説明

遊技球移送制御装置

【課題】遊技機島内における遊技球の汚れの蓄積を防止し、遊技機やその関連機器における球詰まりを未然に防ぎ、保守点検や清掃作業を軽減することができる遊技球移送制御装置を提供する。
【解決手段】遊技機10の稼働率の低い遊技機島グループ内における汚れていない遊技球を、遊技球の稼働率が高く遊技者の手垢やタバコ等により汚れの多い遊技球を保有する遊技機島グループに移送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の遊技機を備えた遊技機島の相互間における遊技球の移送を制御する遊技球移送制御装置に関する。ここで遊技機は一般のパチンコ機に類するものであり、遊技球とは主としてパチンコ球が相当する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技ホールでは、複数のパチンコ機を並設して成る遊技機島が複数設置されている。この遊技機島毎に、複数の遊技機から排出された遊技球を貯留した後、研磨しつつ揚送して再び各遊技機に補給することで、遊技媒体である遊技球を繰り返し使用していた。また、遊技者が遊技で獲得した遊技球は、遊技機島に設けられている景品球計数機に投入されて計数され、その計数結果に基づき所定の景品と交換されていた。
【0003】
ここで景品球計数機は、全ての遊技機島に設けられているわけではなく、例えば2つの遊技機島単位で1つずつ等、コスト削減の観点より一部の遊技機島にのみに設けられている。この景品球計数機のある遊技機島では、遊技球が投入されることにより遊技球の貯留量が増加する一方、景品球計数機のない遊技機島では、相対的に遊技球の貯留量が減少することになる。そのため、遊技機島間において遊技球の貯留量に偏りが生じてしまい、遊技機への遊技球の補給に支障を来たす虞があった。
【0004】
かかる問題を解決するための従来の技術として、例えば、特許文献1に開示されたものが既に提案されている。すなわち、複数の遊技機島をグループ分けし、各グループ毎に、遊技機島の貯留タンクに設けられたセンサにより検知された遊技球の貯留量から平均貯留量を求め、これら平均貯留量の差が減少するようにグループ間で遊技球を移送する動作を、グループの分け方を変更して繰り返し行なう。これにより、やがて、どのようにグループ分けしても、グループ間での平均貯留量の差の少ない状態が形成され、全ての遊技機島の貯留量がほぼ均一になるように制御するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−271573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に開示された従来の技術では、遊技機島グループ間の遊技球の平均貯留量の差により他の遊技機島グループに遊技球を移送して貯留量の平均化を図っているが、遊技者が手で触ったりして手垢やタバコのヤニや塵等による遊技球の汚れに関して一切考慮することなく遊技球を移送していた。このため、遊技機やその関連機器に関して、遊技球の汚れの蓄積を原因とする球詰まりの保守点検や、清掃作業が大変であるという問題が想定されていた。
【0007】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題点に着目してなされたものであり、遊技機の稼働率の低い遊技機島グループ内の汚れていない遊技球を、遊技球の稼働率が高く遊技者の手垢やタバコ等により汚れの多い遊技球を保有する遊技機島グループに移送することにより、該グループ内の遊技機島における汚れの蓄積を防止し、遊技機島内の遊技機やその関連機器における球詰まりを未然に防ぎ、保守点検や清掃作業を軽減することができる遊技球移送制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]複数の遊技機(10)を備えた遊技機島(1)の相互間における遊技球の移送を制御する遊技球移送制御装置(121)において、
複数の遊技機島(1)をグループ分けし、該グループ分けした各遊技機島グループには、遊技者が獲得した遊技球を計数する景品球計数機(7)を備えた遊技機島(1)が含まれており、
前記遊技機島(1)内の遊技球を他の遊技機島(1)に対して相互に移送可能な移送手段(50)と、
前記移送手段(50)による遊技球の移送を制御する制御手段と、
前記遊技機(10)から遊技機島(1)内に排出された遊技球を、遊技機島(1)毎に取り込まれた入球として計数する入球計数機(13)と、
前記入球計数機(13)の計数結果に基づき、遊技機島グループ毎の入球数と、その平均値である遊技機島グループ全体の平均入球数を算出する算出手段と、
前記遊技機島グループ毎の入球数を前記平均入球数と比較して、該平均入球数より入球数が低い遊技機島グループと高い遊技機島グループとに判別する比較判別手段と、備え、
前記制御手段は、前記比較判別手段の判別結果に基づき、前記移送手段(50)を制御して、前記低い遊技機島グループから前記高い遊技機島グループに遊技球を移送することを特徴とする遊技球移送制御装置(121)。
【0009】
[2]前記複数の遊技機島(1)は、前記移送手段(50)を介して直列に接続されており、
前記複数の遊技機島(1)を隣り合う同士でまとめてグループ分けし、
前記比較判別手段の判別結果に基づき、前記低い遊技機島グループに最も近い前記高い遊技機島グループを検出する遠近検出手段を備え、
前記制御手段は、前記遠近検出手段の検出結果に基づき、前記移送手段(50)を制御して、前記低い遊技機島グループから最も近い前記高い遊技機島グループに遊技球を移送することを特徴とする[1]に記載の遊技球移送制御装置(121)。
【0010】
[3]前記制御手段は、前記各遊技機島グループ内では各遊技機島(1)が保有する遊技球数の差が減少するように、前記移送手段(50)を制御して遊技球を移送することを特徴とする[2]に記載の遊技球移送制御装置(121)。
【0011】
[4]前記制御手段は、前記各遊技機島グループのうち前記高い遊技機島グループ同士が隣り合う場合、該高い遊技機島グループ同士の境界に位置する各遊技機島(1)が保有する遊技球数の差が減少するように、前記移送手段(50)を制御して遊技球を移送することを特徴とする[3]に記載の遊技球移送制御装置(121)。
【0012】
[5]前記制御手段は、前記各遊技機島グループのうち前記低い遊技機島グループ同士が隣り合う場合において、該低い遊技機島グループがそれぞれ前記高い遊技機島グループにも隣り合う場合、該低い遊技機島グループ同士の境界に位置する各遊技機島(1)間での遊技球の移送を停止する一方、該低い遊技機島グループの一方のみが前記高い遊技機島グループに隣り合う場合、該低い遊技機島グループ同士の境界に位置する各遊技機島(1)間で前記高い遊技機島グループに向う方向にのみ前記移送手段(50)を制御して遊技球を移送することを特徴とする[3]または[4]に記載の遊技球移送制御装置(121)。
【0013】
[6]前記制御手段は、前記各遊技機島グループにある前記景品球計数機(7)のうち前記低い遊技機島グループに属するものに遊技者を誘導する制御を行うことを特徴とする[1],[2],[3],[4]または[5]に記載の遊技球移送制御装置(121)。
【0014】
[7]複数の遊技機(10)を備えた遊技機島(1)の相互間における遊技球の配分を制御する遊技球移送制御装置(121)において、
複数の遊技機島(1)をグループ分けし、該グループ分けした各遊技機島グループには、遊技者が獲得した遊技球を計数する景品球計数機(7)を備えた遊技機島(1)が含まれており、
前記各遊技機島グループ間における遊技球の配分を制御する制御手段と、
前記遊技機(10)から遊技機島(1)内に排出された遊技球を、遊技機島(1)毎に取り込まれた入球として計数する入球計数機(13)と、
前記入球計数機(13)の計数結果に基づき、遊技機島グループ毎の入球数と、その平均値である遊技機島グループ全体の平均入球数を算出する算出手段と、
前記遊技機島グループ毎の入球数を前記平均入球数と比較して、該平均入球数より入球数が低い遊技機島グループと高い遊技機島グループとに判別する比較判別手段と、備え、
前記制御手段は、前記比較判別手段の判別結果に基づき、前記各遊技機島グループにある前記景品球計数機(7)のうち前記低い遊技機島グループに属するものに遊技者を誘導する制御を行うことを特徴とする遊技球移送制御装置(121)。
【0015】
[8]前記景品球計数機(7)に、遊技球を受け入れる投入口を開閉する開閉手段を設け、
前記制御手段は、前記低い遊技機島グループにある景品球計数機(7)の開閉手段を開く一方、前記高い遊技機島グループにある景品球計数機(7)の開閉手段を閉じることにより、遊技者を誘導することを特徴とする[6]または[7]に記載の遊技球移送制御装置(121)。
【0016】
[9]前記景品球計数機(7)に、遊技球の受け入れに関する表示を行う表示手段(8)を設け、
前記制御手段は、前記低い遊技機島グループにある景品球計数機(7)の表示手段(8)に遊技球を受け入れる旨を表示する一方、前記高い遊技機島グループにある景品球計数機(7)の表示手段(8)に遊技球を受け入れない旨を表示することにより、遊技者を誘導することを特徴とする[6],[7]または[8]に記載の遊技球移送制御装置(121)。
【0017】
前記本発明は次のように作用する。
前記[1]に記載の遊技球移送制御装置(121)によれば、複数の遊技機島(1)をグループ分けするが、ここでグループ分けした各遊技機島グループには、それぞれ景品球計数機(7)を備えた遊技機島(1)が少なくとも一つは含まれるようにする。各遊技機島(1)は、遊技球を他の遊技機島(1)に対して相互に移送可能な移送手段(50)で連結され、この移送手段(50)を制御することで、遊技機島(1)相互間における遊技球の任意の移送を行うことができる。
【0018】
すなわち、先ず入球計数機(13)によって、遊技機島(1)毎に取り込まれた入球を計数し、算出手段によって、遊技機島グループ毎に、それぞれに属する遊技機島(1)の入球数の合計値の他、その平均値である遊技機島グループ全体の平均入球数を算出する。次に比較判別手段によって、遊技機島グループ毎の入球数を平均入球数と比較して、該平均入球数より入球数が低い遊技機島グループと高い遊技機島グループとに判別する。
【0019】
ここで、平均入球数より入球数が低い遊技機島グループは、該グループ内における遊技機(10)の稼働率が全般的に低く、逆に高い遊技機島グループは、該グループ内における遊技機(10)の稼働率が全般的に高いと言える。従って、前記低い遊技機島グループ(以下「低稼働グループ」とする)では、遊技機島(1)内の遊技球は循環に伴う研磨作用によって比較的綺麗であるが、前記高い遊技機島グループ(以下「高稼働グループ」とする)では、遊技機島(1)内の遊技球は稼働率が高い分だけ利用頻度も多く、人の手垢やタバコ等による汚れの付着度合が高くなる。
【0020】
そこで、制御手段によって、前記比較判別手段による判別結果に基づいて移送手段(50)を制御し、前記低稼働グループから前記高稼働グループに向けて遊技球を移送する。すなわち、低稼働グループから高稼働グループへと、人の手垢やタバコ等による汚れが少ない遊技球を移送することになる。
【0021】
これにより、高稼働グループ内において、汚れた遊技球だけが長期間繰り返し使用されることはなく、該高稼働グループ内における遊技機(10)やその関連機器(例えば景品球計数機(7)や遊技球の循環経路等)にも汚れが移って蓄積されることはない。従って、遊技機(10)やその関連機器において、汚れの蓄積を原因とする球詰まりや故障を防止することができ、また、遊技機(10)や関連機器の清掃も軽減することができる。
【0022】
前記[2]に記載の遊技球移送制御装置(121)によれば、複数の遊技機島(1)は移送手段(50)を介して直列に接続されており、複数の遊技機島(1)を隣り合う同士でまとめてグループ分けする。これにより、遊技機島グループも直列に並ぶことになり、低稼働グループと高稼働グループとの相対的な位置関係も明確となる。
【0023】
そこで、遠近検出手段によって、低稼働グループに最も近い高稼働グループを検出してから、制御手段によって、前記遠近検出手段の検出結果に基づき移送手段(50)を制御して、低稼働グループから最も近い高稼働グループに遊技球を移送する。
【0024】
これにより、汚れが少ない遊技球を迅速に稼動率の高い遊技機島(1)に移送することが可能となり、遊技機(10)への遊技球の補給が間に合わないといったトラブルを回避することができる。なお、低稼働グループが高稼働グループに隣り合わない場合は、他の低稼働グループを介して高稼働グループに向けて遊技球を移送することになる。
【0025】
前記[3]に記載の遊技球移送制御装置(121)によれば、各遊技機島グループ内では、各遊技機島(1)が保有する遊技球数の差が減少するように移送手段(50)を制御して遊技球を移送する。これにより、各遊技機島グループ内における遊技機島(1)間での遊技球数の偏りを防止し、遊技機(10)への遊技球を効率良く補給することができる。
【0026】
前記[4]に記載の遊技球移送制御装置(121)によれば、高稼働グループ同士が隣り合う場合に、該高稼働グループ同士の境界に位置する各遊技機島(1)が保有する遊技球数の差が減少するように、前記移送手段(50)を制御して遊技球を移送する。よって、これらの高稼働グループ間における遊技球数の偏りも防止することができ、よりいっそう遊技機(10)への遊技球の補給効率を高めることができる。
【0027】
前記[5]に記載の遊技球移送制御装置(121)によれば、低稼働グループ同士が隣り合う場合には、先ず低稼働グループがそれぞれ高稼働グループにも隣り合う場合、該低稼働グループ同士の境界に位置する各遊技機島(1)間での遊技球の移送を停止する。
【0028】
このように、汚れの少ない遊技球を保有している低稼働グループ間では、敢えて互いに遊技球を移送し合う必要はなく、それぞれが隣り合う高稼働グループに向けてのみ遊技球を移送すれば良い。これにより、遊技球の移送効率が高められて、高稼働グループ内の遊技機(10)等に円滑に遊技球を補給することが可能となる。
【0029】
一方、隣り合う低稼働グループの一方のみが高稼働グループにも隣り合う場合、該低稼働グループ同士の境界に位置する各遊技機島(1)間では、前記高稼働グループに向う方向にのみ前記移送手段(50)を制御して遊技球を移送する。これにより、高稼働グループに隣り合わない低稼働グループからも、隣り合う低稼働グループを通じて高稼働グループまで遊技球を移送することが可能となる。
【0030】
一般的に高稼働グループでは、遊技機(10)による賞球の払い出しによって遊技機島(1)内の遊技球数が少ない可能性が高いので、より多くの低稼働グループから遊技球を移送させることによって、高稼働グループ内の遊技機(10)等に円滑に遊技球を補給することが可能となる。
【0031】
前記[6]に記載の遊技球移送制御装置(121)によれば、遊技機(10)から払い出されて遊技者が獲得した遊技球を、低稼働グループの景品球計数機(7)へ誘導することができる。ここで誘導するための手段としては、具体的には例えば、前記[8]に記載の開閉手段や、前記[9]に記載の表示手段(8)等が考えられる。
【0032】
このような誘導によって、低稼働グループにおける遊技球不足を未然に防止することができるだけでなく、稼動率の低い遊技機島(1)内での循環作用によって遊技球の研磨が繰り返して行われることになり、汚れのない遊技球を再度、高稼働グループに移送することができる。
【0033】
前記[7]に記載の遊技球移送制御装置(121)によれば、遊技機島グループ間で遊技球を相互に移送可能な移送手段(50)を備えていなくても、遊技機(10)から払い出されて遊技者が獲得した人の手垢やタバコ等により汚れている遊技球を、低稼働グループにある景品球計数機(7)へ誘導することができる。
【0034】
前記[8]に記載の遊技球移送制御装置(121)によれば、景品球計数機(7)には、遊技球を受け入れる投入口を開閉する開閉手段が設けられており、制御手段は、低稼働グループにある景品球計数機(7)の開閉手段を開く一方、高稼働グループにある景品球計数機(7)の開閉手段を閉じることにより遊技者を誘導する。これにより、遊技者が獲得した遊技球は、低稼働グループに確実に受け入れられて、高稼働グループに受け入れられることを防止することができる。
【0035】
前記[9]に記載の遊技球移送制御装置(121)によれば、景品球計数機(7)には、遊技球を受け入れる旨を表示する表示手段(8)が設けられており、制御手段は、前記低稼働グループにある景品球計数機(7)の表示手段(8)に遊技球を受け入れる旨を表示する一方、前記高稼働グループにある景品球計数機(7)の表示手段(8)に遊技球を受け入れない旨を表示することにより遊技者を誘導する。これにより、遊技者にとって分かりやすく、遊技者が獲得した遊技球を容易に低稼働グループに導くことが可能となる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る遊技球移送制御装置によれば、遊技機島グループ全体の平均入球数より入球数が低い遊技機島グループと高い遊技機島グループとを判別し、前者の低稼働グループ内の汚れの少ない遊技球を後者の高稼働グループに移送することにより、高稼働グループ内における遊技機やその関連機器での汚れの蓄積を原因とする球詰まりや故障を防止することができ、保守点検や清掃作業を軽減することができる。
【0037】
また、各遊技機島グループにある景品球計数機のうち前記低稼働グループに属するものに遊技者を誘導する制御を行うことにより、低稼働グループの遊技機島内での循環作用によって遊技球の研磨が繰り返して行われることになり、汚れのない遊技球を再度、高稼働グループに移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係る遊技球移送制御装置が制御対象にする遊技機島の内部構造を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る遊技球移送制御装置が制御対象にする遊技機島の設置状態を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る遊技球移送制御装置を含む管理システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る遊技球移送制御装置が制御対象にする複数の遊技機島が移送路で一列に接続された状態と、これに対する球移送処理の一例を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る遊技球移送制御装置が制御対象にする複数の遊技機島が移送路で一列に接続された状態と、これに対する球移送処理の一例を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る遊技球移送制御装置が制御対象にする複数の遊技機島が移送路で一列に接続された状態と、これに対する球移送処理の一例を模式的に示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る遊技球移送制御装置が実行する球移送処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る遊技球移送制御装置が実行する遊技機島グループの平均入球数の算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る遊技球移送制御装置が実行する遊技機島グループ間の球移送処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態に係る遊技球移送制御装置が実行する景品球計数機に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】別の実施の形態に係る遊技球移送制御装置が制御対象にする複数の遊技機島グループを模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面に基づき、本発明を代表する各種実施の形態を説明する。
本実施の形態に係る遊技球移送制御装置121は、複数の遊技機10を備えた遊技機島1の相互間における遊技球の移送を制御する装置である。以下、遊技機10が遊技球としてパチンコ球を用いるパチンコ機である場合を例に説明する。
【0040】
先ず、遊技機島1の概要から説明する。図1に示すように、遊技機島1は、遊技ホールのフロア上に立設する支持枠2をフレームとして、この支持枠2内に複数の遊技機10を並設して成り、各遊技機10で使用する遊技球を、遊技機島1の内部で循環させつつ研磨して繰り返し使用するように構成されている。このような遊技機島1は、遊技ホールに複数設置されている。
【0041】
遊技機10は、遊技球としてパチンコ球を遊技盤面上に打ち出して遊技を行うパチンコ機であり、遊技機10に片側には、遊技球を貸し出すための台間球貸機11が並設されている。また、遊技機10の下方には、遊技機10で使用された後に排出された遊技球を一旦受け入れる入球受皿12と、この入球受皿12内の遊技球を計数する入球計数機13が配設されている。
【0042】
入球計数機13の構成は、一般的であるので詳細な説明は省略するが、遊技球を案内する複数の案内路や、各案内路を通過する遊技球を計数するセンサ等から成る。この入球計数機13は、遊技機10毎に設けられており、各遊技機10から排出された遊技球を、遊技機島1毎に取り込まれた入球として計数する。なお、入球とは遊技者が遊技機10内に打ち出して遊技に用いた遊技球を意味する。
【0043】
遊技機島1の下部には、各入球計数機13により計数された遊技球を受け入れて貯留する複数の下部貯留タンク20が配設されている。また、遊技機島1の中央には、下部貯留タンク20から供給された遊技球を揚送しつつ研磨するための揚送研磨装置30が配設されている。揚送研磨装置30の構成も一般的であるので詳細な説明は省略するが、この揚送研磨装置30による研磨作用によって、遊技球に付着した人の手垢やタバコ等による汚れが取り除かれる。
【0044】
また、遊技機島1の上部には、前記揚送研磨装置30によって揚送された遊技球を貯留するための上部貯留タンク40が配設されている。この上部貯留タンク40内の遊技球は、補給樋41を流下して各遊技機10の上方に送られ、補給樋41の途中にある球整列樋42と補給装置43を介して各遊技機10に再度供給されるようになっている。
【0045】
補給装置43は、各遊技機10毎に対応して設けられており、球整列樋42に対して連通接続されている。補給装置43は、球整列樋42を通って落下してきた遊技球を計数しつつ遊技機10内部に供給するものである。なお、補給樋41から溢れ出た遊技球は、前記下部貯留タンク20まで落下して貯留され、上部貯留タンク40の貯留量が少なくなったときに、前記揚送研磨装置30が作動して遊技機島1内で遊技球が循環するように制御される。
【0046】
この他、遊技機島1には、背中合せの2列に並設された遊技機10の背面間に、前記台間球貸機11に取り込まれた紙幣を島端まで搬送する紙幣搬送装置3と、同じく前記台間球貸機11に取り込まれた硬貨を島端まで搬送する硬貨搬送装置4とが、それぞれ遊技機島1の長手方向に延びるように配設されている。そして、遊技機島1の一端(図1で左端)には、紙幣搬送装置3や硬貨搬送装置4によって搬送された紙幣や硬貨を分別して収納する紙幣金庫5や硬貨金庫6が設置されている。
【0047】
さらに、遊技機島1の他端(図1で右端)には、遊技者が獲得した遊技球を計数しながら回収する景品球計数機7が設置されている。ただし、景品球計数機7は、遊技ホールにある全ての遊技機島1に設置されるわけではなく、一部の遊技機島1にだけ設置される。本実施の形態では、後述するが全ての遊技機島1のうち2つに1つの割合で景品球計数機7が設置されている。
【0048】
景品球計数機7は、図示省略したが遊技球を受け入れる投入口を開閉する開閉手段としてシャッターを備えており、このシャッターが開いているときに、遊技者は遊技により獲得した景品球を計数することができる。また、景品球計数機7の上部には、景品球の計数結果や各種情報を表示する他、遊技球の受け入れに関する情報を表示する表示手段である表示部8が設けられている。なお、景品球計数機7に投入された遊技球は、この景品球計数機7に最も近い下部貯留タンク20に導入される。
【0049】
以上のような遊技機島1は、前述したように遊技ホールに複数設置されているが、各遊技機島1はグループ分けされ、各遊技機島グループには、前記景品球計数機7を備えた遊技機島1が含まれている。本実施の形態では、図2に示すように、遊技機島1は全部で8つあり、これらの遊技機島1は隣り合う2つずつが同じ遊技機島グループに区分けされ、全部で4つの遊技機島グループに分類されている。各遊技機島グループは、景品球計数機7を備えない遊技機島1と備えた遊技機島1との2つの遊技機島1から構成されている。
【0050】
各遊技機島1は、それぞれ移送手段を介して直列に接続されており、各遊技機島グループも直列に並ぶことになる。ここで移送手段は、各遊技機島1内の遊技球を他の遊技機島1に対して相互に移送可能な移送路50から成る。詳しく言えば移送路50は、隣り合う遊技機島1の上部貯留タンク40同士の間で往路と復路が一対となり掛け渡されている。ここで往路は、移送先である他の遊技機島1に向って下り傾斜し遊技球を供給するものであり、復路は、移送元である他の遊技機島1から自島に向って下り傾斜し遊技球を導入するものである。
【0051】
上部貯留タンク40に接続された各移送路50の下流端には、開閉可能なシャッター51が設けられている。このシャッター51が開いたときに、隣の遊技機島1の上部貯留タンク40内の遊技球が移送路50の傾斜にしたがい流下してきて、自島の上部貯留タンク40内に導入される。従って、シャッター51の開閉を制御することにより、各遊技機島1間、ひいては各遊技機島グループ間における遊技球の移送を、任意に制御することができるようになっている。
【0052】
なお、各遊技機島1内には、それぞれ遊技球の貯留量を検出するために、前記下部貯留タンク20や前記上部貯留タンク40に遊技球の貯留量を検知するセンサが設けられている。また、揚送研磨装置30、入球計数機13、補給装置43、それにシャッター51等には、それぞれの作動状態や異常発生を検知するための各種センサが設けられている。これらのセンサは、図示省略したが何れも次述する島内監視装置100に信号線を介して接続される。
【0053】
本発明の根幹を成す遊技球移送制御装置121は、各遊技機島グループの相互間における遊技球の移送を制御するものである。図3は、遊技球移送制御装置121を含む遊技ホールの管理システムを示している。本管理システムは、各遊技機島1毎に設置された島内監視装置100と、これら各島内監視装置100がホール情報ネットワーク110を介して接続された遊技設備管理装置120とから構成されている。なお、遊技設備管理装置120は、通常は遊技ホール内における管理室等に設置される。
【0054】
島内監視装置100は、種々のデータ処理を行うCPUや主メモリーであるROM、およびRAMの他、入出力回路、通信回路等を主要部とする回路で構成された中継装置である。島内監視装置100には、遊技機島1内における遊技機10の関連機器、すなわち、台間球貸機11、景品球計数機7、サブコントローラ101、揚送研磨装置30、紙幣搬送装置3、硬貨搬送装置4等が接続されている。また、サブコントローラ101の配下には、各遊技機10毎にある入球計数機13と、各移送路50にあるシャッター51の駆動部が接続されている。
【0055】
島内監視装置100は、遊技機島1内の遊技機10とその関連機器が出力する各種データを収集して、遊技設備管理装置120へ送出する機能を備えている。例えば、各遊技機10毎にある入球計数機13の計数結果である入球数データ、遊技機10が賞球として払い出した遊技球の計数結果である出球数データ、景品球計数機7に投入された遊技球の計数結果である景品球数データ、台間球貸機11が貸し出した遊技球の計数結果である貸球数データ、下部貯留タンク20や上部貯留タンク40に設けられたセンサから出力された遊技球の貯留量を示す貯留量データ等を収集する。
【0056】
また、島内監視装置100は、次述する遊技設備管理装置120から送られてきた各種指令を中継して該当する関連機器に出力し、これらの関連機器の動作を制御する機能も備えている。例えば、遊技設備管理装置120からの指令に基づいて移送路50のシャッター51を開閉制御することにより、遊技機島1ないし遊技機島グループの相互間における遊技球の任意の移送を行うことができる。
【0057】
遊技設備管理装置120は、前記各島内監視装置100を通じて遊技機10やその関連機器の動作や信号の送受信を統括的に監視、制御するものであり、本発明の根幹である遊技球移送制御装置121としての機能を果している。遊技設備管理装置120も、前記島内監視装置100と同様にCPUやROM、RAMの他、入出力回路、通信回路等を主要部とする回路で構成されたコンピューターである。
【0058】
遊技球移送制御装置121が実現する機能としては、前記移送路50による遊技球の移送を制御する制御手段の他、算出手段と、比較判別手段、遠近検出手段とがプログラムされている。ここで算出手段は、前記入球計数機13の計数結果を集計して、各遊技機島1毎にそれぞれ属する遊技機10の入球数を合算した遊技機島グループ毎の「入球数」を算出すると共に、この遊技機島グループ毎の入球数の平均値である遊技機島グループ全体の「平均入球数」を算出する機能である。
【0059】
比較判別手段は、遊技機島グループ毎の入球数を前記平均入球数と比較して、該平均入球数より入球数が低い遊技機島グループと高い遊技機島グループとに判別する機能である。ここで、平均入球数より入球数が低い遊技機島グループは、該グループ内における遊技機の稼働率が全般的に低く、高い遊技機島グループは、該グループ内における遊技機の稼働率が全般的に高いと言える。
【0060】
比較判別手段は、遊技ホールの営業開始後しばらくしてから所定時間(例えば1時間)単位で、前述した比較判別を実行し、前記低い遊技機島グループを「低稼働グループ」と認識し、前記高い遊技機島グループを「高稼働グループ」と認識して区別する。ここで、低稼働グループの遊技機島1内の遊技球は、揚送研磨装置30の稼働に伴う研磨作用によって比較的綺麗であるが、高稼働グループの遊技機島1内の遊技球は、個々の遊技機10の稼働率が高い分だけ遊技球の利用頻度が多く、人の手垢やタバコ等による汚れの付着度合が高い傾向がある。
【0061】
遠近検出手段は、前記比較判別手段の判別結果に基づき、低稼働グループに最も近い高稼働グループを検出する機能である。次述する制御手段によって、低稼働グループから高稼働グループに遊技球を移送する場合には、低稼働グループが複数ある場合には、それぞれ最も近い高稼働グループに向けて遊技球が移送されるように設定されている。なお、制御手段による具体的な移送制御について詳しくは後述する。
【0062】
さらに、前記制御手段は、移送路50による遊技球の移送の具体的な制御として、前記比較判別手段の判別結果に基づき、移送路50のシャッター51の開閉制御を行うことにより、低稼働グループから高稼働グループに遊技球を移送するように設定されている。また、制御手段は、各遊技機島グループ内では各遊技機島1が保有する遊技球数の差が減少するように、移送路50のシャッター51の開閉制御を行って遊技球を移送する。
【0063】
以下に、本実施の形態の作用について説明する。
先ず、遊技機島1内における遊技球の流れの概要を説明する。図1において、遊技者は遊技を開始するに際し、台間球貸機11から所定数の遊技球を貸球として受け取る。遊技機10では、遊技者の操作により遊技盤面上に遊技球が打ち出され、各種入賞口に入賞すると、予め決められた数量の遊技球が賞球として払い出される。このような遊技過程において、遊技球は人の手垢やタバコ等により汚れることになる。
【0064】
遊技機10内に打ち込まれた遊技球は、そのまま遊技機島1内に排出されるが、入球受皿12に一旦受け入れた後、入球計数機13によって計数されてから下部貯留タンク20内に回収される。入球計数機13の計数結果は、島内監視装置100に出力され、さらに遊技設備管理装置120へ送出される。また、下部貯留タンク20内に貯留された遊技球は、揚送研磨装置30の作動によって研磨されつつ揚送され、遊技機島1の上部にある上部貯留タンク40内に導入される。上部貯留タンク40内の遊技球は、補給樋41を流下して各遊技機10の上方に送られ、球整列樋42と補給装置43を介して各遊技機10に再度供給される。
【0065】
図4〜図6に示すように、遊技機島1は遊技ホールに複数設置されており、各遊技機島1は移送路50を介して直列に接続されている。各遊技機島1は、隣り合う2つずつが同じ遊技機島グループに属するように区分けされ、本実施の形態では全部で4つのA〜Dグループに分類されている。このように、遊技機島1ないし遊技機島グループが直列に並ぶことにより、遊技球移送制御装置121によって識別される低稼働グループと高稼働グループとの相対的な位置関係を明確に定義付けすることができる。
【0066】
図4は、高稼働グループと低稼働グループとが交互に隣り合う状況を示し、図5は、高稼働グループと低稼働グループとが隣り合い、さらに低稼働グループ同士が隣り合う状況を示している。図6は、高稼働グループと低稼働グループとが隣り合うものと隣り合わないものとが混在している状況を示している。なお、図4〜図6において、各移送路50を模式化した矢印は、それぞれのシャッター51が「開放」された状態で遊技球の移送方向を示し、矢印でないものは、シャッター51が「閉鎖」された状態で遊技球の移送がないことを示している。
【0067】
次に、図7〜図10のフローチャートに沿って、前記遊技球移送制御装置121による遊技球の移送処理の詳細を説明する。図7は、球移送処理の全体の流れを示している。遊技球移送制御装置121は、最初に遊技機島グループ全体の平均入球数を算出する(ステップS100)。この算出結果に基づいて、図4〜図6に示したような遊技機島グループ間における遊技球の移送処理を実行する(ステップS200)。さらに、遊技球移送制御装置121は、遊技機島1にある景品球計数機7を制御することにより、遊技機島グループ間における遊技球の配分を制御する(ステップS300)。以下、各処理について順に説明する。
【0068】
図8は、前記遊技球移送制御装置121の算出手段が実行する遊技機島グループ全体における平均入球数の算出処理の流れを示している。この処理は、遊技ホールの営業開始後しばらくしてから所定時間(例えば1時間)単位で実行される。先ず遊技球移送制御装置121は、各遊技機10毎にある入球計数機13の計数結果である入球数データを島内監視装置100から収集する(ステップS101)。
【0069】
遊技球移送制御装置121の算出手段は、前記入球数データを集計して、各遊技機島1毎にそれぞれに属する遊技機10の入球数を合算した遊技機島グループ毎の「入球数」を算出する(ステップS102)。この遊技機島グループ毎の入球数をさらに合算した全遊技機島グループにおける総入球数を求め、総入球数をグループ数で除算して「平均入球数」を算出する(ステップS103)。
【0070】
すなわち、「平均入球数」は、遊技機島グループ毎の入球数の平均値である。なお、最初に入球計数機13の計数結果を、遊技機島グループ毎に区別することなく遊技機島グループ全体の総入球数として算出してから、この総入球数をグループ数で除算して平均入球数を求めた後で、遊技機島グループ全体の総入球数から各遊技機島グループ毎の入球数に区分するように算出してもかまわない。
【0071】
図9は、前記遊技球移送制御装置121の比較判別手段が実行する比較判別の判別結果に基づいて、同じく遊技球移送制御装置121の制御手段が実行する遊技機島グループ間の球移送処理の流れを示している。この処理は、前記算出手段によって所定時間毎に平均入球数が算出される度に実行される。先ず比較判別手段は、遊技機島グループ毎の入球数を前記平均入球数と比較する(ステップS201)。この比較の結果、入球数が平均入球数より低い遊技機島グループである低稼働グループがなければ(ステップS202;N)、そのまま処理を終了し、低稼働グループがあれば(ステップS202;Y)、続いて所定条件が成立したか否かを判断する(ステップS203)。
【0072】
ここで所定条件とは、例えば、所定時間が経過したことや、前記入球数が平均入球数より低い判定が所定回数だけ繰り返されたこと等が該当する。このように、平均入球数より高いか低いかの判別結果だけに基づいて次の処理(ステップS204〜)に進まない理由は、その後直ぐに遊技機島1での大当たり発生等により入球数が大きく変化する場合があることを考慮するためである。所定条件が成立しなければ(ステップS203;N)、そのまま処理を終了し、成立すれば(ステップS203;Y)、今度は前記低稼働グループに隣接する遊技機島グループの入球数が前記平均入球数より高い高稼働グループであるか否か判別する。
【0073】
前記判別結果により、低稼働グループに隣接する遊技機島グループが高稼働グループである場合は(ステップS204;Y)、制御手段によって、各グループ同士の境界に位置する遊技機島1間を結ぶ移送路50のうち、低稼働グループ側の遊技機島1に位置する移送路50のシャッター51を閉鎖し(ステップS205)、高稼働グループ側の遊技機島1に位置する移送路50のシャッター51を開放する(ステップS206)。これにより、低稼働グループから高稼働グループに遊技球が移送されることになる。
【0074】
具体的には図4において、Bグループ(低稼働グループ)の遊技球は、その左右に隣り合うAグループ(高稼働グループ)とCグループ(高稼働グループ)にそれぞれ移送される。また、Dグループ(低稼働グループ)の遊技球は、その隣のCグループ(高稼働グループ)に移送される。また、図5においては、Bグループ(低稼働グループ)の遊技球は、その隣のAグループ(高稼働グループ)に移送され、Cグループ(低稼働グループ)の遊技球は、その隣のDグループ(高稼働グループ)に移送される。このような遊技球の移送は、前述した各遊技機島1間を結ぶ移送路50のシャッター51の開閉制御によって実現される。
【0075】
また、低稼働グループに隣接する遊技機島グループが高稼働グループでない場合は(ステップS204;N)、前記遊技球移送制御装置121の遠近検出手段によって、当該低稼働グループに最も近い高稼働グループを検出する(ステップS207)。この遠近検出手段の検出結果に基づき制御手段によって、低稼働グループ同士の境界に位置する遊技機島1間においては、最も近い高稼働グループのある方向に遊技球を移送する移送路50のシャッター51が開放され(ステップS208)、この逆方向に遊技球を移送する移送路50のシャッター51は閉鎖される(ステップS209)。これにより、低稼働グループから最も近い高稼働グループに向けて遊技球が移送されることになる。
【0076】
具体的には図6において、Dグループ(低稼働グループ)に隣接するCグループ(低稼働グループ)は、高稼働グループではない。この場合はC,Dグループ同士の境界に位置する遊技機島1間を結ぶ移送路50のうち、最も近い高稼働グループであるBグループのある方向に遊技球を移送するように、DグループからCグループに向う移送路50のシャッター51だけが開放され、逆方向に向う移送路50のシャッター51は閉鎖される。
【0077】
以上のようなステップS204〜S209の処理により、低稼働グループにおいて汚れが少なかった遊技球が、汚れ度合の高い遊技球を多く保有している高稼働グループに移送される。これにより、高稼働グループ内において、汚れた遊技球だけが長期間繰り返し使用されることはなく、該高稼働グループ内における遊技機10やその関連機器に汚れが移って蓄積されることはない。従って、汚れの蓄積を原因とする遊技機10や関連機器での球詰まりを防止することができ、遊技機10や関連機器の清掃も軽減することができる。
【0078】
また、低稼働グループが高稼働グループに隣り合わない場合には、他の低稼働グループを介して最も近い高稼働グループに向けて遊技球が移送されることになる。従って、汚れが少ない遊技球を、迅速に稼動率の高い遊技機島1まで移送することが可能となり、遊技機10への遊技球の補給が間に合わないといったトラブルを回避することができる。なお、前述したステップS204;Yにおいて、低稼働グループと高稼働グループが隣り合う場合も、前記遠近検出手段によって、低稼働グループに最も近い高稼働グループが隣り合うものであると判断されることになる。
【0079】
また、各遊技機島グループのうち高稼働グループ同士が隣り合う場合には、前記制御手段によって、高稼働グループ同士の境界に位置する遊技機島1を結ぶ移送路50は、往復双方向ともにシャッター51が開放される(ステップS210)。すなわち、高稼働グループ同士の境界に位置する各遊技機島1が保有する遊技球数の差が減少するように遊技球の移送が制御される。これにより、高稼働グループ間における遊技球数の偏りを防止することができ、これらのグループ内における遊技機島1に属する遊技機10への遊技球の補給効率を高めることができる。
【0080】
具体的には図6において、AグループとBグループは共に高稼働グループ同士で隣り合っており、これらの境界に位置する遊技機島1を結ぶ移送路50は、往復双方向ともにシャッター51が開放されている。これにより、各遊技機島1において何れかの上部貯留タンク40が遊技球で充満して貯留量が過剰な場合に、この過剰分の遊技球が移送路50を流下して他方の遊技機島1の上部貯留タンク40に自然に流れ込むので、結果として各遊技機島1が保有する遊技球数の差が減少することになる。
【0081】
さらに、高稼働グループであるか低稼働グループであるかを問わず各遊技機島グループ内では、前記制御手段によって、景品球計数機7を備える遊技機島1と備えない遊技機島1とを結ぶ移送路50は、往復双方向ともにシャッター51が開放される(ステップS211)。すなわち、全ての遊技機島グループ内において、それぞれに属する各遊技機島1が保有する遊技球数の差が減少するように遊技球の移送が制御されることになる。
【0082】
具体的には図4〜図6において、A〜Dグループの全ての遊技機島グループ内において、各グループに属する2つの遊技機島1を結ぶ移送路50は、往復双方向ともにシャッター51が開放されている。これにより、各遊技機島グループ内における遊技機島1間での遊技球数の偏りが防止され、遊技機10への遊技球を効率良く補給することができる。
【0083】
また、各遊技機島グループのうち低稼働グループ同士が隣り合う場合において、該低稼働グループがそれぞれ高稼働グループにも隣り合う場合には、該低稼働グループ同士の境界に位置する各遊技機島1間での遊技球の移送は停止される。具体的には図5において、BグループとCグループは共に低稼働グループ同士で隣り合い、それぞれ高稼働グループであるAグループまたはDグループにも隣り合っており、BグループとCグループの境界に位置する遊技機島1を結ぶ移送路50は、往復双方向ともにシャッター51が閉鎖されている。
【0084】
このように、低稼働グループ間では、互いに汚れの少ない遊技球を保有しているため、敢えて互いに移送し合う必要はなく、それぞれが隣り合う高稼働グループに向けてのみ遊技球を移送することにより、遊技球の移送効率を高めることによって、高稼働グループ内の遊技機10等に対して円滑に遊技球を補給することが可能となる。
【0085】
一方、各遊技機島グループのうち低稼働グループ同士が隣り合う場合において、低稼働グループの一方のみが高稼働グループに隣り合う場合には、前述したステップS204〜S209の処理で説明したように、低稼働グループ同士の境界に位置する各遊技機島1間で高稼働グループに向う方向にのみ遊技球が移送されるように制御される。これにより、高稼働グループに隣り合わない低稼働グループからも、隣り合う低稼働グループを通じて高稼働グループまで遊技球を移送することが可能となる。
【0086】
一般的に高稼働グループでは、遊技機10による賞球の払い出しによって遊技機島1内の遊技球数が少ない可能性が高いので、より多くの低稼働グループから遊技球を移送させることによって、高稼働グループ内の遊技機10等に円滑に遊技球を補給することが可能となる。
【0087】
図10は、前記遊技球移送制御装置121の制御手段が実行する景品球計数機7に関する処理の流れを示している。この処理は、前述した遊技機島グループ間の球移送処理の後に続けて実行されるものである。先ず制御手段は、高稼働グループにおける遊技機島1内にある景品球計数機7のシャッターを閉鎖して投入口より遊技者が景品球を入れられないようにしたり、あるいは表示部8に「使用中止」の旨の表示を行う(ステップS301)。
【0088】
次に制御手段は、低稼働グループにおける遊技機島1内にある景品球計数機7のシャッターを開放して投入口より遊技者が景品球の投入ができるようにしたり、あるいは表示部8に「使用可能」の旨の表示を行い、遊技者に景品球の投入を促す(ステップS302)。このように制御手段は、各遊技機島グループにある景品球計数機7のうち低稼働グループに属するものに遊技者を誘導する制御を行う。これにより、低稼働グループにおける遊技球不足を未然に防止することができるだけでなく、稼動率の低い遊技機島1内での循環作用によって遊技球の研磨が繰り返して行われることになり、汚れのない遊技球を再度、高稼働グループに移送することができる。
【0089】
また、景品球計数機7に関する制御は、投入口を開閉するシャッターのみを制御しても良い。すなわち、低稼働グループにある景品球計数機7のシャッターを開く一方、高稼働グループにある景品球計数機7のシャッターを閉じる。これにより、遊技者が獲得した遊技球は、低稼働グループに確実に受け入れられて、高稼働グループに受け入れられることを防止することができる。なお、低稼働グループにある景品球計数機7のシャッターを開くか、高稼働グループにある景品球計数機7のシャッターを閉じるか、どちらか一方のみを実行するようにしても、遊技者を誘導することは可能である。
【0090】
さらに、景品球計数機7の表示部8のみを制御しても良い。すなわち、低稼働グループにある景品球計数機7の表示部8に遊技球を受け入れる旨を表示する一方、高稼働グループにある景品球計数機7の表示部8には遊技球を受け入れない旨を表示する。これにより、遊技者にとって分かりやすく、遊技者が獲得した遊技球を容易に低稼働グループに導くことが可能となる。なお、低稼働グループにある景品球計数機7の表示部8による表示か、高稼働グループにある景品球計数機7の表示部8による表示かの、どちらか一方のみの表示を実行するようにしても、遊技者を誘導することは可能である。
【0091】
次に、別の実施の形態について説明する。遊技機10とその関連機器から成る遊技機島1の基本的な構成はほぼ共通するが、図11に示すように、各遊技機島1は、3つで1つの遊技機島グループを構成しており、各遊技機島グループ間を結ぶ移送路50は存在しない。すなわち、各遊技機島グループは、互いに遊技球の移送に関しては独立している。また、各遊技機島グループは、景品球計数機7を備えた遊技機島1に対して、その前後に景品球計数機7を備えない2つの遊技機島1を並行に配置して成る。ここで景品球計数機7を備えた遊技機島1は、備えない遊技機島1よりも大容量の下部貯留タンク20を有している。
【0092】
また、景品球計数機7を備えた遊技機島1は、備えない遊技機島1に対して移送手段である移送路52を介して接続されている。この移送路52は、前述したシャッター51のように往路と復路が一対のものではなく、景品球計数機7を備えた遊技機島1から備えない遊技機島1に対して一方的に遊技球を流下させるものである。すなわち、各遊技機島グループにおいては、景品球計数機7を備えた遊技機島1の上部貯留タンク40が遊技球で充満して貯留量が過剰な場合に、この過剰な遊技球が一方的に両側の遊技機島1に供給され、景品球計数機7より景品球が導入されることになる。
【0093】
また、移送路52の下流端にも前記シャッター51を設けることにより、このシャッター51の開閉制御によって、景品球計数機7を備えた遊技機島1の遊技球を、他の2つの遊技機島1の何れかに対して択一的に移送することができる。ただし、次述する遊技球移送制御装置121の制御において、移送路52やシャッター51は必須の構成ではなく、例えば、景品球計数機7を備えた遊技機島1だけから1つの遊技機島グループを構成するようにしても良い。
【0094】
本実施の形態における遊技球移送制御装置121は、各遊技機島グループ間における遊技球の移送を制御するものではなく、景品球計数機7の制御を通じて各遊技機島グループ間における遊技球の配分を制御する。この遊技球移送制御装置121を含む遊技ホールの管理システムは、図3に示したものと共通であるが、遊技球移送制御装置121が実現する機能として、前述した遠近検出手段はなく、算出手段と比較判別手段の他、各遊技機島グループ間における遊技球の配分を制御する制御手段を備えている。
【0095】
ここで制御手段は、前記比較判別手段の判別結果に基づき、各遊技機島グループにある景品球計数機7のうち低稼働グループに属するものに遊技者を誘導する制御を行うものである。かかる制御は、前述した図10に沿って説明した内容と同様のものである。すなわち、制御手段は、景品球計数機7の投入口のシャッターを開閉制御したり、景品球計数機7の表示部8を表示制御することにより、低稼働グループに属する景品球計数機7へ遊技者を誘導することになる。
【0096】
このような本実施の形態に係る遊技球移送制御装置121によれば、遊技機島グループ間で遊技球を相互に移送可能な移送路50を備えていなくても、遊技機10から払い出されて遊技者が獲得した人の手垢やタバコ等により汚れている遊技球を、低稼働グループにある景品球計数機7へ誘導することができる。そのため、稼動率の低い遊技機島1内での循環作用によって遊技球の研磨が繰り返して行われることになり、汚れの少ない遊技球を再度、稼動率の高稼働グループに移送することが可能となる。
【0097】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、遊技機島1を2つあるいは3つずつで1つの遊技機島グループを構成したが、4つ以上の遊技機島1により1つの遊技機島グループを構成してもよく、遊技機島グループ毎に遊技機島1の数が異なっていてもかまわない。
【0098】
また、各遊技機島グループにおける高稼働グループと低稼働グループとの区別は、遊技機島グループ全体の平均入球数に対する入球数の比較により二者択一で決定しているが、この平均入球数を基準とするラインに幅を持たせて、高稼働グループや低稼働グループに分類されないようなボーダーラインを設けることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、複数の遊技機島が設置された遊技ホールにおいて、遊技機島毎に研磨揚送装置が備えられており、また、一部の遊技機島にのみ景品球計数機が備えられているような場合に、特に適用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…遊技機島
2…支持枠
3…紙幣搬送装置
4…硬貨搬送装置
5…紙幣金庫
6…硬貨金庫
7…景品球計数機
8…表示部
10…遊技機
11…台間球貸機
12…入球受皿
13…入球計数機
20…下部貯留タンク
30…揚送研磨装置
40…上部貯留タンク
41…補給樋
42…球整列樋
43…補給装置
50…移送路
51…シャッター
52…移送路
100…島内監視装置
101…サブコントローラ
110…ホール情報ネットワーク
120…遊技設備管理装置
121…遊技球移送制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機を備えた遊技機島の相互間における遊技球の移送を制御する遊技球移送制御装置において、
複数の遊技機島をグループ分けし、該グループ分けした各遊技機島グループには、遊技者が獲得した遊技球を計数する景品球計数機を備えた遊技機島が含まれており、
前記遊技機島内の遊技球を他の遊技機島に対して相互に移送可能な移送手段と、
前記移送手段による遊技球の移送を制御する制御手段と、
前記遊技機から遊技機島内に排出された遊技球を、遊技機島毎に取り込まれた入球として計数する入球計数機と、
前記入球計数機の計数結果に基づき、遊技機島グループ毎の入球数と、その平均値である遊技機島グループ全体の平均入球数を算出する算出手段と、
前記遊技機島グループ毎の入球数を前記平均入球数と比較して、該平均入球数より入球数が低い遊技機島グループと高い遊技機島グループとに判別する比較判別手段と、備え、
前記制御手段は、前記比較判別手段の判別結果に基づき、前記移送手段を制御して、前記低い遊技機島グループから前記高い遊技機島グループに遊技球を移送することを特徴とする遊技球移送制御装置。
【請求項2】
前記複数の遊技機島は、前記移送手段を介して直列に接続されており、
前記複数の遊技機島を隣り合う同士でまとめてグループ分けし、
前記比較判別手段の判別結果に基づき、前記低い遊技機島グループに最も近い前記高い遊技機島グループを判定する遠近判定手段を備え、
前記制御手段は、前記遠近判定手段の判定結果に基づき、前記移送手段を制御して、前記低い遊技機島グループから最も近い前記高い遊技機島グループに遊技球を移送することを特徴とする請求項1に記載の遊技球移送制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記各遊技機島グループ内では各遊技機島が保有する遊技球数の差が減少するように、前記移送手段を制御して遊技球を移送することを特徴とする請求項2に記載の遊技球移送制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記各遊技機島グループのうち前記高い遊技機島グループ同士が隣り合う場合、該高い遊技機島グループ同士の境界に位置する各遊技機島が保有する遊技球数の差が減少するように、前記移送手段を制御して遊技球を移送することを特徴とする請求項3に記載の遊技球移送制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記各遊技機島グループのうち前記低い遊技機島グループ同士が隣り合う場合において、該低い遊技機島グループがそれぞれ前記高い遊技機島グループにも隣り合う場合、該低い遊技機島グループ同士の境界に位置する各遊技機島間での遊技球の移送を停止する一方、該低い遊技機島グループの一方のみが前記高い遊技機島グループに隣り合う場合、該低い遊技機島グループ同士の境界に位置する各遊技機島間で前記高い遊技機島グループに向う方向にのみ前記移送手段を制御して遊技球を移送することを特徴とする請求項3または4に記載の遊技球移送制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記各遊技機島グループにある前記景品球計数機のうち前記低い遊技機島グループに属するものに遊技者を誘導する制御を行うことを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載の遊技球移送制御装置。
【請求項7】
複数の遊技機を備えた遊技機島の相互間における遊技球の配分を制御する遊技球移送制御装置において、
複数の遊技機島をグループ分けし、該グループ分けした各遊技機島グループには、遊技者が獲得した遊技球を計数する景品球計数機を備えた遊技機島が含まれており、
前記各遊技機島グループ間における遊技球の配分を制御する制御手段と、
前記遊技機から遊技機島内に排出された遊技球を、遊技機島毎に取り込まれた入球として計数する入球計数機と、
前記入球計数機の計数結果に基づき、遊技機島グループ毎の入球数と、その平均値である遊技機島グループ全体の平均入球数を算出する算出手段と、
前記遊技機島グループ毎の入球数を前記平均入球数と比較して、該平均入球数より入球数が低い遊技機島グループと高い遊技機島グループとに判別する比較判別手段と、備え、
前記制御手段は、前記比較判別手段の判別結果に基づき、前記各遊技機島グループにある前記景品球計数機のうち前記低い遊技機島グループに属するものに遊技者を誘導する制御を行うことを特徴とする遊技球移送制御装置。
【請求項8】
前記景品球計数機に、遊技球を受け入れる投入口を開閉する開閉手段を設け、
前記制御手段は、前記低い遊技機島グループにある景品球計数機の開閉手段を開く一方、前記高い遊技機島グループにある景品球計数機の開閉手段を閉じることにより、遊技者を誘導することを特徴とする請求項6または7に記載の遊技球移送制御装置。
【請求項9】
前記景品球計数機に、遊技球の受け入れに関する表示を行う表示手段を設け、
前記制御手段は、前記低い遊技機島グループにある景品球計数機の表示手段に遊技球を受け入れる旨を表示する一方、前記高い遊技機島グループにある景品球計数機の表示手段に遊技球を受け入れない旨を表示することにより、遊技者を誘導することを特徴とする請求項6,7または8に記載の遊技球移送制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−95764(P2012−95764A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244688(P2010−244688)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000127628)株式会社エース電研 (339)
【Fターム(参考)】