説明

運搬器具および運搬器具を用いた運搬方法

【課題】 複数の被運搬物を運搬する際、特に他に器具を必要とせず、シンプルに形成されており取り扱いが簡便な運搬器具を提供する。
【解決手段】 被運搬物を運搬する運搬器具1において、円盤状にて形成されている台座部2と、台座部2の上面に鉛直方向に配設されている支持棒3と、台座部2の上面の所定位置に配設され被運搬物の一端を保持する保持部4と、支持棒3の所定高さ位置に配設され保持部4に対応し被運搬物を係止する係止開口部5が形成されている係止板6とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボンベなど柱状の被運搬物を複数本運搬する際の運搬器具に関し、特に運搬において他に器具を必要とせず、シンプルに形成されており取り扱いが簡便なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボンベを運搬するための運搬器具としては、フレームの一端部にボンベ載置板が固着され、このフレームを車輪を用いて運搬するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、複数のボンベを搬送する場合には、複数のボンベをパレットに収納して、そのパレットをフォークリフトなどを用いて運搬していた(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−154941号公報
【特許文献2】特開2003−137286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、運搬器具は形成が複雑で、複数のボンベを運搬する場合にはその運搬器具自体を運ぶためのフォークリフトや、台車などが必要と成り、簡便に運搬することができないと言う問題点があった。また、運搬器具自体が大きくなり、保管において不便が生じていた。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するものであり、運搬において他に器具を必要とせず、かつ、シンプルな形成で取り扱いが容易であり、保管において場所をとらない運搬器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、被運搬物を運搬する運搬器具において、円盤状にて形成されている台座部と、台座部の上面に鉛直方向に配設されている支持棒と、台座部の上面の所定位置に配設され被運搬物の一端を保持する保持部と、支持棒の所定高さ位置に配設され保持部に対応し被運搬物を係止する係止開口部が形成されている係止板とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の運搬器具は、被運搬物を運搬する運搬器具において、円盤状にて形成されている台座部と、台座部の上面に鉛直方向に配設されている支持棒と、台座部の上面の所定位置に配設され被運搬物の一端を保持する保持部と、支持棒の所定高さ位置に配設され保持部に対応し被運搬物を係止する係止開口部が形成されている係止板とを備えたので、運搬において他に器具を必要とせず簡便に運搬を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
以下、本願発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明における実施の形態1による運搬器具の形成を示す斜視図、図2は図1に示した運搬器具の縦断面を示した断面図、図3は図2に示した運搬器具の断面図の詳細を示す拡大断面図、図4は図1に示した運搬器具を分解した状態を示す斜視図、図5は図1に示した運搬器具に被運搬物としてのボンベの積載状態を示す斜視図、図6は図5に示した被運搬物を積載した状態にて運搬器具を運搬する状態を示す図である。図において、被運搬物を運搬する運搬器具1は、円盤状にて形成されている台座部2と、台座部2の上面に鉛直方向に配設されている支持棒3と、台座部2の上面の所定位置に配設され被運搬物の一端を保持する保持部4と、支持棒3の所定高さ位置に配設され保持部4に対応し被運搬物を係止する係止開口部5が形成されている係止板6とにて構成されている。
【0009】
次に各部分の詳細について図2および図3を参照に説明する。台座部2は、例えば金属製の円柱材2a(又は、円パイプ材でもよい。)をリング状に形成し、その上部に金属製の円板2bが溶接などにて固着されて円盤状に形成されている。そしてその側壁はゴム部材にて成る緩衝材2cが形成され、また、底面にもゴム部材にて成る緩衝材2dが形成されている(但し、後述するねじ穴2eにてねじ止めできる程度の開口部が中央部に形成されている。)。これら緩衝材2c、2dは運搬器具1にて被運搬物を運搬する際に、運搬器具1により地面すなわち床面などに傷がつくことを防止するために形成されているものである。よって、運搬箇所によってはこれら緩衝材が必要のない場合も考えられる。また、台座部2の上面の中央部には後述する支持棒3のフランジ部を固定するためにねじ止めを行うためのねじ穴2eが形成されている。
【0010】
次に保持部4は、台座部2の上面において複数個、ここでは6個の保持部4が台座部2上の同一円周上において等間隔にて形成されている。そして、保持部4は円状の筒体にて形成されており、筒体内の保持開口部4a内に被運搬物の一端が挿入され、被運搬物の一端を保持することと成る。よって、保持開口部4aの径は、被運搬物の一端の径と略同一径にて形成されている。また、保持部4の保持開口部4a内壁には例えばゴム部材にて成る緩衝材4bが形成されている。この緩衝材4bは、被運搬物を保持部4の保持開口部4内にて保持する際に、被運搬物の側面に傷などがつくことを防止するためのものである。よって、被運搬物の種別によっては必要がない場合も考えられる。また、保持部4の高さh1は、後述する運搬方法において被運搬物の一端が保持部4の保持開口部4a内から脱落しない程度に被運搬物の一端が保持できればよい。適当な高さh1としては、50mm〜400mm程度が考えられる。この高さh1は低すぎると、運搬の際に被運搬物の一端を保持できなくなり脱落する可能性があるためであり、高すぎると、被運搬物を保持するための作業が行いにくくなり非効率と成るためである。このことからさらに適当な高さh1の範囲としては100mm〜200mm程度であると考えられる。
【0011】
次に支持棒3は、ここでは角柱材にて形成されている。そして、台座部2から着脱可能と形成されているよう形成されている。ここでは支持棒3の底部にフランジ部3aを備え、そのフランジ部3aを台座部2のねじ穴2eに対してねじ7にてねじ止めして固定し、着脱可能に形成している。しかしながら着脱するための構成はこれに限られることはなく、他の着脱可能な構成でもよいことはいうまでもない。そして、この支持棒3はフランジ部3aを介して台座部2に固定されることにより、台座部2の上面に鉛直方向に配設されることと成る。また、支持棒3における所定高さ位置には、後述する係止板6のフランジ部または固定具を固定するためのねじ止めを行うためのねじ穴3bが異なる所定高さ位置に複数個形成されている。
【0012】
次に係止板6は、台座部2に対して水平面を有する板材にて形成されている。そして係止板6に形成されている係止開口部5は保持部4と対応するように複数個形成され、ここでは6個の係止開口部5が係止板6上の同一円周上において等間隔にて形成されている。そしてこの係止開口部5の径は被運搬物の所定高さ位置における径と略同一径に形成されている。そして、係止開口部5の側壁にゴム部材にて成る緩衝材5aが形成されている。この緩衝材5aは、被運搬物を係止板6の係止開口部5内にて係止する際に、被運搬物の側面に傷などがつくことを防止するためのものである。よって、被運搬物によっては必要がない場合も考えられる。
【0013】
また、係止板6は支持棒3から着脱可能と形成されている。ここでは係止板6の中央部に支持棒3を挿入可能な矩形状の支持開口部6aが形成されている。このように支持棒3が矩形形状にて形成されているため、係止板6の位置決めが簡便に成る。そして、支持棒3に挿入可能な矩形状の開口であるとともに支持開口部6aより大きい肉厚部を有する固定具8を、支持棒3のねじ穴3bに対してねじ10にてねじ止めして固定している。よって、まずこの固定具8を支持棒3の所定高さ位置にねじ10にて固定しておくと、係止板6を支持開口部6aを介して支持棒3に挿入した場合、この固定具8の位置、すなわち支持棒3の所定高さ位置にて係止部6は配設される。さらに加えて、係止板6の支持開口部6aに連通するフランジ部6bを係止板6の上面側に形成している。そして、このフランジ部6bを支持棒3のねじ穴3bに対してねじ9にてねじ止めして固定することにより、より一層の確実に所定高さ位置に配設することが可能と成る。
【0014】
また、固定具8を用いずに、係止板6のフランジ部6bによる固定のみにて、係止板6を支持棒3の所定高さ位置に配設する場合も考えられる。また、固定具8の代えて係止板の下面側においても支持開口部6aと連通するフランジ部を形成して固定する場合も考えられる。また、フランジ部6bに代えて、固定具8の同様の固定具を係止板6の上面において使用して固定することも考えられる。このように着脱が可能な構成であればこれらに限られることはなく、他の構成でもよいことはいうまでもない。
【0015】
さらにこのような着脱可能な形成にて形成しているため、係止板6は支持棒3の所定高さ位置を変更して配設可能と形成されている。ここでは、支持棒3の高さ方向において複数のねじ穴3bが形成されているため、このねじ穴3bの所定の箇所にフランジ部6bまたは固定具8を固定することにより係止板6の所定高さ位置を調整することができる。しかしながら高さを調整する形成はこれに限られることはなく、他の高さ調整可能な形成であってもよいことはいうまでもない。
【0016】
また、係止板6の所定高さ位置h2は、被運搬物の高さの5/10〜9/10の高さ位置にて設定される。これは、所定高さ位置h2が低すぎると後述する運搬方法において係止板6にて被運搬物を係止することが困難と成り、高すぎると係止板6から被運搬物の他端が外れてしまう可能性があるからである。このことからさらに適当な高さh2の範囲は被運搬物の高さの7/10〜8/10程度であると考えられる。
【0017】
次に、上記のように形成されている実施の形態1の運搬器具を用いた運搬方法について説明する。まず、本願発明の運搬器具1を使用していない場合、または、収納している場合の状態は図4に示すように、係止部6(図4(a))、台座部2(図4(b))、支持棒3(図4(c))および固定具8(図4(d))のように、それぞれを分解して保管しておくことが可能であり、場所をとらずに保管することができる。そして、使用する際は、台座部2の上面の中央部のねじ穴2eに支持棒3のフランジ部3aを当接するように配設し、ねじ穴2eとフランジ部3aとをねじ7にてねじ止めして、支持棒3を台座部2に鉛直方向に配設する。次に、固定具8を支持棒3の所定高さ位置のねじ穴3bにてねじ10にてねじ止めして固定する。
【0018】
次に、図5に示すように、被運搬物としてのボンベ11の一端を保持部4の保持開口部4a内に挿入して保持する。この際、保持開口部4aには緩衝材4bが形成されているため、ボンベ11の側壁が保持部4内にておいて傷つくことは防止される。その後、ボンベ11の他端から係止板6の係止開口部5、支持棒3には係止板6の支持開口部6aを介して係止板6を挿入する。この際、支持棒3および支持開口部6aが矩形状にて形成されているため、係止板6の位置決め、すなわち、保持部4に対応する位置に係止開口部5がくるように設置することを容易に行うことができる。さらに、係止開口部5には緩衝材5aが形成されているため、ボンベ11の側壁に係止板6の接触により傷がつくことは防止される。
【0019】
そして、係止板6は固定具8の固定位置すなわち所定高さ位置に配設される。次に、係止板6のフランジ部6bを支持棒3のねじ穴3bにねじ9にてねじ止めして固定する。そして、ボンベ11を係止板6の係止開口部5内に係止させる。次に、図6に示すように、作業者12は支持棒3を持ち傾けて、運搬器具1全体を傾け台座部2の側面の一部を地面(床面)に当接させる。この際、台座部2の側壁は緩衝材2cが形成されているため、この回転により地面(床面)に傷をつけることが防止される。次に、作業者12は支持棒3を傾けた状態にて回転させるとともに台座部2を回転させて移動して運搬器具1を運搬することができる。そして、運搬作業が終了した後は、各ねじを取り外すことにおり図4に示すように容易に各部分が分解できるため場所をとらずに収納することが可能に形成されている。
【0020】
上記のように構成されてた実施の形態1の運搬器具によれば、他に機器を必要とせず複数の被運搬物を作業者のみにて容易に運搬することができる。
【0021】
尚、上記実施の形態1では運搬器具1に保持部と同一の数の被運搬物を積載して運搬する例を示したがこれに限られることはなく、保持部の数より少ない1本から5本までならば同様に運搬することができることはいうまでもない。但し、その場合なるべく台座部上において均等に被運搬物を保持することが望ましい。
【0022】
また、上記実施の形態1では、被運搬物として1種類のボンベを積載する例を示したが、様々な種類のボンベなど被運搬物においても、それぞれの被運搬物の種類に応じて、被運搬物の一端が保持可能な保持部およびその被運搬物の所定高さ位置で係止可能な係止開口部を形成し、上記実施の形態1と同様に備えるようにすれば、上記実施の形態1と同様に構成および運搬を行うことができることはいうまでもない。
【0023】
実施の形態2.
図7はこの発明における実施の形態2による運搬器具の形成を示す斜視図、図8は図7運搬器具に被運搬物としてのボンベの積載状態を示す斜視図、図9は図7に示した運搬器具に被運搬物としての他のボンベの積載状態を示す側面図である。図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。被運搬物を運搬する運搬器具100は、上記実施の形態1においては係止板6を1枚のみ備えた例を示したが、本実施の形態2においては係止板6と同様の係止板60を追加して支持棒3に配設する例ついて説明する。よって、係止板60に形成されている係止開口部5などは係止板6と同様に形成されており、支持棒3に対しても他の所定高さ位置に同様に配設されているものである。
【0024】
次に、上記のように形成されている実施の形態2の運搬器具を用いた運搬方法について説明する。まず、上記実施の形態1と同様に、台座部2の上面の中央部に支持棒3をねじ止めして、支持棒3を台座部2に鉛直方向に配設する。次に、固定具8を支持棒3の他の所定高さ位置に固定する。次に、図8に示すように、ボンベ11の一端を保持部4の保持開口部4a内に挿入して保持する。その後、ボンベ11の他端から係止板60の係止開口部5、支持棒3には係止板60の支持開口部6aを介して係止板60を挿入する。そして、係止板60は固定具8の固定位置すなわち他の所定高さ位置に配設される。
【0025】
次に、係止板60のフランジ部6bを支持棒3のねじ穴3bにねじ9にてねじ止めして固定する。次に、固定具8を支持棒3の所定高さ位置に固定する。次に、ボンベ11の他端から係止板6の係止開口部5、支持棒3には係止板6の支持開口部6aを介して係止板6を挿入する。そして、係止板6は固定具8の固定位置すなわち所定高さ位置に配設される。次に、係止板6のフランジ部6bを支持棒3のねじ穴3bにねじ9にてねじ止めして固定する。そして、ボンベ11を係止板6および係止板60の各係止開口部5内にて係止させる。次に、上記実施の形態1と同様に、作業者は支持棒3を傾けた状態にて回転させるとともに台座部2を回転させて移動して運搬器具100を運搬することができる。被運搬物が上下方向において2箇所の位置にて係止板6および係止板60の各係止開口部5にて係止されているため、運搬における振動を低減することができる。
【0026】
また、他の被運搬物の場合における、上記のように形成されている実施の形態2の運搬器具を用いた運搬方法について説明する。まず、上記実施の形態1と同様に、台座部2の上面の中央部に支持棒3をねじ止めして、支持棒3を台座部2に鉛直方向に配設する。次に、固定具8を支持棒3の他の所定高さ位置に固定する。次に、図9に示すように、第1のボンベ13の一端を保持部4の保持開口部4a内に挿入して保持する。その後、第1のボンベ13の他端から係止板60の係止開口部5、支持棒3には係止板60の支持開口部6aを介して係止板60を挿入する。そして、係止板60は固定具8の固定位置すなわち他の所定高さ位置に配設される。次に、係止板60のフランジ部6bを支持棒3のねじ穴3bにねじ9にてねじ止めして固定する。
【0027】
次に、固定具8を支持棒3の所定高さ位置に固定する。次に、第1のボンベ13の上部に第2のボンベ14を積載する。次に、第2のボンベ14の他端から係止板6の係止開口部5、支持棒3には係止板6の支持開口部6aを介して係止板6を挿入する。そして、係止板6は固定具8の固定位置すなわち所定高さ位置に配設される。次に、係止板6のフランジ部6bを支持棒3のねじ穴3bにねじ9にてねじ止めして固定する。そして、第1のボンベ13は係止板60の係止開口部5内に第2のボンベ14は係止板6の係止開口部5内にてそれぞれ係止させる。次に、上記実施の形態1と同様に、作業者は支持棒3を傾けた状態にて回転させるとともに台座部2を回転させて移動して運搬器具100を運搬することができる。被運搬物を上下方向に2段に積載して運搬することができる。この場合の所定の高さ位置はボンベ14の径の大きさの上部において小さくなる位置(ボンベの肩位置)が適当であると考えられる。
【0028】
上記のように形成されている実施の形態2の運搬器具によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、運搬における振動を低減することができたり、より多くの被運搬物を運搬することが可能と形成されている。
【0029】
上記各実施の形態では、保持部4を円形の筒体にて形成されている例を示したが、これに限られることはなく、例えば、図10に示すように、運搬器具102は矩形の筒体にて形成されている保持部40を上記各実施の形態と同様に形成してもよい。そして、例えば矩形柱体にて形成されている被運搬物15を上記各実施の形態と同様に保持部40に保持して、係止板6の係止開口部5にて係止する。また、保持部40が矩形の筒体にて形成されている場合であっても、円柱状のボンベ11を保持して同様に利用することが可能である。
【0030】
また、上記各実施の形態では、係止板6の係止開口部5の形状が円状にて形成されている例を示したが、これに限られることはなく、例えば、図11に示すように、運搬器具103は矩形状にて形成されている係止開口部52を有する係止板62としてもよい。そして、被運搬物15およびボンベ11は上記各実施の形態と同様に保持部40に保持して、係止板62の係止開口部52にて係止して同様に利用することは可能である。
【0031】
また、上記各実施の形態では、係止板の係止開口部を係止板に開口させて形成されている例を示したが、これに限られることはなく、例えば図12(a)および図12(b)に示すように、係止板63の係止開口部5の上方に係止開口部5と連通して形成されている筒状の支持部53を備えるようにしてもよい、また、図12(c)に示すように、係止板64の係止開口部5の上方および下方に係止開口部5と連通して形成されている筒状の支持部53および支持部54を備えるようにしてよい、また、図12(d)に示すように、係止板65の係止開口部5の下方に係止開口部5と連通して形成されている支持部54を備えるようにしてよい。このように形成すれば係止開口部5と連通して形成されている筒状の支持部53または支持部54のいずれか少なくとも一方が、運搬時および積載時に被運搬物の側面を支えることができるため、安定して運搬および積載を行うことができる。
【0032】
また、上記各実施の形態では特に示さなかったが、図13に示すように、運搬器具104の支持棒3の上部に取手部30を備えるようにしてもよい。このように取手部30を備えれば、運搬時に支持棒3を傾けるのが容易と成る。さらに、被運搬部を積載した状態にて、クレーンなどにてつり上げてトラックなどの荷台などの昇降作業を行うことが可能と成る。
【0033】
また、上記各実施の形態では、保持部を円形または矩形の筒体にて形成されている例を示したがこれに限られることはなく、例えば、図14に示すように、運搬器具105は保持部41を円形の柱体にて台座部2上に形成する。但しこの場合、被運搬物としてボンベ16は、保持部41にて保持される側の一端が凹部形状にて形成されており、保持部41の外周に接して保持させるものに限定される。また、保持部は矩形の柱体にて形成しても、同様に利用することが可能であることはいうまでもない。
【0034】
また、上記各実施の形態では、支持棒3を台座部2の上面の中央部に1本備える例を示したがこれに限られることはなく、例えば、図15に示すように、運搬器具106は台座部の上面に2本の支持棒31を備え、その2本の支持棒31を上部にて連結する連結部32を備えるようにしてもよい。この場合係止板66には支持開口部が支持棒31と対応するように2箇所形成され、上記各実施の形態と同様に係止板66が配設されることと形成されている。そしてこのように形成されている場合、作業者は2本の支持棒31を持って傾け、運搬器具106を図6にて示した状態と同様にして、支持棒31を両手で回転するとともに台座部2を回転させながら運搬器具106を運搬することが可能である。これは台座部の径が大きくなり中央部にある支持棒では回転を行いにくい場合などに有効であると考えられる。
【0035】
また、上記各実施の形態では、係止板を台座部に対して水平方向の面を有する板材に形成する例を示したがこれに限られることはなく、例えば、図16に示すように、運搬器具107は台座部2に対して錐面状にて形成されている面を有する係止板67を形成し、保持部4と対応する係止開口部56を係止板67に形成する。この場合、係止開口部56が斜め楕円状に形成されているため、ボンベ11と係止開口部56との接点が円状の場合より多くなり安定して係止開口部56内にて係止することが可能と成る。
【0036】
また、上記各実施の形態では、保持部を台座部上に6個形成し、係止板の係止開口部も6個形成するを示したがこれに限られることはなく、例えば、図17に示すように、運搬器具108は保持部4を台座部2上に台座部2の異なる円周上に2重に配設して形成してよい。またこれにより係止板68の係止開口部5はこれら保持部4と対応するように係止板68の異なる円周上に2重に配設され形成されている。
【0037】
また、上記各実施の形態では保持部を台座部上に固着して設置する例を示したがこれに限られることはなく、例えば、図18ないし図20に示すように、運搬器具109は複数の保持部4を連結板400にて連結して構成する。そして、連結板400は台座部2および支持棒3から着脱可能と形成されている。ここでは連結板400の中央部に支持棒3を挿入可能な矩形状の支持開口部4dが形成されている。このように支持棒3が矩形形状にて形成されているため、連結板400の位置決めが簡便に成る。そして、連結板400の支持開口部4dに連通するフランジ部4cを連結板400の上面側に形成している。そして、このフランジ部4cを支持棒3のねじ穴3cに対してねじ17にてねじ止めして固定することにより台座部2上に保持部4を配設することができる。
【0038】
よって、運搬器具109を使用していない場合、または、収納している場合の状態は図20に示すように、係止部6(図20(a))、保持部4を連結している連結板400(図20(b))、保持部が形成されていない台座部2(図20(c))、支持棒3(図20(d))および固定具8(図20(e))のように、それぞれを分解して保管しておくことが可能であり、上記各実施の形態よりより一層場所をとらずに保管することができる。そして、使用する際は、台座部2の上面の中央部のねじ穴2eに支持棒3のフランジ部3aを当接するように配設し、ねじ穴2eとフランジ部3aとをねじ7にてねじ止めして、支持棒3を台座部2に鉛直方向に配設する。次に、支持棒3には連結板400の支持開口部4dを介して連結板400を挿入し、保持部4の下端を台座部2上に当接して配設する。次に、フランジ部4cを支持棒3のねじ穴3cにねじ17にてねじ止めして固定する。次に、固定具8を支持棒3の所定高さ位置のねじ穴3bにてねじ10にてねじ止めして固定する。
【0039】
次に、上記各実施の形態と同様に、被運搬物の一端を保持部4の保持開口部4a内に挿入して保持する。その後、被運搬物の他端から係止板6の係止開口部5、支持棒3には係止板6の支持開口部6aを介して係止板6を挿入する。そして、係止板6は固定具8の固定位置すなわち所定高さ位置に配設される。次に、係止板6のフランジ部6bを支持棒3のねじ穴3bにねじ9にてねじ止めして固定する。そして、被運搬物を係止板6の係止開口部5内に係止させ、上記各実施の形態と同様に運搬器具109を運搬に利用する。そして、運搬作業が終了した後は、各ねじを取り外すことにおり図20に示すように容易に各部分が分解できるため場所をとらずに収納することが可能に形成されている。
【0040】
また、この連結板400に代えて、上記図12にて示した係止板64の支持部53および支持部54を保持部として利用することにより流用することが可能である。また、図12の係止板65の支持部54を保持部として利用することによりこの連結板400に代えて使用することが可能である。
【0041】
また、上記各実施の形態においては、各部材を金属製にて形成する例を示したがこれに限られることはなく、例えばポリカーボネートなどを利用することが考えられる。その場合は運搬器具自体の重量を低減することができる。
【0042】
また、上記各実施の形態においては、各部分を分離できる構成にて形成する例を示したがこれに限られることなく、収納面を考慮に入れる必要がない場合には、それぞれの部分を例えば溶接などにより固着して形成してもよい。その場合、構成部品が少なくなるため、運搬器具を低コストにて製造することができる。
【0043】
尚、上記各実施の形態では運搬器具の運搬方法として、支持棒を傾けて、台座部の側面の一部を地面(床面)に当接させて支持棒を回転することにより台座部を回転させて運搬器具を運搬する例を示したが、傷つきやすい床などの上を運搬する場合には、この運搬器具自体を手押し台車上に載置して手押し台車を押すことにより移動したり、運搬器具の台座部の底部に、台座部の円柱材より内径側にはまりこむ程度の大きさのキャスター付き円形台を配設して運搬器具の支持棒を押して円形台のキャスターを回転させることにより移動することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1による運搬器具の形成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した運搬器具の縦断面を示した断面図である。
【図3】図2に示した運搬器具の断面図の詳細を示す拡大断面図である。
【図4】図1に示した運搬器具を分解した状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示した運搬器具に被運搬物としてのボンベの積載状態を示す斜視図である。
【図6】図6は図5に示した被運搬物を積載した状態にて運搬器具を運搬する状態を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2による運搬器具の形成を示す斜視図である。
【図8】図7は図1に示した運搬器具に被運搬物としてのボンベの積載状態を示す斜視図である。
【図9】図7は図1に示した運搬器具に被運搬物としての他のボンベの積載状態を示す側面図である。
【図10】この発明の実施の形態2による他の運搬器具の形成を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態2による他の運搬器具の形成を示す斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態2による他の運搬器具の係止板の形成を示す斜視図および断面図である。
【図13】この発明の実施の形態2による他の運搬器具の形成を示す側面図である。
【図14】この発明の実施の形態2による他の運搬器具の形成を示す斜視図である。
【図15】この発明の実施の形態2による他の運搬器具の形成を示す斜視図である。
【図16】この発明の実施の形態2による他の運搬器具の形成を示す斜視図である。
【図17】この発明の実施の形態2による他の運搬器具の形成を示す斜視図である。
【図18】この発明の実施の形態2による他の運搬器具の縦断面を示した断面図である。
【図19】図18に示した運搬器具の断面図の詳細を示す拡大断面図である。
【図20】図18に示した運搬器具を分解した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1,100,102,103,104,105,106,107,108,109 運搬器具、
2 台座部、2c 緩衝材、3,31 支持棒、3a,4c,6b フランジ部、
4,40,41 保持部、4a 保持開口部、5,52,56 係止開口部、
5a 緩衝材、6,60,62,63,64,65,66,67,68 係止板、
4d,6a 支持開口部、8 固定具、11,16 ボンベ、12 作業者、
13 第1のボンベ、14 第2のボンベ、15 被運搬物、53,54 支持部、
400 連結板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被運搬物を運搬する運搬器具において、円盤状にて形成されている台座部と、上記台座部の上面に鉛直方向に配設されている支持棒と、上記台座部の上面の所定位置に配設され上記被運搬物の一端を保持する保持部と、上記支持棒の所定高さ位置に配設され上記保持部に対応し上記被運搬物を係止する係止開口部が形成されている係止板とを備えたことを特徴とする運搬器具。
【請求項2】
上記係止板は、上記台座部に対して水平面を有するように形成されているか、または、上記台座部に対して錐状面を有するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の運搬器具。
【請求項3】
上記係止板は、上記支持棒の異なる所定高さ位置において複数個形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運搬器具。
【請求項4】
上記保持部は、上記台座部の上面に複数個形成されているとともに、上記係止開口部は上記保持部に対応する個数にて上記係止板に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の運搬器具。
【請求項5】
上記支持棒および上記保持部は、上記台座部から着脱可能に、上記係止板は、上記支持棒から着脱可能にて形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の運搬器具。
【請求項6】
上記係止板は、上記支持棒の所定高さ位置を変更して配設可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の運搬器具。
【請求項7】
上記係止板の所定高さ位置は、上記被運搬物の高さの5/10〜9/10の高さ位置にて形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の運搬器具。
【請求項8】
上記台座部の側壁は、緩衝材にて形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の運搬器具。
【請求項9】
上記係止板の係止開口部には、上方または下方のいずれか少なくとも一方に上記係止開口部と連通して形成されている筒状の支持部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の運搬器具。
【請求項10】
上記保持部は、円状または矩形状の筒体または柱体にて形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の運搬器具。
【請求項11】
上記支持棒は、円柱または角柱のいずれか少なくとも一方にて形成されていること特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の運搬器具。
【請求項12】
円盤状にて形成されている台座部と、上記台座部の上面に鉛直方向に配設されている支持棒と、上記台座部の上面の所定位置に形成されている保持部と、上記支持棒の所定高さ位置に配設され上記保持部に対応する係止開口部が形成されている係止板とを備えた運搬器具を用いた運搬方法において、上記台座部の上面に上記支持棒を配設しておき被運搬物の一端を上記保持部にて保持し、上記係止板を上記被運搬物の他端から上記係止板の係止開口部を介して挿入して所定高さ位置に配設して上記被運搬物を上記係止板の係止開口部内にて係止させ、上記支持棒を傾けて上記台座部の側面の一部を地面に当接させ、上記支持棒を傾けた状態にて回転させるとともに上記台座部を回転させて移動して上記運搬器具を運搬することを特徴とする運搬器具を用いた運搬方法。
【請求項13】
円盤状にて形成されている台座部と、上記台座部の上面に鉛直方向に配設されている支持棒と、上記台座部の上面の所定位置に形成されている保持部と、上記支持棒の所定高さ位置に配設され上記保持部に対応する係止開口部が形成されている係止板とを備え、上記係止板は、上記支持棒の異なる所定高さ位置において複数個形成されている運搬器具を用いた運搬方法において、上記台座部に支持棒を配設しておき被運搬物の一端を上記保持部にて保持し、上記係止板を上記被運搬物の他端から上記係止板の係止開口部を介して挿入して所定高さ位置に配設して上記被運搬物を上記係止板の係止開口部内にて係止させ、上記被運搬物の他端に上記他の被運搬物の一端を嵌合して積載し、上記他の係止板を上記他の被運搬物の他端から上記他の係止板の係止開口部を介して挿入して他の所定高さ位置に配設して上記他の被運搬物を上記他の係止板の係止開口部内にて係止させ、上記支持棒を傾けて上記台座部の側面の一部を地面に当接させ、上記支持棒を傾けた状態にて回転させるとともに上記台座部を回転させて移動して上記運搬器具を運搬することを特徴とする運搬器具を用いた運搬方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−264724(P2006−264724A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84065(P2005−84065)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(592184382)キコー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】