステップS204)中でさらに実行される処理について説明する。図6は、始動入賞処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
【0108】
ステップS10:主制御CPU72は、第1特別図柄に対応する上始動入賞口スイッチ80から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS12を実行する。
【0109】
ステップS12:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り判定用乱数の個数を表すものである。すなわち、RAM76の乱数記憶領域は各図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)別で4つのセクション(2バイトずつ)に分けられており、各セクションには1個ずつ大当り判定用乱数が記憶される。このとき、第1特別図柄に対応する大当り判定用乱数の記憶数が4個に達していなければ、第1特別図柄作動記憶数カウンタの値は4未満であり(Yes)、この場合、主制御CPU72は次のステップS14に進む。
【0110】
ステップS14:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数を1つ加算する。第1特別図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の計数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図5中のステップS205)で第1作動記憶ランプ34aの点灯状態が制御されることになる。
【0111】
ステップS16:そして主制御CPU72は、サンプリング回路77を通じて乱数発生器75から第1特別図柄に対応する大当り判定用乱数値を取得する(第1抽選要素の取得)。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビット処理の場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り判定用乱数値をリードすると、これを転送元のアドレスに大当り判定用乱数としてセーブする。
【0112】
ステップS18:主制御CPU72は、セーブした大当り判定用乱数を第1特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、領域内の空きセクションに記憶させる。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に乱数が記憶されていく。
【0113】
ステップS20:主制御CPU72は、第1特別図柄始動口入賞フラグをセットする。なお、主制御CPU72はメインループに復帰すると、ここでセットしたフラグの値を参照して演出制御装置94に始動口入賞音制御コマンドを送信し、また、賞球払出制御装置92に賞球指示コマンドを送信する。
【0114】
以上の手順を終えるか、もしくは上始動入賞口スイッチ80からの入賞検出信号の入力がなかった場合(ステップS10:No)、あるいは第1特別図柄作動記憶数が4に達していた場合(ステップS12:No)、主制御CPU72は次にステップS22を実行する。
【0115】
ステップS22:主制御CPU72は、第2特別図柄に対応する下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認されなかった場合(No)、ここで主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。一方、入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS24を実行する。
【0116】
ステップS24:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。このとき第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4に達していれば(No)、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。一方、未だ第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4未満であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS26に進む。
【0117】
ステップS26:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数を1つ加算(第2特別図柄作動記憶数カウンタの値をインクリメント)する。
【0118】
ステップS28:そして主制御CPU72は、乱数発生器75から第2特別図柄に対応する大当り判定用乱数値を取得する(第2抽選要素の取得)。乱数値を取得する手法は、先に説明したステップS16と同様である。
【0119】
ステップS30:主制御CPU72は、セーブした大当り判定用乱数を第2特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、領域内の空きセクションに記憶させる。記憶の手法は、先に説明したステップS18と同様である。
【0120】
ステップS32:主制御CPU72は、第2特別図柄始動口入賞フラグをセットする。以上の手順を終えると、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。
【0121】
〔特別図柄遊技処理〕
次に、メインループ中に実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。図7は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、大当り遊技処理(ステップS5000)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別遊技管理処理の基本的な流れを説明する。
【0122】
ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000〜ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスを指定し、ジャンプ先と戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ第1特別図柄、第2特別図柄のいずれも変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理(ステップS2000)を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS3000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
【0123】
ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
【0124】
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置36の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示が行われる。
【0125】
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置36の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより第1特別図柄及び第2特別図柄の停止表示が行われる。
【0126】
ステップS5000:大当り遊技処理は、先の特別図柄停止表示中処理において大当りの態様で第1特別図柄又は第2特別図柄が停止表示された場合に選択される。第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれかが大当りの表示態様で停止すると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な遊技状態)に移行する。大当り遊技中は、大当り遊技処理において大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば30秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、規定回数(例えば15回)だけ励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開放動作する(特別電動役物の連続差動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる。なお、このように可変入賞装置30が開放動作することを「ラウンド」と称し、規定回数が全部で15回あれば、これを「15ラウンド」と総称することがある。そして、大当り遊技を終了すると、主制御CPU72は、大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を表す遊技状態別フラグをセットする。「高確率状態」になると確率変動機能が作動し、次の大当りが発生する確率が通常よりも高く(10倍程度)なる。また、「高確率状態」になると時間短縮機能が作動し、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動時間が全体的に短縮される。なお、変動時間の短縮についてはさらに後述する。
【0127】
〔大当り中の利益〕
ここで本実施形態では、第1特別図柄が大当りの表示態様で停止した場合と、第2特別図柄が大当りの表示態様で停止した場合とで、遊技者に付与される利益の大きさが異なる場合が設けられている。以下、この点について説明する。
【0128】
先ず、第1特別図柄、第2特別図柄のいずれについても、大当り種別が「確率変動大当り」となる比率は同じ(例えば57%程度が「確率変動大当り」)である。ただし第1特別図柄については、「確率変動大当り」が「2ラウンド」の大当りになる場合がある(例えば、57%のうちの12%程度)。「2ラウンド」の大当りは、1回あたりの開放時間が比較的短く(例えば0.3秒間程度)、1回の開放動作が終了すると、所定のインターバル(例えば1〜2秒程度)をおいて2回目の開放動作を行い、それだけで終了してしまう。このため「2ラウンド」の大当りになっても、実質的に大入賞口への入賞は発生しないか、かろうじて遊技球1個の入賞が発生する程度でしかなく、大当り中に遊技者が獲得できる賞球数はほとんどないといえる。
【0129】
一方、第2特別図柄については、「確率変動大当り」は全て「15ラウンド」の大当りになる。この場合、1回あたりの開放時間が比較的長く(上記のように30秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、1回の開放動作が終了すると、所定のインターバル(例えば1〜2秒程度)をおいて15回分の開放動作を行った上で大当り遊技が終了する。このため「15ラウンド」の大当りになると、集中的に大入賞口への入賞が発生し、それによって遊技者は短時間のうちに比較的多くの賞球(例えば入賞1個につき払い出し14個)を獲得することができる。
【0130】
このため遊技者からみれば、第1特別図柄よりも第2特別図柄の方で大当たりになる方が全体的な利益は大きい。もちろん、第1特別図柄についても「確率変動大当り」が「15ラウンド」の大当りになる場合もある(例えば、57%のうちの45%程度)が、「2ラウンド」の大当りになる可能性がある分、やはり第1特別図柄で大当りするよりも、第2特別図柄で大当りする方が安心感を覚えやすい傾向にある。
【0131】
そこで本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄の両方について作動記憶がある場合、第1特別図柄よりも第2特別図柄の方を優先して変動表示させることで、遊技者に対する訴求力を高めている。以下、第2特別図柄の変動表示を優先する制御手法について説明する。
【0132】
〔特別図柄変動前処理〕
続いて、特別図柄変動前処理の詳細について説明する。図8は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
【0133】
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数又は第2特別図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。第1特別図柄及び第2特別図柄の両方の作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS2500のデモ設定処理を実行する。
【0134】
ステップS2500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置94に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
【0135】
これに対し、いずれかの作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2200を実行する。
【0136】
ステップS2200:主制御CPU72は割込を禁止した上で、特別図柄記憶シフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り判定用乱数、大当り図柄乱数)のうち、第2特別図柄に対応する方を優先的に読み出す。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は第1セクションから順に乱数を読み出し、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。第2特別図柄に対応する乱数が記憶されていない場合のみ、第1特別図柄に対応する乱数を読み出す。これにより、第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動表示が優先的に行われることになる。
【0137】
ステップS2250:次に主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数減算処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタ(第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれかに対応する方)の値を1つ減算し、減算後の値を「変動開始時作動記憶数」に設定する。このとき減算対象となる作動記憶数カウンタは、先のステップS2200で記憶した乱数のシフトを行った方に対応するものである。これにより、上記の表示出力管理処理(図5中のステップS205)の中で第1作動記憶ランプ34a又は第2作動記憶ランプ36aによる記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は割込を許可して次にステップS2300を実行する。
【0138】
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する。このとき設定される大当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なり、高確率状態では通常状態よりも大当り値の範囲が約10倍程度に拡大される。このとき、読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS2400に進む。なお、本実施形態ではプログラム上で大当り値の範囲を設定して大当り判定を行っているが、予め大当り判定テーブルをROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら大当り判定を行うプログラミング例もある。
【0139】
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。
【0140】
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数更新領域から、はずれ図柄決定用乱数を抽出し、その乱数値に基づいて第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置36による停止図柄(はずれ図柄)の表示態様を決定する。なお、先の特別図柄記憶シフト処理で第2特別図柄に対応する大当り判定用乱数の記憶を優先してシフトしていた場合、ここで主制御CPU72は第2特別図柄表示装置36による停止図柄の表示態様を決定する。一方、第1特別図柄に対応する大当り判定用乱数の記憶をシフトしていれば、ここで主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34による停止図柄の表示態様を決定する。また主制御CPU72は、演出制御装置94に送信するための停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置94に送信される。
【0141】
ステップS2406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、第1特別図柄又は第2特別図柄について、はずれ時の特別図柄の変動パターン番号(変動時間に対応するもの)を決定する。リーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は、ステップS2250で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個〜3個)」に基づいて決定されるが、特に本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とで変動時間を別々に決定している。なお、具体的な処理の内容については別のフローチャートを用いてさらに後述する。
【0142】
以上のステップS2404,ステップS2406は、大当り判定結果がはずれ時の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。
【0143】
ステップS2408:主制御CPU72は、大当り種別決定処理を実行する。この処理では先ず、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から大当り種別決定用乱数を取得する。次に主制御CPU72は、確変決定値の範囲を設定し、この範囲内に乱数値が含まれるか否かを判断する。その結果、乱数値が確変決定値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当り種別を「確変大当り」として決定する。逆に、乱数値が確変決定値の範囲外であれば、主制御CPU72は大当り種別を「非確変(通常)大当り」として決定する。また、第1特別図柄に対応する確変大当りについては、主制御CPU72は合わせてラウンド数の振り分けを行う。ラウンド数の振り分けは、例えば上記の確変決定値の範囲内にさらに「2ラウンド判定範囲」を設定し、この範囲内に乱数値が入っていれば、「確変大当り」を「2ラウンド」の大当りとして決定する。なお、大当り種別を「確変大当り」として決定した場合、主制御CPU72は確率変動フラグに値(01H)をセットする。また、ここでは「大当り種別決定用乱数」を用いて大当り種別の決定を行っているが、ステップS2408の大当り種別決定処理を設けずに、主制御CPU72が以下のステップS2410で大当り図柄乱数を用いて大当り種別を決定してもよい。
【0144】
ステップS2410:続いて主制御CPU72は、当り時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から当り図柄決定用乱数を取得し、その乱数値に基づいて第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置36による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。なお、先の大当り種別決定処理で確率変動フラグに値(01H)がセットされていれば、当り図柄決定用乱数値をオフセットした上で停止図柄(確変時)の表示態様を決定する。また主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。なお、ここでは停止図柄の表示態様だけを決定しているが、上記のように大当り図柄乱数を用いて大当り種別を決定してもよい。この場合、先のステップS2408を省略することができる。
【0145】
ステップS2412:次に主制御CPU72は、当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から上記の変動パターン決定用乱数を取得すると、その値に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間)を決定する。一般的に、当り時には大当りリーチ変動を行うため、はずれ時よりも長い変動時間が決定される。
【0146】
ステップS2414:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択する。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
【0147】
〔はずれ時変動パターン決定処理〕
次に、はずれ時変動パターン決定処理の詳細について説明する。図9は、はずれ時変動パターン決定処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
【0148】
ステップS402:主制御CPU72は、はずれ時のリーチ変動を行うべきか否かを判断する。この判断は、上記のリーチ決定用乱数を用いて行うことができる。主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域からリーチ決定用乱数を取得し、その乱数値がリーチ判定範囲内に含まれるか否かを判断する。特に乱数値がリーチ判定範囲内に含まれていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS404を実行する。
【0149】
〔高確率・時短時の変動パターン〕
ステップS404:次に主制御CPU72は、現在の内部状態が「高確率状態」、「時間短縮状態」のいずれかに該当するか否かを判断する。この判断は、「確率変動フラグ」又は「時間短縮フラグ」の値を参照することで行われる。なお「時間短縮フラグ」には、大当り遊技の終了後に値(01H)がセットされる。現在の内部状態が「高確率状態」又は「時間短縮状態」のいずれかであれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS406を実行する。
【0150】
ステップS406:主制御CPU72は、今回の変動表示が第1特別図柄についてのものであるか否かを判断する。先の特別図柄記憶シフト処理(図8中のステップS2200)で第1特別図柄に対応する大当り判定乱数の記憶をシフトしていた場合、主制御CPU72は第1特別図柄についての変動表示であると判断する(Yes)。この場合、主制御CPU72は次にステップS408を実行する。
【0151】
〔選択例1:高確率・時短時で第1特別図柄作動記憶数0の場合〕
ステップS408:主制御CPU72は、「変動開始時作動記憶数」の値が0より大であるか否かを判断する。「変動開始時作動記憶数」の値は、先の特別図柄作動記憶数減算処理(図8中のステップS2250)で設定したものであり、その値は、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始時における各作動記憶数(残存個数)に対応している。例えば、それまでの作動記憶数が「N」個の状態で特別図柄作動記憶数減算処理を実行した場合、「変動開始時作動記憶数」の値は、それまでの「N」から1つ減算されて「N−1」となっている。このとき「変動開始時作動記憶数」の値が0であれば(No)、次に主制御CPU72はステップS410に進む。
【0152】
ステップS410:主制御CPU72は、今回の変動パターンとして、変動時間「中」に対応するものを選択する。変動時間は、例えば第1特別図柄(又は第2特別図柄)の変動表示を開始してから停止表示を行うまでの所要時間である。この変動時間が長ければ長いほど、より長い時間をかけて第1特別図柄(又は第2特別図柄)が変動表示を行い、停止表示が行われるまでに長時間を要することになる。逆に変動時間が短ければ、それだけ変動表示から停止表示が行われるまでの所要時間が短い。
【0153】
本実施形態では、はずれ時に主制御CPU72が選択する変動パターンとして、例えば以下の3パターンを用意している。
(1)変動時間「短」に対応する変動パターン:1500ms程度
(2)変動時間「中」に対応する変動パターン:6000ms程度
(3)変動時間「長」に対応する変動パターン:12000ms程度
【0154】
上記のように、変動時間「短」に対して変動時間は「中」は4倍程度、変動時間「長」は8倍程度の長さである。なお、これら変動時間の設定はあくまで一例に過ぎないものであり、特に限定されない。いずれにしても、主制御CPU72が変動時間「短」、「中」、「長」のいずれかに対応する変動パターンを選択すると、今回の変動表示に関する変動パターン番号を設定する。ここまでの条件分岐の流れ(「リーチなし」→「高確率・時短時」→「変動開始時作動記憶数=0」)でステップS410に進んだ場合、主制御CPU72は変動時間「中」に対応する変動パターンを選択し、これに対応する変動パターン番号(例えば「02H」)を設定する。
【0155】
〔選択例2:高確率・時短時で第1特別図柄作動記憶数1以上の場合〕
これに対し、先のステップS408で「変動開始時作動記憶数」の値が0より大であると判断した場合(Yes)、主制御CPU72はステップS414に進む。
【0156】
ステップS414:この場合、主制御CPU72は変動時間「短」に対応する変動パターンを選択し、これに対応する変動パターン番号(例えば「01H」)を設定する。
【0157】
以上の選択例1,2は、第1特別図柄についてのものであるが、第2特別図柄が変動表示される場合は以下の手順となる。
【0158】
ステップS406:今回の変動表示が第2特別図柄についてのものであると判断した場合(No)、主制御CPU72は次にステップS416を実行する。
【0159】
〔選択例3:高確率・時短時で第2特別図柄作動記憶数1以上の場合〕
ステップS416:「変動開始時作動記憶数」の値が0より大であると判断した場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS414に進み、変動時間「短」に対応する変動パターンを選択し、これに対応する変動パターン番号を設定する。
【0160】
〔選択例4:高確率・時短時で第2特別図柄作動記憶数0の場合〕
これに対し、「変動開始時作動記憶数」の値が0であると判断した場合(No)、主制御CPU72はステップS418に進む。
【0161】
ステップS418:この場合、主制御CPU72は、変動時間「長」に対応する変動パターンを選択し、これに対応する変動パターン番号(例えば「03H」)を設定する。
【0162】
〔通常時(低確率時)の変動パターン〕
また、通常時の変動パターンは以下の手順で決定される。
ステップS404:主制御CPU72は、現在の内部状態が「高確率状態」又は「時間短縮状態」のいずれでもないと判断すると(No)、次にステップS420を実行する。
【0163】
ステップS420:主制御CPU72は、今回のはずれ変動が第1特別図柄についての変動表示であると判断すると(Yes)、次にステップS422を実行する。
【0164】
〔選択例5:通常時で第1特別図柄作動記憶数1以下の場合〕
ステップS422:「変動開始時作動記憶数」の値が1以下(1個又は0個)であれば(No)、次に主制御CPU72はステップS418に進み、変動時間「長」に対応した変動パターンを選択する。これにより、ある程度の長い時間をかけて第1特別図柄の変動表示が行われることになる。
【0165】
〔選択例6:通常時で第1特別図柄作動記憶数2以上の場合〕
ステップS424:一方、「変動開始時作動記憶数」が1より大(2個又は3個)であれば(ステップS422:Yes)、主制御CPU72は変動時間「中」に対応した変動パターンを選択する。これにより、作動記憶数がある程度たまっていると、はずれ時の変動時間短縮(いわゆる保留時短)が行われることになる。
【0166】
ステップS420:また主制御CPU72は、今回のはずれ変動が第2特別図柄についての変動表示であると判断すると(No)、次にステップS426を実行する。
【0167】
〔選択例7:通常時で第2特別図柄作動記憶数1以下の場合〕
ステップS426:「変動開始時作動記憶数」の値が1以下(1個又は0個)であれば(No)、次に主制御CPU72はステップS428に進み、変動時間「長」に対応した変動パターンを選択する。これにより、ある程度の長い時間をかけて第2特別図柄の変動表示が行われることになる。
【0168】
〔選択例8:通常時で第2特別図柄作動記憶数2以上の場合〕
ステップS424:一方、「変動開始時作動記憶数」が1より大(2個又は3個)であれば(ステップS426:Yes)、主制御CPU72は変動時間「中」に対応した変動パターンを選択する。これにより、第2特別図柄についても作動記憶数がある程度たまっていると、はずれ時の変動時間短縮(いわゆる保留時短)が行われることになる。
【0169】
ステップS430:なお、ステップS402ではずれリーチ変動を行うことを決定した場合(Yes)、主制御CPU72はリーチ変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン決定乱数に基づいてリーチ変動時の変動時間を選択し、これに対応する変動パターン番号(例えば「90H」〜「97H」)を設定する。
【0170】
以上の選択例1〜8、又はリーチ変動パターン決定処理(ステップS430)のいずれかで変動時間を選択し、そのときの変動パターン番号を設定すると、次に主制御CPU72はステップS412を実行する。
【0171】
ステップS412:主制御CPU72は、選択した変動パターンに基づいて変動タイマに値を決定し、これをレジスタに書き込む。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
【0172】
〔選択例1〜8のまとめ〕
図10は、上記の選択例1〜8を通じて選択される変動時間の例を一覧にして示した表である。この一覧表から本実施形態について以下の特徴が明らかとなっている。
【0173】
〔高確率・時短時〕
(1)はずれ変動を行う場合、第1特別図柄と第2特別図柄とでは、それぞれの「変動開始時作動記憶数」の値によって異なった変動時間が選択される。
【0174】
(2)第1特別図柄、第2特別図柄の両方とも、変動開始時作動記憶数が1以上であれば、変動時間「短」に対応する変動パターンが選択される。このため、作動記憶数が残存している限り、大当り判定の結果がはずれの場合は比較的短い周期(約1.5秒+停止表示時間)で変動表示と停止表示とが繰り返されるので、それだけ遊技のテンポが速まり、時間効率を向上することができる。
【0175】
(3)ただし「選択例4」で示したように、第2特別図柄については、「変動開始時作動記憶数」の値が0(記憶数が残存しない状態)になると、高確率・時短時であっても比較的長い変動時間「長」が選択される(12秒程度)。これにより、変動時間内に遊技球が可変始動入賞装置28に入賞する可能性を高め、次回の変動表示についても第2特別図柄を優先させることができる。この場合、作動記憶数の途切れによって第1特別図柄の変動表示が開始されてしまう事態を未然に防止し、遊技者に対する訴求力の低下を抑えることができる。
【0176】
なお高確率・時短時は、主制御CPU72は普通図柄に対応する当り判定値の範囲を通常時よりも拡大しており、さらに普通図柄についても変動時間を通常時より短縮している。このため、遊技の進行中にある程度の頻度で遊技球が始動ゲート20を通過していれば、それによって普通図柄に対応する当りが頻繁に発生し、その結果、可変始動入賞装置28が頻繁に作動(いわゆる電チューサポート)して、下始動入賞口28aへの入賞(第2事象)をある程度の頻度で発生させることができる。したがって、「選択例4」で示したように作動記憶数が0個になった場合の変動時間を比較的長くすれば、その間に下始動入賞口28aへの入賞が発生するのを促進し、作動記憶数を復活させることができる。
【0177】
〔通常(低確率)時〕
(4)通常時については、第1特別図柄、第2特別図柄の両方とも、変動開始時作動記憶数が1以下であれば、変動時間「長」に対応する変動パターンが選択される。これにより、いわゆる「通常変動」を実行しつつ、ある程度のテンポで遊技を進行させることができる。
【0178】
(5)また通常時は、第1特別図柄、第2特別図柄の両方とも、変動開始時作動記憶数が2以上に増加すると、変動時間「中」に対応する変動パターンが選択される。これにより、いわゆる「保留時短」を発生させて一時的に遊技のテンポを速め、時間効率の低下を防止することができる。
【0179】
この後、主制御CPU72は特別図柄変動前処理(図8)に復帰すると、特別図柄変動開始処理(ステップS2414)において第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示を開始させる。このとき第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始フラグをセットすると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理(図7)に復帰したとき、その実行選択処理(ステップS1000)で次のジャンプ先として特別図柄変動中処理を選択する。
【0180】
〔図7:特別図柄変動中処理,特別図柄停止表示中処理〕
主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は停止図柄決定処理(図8中のステップS2404,ステップS2410)で決定した停止図柄に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。特別図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。
【0181】
以上の制御手法を本実施形態の第1例とすると、第2例として以下の制御手法を挙げることができる。以下、制御手法の第2例について説明する。
【0182】
〔第2例のはずれ時変動パターン決定処理,変動時間の一覧〕
図11は、第2例として挙げられるはずれ時変動パターン決定処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、既に第1例で説明した手順については共通の符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。
【0183】
〔高確率・時短時で第1特別図柄について変動表示を行う場合〕
第2例の場合、以下の手順が第1例と異なっている。
ステップS407:主制御CPU72は、高確率・時短時に第1特別図柄についての変動表示であると判断した場合(ステップS406:Yes)、「変動開始時作動記憶数」の値に応じて変動時間「長」又は変動時間「中」に対応した変動パターンを選択する。
【0184】
ステップS409:すなわち、「変動開始時作動記憶数」の値が1以下(1個又は0個)であれば(ステップS407:No)、主制御CPU72は変動時間「長」に対応した変動パターンを選択する。これにより、通常時と同様の長い時間(例えば12秒程度)をかけて第1特別図柄の変動表示が行われることになる。
【0185】
ステップS410:一方、「変動開始時作動記憶数」の値が1より大(2個又は3個)であれば(ステップS407:Yes)、主制御CPU72は変動時間「中」に対応した変動パターンを選択する。これにより、通常時と同様に作動記憶数がある程度たまっていると、はずれ時の変動時間短縮(いわゆる保留時短)が行われることになる。その他の手順(通常時、又は第2特別図柄について変動を行う場合)については第1例で説明したものと同じである。
【0186】
図12は、第2例で選択される変動時間の例を一覧にして示した表である。この一覧表に示されているように、第2例では、高確率・時短時に第1特別図柄についてはずれ変動を行う場合、その「変動開始時作動記憶数」の値に応じて通常時と同じ変動時間(記憶数1個以下で12秒、2個以上で6秒)が選択されることになる。この場合、本実施形態には以下の特徴が追加される。
【0187】
(1)第2特別図柄について作動記憶数が残存しなくなり、やむなく第1特別図柄について変動表示を開始した場合を想定する。この場合、高確率・時短時にもかかわらず、通常時と同程度の変動時間が選択されるので、その変動表示の間に下始動入賞口28aへの入賞が発生するのを促進することができる。
【0188】
(2)そして、期待したとおりに下始動入賞口28aへの入賞が発生すれば、それによって第2特別図柄に対応する作動記憶数を回復させることができる。この場合、次回の変動表示は第2特別図柄の方を優先して行うことができるため、優先したくない方の第1特別図柄の作動記憶数が残存していても、その変動回数を最小限に抑えることができる。
【0189】
なお、図12では第1特別図柄の変動時間が低確率(通常)時と高確率・時短時とで同じ値となっているが、高確率・時短時の変動時間が僅かずつ短縮されていてもよい。例えば、作動記憶数1個以下の場合に11.0秒〜11.8秒程度に短縮され、記憶数2個以上では5.0秒〜5.8秒程度に短縮される態様であってもよい。
【0190】
〔その他の例〕
上述した第1例及び第2例の他にも、はずれ時変動パターン決定処理の手順について次の手法をその他の例として挙げることができる。すなわち、高確率・時短時に第1特別図柄について変動表示を行う場合、強制的に(又は高確率で)リーチ変動パターン決定処理(ステップS430)にジャンプする。この場合、第1特別図柄については毎回はずれリーチ変動となり、それだけ長い変動時間(例えば60秒程度)が選択されるので、遊技球が続けて発射されていれば、その間に下始動入賞口28aへの入賞が発生すると見込まれる。あるいは、図9及び図11中のステップS426で「変動開始時作動記憶数」が0個の場合(Yes)、主制御CPU72は強制的に(又は高確率で)リーチ変動パターン決定処理(ステップS430)にジャンプしてもよい。この場合も同様に、作動記憶数0個になった場合は第2特別図柄についても毎回はずれリーチ変動となり、それだけ長い変動時間(例えば60秒程度)が選択されるので、遊技球が続けて発射されていれば、その間に下始動入賞口28aへの入賞が発生すると見込まれる。
【0191】
以上の説明から本実施形態の詳細は既に明らかとなっているが、以下に実際のタイムチャート上で変動開始時作動記憶数等の変化を示しつつ説明する。
【0192】
図13は、実際の遊技の進行に伴い、第2特別図柄に対応する変動開始時作動記憶数と変動時間とが変化する様子を示すタイムチャートである。なお、図13中の横軸は時間の経過を表している。
【0193】
図13中(A):例えば、確率変動大当り(2ラウンド又は15ラウンド)が終了し、確率変動機能とともに特別図柄変動時間短縮機能が作動している場合を想定する。
【0194】
図13中(B):それまでに第2特別図柄の作動記憶数が3個(第2作動記憶ランプ36aの表示は3個)であったとすると、図中に「変動開始1」と示されているタイミングでは、変動開始時作動記憶数が1つ減算されて2個になる。
【0195】
図13中(C):この場合、上記の「選択例3」で述べたように、第2特別図柄について変動時間「短」が選択され、実際の変動時間が短縮される。
【0196】
図13中(B):第2特別図柄の変動表示が停止し、次の変動表示を開始する条件が満たされると、図中に「変動開始2」と示されているタイミングで、さらに変動開始時作動記憶数が減算されて1個になる。
図13中(C):この場合も同様に、第2特別図柄について変動時間「短」が選択され、実際の変動時間が短縮される。このように、高確率・時短時には特別図柄の変動時間が基本的に短縮されているため、遊技のテンポが速まり、それだけ時間効率が向上する。
【0197】
図13中(B):続いて第2特別図柄の変動表示が停止し、次の変動表示を開始する条件が満たされると、図中に「変動開始3」と示されているタイミングでは、変動開始時作動記憶数が減算されて0個になる。
図13中(C):この場合、上記の「選択例4」で述べたように、第2特別図柄について変動時間「長」が選択されるので、高確率・時短時であっても、実際の変動時間は比較的長くなる。
【0198】
図13中(D):その一方で、高確率・時短時には、普通図柄変動時間短縮機能が作動している。
図13中(E):また、遊技領域8a内に打ち込まれた遊技球は無作為に作動ゲート20を通過し、その都度、ゲートスイッチ78の通過検出信号がONになる。
【0199】
図13中(F):ゲートスイッチ78の通過検出信号がONになると、普通図柄表示装置33により普通図柄の変動表示が行われた後、当りの態様で停止表示される(図中下向き矢印のタイミング)。なお、普通図柄変動時間短縮機能の作動中は、普通図柄の変動時間が短縮(通常時で4秒程度→1秒程度に短縮)されている。また、既に述べたように普通図柄に対応する当り判定は高確率状態(例えば251分の250程度)で行われるため、普通図柄はほぼ毎回の変動で当りの態様となる。
【0200】
図13中(G):普通図柄が当りの態様で表示されると、下始動口ソレノイド88が励磁され、可変始動入賞装置28が作動(約1秒間、2回開放)する。これにより、下始動入賞口28aへの入賞が容易な状態になる。なお可変始動入賞装置28は、普通図柄が当りの態様で停止表示される度に2回ずつ作動する。上記のように普通図柄変動時間短縮機能の作動中は、普通図柄が頻繁に作動し、かつ、当りの態様で停止表示されるため、それだけ可変始動入賞装置28が作動する頻度も高まっていることがわかる。
【0201】
図13中(H):このため高確率・時短時には、ある程度の高い頻度で下始動入賞口28aへの入賞が発生するものと見込まれる。特に、作動記憶数が0個になった場合、第2特別図柄は長い変動時間をかけて変動するため、この間に下始動入賞口28aへの入賞の発生を促進することができる。そして、実際に変動表示中に下始動入賞口28aへの入賞が連続して発生すると、第2特別図柄の作動記憶数を1個〜4個(図中の括弧付き数字)まで回復(増加)させることができる。
【0202】
図13中(B):その結果、次回も第2特別図柄を優先して変動表示させることができるため、一時的に変動時間が長くなったとしても、遊技者に対して安心感を与えることができる。また、図中に「変動開始4」と示されるように、次の第2特別図柄の変動表示を開始するタイミングでは、変動開始時作動記憶数が3個となっている。この場合、変動時間「短」が選択されるので、高確率・時短時の高い時間効率を維持することができる。
【0203】
以上のように本実施形態によれば、高確率・時短時に第2特別図柄に対応する作動記憶数が残存しなくなった場合であっても、次に始動条件が満たされるまでの間(主制御CPU72が図8中の特別図柄変動前処理を実行する前)に下始動入賞口28aへの入賞が発生するのを促進することができる。そして、実際に下始動入賞口28aへの入賞が発生すると、主制御CPU72が割込処理(図6の始動入賞処理)によって第2特別図柄作動記憶数を加算し、新たに取得した大当り判定乱数を記憶する。したがって、次回の特別図柄変動開始前処理中(図8中のステップS2200)では、主制御CPU72は第2特別図柄に対応する大当り判定乱数を優先的に用いて大当り判定(内部抽選)を実行することができる。
【0204】
特に、遊技者にとって高確率・時短時は、大当りを連続して得られる可能性が高いチャンスであり、この場合、遊技者は「2ラウンド」の大当りよりも「15ラウンド」の大当りを潜在的に望む傾向にある。本実施形態では、高確率・時短時に第2特別図柄の方をより頻繁に変動させることで、次の大当りが「2ラウンド」になる可能性を低くし、それによって遊技者に安心感を与えることができる。
【0205】
本発明は上述した一実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。一実施形態のはずれ時変動パターン決定処理において、高確率・時短時に第2特別図柄の変動開始時作動記憶数が0になった場合に変動時間「長」を選択する手順を構成しているが、ここでは変動時間「中」を選択する手順を構成してもよい。また、変動時間は「長」、「中」、「短」の3段階だけでなく、より多くの段階から選択してもよい。
【0206】
また一実施形態では、はずれ時変動パターン決定処理の手順において、多数の条件分岐を設けて最終的に変動時間「短」、「中」、「長」を選択しているが、このような手法に限られない。例えば、予め第1特別図柄と第2特別図柄について、低確率又は高確率・時短時の状態別に変動時間をテーブル形式でROM74のテーブル領域に記憶させておき、各テーブルの先頭アドレスに変動開始時作動記憶数が0個のときの変動時間の値を配置しておく。そして、実際に読み込んだ変動開始時作動記憶数0〜3をオフセット値(「00H」〜「03H」)として各テーブルの先頭アドレスに加算し、テーブル上の対応するアドレスから変動時間を選択するようにしてもよい。
【0207】
また上記の一実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄について、「確率変動大当り」のラウンド数に違いを設けているが、「通常大当り」についてラウンド数の違いを設けてもよい。またラウンド数については、「2ラウンド」、「15ラウンド」の2種類に限らず、その他のラウンド数が設定されている構成であってもよい。
【符号の説明】
【0208】
1 パチンコ機
8 遊技盤
8a 遊技領域
20 始動ゲート
26 上始動入賞口(第1始動入賞口)
28 可変始動入賞装置
28a 下始動入賞口(第2始動入賞口)
33 普通図柄表示装置
33a 普通図柄作動記憶ランプ
34 第1特別図柄表示装置
34a 第1作動記憶ランプ
36 第2特別図柄表示装置
36a 第2作動記憶ランプ
70 主制御装置
72 主制御CPU
76 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技中に少なくとも第1事象又は第2事象が発生すると、それぞれ第1抽選要素又は第2抽選要素を取得する抽選要素取得手段と、
前記第1又は第2抽選要素のいずれかを用いて遊技者の利益に関わる内部抽選が行われると、これを契機として前記第1又は第2抽選要素にそれぞれ対応した第1図柄又は第2図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で前記第1又は第2図柄を停止表示させる図柄表示手段と、
前記図柄表示手段により特定の当選態様で前記第1又は第2図柄が停止表示されると、通常とは異なる特別な条件が適用された特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記図柄表示手段により前記第1又は第2図柄のいずれかの変動表示の開始を可能とする始動条件が満たされた状態で前記第2事象が発生すると、前記抽選要素取得手段により取得された前記第2抽選要素を記憶する抽選要素記憶手段と、
前記抽選要素記憶手段により前記第2抽選要素が記憶された場合、その記憶された前記第2抽選要素を用いて前記内部抽選を実行する抽選実行手段と、
前記抽選実行手段により前記内部抽選に用いられた前記第2抽選要素の記憶を前記抽選要素記憶手段から消去する記憶消去手段と、
前記記憶消去手段により前記第2抽選要素の記憶が消去された結果、前記図柄表示手段による前記第2図柄の変動表示の開始時に前記抽選要素記憶手段から前記第2抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合、少なくとも次の前記始動条件が満たされるまでの間に前記第2事象が発生することを促進する事象発生促進手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記特別遊技が終了すると、通常よりも前記図柄表示手段により前記第1又は第2図柄の変動表示を行う変動時間が短縮された時間短縮状態に移行させる時間短縮状態移行手段をさらに備え、
前記事象発生促進手段は、
前記時間短縮状態のときに前記抽選要素記憶手段から前記第2抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合、少なくとも次の前記始動条件が満たされるまでの間に前記第2事象が発生することを促進することを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遊技機において、
前記抽選要素記憶手段は、
前記図柄表示手段により前記第1又は第2図柄のいずれかの変動表示の開始を可能とする始動条件が満たされる前に前記第1又は第2事象が発生すると、前記抽選要素取得手段により取得された前記第1又は第2抽選要素を所定の上限数まで保留扱いとして個別に記憶するものであり、
前記内部抽選で非当選となった場合、前記図柄表示手段が前記第1又は第2図柄の表示の変動を開始するに際して、少なくとも前記抽選要素記憶手段により保留扱いとして記憶された前記第1又は第2抽選要素の記憶数に基づいて、前記第1又は第2図柄について個別に変動時間を設定する変動時間設定手段をさらに備え、
前記事象発生促進手段は、
前記第2抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合に前記変動時間設定手段により前記第2図柄について設定される変動時間を、前記第1抽選要素の記憶数が残存しなくなった場合に前記変動時間設定手段により前記第1図柄について設定される変動時間よりも長くすることを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の遊技機において、
前記第1抽選要素を用いた前記内部抽選で当選した場合に比較して、前記第2抽選要素を用いた前記内部抽選で当選した場合に遊技者が享受できる利益を大きく設定する利益設定手段をさらに備えたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−63297(P2013−63297A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−264924(P2012−264924)
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2007−214482(P2007−214482)の分割
【原出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】