説明

運搬具

【課題】 片手で簡単に持ち運ぶことができ、また、容易に設置することができると共に省スペース化が可能な運搬具を提供する。
【解決手段】 本発明は、運搬対象物12を支持可能なように形成された支持部6,7と、支持部6,7に支持された運搬対象物12より外側に配置されるように形成された把持部24とを備えており、把持部24を把持し、支持部6,7に支持された運搬対象物12を運搬者の腕と身体の間に挟み込んだ状態で運搬可能なように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬具に関し、特に、サーフボードのような幅広の物を運搬者の腕と身体の間に挟みこんだ状態で運搬可能なように構成された運搬具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型のサーフボード等、幅広の物は、片手で持つことができないため、両手で抱え込んだり、或いは頭部に載せて両手で支えたりして持ち運んでいた。(公知・公用の従来技術に基づき発明したため、出願人は本発明に関連する先行技術文献を知らない。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の運搬方法では、非常に持ち難く、また、両手を使用するため、運搬効率が悪いといった問題があった。
【0004】
また、大型のサーフボードのような幅広の物は、自宅や駐車場、或いはビーチに平置きにすると、広いスペースが必要になると共に、その表面に傷が付くおそれがあるといった問題があり、また、立て掛けて置くためには、壁等、そのための支持部がないとできないといった問題があった。
【0005】
さらに、サーフボードの場合、サーファーが起立するデッキ面に滑り止めワックスを塗布するが、このワックスは夏季時等に太陽光が照射すると容易に溶解する性質を有しているため、デッキ面を上側に向けてサーフボードをビーチ等の外部に置いておくと、折角塗布したワックスが溶解するおそれがある一方、デッキ面を下側にしてビーチに置いておくと、デッキ面のワックスに砂が付着するといた問題があった。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、片手で簡単に持ち運ぶことができ、また、容易に設置することができると共に省スペース化が可能な運搬具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、運搬対象物を支持可能なように形成された支持部と、該支持部に支持された運搬対象物より外側に配置されるように形成された把持部とを備えており、該把持部を把持し、前記支持部に支持された運搬対象物を運搬者の腕と身体の間に挟み込んだ状態で運搬可能なように構成されていることを特徴とする。
【0008】
そして、好ましくは、前後に平行に設けられた垂直フレーム部材を備えており、前記支持部は前記各垂直フレーム部材の下端において内側に折曲して形成され、前記把持部は前記各垂直フレーム部材に渡設された水平把持部材に設けられているのがよい。
【0009】
また、前記水平把持部材は前記各垂直フレーム部材に沿って上下に摺動可能に設けられていてもよい。
【0010】
さらに、前記各垂直フレーム部材には、外側に傾動可能なスタンド部材が設けられていてもよい。
【0011】
さらにまた、前記各垂直フレーム部材の上端部に水平フレーム部材が渡設されており、該水平フレーム部材の中央部と前記各支持部の先端部には、それぞれ、掛止部が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、運搬対象物を片手で簡単に持ち運ぶことができ、運搬効率の向上を図ることができる。
【0013】
また、運搬対象物を、設置場所の状況に合わせて置くことができ、さらに、省スペース化を図ることができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1〜図4を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る運搬具をサーフボードの運搬に適用した場合について、例示して説明する。ここで、図1は本発明の実施の形態に係る運搬具を示す斜視図、図2は運搬具を示す側面図、図3は運搬具にサーフボードを装着した状態を示す斜視図、図4は運搬具に吊り紐を装着した状態を示す斜視図である。
【0015】
本実施の形態に係る運搬具1は、前後に平行に配設された垂直フレーム部材2,3及び各垂直フレーム部材2,3の上端部に渡設された水平フレーム部材4により門型に形成された本体部5と、各垂直フレーム部材2,3の下端において内側に折曲して形成された支持部6,7と、各垂直フレーム部材2,3の中間部に渡設された水平把持部材8と、各垂直フレーム部材2,3の上端部を支点に外側に傾動可能に設けられたスタンド部材9とを主体に構成されている。そして、運搬具1の高さは30cm程度あれば良いため、全体的にコンパクト化を図ることができる。
【0016】
各垂直フレーム部材2,3は、それぞれ、縦長のアルミニウム製板状部材から構成されており、各垂直フレーム部材2,3には、それぞれ、上下方向に縦孔10,11が穿設されている。そして、各垂直フレーム部材2,3の上端部内側には、サーフボード12の表面に当接可能なように弾性材料製のサーフボード支持用パッド13,14がそれぞれ内側に突設されている。また、水平フレーム部材4は、横長のアルミニウム製板状部材から構成されており、その両端部には丸孔状の第1掛止部15,16がそれぞれ穿設され、中央部には外側下方に折曲されて鉤状を成す第2掛止部17が設けられている。
【0017】
各支持部6,7は、細長のアルミニウム製平板をU字状に折曲させた形状を成し、その先端部には丸孔状の第3掛止部18,19がそれぞれ穿設され、各支持部6,7の下端部には、弾性材料製の運搬具支持用パッド20,21が下方に突設されている。
【0018】
水平把持部材8は、細長のアルミニウム製丸棒部材から構成されており、その両端部は各縦孔10,11に沿ってそれぞれ上下に摺動可能なように設けられ、固定位置調整具22を締め付けることにより各垂直フレーム部材2,3の所望位置に固定されるようになっている。また、水平把持部材8の中央部は外側に僅かに折曲しており、この折曲部23には弾性材料製で円筒状の把持部24が取付けられている。そして、この折曲部23の外側への折曲長さL(図2参照)は、把持部24を把持した時に、運搬具1に支持されたサーフボード12に手が当たらないような寸法、例えば、2cm程度であるのが好ましい。
【0019】
スタンド部材9はアルミニウム製であり、前後一対の脚部25,26と、各脚部25,26の下端部を連結する連結部27とから構成されており、各脚部25,26の下端部には弾性材料製の脚部支持用パッド32,33が取付けられている。そして、各脚部25,26は、その上端部が各垂直フレーム部材2,3の上端部に枢設され、傾動角度調整具28を締め付けることにより、各垂直フレーム部材2,3に対して所望角度、傾斜した状態で固定されるようになっている。
【0020】
次に、本実施の形態に係る運搬具1の使用方法について説明する。
【0021】
図3に示すように、横向きに立て掛けた姿勢のサーフボード12を、下方から各支持部6,7によりバランス良く支持させると共に、ゴム製ベルト31を第2掛止部17及び各第3掛止部18,19に掛止させ、運搬具1に固定する。この時、サーフボード12は、その外面が弾性材料製のサーフボード支持用パッド13,14に当接しているため、運搬具1に確実且つ傷を負うことなく固定される。また、この時、スタンド部材9の脚部25,26は各垂直フレーム部材2,3に沿って閉じた状態で固定させておく。
【0022】
このようにサーフボード12を運搬具1に固定した状態で、運搬者が運搬具1の内側(図3の紙面垂直方向手前側)に立ち、サーフボード12を運搬者の腕と身体の間に挟み込むようにして把持部24を把持すると、サーフボード12を安定性良く、片手で容易に運搬することができる。この時、把持部24は外側に僅かに突出しており、サーフボード12と把持部24との間には、把持するのに最適な隙間が形成されるため、把持動作を容易且つ確実に行うことができる。また、サーフボード12の運搬時、前後の支持部6,7の間に運搬者の身体が入り、運搬者の足が支持部6,7に接触したりするおそれがないため、運搬者は円滑にサーフボード12を運搬することができる。さらに、サーフボード12の上端部29が脇の下にピッタリ収まるように、予め、固定位置調整具22により水平把持部材8の取付け高さを調整することにより、サーフボード12を、一層安定性良く、容易に運搬することができる。
【0023】
次いで、サーフボード12を所定場所に運搬したら、傾動角度調整具28によりスタンド部材9の脚部25,26を外側に所要角度傾動させた状態で固定させ、サーフボード12を脚部25,26と運搬具支持用パッド20,21により設置面に支持させる。この場合、サーフボード12は、脚部25,26と運搬具支持用パッド20,21により四点支持されると共に、脚部支持用パッド32,33及び運搬具支持用パッド20,21により運搬具1の設置面に対する滑りが防止されるため、サーフボード12は運搬具1に支持された状態で、安定性良く、設置面に置くことができる。また、運搬具1を設置面に置く時の衝撃は運搬具支持用パッド20,21及び脚部支持用パッド32,33により確実に吸収されるため、サーフボードを保護することができる。さらに、運搬具1をビーチに設置する場合、運搬具支持用パッド20,21が設けられている分、支持部6,7が砂に埋没する可能性が低くなるため、サーフボード12の下端に砂が付着するのを防止することができる。
【0024】
また、この時、傾動角度調整具28により、スタンド部材9の開き角度を自由に調整することができるため、サーフボード12を設置するスペースの広さ等の状況に応じて、サーフボード12を置くことができる。さらに、図4に示すように、第1掛止部15,16に吊り紐30を装着し、その吊り紐30を壁に取り付けた引っ掛け金具(図示せず)に掛止したり、或いは、第1掛止部15,16を直接、前記引っ掛け金具に掛止したりすることにより、サーフボード12の設置場所のさらなる省スペース化を図ることができる。さらにまた、サーフボード12を運搬する時に、図4に示すように、第1掛止部15,16に装着した吊り紐30を肩に掛けてもよく、これにより、運搬中のサーフボード12の安定性を一段と向上させることができると共に、運搬効率を向上させることができる。
【0025】
なお、図5及び図6に示すように、水平把持部材8の垂直位置を調整することにより、縦向きのサーフボード12の接水面側に取り付けられたフィン34を引っ掛け、サーフボードを立てかけることもできる。この場合、サーフボード12を縦向きに設置することができるため、一段と省スペース化を図ることが可能となる。また、この場合、垂直フレーム部材2,3を上下に伸縮可能なように構成し、サーフボード12を縦向きに設置する際には、垂直フレーム部材2,3を上方に伸長し、水平フレーム部材4の高さを高くし、
第1掛止部15及び第2掛止部16にゴム製ベルト36を掛止することにより、サーフボード12を運搬具1だけで安定性良く支持することが可能となる。
【0026】
また、本発明に係る運搬具1の各構成は、上記した実施の形態において説明した材質や形状に限定されるものではなく、各種変更が可能である。
【0027】
さらに、上記した実施の形態においては、サーフボード12を運搬する場合について説明したが、これは単なる例示に過ぎず、本発明は、例えば、ガラス板やベニヤ板等、他の運搬対象物を運搬する場合にも適用可能であることは言う迄もない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る運搬具を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る運搬具を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る運搬具にサーフボードを横向きに装着した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る運搬具に吊り紐を装着した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る運搬具にサーフボードを縦向きに装着した状態を示す背面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る運搬具にサーフボードを縦向きに装着した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 運搬具
2 垂直フレーム部材
3 垂直フレーム部材
4 水平フレーム部材
6 支持部
7 支持部
8 水平把持部材
9 スタンド部材
12 サーフボード
17 第2掛止部
18 第3掛止部
19 第3掛止部
24 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬対象物を支持可能なように形成された支持部と、
該支持部に支持された運搬対象物より外側に配置されるように形成された把持部と、
を備えており、該把持部を把持し、前記支持部に支持された運搬対象物を運搬者の腕と身体の間に挟み込んだ状態で運搬可能なように構成されていることを特徴とする運搬具。
【請求項2】
前後に平行に設けられた垂直フレーム部材を備えており、前記支持部は前記各垂直フレーム部材の下端において内側に折曲して形成され、前記把持部は前記各垂直フレーム部材に渡設された水平把持部材に設けられている請求項1に記載の運搬具。
【請求項3】
前記水平把持部材は前記各垂直フレーム部材に沿って上下に摺動可能に設けられている請求項2に記載の運搬具。
【請求項4】
前記各垂直フレーム部材には、外側に傾動可能なスタンド部材が設けられている請求項2又は3に記載の運搬具。
【請求項5】
前記各垂直フレーム部材の上端部に水平フレーム部材が渡設されており、該水平フレーム部材の中央部と前記各支持部の先端部には、それぞれ、掛止部が設けられている請求項2〜4のいずれか1の請求項に記載の運搬具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−298446(P2006−298446A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124343(P2005−124343)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(505152859)
【Fターム(参考)】