遊技盤固定用のストッパ機構及びその組付け方法
【課題】ボールプランジャ機構を備えながらも、組付けが容易な遊技盤固定用のストッパ機構及びその組付け方法を提供する。
【解決手段】遊技盤10の端部と係合する回転ストッパ部材2を、支持軸3により遊技枠1に回転可能に取り付けた遊技盤固定用のストッパ機構の組付け方法である。まず、回転ストッパ部材2を支持軸3によって遊技枠1に回転可能に取り付けたうえ、この遊技枠1を下向きとして水平に設置する。次に回転ストッパ部材2の有底筒状部4を遊技枠1の後面に形成された挿入筒20と一致させて、有底筒状部4にスプリング6とボール5とを上方から挿入し、治具22によってボール5を押し込みながらボール5が遊技枠1の前面に接触する位置まで回転ストッパ部材2を回転させる。
【解決手段】遊技盤10の端部と係合する回転ストッパ部材2を、支持軸3により遊技枠1に回転可能に取り付けた遊技盤固定用のストッパ機構の組付け方法である。まず、回転ストッパ部材2を支持軸3によって遊技枠1に回転可能に取り付けたうえ、この遊技枠1を下向きとして水平に設置する。次に回転ストッパ部材2の有底筒状部4を遊技枠1の後面に形成された挿入筒20と一致させて、有底筒状部4にスプリング6とボール5とを上方から挿入し、治具22によってボール5を押し込みながらボール5が遊技枠1の前面に接触する位置まで回転ストッパ部材2を回転させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機の遊技盤を遊技枠に固定するための遊技盤固定用のストッパ機構及びその組付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機の遊技盤は容易に交換することができるように、遊技枠に対して着脱可能な構造が採用されている。その一例は特許文献1に示されるように、遊技枠の片側に遊技盤の一方の端部が挿入される保持部を形成するとともに、遊技枠の反対側に遊技盤の他方の端部を押えるストッパを配置した構造である。
【0003】
特許文献1のストッパは回転型であり、遊技盤を遊技枠内に挿入したうえで回転させることにより遊技盤の端部を押さえて遊技枠に固定する機能を有する。しかしこのように単に回転可能としたストッパは、振動その他の原因により回転して外れてしまい、遊技枠から遊技盤が浮き上がるトラブルを招く可能性があった。
【0004】
そこで本発明者等は、ストッパにボールプランジャ機能を持たせ、ストッパを所定位置に保持することができるようにしたストッパ機構を開発中である。その構造は図1、図2に示すように、遊技枠1に回転ストッパ部材2を支持軸3によって回転可能に取り付けたものである。回転ストッパ部材2は一方の端部に有底筒状部4を備え、その内部にボール5とスプリング6とからなるボールプランジャ機構が収納されている。遊技枠1の前面にはボール5が嵌合する凹部7が形成されており、回転ストッパ部材2を図1に示す固定位置に保持し、ストッパが不用意に外れることを防止することができる。この状態では、回転ストッパ部材2の他端の突部9が遊技盤10の表面を確実に押さえることとなる。
【0005】
ところがこの図2の構造のストッパ機構は、組付けに熟練を要する。すなわち、組付けに当たっては図3のように遊技枠1を水平に置き、先ず凹部7にボール5を載せ、回転ストッパ部材2の支持軸3を遊技枠1の孔8に浅く挿入する。この状態で回転ストッパ部材2の有底筒状部4内にスプリング6を挿入し、スプリング6がボール5の直上から外れないように注意しながら支持軸3を深く孔8内に押し下げ、最後にナット11を支持軸3の先端に螺合させるという手順を取る。
【0006】
しかし上記の作業中にボール5がスプリング6の下端から外れ易く、組付けに熟練を要するという問題があった。また図4に示すように、組付け後に遊技枠1に遊技盤10がない状態において誤って回転ストッパ部材2を回転させると、スプリング6とともにボール5が有底筒状部4から飛び出してしまい、ボールプランジャの機能が失われるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−327717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の主な目的は上記した従来の問題点を解決し、ボールプランジャ機構を備えながらも、組付けが容易な遊技盤固定用のストッパ機構及びその組付け方法を提供することである。また本発明の他の目的は、組付け後にボールプランジャの機能が失われるトラブルを防止することができ、更には回転ストッパ部材の回転操作を正しく行うことができる遊技盤固定用のストッパ機構及びその組付け方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するためになされた本発明の遊技盤固定用のストッパ機構は、遊技盤の端部と係合する回転ストッパ部材を、支持軸により遊技枠に回転可能に取り付けた遊技盤固定用のストッパ機構であって、回転ストッパ部材は一方の端部にボールとスプリングとが収納された有底筒状部を備え、遊技枠の前面にはこのボールを嵌合させて回転ストッパ部材を所定位置に保持する凹部を形成し、遊技枠の後面には前記有底筒状部にスプリングとボールとを挿入するための挿入筒を形成したことを特徴とするものである。
【0010】
なお請求項2のように、遊技枠の前面に、回転ストッパ部材の回転角度規制用のねじを設けた構造とすることが好ましい。
【0011】
更に請求項3のように、有底筒状部の底部表面に、回転ストッパ部材の回転方向を示す矢印図柄を形成するとともに、この回転ストッパ部材の取り付け面には、前記有底筒状部の回動軌跡を示す円弧図柄と、この円弧図柄の両端部に前記有底筒状部の底部形状よりも小さな矢印図柄を形成し、前記有底筒状部を円弧図柄のいずれか一方の端部に位置させた場合に、一方の矢印は有底筒状部の底部により隠蔽されて他方の矢印のみが表示されるようにすることが好ましい。
【0012】
また本発明の遊技盤固定用のストッパ機構の組付け方法は、回転ストッパ部材を支持軸によって遊技枠に回転可能に取り付けたうえ、この遊技枠を下向きとして水平に設置し、回転ストッパ部材の有底筒状部を遊技枠の後面に形成された挿入筒と一致させて、有底筒状部にスプリングとボールとを上方から挿入し、治具によってボールを押し込みながらボールが遊技枠の前面に接触する位置まで回転ストッパ部材を回転させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の遊技盤固定用のストッパ機構は、回転ストッパ部材を所定位置に保持するためのボールプランジャ機構を備えたものであるため、回転ストッパ部材が不用意に回転してしまうことを防止することができる。しかもスプリングとボールを遊技枠の後面に形成された挿入筒を通じて、回転ストッパ部材の有底筒状部に上方から挿入することができるので組付けが容易であり、熟練者でなくても組付け作業を行うことができる。
【0014】
また請求項2のように遊技枠の前面に、回転ストッパ部材の回転角度規制用のねじを設けた構造としておけば、回転ストッパ部材の有底筒状部が遊技枠から外れることがなく、組付け後にスプリングとボールが有底筒状部から飛び出して、ボールプランジャの機能が失われるトラブルを防止することができる。
【0015】
更に請求項3のように、有底筒状部の底部表面に、回転ストッパ部材の回転方向を示す矢印図柄を形成するとともに、この回転ストッパ部材の取り付け面には、前記有底筒状部の回動軌跡を示す円弧図柄と、この円弧図柄の両端部に前記有底筒状部の底部形状よりも小さな矢印図柄を形成し、前記有底筒状部を円弧図柄のいずれか一方の端部に位置させた場合に、一方の矢印は有底筒状部の底部により隠蔽されて他方の矢印のみが表示されるようにした場合は、常に回転ストッパ部材の次の回動方向が表示されるので、それを指標に操作すれば回転ストッパ部材を正しい方向に回転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ボールプランジャ機能を持たせたストッパ機構の正面図である。
【図2】図1の要部の断面斜視図である。
【図3】組付け途中の状態を説明する斜視図である。
【図4】ボールが脱落する状態を説明する斜視図である。
【図5】本発明のストッパ機構の正面図である。
【図6】本発明のストッパ機構の組み付け工程を示す断面斜視図である。
【図7】ボールを挿入する状態を示す断面斜視図である。
【図8】治具を示す断面斜視図である。
【図9】治具によりボールを押さえた状態を示す断面斜視図である。
【図10】回転ストッパ部材を回転させた状態を示す正面図である。
【図11】回転角度規制用のねじを取り付けた状態を示す正面図である。
【図12】回転角度規制状態を示す正面図である。
【図13】その他の実施態様を示す回転ストッパ部材の平面図である。
【図14】その他の実施態様を示す回転ストッパ部材の取り付け面の平面図である。
【図15】その他の実施態様を示すストッパ機構の正面図である。
【図16】図15の回転ストッパ部材の回動工程を示す正面図である。
【図17】図15の回転ストッパ部材の回動工程を示す正面図である。
【図18】図15の回転ストッパ部材の回動工程を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図5以下の図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図5は本発明のストッパ機構の正面図、図6はその要部の断面斜視図である。これらの図において、1はパチンコ機の遊技枠、12はこの遊技枠1に取り付けられる遊技盤10の裏面を支持する支持部であり、遊技枠1の端部付近に回転ストッパ部材2が支持軸3によって回転可能に取り付けられている。この回転ストッパ部材2は一方の端部に有底筒状部4を備え、他方の端部に遊技盤10を押えるための突起9を備えている。また有底筒状部4の内部に、ボール5とスプリング6とからなるボールプランジャ機構が収納されていることも、前述の図1、図2の構造と同様である。しかし組付けを容易にするため、本発明では遊技枠1の後面に、有底筒状部4にスプリング6とボール5とを挿入するための挿入筒20を形成してある。
【0018】
この挿入筒20は、図6に示すように有底筒状部4と内径が同一であり、かつ支持軸3を中心として回転ストッパ部材2を回転させたときに、有底筒状部4と一致する位置に形成されている。また図6に示されるように、挿入筒20の近傍にはねじ孔21が形成されている。
【0019】
次に本発明の遊技盤固定用のストッパ機構の組付け方法を説明する。
先ず遊技枠1の孔8に支持軸3を挿入してその先端にナット11を螺合させ、遊技枠1の表面側に回転ストッパ部材2のみを回転自在に取付ける。その後、図6のように遊技枠1を表裏反転させて下向きとし、水平に設置する。さらに回転ストッパ部材2を回転させ、その有底筒状部4を挿入筒20と一致させた状態として、図6のように挿入筒20からスプリング6を有底筒状部4の内部に挿入する。
【0020】
次に図7のように挿入筒20から有底筒状部4内にボール5を挿入する。この状態ではスプリング6は有底筒状部4から挿入筒20の内部にまで伸びているが、挿入筒20の長さを適切に設定することにより、ボール5も挿入筒20内に保持されるようにしておくことが好ましい。
【0021】
次に図8のように、挿入筒20の内径よりも小さい外径の先端部23を持つ治具22により、ボール5を有底筒状部4内に押し込む。先端部23の長さを挿入筒20の長さと一致させておけば、図9のようにボール5の上面が遊技枠1の表面と一致する位置までボール5を押し込むことができる。この状態で回転ストッパ部材2を回転させれば、ボール5を遊技枠1の表面に乗移らせることができる。
【0022】
この状態から更に図10のように回転ストッパ部材2を回転させると、ねじ孔21が現れてくる。そこで図11のようにこのねじ孔21にねじ24をねじ込むと、回転ストッパ部材2の回転可能角度を、遊技盤10のストッパとして機能させるに必要かつ十分な角度、例えば90°に制限することができる。このため、ボール5及びスプリング6が収納された有底筒状部4が遊技枠1の表面を超えて外側に移動することがなくなり、人為的なエラーによって有底筒状部4からボール5及びスプリング6が飛出し、ボールプランジャ機能が損なわれることがない。なお、遊技盤10の取り付け後はボール5を凹部7に嵌合させて回転ストッパ部材2を固定位置に保持し、ストッパが不用意に外れることを防止することができる。
【0023】
なお、回転ストッパ部材2は支持軸3を中心に時計回り方向・反時計回り方向のいずれにも回転できるため、どちらの方向に回動するか瞬時には判断しにくいという問題があった。
そこで、図13に示すように、有底筒状部4の底部表面に、回転ストッパ部材2の回転方向を示す矢印図柄25を形成し、一方、図14に示すように、この回転ストッパ部材2の取り付け面には、前記有底筒状部4の回動軌跡を示す円弧図柄26と、この円弧図柄の両端部に矢印図柄27a、27bを形成して、操作性を向上させるようにした。なお、前記図柄は各部材の表面に印刷、シール貼付、刻印などいずれの方法によってもよい。
【0024】
このような回転ストッパ部材2を遊技枠1に組み付けた状態を図15に示す。
前記矢印図柄27a、27bは有底筒状部4の底部形状よりも小さな矢印図柄に形成されており、前記有底筒状部4を円弧図柄26のいずれか一方の端部に位置させた場合(即ち、回転ストッパ部材2を開位置、あるいは閉位置とした場合)に、一方の矢印は有底筒状部4の底部により隠蔽されて他方の矢印のみが表示された状態となるように構成されている。これにより、回転ストッパ部材2の取り付け面には常に回転ストッパ部材2の次の回動方向が表示されこととなり、この矢印を指標に操作すれば回転ストッパ部材2を正しい方向に回転させることができ、この結果、遊技枠に対する遊技盤の着脱作業を正確かつ短時間で行うことが可能となる。なお、前記矢印の隠蔽は図形の意図がわからない程度に隠蔽されていればよく、完全に隠蔽すればより好ましい。
【0025】
以下に、回転ストッパ部材2の具体的な回動操作につき説明する。
図16は、回転ストッパ部材2が開位置にある状態を示している。この状態では、突部9は遊技枠1側に引っ込んだ状態となっており、一方、有底筒状部4は片方の矢印図柄27bを隠蔽した状態となっている。この結果、回転ストッパ部材2の取り付け面には、円弧図柄26と矢印図柄27aのみが現れて反時計回り方向の矢印が表示されることとなる。
次に、図17に示すように、遊技盤10を遊技枠1にセットした後、回転ストッパ部材2を閉位置まで回動させるが、回転ストッパ部材2の取り付け面には、円弧図柄26と矢印図柄27aにより反時計回り方向の矢印が表示されているので、作業者はこれを指標にして回転ストッパ部材2を所定の位置まで回動すればよい。
【0026】
図18は、回転ストッパ部材2が閉位置にある状態を示している。この状態では、突部9は遊技盤10上に出っ張った状態となって遊技盤10を固定している。一方、有底筒状部4は片方の矢印図柄27aを隠蔽した状態となっている。この結果、回転ストッパ部材2の取り付け面には、円弧図柄26と矢印図柄27bのみが現れて時計回り方向の矢印が表示されることとなる。
その後、遊技盤10を交換等する場合は、回転ストッパ部材2を開位置まで回動させればよいが、この場合、回転ストッパ部材2の取り付け面には、円弧図柄26と矢印図柄27bにより時計回り方向の矢印が表示されているので、作業者はこれを指標にして回転ストッパ部材2を所定の位置まで回動すればよい。
このように、回転ストッパ部材2の取り付け面には常に回転ストッパ部材2の次の回動方向が表示されこととなるので、作業者はこの矢印を指標に操作すれば回転ストッパ部材2を常に正しい方向に回転できることとなり、作業性を向上できる。
【0027】
以上に説明したように、本発明によれば、ボールプランジャ機能を備えたストッパ機構を容易に組付けることが可能となる。このため組付けに熟練を必要とせず、またボールプランジャ機能により遊技盤10を確実に固定することができる。また請求項2の発明によれば、組付け後にボールプランジャの機能が失われるトラブルを防止することができる。さらに、請求項3の発明によれば、回転ストッパ部材を常に正しい方向に回転させることができて遊技盤の交換作業を短時間で行うことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 遊技枠
2 回転ストッパ部材
3 支持軸
4 有底筒状部
5 ボール
6 スプリング
7 凹部
8 孔
9 突部
10 遊技盤
11 ナット
12 支持部
20 挿入筒
21 ねじ孔
22 治具
23 先端部
24 ねじ
25 矢印図柄
26 円弧図柄
27a 矢印図柄
27b 矢印図柄
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機の遊技盤を遊技枠に固定するための遊技盤固定用のストッパ機構及びその組付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機の遊技盤は容易に交換することができるように、遊技枠に対して着脱可能な構造が採用されている。その一例は特許文献1に示されるように、遊技枠の片側に遊技盤の一方の端部が挿入される保持部を形成するとともに、遊技枠の反対側に遊技盤の他方の端部を押えるストッパを配置した構造である。
【0003】
特許文献1のストッパは回転型であり、遊技盤を遊技枠内に挿入したうえで回転させることにより遊技盤の端部を押さえて遊技枠に固定する機能を有する。しかしこのように単に回転可能としたストッパは、振動その他の原因により回転して外れてしまい、遊技枠から遊技盤が浮き上がるトラブルを招く可能性があった。
【0004】
そこで本発明者等は、ストッパにボールプランジャ機能を持たせ、ストッパを所定位置に保持することができるようにしたストッパ機構を開発中である。その構造は図1、図2に示すように、遊技枠1に回転ストッパ部材2を支持軸3によって回転可能に取り付けたものである。回転ストッパ部材2は一方の端部に有底筒状部4を備え、その内部にボール5とスプリング6とからなるボールプランジャ機構が収納されている。遊技枠1の前面にはボール5が嵌合する凹部7が形成されており、回転ストッパ部材2を図1に示す固定位置に保持し、ストッパが不用意に外れることを防止することができる。この状態では、回転ストッパ部材2の他端の突部9が遊技盤10の表面を確実に押さえることとなる。
【0005】
ところがこの図2の構造のストッパ機構は、組付けに熟練を要する。すなわち、組付けに当たっては図3のように遊技枠1を水平に置き、先ず凹部7にボール5を載せ、回転ストッパ部材2の支持軸3を遊技枠1の孔8に浅く挿入する。この状態で回転ストッパ部材2の有底筒状部4内にスプリング6を挿入し、スプリング6がボール5の直上から外れないように注意しながら支持軸3を深く孔8内に押し下げ、最後にナット11を支持軸3の先端に螺合させるという手順を取る。
【0006】
しかし上記の作業中にボール5がスプリング6の下端から外れ易く、組付けに熟練を要するという問題があった。また図4に示すように、組付け後に遊技枠1に遊技盤10がない状態において誤って回転ストッパ部材2を回転させると、スプリング6とともにボール5が有底筒状部4から飛び出してしまい、ボールプランジャの機能が失われるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−327717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の主な目的は上記した従来の問題点を解決し、ボールプランジャ機構を備えながらも、組付けが容易な遊技盤固定用のストッパ機構及びその組付け方法を提供することである。また本発明の他の目的は、組付け後にボールプランジャの機能が失われるトラブルを防止することができ、更には回転ストッパ部材の回転操作を正しく行うことができる遊技盤固定用のストッパ機構及びその組付け方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するためになされた本発明の遊技盤固定用のストッパ機構は、遊技盤の端部と係合する回転ストッパ部材を、支持軸により遊技枠に回転可能に取り付けた遊技盤固定用のストッパ機構であって、回転ストッパ部材は一方の端部にボールとスプリングとが収納された有底筒状部を備え、遊技枠の前面にはこのボールを嵌合させて回転ストッパ部材を所定位置に保持する凹部を形成し、遊技枠の後面には前記有底筒状部にスプリングとボールとを挿入するための挿入筒を形成したことを特徴とするものである。
【0010】
なお請求項2のように、遊技枠の前面に、回転ストッパ部材の回転角度規制用のねじを設けた構造とすることが好ましい。
【0011】
更に請求項3のように、有底筒状部の底部表面に、回転ストッパ部材の回転方向を示す矢印図柄を形成するとともに、この回転ストッパ部材の取り付け面には、前記有底筒状部の回動軌跡を示す円弧図柄と、この円弧図柄の両端部に前記有底筒状部の底部形状よりも小さな矢印図柄を形成し、前記有底筒状部を円弧図柄のいずれか一方の端部に位置させた場合に、一方の矢印は有底筒状部の底部により隠蔽されて他方の矢印のみが表示されるようにすることが好ましい。
【0012】
また本発明の遊技盤固定用のストッパ機構の組付け方法は、回転ストッパ部材を支持軸によって遊技枠に回転可能に取り付けたうえ、この遊技枠を下向きとして水平に設置し、回転ストッパ部材の有底筒状部を遊技枠の後面に形成された挿入筒と一致させて、有底筒状部にスプリングとボールとを上方から挿入し、治具によってボールを押し込みながらボールが遊技枠の前面に接触する位置まで回転ストッパ部材を回転させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の遊技盤固定用のストッパ機構は、回転ストッパ部材を所定位置に保持するためのボールプランジャ機構を備えたものであるため、回転ストッパ部材が不用意に回転してしまうことを防止することができる。しかもスプリングとボールを遊技枠の後面に形成された挿入筒を通じて、回転ストッパ部材の有底筒状部に上方から挿入することができるので組付けが容易であり、熟練者でなくても組付け作業を行うことができる。
【0014】
また請求項2のように遊技枠の前面に、回転ストッパ部材の回転角度規制用のねじを設けた構造としておけば、回転ストッパ部材の有底筒状部が遊技枠から外れることがなく、組付け後にスプリングとボールが有底筒状部から飛び出して、ボールプランジャの機能が失われるトラブルを防止することができる。
【0015】
更に請求項3のように、有底筒状部の底部表面に、回転ストッパ部材の回転方向を示す矢印図柄を形成するとともに、この回転ストッパ部材の取り付け面には、前記有底筒状部の回動軌跡を示す円弧図柄と、この円弧図柄の両端部に前記有底筒状部の底部形状よりも小さな矢印図柄を形成し、前記有底筒状部を円弧図柄のいずれか一方の端部に位置させた場合に、一方の矢印は有底筒状部の底部により隠蔽されて他方の矢印のみが表示されるようにした場合は、常に回転ストッパ部材の次の回動方向が表示されるので、それを指標に操作すれば回転ストッパ部材を正しい方向に回転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ボールプランジャ機能を持たせたストッパ機構の正面図である。
【図2】図1の要部の断面斜視図である。
【図3】組付け途中の状態を説明する斜視図である。
【図4】ボールが脱落する状態を説明する斜視図である。
【図5】本発明のストッパ機構の正面図である。
【図6】本発明のストッパ機構の組み付け工程を示す断面斜視図である。
【図7】ボールを挿入する状態を示す断面斜視図である。
【図8】治具を示す断面斜視図である。
【図9】治具によりボールを押さえた状態を示す断面斜視図である。
【図10】回転ストッパ部材を回転させた状態を示す正面図である。
【図11】回転角度規制用のねじを取り付けた状態を示す正面図である。
【図12】回転角度規制状態を示す正面図である。
【図13】その他の実施態様を示す回転ストッパ部材の平面図である。
【図14】その他の実施態様を示す回転ストッパ部材の取り付け面の平面図である。
【図15】その他の実施態様を示すストッパ機構の正面図である。
【図16】図15の回転ストッパ部材の回動工程を示す正面図である。
【図17】図15の回転ストッパ部材の回動工程を示す正面図である。
【図18】図15の回転ストッパ部材の回動工程を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図5以下の図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図5は本発明のストッパ機構の正面図、図6はその要部の断面斜視図である。これらの図において、1はパチンコ機の遊技枠、12はこの遊技枠1に取り付けられる遊技盤10の裏面を支持する支持部であり、遊技枠1の端部付近に回転ストッパ部材2が支持軸3によって回転可能に取り付けられている。この回転ストッパ部材2は一方の端部に有底筒状部4を備え、他方の端部に遊技盤10を押えるための突起9を備えている。また有底筒状部4の内部に、ボール5とスプリング6とからなるボールプランジャ機構が収納されていることも、前述の図1、図2の構造と同様である。しかし組付けを容易にするため、本発明では遊技枠1の後面に、有底筒状部4にスプリング6とボール5とを挿入するための挿入筒20を形成してある。
【0018】
この挿入筒20は、図6に示すように有底筒状部4と内径が同一であり、かつ支持軸3を中心として回転ストッパ部材2を回転させたときに、有底筒状部4と一致する位置に形成されている。また図6に示されるように、挿入筒20の近傍にはねじ孔21が形成されている。
【0019】
次に本発明の遊技盤固定用のストッパ機構の組付け方法を説明する。
先ず遊技枠1の孔8に支持軸3を挿入してその先端にナット11を螺合させ、遊技枠1の表面側に回転ストッパ部材2のみを回転自在に取付ける。その後、図6のように遊技枠1を表裏反転させて下向きとし、水平に設置する。さらに回転ストッパ部材2を回転させ、その有底筒状部4を挿入筒20と一致させた状態として、図6のように挿入筒20からスプリング6を有底筒状部4の内部に挿入する。
【0020】
次に図7のように挿入筒20から有底筒状部4内にボール5を挿入する。この状態ではスプリング6は有底筒状部4から挿入筒20の内部にまで伸びているが、挿入筒20の長さを適切に設定することにより、ボール5も挿入筒20内に保持されるようにしておくことが好ましい。
【0021】
次に図8のように、挿入筒20の内径よりも小さい外径の先端部23を持つ治具22により、ボール5を有底筒状部4内に押し込む。先端部23の長さを挿入筒20の長さと一致させておけば、図9のようにボール5の上面が遊技枠1の表面と一致する位置までボール5を押し込むことができる。この状態で回転ストッパ部材2を回転させれば、ボール5を遊技枠1の表面に乗移らせることができる。
【0022】
この状態から更に図10のように回転ストッパ部材2を回転させると、ねじ孔21が現れてくる。そこで図11のようにこのねじ孔21にねじ24をねじ込むと、回転ストッパ部材2の回転可能角度を、遊技盤10のストッパとして機能させるに必要かつ十分な角度、例えば90°に制限することができる。このため、ボール5及びスプリング6が収納された有底筒状部4が遊技枠1の表面を超えて外側に移動することがなくなり、人為的なエラーによって有底筒状部4からボール5及びスプリング6が飛出し、ボールプランジャ機能が損なわれることがない。なお、遊技盤10の取り付け後はボール5を凹部7に嵌合させて回転ストッパ部材2を固定位置に保持し、ストッパが不用意に外れることを防止することができる。
【0023】
なお、回転ストッパ部材2は支持軸3を中心に時計回り方向・反時計回り方向のいずれにも回転できるため、どちらの方向に回動するか瞬時には判断しにくいという問題があった。
そこで、図13に示すように、有底筒状部4の底部表面に、回転ストッパ部材2の回転方向を示す矢印図柄25を形成し、一方、図14に示すように、この回転ストッパ部材2の取り付け面には、前記有底筒状部4の回動軌跡を示す円弧図柄26と、この円弧図柄の両端部に矢印図柄27a、27bを形成して、操作性を向上させるようにした。なお、前記図柄は各部材の表面に印刷、シール貼付、刻印などいずれの方法によってもよい。
【0024】
このような回転ストッパ部材2を遊技枠1に組み付けた状態を図15に示す。
前記矢印図柄27a、27bは有底筒状部4の底部形状よりも小さな矢印図柄に形成されており、前記有底筒状部4を円弧図柄26のいずれか一方の端部に位置させた場合(即ち、回転ストッパ部材2を開位置、あるいは閉位置とした場合)に、一方の矢印は有底筒状部4の底部により隠蔽されて他方の矢印のみが表示された状態となるように構成されている。これにより、回転ストッパ部材2の取り付け面には常に回転ストッパ部材2の次の回動方向が表示されこととなり、この矢印を指標に操作すれば回転ストッパ部材2を正しい方向に回転させることができ、この結果、遊技枠に対する遊技盤の着脱作業を正確かつ短時間で行うことが可能となる。なお、前記矢印の隠蔽は図形の意図がわからない程度に隠蔽されていればよく、完全に隠蔽すればより好ましい。
【0025】
以下に、回転ストッパ部材2の具体的な回動操作につき説明する。
図16は、回転ストッパ部材2が開位置にある状態を示している。この状態では、突部9は遊技枠1側に引っ込んだ状態となっており、一方、有底筒状部4は片方の矢印図柄27bを隠蔽した状態となっている。この結果、回転ストッパ部材2の取り付け面には、円弧図柄26と矢印図柄27aのみが現れて反時計回り方向の矢印が表示されることとなる。
次に、図17に示すように、遊技盤10を遊技枠1にセットした後、回転ストッパ部材2を閉位置まで回動させるが、回転ストッパ部材2の取り付け面には、円弧図柄26と矢印図柄27aにより反時計回り方向の矢印が表示されているので、作業者はこれを指標にして回転ストッパ部材2を所定の位置まで回動すればよい。
【0026】
図18は、回転ストッパ部材2が閉位置にある状態を示している。この状態では、突部9は遊技盤10上に出っ張った状態となって遊技盤10を固定している。一方、有底筒状部4は片方の矢印図柄27aを隠蔽した状態となっている。この結果、回転ストッパ部材2の取り付け面には、円弧図柄26と矢印図柄27bのみが現れて時計回り方向の矢印が表示されることとなる。
その後、遊技盤10を交換等する場合は、回転ストッパ部材2を開位置まで回動させればよいが、この場合、回転ストッパ部材2の取り付け面には、円弧図柄26と矢印図柄27bにより時計回り方向の矢印が表示されているので、作業者はこれを指標にして回転ストッパ部材2を所定の位置まで回動すればよい。
このように、回転ストッパ部材2の取り付け面には常に回転ストッパ部材2の次の回動方向が表示されこととなるので、作業者はこの矢印を指標に操作すれば回転ストッパ部材2を常に正しい方向に回転できることとなり、作業性を向上できる。
【0027】
以上に説明したように、本発明によれば、ボールプランジャ機能を備えたストッパ機構を容易に組付けることが可能となる。このため組付けに熟練を必要とせず、またボールプランジャ機能により遊技盤10を確実に固定することができる。また請求項2の発明によれば、組付け後にボールプランジャの機能が失われるトラブルを防止することができる。さらに、請求項3の発明によれば、回転ストッパ部材を常に正しい方向に回転させることができて遊技盤の交換作業を短時間で行うことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 遊技枠
2 回転ストッパ部材
3 支持軸
4 有底筒状部
5 ボール
6 スプリング
7 凹部
8 孔
9 突部
10 遊技盤
11 ナット
12 支持部
20 挿入筒
21 ねじ孔
22 治具
23 先端部
24 ねじ
25 矢印図柄
26 円弧図柄
27a 矢印図柄
27b 矢印図柄
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の端部と係合する回転ストッパ部材を、支持軸により遊技枠に回転可能に取り付けた遊技盤固定用のストッパ機構であって、
回転ストッパ部材は一方の端部にボールとスプリングとが収納された有底筒状部を備え、
遊技枠の前面にはこのボールを嵌合させて回転ストッパ部材を所定位置に保持する凹部を形成し、
遊技枠の後面には前記有底筒状部にスプリングとボールとを挿入するための挿入筒を形成したことを特徴とする遊技盤固定用のストッパ機構。
【請求項2】
遊技枠の前面に、回転ストッパ部材の回転角度規制用のねじを設けたことを特徴とする請求項1記載の遊技盤固定用のストッパ機構。
【請求項3】
有底筒状部の底部表面に、回転ストッパ部材の回転方向を示す矢印図柄を形成するとともに、この回転ストッパ部材の取り付け面には、前記有底筒状部の回動軌跡を示す円弧図柄と、この円弧図柄の両端部に前記有底筒状部の底部形状よりも小さな矢印図柄を形成し、前記有底筒状部を円弧図柄のいずれか一方の端部に位置させた場合に、一方の矢印は有底筒状部の底部により隠蔽されて他方の矢印のみが表示されるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技盤固定用のストッパ機構。
【請求項4】
請求項1に記載の遊技盤固定用のストッパ機構の組付け方法であって、
回転ストッパ部材を支持軸によって遊技枠に回転可能に取り付けたうえ、この遊技枠を下向きとして水平に設置し、回転ストッパ部材の有底筒状部を遊技枠の後面に形成された挿入筒と一致させて、有底筒状部にスプリングとボールとを上方から挿入し、治具によってボールを押し込みながらボールが遊技枠の前面に接触する位置まで回転ストッパ部材を回転させることを特徴とする遊技盤固定用のストッパ機構の組付け方法。
【請求項1】
遊技盤の端部と係合する回転ストッパ部材を、支持軸により遊技枠に回転可能に取り付けた遊技盤固定用のストッパ機構であって、
回転ストッパ部材は一方の端部にボールとスプリングとが収納された有底筒状部を備え、
遊技枠の前面にはこのボールを嵌合させて回転ストッパ部材を所定位置に保持する凹部を形成し、
遊技枠の後面には前記有底筒状部にスプリングとボールとを挿入するための挿入筒を形成したことを特徴とする遊技盤固定用のストッパ機構。
【請求項2】
遊技枠の前面に、回転ストッパ部材の回転角度規制用のねじを設けたことを特徴とする請求項1記載の遊技盤固定用のストッパ機構。
【請求項3】
有底筒状部の底部表面に、回転ストッパ部材の回転方向を示す矢印図柄を形成するとともに、この回転ストッパ部材の取り付け面には、前記有底筒状部の回動軌跡を示す円弧図柄と、この円弧図柄の両端部に前記有底筒状部の底部形状よりも小さな矢印図柄を形成し、前記有底筒状部を円弧図柄のいずれか一方の端部に位置させた場合に、一方の矢印は有底筒状部の底部により隠蔽されて他方の矢印のみが表示されるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技盤固定用のストッパ機構。
【請求項4】
請求項1に記載の遊技盤固定用のストッパ機構の組付け方法であって、
回転ストッパ部材を支持軸によって遊技枠に回転可能に取り付けたうえ、この遊技枠を下向きとして水平に設置し、回転ストッパ部材の有底筒状部を遊技枠の後面に形成された挿入筒と一致させて、有底筒状部にスプリングとボールとを上方から挿入し、治具によってボールを押し込みながらボールが遊技枠の前面に接触する位置まで回転ストッパ部材を回転させることを特徴とする遊技盤固定用のストッパ機構の組付け方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−56140(P2013−56140A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259861(P2011−259861)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000148287)株式会社浅間製作所 (114)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000148287)株式会社浅間製作所 (114)
【Fターム(参考)】
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