説明

運動エネルギを熱に変換するための装置および方法

本発明は、運動エネルギを熱に変換するための装置および方法に関する。この場合、運動エネルギとは、特に人間の運動、たとえば走行、自転車の運転、騎行等によって生ぜしめられるエネルギと解される。熱は、運動の主方向に連続して配置された2つの成形部分(1,2)によって発生させられ、両成形部分(1,2)のうち、少なくとも一方の成形部分は、ポリマプラスチックから成っていて、弾性的に可動であり、両成形部分(1,2)は、互いに向かい合って位置する側の面で構造化されており、これによって、成形部分(1,2)の接近運動時に、摩擦熱を発生させる面摩擦が生ぜしめられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動エネルギを熱に変換するための装置および方法に関する。この場合、運動エネルギとは、特に人間の運動、たとえば走行、自転車の運転、騎行等によって生ぜしめられるエネルギと解される。装置は、たとえば靴に用いられるソール構造体のために適していることが望ましい。このソール構造体によって、靴の内部に走行時に熱が発生させられる。
【0002】
たとえば慣用の履き物における面を暖めるための可能性は、主として、たいていバッテリによって熱を発生させる電気的なヒーティングエレメントの使用にある。この慣用のヒーティングエレメントは、インソールの形で、既存のあらゆる靴内に組み込むことができ、ケーブルを介して、身体に支持されるバッテリまたは蓄電池に接続されている。このシステムは、生ぜしめられる出力に応じて、約1〜6時間の運転を保証している。この使用期間後、バッテリ/蓄電池が交換されなければならないかもしくは充電されなければならない。電気的なヒーティングエレメントの別の形状は、靴内室のより迅速な乾燥を目的としている。これによって、特に細菌形成が減少させられるようになっている。このような形式のシステムはそのエネルギをコンセントまたは自動車のシガレットライタから取り込む。この解決手段のヒーティングエレメントは、たいていインソールとして成形されている。別の解決手段は、電気的に暖められる靴型への靴の差被せにある。
【0003】
別の可能性は、化学的なプロセスによる熱の発生である。この場合、たとえば酢酸ナトリウムが、過冷却された溶融体として提供され得る。結晶化時には、酢酸ナトリウムが融解熱、ここでは、結晶化熱を放出する。ハンドウォーマとしても知られているこの、いわゆる「ヒートクッション」は、履き物を暖めるために使用可能にすることができる。付加的に考えられ得る可能性は、赤熱によって熱を発生させる炭素棒による熱の発生である。
【0004】
靴へのクッション付与に対する技術は、主として、種々異なるポリマフォームまたは弾性的なプラスチックの使用にある。この材料はほんの僅かに圧縮することができ、僅かなエネルギ放出を介して、エネルギのばね弾性的な回復を達成する。慣用の発泡材料は、部分的に弾性的に圧縮可能であり、しかも、フォーム内に連続気泡または独立気泡が閉じ込められていることに基づき圧縮可能である。
【0005】
既知の履き物は、たとえば可撓性に圧縮性のミッドソールを有している。このミッドソールは、ほぼフレキシブルな耐摩耗性のアウトソールの上方に配置されている。このようなミッドソールは、たとえば慣用の発泡材料、たとえばエチレン酢酸ビニル(EVA)またはポリウレタンから製作される。アウトソールは、慣用の耐摩耗性の材料、たとえばゴム複合体から製作されている。
【0006】
中空室は、数年来、靴の快適性を高め、足の座りを増大させ、怪我または別の害的な作用を減少させ、足の急速な疲労を低下させるために、靴内にクッションとして使用される。一般的に、中空室はエラストマ材料から成っている。このエラストマ材料は、圧力下にある少なくとも1つのポケットまたはチャンバを規定するように成形されている。一般的に、中空室は実際に多くのチャンバを規定している。これらのチャンバは、上述した1つまたはそれ以上の課題が解決されるように形成されたパターンで配置されている。
【0007】
チャンバは、種々異なる何種類かの媒体、たとえば空気、種々異なるガス、水または別の液体で圧力下にあってよい。
【0008】
しかし、発熱のこれらの前記解決手段は、発熱が専ら外部のエネルギ源を当てにしており、このエネルギ源が高い自重を有していて、高価にもしくは比較的手間をかけて製作され得る形の欠点を有しており、さらに、外的なエネルギ源は熱を足の裏にしか放出しない。さらに、外的なエネルギ源は履き心地・使いやすさをほとんど提供していない。なぜならば、外的なエネルギ源が、身体に支持されなければならないバッテリ/蓄電池を当てにしているからである。また、外的なエネルギ源は少ない時間の間しか熱を発生させない。ヒートクッションは、化学的なプロセスが活性化された後、同じく短い時間の間しか熱を発生させず、その後、新たなヒートクッションに交換されなければならない。
【0009】
クッション付与のためにたいてい使用される発泡材料、たとえばエチレン酢酸ビニル(EVA)またはポリウレタンは、衝撃を確かに吸収することができるが、しかし、このエネルギを不活発にしかまたは僅かな程度でしか反発エネルギとして再び放出することができない。さらに、この材料は、頻繁な圧縮によって、弾性が弱化し、したがって、材料が多かれ少なかれ永続的に降下するという欠点を有している。発泡材料またはゴムから成る種々異なる層から成る構造体も同じく、層が衝撃を僅かしか吸収せず、エネルギを不活発にしかまたは僅かな程度でしか反発エネルギとして再び放出しないという欠点を有している。空気、種々異なるガス、水または別の液体で圧力下に置かれた、エラストマ材料から成る中空室は、たとえばスポーツ活動時のような高い負荷圧を被る場合に、エラストマ材料が同じく降下し、「ベースに載着し」得るという欠点を有している。さらに、肉厚のソール構造体しか中空室を許容しない。このことは、制限されたデザイン可能性を随伴する。
【0010】
靴暖めのこの可能性では、一般的に、湿分および臭いの除去が不満足にしか可能とならないかまたは手間のかかるメカニズムによってしか可能とならない。臭いは湿分の結果として生ぜしめられる。湿分と臭いとは、好ましくない靴通気によっても発生させられる足の汗に基づき靴内に集積される。従来既知の通気される靴は、エラストマとフレキシブルな空気透過性のクッションとを有している。このクッションは軟質の材料、たとえばゴムから製作されていて、外方への蒸気の押退けを可能にする多数の孔をソール領域に有している。靴は、特に歩行時または走行時に生ぜしめられる力作用によって受動的にしか、すなわち、不満足にしか空気交換を助成しないという欠点を有している。さらに、ソール領域に設けられた通流開口はまさに、汚物によって迅速に閉鎖され、さらに、発生させられた熱が迅速に逃げ出し得るという欠点を有している。
【0011】
本発明の課題は、運動エネルギを熱に交換するための装置および方法を改良して、運動時に生ぜしめられる運動エネルギが熱の発生のために使用され、この熱の周辺分配が可能となるようにすることである。靴に用いられるソール構造体としての使用時には、場合により、靴内部の通気が可能となり、衝撃吸収が助成されることが望ましい。装置は、構造的に簡単に電子的な構成部材なしに廉価に製作することができることが望ましい。
【0012】
この課題の解決は、請求項1および58の特徴によって行われる。有利な構成は従属請求項の対象である。
【0013】
本発明によれば、運動の主方向に連続して配置された2つの成形部分が設けられており、両成形部分のうち、少なくとも一方の成形部分が、ポリマプラスチックから成っていて、弾性的に可動であり、両成形部分が、互いに向かい合って位置する側の面で構造化されており、これによって、成形部分の接近運動時に、摩擦熱を発生させる面摩擦が生ぜしめられるようになっていることが提案される。
【0014】
当該方法は、少なくとも一方が弾性的なポリマプラスチックから成る2つの成形部分の、向かい合って位置する構造化された面を介した、該構造化された面相互の摩擦による運動エネルギを熱に変換することが提案される。
【0015】
当該方法は、公知の解決手段に比べて、ポリマプラスチックの摩擦抵抗が温度の増加に伴って減少し、これによって、その後、摩擦がより僅かになり、より少ない熱が発生させられることによって、自己調整効果が得られるという利点を有している。したがって、より高い外温の場合には、僅かな外温の場合よりも少ない熱が発生させられる。自己調整効果は、特に両成形部分がポリマプラスチックから成っている場合に極めて有効である。
【0016】
有利には、第1の成形部分が、リブ状のまたは突起状の凸部を有しており、該凸部が、向かい合って位置する、第2の成形部分の凸部の間に設けられた切欠き内に係合するようになっており、これによって、第1の成形部分と第2の成形部分との、向かい合って位置する凸部が、互いに摩擦するようになっていることが提案されている。
【0017】
さらに、有利には、凸部と、向かい合って位置する切欠きとが、互いに異なる傾角を有していることが提案されている。
【0018】
凸部と、向かい合って位置する切欠きとが、環状にまたは縞状に設けられていると有利である。
【0019】
本発明の変化形によれば、第1の成形部分と第2の成形部分との間に形成された中空室が、ガス、ゲル、粉末または液体で充填されていてよい。
【0020】
成形部分は、有利には潜熱蓄熱材料、たとえば顕微鏡でしか見ることができないほど小さなプラスチックボールに結合されていてよい。この潜熱蓄熱材料はそのコア内に、ワックスから成る蓄熱媒体を有している。この種のマイクロカプセル封じされた蓄熱媒体は、特にBASF社の商品名「Micronal(マイクロナール)」で販売される。温暖作用または寒冷作用時には、蓄えカプセル内のワックスが融解するかもしくは凝固する。ワックスに類似のこのパラフィンのエネルギ吸収は、水のエネルギ吸収の3倍の高さである。こうして、蓄熱媒体が周辺温度を調整する。成形部分が熱を生成すると、潜熱蓄熱器がこの熱を吸収し、熱が、たとえばバスの待機時に低下すると、潜熱蓄熱器が熱を放出する。相変化の間、温度はコンスタントなままである。相変化中に「隠された」この蓄えられた熱が潜熱と呼ばれる。これは、ワックスの融解範囲で起こる可逆的な過程である。
【0021】
潜熱蓄熱器は、温度変化を視覚的に可視にするために、指示器染料もしくはインジケータインキを備えていてよい。
【0022】
有利には、第1の成形部分と第2の成形部分とは、負荷されていない状態で少なくとも部分的に、たとえばスペーサによって互いに間隔を置いて配置されていてよい。
【0023】
両成形部分が、一体に製作されていて、ヒンジで結合されていて、場合により、反対側にクロージャを備えていてもよい。
【0024】
これに対して択一的には、両成形部分が、互いに接着されていてもよい。
【0025】
成形部分が、弾性的なプラスチックから製造されると有利である。
【0026】
成形部分が、電気活性のまたは熱活性のポリマから成っていてもよい。電気活性のポリマでは、種々異なる材料特性を電圧の印加によって調整することができる。熱活性のポリマはその特性を、変化させられる温度によって変化させる。
【0027】
成形部分は、発熱が所望されている種々異なる使用対象、たとえば靴、サドル、グリップ、手袋または繊維製品における中敷き等の構造体の構成要素であってよい。
【0028】
当該装置が、靴に用いられるソール構造体の一部である場合には、第1の成形部分が、弾性的に形成された上側のソール部分として形成され、第2の成形部分が、下側のソール部分として形成され、この場合、両ソール部分が、少なくとも靴の踵領域に設けられている。
【0029】
特に有利には、下側のソール部分の内部にまたは下方に、踵領域から少なくとも靴の別の部分にまで延びる、液体で充填されたチューブが位置しており、該チューブの環状の経過に、少なくとも1つの一方向通流開口が配置されていることが提案されている。踵領域の押圧によって、この領域で暖められた液体が、循環して靴の別の領域に搬送され、そこで、熱を再び放出し得る。
【0030】
この手段は、運動エネルギを熱に変換しかつ運動エネルギによって促進される温度交換を可能にする可能性を提供している。したがって、靴は、特に比較的寒い季節もしくは寒い地域での使用のために適している。走行時に少なくとも踵領域に発生した熱は、寒さによって比較的早期に危険にさらされている領域、たとえばつま先に搬送される。足が均一に暖かくなる。このことは、快適な履き心地を生ぜしめる。凍傷の危険が著しく減じられる。
【0031】
さらに有利には、上側のソール部分と下側のソール部分とが、負荷されていない状態で少なくとも部分的に互いに間隔を置いて配置されていることが提案されている。これによって、上側のソール部分と下側のソール部分との間に中空室が形成される。この中空室は、場合により、ガス、ゲルまたは液体で充填されてよい。中空室が充填されていない場合には、ソール部分に設けられた空気抜き開口を通して、走行時に外方への永続的な空気交換が行われ得る。付加的には、空気抜き開口が、それぞれ少なくとも1つの入口弁と出口弁とを備えていることが提案されていてよい。この場合、所定の箇所で吸い込まれた空気は、出口にまで適切にソール構造体の、予め規定された領域を通して案内され得る。
【0032】
本発明のさらに有利な特徴によれば、上側のソール部分と下側のソール部分とが、一体に製作されていて、ヒンジで結合されている。
【0033】
摩擦熱は、有利には、走行運動時に互いに摩擦する、一方のソール部分に設けられた凸部と、他方のソール部分に設けられた所属の凹部とによって発生させられる。この効果を増大させるためには、凹部/凸部の表面が粗面化されていてもよいし、相応の被覆層を備えていてもよいし、自体もう一回、たとえば鱗状の構造体によって構造化されていてもよい。
【0034】
履き心地を向上させるためには、付加的にインソールが設けられていてよい。この場合、このインソールは、有利には、同じく空気抜き開口を備えている。しかし、ソール部分自体が、インソールとして形成されており、これによって、熱を発生させる効果が、その他の靴に対しても使用することができることが提案されていてもよい。
【0035】
ソール部分は、有利には熱可塑性のプラスチックから製造される。この場合、材料のフレキシビリティがその温度に依存しているという利点を使用することができる。温度が低い場合には、フレキシビリティがより僅かになる。これによって、摩擦抵抗が増加し、迅速に熱が発生させられる。これに対して、温度の上昇時には、摩擦抵抗が減少し、これによって、自己調整効果が生ぜしめられる。
【0036】
以下に、本発明を実施例につきさらに詳しく説明する。
【0037】
図1には、本発明による装置が別個の構成部分として断面図で示してある。当該装置は、上側の第1の成形部分1と下側の第2の成形部分2とから成っている。両成形部分1,2は、環状に延びるリブ状の凸部3;4を有している。しかし、この凸部3;4は、それぞれ異なる傾角を成して延びている。第1の成形部分1の押圧時には、この第1の成形部分1の凸部3が、下側の第2の成形部分2の凸部4の間に形成された切欠き5内に押し込まれる。第1の成形部分1の凸部3に対する凸部4の傾斜位置によって、凸部3が凸部4の抵抗に抗して切欠き5内に滑り込む。運動によって、凸部3,4の表面に摩擦熱が発生する。この場合、この摩擦熱は成形部分1,2によって伝達することができる。
【0038】
図2には、潜熱蓄熱器の横断面図が例示してある。この潜熱蓄熱器は当該装置に結合することができ、発生させられた摩擦熱を吸収する。
【0039】
潜熱蓄熱器は、顕微鏡でしか見ることができないほど小さなプラスチックボール6を有している。このプラスチックボール6はそのコアに、ワックスから成る蓄熱媒体を有している。温暖作用または寒冷作用時には、ワックスがプラスチックボール6内で融解するかもしくは凝固する。
【0040】
当該装置が熱を発生させると、潜熱蓄熱器がこの熱を吸収し、熱が低下すると、潜熱蓄熱器が熱を放出する。相変化の間、温度はコンスタントなままである。プラスチックボール6は担持物質7、たとえばアクリレート内に結合されている。
【0041】
図3には、本発明の使用分野として、靴に用いられるソール構造体が断面図で示してある。熱を発生させる装置は、ミッドソール8の踵領域に組み込まれている。図4には、踵インサートが平面図で示してある。リブはここでも環状に延びている。この発熱器が走行(ランニング)運動時に最大7℃だけ暖められることが試してみて分かった。
【0042】
図5には、別のソール構造体が断面図で示してある。ソールの上側部分9は、下向きに突出した、コンパクトであるものの、にもかかわらず、フレキシブルな凸部10を有している。ソールの下側部分11の材料は、内向きに突入した凹部12を有している。この凹部12は凸部10に対して所定の傾角を成して配置されている。下側部分11と凹部12とは粗い表面13を有している。この肌理(きめ)は材料載着体、たとえばフェルト状の層または表面構造化によって得ることができる。下側部分11と上側部分9とは、図6から一層良好に認めることができるように、側方でヒンジ14によって互いに結合されている。上側部分9と下側部分11との折畳みによって、両部分9,11が重なり合って位置するように配置され、クロージャ15によって互いに結合される。図6および図7のように示した湾曲させられた形状によって、上側部分9と下側部分11とが折り畳まれた後、中空室16が形成される。履き心地を向上させるために、解剖学的に成形されたインソール17がソール構造体の上方に取り付けられた。
【0043】
上側部分9と下側部分11とが、たとえば踵での接地によって押し合わされると、凸部10が、斜めの角を成して配置された凹部12内に押し込まれる。凸部10に対する凹部12の傾斜位置によって、僅かにフレキシブルな凸部10は、粗い表面13の抵抗に抗した圧着圧と、凸部10の撓みとによってしか凹部12内に滑り込むことができない。圧着圧と運動(粗い表面13の抵抗に抗した滑込み)との組合せは、凸部10の滑らかな表面に摩擦熱を発生させる。
【0044】
凸部10は、ピストンのように常に凹部12内に位置していて、この凹部12内で昇降運動させられるように配置されていてもよい。
【0045】
圧着圧によってかもしくは足での接地時には、上向きに湾曲させられたソール構造体が、材料のフレキシビリティによって全ソール構造体の変形に基づき下向きに押圧される。押し合わせによって、中空室16内に位置する空気が、上側部分9だけでなく下側部分11にも位置する空気抜き開口18と、インソール17に位置する空気抜き孔19とを通って逃げ出す。
【0046】
たとえば足の持上げ時の力の取戻しによって、ソール構造体がその材料特性、スペーサまたは閉じ込められた空気と、その形状とによって当初の位置に戻る。上側部分9と下側部分11との張力によって、凸部10が、粗い表面13の抵抗と、斜めの進出角とに抗して凹部12から引き出される。張力によって、凸部10と凹部12との表面に摩擦熱が発生する。中空室16が増大させられ、空気が空気抜き開口18とインソール17の空気抜き孔19とを通して吸い込まれる。
【0047】
図9には、凸部10の構造に対する第2の構成が示してある。凸部10は、ここでは、ピン状の形で付与されている。さらに、図9には、凸部10と、凹部12、ここでは、ピン状の凸部10が接地時に滑り下りる面との協働が示してある。
【0048】
ソール構造体をミッドソール20に嵌め込むことができるようにするためには、ソール構造体が、ミッドソール20の材料から成る載着縁部22に載置するように、ミッドソール20に切欠き21が形成された。ソール構造体の下方に位置する室は、ソール構造体が、たとえば歩行(ウォーキング)時に生ぜしめられるような力作用によって下向きに押圧される場合に、ソール構造体の押下げのための十分なスペースを提供している。ミッドソール20の下面には、アウトソール23が被着される。このアウトソール23は、慣用の耐摩耗性の材料、たとえばゴム複合体から成っている。インソール17の下面には、スペーサ24が位置している。このスペーサ24は空気抜き開口18の永続的な閉鎖を阻止する。同時に、上側部分9と、下側部分11と、粗い表面13の抵抗と凹部12の斜めの進入角とに抗した凸部10の相対運動とは、たとえば歩行時にソール構造体に作用するような力の大部分を吸収する。(上側部分9と下側部分11との間の中空室16の充填時には、閉じ込められたガスまたは閉じ込められた液体によっても)。運動エネルギの一部が摩擦熱に変換される。ソール構造体が吸収することができない力の部分は、液体25で充填された、ジグザグ状に配置されたチューブ26の可撓性の圧縮性の材料と、ミッドソール20ならびにアウトソール23の可撓性の圧縮性の材料とによって吸収される。チューブ26の圧縮によって、このチューブ26内に位置する液体25が、2つの一方向通流開口27を通って、チューブ26の、足前方領域に位置する同じくジグザグ状に配置された部分に押し込まれる。図12には、下側部分11内に埋め込まれたチューブ26の経過が示してある。力作用の取戻しによってかもしくは足の持上げまたは進行時には、凸部10が凹部12から、摩擦熱を発生させて引き出され、上側部分9と下側部分11とがその弾性的な材料特性によって初期位置に戻り、同時に、たとえば足が反発される。上側部分9と下側部分11との間に位置する中空室16が増大させられる。サクション作用によって、空気が空気抜き開口18とインソール17の空気抜き孔19とを通って流れる。空気は靴内部から中空室16内に吸い込まれる。チューブ26はそのフレキシビリティに基づき当初の形状に引き戻される。サクション作用が生ぜしめられる。予め足前方領域に押し込まれた液体25は、チューブ26の材料のサクション作用だけでなく、足前方領域への重量移動によっても踵領域に押し戻される。なぜならば、足前方領域におけるチューブ26の部分だけでなく、踵領域におけるチューブ26の部分もその各端部に一方向通流開口27を備えているからである。この一方向通流開口27は、それぞれ同じ方向への液体25の通流しか許容しない。この液体25は、たとえば走行時に生ぜしめられる運動エネルギによって促進されて、血液循環に匹敵して一方向に流れる。循環する液体25によって、発生させられた熱が靴の任意の箇所で伝達される。したがって、いまや、たとえば熱を甲、つま先または長靴胴部に伝達することが可能となる。チューブ26の破裂は、循環路内に閉じ込められた気泡によって阻止される。この気泡は、全足面にわたって作用する極めて強い圧力で圧縮され、したがって、チューブ26または一方向通流開口27の破裂を阻止する。
【0049】
チューブ26は溶融接着剤点によってミッドソール20に固定することができる。上側部分9および/または下側部分11の材料からチューブ26のための保持装置が形成されていることも可能である。チューブ26の保持を必要としない配置は、このチューブ26が、環状のチューブ経過を残したまま、上側部分9と下側部分11との部分的な接着または溶接によって結合される場合に生ぜしめられる。
【0050】
本発明によるソール構造体を備えた靴をより暖かい温度でも使用することができるようにするかまたは本発明によるソール構造体を損耗の理由から取り換えるためには、ソール構造体を切欠き21から取外し、新たなソール構造体に交換するかまたは変えられた特性、たとえばより僅かな発熱および/または集中的な通気を有するソール構造体に交換することが可能である。発熱を低下させることができる可能性は、上側部分9と下側部分11とに位置する開口29内への差込みによる結合ピン28の挿入にある。この結合ピン28はかかり30を有している。このかかり30には、上側部分9と下側部分11とが互いに結合することができる。結合ピン28の構成に応じて、運動半径が減少させられ、したがって、発熱が低下させられるかまたは完全に阻止される。結合ピン28の上側には、切込み31が位置している。この切込み31によって、結合ピン28を、たとえばコインによって回転させることができる。開口29がスリット状に形成されてる場合には、かかり30が結合ピン28の回転によって係合し、ソール構造体を簡単な引出しによって取り外すことができる。差し込まれた結合ピン28が膨出しないように、上側部分9は開口29の箇所に材料切欠き32を備えている。
【0051】
ミッドソール20および場合によりソール構造体に固く結合された靴上側部分33は、この使用事例に対して一般的な材料、たとえば皮革または繊維織物から成っている。
【0052】
靴の使用分野に応じて、ソール構造体の材料厚さと、チューブ26の材料厚さと、一方向通流開口27の材料厚さとがそれぞれ異なっていてよい。たとえば、レジャ用靴の履き心地に対しては、発熱する特性が通常の歩行時に最大の作用を達成することが所望されている。このことは、より肉薄のもしくはより弾性的な材料選択によって達成される。これに対して、運動靴では、むしろ、熱周辺分配の最大値と、運動活動時、たとえばジョギング、全力疾走時の発熱と、通常の歩行時だけでないかもしくはすでに通常の歩行時の発熱とが達成されることが所望されている。このことは、ソール構造体と、チューブ26と、一方向通流開口27とを形成する材料によって達成される。この材料は、極端な負荷時、たとえば跳躍後の足の着地時に初めて、摩擦熱と熱周辺分配との最大値を達成する。
【0053】
ソール構造体は、有利には射出成形法で、たとえば安定性の可撓性のプラスチック、たとえばナイロンまたはPETから成る部分から形成される。
【0054】
図13に示した本発明の別の構成では、ソール構造体に少なくともそれぞれ1つの入口弁34と出口弁35とが位置している。この入口弁34と出口弁35とは同一に形成されていてよいものの、中空室16に対して異なる方向で組み付けられている。ソール構造体が、たとえば足の持上げ時に負荷軽減されると、上側部分9と下側部分11との間に位置する中空室16が増大させられる。負圧が生ぜしめられる。靴内室に接続された出口弁35が閉鎖される。外気は、たとえばミッドソール20内に挿入された入口弁34を通って中空室16内に流れることができる。外気の温度に応じて、ソール構造体を形成する材料のフレキシビリティが変えられる。外気の温度が低い場合には、材料のフレキシビリティが減少する。これによって、凸部10が凹部12内に滑り込む抵抗が高められる。高い程度で摩擦熱が発生させられる。この摩擦熱は、中空室16内に位置する新空気を暖める。ソール構造体が、たとえば足の下ろし時に負荷されると、中空室16が減少させられる。正圧が生ぜしめられる。たとえばミッドソール20の材料に位置する入口弁34が閉鎖され、暖められた新空気が出口弁35を通って靴内室に流れる。
【0055】
これに対して、外気の温度が高いかまたはソール構造体がすでに摩擦熱によって暖められた場合には、ソール構造体の材料、特に凸部10の材料がフレキシブルになる。これによって、凸部10が凹部12内に滑り込む抵抗が減少させられ、より僅かな程度で摩擦熱が発生させられる。
【0056】
この材料特性によって、ソール構造体の発熱が自動的に調整される。外気は、必要に応じて、この外気が靴内室に圧送される前に自動的に暖められる。
【0057】
ソール構造体内への水および/または汚物の侵入は、たとえばマイクロ繊維層によって阻止される。
【0058】
感温性は、凸部10が、図15および図1に示したように、薄板の形に形成されている場合に一層向上させることができる。
【0059】
図14および図15には、薄板のほかに、同時に、本発明によるソール構造体によって提供される、熱を発生させるインソールを製作するための可能性が示してある。図14には、このようなインソールが平面図で示してあり、図15には、断面図で示してある。
【0060】
この場合、上側部分9と下側部分11とはフレキシブルなプラスチックから成っている。ソール構造体が、たとえば足の下ろし時に負荷されると、上側部分9と下側部分11との間のスペーサ36が圧縮される。上側部分9は、薄板として形成された凸部10が凹部12内に滑り込む抵抗によって降下し、摩擦熱が発生させられる。ソール構造体が摩擦熱によって暖められている場合には、ソール構造体の材料、特に凸部10の材料がフレキシブルになる。これによって、凸部10が凹部12内に滑り込む抵抗が減少させられる。このことは、不変の発熱を生ぜしめる。最高温度は、負荷インターバルと無関係に上回られない。ソール構造体が、たとえば足の持上げ時に負荷軽減されると、スペーサ35が膨張し、上側部分9が持ち上げられる。これによって、凸部10が凹部12から押圧される。上側部分9に位置する、有利にはパーフォレーションとして形成された空気抜き開口18を通して、摩擦熱をより迅速にかつより均一に靴内室にもしくは足に放出することができる。インソールの面にわたって、それぞれ異なる温度領域を配置することも提案されていてよい。このことは、凸部10および/または凹部12が異なる形式で提供されていることによって達成されている。上側部分9と下側部分11とは、有利には接着または熱可塑性の融着によって互いに結合されている。
【0061】
図16には、成形部分1,2の構造化の別の形状が示してある。構造体は、ここでは、フラットな円弧状の凸部37,38によってしか形成されない。この凸部37,38はその屈曲点で互いに接触していて、そこに、上下運動時に摩擦熱を発生させる。
【0062】
図17および図18には、突起状の凸部39,40を備えた成形部分1,2の別の構成が示してある。凸部39,40は所定のパターン寸法だけ相互にずらされている。凸部39,40の間には、さらに小さな凸部41,42が位置している。この配置の利点は、両成形部分1,2が同じ構造を有していて、同じ部分を成すことができるかまたは共通の素材から切り出すことができることである。
【0063】
図19および図20には、エアクッションとして形成された装置が示してある。成形部分1,2はその縁部43で溶接されており、これによって、空気密な中空室が形成される。このような形式のエアクッションは、専ら成形部分1,2の弾性によって付与される戻り力を備えたような装置よりも著しく高い戻り力を発生させる。
【0064】
より大きな蓄熱を得るためには、中空室がゲルまたは液体でも充填されてもよい。
【0065】
図21には、別の構成が示してある。ここでは、上側の成形部分1に設けられた凸部3に向かい合って、交差して配置された突起44が位置している。この突起44も同じく高い戻り力を有している。
【0066】
図22および図23には、樽状の凸部3,4を備えた装置が示してある。この凸部3,4もやはり環状に配置されていてよいかまたはパターン状に配置された突起として付与されてよい。
【0067】
図24によれば、凸部3,4が割かれている。この手段の利点は、戻り力が、摩擦面でのプラスチック材料の摩耗時に後調整を生ぜしめることである。自己調整効果も助成される。この装置もやはり、閉じられた構造体として形成されていてよく、場合により、ゲル、ガスまたは液体で充填されていてよい。
【0068】
図25および図26には、さらに、1つの変化形が示してある。上側の成形部分1に設けられた凸部3がブラシ状の延長部45で終わっている。この延長部45は、成形部分1,2の接近運動時に側方に移動させられる。
【0069】
図27には、成形部分1,2を間隔を置いて配置するためのスペーサ46が示してある。このスペーサ46はスリーブ47として形成されている。このスリーブ47内では、ばね48が所要の戻り力のために働く。
【0070】
図28および図29には、凸部3および/または凸部4の表面構造に対する1つの例が示してある。この表面構造は鱗状の形(鱗状体54)を有していて、したがって、摩擦抵抗を著しく高める。
【0071】
図30には、自転車サドルの横断面図が示してある。この自転車サドル内には、発熱のための本発明による装置が組み込まれている。この装置は、自転車サドルが被る永続的な運動によって、この自転車サドルが低い温度でも快適に暖かいままであることを生ぜしめる。自転車サドルは、発熱のための装置を取り外すことができ、これによって、より暖かい外温時に発泡材料コアによって置き換えることができるように形成されていてよい。
【0072】
図31には、さらに、発熱のための組み込まれた装置を備えた自転車ハンドグリップの横断面図が示してある。このハンドグリップは、走行時の振動運動によって押圧され、この場合、弾性変形させられる場合に暖められる。
【0073】
図32には、ここでは、交換可能なインソールの一部として形成された成形部分が示してある。使用されるインソールに応じて、靴の履き特性を変えることができる。固定インソールには、インソールをクロージャ、たとえば摩擦接続面もしくは面ファスナまたは機械的なクロージャによって結合することができる。有利には、成形部分1,2はその縁部にシール部53を有している。このシール部53によって、空気抜き孔19を介した空気循環が可能となる。
【0074】
凸部3,4は、ここでは、波状に配置されている。これによって、摩擦抵抗が著しく高められる。
【0075】
下側の成形部分2は靴ソールの固定の構成部分であってよい。
【0076】
図33には、繊維製品、たとえば、ここでは、手袋への可能な使用領域が示してある。成形部分1は、ここでは、外側から載着されていて、別の成形部分1に交換することができる。手袋は、たとえば作業用手袋またはスキー用手袋であってよい。
【0077】
図34には、熱を発生させ、足を通気し、同時に衝撃吸収式に作用する靴固定インソールの、複数の部分から成る構造体が示してある。
【0078】
この構造体は中間に接続管50を有している。この接続管50内には、抵抗49が位置している。この抵抗によって、後方の足領域から前方の足領域への押し退けられた空気のコントロールされた逃出しが可能となる。これによって、衝撃吸収式の特性が足後方の領域で変えられる。
【0079】
前方の領域から、予め圧入された空気が、足前方領域に設けられた空気抜き孔19を介して逃げ出す。これは、特に寒さに対して敏感なつま先が暖められるという利点を有している。
【0080】
後方の領域は、足の持上げ時に周辺空気を吸い込む。汚物または水の侵入を阻止するために、空気流入開口がダイヤフラム48で閉鎖された。後方の領域の負荷軽減時に吸い込まれる空気量には、絞り弁52によって影響を与えることができる。これによって、適切な熱制御が可能となる。入口弁34は、外方への吸い込まれた空気の逃出しを阻止する。
【0081】
図35には、装置が図1に類似して示してある。この装置は、下方に位置する成形部分2の下方に絶縁層51が配置されていることしか図1と異なっていない。この絶縁層51は、発生させられた熱を身体方向に反射する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明による装置の横断面図である。
【図2】所属の潜熱蓄熱器の横断面図である。
【図3】本発明により製作された靴のソール構造体の横断面図である。
【図4】踵領域に設けられた図3に示したソール構造体の平面図である。
【図5】本発明により製作された靴のソール構造体の別の構成の横断面図である。
【図6】まだ折り畳まれていない上側部分と下側部分とを備えた、踵領域に使用するために設けられた本発明によるソール構造体の断面図である。
【図7】折畳み後の図6に示したソール構造体の断面図である。
【図8】挿入された結合ピンによって互いに結合された上側部分と下側部分とを備えた、踵領域に使用するために設けられたソール構造体の平面図である。
【図9】本発明によるソール構造体の別の構成の断面図である。
【図10】結合ピンの断面図である。
【図11】結合ピンの平面図である。
【図12】ソール内に発生させられた熱を搬送するためのチューブと所属の弁との配置形式を示す図である。
【図13】空気抜き開口のための入口弁と出口弁とを備えたソール構造体の構成を示す図である。
【図14】本発明により形成されたインソールを示す図である。
【図15】図14に示したインソールの断面図である。
【図16】本発明による装置の別の構成の横断面図である。
【図17】装置のさらに1つの変化形を押し合わされた状態で示す図である。
【図18】図17に示した変化形を分離された状態で示す図である。
【図19】エアクッションとして形成された装置の平面図である。
【図20】図19に示したエアクッションの断面図である。
【図21】凸部の別の形状を備えた1つの変化形を示す図である。
【図22】凸部の特殊な形状を備えた別の変化形を、成形部分の分離された状態で示す図である。
【図23】図21に示した変化形を、成形部分の押し合わされた状態で示す図である。
【図24】図22に示した構成の変化形を示す図である。
【図25】凸部の別の特殊な形状を備えた変化形を、成形部分の分離された状態で示す図である。
【図26】図25に示した変化形を、成形部分の押し合わされた状態で示す図である。
【図27】成形部分に用いられるスペーサを示す図である。
【図28】凸部の表面に対する1つの例の平面図である。
【図29】表面の側面図である。
【図30】1つの使用例として本発明による装置を備えた自転車サドルの断面図である。
【図31】自転車に用いられる、本発明による装置を備えた操舵グリップの横断面図である。
【図32】熱を発生させる装置を備えたインソールに対する1つの例を示す図である。
【図33】装置を備えた手袋を示す図である。
【図34】装置を備えた靴固定インソールの、複数の部分から成る構造を示す図である。
【図35】付加的な絶縁層を備えた図1に類似の装置を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 成形部分、 2 成形部分、 3 凸部、 4 凸部、 5 切欠き、 6 プラスチックボール、 7 担持物質、 8 ミッドソール、 9 上側部分、 10 凸部、 11 下側部分、 12 凹部、 13 表面、 14 ヒンジ、 15 クロージャ、 16 中空室、 17 インソール、 18 空気抜き開口、 19 空気抜き孔、 20 ミッドソール、 21 切欠き、 22 載着縁部、 23 アウトソール、 24 スペーサ、 25 液体、 26 チューブ、 27 一方向通流開口、 28 結合ピン、 29 開口、 30 かかり、 31 切込み、 32 材料切欠き、 33 靴上側部分、 34 入口弁、 35 出口弁、 36 スペーサ、 37 凸部、 38 凸部、 39 凸部、 40 凸部、 41 凸部、 42 凸部、 43 縁部、 44 突起、 45 延長部、 46 スペーサ、 47 スリーブ、 48 ばね、 49 抵抗、 50 接続管、 51 絶縁層、 52 絞り弁、 53 シール部、 54 鱗状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動エネルギを熱に変換するための装置において、運動の主方向に連続して配置された2つの成形部分(1,2)が設けられており、両成形部分(1,2)のうち、少なくとも一方の成形部分が、ポリマプラスチックから成っていて、弾性的に可動であり、両成形部分(1,2)が、互いに向かい合って位置する側の面で構造化されており、これによって、成形部分(1,2)の接近運動時に、摩擦熱を発生させる面摩擦が生ぜしめられるようになっていることを特徴とする、運動エネルギを熱に変換するための装置。
【請求項2】
第1の成形部分(1)が、リブ状のまたは突起状の凸部(3)を有しており、該凸部(3)が、向かい合って位置する、第2の成形部分(2)の凸部(4)の間に設けられた切欠き(5)内に係合するようになっており、これによって、第1の成形部分(1)と第2の成形部分(2)との、向かい合って位置する凸部(3,4)が、互いに摩擦するようになっている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
凸部(3,4)が、樽状に形成されている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
凸部(3,4)が割かれている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
第1の成形部分(1)の凸部(3)が、突起状に形成されていて、第2の成形部分(2)の、交差して配置された突起(44)の間に係合するようになっている、請求項1または2記載の装置。
【請求項6】
一方の成形部分(1,2)の凸部(3)が、ブラシ状の延長部(45)で終わっている、請求項1または2記載の装置。
【請求項7】
凸部(3)と、向かい合って位置する切欠き(5)とが、互いに異なる傾角を有している、請求項1または2記載の装置。
【請求項8】
凸部(3)と、向かい合って位置する切欠き(5)とが、環状に設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
第1の成形部分(1)と第2の成形部分(2)との間に形成された中空室が、空気、ガス、ゲル、粉末または液体で充填されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
凸部(3)と、向かい合って位置する切欠き(5)とが、縞状に設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
少なくとも一方の成形部分(1;2)の表面(13)が粗面化されているかまたは自体構造化されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
成形部分(1,2)の少なくとも一方が、熱を蓄える材料に結合されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
熱を蓄える材料が、マイクロカプセル封じされた蓄熱媒体を備えた潜熱蓄熱器である、請求項12記載の装置。
【請求項14】
潜熱蓄熱器が、インジケータインキを備えている、請求項13記載の装置。
【請求項15】
第1の成形部分(1)と第2の成形部分(2)とが、負荷されていない状態で少なくとも部分的に互いに間隔を置いて配置されている、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
第1の成形部分(1)と第2の成形部分(2)とが、スペーサ(36)によって互いに間隔を置いて配置されている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
第1の成形部分(1)と第2の成形部分(2)とが、一体に製作されていて、ヒンジ(14)で結合されている、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
第1の成形部分(1)と第2の成形部分(2)とが、クロージャ(15)によって互いに結合されている、請求項17記載の装置。
【請求項19】
第1の成形部分(1)と第2の成形部分(2)とが、互いに接着されている、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
第1の成形部分(1)と第2の成形部分(2)とが、熱可塑性の融着によって互いに結合されている、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項21】
成形部分(1,2)の少なくとも一方が、インジケータインキを備えている、請求項1から20までのいずれか1項記載の装置。
【請求項22】
成形部分(1,2)が、弾性的なプラスチックから成っている、請求項1から21までのいずれか1項記載の装置。
【請求項23】
成形部分(1,2)の材料の内部に線材および/または金属粉末の形の金属が位置している、請求項1から22までのいずれか1項記載の装置。
【請求項24】
成形部分(1,2)が、電気活性のまたは熱活性のポリマから成っている、請求項1から23までのいずれか1項記載の装置。
【請求項25】
当該装置が、靴に用いられるソール構造体の一部であり、第1の成形部分(1)が、弾性的に形成された上側のソール部分(9)を形成しており、第2の成形部分(2)が、下側のソール部分(11)を形成しており、両ソール部分(9,11)が、少なくとも靴の踵領域に設けられている、請求項1から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項26】
下側のソール部分(11)の内部にまたは下方に、踵領域から少なくとも靴の別の部分にまで延びる、液体(25)で充填されたチューブ(26)が位置しており、該チューブ(26)の環状の経過に、少なくとも1つの一方向通流開口(27)が配置されている、請求項25記載の装置。
【請求項27】
チューブ(26)が、弾性的な材料から成っている、請求項26記載の装置。
【請求項28】
チューブ(26)が、潜熱蓄熱器に結合されている、請求項26または27記載の装置。
【請求項29】
チューブ(26)が、インジケータインキを備えている、請求項26から28までのいずれか1項記載の装置。
【請求項30】
靴の別の部分が、足前方領域、つま先領域、甲領域またはふくらはぎ領域である、請求項26から29までのいずれか1項記載の装置。
【請求項31】
上側のソール部分(9)と下側のソール部分(11)とが、別のソール部分(20)内に埋め込まれている、請求項25から30までのいずれか1項記載の装置。
【請求項32】
上側のソール部分(9)と下側のソール部分(11)とが、別のソール部分(20)に設けられた載着縁部(12)に保持されている、請求項31記載の装置。
【請求項33】
上側のソール部分(9)と下側のソール部分(11)とが、互いに結合されて、インソールを形成している、請求項25から32までのいずれか1項記載の装置。
【請求項34】
上側のソール部分(9)と下側のソール部分(11)とが、馬蹄状に形成されている、請求項25から33までのいずれか1項記載の装置。
【請求項35】
上側のソール部分(9)と下側のソール部分(11)とが、空気抜き開口(18)を有している、請求項25から34までのいずれか1項記載の装置。
【請求項36】
空気抜き開口(18)が、少なくとも1つの弁で閉鎖されている、請求項35記載の装置。
【請求項37】
空気抜き開口(18)が、少なくとも1つの入口弁(34)と出口弁(35)とで閉鎖されている、請求項36記載の装置。
【請求項38】
上側のソール部分(9)と下側のソール部分(11)とが、結合エレメント(28)に結合可能である、請求項25から37までのいずれか1項記載の装置。
【請求項39】
結合エレメント(28)が、方形のかかり(30)を有しており、該かかり(30)が、下側のソール部分(11)に設けられたスリット状の切欠き(29)の背後に係合するようになっている、請求項38記載の装置。
【請求項40】
上側のソール部分(9)と下側のソール部分(11)とが、接着によって互いに結合されている、請求項25から37までのいずれか1項記載の装置。
【請求項41】
上側のソール部分(9)と下側のソール部分(11)とが、熱可塑性の融着によって互いに結合されている、請求項25から37までのいずれか1項記載の装置。
【請求項42】
上側のソール部分(9)の上方に、解剖学的に成形されたインソール(17)が配置されている、請求項25から41までのいずれか1項記載の装置。
【請求項43】
インソール(17)が、空気抜き孔(19)を有している、請求項42記載の装置。
【請求項44】
インソール(17)が、その下面にスペーサ(24)を有している、請求項43記載の装置。
【請求項45】
チューブ(26)が、ソール部分(9,11)の部分的な溶接または接着によって製作されている、請求項26から44までのいずれか1項記載の装置。
【請求項46】
ソール部分(9,11)の材料から、チューブ(26)のための保持装置が形成されている、請求項26から45までのいずれか1項記載の装置。
【請求項47】
ソール部分(9,11)が、少なくとも部分的に硬質ゴムから成っている、請求項25から46までのいずれか1項記載の装置。
【請求項48】
ソール部分(9,11)が、少なくとも部分的にナイロンから成っている、請求項25から47までのいずれか1項記載の装置。
【請求項49】
ソール部分(9,11)が、少なくとも部分的にEVAから成っている、請求項25から47までのいずれか1項記載の装置。
【請求項50】
ソール部分(9,11)が、少なくとも部分的に炭素繊維複合体から成っている、請求項25から47までのいずれか1項記載の装置。
【請求項51】
当該装置が、自転車サドルの構造体の一部である、請求項1から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項52】
当該装置が、馬に用いられる鞍の構造体の一部である、請求項1から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項53】
当該装置が、自転車ハンドグリップの構造体の一部である、請求項1から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項54】
当該装置が、手袋の構造体の一部である、請求項1から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項55】
当該装置が、靴上側部分の構造体の一部である、請求項1から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項56】
成形部分(1,2)の少なくとも一方が、熱を断熱する材料(51)に結合されている、請求項1から55までのいずれか1項記載の装置。
【請求項57】
成形部分(1,2)の少なくとも一方が、インソール(17)の構成要素である、請求項1から56までのいずれか1項記載の装置。
【請求項58】
運動エネルギを熱に変換するための方法において、少なくとも一方が弾性的なポリマプラスチックから成る2つの成形部分の、向かい合って位置する構造化された面を介した、該構造化された面相互の摩擦による運動エネルギを熱に変換することを特徴とする、運動エネルギを熱に変換するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公表番号】特表2007−537806(P2007−537806A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517116(P2007−517116)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005771
【国際公開番号】WO2005/114063
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(506387856)
【氏名又は名称原語表記】Michael C. Dehn
【住所又は居所原語表記】Schuetzenstrasse 47, D−22761 Hamburg, Germany
【Fターム(参考)】