説明

運動が切り離された一体の化粧用コンパクト

安定性の増大された化粧用コンパクトは、基部と、基部内に配置された化粧用製品担持体と、キャップとを備える。キャップは基部に対して、場合によって平行移動することができ、場合によって回転することができるが、キャップは、キャップ及び基部の相対方位に応じて一度に一種類の運動しか実行することができない。基部に対するキャップの方位であって、ユーザが平行移動又は回転のどちらかを実行できるが、同時には実行できない方位が一つある。選択的回転機構はキャップの平行移動運動を回転運動から切り離す。従って、基部に対するキャップの複合運動は不可能である。基部に対するキャップの平行移動は製品担持体の平行移動を生じさせる。装置が使用のために特定の方位にある場合、担持体の平行移動が禁止されているので、担持体の不本意な運動が排除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用又は皮膚用製品のような様々なパーソナルケア製品と、ブラシ又は他の塗布具のような付属品との包装に関する。特に、本発明は、化粧用製品を使用のために露出するため、ユーザにより方位付けられることができる部品を有する一体構造の改善されたコンパクト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
封入製品を使用のために露出するため、ユーザにより再方位付けられることができるキャップ及び基部を有する容器が多数存在する。本明細書での関心事は、基部に対して平行移動及び回転することができるキャップを有する種類の容器であり、製品担持体は製品を露出又は隠蔽するために基部内で平行移動する。
【0003】
以下の特許(米国特許第234280号、米国特許第238959号、米国特許第947198号、米国特許第1693151号、米国特許第1734117号、米国特許第D148294号、米国特許第2556500号、米国特許第3033258号、米国特許第D197368号、米国特許第4915527号、米国特許第D360057号、米国特許第5391011号、米国特許第6200051号)すべてにおいて、キャップは同時に回転及び平行移動することがある。この特徴は不都合である。複合運動(同時に生じる平行移動及び回転)を実行するキャップの機能は、コンパクトが開閉されている時だけでなく、ユーザが使用中にコンパクトを操作している時でも、ユーザの手にあるコンパクトの安定性を低下させる。このことは、狭い握り領域を有する傾向にある比較的小型の化粧用コンパクトに特に当てはまる。化粧用コンパクト及び他のコンパクトの場合には、キャップが複合運動を実行することができない、すなわち、平行移動(垂直)及び回転運動が切り離され、同時というよりむしろ連続して実行される方が良い。本発明における場合がこれに相当する。本発明では、キャップを同時に平行移動及び回転させることは不可能である。
【0004】
米国特許第1693151号に関して、キャップを同時に平行移動及び回転させることがありうる。しかしながら、キャップのこの複合運動を生じにくくするための手段を設けることができると開示されている。このような手段が設けられている場合でさえ、複合運動は防止されずに生じにくくされるだけであり、また、複合運動は、常にではなく、時として生じにくくされるだけである。このことは、キャップの複合運動が不可能である本発明とは異なっている。この参考文献において、装置の一つの欠点は、キャップが基部の下に着座するようにキャップが180°回転されている時、キャップの平行移動運動は依然として起こりうる。別の欠点は、キャップが基部の下に着座するようにキャップが180°回転される場合、キャップをコンパクトの上部に向かって回転させることができる前にキャップと基部とのスナップ係合に打ち勝つためにユーザの身体の一部に追加の力が必要とされることである。本発明は、これら欠点を有しない。
【0005】
更に、以下の参照文献(米国特許第234280号、米国特許第238959号、米国特許第947198号、米国特許第1693151号、米国特許第1734117号、米国特許第1793192号、米国特許第1904364号、米国特許第D145286号、米国特許第D148294号、米国特許第2556500号、米国特許第D197368号、米国特許第4915527号、米国特許第D360057号)すべてにおいて、起こりうる何らかの場合では、露出された製品(すなわち、使用中)に直接加えられる圧力が製品を移動させ、これにより不安定な状況を生じさせることがありうる。幾つかの場合では、このことは、ユーザがコンパクトをどのように握るかによる。ユーザがコンパクトをどのように握るかにかかわらず、軸圧力が製品に加えられた結果として製品担持体が移動することが防止される方が良い。本発明における場合がこれに相当する。本発明では、任意の適切な使用中、化粧用製品に直接加えられた圧力の結果として化粧用製品担持体を移動させることは不可能である。
【0006】
更に、以下の参照文献(米国特許第947198号、米国特許第1693151号、米国特許第1734117号、米国特許第D148294号、米国特許第2556500号、米国特許第D197368号、米国特許第4915527号、米国特許第D360057号)すべてにおいて、製品が最終垂直位置に到達する前に化粧用製品を完全に露出することがありうる。一般的に、このことは、製品が使用位置へ依然として移動されている間でもキャップが回転されて化粧用製品から離れ、従って製品を露出することにより生じる。このことは、製品が別の表面と不本意な接触をすべきでない場合に不都合である。例えば、製品が化粧用スティック製品である場合、コンパクトが使用可能な方位に操作されている間にスティックが露出されていれば、スティックがユーザの特定部分又はユーザの衣類面或いは他の表面に不本意に接触する機会は増える。製品担持体が使用可能な位置に達するまで化粧用製品が完全に露出されない方が良い。本発明における場合がこれに相当する。本発明では、化粧用製品は最終位置に平行移動し、その時になってようやく、キャップが枢動して製品から離れる。
【0007】
幾つかのキャップ枢動型コンパクト(米国特許第234280号、米国特許第2540304号、米国特許第2678459号、米国特許第5391011号、米国特許第6200051号、米国特許出願公開第2004/0187885号)は、ユーザの身体の一部に二つ以上の加力を必要とする。「二つ以上の加力」とは、開放操作及び閉鎖操作を完了するため、ユーザがコンパクトの一部を把持及び再把持する必要があることを意味する。このことは、場合によってコンパクトが一体装置ではないことが原因であり、場合によっては装置の複雑性が原因である。コンパクトが一体装置でない場合、更なる欠点は、コンパクトの部品が紛失することがあることである。コンパクトを開閉するため、ユーザによる一度の流れるような動作しか必要としない一体のコンパクトの方が良い。
【0008】
幾つかの参照設計(すなわち、米国特許第947198号及び米国特許第1904364号)では、キャップは基部の底部まで180°ぐるりと回転することができない。このことは、ある空間内にキャップが垂れ下がり、ユーザの邪魔になるので望ましくない。
【0009】
幾つかの装置は、例えば、米国特許第1904364号及び米国特許第2540304号に開示されている装置は本発明よりもかなり複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
基部、キャップ及び製品担持体を備える一体の化粧用コンパクトであって、キャップが基部と同軸の方位から外れて回転した後ではキャップはもはや平行移動することができないようにキャップが基部に対して平行移動及び回転することができ、基部に対するキャップの方位であって、平行移動及び回転の両方が可能である方位がただ一つあり、キャップが同時に枢動及び平行移動しないようにされた一体の化粧用コンパクトを、前述した参考文献のいずれも開示していない。更に、その出願人は、本明細書に開示されるような選択的回転機構を組み入れるこのようなコンパクトのいずれにも気付いていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基部と、基部内に配置された化粧用製品担持体と、キャップとを備える増大された安定性の、使用に便利な一体の化粧用コンパクトである。キャップは基部に対して、場合によって平行移動運動することができ、場合によって回転運動することができるが、キャップは一度に一種類の運動しか実行することができない。更に、キャップが実行できる運動の種類(平行移動又は回転)はキャップ及び基部の相対方位により決定されるという点で、ユーザは選択肢を有しない。この規則に対して例外が一つある。基部に対するキャップの方位であって、ユーザが、平行移動及び回転の両方を同時にではなくそのどちらかを実行するための選択肢を有する方位がただ一つある。その他の任意の方位では、キャップは利用できる一種類の運動しか持たない。常に、基部に対するキャップの平行移動は、基部の底部又は上部のどちらかに向かう化粧用製品担持体の平行移動を生じさせる。基部に対するキャップの回転は、化粧用製品担持体の位置に影響を及ぼさない。
【0012】
好ましくは、キャップは少なくとも180°回転することができる。本発明は、一つにはキャップの平行移動(又は垂直)運動がキャップの回転(又は枢動)運動から切り離されているという理由で、他に類を見ない。言い換えれば、基部に対するキャップの複合運動は不可能である。「複合運動」とは、同時に生じる二つ以上の種類の運動すなわち平行移動及び回転を意味する。更に、圧力が化粧用製品に加えられた時(例えば使用中)、化粧用製品及び担持体は基部に対して移動することができない。装置が使用のために特定の方位にある場合、担持体の平行移動運動が禁止されているので、担持体の不本意な運動が排除される。これらの特徴は、使用中、より大きな安定性をもたらす。ユーザが装置をぎこちなく取り扱い、又は、使用中に装置を不本意に動かす可能性は低い。ユーザは、装置を一度の流れるような動作で操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による一体の化粧用コンパクトの基部部材を示す斜視図である。
【図2】本発明による一体の化粧用コンパクトの化粧用製品担持体を示す斜視図である。
【図3】本発明による一体の化粧用コンパクトのキャップを示す斜視図である。
【図4】4a−4fは、本発明による一体の化粧用コンパクトの一連の開放動作の流れを示す斜視図である。図示のようにコンパクトがスティックタイプのパーソナルケア製品を収納する。
【図5】5a−5cは、基部がキャップを回転する三つの位置を有する実施形態を示す。
【図6】6a−6bは、本発明によるサイドアクセス型のコンパクトの斜視図である。
【図7】化粧用製品がブラシである実施形態を示す図である。
【図8】8a−8eは、本発明によるコンパクトの一実施形態の側立面図であって、キャップの手前領域部分が切り取られている図である。各枢軸が一つの直線縁部を有する。
【図9】9a−9eは、本発明によるコンパクトの一実施形態の側立面図であって、キャップの手前領域部分が切り取られている図である。各枢軸が二つの直線縁部を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中、「備える」などの用語は、一群の目的語が、具体的に列挙されたこれらの目的語に限定されないことを常に意味するものとする。
【0015】
「一体のコンパクト」などは、特許請求の範囲に記載されている発明の部品が使用中常に結合されていることを意味する。部品間の結合は部品の自由度を互いに制限する。従って、例えば、使用中に分離されているコンパクト及び塗布具は、それらが場合によって使用中に結合されたとしても一体のコンパクトを形成しない。
【0016】
「平行移動」及び関連の構文形式は、要素の回転を除く要素の直線運動を意味する。「回転」及び関連の構文形式は、要素の平行移動を除く、物理的な枢軸を中心とする要素の運動を意味する。
【0017】
基部
図1を参照すると、中空の基部(10)は一般的にコンパクトの最大部品又は主要部品である。実質的に長方形の形状で示されているが、長方形とは全く異なる基部で本発明の原理を明示することができる。図1の実施形態では、基部は底壁(11)、前壁(12)、後壁(12’)及び二つの側壁(13,13’)を有する。基部の上部(14)は開放されている。本明細書中、「垂直」とは、基部が、図1に示される方位にあり、基部の底壁が地面に最も近い状態にあることを意味する。壁を「前」、「後」又は「側」として指定することは自由である。基部には一つ以上の溝(20)が設けられており、溝(20)は、基部の一つ以上の壁に沿って垂直に延在する。以下の記述では、溝は基部の側壁に沿って延在すると描かれている。溝は、内部で製品担持体とアクセスを生じさせるために基部の側壁を貫通する。通常、基部はいかなる従来手段によっても一つ以上のプラスチックから形成される。
【0018】
図1〜図5、図6及び図7を比較することにより、コンパクトの相対寸法が本発明の実施形態を著しくは制限しないことは明らかである。基部(10)の側壁(13,13’)の幅には何らかの実際的な下限が存在する。その理由は、これらの壁は、溝(20)又は(以下に説明される)凹部或いはその両方を収容するのに充分幅広くする必要があるためである。1センチメートルの4分の3ほどの基部幅を有する本発明によるコンパクトは、研究中、過度の困難を伴わずに構築された。ある時点で、ユーザが簡便に取り扱うには装置が小さすぎるようになるが、基部の側壁が1センチメートルの4分の3よりも狭くなりうることは明らかである。従って、実際には、約2分の1センチメートルが基部の側壁の幅に対する下限であり、又は、溝を取り囲む側壁の形体の幅に対する下限である。更に、4分の1センチメートルは溝の幅のほぼ下限である。
【0019】
製品担持体
図2では、製品担持体(30)は、装置に収納されている製品のための容器である。担持体は、化粧用製品をしっかりと保持することができる任意の適切な構造であることができる。「しっかりと保持する」とは、製品が通常の使用中に製品担持体に維持され、且つ、製品担持体が、コンパクト装置分野の当業者に知られている手段を用いることにより製品を固定するように適合されていることを意味する。例えば、担持体は化粧用スティックを保持するために、内歯スプラインを有するカップのように作用することができる。又は、担持体は剛毛繊維を固定するために、従って装置全体がブラシ又は櫛となるようにするために、クリンプ加工されたフェルールとして作用することができる。又は、担持体は、予め充填された化粧用容器を受け取り維持することができる外部容器として作用することができる。例えば、プレストパウダーを保持するのに用いられるコンパクト皿は製品担持体に接着されている。図5cでは、化粧用製品(50)は担持体の上部(34)に固定されており、一方、図6bでは、化粧用製品(50)は担持体の前壁(32)に固定されている。一般に、担持体の上面、前面、後面又は側面のいずれにも化粧用製品を関連付けることができる。通常、いかなる従来手段によっても一つ以上のプラスチックから担持体を形成することができる。
【0020】
担持体(30)は基部(10)の内側に配置され、基部内で垂直(上下)に摺動(平行移動)することができる。好ましくは、担持体が摺動する基部の内側と相補を成すように担持体の外側を形成する。この締まりばめは、上又は下に移動しない運動を抑制する。従って、図示された実施形態では、担持体は前壁(32)、後壁(32’)及び二つの側壁(33,33’)を有する。担持体の各側壁には、キャップ(40)への取付具が設けられている。取付具は、担持体の側壁に設けられた一つ以上のスロット(35)により達成され、担持体及びキャップをスナップフィット係合で結合するため、例えば、溝を介して延在する一つ以上の枢軸要素(45)であることができる。枢軸要素はキャップの内壁から隆起又は突出し、担持体に向かって延在することができる。担持体の各側壁には、キャップに向かって延在する枢軸を交互に設けることができる。多くの等価手段は当業者に明らかである。いずれの場合も、担持体は基部の(一つ以上の)溝(20)を介してキャップに結合する。キャップが垂直に平行移動すると、担持体も垂直に平行移動するように結合が構成されている。
【0021】
担持体は、担持体が基部の底(11)に最も接近する完全に入れられた位置と、担持体が基部の上部(14)に最も接近する完全に伸ばされた位置との間で摺動する。完全に伸ばされた位置では、製品担持体は基部よりも上に突出しても突出しなくてもよい。例えば、図6bでは、製品担持体(30)はほぼ完全に露出されており、図5cでは、製品担持体は約半分露出されており、図7では、製品担持体はほとんど露出されていない。化粧用製品が担持体の上部(34)を介して固定されている場合(例えば、図5c参照)、製品担持体の露出度はほぼ制御可能であり、審美的な理由により製品担持体を全く或いはほとんど露出させないことができる。しかしながら、図6bの構成では、製品担持体のかなりの部分が必然的に基部から突出する。この場合、製品担持体は、上質な仕上げ、又は、審美的に許容できる外観を有するのが好ましい。
【0022】
キャップ
本発明によるキャップ(40)は図3に示されている。組み立てられた場合、キャップは基部(10)の外部に配置され、基部の一部分を取り囲む。好適な実施形態では、キャップは二つの側面部分(43,43’)及び一つの中間部分(44)を有するほぼU字状に形成されているが、U字形状は厳密な要件ではない。キャップは基部上で上下に摺動(平行移動)することができる。キャップの各側面部分は基部の側面部分(13,13’)上で、又はこれらに沿って摺動する。キャップが基部に対して完全に着座すると、キャップの中間部分は基部の開放端を被覆する。通常、キャップはいかなる従来手段によっても一つ以上のプラスチックから形成される。
【0023】
好ましくは、キャップ(40)の側面部分(43,43’)は基部(10)の側壁(13,13’)と相補を成すように形成されている。このことは外観をすっきりとし、コンパクトの取り扱いをより一層容易にする。この締まりばめもキャップの外的運動を抑制する。各側面部分には、製品担持体(30)に取り付けるための手段が設けられている。取付具を一つ以上の枢軸(45)とすることができ、例えば、各枢軸(45)は各側面部分の内面から突出する。枢軸は、製品担持体の側壁に設けられた凹部(35)内にスナップフィット係合して延在する。担持体の各側壁には、キャップの側面部分の内側に設けられた凹部へ延在する枢軸を交互に設けることができる。多くの等価手段は当業者に明らかである。いずれの場合も、キャップは基部の(一つ以上の)溝(20)を介して担持体に取り付く。担持体へのキャップの取り付けは、キャップが垂直に平行移動すると、担持体も垂直に平行移動することを確実にする。従って、キャップの中間部分(44)が基部の開放端(14)に対して着座すると、キャップは最も低い位置となり、化粧用製品担持体は、基部内に完全に入れられた最も低い位置となる。キャップの中間部分が上昇し、これにより枢軸(45)が最高垂直長さに位置する場合、化粧用製品担持体及びキャップも最も高い位置となり、又は完全に伸張される。
【0024】
キャップが、図4a、図4b及び図4cに示された位置のいずれかである場合、キャップは「垂直」であると称し、又は、基部に対して回転しないと称し、或いはその両方であると称する。図4d、図4e及び図4fには、基部に対して回転しているキャップを示す。具体的には、図4fでは、キャップは基部に対して180°回転している。前述したように、キャップ(40)は、枢軸(45)が最高垂直長さに位置する時にだけ(或いは同じことであるが、キャップ又は製品担持体が最大垂直長さに位置する時にだけ)回転することができる。枢軸が最高垂直長さよりも低い場合、キャップは回転しないようにされている。このことを達成する具体的な例を説明する。これらの例は、溝(20)の幾何学的形状と、溝内で移動する取付具(すなわち枢軸)の幾何学的形状とに関する。しかしながら、本発明に関連する一般的な原理は任意の選択的回転機構である。ここで、「選択的回転機構」は、以下の三つの要件を満足する装置として定義されている。
【0025】
1.枢軸が最大垂直長さよりも低い場合、選択的回転機構はキャップの回転を防止する。
【0026】
2.枢軸が最大垂直長さに位置する時、選択的回転機構はキャップの回転を許可する。
【0027】
3.キャップが垂直である(すなわち、基部に対して回転しない)時にだけ、選択的回転機構はキャップの平行移動を許可する。
【0028】
より簡潔に述べるならば、キャップが基部に対して完全に伸ばされた場合に選択的回転機構はキャップの回転だけを許可し、キャップが基部に対して回転しない場合に選択的回転機構はキャップの平行移動だけを許可する。総合すると、これら要件は、キャップが平行移動及び回転を同時に行うことができないことも意味する。キャップは複合運動を実行することができず、或いは同じことであるが、コンパクトの運動は切り離される。
【0029】
選択的回転機構の例
【実施例1】
【0030】
一実施形態(図1参照)では、基部(10)は少なくとも一つの凹部(15)を備え、凹部内には少なくとも一つの溝を含む。好ましくは、基部は二つの凹部を備え、各凹部は基部の各側壁(13,13’)上に位置する。各凹部は二つの部分に含まれている。一方の部分は、基部の側壁に沿って垂直に延在する比較的長い直線凹部(16)である。直線凹部は基部の上部に接近すると、円形凹部(17)に開口する。円形凹部は、直線凹部の幅よりも大きい直径を有する。凹部全体は、凹部を境界付ける凹部壁により画成されている。直線凹部は凹部壁の直線の平行部分(18)により両側で境界されている。円形凹部は凹部壁の円形部分(19)により境界付けられている。各凹部内には溝(20)が存在する。溝はほぼ直線であり、溝の上端に円形部分を有しても有さなくてもよい。図1に示された実施形態では、溝は直線溝及び円形溝を備えるものと考えることができる。直線溝(21)は直線凹部内で維持しながら、基部の側壁に沿って垂直に延在する。直線溝は円形凹部に達すると、円形溝(22)に開口する。
【0031】
円形溝(22)及び円形凹部(17)はほぼ同心であり、直線溝(21)の中心線は円形溝及び円形凹部の中心を通る。しかしながら、直線凹部(16)の中心線は直線溝の中心線からずれている(以下の説明を参照されたい)。従って、直線凹部の中心線は円形溝及び円形凹部の中心を通らない。枢軸(45)は溝(20)に沿って移動し、これにより、各枢軸の中心は直線溝の中心線に沿って移動する。
【0032】
一つ以上の直線縁部(46、図3参照)は枢軸の極めて近くに位置し、しかも、キャップの内側表面から突出している。直線縁部は直線凹部(16)内で移動し、直線縁部は直線凹部の両側で凹部壁(18)と密接に接触する。従って、直線縁部は、直線凹部と同じ方向に直線溝(21,21’)に対してずれている。直線縁部は凹部壁に対して平行であり、凹部壁に対する直線縁部の隣接がキャップの認識できる程度の回転を防止するように直線凹部の幅と比較して充分に長い。従って、直線縁部が円形凹部(17)よりも低い場合、キャップは基部(10)に対して平行移動することができるが、回転することはできない。
【0033】
図3に示された直線縁部(46)は、枢軸(45)の基部を取り囲むフランジ(47)として実現されている。フランジは、(一つ以上の)直線縁部を実現する一つ以上の直線部分を除いて円形であることができる。二つの直線縁部が設けられている場合、各直線縁部は、直線凹部の各側で凹部壁(18)と密接に接触する。直線縁部は同じ長さ又は異なる長さであることができる。好ましくは、フランジの円形部分は、円形凹部の直径をわずかに下回る直径を有する。この締まりバメは基部に対するキャップの外的運動を抑制し、装置をより堅固にする。フランジが円形部分を有しない場合、少なくとも一つの直線縁部の長さは、円形凹部の直径に可能な限り近似することができる。いずれの場合も、直線縁部は円形凹部に嵌り込み、円形凹部内で回転することができるように直線縁部は円形凹部の直径よりも短い必要がある。従って、直線縁部が円形凹部に入ると、直線縁部は回転することができ、もちろんキャップも回転する。直線縁部の代替実施形態は、枢軸の片側又は両側に設けられた一つ以上の直線稜線である。しかしながら、図3に示されるように完全に実現されたフランジは細い稜線よりも強固であることができ、優れた耐摩損性を形成することができるので、フランジは稜線よりも好ましいことがある。いずれの場合も、直線縁部が円形凹部(17)よりも低い場合、キャップは基部(10)に対して平行移動することができるが、回転することはできない。
【0034】
直線縁部(46)が円形凹部(17)に入った後で、かつ、キャップ(40)が垂直から外れて回転した後、同一の直線縁部は直線凹部(16)内に再び入ることができない。その理由は、直線縁部が直線凹部の幅よりも長いからである。このことは、枢軸(45)が直線溝に再び入らないようにし、従って、キャップが下降しないようにする。しかしながら、他の何らかの手段が取られなければ、キャップが180°回転した後、直線縁部は再び垂直になり、直線凹部内に再び入ることができる。
【0035】
前述したように、直線凹部(16)の中心線は直線溝(21)の中心線からずれている。また、(一つ以上の)直線縁部(46)は直線凹部と同じ方向にずれている。言い換えれば、フランジには、直線溝の一方側に向かう大きい部分と、直線溝の他方側に向かう小さい部分とが存在する。更に、基部(10)の両側で直線凹部のずれが互いに反対又は逆であるのが好ましい。直線凹部のずれが互いに逆にされている場合、基部の両側上のフランジのずれも互いに逆にされる。この構成は、使用中にコンパクトになお一層の安定性をもたらすことが期待されている。
【0036】
キャップが上昇されている間、フランジは直線溝の中心線からずれているが、直線溝の中心線に平行に移動する。直線凹部から抜け出て円形凹部(17)に入り、キャップを180°回転させると、フランジの大きい部分は直線凹部の反対側に向かって移動する。しかしながら、フランジが枢軸に対してずれているので、フランジの大きい部分は直線凹部の上部を越えて横方向に延在する。この位置からキャップを下げようとすると、フランジの大きい部分は円形凹部の壁に接触し、直線溝の下方へ平行移動しないようにされる。
【0037】
従って、キャップ(40)が180°未満で回転した場合、直線縁部(46)の寸法が大きすぎて直線凹部(16)に嵌り込むことができない。また、キャップが180°と認識できる程度に回転した場合、直線縁部は、直線凹部に再び入る位置から外れる。いずれにしても、回転されたキャップは直線凹部に再び入ることができず、又は、回転されたキャップは平行移動することができない。
【0038】
従って、枢軸(45)が最大垂直長さよりも低い場合、直線縁部(46)はキャップ(40)の平行移動を許可するが、キャップの回転を防止する。更に、コンパクトの上側でキャップが垂直である場合を除いて、枢軸が最大垂直長さに位置する場合、直線縁部はキャップの回転を許可するが、キャップの平行移動を防止する。コンパクトの上側でキャップが垂直である時にだけ、ユーザは、キャップをどのように運動するか(平行移動又は回転)選択肢を有する。しかしながら、一度に一つの運動だけが可能である。特徴のこの組み合わせは安定性及び利便性を与える一方で実現し易く、従来技術のいかなるものとも異なる。
【実施例2】
【0039】
以下の実施例は前の実施例よりも多少簡潔であり、図8a〜8eに示されている。図8は、表面下の細部を明らかにするため、キャップ(140)の一部を切り取ってコンパクトの動作を示している。この場合も、溝(200)は、二つの部分すなわち、直線溝(210)と、ずれのある円形溝(220)とを備えるものと考えることができる。この実施形態では、円形溝(又は機能的等価物)が必要される。直線溝は基部(110)の側壁に沿って垂直に延在し、ずれのある円形溝に開口する。前の実施例とは異なり、溝を取り囲む凹部は存在しない。直線溝の一縁部が円形溝の円周に対してほぼ正接するように円形溝は直線溝の中心線からずれている。更に、基部の一側面に位置する円形溝のずれは基部の他側面でのずれと逆である。その理由は、以下で明らかになる。
【0040】
枢軸(145)はキャップ(140)の側面部分の各内面から突出し、溝(200)に沿って移動する。適切な枢軸は、直線縁部(146)を実現する平坦部分を除いてほぼ円柱である。各直線縁部は、各直線縁部が移動する円形溝のずれと同じ方向を向いている。従って、キャップの一側面の直線縁部はキャップの他側面の直線縁部と逆の方向を向いている。複数の枢軸の相対位置は、各枢軸の中心が直線溝の中心線に沿って移動するようになっている。直線縁部は溝の壁にぴったり合い、溝の壁に平行であり、各枢軸の丸い部分は溝の対向壁に接触する。好ましくは、枢軸の幅は直線溝の幅に極めて近似する。このことは、キャップの外的運動のいずれをも制限する。溝の壁に対する直線縁部の隣接がキャップの明らかな回転を防止するように直線縁部は直線溝の幅と比較して充分に長い。従って、直線縁部が円形溝よりも低い場合、キャップは基部(110)に対して平行移動することができるが、回転することはできない。
【0041】
直線溝(210)から抜け出て円形溝(220)に入り、キャップを180°回転させると(図8e参照)、枢軸(145)の丸い部分は円形溝の反対側に回転する。しかしながら、円形溝の反対側が直線溝に対してずれているので、枢軸の丸い部分は直線溝の上部を越えて横方向に延在する。この位置からキャップを下げようとすると、枢軸の丸い部分が円形溝の壁に接触することによりキャップの平行移動は防止される。しかしながら、枢軸の反対側(すなわち、枢軸の直線縁部(146))は何も隣接せず、横からの圧力は、枢軸が直線溝と整列する状態に戻すことができ、そのため、キャップの平行移動は可能になる。これを防止するため、基部の一側面に位置する円形溝のずれは基部の他側面でのずれと逆である。従って、キャップが、直線溝に沿って下降する平行移動に戻るため、両方の枢軸は反対方向に同時に押圧される必要がある。このことは、偶然にもまずあり得ない。更に、枢軸は製品担持体(130)に結合されており、基部内における担持体のとまりばめは枢軸の横運動をほとんど防止する。従って、基部内における担持体のとまりばめが枢軸の横運動を防止するのに充分であって、これによりキャップの平行移動を防止する場合には、円形溝の相反するずれは任意選択的な特徴である。
【実施例3】
【0042】
以下の実施例は、実施例2と極めて類似しており、図9a〜図9eに示されている。図9は、表面下の細部を明らかにするため、キャップ(140)の一部を切り取ってコンパクトの動作を示している。この場合も、溝(200)は、二つの部分すなわち、直線溝(210)と、ずれのある円形溝(320)とを備えるものと考えることができる。この実施形態では、円形溝(又は機能的等価物)が必要される。直線溝は基部(110)の側壁に沿って垂直に延在し、ずれのある円形溝に開口する。この場合も、溝を取り囲む凹部は存在しない。円形溝は直線溝の中心線からずれているが、実施例2ほどは、ずれていない。従って、直線溝の縁部は円形溝の円周と正接しない。前述したように、基部の一側面に位置する円形溝のずれは基部の他側面でのずれと逆である。
【0043】
枢軸(245)はキャップ(140)の側面部分の各内面から突出し、溝(200)に沿って移動する。適切な枢軸は、直線縁部を実現する一つの長い平坦部分(146)と一つの短い平坦部分(147)とを除いてほぼ円柱である。長い直線縁部の各々は、長い直線縁部が移動する円形溝のずれと同じ方向を向いている。従って、キャップの一側面の長い直線縁部はキャップの他側面の長い直線縁部と逆の方向を向いている。複数の枢軸の相対位置は、各枢軸の中心が直線溝の中心線に沿って移動するようになっている。長い直線縁部及び短い直線縁部は溝の壁にぴったり合い、溝の壁に平行である。好ましくは、枢軸の幅は直線溝の幅に極めて近似する。このことは、キャップの外的運動のいずれをも制限する。溝の壁に対する直線縁部の隣接がキャップの明らかな回転を防止するように直線縁部は直線溝の幅と比較して充分に長い。従って、直線縁部が円形溝よりも低い場合、キャップは基部(110)に対して平行移動することができるが、回転することはできない。
【0044】
直線溝(210)から抜け出て円形溝(320)に入り、キャップを180°回転させると(図8e参照)、枢軸(245)の短い直線縁部は円形溝の反対側に回転する。しかしながら、円形溝の反対側が直線溝に対してずれているので、枢軸は直線溝の上部を越えて横方向に延在する。この位置からキャップを下げようとすると、キャップの平行移動は、枢軸の丸い部分が円形溝の壁に接触することにより防止される。しかしながら、枢軸の反対側(すなわち、枢軸の長い直線縁部(146))は何も隣接せず、横からの圧力は、枢軸が直線溝と整列する状態に戻すことができ、そのため、キャップの平行移動は可能になる。これを防止するため、基部の一側面に位置する円形溝のずれは基部の他側面でのずれと逆である。従って、キャップが、直線溝に沿って下降する平行移動に戻るため、両方の枢軸は反対方向に同時に押圧される必要がある。このことは、偶然にもまずあり得ない。更に、枢軸は製品担持体(130)に結合されており、基部内における担持体のとまりばめは枢軸の横運動をほとんど防止する。従って、基部内における担持体のとまりばめが枢軸の横運動を防止するのに充分であって、これによりキャップの平行移動を防止する場合には、円形溝の相反するずれは任意選択的な特徴である。
【0045】
要約すれば、キャップ(140)が180°未満で回転した場合、直線縁部(146)の寸法が大きすぎて直線凹部(210)に入ることができず、従って、キャップの平行移動は不可能である。キャップが明らかに180°回転した場合、今述べた手段の一つにより、又は、当業者が思い付くであろう等価手段により、直線縁部は直線溝に再び入らないようにもされている。
【0046】
従って、枢軸(145又は245)が最大垂直長さよりも低い場合、直線縁部(146)はキャップ(140)の平行移動を許可するが、キャップの回転を防止する。更に、コンパクトの上側でキャップが垂直である場合を除いて、枢軸が最大垂直長さに位置する場合、直線縁部はキャップの回転を許可するが、キャップの平行移動を防止する。コンパクトの上側でキャップが垂直である時にだけ、ユーザは、キャップをどのように運動するか(平行移動又は回転)選択肢を有する。しかしながら、一度に一つの運動だけが可能である。特徴のこの組み合わせは安定性及び利便性を与える一方で実現し易く、従来技術のいかなるものとも異なる。
【0047】
任意選択的な特徴及び設定
変更された選択的回転機構
任意選択的に、前述に類似する複数の円形溝又は円形凹部或いはその両方を、直線溝又は直線凹部或いはその両方にそれぞれ沿って設けることができる。図5aには、複数の円形凹部を有するコンパクトを示す。このコンパクトは、最大長さ未満に化粧用製品を伸張することをユーザに選択させる。この変更例は、
1.キャップの回転及び平行移動の両方が生じることがあるコンパクトの境界明瞭な構成が数個だけあるが、その場合にも、キャップの回転及び平行移動の両方が同時に生じることはできず、
2.キャップは複合運動を依然として実行することができない
という点で本発明の意図を維持する。
【0048】
「変更された選択的回転機構」は、以下の要件を満足する装置として定義されている。
【0049】
1.変更された選択的回転機構は、溝に沿って離散的な境界明瞭な位置を除いて、キャップの回転を防止する。
【0050】
2.選択的回転機構は、キャップが垂直である(すなわち、基部に対して回転されない)時にだけ、キャップの平行移動を許可する。
【0051】
総合すると、これら要件は、キャップが同時に平行移動及び回転することができないことも意味する。キャップは複合運動を実行することができず、或いは同じことであるが、コンパクトの運動は切り離される。
【0052】
枢軸(45)の縁部には、これらが化粧用担持体(30)から後退しないようにする隆起された特徴を任意選択的に設けることができる。基部(10)及びキャップ(40)上に配置されたスナップフィット部(23,48)をそれぞれ、キャップを閉鎖位置又は開放位置に保持するために任意選択的に設けることができる。
【0053】
枢軸(45)が円形溝(19)内に位置する場合、キャップ(40)を回転することができる。好ましくは、キャップは一方向に180°回転することができる。更に好ましくは、キャップは両方向に180°回転することができる。最も好ましくは、コンパクトを開放又は閉鎖する方向の選択についてユーザが考える必要がないようにキャップは両方向に最大360°回転することができる。キャップが基部(10)に対して回転した後、選択的回転機構(又は、変更された選択的回転機構)がキャップの平行移動を禁止しているので、キャップは平行移動を実行することができない。キャップを平行移動するため、基部の上側でキャップを垂直に戻す必要がある。従って、枢軸が円形溝内に位置する時にだけ、キャップを回転することができる。
【0054】
更に、コンパクトは、キャップ(40)の回転及び平行移動の両方が生じることがあるただ一つの構成(又は、変更された選択的回転機構の場合には、数個の離散的な構成)を有する。「ただ一つの構成」又は「数個の離散的な構成」により、部品の嵌合における多少の遊びにより生じる構成のわずかな変動を排除する。プラスチック部品製造の技術分野における所定の公差を維持することにより、本発明の意図に従うことができる。より狭い公差はわずかな改善を加えるだけでよい。
【0055】
従って、前述した実施形態では、キャップ(40)の垂直平行移動は、ユーザが基部(10)及びキャップに直接接触し、基部(10)及びキャップを引き離すか又はくっ付けることにより達成される。しかし、本発明の意図を変更することなしに、より複雑な手段を設けることができる。例えば、リップスティックの技術分野で周知であるような立上り機構にコンパクトのキャップを嵌めることができ、これによって、この機構の底部を回転すると、キャップは上昇又は下降する。又は、キャップをラチェット機構の一部として製造することができ、これによって、コンパクトの側面のボタンを繰り返し押圧すると、キャップは上昇又は下降する。いかなる上昇及び下降手段でも、本発明の利益を維持するため、キャップの平行移動及び回転は同時に生じることはできない。
【0056】
図4fでは、化粧用製品の大部分が露出されるように化粧用製品(50)は化粧用製品担持体(30)の上部(34)から突出する。図6は、化粧用製品の大部分が保護され、一面又は一部分だけが露出されている代替実施形態である。この構成は、皮膚全体にわたって製品を描くように塗布することには適さず、製品を装置から皮膚へ移す塗布具、例えば、アイシャドウ又はブラシ製品と共に使用するのにより適する。任意選択的に、この(又は、前述のいずれかの)実施形態では、塗布具(51)又は補助的な化粧用製品を化粧用製品担持体(30)の側面(又は他の部分)に格納することができ、コンパクトが閉鎖位置にある場合、塗布具(51)又は補助的な化粧用製品はコンパクトから抜け出ることはできない。実際には、図6に示されるように、キャップが垂直から外れて回転されるまで、補助的な製品はコンパクトから取り外されることができない、又は抜け出ることはできない。
【0057】
任意選択的に、記述された実施形態のいずれにおいても、閉じられたコンパクトは化粧用製品(50)を見せることができる。このことを、図6に示されるように窓(52)を基部内に設けることにより達成することができる。
【0058】
任意選択的に、ユーザの利便性のためにコンパクト外側の一つ以上の部分は鏡を支持することができる。例えば、図1〜図5のような実施形態では、基部(10)の前部(12)又は後部(12’)は、鏡を設置するのに便利な場所を提供する。図6のような実施形態では、製品担持体の後部をも用いることができる。
【0059】
多くのこのような改善は、本発明の意図を高めることなしに、当業者にとって明らかなものである。本発明は、基部、キャップ、製品担持体及び選択的回転機構を備える一体の化粧用コンパクトであり、キャップが基部と同軸の方位から外れて回転した後ではキャップはもはや平行移動することができないようにキャップが基部に対して平行移動及び回転することができ、基部に対するキャップの方位であって、平行移動及び回転の両方が可能である方位がただ一つあり、キャップは、同時に枢動及び平行移動しないようにされている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部、キャップ及び製品担持体を備える一体の化粧用コンパクトであって、
前記キャップは、前記基部に対して平行移動及び回転することができ、
前記キャップは同時に平行移動及び回転しないようにされ、
前記キャップが前記基部と同心でない場合、前記キャップは平行移動しないようにされ、
前記基部に対する前記キャップの方位であって、平行移動及び回転が可能であるが、同時には不可能である方位がただ一つある一体の化粧用コンパクト。
【請求項2】
少なくとも一つの壁と、開放された上部とを有する中空の基部であって、前記壁が、前記上部から遠い下側端部と、前記上部に近い上側端部とを有する少なくとも一つの溝を有する基部と、
前記上部を通って前記基部内に配置された製品担持体であって、前記基部に対して平行移動することができる製品担持体と、
前記基部の一部を取り囲むキャップであって、前記基部に対して平行移動及び回転することができるキャップと、
前記少なくとも一つの溝を介して前記製品担持体を前記キャップに取り付ける取付具であって、前記少なくとも一つの溝の前記下側端部と関連し完全に入れられた位置と、前記少なくとも一つの溝の前記上側端部と関連する完全に伸ばされた位置との間で前記キャップ、前記取付具及び前記製品担持体が一緒に平行移動するように前記取り付けを行う取付具と、
前記製品担持体が前記基部に対して完全に伸ばされた場合に前記キャップの回転だけを許可し、前記キャップが前記基部に対して回転されていない場合に前記キャップの平行移動だけを許可する選択的回転機構と
を備える一体の化粧用コンパクト。
【請求項3】
請求項2に記載の化粧用コンパクトにおいて、前記製品担持体は、ブラシ、櫛、スティック製品、又は、製品を含む皿のような化粧用製品をしっかりと保持するのに適する化粧用コンパクト。
【請求項4】
請求項2に記載の化粧用コンパクトにおいて、前記取付具は一つ以上の枢軸要素を備え、前記枢軸要素は前記キャップ又は前記製品担持体から隆起し、前記少なくとも一つの溝を介して前記製品担持体又はキャップにそれぞれ向かって延在する化粧用コンパクト。
【請求項5】
請求項2に記載の化粧用コンパクトにおいて、前記キャップは、二つの側面部分及び一つの中間部分を有するほぼU字状に形成され、完全に伸ばされた位置と、完全に入れられた位置との間で平行移動し、これにより、前記完全に入れられた位置で前記中間部分は前記基部の前記上部を被覆する化粧用コンパクト。
【請求項6】
請求項5に記載の化粧用コンパクトにおいて、前記取付具は、前記キャップの前記側面部分から隆起し前記少なくとも一つの溝を介して前記製品担持体に向かって延在する一つ以上の枢軸要素を備える化粧用コンパクト。
【請求項7】
請求項6に記載の化粧用コンパクトにおいて、前記少なくとも一つの枢軸は前記製品担持体とスナップフィット係合を形成する化粧用コンパクト。
【請求項8】
請求項2に記載の化粧用コンパクトにおいて、
各溝は、前記基部の前記少なくとも一つの壁に沿って垂直に延在し円形溝に開口する直線溝を備え、前記円形溝は、前記直線溝の幅よりも大きい直径を有し、
各溝は、凹部壁により画成され直線凹部を備える凹部により取り囲まれ、前記直線凹部は前記基部の前記少なくとも一つの凹部に沿って垂直に延在し円形凹部に開口し、前記円形凹部は、直線凹部の幅よりも大きい直径を有し、
前記円形溝及び前記円形凹部は同心であり、前記直線溝の中心線は前記円形溝及び前記円形凹部の中心を通り、
前記直線凹部の中心線は前記直線溝の前記中心線からずれており、前記円形凹部の前記中心からずれている化粧用コンパクト。
【請求項9】
請求項8に記載の化粧用コンパクトにおいて、二つ以上の直線凹部の前記ずれは異なる方向にある化粧用コンパクト。
【請求項10】
請求項8に記載の化粧用コンパクトにおいて、前記キャップは、
前記凹部壁に対して平行して前記直線凹部内で平行移動する一つ以上の直線縁部を更に備え、
前記直線縁部が前記直線凹部内に存在する場合は常に前記キャップの回転が防止されるように前記直線縁部は前記直線凹部の前記幅と比較して充分に長い化粧用コンパクト。
【請求項11】
請求項10に記載の化粧用コンパクトにおいて、
前記直線縁部が前記円形凹部に嵌り込み、前記円形凹部内で回転することができるように前記直線縁部は前記円形凹部の前記直径よりも短い化粧用コンパクト。
【請求項12】
請求項11に記載の化粧用コンパクトにおいて、前記直線縁部の前記長さは、前記円形凹部の前記直径に可能な限り近似する化粧用コンパクト。
【請求項13】
請求項12に記載の化粧用コンパクトにおいて、各直線縁部は、前記枢軸のうち一つの枢軸における基部を取り囲むフランジとして実現されており、前記フランジは、一つ以上の直線部分を除いて基本的に円形である化粧用コンパクト。
【請求項14】
請求項2に記載の化粧用コンパクトにおいて、
各溝は溝壁により画成され、前記基部の前記少なくとも一つの壁に沿って垂直に延在し円形溝に開口する直線溝を備え、前記円形溝は、前記直線溝の幅よりも大きい直径を有し、前記直線溝の中心線は前記円形溝の中心からずれている化粧用コンパクト。
【請求項15】
請求項14に記載の化粧用コンパクトにおいて、二つ以上の直線溝の前記ずれは異なる方向にある化粧用コンパクト。
【請求項16】
請求項14に記載の化粧用コンパクトにおいて、前記キャップは、
前記直線溝壁に対して平行して前記直線溝内で平行移動する一つ以上の直線縁部を更に備え、
前記直線縁部が前記直線溝内に存在する場合は常に前記キャップの回転が防止されるように前記直線縁部は前記直線溝の前記幅と比較して充分に長い化粧用コンパクト。
【請求項17】
請求項16に記載の化粧用コンパクトにおいて、
前記直線縁部が前記円形溝に嵌り込み、前記円形溝内で回転することができるように前記直線縁部は前記円形溝の前記直径よりも短い化粧用コンパクト。
【請求項18】
請求項17に記載の化粧用コンパクトにおいて、少なくとも幾つかの直線縁部の前記長さは、前記円形溝の前記直径に可能な限り近似する化粧用コンパクト。
【請求項19】
請求項18に記載の化粧用コンパクトにおいて、各直線縁部は、前記枢軸のうち一つの枢軸における基部を取り囲むフランジとして実現されており、前記フランジは、一つ以上の直線部分を除いて基本的に円形である化粧用コンパクト。
【請求項20】
請求項2に記載の化粧用コンパクトにおいて、前記キャップを両方向に最大360°回転することができる化粧用コンパクト。
【請求項21】
請求項2に記載のコンパクトであって、前記製品担持体内に配置された化粧用製品を更に備えるコンパクト。
【請求項22】
請求項21に記載のコンパクトにおいて、前記化粧用製品の全部又は大部分は前記製品担持体の壁に埋め込まれているコンパクト。
【請求項23】
請求項2に記載のコンパクトであって、補助的な化粧用製品、及び/又は窓及び/又は鏡を更に備えるコンパクト。
【請求項24】
基部、キャップ及び製品担持体を備える一体の化粧用コンパクトであって、
前記キャップは、前記基部に対して平行移動及び回転することができ、
前記キャップは同時に平行移動及び回転しないようにされ、
前記キャップが前記基部と同心でない場合、前記キャップは平行移動しないようにされ、
前記基部に対する前記キャップの方位であって、平行移動及び回転が可能であるが、同時には不可能である方位が離散的に5つ未満ある一体の化粧用コンパクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−504831(P2010−504831A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530528(P2009−530528)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/078981
【国際公開番号】WO2008/042609
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)