説明

運動支援装置、運動支援方法およびプログラム

【課題】運動レッスンにかかる時間を調整することができる運動支援装置、運動支援方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】運動レッスンに含まれるコリオの1回の実行時間(LRTi)が、所望するテンポ(SelectedBPM)が設定されることにより、基準テンポ(100BPM)に対し変更(LCTi)される(S62)。コリオそれぞれの繰返回数(LCi)を、コリオの実行時間の総和である運動レッスンにかかる時間(Sum+LCTi)が希望時間(LT)を超えない範囲で(S63:YES)、最大に増やす(S65)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体部位を動作させる運動動作を支援する運動支援装置、運動支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身体部位を動作させる運動動作の映像を、例えばモニタやスクリーンなどの所定の表示部に表示し、ユーザの運動を支援する運動支援装置が知られている。表示部に表示される運動動作の映像には、例えば、コンピュータグラフィックス(CG)により生成したキャラクタに運動の模範動作をさせて生成した映像が用いられる。また、運動動作の映像の表示とともに、運動動作に応じたテンポ(動作の節となるタイミング)の楽曲が再生され、ユーザは、楽曲に合わせてタイミングを取りながら、運動動作の映像に従い運動を行う。
【0003】
運動支援装置は、例えばフィットネスクラブなどのスポーツ施設に設置され、インストラクタによる指導のもとで、ユーザの運動が行われる。また、インストラクタによって、ユーザの運動目的や運動経験に応じて適切な運動動作を組み合わせた運動レッスンが作成される。ユーザは、運動レッスンに従って運動動作を行うことで、効率よくエクササイズを行うことができる。
【0004】
ところで、運動動作を行う速さが、ユーザによっては、速すぎたり遅すぎたりする場合がある。そこで、ユーザの体力レベルに応じて運動動作のテンポを調整することができる運動支援装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−82055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、運動動作のテンポを調整すると、運動レッスンにかかる時間が変化し、運動レッスンが、終了予定時間よりも長引いたり早く終わってしまったりすることがあり、インストラクタが一日のスケジュールを組みにくいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、運動レッスンにかかる時間を調整することができる運動支援装置、運動支援方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様によれば、身体部位を動作させる運動動作を支援する運動支援装置であって、前記運動動作を表す運動情報を少なくとも1種類以上組み合わせてなる、少なくとも1種類以上のレッスン情報を記憶する記憶手段と、前記レッスン情報に表される運動レッスンに従い前記運動動作が行われる際の速さを示す速度情報を取得する第1取得手段と、前記運動動作が含まれる前記運動レッスンを行う所望の時間を示す所望レッスン時間情報を取得する第2取得手段と、前記第1取得手段によって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行う場合に、前記記憶手段に記憶された1種類以上の前記レッスン情報のなかから、前記第2取得手段によって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間内で前記運動レッスンを行うことが可能な前記レッスン情報を取得する第3取得手段と、前記第3取得手段によって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作ごとに、前記第1取得手段によって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行った場合にかかる時間を示す運動時間情報を決定する決定手段と、前記運動レッスンにかかる時間が、前記第2取得手段によって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間以内となり、且つ、前記第3取得手段によって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作にかかる時間がそれぞれ最大となるように、前記決定手段によって決定された前記運動時間情報に示される時間を前記運動動作ごとに調整する調整手段と、を備える運動支援装置が提供される。
【0009】
本発明の第1態様では、速度情報に示される速さの如何によらず、運動レッスンにかかる時間を、所望レッスン時間情報に示される時間以内とすることができる。よって、運動レッスンを実施する計画を、予定を管理する時間割に沿って立てやすくなる。また、運動レッスンに含まれる運動動作にかかる時間がそれぞれ最大となるようにすることができるので、運動動作にかかる時間が短くなって十分な運動の効果を得られなくなることがなく、所望レッスン時間情報に示される時間以内で時間を有効利用して効率よく運動を行うことができる。
【0010】
第1態様において、前記調整手段は、前記運動レッスンにかかる時間が前記所望レッスン時間情報に示される時間以内となり、且つ、前記運動レッスンに含まれる前記運動動作のそれぞれについて、前記運動時間情報に示される時間で行われる1回の前記運動動作を繰返して行う繰返回数が最大となるように、前記繰返回数を調整してもよい。運動動作の繰返回数を、運動動作のそれぞれについて調整することにより、運動レッスン全体を通しての一通りの運動動作の実行を一回とする調整を行った場合と比べ、より細かな時間調整ができる。よって、所望レッスン時間情報に示される時間以内で時間を有効利用して効率よく運動レッスンを行うことができる。
【0011】
第1態様において、前記調整手段は、前記運動レッスンに含まれる前記運動動作を、実行順に指定する指定手段と、前記指定手段によって指定された前記運動動作の前記運動時間情報に示される時間を、前記運動レッスンにかかる実際の時間を示す実レッスン時間情報に加算し、前記実レッスン時間情報と前記所望レッスン時間情報とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、前記実レッスン時間情報よりも前記所望レッスン時間情報が大きい場合、前記指定手段によって指定された前記運動動作の前記繰返回数を、1増加する増加手段と、を備えてもよい。運動動作ごとに、実レッスン時間情報を所望レッスン時間情報と比較しつつ繰返回数を増やすことができるので、実レッスン時間情報に示される時間が、確実に、所望レッスン時間情報に示される時間以内となるようにすることができる。
【0012】
第1態様において、前記運動動作が行われる際の速さを示す前記速度情報は、所定の時間間隔で動作の節となるタイミングを拍として数える拍数によって示される情報であってもよい。速度情報を拍数によって示される情報とすることで、速度情報の変更により運動レッスンにかかる時間を調整しても、動作の節は変わらないので、身体部位を動作させる運動動作を行う上でのタイミングを取りやすい。
【0013】
第1態様において、前記レッスン情報は、前記運動レッスンの開始時期に行われるウォーミングアップ運動に対応する前記運動動作を示す前記運動情報と、前記運動レッスンの終了時期に行われるクールダウン運動に対応する前記運動動作を示す前記運動情報と、前記運動レッスンにおける主要な運動であるメイン運動に対応する前記運動動作を示す前記運動情報と、を含み、前記調整手段は、前記メイン運動に対応する前記運動動作にかかる時間を調整してもよい。ウォーミングアップ運動に対応する運動動作は、運動を行う準備のための運動であり、クールダウン運動に対応する運動動作は、運動を終了する準備のための運動であるので、これらの運動動作にかかる時間の調整を行わなければ、ウォーミングアップ運動やクールダウン運動の運動動作にかかる時間を確実に確保することができるので、運動の効果を高めることができる。
【0014】
本発明の第2態様によれば、身体部位を動作させる運動動作を表す運動情報を少なくとも1種類以上組み合わせてなる、少なくとも1種類以上のレッスン情報を記憶する記憶手段を備えるコンピュータで実行され、前記運動動作を支援する運動支援方法であって、前記レッスン情報に表される運動レッスンに従い前記運動動作が行われる際の速さを示す速度情報を取得する第1取得ステップと、前記運動動作が含まれる前記運動レッスンを行う所望の時間を示す所望レッスン時間情報を取得する第2取得ステップと、前記第1取得ステップによって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行う場合に、前記記憶手段に記憶された1種類以上の前記レッスン情報のなかから、前記第2取得ステップによって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間内で前記運動レッスンを行うことが可能な前記レッスン情報を取得する第3取得ステップと、前記第3取得ステップによって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作ごとに、前記第1取得ステップによって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行った場合にかかる時間を示す運動時間情報を決定する決定ステップと、前記運動レッスンにかかる時間が、前記第2取得ステップによって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間以内となり、且つ、前記第3取得ステップによって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作にかかる時間がそれぞれ最大となるように、前記決定ステップによって決定された前記運動時間情報に示される時間を前記運動動作ごとに調整する調整ステップと、を含む運動支援方法が提供される。
【0015】
本発明の第3態様によれば、身体部位を動作させる運動動作を表す運動情報を少なくとも1種類以上組み合わせてなる、少なくとも1種類以上のレッスン情報を記憶する記憶手段を備え、前記運動動作を支援する運動支援装置として機能させるためのプログラムであって、コンピュータに、前記レッスン情報に表される運動レッスンに従い前記運動動作が行われる際の速さを示す速度情報を取得する第1取得ステップと、前記運動動作が含まれる前記運動レッスンを行う所望の時間を示す所望レッスン時間情報を取得する第2取得ステップと、前記第1取得ステップによって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行う場合に、前記記憶手段に記憶された1種類以上の前記レッスン情報のなかから、前記第2取得ステップによって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間内で前記運動レッスンを行うことが可能な前記レッスン情報を取得する第3取得ステップと、前記第3取得ステップによって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作ごとに、前記第1取得ステップによって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行った場合にかかる時間を示す運動時間情報を決定する決定ステップと、前記運動レッスンにかかる時間が、前記第2取得ステップによって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間以内となり、且つ、前記第3取得ステップによって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作にかかる時間がそれぞれ最大となるように、前記決定ステップによって決定された前記運動時間情報に示される時間を前記運動動作ごとに調整する調整ステップと、を実行させるプログラムが提供される。
【0016】
第2態様に係る運動支援方法に従う処理をコンピュータで実行することによって、あるいは、第3態様に係るプログラムを実行してコンピュータを運動支援装置として機能させることで、第1態様と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】運動支援装置5の全体の構成を模式的に示す図である。
【図2】レッスンテーブル74を示す図である。
【図3】コリオテーブル75を示す図である。
【図4】モーションテーブル76を示す図である。
【図5】楽曲テーブル77を示す図である。
【図6】レッスン作成処理のフローチャートである。
【図7】標準レッスン時間算出処理のフローチャートである。
【図8】レッスン実行処理のフローチャートである。
【図9】繰返回数決定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について、運動支援装置5を例に、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0019】
まず、図1〜図5を参照し、運動支援装置5の概略的な構成について説明する。図1に示す、運動支援装置5は、例えばフィットネスクラブなどのスポーツ施設4に設置され、モニタ57の表示部67に運動映像を表示して、ユーザ41が身体部位を動作させる運動動作を支援する装置である。運動支援装置5は、図示しないプログラムの実行に従って運動動作を行うキャラクタを映し出した運動映像を生成し、モニタ57の表示部67に表示する。その際に運動支援装置5は、運動映像の表示に合わせて運動動作のテンポに応じた楽曲を再生する。スポーツ施設4のユーザ41は、表示部67に表示された運動映像を手本に、楽曲のテンポに合わせ、各自の身体部位を動作させる運動を行う。
【0020】
運動支援装置5は、周知のパーソナルコンピュータ(PC)により構成され、制御を司るCPU51を備える。CPU51には、バス54を介して、ROM52、RAM53、入出力(I/O)インタフェイス55が接続されている。ROM52は、CPU51が実行するBIOS等のプログラムを記憶する読出し専用の記憶装置である。RAM53は、データを一時的に記憶する読み書き可能な記憶装置である。
【0021】
入出力インタフェイス55には、ハードディスクドライブ(HDD)7、ディスクドライブ58、表示制御部56、音声出力部63、信号受信部65、キーボード61およびマウス62が接続されている。ディスクドライブ58は、例えばCD−ROMやDVD−ROMなど、データが記憶された記憶媒体であるディスクROM59が挿入されると、ディスクROM59からデータやプログラム等の読み込みを行うものである。PCを運動支援装置5として稼働させるためのOSやプログラム等が、ディスクROM59に記憶されて提供される。
【0022】
表示制御部56は、運動支援装置5で稼働されるOSやプログラム等の操作画面や、キャラクタを映し出した運動映像を表示部67に表示するための描画処理を行う。キーボード61、マウス62、リモコン66は、インストラクタ42が、例えば、運動支援プログラム(後述)の実行における情報の入力や操作に用いられる。信号受信部65は、電波や光など周知の手段を用いてリモコン66から出力される信号を受信する。音声出力部63は、キャラクタを映し出した運動映像に合わせて再生される楽曲をスピーカ64から出力する制御を行う。
【0023】
記憶装置であるHDD7には、ディスクROM59から読み出されたOSやプログラム等がインストールされる。なお、OSやプログラム等は、フラッシュROMなど、その他の記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。あるいは、図示しないが、ネットワークインタフェイスを介して接続されるネットワーク上の端末からダウンロードにより提供されてもよい。
【0024】
また、HDD7には、運動支援プログラムや、運動支援プログラムで使用されるデータ等が記憶される。運動支援プログラムについては後述する。運動支援プログラムで使用されるデータ等には、モーションデータ71、楽曲データ72、テーブルデータ73が含まれる。
【0025】
以下、運動支援プログラムで使用されるデータ等について説明する。モーションデータ71は、図示しない、三次元仮想空間内に配置されるキャラクタに、具体的な運動動作を行わせるための小単位の動作(「モーション」という。)を表すデータである。例えば、左右に移動して足踏みをする「サイドステップ」の運動動作は、キャラクタが、「右側に移動」、「その場で足踏み」、「左側に移動」、「その場で足踏み」という小単位の各動作を順に繰り返して行うことによって表現される。それぞれのモーションデータ71には識別のためのモーションIDが割り付けられている。また、モーションデータ71には、キャラクタの各身体部位の座標データ、同様に各身体部位に対応した細部の座標データ、細部に対応したテクスチャデータなども含まれる。
【0026】
楽曲データ72は、楽曲を表すMIDIやWAV、MP3等の形式によるデータである。それぞれの楽曲データ72には識別のための楽曲IDが割り付けられている。次に、テーブルデータ73は、上記のモーションデータ71および楽曲データ72を、運動レッスンに関連付けるための各種テーブルである。具体的に、テーブルデータ73には、図2〜図5に示す、レッスンテーブル74、コリオテーブル75、モーションテーブル76、楽曲テーブル77の4つのテーブルが含まれる。
【0027】
図2に示す、レッスンテーブル74は、運動レッスンを示すレッスンIDと、その運動レッスンに含まれるコリオ(Choreography)を示すコリオIDとが関連付けられたテーブルである。レッスンテーブル74では、レッスンIDに対し、運動レッスンの名称を示すレッスン名と、コリオを運動内容に応じて分類した運動分類を示す運動分類IDと、運動レッスンに含まれるコリオを示すコリオIDと、運動レッスンにかかる時間を示す標準レッスン時間とが対応付けられている。
【0028】
コリオとは、1以上のモーションを組み合わせてなる運動動作をいう。具体的には、上記の例に示す運動動作の「マーチ」が、コリオに相当する。コリオには、識別のためのコリオIDが割り付けられている。運動レッスンとは、所定の運動目的を達成するために効果的な1つ以上のコリオを実行順に行い、一連の運動動作が行われるようにしたものである。運動レッスンは、後述する運動支援プログラムにおいて、インストラクタ42が、所望のコリオを選択して組み合わせることにより作成される。もちろん、あらかじめ作成された運動レッスンがレッスンテーブル74のデータとして提供され、運動支援プログラムのインストールの際に、HDD7に記憶されてもよい。運動レッスンには、識別のためのレッスンIDが割り付けられている。
【0029】
また、運動レッスンに含まれる各コリオは、運動内容に応じて分類されている。例えば、コリオは、「ウォーミングアップ運動」、「メイン運動」、「クールダウン運動」の各運動分類に分類される。ウォーミングアップ運動には、運動レッスンの開始時期に行われる運動に応じたコリオが分類される。クールダウン運動には、レッスンの終了時期に行われる運動に応じたコリオが分類される。そしてメイン運動には、運動レッスンにおける主要な運動に応じたコリオが分類される。各運動分類には、識別のための運動分類IDが割り付けられている。
【0030】
レッスン名は、運動レッスンの名称を示し、後述する運動支援プログラムの実行において、インストラクタ42が所望する運動レッスンを選択する際に、表示部67に表示される。また、運動支援プログラムではインストラクタ42が運動レッスンを作成することができ、その際に、キーボード61等により任意の名称を入力することができる。標準レッスン時間は、運動レッスンに含まれるコリオを構成するモーションのそれぞれに設定されている拍数(後述)をもとに算出される時間である。後述するが、運動支援プログラムでは、運動レッスンにかかる時間を調整することができる。標準レッスン時間は、調整の基準となる運動レッスンにかかる時間を示すものであり、調整を行わない場合にかかる時間の目安となる。標準レッスン時間は、後述する標準レッスン時間算出処理(図7参照)において求められる。
【0031】
次に、図3に示す、コリオテーブル75は、コリオを示すコリオIDと、コリオの名称を示すコリオ名と、コリオを行うことによって鍛えられる身体部位と、コリオを構成するモーションを示すモーションIDと、コリオに含まれるモーションを一通り(1回)実行するのにかかる標準の時間を示す変数LRTi(後述)とが関連付けられたテーブルである。さらに、各コリオを実行する際に再生される楽曲を示す楽曲IDが、コリオIDに対応付けられている。例えば、コリオID「2」のコリオは「サイドステップ」であり、モーションID「3」「4」「5」「6」の各モーションが順に実行されることによって表現される。キャラクタによってサイドステップの運動動作が実行される際には、楽曲ID「1」の楽曲が再生される。そして、ユーザ41がサイドステップの運動動作を行うことによって、脚部を鍛えることができる。また、サイドステップを実行するのにかかる標準の時間は「12」秒である。コリオテーブル75はあらかじめ作成され、運動支援プログラムとともにHDD7にインストールされて提供される。
【0032】
図4に示す、モーションテーブル76は、モーションの名称を示すモーション名と、そのモーションを実行するのにかかる拍数と、個々のモーションをキャラクタに動作させるためのデータの所在(パス)とが関連付けられたテーブルである。例えば、モーションID「3」のモーションは、例えば右側に移動する「サイドステップA」であり、その動作を行う拍数として「4」が設定されている。そして、サイドステップAのモーションデータは、モーションテーブル76にパスが示されるHDD7の記憶エリアに記憶されている。モーションテーブル76も同様にあらかじめ作成され、運動支援プログラムとともにHDD7にインストールされて提供される。
【0033】
図5に示す、楽曲テーブル77は、楽曲の名称を示す楽曲名と、楽曲のアーティストを示すアーティスト名と、楽曲のデータの所在(パス)とが関連付けられたテーブルである。例えば、楽曲ID「1」の楽曲は、「A01」というアーティストの「S01」という名称の楽曲であり、楽曲テーブル77にパスが示されるHDD7の記憶エリアに記憶されている。楽曲テーブル77も同様にあらかじめ作成され、運動支援プログラムとともにHDD7にインストールされて提供される。
【0034】
次に、運動支援装置5において運動映像が生成される過程について簡単に説明する。運動映像の生成は、以下のように行われる。図示しない三次元仮想空間内にキャラクタを配置させ、モーションデータ71に基づく運動動作を行わせる。図示しない仮想カメラによって運動動作を行うキャラクタを所定の時間ごとに撮影し、公知のアフィン変換によって、二次元の画像に変換する。運動映像とは、このように運動動作を行うキャラクタを撮影した画像が、時系列に沿って連続的に表示されたものである。
【0035】
以下、図1〜図5を適宜参照しながら、図6〜図9を参照し、運動支援装置5において実行される運動支援プログラムの動作について説明する。運動支援プログラムでは、運動レッスンにかかる時間の調整を、運動レッスンを行うテンポを変更することによって行っている。さらに、コリオに含まれるモーションの繰返回数を調整することで、調整後の運動レッスンにかかる時間が、所望する時間内に納まるようにしている。以下、フローチャートの各ステップを「S」と略記する。なお、以下の処理はCPU51により実行される。また、プログラムの実行中に一時的に生成されるデータは、RAM53に確保されるデータ処理用の記憶エリアや、HDD7に同様に確保される記憶エリアに一時的に記憶される。
【0036】
まず、インストラクタ42が任意の運動レッスンを作成することが可能なレッスン作成処理について説明する。図6に示す、レッスン作成処理は、運動支援プログラムとして提供されるアプリケーション群のうちの一つであり、インストラクタ42が任意のコリオを組み合わせて所望する運動レッスンを作成する場合に実行される。
【0037】
インストラクタ42が運動支援装置5を操作し、運動レッスンを作成するためのアプリケーションを起動させると、図6に示す、レッスン作成処理が実行される。レッスン作成処理では、初期設定において、RAM53にレッスン作成処理の各処理に応じた記憶エリアが確保される。また、プログラム内で使用される変数やフラグ、カウンタ等の初期化が行われる。
【0038】
モニタ57の表示部67に、図示しない、運動レッスンの作成画面が表示される(S10)。コリオテーブル75が参照され、作成画面において、コリオテーブル75にデータのある身体部位が読み出され、選択項目として表示される。インストラクタ42によってマウス62、キーボード61、リモコン66等の操作が行われ、鍛えたい身体部位の指定がなされる(S11)。身体部位の指定は、複数箇所の指定が可能である。
【0039】
コリオテーブル75が参照され、指定された身体部位に関連付けられたコリオのコリオIDとコリオ名とが読み出される(S12)。読み出されたコリオ名の一覧が、作成画面において、選択項目として表示される(S13)。身体部位が複数指定された場合には、身体部位ごとに分けてコリオ名の一覧が表示されてもよい。
【0040】
次に、楽曲テーブル77が参照され、楽曲テーブル77にデータのある楽曲名とアーティスト名と楽曲IDとが読み出される。さらに、図示しないテーブルより、運動分類の名称と運動分類IDとが読み出される。インストラクタ42により、運動レッスンにおける実行順に、コリオと、そのコリオを分類する運動分類と、そのコリオに割り当てる楽曲との選択がなされる(S15)。インストラクタ42が運動レッスンに含めることを所望するコリオがまだあるうちは、選択完了の操作がなされず(S16:NO)、S15に戻り、所望するコリオと運動分類と楽曲との選択が継続される。なお、運動レッスンにおけるコリオの実行順は、コリオの選択後に変更可能してもよい。
【0041】
S15、S16の繰返しにより、インストラクタ42が運動レッスンに含めることを所望するコリオがすべて選択され、選択完了の操作がなされたら(S16:YES)、レッスン名の入力が行われる(S17)。次に、S18において、図7に示す、標準レッスン時間算出処理のサブルーチンが実行される(S18)。
【0042】
図7に示す、標準レッスン時間算出処理では、標準レッスン時間算出処理において使用される変数の初期化が行われる(S30)。具体的には、運動レッスンに含まれるすべてのコリオに含まれるすべてのモーションを一通り実行するのにかかる時間を示す変数「LRT」には0が代入される。対象のコリオを1回実行するのにかかる時間を示す変数「LRTi」に、0が代入される。対象のモーションを実行するのにかかる時間を示す変数「MTj」にも0が代入される。運動レッスンにおけるコリオの順番(実行順)を示す変数「i」には1が代入される。コリオにおけるモーションの順番(実行順)を示す変数「j」にも1が代入される。
【0043】
S15において選択されたコリオで、順番がi番目のコリオのコリオIDが一時記憶されているRAM53から取得される。S15において選択されたコリオの数が求められ、変数「n」に代入される。次いで、コリオテーブル75が参照され、i番目のコリオに含まれるモーションで、順番がj番目のモーションのモーションIDが読み出される(S31)。このとき、i番目のコリオに含まれるモーションの数が求められ、変数「m」に代入される。モーションテーブル76が参照され、読み出されたモーションIDに関連付けられたモーションの拍数が読み出される(S32)。読み出された拍数は、変数「MBj」に代入される。
【0044】
j番目のモーションの実行にかかる時間を示す変数MTjを求める演算が行われる(S33)。変数MTjは、(1)式によって求められる。
MBj×(60[sec.]/100[BPM])・・・(1)
すなわち、60[sec.]/100[BPM]の演算により、基準テンポ(100BPM)で運動を行った場合に1拍あたりに必要な時間(秒数)が求まる。これをモーションの拍数を示す変数MBjと掛け合わせることで、モーションの実行にかかる時間が求まる。(1)式により算出された値は変数MTjに代入される。
【0045】
そして、i番目のコリオの1回の実行にかかる時間を示す変数LRTiに変数MTjが加算され、変数LRTiが更新される(S35)。変数jがインクリメントされ(S36)、変数mと比較される。変数jが変数m以下である場合(S37:NO)、i番目のコリオに含まれるすべてのモーションがまだ対象となっていないので、S33に戻る。S33〜S37が繰返されることによって、i番目のコリオに含まれるすべてのモーションを一通り実行するのにかかる時間が変数LRTiに加算されたときには、変数jが変数mより大きな値となる(S37:YES)。S38に進み、i番目のコリオの1回の実行にかかる時間として求められた変数LRTiの値が、コリオテーブル75で、対応するコリオIDに関連付けられて記録される(S38)。すでにLRTiが記録されている場合にも上書きされる。
【0046】
変数iがインクリメントされ、変数jには1が代入される。運動レッスンにかかる時間を示す変数LRTに、i番目のコリオの1回の実行にかかる時間を示す変数LRTiが加算され、変数LRTが更新される。そして変数LRTiには0が代入されて、リセットされる(S40)。
【0047】
S41に進み、変数iが変数nと比較され、変数iが変数n以下である場合(S41:NO)、選択中の運動レッスンに含まれるすべてのコリオがまだ対象となっていないので、S31に戻る。上記同様、S31〜S41が繰返されることによって、運動レッスンに含まれるすべてのコリオに含まれるすべてのモーションを一通り実行するのにかかる時間が、変数LRTの値として求まる。このとき、変数iは変数nより大きな値となるので(S41:YES)、S42に進む。S42では、上記したように、コリオに含まれる一連のモーションの繰返回数の基準として5回が設定されているので、変数LRTを5倍にした標準レッスン時間が求められ、変数「StdLT」に代入される(S42)。標準レッスン時間算出処理を終了し、レッスン作成処理に戻る。
【0048】
図6に示す、レッスン作成処理では、S20に進み、表示部67に表示された運動レッスンの作成画面上において、標準レッスン時間(StdLT)が表示される(S20)。なお、このとき表示される標準レッスン時間は、変数StdLTを60で割り、小数点以下を切り捨てた、分単位の時間で表示される。作成された運動レッスンの内容や標準レッスン時間がインストラクタ42の望み通りでなく、作成画面上において運動レッスンの作成のやり直しの指示がなされると(S21:NO)、S15に戻る。
【0049】
作成された運動レッスンの内容や標準レッスン時間をインストラクタ42が承諾し、作成画面上において、新規の運動レッスンとして完成させることを確定する指示がなされると(S21:YES)、S22に進む。S22では、レッスンテーブル74において重複のない新たなレッスンIDが取得される。そして、作成された運動レッスンの情報、すなわち、レッスン名、運動分野ID、コリオID、および標準レッスン時間(StdLT)が、レッスンIDに関連付けて、レッスンテーブル74に追加記憶される。そして、レッスン作成処理の実行が終了される。
【0050】
次に、ユーザ41に対し、運動レッスンに基づく運動を行わせるためのレッスン実行処理について説明する。図8に示す、レッスン実行処理は、レッスン作成処理と同様に、運動支援プログラムとして提供されるアプリケーション群のうちの一つである。インストラクタ42が所望の運動レッスンを選択し、ユーザ41に、運動レッスンに従った運動動作を行わせる場合に実行される。
【0051】
インストラクタ42が運動支援装置5を操作し、運動レッスンを行うためのアプリケーションを起動させると、図8に示す、レッスン実行処理が実行される。レッスン実行処理においても、初期設定において、RAM53にレッスン作成処理の各処理に応じた記憶エリアが確保される。また、プログラム内で使用される変数やフラグ、カウンタ等の初期化が行われる。
【0052】
モニタ57の表示部67に、図示しない、運動レッスンの設定画面が表示される。設定画面では、インストラクタ42の希望する運動レッスンにかかる時間(希望時間)を指定するための入力項目が表示される。インストラクタ42によってマウス62、キーボード61、リモコン66等が操作され、希望時間が指定されると(S50)、指定された希望時間が秒の単位に変換されて、変数「LT」に代入される。次に、運動レッスンに対する難易度を選択するための選択項目が表示される。
【0053】
本実施の形態では、運動レッスンの難易度は、基準テンポを基準とする運動動作のテンポの変更により設定されるものとする。上記したように、基準テンポは100BPMである。BPM値が大きくなってテンポが速くなれば、ユーザ41が身体を動作させる速度が速くなるので運動レッスンの難易度が高くなり、BPM値が小さくなってテンポが遅くなれば、運動レッスンの難易度は低くなる。難易度は、例えば「容易」「普通」「難しい」などが選択可能であり、それぞれに対し、例えば、80BPM、100BPM、140BPMなど、難易度に合わせたBPM値があらかじめ設定されている。インストラクタ42の操作によって運動レッスンの難易度が選択されると(S51)、選択された難易度に応じたBPM値が、変数「SelectedBPM」に代入され、S52に進む。なお、難易度として、インストラクタ42が所望するBPM値を直接入力できるようにしてもよい。
【0054】
S52では、レッスンテーブル74が参照され、レッスンテーブル74にデータのあるすべての運動レッスンについて、標準レッスン時間をもとに見込時間が算出される。見込時間とは、S51で選択されたBPM値(SelectedBPM)で運動レッスンが行われた場合に見込まれる、運動レッスンの実行にかかる時間である。見込時間は、(2)式に示すように、標準レッスン時間(StdLT)に、基準テンポ(100BPM)をSelectedBPMで割った値を掛け合わせて求められる。
見込時間=StdLT×(100[BPM]/SelectedBPM)・・・(2)
(2)式により求められる見込時間が、S50で指定された希望時間(LT)以下である運動レッスンのレッスンIDおよびレッスン名がレッスンテーブル74から取得され、運動レッスンの設定画面上に表示される(S52)。
【0055】
インストラクタ42の操作によって、一覧の中から所望の運動レッスンが選択されると(S53)、S55に進み、図9に示す、繰返回数決定処理のサブルーチンがコールされる(S55)。
【0056】
図9に示す、繰返回数決定処理は、運動レッスンの希望時間内において、テンポが調整されたコリオの繰返回数を、できる限り増やすために、各コリオの繰返回数を求める処理である。ここで、繰返回数決定処理において行われる処理の概要について、簡単な例を挙げて説明する。例えば、運動レッスンにおいて希望時間が5分であり、運動レッスンに含まれるコリオが3つあり、それぞれの実行時間が5秒、10秒、15秒である場合を想定する。すべてのコリオを一通り実行するのにかかる時間は30秒となる。すると、5分以内には、各コリオを10回通り繰返し行うことが可能である。
【0057】
ここで、各コリオの実行時間が調整され、それぞれ10秒、15秒、20秒となった場合、すべてのコリオを一通り実行するのにかかる時間は45秒となる。5分(300秒)以内には、すべてのコリオを6回通り繰り返すことが可能であるが、運動レッスンにかかる時間は270秒であり、30秒の余り時間を生ずる。そこで、1番目のコリオの繰返回数を増やして7回とすると、運動レッスンにかかる時間は280秒となる。さらに20秒の余り時間があるので、2番目のコリオの繰返回数を増やして7回とすると、運動レッスンにかかる時間は295秒となる。3番目のコリオの繰返回数を増やすと希望時間の300秒を超えてしまうので、各コリオの繰返回数が、順に、7回、7回、6回に決定される。以下に説明する繰返回数決定処理では、このように、コリオの繰返回数を決定する処理が行われる。
【0058】
繰返回数決定処理では、まず、繰返回数決定処理において使用される変数の初期化が行われる(S60)。具体的には、テンポの変更により調整された後の運動レッスンにかかる時間が、希望時間(LT)を超えないようにするための演算過程における時間合計値を示す変数「Sum」に、0が代入される。変数Sumの演算過程における一時的な値を保持するための変数「TempSum」にも0が代入される。i番目のコリオに含まれるすべてのモーションの繰返回数を示す変数「LCi」に、0が代入される。なお、変数LCiは、運動レッスンに含まれるコリオのそれぞれに個別に設定される。よってここでは、各コリオにそれぞれ設けられた変数LCiが、それぞれリセットされる。
【0059】
次に、変数TempSumに、変数Sumの値が代入される。さらに、運動レッスンにおけるコリオの順番を示す変数iに、1が代入される(S61)。レッスンテーブル74が参照され、運動レッスンに含まれるコリオで、順番がi番目のコリオのコリオIDが読み出される。このとき、S53で選択された運動レッスンに含まれるコリオの数が求められ、変数「n」に代入される。コリオテーブル75が参照され、i番目のコリオの1回の実行にかかる標準の時間(LRTi)が読み出される。さらに、S51で選択されたBPM値(SelectedBPM)でコリオが行われた場合に、コリオの1回の実行に見込まれる時間(LCTi)が、(2)と同様の(3)式により求められる(S62)。
LCTi=LRTi×(100[BPM]/SelectedBPM)・・・(3)
【0060】
変数Sumと変数LCTiとを足し合わせた合計値が、S50で選択された希望時間を示す変数LT以下となれば(S63:YES)、i番目のコリオの繰返回数を増やしても運動レッスンにかかる時間は希望時間以下になると判断される。S65に進んで、i番目のコリオの繰返回数(LCi)がインクリメントされ、変数Sumに変数LCTiが加算されて変数Sumが更新される(S65)。次にS66に進む。
【0061】
変数iがインクリメントされ(S66)、次いで変数iが変数nと比較される。変数iが変数n以下である場合(S67:NO)、S53で選択された運動レッスンに含まれるすべてのコリオについて、一通りの繰返回数の加算処理がまだなされていないとして、S62に戻る。S62〜S67が繰返されることによって、運動レッスンに含まれるすべてのコリオについて一通りの繰返回数の加算処理がなされたら(S67:YES)、S68に進む。
【0062】
S68では、S61で一時保存され、S62〜S67の処理が実施される前の変数Sumの値、すなわち変数TempSumが、S62〜S67の処理の実施後の変数Sumの値と同値であるか、確認される。変数TempSumと変数Sumとが同値でなければ(S68:NO)、S62〜S67の処理においてコリオの繰返回数の増加がなされたと判断される。すなわち、さらにコリオの繰返回数を増やしても、運動レッスンの実行にかかる時間が希望時間(LT)を超えない可能性があると判断される。よってS61に戻り、S61〜S68を繰り返すことによって、コリオの繰返回数のさらなる増加が行われる。
【0063】
S61〜S68の処理を繰り返しにおいて、S62〜S67の処理を繰り返すうちに、S63において、変数Sumと変数LCTiとの合計値が希望時間を示す変数LTよりも大きくなる場合がある(S63:NO)。この場合には、これ以上のコリオの繰返回数の増加はできないため、S65を飛ばしてS66に進む。
【0064】
S62〜S67の処理が一通り行われた時点で(S67:YES)、コリオの1つでも繰返回数が増加されていれば、変数TempSumと変数Sumとが同値にならない。この場合はS61に戻り、再度S61〜S68の処理を繰り返すこととなる(S68:NO)。しかし、S62〜S67の処理が一通り行われる間にいずれのコリオも繰返回数が増加されなければ、変数TempSumと変数Sumとが同値となる(S68:YES)。S70に進み、各コリオのそれぞれに設けられた変数LCiの値が、各コリオの繰返回数として決定される(S70)。そして、繰返回数決定処理を終了し、レッスン実行処理に戻る。
【0065】
図8に示す、レッスン実行処理では、S56に進み、運動レッスンの再生が行われる。S53で選択された運動レッスンに従い、モーションテーブル76の参照により、運動レッスンに含まれる各コリオをそれぞれ構成する各モーションのモーションデータ71がHDD7から読み出される。そして上記したように、図示しない三次元仮想空間内配置したキャラクタにモーションデータ71に基づく運動動作を行わせて撮影した運動映像が作成され、モニタ57の表示部67に表示される。キャラクタにより、運動レッスンに含まれる各コリオが、S70でそれぞれのコリオに対し設定された回数ずつ繰り返して行われ、ユーザ41は、キャラクタの運動動作を模倣することで、各自の身体部位を動作させる運動を行う。運動レッスンは、インストラクタ42の設定した難易度(テンポ)で、インストラクタ42の設定した希望時間以内に終了され、レッスン実行処理の実行も終了される。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態の運動支援装置5では、難易度に合わせたBPM値が大きくとも小さくとも、運動レッスンにかかる時間を、希望時間以内とすることができる。よって、運動レッスンを実施する計画を、予定を管理する時間割に沿って立てやすくなる。また、運動レッスンに含まれるコリオにかかる時間がそれぞれ最大となるようにすることができるので、コリオにかかる時間が短くなって十分な運動の効果を得られなくなることがなく、希望時間以内で効率よく運動を行うことができる。また、コリオの繰返回数を、コリオのそれぞれについて調整することにより、運動レッスン全体を通しての一通りのコリオの実行を一回とする調整を行った場合と比べ、より細かな時間調整ができる。よって、希望時間以内で時間を有効利用して効率よく運動レッスンを行うことができる。また、コリオごとに、運動レッスンにかかる時間の暫定値を希望時間と比較しつつコリオの繰返回数を増やすことができるので、運動レッスンにかかる時間が、確実に、希望時間以内となるようにすることができる。また、運動動作のテンポを調整することによって運動レッスンにかかる時間の変更を行うので、運動動作の節は変わらない。よって、身体部位を動作させる運動動作を行う上でのタイミングを取りやすい。
【0067】
なお、上記の実施形態に示される運動支援装置5の構成は例示であり、本発明は各種の変形が可能なことは言うまでもない。コリオの繰返回数の決定は、運動レッスンに含まれるすべてのコリオを対象に行われたが、対象となるコリオを、メイン運動に分類されるコリオに限定して行ってもよい。この場合、ウォーミングアップ運動およびクールダウン運動に分類されるコリオは、繰返回数を、標準の、例えば5回に固定すればよい。また、運動動作のテンポの変更についても同様であり、メイン運動に分類されるコリオに限定してテンポを調整し、ウォーミングアップ運動およびクールダウン運動に分類されるコリオは、基準テンポで運動動作が行われるようにしてもよい。ウォーミングアップ運動に分類されるコリオは、運動を行う準備のための運動動作であり、クールダウン運動に分類されるコリオは、運動を終了する準備のための運動動作である。よって、これらのコリオにかかる時間の調整を行わなければ、ウォーミングアップ運動やクールダウン運動の運動動作にかかる時間を確実に確保することができるので、運動の効果を高めることができる。
【0068】
また、レッスン実行処理(図8参照)のS52、S53では、見込時間が希望時間内に納まる運動レッスンの一覧から、インストラクタ42が所望する運動レッスンが選択された。これに限らず、S53において選択可能な運動レッスンを、レッスンテーブル74にデータのあるすべての運動レッスンとしてもよい。あるいはS52の代わりにレッスン作成処理(図6参照)が行われ、作成された運動レッスンに対し、運動レッスンにかかる時間の調整が行われるようにしてもよい。なお、上記の場合、標準レッスン時間が希望時間より長くなる場合があるが、その場合にはエラー表示を行ってもよいし、あるいは、標準で5回とした繰返回数を減らしてもよい。
【0069】
モーションデータ71や楽曲データ72は、ネットワーク上の端末からダウンロードにより提供されてもよい。また、モーションデータ71は、小単位の動作を行うキャラクタやモデル(例えばインストラクタ42でもよい)をあらかじめ撮影した動画のデータであってもよい。
【0070】
本実施の形態では、レッスン作成処理において、あらかじめ提供されたコリオを組み合わせて運動レッスンの作成を行ったが、あらかじめ提供されたモーションを組み合わせて任意のコリオを作成できるようにしてもよい。また、S21において、作成した運動レッスンを作り直す場合にS15に戻りコリオの選択からやり直すこととしたが、S11に戻り、最初の条件から作り直せるようにしてもよい。
【0071】
なお、本実施の形態においては、コリオIDが「運動情報」に相当し、レッスンIDが「レッスン情報」に相当する。S51で選択される難易度に応じたBPM値が「速度情報」に相当し、希望時間(LT)が「所望レッスン時間情報」に相当する。コリオの実行にかかる時間(LCTi)が「運動時間情報」に相当し、運動レッスンに含まれるすべてのコリオに含まれるすべてのモーションを一通り実行するのにかかる時間(LRT)が「実レッスン時間情報」に相当する。テーブルデータ73を記憶するHDD7が、「記憶手段」に相当する。
【0072】
S51で選択される難易度に応じたBPM値を取得するCPU51が、「第1取得手段」に相当する。S50で希望時間(LT)を取得するCPU51が、「第2取得手段」に相当する。S53で、見込時間が希望時間内に納まる運動レッスンの一覧から選択される運動レッスンを取得するCPU51が、「第3取得手段」に相当する。S62でコリオの1回の実行にかかる時間(LCTi)を求めるCPU51が、「決定手段」に相当する。S55の繰返回数決定処理により、コリオの1回の実行時間(LCTi)とその繰返回数(LCi)とによって、1つのコリオの実行にかかる時間を調整するCPU51が、「調整手段」に相当する。S62〜S67の繰返処理においてS66で変数iをインクリメントすることによりi番目のコリオを指定できるようにするCPU51が、「指定手段」に相当する。S63において希望時間(LT)と運動レッスンにかかる時間の暫定値(Sum+LCTi)とを比較するCPU51が、「比較手段」に相当する。S65においてコリオの繰返回数(LCi)をインクリメントするCPU51が、「増加手段」に相当する。
【符号の説明】
【0073】
5 運動支援装置
7 HDD
51 CPU
53 RAM
73 テーブルデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体部位を動作させる運動動作を支援する運動支援装置であって、
前記運動動作を表す運動情報を少なくとも1種類以上組み合わせてなる、少なくとも1種類以上のレッスン情報を記憶する記憶手段と、
前記レッスン情報に表される運動レッスンに従い前記運動動作が行われる際の速さを示す速度情報を取得する第1取得手段と、
前記運動動作が含まれる前記運動レッスンを行う所望の時間を示す所望レッスン時間情報を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段によって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行う場合に、前記記憶手段に記憶された1種類以上の前記レッスン情報のなかから、前記第2取得手段によって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間内で前記運動レッスンを行うことが可能な前記レッスン情報を取得する第3取得手段と、
前記第3取得手段によって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作ごとに、前記第1取得手段によって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行った場合にかかる時間を示す運動時間情報を決定する決定手段と、
前記運動レッスンにかかる時間が、前記第2取得手段によって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間以内となり、且つ、前記第3取得手段によって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作にかかる時間がそれぞれ最大となるように、前記決定手段によって決定された前記運動時間情報に示される時間を前記運動動作ごとに調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする運動支援装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記運動レッスンにかかる時間が前記所望レッスン時間情報に示される時間以内となり、且つ、前記運動レッスンに含まれる前記運動動作のそれぞれについて、前記運動時間情報に示される時間で行われる1回の前記運動動作を繰返して行う繰返回数が最大となるように、前記繰返回数を調整することを特徴とする請求項1に記載の運動支援装置。
【請求項3】
前記調整手段は、
前記運動レッスンに含まれる前記運動動作を、実行順に指定する指定手段と、
前記指定手段によって指定された前記運動動作の前記運動時間情報に示される時間を、前記運動レッスンにかかる実際の時間を示す実レッスン時間情報に加算し、前記実レッスン時間情報と前記所望レッスン時間情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果、前記実レッスン時間情報よりも前記所望レッスン時間情報が大きい場合、前記指定手段によって指定された前記運動動作の前記繰返回数を、1増加する増加手段と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の運動支援装置。
【請求項4】
前記運動動作が行われる際の速さを示す前記速度情報は、所定の時間間隔で動作の節となるタイミングを拍として数える拍数によって示される情報であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の運動支援装置。
【請求項5】
前記レッスン情報は、
前記運動レッスンの開始時期に行われるウォーミングアップ運動に対応する前記運動動作を示す前記運動情報と、
前記運動レッスンの終了時期に行われるクールダウン運動に対応する前記運動動作を示す前記運動情報と、
前記運動レッスンにおける主要な運動であるメイン運動に対応する前記運動動作を示す前記運動情報と、
を含み、
前記調整手段は、前記メイン運動に対応する前記運動動作にかかる時間を調整することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の運動支援装置。
【請求項6】
身体部位を動作させる運動動作を表す運動情報を少なくとも1種類以上組み合わせてなる、少なくとも1種類以上のレッスン情報を記憶する記憶手段を備えるコンピュータで実行され、前記運動動作を支援する運動支援方法であって、
前記レッスン情報に表される運動レッスンに従い前記運動動作が行われる際の速さを示す速度情報を取得する第1取得ステップと、
前記運動動作が含まれる前記運動レッスンを行う所望の時間を示す所望レッスン時間情報を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップによって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行う場合に、前記記憶手段に記憶された1種類以上の前記レッスン情報のなかから、前記第2取得ステップによって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間内で前記運動レッスンを行うことが可能な前記レッスン情報を取得する第3取得ステップと、
前記第3取得ステップによって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作ごとに、前記第1取得ステップによって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行った場合にかかる時間を示す運動時間情報を決定する決定ステップと、
前記運動レッスンにかかる時間が、前記第2取得ステップによって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間以内となり、且つ、前記第3取得ステップによって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作にかかる時間がそれぞれ最大となるように、前記決定ステップによって決定された前記運動時間情報に示される時間を前記運動動作ごとに調整する調整ステップと、
を含む運動支援方法。
【請求項7】
身体部位を動作させる運動動作を表す運動情報を少なくとも1種類以上組み合わせてなる、少なくとも1種類以上のレッスン情報を記憶する記憶手段を備え、前記運動動作を支援する運動支援装置として機能させるためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記レッスン情報に表される運動レッスンに従い前記運動動作が行われる際の速さを示す速度情報を取得する第1取得ステップと、
前記運動動作が含まれる前記運動レッスンを行う所望の時間を示す所望レッスン時間情報を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップによって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行う場合に、前記記憶手段に記憶された1種類以上の前記レッスン情報のなかから、前記第2取得ステップによって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間内で前記運動レッスンを行うことが可能な前記レッスン情報を取得する第3取得ステップと、
前記第3取得ステップによって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作ごとに、前記第1取得ステップによって取得された前記速度情報に示される速さで前記運動動作を行った場合にかかる時間を示す運動時間情報を決定する決定ステップと、
前記運動レッスンにかかる時間が、前記第2取得ステップによって取得された前記所望レッスン時間情報に示される時間以内となり、且つ、前記第3取得ステップによって取得された前記レッスン情報に表される前記運動レッスンに含まれる前記運動動作にかかる時間がそれぞれ最大となるように、前記決定ステップによって決定された前記運動時間情報に示される時間を前記運動動作ごとに調整する調整ステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−65778(P2012−65778A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212019(P2010−212019)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)