運用自動化支援システム
【課題】運用現場の作業品質の向上、作業工数の削減等を図れる運用自動化支援システム、装置、方法を提供すること。
【解決手段】作業手順書に基づく一連の作業を構成する運用作業の項目とその実施に関連する時刻とを組み合わせたシナリオを、該シナリオに基づいて作業を実施するコンピュータ等を備えた情報システム(例えばサーバ)に登録し、例えばシステム側からの自動的なナビゲーションに応じて前記時刻に関連する作業を実施する手段を設けた。
【解決手段】作業手順書に基づく一連の作業を構成する運用作業の項目とその実施に関連する時刻とを組み合わせたシナリオを、該シナリオに基づいて作業を実施するコンピュータ等を備えた情報システム(例えばサーバ)に登録し、例えばシステム側からの自動的なナビゲーションに応じて前記時刻に関連する作業を実施する手段を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は運用自動化支援システム等に関し、例えば作業手順書の作業項目の作業を自動的に実現し、その状況を作業者側に通知する運用自動化支援システム、運用自動化支援装置、運用自動化支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ITシステムを利用したIT運用の現場では、様々な作業が混在しており、いろいろな形で不具合が生じている。具体的には、比較的緊急性の高い突発作業と計画的な作業、それらの混在による優先度判断の混乱や誤操作、連絡漏れなどの作業ミスである。
【0003】
従来、運用の管理者は、例えばIT管理ルールの導入や属人的な対応により、これらの作業負担の軽減、作業効率の向上やミス防止に取り組んでいるのが現状である。
【0004】
ここで、IT管理ルールの導入や属人的な対応とは、ITシステムを利用したサービス提供現場(運用現場)では、その作業者(サービス提供者)が紙ベースの作業手順書を参照しながら行うべき作業を知り遂行することであった。
【0005】
具体例として、サービス提供者がサービス手順書を参照し、サービス提供者側の情報処理装置、例えばパーソナルコンピュータからサービス対象、例えばIT環境システムをオペレーションしていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】広義ITあるいは情報システムの運用を実現する業界・国際標準モデルITSMS(IT Service Management System)として下記がある.
【非特許文献2】ITIL(IT Infrastructure Library)運用モデル
【非特許文献3】ISO/IEC20000運用モデル
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような作業の仕方では、作業の実施時刻は、サービス提供者である作業者の主体的な判断に委ねられているため、作業者自身が、例えばその時の繁忙感に影響され、本来なされるべき作業の実行が忘れ去られたり、あるいは漏れたりする等、適切に実行されないような課題があった。
【0008】
例えば、作業者が複数案件に対応中等の場合、お客様(サービス提供先)への連絡が漏れたり、次の作業への開始が遅れたりすることが頻繁に起こったり、当日のみの連絡先変更など、イレギュラーな作業(運用)を間違いなく実行する手順が煩雑になる等の課題があった。
【0009】
以上のように従来は、IT運用システムにおいて、運用手順を紙ベースの運用手順書を参考にして運用(作業内容)を手作業で実行していたので、前述したような問題があった。
【0010】
従って、ITシステムやサービスの運用では、例えばオンサイトあるいはリモートでの計画、実行から結果報告まで作業全般にかかわる一連の流れにかかる、「現場」のサービス実行環境を改善することが重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明はかかる課題に鑑みてなされ、サービス提供者への作業支援について考慮したものであって、例えば、前述した先行特許文献で列挙した仕様を先取りして実現する仕組みである。
【0012】
本願発明の目的は運用現場の作業品質の向上、作業工数の削減等を図れる運用自動化支援システム、装置、方法を提供することにある。
【0013】
本願発明は、前記目的を達成するため、IT運用システムにおいて、運用自動化支援機能を持たせた運用自動化支援装置を実現し、運用手順(作業手順)を自動化し、その運用状況を可視化可能に構成したことを特徴とするものである。
【0014】
例えば、IT運用システムにおいて、オペレーションズ・コーディネータ(OC)を設け、該オペレーションズ・コーディネータ(OC)のオペレーションズ・コーディネーションをもって、作業手順書に基づいて作成したシナリオであって、かつ運用作業の項目とその実施時期(作業実施タイミング)に関連する時刻とを組み合わせたシナリオを作成し、該シナリオに基づいて作業を実施するコンピュータ等を備えた所謂情報システムに登録し、前記シナリオの実施時刻に従って前記作業項目の作業を実施する手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、従来の課題を是正することができ、運用現場(作業者)の作業を滞りなく実行させることが可能となり、作業品質向上が図れ、作業工数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願発明の運用の自動化支援環境の全体概要を示す図である。
【図2】シナリオ・オブジェクト群とオペレーションズ・コーディネータとアクション・ナビとの関係を示す構成要素イメージ図である。
【図3】シナリオ作成・編集画面イメージレイアウトの一例を示す図である。
【図4】オペレーションズ・コーディネータのイメージレイアウトの一例を示す図である。
【図5】サービス運用基盤ポータルのポータル画面の一例を示す図である。
【図6】オペレーションズ・コーディネータのシナリオ実行画面の一例を示す図である。
【図7】アクション・ナビのアクション・シーケンス実行画面の一例を示す図である。
【図8】本願発明の一実施例を示す運用自動化支援システムの構成を示す図である。
【図9】運用自動化支援システムを構成するOCサーバを含む運用自動化支援装置の機能構成図である。
【図10】OCサーバを含む運用自動化支援装置の運用準備処理を示すフロー図である。
【図11】OCサーバを含む運用自動化支援装置の運用実行処理を示すフロー図である。
【図12】運用自動化支援装置とサービス提供者OCとサービス対象者(サービス対象者端末)間のシーケンスを示す図である。
【図13】運用自動化支援装置の作業項目と該作業項目の実施時期を示す時刻との関係及びサービス提供形態の一例を示す図である。
【図14】サービス手順書のシナリオパターン例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
運用手順書(作業手順書)の運用(作業)の自動化を、作業項目と実施時期(時刻)とを組み合わせたシナリオに基づいて実現した。
【実施例】
【0018】
まず、図1において、本願発明に関する運用の自動化支援環境の全体概要の機能について説明する。
【0019】
本システムは、サービス基盤として、例えばオペレーションズ・コーディネータOC(Operations Coordinator)3、アクション・ナビAN(Action Navi)4、ツール群5を含み、これらは、以下の運用自動化支援機能を備えている。
【0020】
本環境では、運用にかかわる従来の「手順」をシナリオとアクション・シーケンスに落とし込み、予め定義したシナリオのストーリ上で各種ツールを標準的に組み合わせて、実作業の遂行を統一的に管理、展開するものである。
【0021】
これを実現するために、例えば、次の3層構造が採られる。すなわち、トップ画面である「ポータル」から下記の管理機構(構成モジュール)へ展開する。
(1)オペレーションズ・コーディネータOC:シナリオレベルの管理
(2)アクション・ナビAN:OCから展開されるアクション・シーケンスレベルの管理
(3)ツール:遠隔操作(OA)やアラートの発行等の各種収容と管理
【0022】
ここで、オペレーションズ・コーディネータOCは、運用手順(業務フロー)を管理し、ナビゲーションする仕組みとなっている。また、後述する運用手順の進捗状況の表示や作業開始/完了期限等をOC関係者(管理者や作業者等)に通知する機能を有している。運用手順はテンプレート化された部品(オブジェクトや矢印)を組み合わせて作成される。
【0023】
オペレーションズ・コーディネータOCのオペレーションズ・コーディネーションは、運用現場における手順書とITIL(ISO/IEC20000)ベースのマネジメントプロセスとをモデル化して統合するIT運用環境である。また、作業やコマンド投入など実行手順の起動・確認・測定や制御等を自動化支援することにより、IT運用プロセスのオペレーション効率・オペレーション品質を大幅に改善させるソフトウェアプラットフォームである。
【0024】
アクション・ナビANはオペレーションズ・コーディネータOCと連携し、オペレーションズ・コーディネータOCでの詳細作業手順を管理/ナビゲーションする仕組みとなっている。そして、運用支援ツール群、共通部品群を使用し処理を実行する。処理の実行状況を記録、進捗管理にも利用される。
【0025】
ツール群はオペレーションズ・コーディネータOCと連携して利用されるオペレーションズ・アシスタントOA(Operation Assistant)とその他ツールを含んでいる。オペレーションズ・アシスタントOAは遠隔操作を支援するツールで、準備された処理を実行する。
【0026】
また、オペレーションズ・コーディネータOCは、SDC(Service Desk Controller)6や各ツール5と連携し、操作履歴情報をナリッジDB(SKMS:Service Knowledge Management System)7に蓄積するために利用される。また、コマンドラインI/Fを追加し、コマンド実行部品としても利用される。その他のツールには、メール送信ツールやアラーム通報を行う通信手段や各種のデータ分析ツール、音声読み出しツール等が含まれている。
【0027】
運用自動化支援システムには、シナリオ作成・編集機能1やサービス運用基盤ポータル2も実装されている。
【0028】
ここで、シナリオ作成・編集機能とは、運用手順(業務フロー)や詳細作業手順を、後述するオペレーションズ・コーディネータOCやアクション・ナビAN上で動作するシナリオとして作成・編集する機能である。
【0029】
サービス運用基盤ポータルは作業予定や作業状況を管理する機能を有している。また、作業予定をカレンダーイメージでポータル画面(トップ画面)に表示する機能や、作業予定の詳細情報をSDC等所謂サービスデスクツールと連携する機能を含んでいる。予定表には、例えば担当者、作業日時、シナリオ等の予定が登録される。
【0030】
SDC6、SKMS7、共通基盤8は運用自動化支援システムと連携している。SDCはオペレーションズ・コーディネータOC、各ツールのオペレーションズ・アシスタントOAと連携し、運用/操作履歴をインデント情報と紐付け、情報蓄積を図る。
【0031】
ナリッジDBを構成するSKMSは運用手順やノウハウを蓄積するものである。その運用手順やノウハウはOC関係者により共有される。
【0032】
共通基盤は,ユーザ権限により使用できる機能を制御する機能、また作業開始時刻等を管理し、設定時刻、各種通報機能を起動する機能を有している。これらの機能は、既存の技術で実現可能であるので、その詳細は省略する。
【0033】
しかし、後述する本願発明の運用自動化支援システム/装置についての理解を補助するため、図2〜図4を参照して、前記各機能の構成要素について簡単に説明する。
【0034】
シナリオ作成・編集には、図2に示す如く、シナリオ・オブジェクト群51が必要である。シナリオ・オブジェクト群は、例えば部品(開始、終了、分岐、繰り返し、コメント、承認、メール送信、ネストや,ANでの実施、参照、確認)等のシナリオ・オブジェクトから構成される。ここで、シナリオとは、フローで表現される運用作業手順であり、作業の実施や承認、分岐、繰り返しなどを矢印でつなぎ合わせたものを意味する(図2、図4等参照)。
【0035】
シナリオは、オペレーションズ・コーディネータOCにて前記シナリオ・オブジェクトを組み合わせて作成する。例えば図3に示す如く、アイコン群51から必要なアイコン、つまりシナリオ・オブジェクトである部品をドラッグ&ドロップし、これらを組み合わせてシナリオ・フローを作成する。このドラッグ&ドロップはOC関係者(管理者や作業者あるいはシナリオオーサ)によりなされる。
【0036】
シナリオ・オブジェクトとは、シナリオの構成要素のことである。図3において、このシナリオのシナリオ・オブジェクト51をクリックすると、アクション・ナビANが起動し、図2に示すようなアクションを含むアクション・シーケンス53が画面表示される。
アクションとは、アクション・ナビANに記述されているそれぞれの行54を指し、主に詳細作業手順が記述されたものである。アクション・シーケンスとは、実施する作業手順に記述されたアクションの集合体である。
【0037】
また、シナリオ作成・編集の機能要件としては、例えば画面構成、GUI(Graphical User Interface)、設定項目、部品化、承認、印刷、検索等を可能とする機能要件が含まれる。前記画面構成には、例えば一連のオペレーションをシナリオとし、フローチャート風に表示する機能が含まれる。GUIには、シナリオ・オブジェクトをドラッグ&ドロップすることで簡単にシナリオを作成、変更する機能が含まれる。前記設定項目には、シナリオ・オブジェクトに作業開始予定時刻、作業完了期限を設定可能とする機能が含まれる。前記部品化には、作成済みアクション・シーケンスをシナリオ・オブジェクトとすることを可能とする機能が含まれる。これらについては本願発明に直接関係しないので、これ以上の詳細説明は省略する。
【0038】
ポータルの機能要件としては、例えば作業状況管理、検索、緊急連絡・お知らせ、I/F等の機能要件が含まれている。前記作業状況管理には、案件とその予定(担当者、作業日時)一覧、リアルタイムで実行状況等を表示する機能要件が含まれる。トップ画面であるポータル画面では、主に作業予定の一覧表示と、各作業シナリオの呼び出し制御を行う。
【0039】
オペレーションズ・コーディネータOCの機能要件としては、画面構成、実行、フロー制御、GUI、I/F(アクション・ナビANやツール群等を呼び出す)等の機能要件が含まれている。前記実行には、前記シナリオに従った運用を支援(シナリオで設定された順序でシナリオ・オブジェクトを制御)する機能要件が含まれる。
【0040】
図4はオペレーションズ・コーディネータOCのイメージレイアウトを示す図である。同図において、シナリオ(アカウント登録)を前述したようにフローチャート風(シナリオ・フロー61)に表現し、そのシナリオ・オブジェクトの進捗状況(未実施、作業中、完了等)が分かるように表示(可視化)する。これにより、運用上の操作ミスを防止することが可能となる。表示の仕方としては、例えばシナリオ・オブジェクトの色を変えたり、運用状況を説明する文字を表記すると良い。
【0041】
ここで、シナリオ・オブジェクト(例えば、図4のユーザID登録)をクリックすると、前述したアクション・ナビANが起動する。これにより、その進捗状況(アクション・シーケンス)の詳細を画面表示(図2参照)する。
【0042】
アクション・ナビANの機能要件としては、画面構成、実行、フロー制御、GUI、I/F等の機能要件が含まれている。前記実行には、アクション・シーケンスに従った詳細作業手順の実行を支援する機能要件が含まれる。
【0043】
次に、図5〜図7を参照して、ポータル画面とシナリオ実行画面とアクション・シーケンス実行画面との関係について説明する。
【0044】
図5はポータル画面の一例を示す図、図6はシナリオ実行画面の一例を示す図、図7はアクション・シーケンス実行画面の一例を示す図である。
【0045】
図5において、ポータル画面71には、作業一覧720とOC案件730等の項目が表示される。作業一覧720には、例えば作業ID711、作業内容712、作業責任者713、作業開始予定714、作業終了期限715、シナリオ717、実行画面718、ステータス719等の項目欄が表示され、これらの項目欄にそれぞれの情報が表示される。作業一覧730には、例えば作業ID731、作業内容732、作業予定割当733、作業開始予定734、作業終了期限735、作業実施担当736、作業開始実績737、作業終了実績738、予定739、実行画面718、ステータス719等の項目欄が表示され、これらの項目欄にはそれぞれの情報が表示される。
【0046】
なお、図5では、作業一覧720と作業一覧730とを同図上で表現しているが、これは、二層構成となっており、例えば作業一覧720の「OC案件:新規登録」の作業ID711や作業内容712等を、周知方法でクリックすることにより、作業一覧730の「OC案件:新規登録」に関する詳細情報の画面が表示されるようになっている。
【0047】
ここで、ポータル画面71の実行画面718の「起動」を操作、つまりポータルの起動ボタンを操作すると、ポータル画面71の下層レイヤのシナリオ実行画面(図6参照)が表示される。図6に示すシナリオ実行画面50には、前述した如く、複数のシナリオ・オブジェクトと矢印との組合せからなるシナリオ・フロー52が表示される。この画面により、運用状況を確認することが可能となる。
【0048】
図6のシナリオ実行画面50において、その所望のシナリオ・オブジェクト(実施可部分)を周知方法によりダブルクリックすると、シナリオ実行画面の下層レイヤのアクション・シーケンス実行画面(図7参照)を表示する。
【0049】
アクション・シーケンス実行画面810には、例えば、図示する如く、作業名称811、作業内容詳細812、ステータス813、備考814、担当者815、実行時刻817、資料818等の項目欄が表示される。この表示画面によりアクション・シーケンス実行状況を確認することができる。
【0050】
図7のアクション・シーケンス実行画面810において、実作業実施に従って各アクションのステータス813を選択すると、図6のシナリオ実行画面に戻る。ここで、アクション・ナビANでのステータスを取得し、図6のシナリオ実行画面のフロー上に進捗を色と文言で表示することにより、より確実に運用状況を確認することが可能となる。
【0051】
例えば、シナリオ・オブジェクトが完了した部分は、該シナリオ・オブジェクトのアイコンを、黒色の枠で囲むとともに該アイコンに対応する位置に「完了」と表示する。実施中部分は緑色の枠で囲み、「実施中」と表示し、実施可能部分は黄色の枠で囲み、「実施可能」と表示し、遅延部分は赤色の枠で囲み、「遅延」と表示し、分岐により処理不要部分はグレーの枠で囲み、「分岐により処理不要」と表示し、未実施部分は枠無しとし、「未実施」と表示する。これらの表示により進捗状態を確認できる。
【0052】
次に、本願発明の本質的な部分となる、オペレーションズ・コーディネーション(OC)−自動化支援環境を構成するシステムの構成、動作について説明する。
【0053】
図8は本願発明の一適用例を示すシステム図であって、オペレーションズ・コーディネーション(OC)−自動化支援環境を構成するシステム図である。
【0054】
同図において、10はOCを活用して運用サービスを実現する、例えば作業者、作業管理者、作業手順書作成者(シナリオオーサ)、あるいはお客様等のOC関係者である。
【0055】
20はOC―自動化支援環境を構成する運用自動化支援装置を示し、該装置は作業手順書の作業を後述するシナリオに基づいて(シナリオ/フローにしたがって)実施するものである。また、該装置はOCクライアント21とOCサーバ22とSKMS(Service Knowledge Management System)/DB(Data Base)23とこれらを結合するネットワーク24、例えばLANやWAN等から構成されている。
【0056】
図9において、OCクライアント21はOC関係者により操作される情報処理装置であり、例えばキーボードなどの入力部211、処理部212、表示部(ビューアー)部213等を備えたパーソナルコンピュータから構成されている。
【0057】
OCサーバ22は図10、図11に示す如く、運用準備・運用を実行するプログラムを処理する処理部220と、該処理部で作成されたシナリオ等を登録する登録部223を備えている。
【0058】
処理部220は運用手順書(サービス手順書)の運用手順を準備するための運用準備部221と、該運用準備部で準備された運用を実行する運用実行部222を含んでいる。
【0059】
運用準備部221は運用手順書の情報からシナリオを作成する機能や編集機能を有している。シナリオとは、前述したようにフローで表現される運用作業手順を意味する。運用実行部222は運用状況をOCクライアント21の表示部213に表示させる機能を有している。この表示機能は汎用技術で実現可能である。SKMS/DB23には運用手順書、例えばサービス手順情報が登録されている。
【0060】
運用自動化支援装置20はOCサーバ22、OCクライアント21、SKMS/DB23と連携して、作業を実施するための後述するシナリオ(サービスシナリオ)を作成し、該シナリオとともに作業を実施するサービス提供者/OC関係者(例えば現場作業者)のマシン(OCクライアント21)に表示/登録する機能を有している。
【0061】
また、シナリオは作業項目と該作業項目の作業実施時期(タイミング)を決める時刻(時刻)との組合せ情報を含む。この時刻情報は運用準備処理において運用準備者(シナリオオーサ)により決められる。
【0062】
シナリオは、OC関係者によって前記OCクライアント21を操作することにより作成されるものであるが、このシナリオ作成に際しては、従来ある紙ベースの作業手順書、あるいは先に登録されSKMS/DB23に格納されている手順を流用して作成される。このシナリオ作成は、例えば、シナリオ作成のためのシナリオ作成/編集機能を有した後述する運用準備部にて実行される。実施例では、この運用準備部をOCサーバに設けているが、この場合には、複数のOCクライアントで共用化できる特長がある。運用準備部はOCクライアントに設けても良いが、この場合には、OCクライアント側にそれぞれ設ける必要があり、経済的に不利となる。したがって、望ましくはOCサーバ側に設けると良い。
【0063】
運用自動化支援装置20のOCサーバ22には、例えばSKMS/DB23に登録された運用手順書(サービス手順書)に基づき作成された作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)と該作業項目の作業を実施する実施時刻(t1,t2,・・・tn)とを組み合わせたシナリオ(サービスシナリオ)が登録される。すなわち、SKMS/DB23に登録された運用手順書(作業手順書)に基づき作成された作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)と該作業項目の作業を実施する実施時期(時刻t1、t2・・・tn)とを組合わせたシナリオ(サービスシナリオ)がOCサーバ22の登録部223に登録される。このシナリオは複数のシナリオによりシナリオ群211(図12〜図14参照)となる。
【0064】
OC―自動化支援環境を構成する運用自動化支援装置20のOCサーバ22は前記シナリオに基づく作業項目の作業を実行する。これは、例えば前述したアクション・ナビANと連携して行うと良い。アクション・ナビANは各作業のステータス管理、作業終了期限をアラート通知、繰返し操作・コマンド実行等の機能を備えている。また、前述したアクション・ナビANと連携することにより、運用状況の詳細を管理、表示(図5〜図7参照)することも可能である。
【0065】
作業を実行すると、その運用状況(進捗状況)をサービス提供者OCのOCクライアント21に、例えば前述したツール群5のメール送信ツールや通報機能等と連携して通知する。ここで、進捗情報(未実施、作業中、完了等)はOCクライアント21の表示部213のシナリオ画面に多彩に色表現すると良い。また、これにより、手順の可視化が容易となり、一目で状況を把握することが可能である。
【0066】
また、前述した遠隔操作を支援するオペレーション・アシスタントOA(ツール)と連携し、前述した処理や実行を処理すると良い。この場合、前述したSDCやツールとの連携により、操作履歴情報等をSKMSに保存することが可能である。
【0067】
また、前述した共通基盤との連携により、使用できる機能を制御したり、作業開始時刻等を管理し、設定時刻、各種通報機能を起動させることが可能である。
【0068】
この通知を受けたサービス提供者はOC環境にあるサービス対象(IT環境/非IT環境)に対してオペレーションを実行する。その結果として、サービス提供者(サービス提供現場)からサービス対象側への適切なオペレーションが可能となる。
【0069】
次に、図10〜図12を参照して前述した運用自動化支援装置の動作、及び該支援装置とサービス提供者とサービス対象間のシーケンスについて説明する。
【0070】
運用準備部221は図10に示す運用準備プログラムを備えており、該プログラムに基づいて運用準備を実行する。なお、本実施例では、運用準備部をOCサーバ側に設け、該運用準備部で運用状況をOCクライアントの表示部に表示する機能まで実行させているが、この部分は別途運用状況表示実行部を設け、該実行部にて運用表示機能を制御するようにしても良い。
【0071】
すなわち、図10において、OC活用者により運用準備をスタートすると(ステップS2211)、まず登録部23の運用手順書を準備する(ステップS2212)。
【0072】
次に運用手順書の作業ステップに分解する(ステップS2213)。ここで、作業ステップ(作業項目)に分解するとは、図13、図14に示す如く、作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)毎に分け、各作業項目を時間軸に沿って作業が順次できるようにすることを意味する。
【0073】
次いで分解した作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)毎に作業を開始する時刻(t1、t2、・・・tn)を対応付けし、作業と時刻の組合せからなるシナリオ(サービスシナリオ)を作成する(ステップS2214)。ここで、作業ステップへの分解やサービスシナリオの作成は、サービス手順登録データベースであるSKMS/DB32と連携し、例えば作業単位に定義したアイコンベースにて行う。
【0074】
つまり、前述したように作業単位に予め定義したアイコン(シナリオオブジェクト群)をドラッグ&ドロップすることにより、プログラミングレスで一連の作業シナリオを作成する。このとき、作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)毎に作業を開始する時刻(t1、t2、・・・tn)を対応付けする(作業と時刻とを組み合わせる)ことで適切な時刻に当該作業の実施を運用自動化支援装置20に促すことが可能となる。この時刻は絶対時刻あるいは相対時刻でも良い。前記実施例の時刻は絶対時刻であるが、該絶対時刻の代わりに前のステップ(例えば作業ステップ分解)からの経過時間等相対的な時刻、つまり相対時刻としても良い。要するに、前記時刻をトリガーに前記作業ステップの運用が実行されるように構成してあれば良い。
【0075】
最後に前記シナリオを登録部223に登録して運用を開始する準備に入る(ステップS2215)。
【0076】
運用実行部222は図11に示す処理プログラムを備えており、該プログラムに基づいて運用開始を実行する。
【0077】
すなわち、図11において、運用がスタート(ステップS2221)し、作業の開始時刻が到来すると、例えば作業項目AAAAAの作業に対応付けされた時刻t1が到来すると、アラームを上げる(ステップS2222)。このとき、例えば、前述したルールのアラーム通報を行う通信手段によりアラームがOCクライアント側に通知され、OCクライアントの表示部の画面に表記される。このアラームに基づいて運用自動化支援装置20は現場のサービス提供者と連携して当該作業項目AAAAAの作業を実施する(ステップS2223)。ここで、各作業ステップの実行に応じて、サービス提供者OC(OCクライアント21)の表示部213のOCシナリオ画面の背景色やステータス表示を前述したように反映させる。これによって、サービス提供者(作業者)による進捗状況の把握を容易にすることが可能である。
【0078】
これによって、サービス提供者(作業者)による作業ステップの忘れや一部作業ステップのバイパス、あるいはチェック漏れ等を無くすことが可能である。
【0079】
この作業ステップが完了すると、作業完了ステップを表記する。この表記はOC関係者(OCクライアント21)に対して行い(ステップS2224)、一つの作業を終了させる(ステップS2225)。ここで、作業ステップ完了表記は色を変えるなどしてサービス提供者OCに見やすく可視化すると良い。
【0080】
次に作業項目BBBBBの作業があれば、その開始時刻t2が到来するまで待機する(ステップS2226)。以下、同様な処理ステップを繰り返す。
【0081】
図14はOC関係者であるサービス提供現場の作業者(OCクライアント)とOC−運用自動化支援装置(OCサーバ)のオペレーションコーディネータとの連携によるシナリオ例(新規アカウント登録)とシナリオパターンの一具体例を示す図である。
【0082】
同図において、プログラミングレスでシナリオを作成し、該シナリオに基づくシナリオ・フローでもってアカウント登録作業、アカウント登録作業完了報告メール送信(作業遅延のアラーム通知)、アカウント登録承認を行う。このシナリオを作成する方法として前述した作業単位に定義したアイコンベースにて行うと良い。これにより、プログラミングレスで一連の作業シナリオを作成することが可能である。
【0083】
シナリオパターン211は以下の情報を有している。すなわち、順序を示す情報211a、作業内容を示す情報211b、担当者情報211c、実施時期を示す情報211dである。担当者情報とは当該作業を実施する作業担当者を示し、実施時期情報とは図3で示した作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)に対応した時刻情報(t1、t2、・・・tn)である。作業内容は、例えば申請受付、○○より承認取得、○○部署に承認依頼、○○部署より承認受領、受付に連絡、申請書に連絡等々であって、これらに限られるものではない。
【0084】
以上述べた実施例によれば、複数案件に対応中の場合であっても、誤操作、お客様への連絡漏れ、次の作業への開始遅れ等が解消可能となる。また、当日のみの連絡先変更など、イレギュラーな運用を間違いなく実施する手順が複雑になっても対応可能である。更に詳述すれば、以下のようなことが期待できる。
【0085】
(1)誤操作・連絡漏れ・確認漏れ・誤送信・誤添付などの作業ミスの防止
(2)操作実績・成功事例等の参照・有効ツールの標準的活用による作業品質の向上
(3)グルーピングやスケジュール設定による、繰り返し作業や単純作業の負担軽減
(4)事前定義アクションの展開をベースにした、属人的対応の極力排除
(5)作業手順書のペーバーレス化・テンプレート化による作業手順の自動的カスタマイズ
(6)標準テンプレート・アイコンのドラッグ&ドロップによりシナリオ作成の容易化
(7)アクション起動アラートの自動化による、関係者間の調整、作業矛盾発生の防止
(8)オペレーション進捗の可視化による状況把握の容易化
(9)ナリッジDBと検索エンジンとの組合せSKMSによる成功事例・履歴の有効活用
(10)従来サービス基盤「IT運用監視MS/ES(Enterprise Support):SDC等」連携による既存サービスの品質向上・作業工数削減
【産業上の利用可能性】
【0086】
ネットワーク管理サービス(NMS: Network Management Service)やIT資産管理サービス(OFITLCM:オーフイットエルシーエム,ICT安心NAVI/日立電子サービス株式会社)等のIT系だけでなく、非IT系への適用として例えばファシリティ系の調達、工事、修繕等の運用サービス提供等、所謂定型的な一連の手順を持つ全ての作業展開、遂行管理に適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 サービス対象(IT環境/非IT環境)
20 サービス提者者(サービス提供現場)
21 OCクライアント
22 OCサーバ
211 サービスシナリオ群
220 処理部
221 運用準備部
222 運用実行部
223 登録部
【技術分野】
【0001】
本願発明は運用自動化支援システム等に関し、例えば作業手順書の作業項目の作業を自動的に実現し、その状況を作業者側に通知する運用自動化支援システム、運用自動化支援装置、運用自動化支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ITシステムを利用したIT運用の現場では、様々な作業が混在しており、いろいろな形で不具合が生じている。具体的には、比較的緊急性の高い突発作業と計画的な作業、それらの混在による優先度判断の混乱や誤操作、連絡漏れなどの作業ミスである。
【0003】
従来、運用の管理者は、例えばIT管理ルールの導入や属人的な対応により、これらの作業負担の軽減、作業効率の向上やミス防止に取り組んでいるのが現状である。
【0004】
ここで、IT管理ルールの導入や属人的な対応とは、ITシステムを利用したサービス提供現場(運用現場)では、その作業者(サービス提供者)が紙ベースの作業手順書を参照しながら行うべき作業を知り遂行することであった。
【0005】
具体例として、サービス提供者がサービス手順書を参照し、サービス提供者側の情報処理装置、例えばパーソナルコンピュータからサービス対象、例えばIT環境システムをオペレーションしていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】広義ITあるいは情報システムの運用を実現する業界・国際標準モデルITSMS(IT Service Management System)として下記がある.
【非特許文献2】ITIL(IT Infrastructure Library)運用モデル
【非特許文献3】ISO/IEC20000運用モデル
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような作業の仕方では、作業の実施時刻は、サービス提供者である作業者の主体的な判断に委ねられているため、作業者自身が、例えばその時の繁忙感に影響され、本来なされるべき作業の実行が忘れ去られたり、あるいは漏れたりする等、適切に実行されないような課題があった。
【0008】
例えば、作業者が複数案件に対応中等の場合、お客様(サービス提供先)への連絡が漏れたり、次の作業への開始が遅れたりすることが頻繁に起こったり、当日のみの連絡先変更など、イレギュラーな作業(運用)を間違いなく実行する手順が煩雑になる等の課題があった。
【0009】
以上のように従来は、IT運用システムにおいて、運用手順を紙ベースの運用手順書を参考にして運用(作業内容)を手作業で実行していたので、前述したような問題があった。
【0010】
従って、ITシステムやサービスの運用では、例えばオンサイトあるいはリモートでの計画、実行から結果報告まで作業全般にかかわる一連の流れにかかる、「現場」のサービス実行環境を改善することが重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明はかかる課題に鑑みてなされ、サービス提供者への作業支援について考慮したものであって、例えば、前述した先行特許文献で列挙した仕様を先取りして実現する仕組みである。
【0012】
本願発明の目的は運用現場の作業品質の向上、作業工数の削減等を図れる運用自動化支援システム、装置、方法を提供することにある。
【0013】
本願発明は、前記目的を達成するため、IT運用システムにおいて、運用自動化支援機能を持たせた運用自動化支援装置を実現し、運用手順(作業手順)を自動化し、その運用状況を可視化可能に構成したことを特徴とするものである。
【0014】
例えば、IT運用システムにおいて、オペレーションズ・コーディネータ(OC)を設け、該オペレーションズ・コーディネータ(OC)のオペレーションズ・コーディネーションをもって、作業手順書に基づいて作成したシナリオであって、かつ運用作業の項目とその実施時期(作業実施タイミング)に関連する時刻とを組み合わせたシナリオを作成し、該シナリオに基づいて作業を実施するコンピュータ等を備えた所謂情報システムに登録し、前記シナリオの実施時刻に従って前記作業項目の作業を実施する手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、従来の課題を是正することができ、運用現場(作業者)の作業を滞りなく実行させることが可能となり、作業品質向上が図れ、作業工数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願発明の運用の自動化支援環境の全体概要を示す図である。
【図2】シナリオ・オブジェクト群とオペレーションズ・コーディネータとアクション・ナビとの関係を示す構成要素イメージ図である。
【図3】シナリオ作成・編集画面イメージレイアウトの一例を示す図である。
【図4】オペレーションズ・コーディネータのイメージレイアウトの一例を示す図である。
【図5】サービス運用基盤ポータルのポータル画面の一例を示す図である。
【図6】オペレーションズ・コーディネータのシナリオ実行画面の一例を示す図である。
【図7】アクション・ナビのアクション・シーケンス実行画面の一例を示す図である。
【図8】本願発明の一実施例を示す運用自動化支援システムの構成を示す図である。
【図9】運用自動化支援システムを構成するOCサーバを含む運用自動化支援装置の機能構成図である。
【図10】OCサーバを含む運用自動化支援装置の運用準備処理を示すフロー図である。
【図11】OCサーバを含む運用自動化支援装置の運用実行処理を示すフロー図である。
【図12】運用自動化支援装置とサービス提供者OCとサービス対象者(サービス対象者端末)間のシーケンスを示す図である。
【図13】運用自動化支援装置の作業項目と該作業項目の実施時期を示す時刻との関係及びサービス提供形態の一例を示す図である。
【図14】サービス手順書のシナリオパターン例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
運用手順書(作業手順書)の運用(作業)の自動化を、作業項目と実施時期(時刻)とを組み合わせたシナリオに基づいて実現した。
【実施例】
【0018】
まず、図1において、本願発明に関する運用の自動化支援環境の全体概要の機能について説明する。
【0019】
本システムは、サービス基盤として、例えばオペレーションズ・コーディネータOC(Operations Coordinator)3、アクション・ナビAN(Action Navi)4、ツール群5を含み、これらは、以下の運用自動化支援機能を備えている。
【0020】
本環境では、運用にかかわる従来の「手順」をシナリオとアクション・シーケンスに落とし込み、予め定義したシナリオのストーリ上で各種ツールを標準的に組み合わせて、実作業の遂行を統一的に管理、展開するものである。
【0021】
これを実現するために、例えば、次の3層構造が採られる。すなわち、トップ画面である「ポータル」から下記の管理機構(構成モジュール)へ展開する。
(1)オペレーションズ・コーディネータOC:シナリオレベルの管理
(2)アクション・ナビAN:OCから展開されるアクション・シーケンスレベルの管理
(3)ツール:遠隔操作(OA)やアラートの発行等の各種収容と管理
【0022】
ここで、オペレーションズ・コーディネータOCは、運用手順(業務フロー)を管理し、ナビゲーションする仕組みとなっている。また、後述する運用手順の進捗状況の表示や作業開始/完了期限等をOC関係者(管理者や作業者等)に通知する機能を有している。運用手順はテンプレート化された部品(オブジェクトや矢印)を組み合わせて作成される。
【0023】
オペレーションズ・コーディネータOCのオペレーションズ・コーディネーションは、運用現場における手順書とITIL(ISO/IEC20000)ベースのマネジメントプロセスとをモデル化して統合するIT運用環境である。また、作業やコマンド投入など実行手順の起動・確認・測定や制御等を自動化支援することにより、IT運用プロセスのオペレーション効率・オペレーション品質を大幅に改善させるソフトウェアプラットフォームである。
【0024】
アクション・ナビANはオペレーションズ・コーディネータOCと連携し、オペレーションズ・コーディネータOCでの詳細作業手順を管理/ナビゲーションする仕組みとなっている。そして、運用支援ツール群、共通部品群を使用し処理を実行する。処理の実行状況を記録、進捗管理にも利用される。
【0025】
ツール群はオペレーションズ・コーディネータOCと連携して利用されるオペレーションズ・アシスタントOA(Operation Assistant)とその他ツールを含んでいる。オペレーションズ・アシスタントOAは遠隔操作を支援するツールで、準備された処理を実行する。
【0026】
また、オペレーションズ・コーディネータOCは、SDC(Service Desk Controller)6や各ツール5と連携し、操作履歴情報をナリッジDB(SKMS:Service Knowledge Management System)7に蓄積するために利用される。また、コマンドラインI/Fを追加し、コマンド実行部品としても利用される。その他のツールには、メール送信ツールやアラーム通報を行う通信手段や各種のデータ分析ツール、音声読み出しツール等が含まれている。
【0027】
運用自動化支援システムには、シナリオ作成・編集機能1やサービス運用基盤ポータル2も実装されている。
【0028】
ここで、シナリオ作成・編集機能とは、運用手順(業務フロー)や詳細作業手順を、後述するオペレーションズ・コーディネータOCやアクション・ナビAN上で動作するシナリオとして作成・編集する機能である。
【0029】
サービス運用基盤ポータルは作業予定や作業状況を管理する機能を有している。また、作業予定をカレンダーイメージでポータル画面(トップ画面)に表示する機能や、作業予定の詳細情報をSDC等所謂サービスデスクツールと連携する機能を含んでいる。予定表には、例えば担当者、作業日時、シナリオ等の予定が登録される。
【0030】
SDC6、SKMS7、共通基盤8は運用自動化支援システムと連携している。SDCはオペレーションズ・コーディネータOC、各ツールのオペレーションズ・アシスタントOAと連携し、運用/操作履歴をインデント情報と紐付け、情報蓄積を図る。
【0031】
ナリッジDBを構成するSKMSは運用手順やノウハウを蓄積するものである。その運用手順やノウハウはOC関係者により共有される。
【0032】
共通基盤は,ユーザ権限により使用できる機能を制御する機能、また作業開始時刻等を管理し、設定時刻、各種通報機能を起動する機能を有している。これらの機能は、既存の技術で実現可能であるので、その詳細は省略する。
【0033】
しかし、後述する本願発明の運用自動化支援システム/装置についての理解を補助するため、図2〜図4を参照して、前記各機能の構成要素について簡単に説明する。
【0034】
シナリオ作成・編集には、図2に示す如く、シナリオ・オブジェクト群51が必要である。シナリオ・オブジェクト群は、例えば部品(開始、終了、分岐、繰り返し、コメント、承認、メール送信、ネストや,ANでの実施、参照、確認)等のシナリオ・オブジェクトから構成される。ここで、シナリオとは、フローで表現される運用作業手順であり、作業の実施や承認、分岐、繰り返しなどを矢印でつなぎ合わせたものを意味する(図2、図4等参照)。
【0035】
シナリオは、オペレーションズ・コーディネータOCにて前記シナリオ・オブジェクトを組み合わせて作成する。例えば図3に示す如く、アイコン群51から必要なアイコン、つまりシナリオ・オブジェクトである部品をドラッグ&ドロップし、これらを組み合わせてシナリオ・フローを作成する。このドラッグ&ドロップはOC関係者(管理者や作業者あるいはシナリオオーサ)によりなされる。
【0036】
シナリオ・オブジェクトとは、シナリオの構成要素のことである。図3において、このシナリオのシナリオ・オブジェクト51をクリックすると、アクション・ナビANが起動し、図2に示すようなアクションを含むアクション・シーケンス53が画面表示される。
アクションとは、アクション・ナビANに記述されているそれぞれの行54を指し、主に詳細作業手順が記述されたものである。アクション・シーケンスとは、実施する作業手順に記述されたアクションの集合体である。
【0037】
また、シナリオ作成・編集の機能要件としては、例えば画面構成、GUI(Graphical User Interface)、設定項目、部品化、承認、印刷、検索等を可能とする機能要件が含まれる。前記画面構成には、例えば一連のオペレーションをシナリオとし、フローチャート風に表示する機能が含まれる。GUIには、シナリオ・オブジェクトをドラッグ&ドロップすることで簡単にシナリオを作成、変更する機能が含まれる。前記設定項目には、シナリオ・オブジェクトに作業開始予定時刻、作業完了期限を設定可能とする機能が含まれる。前記部品化には、作成済みアクション・シーケンスをシナリオ・オブジェクトとすることを可能とする機能が含まれる。これらについては本願発明に直接関係しないので、これ以上の詳細説明は省略する。
【0038】
ポータルの機能要件としては、例えば作業状況管理、検索、緊急連絡・お知らせ、I/F等の機能要件が含まれている。前記作業状況管理には、案件とその予定(担当者、作業日時)一覧、リアルタイムで実行状況等を表示する機能要件が含まれる。トップ画面であるポータル画面では、主に作業予定の一覧表示と、各作業シナリオの呼び出し制御を行う。
【0039】
オペレーションズ・コーディネータOCの機能要件としては、画面構成、実行、フロー制御、GUI、I/F(アクション・ナビANやツール群等を呼び出す)等の機能要件が含まれている。前記実行には、前記シナリオに従った運用を支援(シナリオで設定された順序でシナリオ・オブジェクトを制御)する機能要件が含まれる。
【0040】
図4はオペレーションズ・コーディネータOCのイメージレイアウトを示す図である。同図において、シナリオ(アカウント登録)を前述したようにフローチャート風(シナリオ・フロー61)に表現し、そのシナリオ・オブジェクトの進捗状況(未実施、作業中、完了等)が分かるように表示(可視化)する。これにより、運用上の操作ミスを防止することが可能となる。表示の仕方としては、例えばシナリオ・オブジェクトの色を変えたり、運用状況を説明する文字を表記すると良い。
【0041】
ここで、シナリオ・オブジェクト(例えば、図4のユーザID登録)をクリックすると、前述したアクション・ナビANが起動する。これにより、その進捗状況(アクション・シーケンス)の詳細を画面表示(図2参照)する。
【0042】
アクション・ナビANの機能要件としては、画面構成、実行、フロー制御、GUI、I/F等の機能要件が含まれている。前記実行には、アクション・シーケンスに従った詳細作業手順の実行を支援する機能要件が含まれる。
【0043】
次に、図5〜図7を参照して、ポータル画面とシナリオ実行画面とアクション・シーケンス実行画面との関係について説明する。
【0044】
図5はポータル画面の一例を示す図、図6はシナリオ実行画面の一例を示す図、図7はアクション・シーケンス実行画面の一例を示す図である。
【0045】
図5において、ポータル画面71には、作業一覧720とOC案件730等の項目が表示される。作業一覧720には、例えば作業ID711、作業内容712、作業責任者713、作業開始予定714、作業終了期限715、シナリオ717、実行画面718、ステータス719等の項目欄が表示され、これらの項目欄にそれぞれの情報が表示される。作業一覧730には、例えば作業ID731、作業内容732、作業予定割当733、作業開始予定734、作業終了期限735、作業実施担当736、作業開始実績737、作業終了実績738、予定739、実行画面718、ステータス719等の項目欄が表示され、これらの項目欄にはそれぞれの情報が表示される。
【0046】
なお、図5では、作業一覧720と作業一覧730とを同図上で表現しているが、これは、二層構成となっており、例えば作業一覧720の「OC案件:新規登録」の作業ID711や作業内容712等を、周知方法でクリックすることにより、作業一覧730の「OC案件:新規登録」に関する詳細情報の画面が表示されるようになっている。
【0047】
ここで、ポータル画面71の実行画面718の「起動」を操作、つまりポータルの起動ボタンを操作すると、ポータル画面71の下層レイヤのシナリオ実行画面(図6参照)が表示される。図6に示すシナリオ実行画面50には、前述した如く、複数のシナリオ・オブジェクトと矢印との組合せからなるシナリオ・フロー52が表示される。この画面により、運用状況を確認することが可能となる。
【0048】
図6のシナリオ実行画面50において、その所望のシナリオ・オブジェクト(実施可部分)を周知方法によりダブルクリックすると、シナリオ実行画面の下層レイヤのアクション・シーケンス実行画面(図7参照)を表示する。
【0049】
アクション・シーケンス実行画面810には、例えば、図示する如く、作業名称811、作業内容詳細812、ステータス813、備考814、担当者815、実行時刻817、資料818等の項目欄が表示される。この表示画面によりアクション・シーケンス実行状況を確認することができる。
【0050】
図7のアクション・シーケンス実行画面810において、実作業実施に従って各アクションのステータス813を選択すると、図6のシナリオ実行画面に戻る。ここで、アクション・ナビANでのステータスを取得し、図6のシナリオ実行画面のフロー上に進捗を色と文言で表示することにより、より確実に運用状況を確認することが可能となる。
【0051】
例えば、シナリオ・オブジェクトが完了した部分は、該シナリオ・オブジェクトのアイコンを、黒色の枠で囲むとともに該アイコンに対応する位置に「完了」と表示する。実施中部分は緑色の枠で囲み、「実施中」と表示し、実施可能部分は黄色の枠で囲み、「実施可能」と表示し、遅延部分は赤色の枠で囲み、「遅延」と表示し、分岐により処理不要部分はグレーの枠で囲み、「分岐により処理不要」と表示し、未実施部分は枠無しとし、「未実施」と表示する。これらの表示により進捗状態を確認できる。
【0052】
次に、本願発明の本質的な部分となる、オペレーションズ・コーディネーション(OC)−自動化支援環境を構成するシステムの構成、動作について説明する。
【0053】
図8は本願発明の一適用例を示すシステム図であって、オペレーションズ・コーディネーション(OC)−自動化支援環境を構成するシステム図である。
【0054】
同図において、10はOCを活用して運用サービスを実現する、例えば作業者、作業管理者、作業手順書作成者(シナリオオーサ)、あるいはお客様等のOC関係者である。
【0055】
20はOC―自動化支援環境を構成する運用自動化支援装置を示し、該装置は作業手順書の作業を後述するシナリオに基づいて(シナリオ/フローにしたがって)実施するものである。また、該装置はOCクライアント21とOCサーバ22とSKMS(Service Knowledge Management System)/DB(Data Base)23とこれらを結合するネットワーク24、例えばLANやWAN等から構成されている。
【0056】
図9において、OCクライアント21はOC関係者により操作される情報処理装置であり、例えばキーボードなどの入力部211、処理部212、表示部(ビューアー)部213等を備えたパーソナルコンピュータから構成されている。
【0057】
OCサーバ22は図10、図11に示す如く、運用準備・運用を実行するプログラムを処理する処理部220と、該処理部で作成されたシナリオ等を登録する登録部223を備えている。
【0058】
処理部220は運用手順書(サービス手順書)の運用手順を準備するための運用準備部221と、該運用準備部で準備された運用を実行する運用実行部222を含んでいる。
【0059】
運用準備部221は運用手順書の情報からシナリオを作成する機能や編集機能を有している。シナリオとは、前述したようにフローで表現される運用作業手順を意味する。運用実行部222は運用状況をOCクライアント21の表示部213に表示させる機能を有している。この表示機能は汎用技術で実現可能である。SKMS/DB23には運用手順書、例えばサービス手順情報が登録されている。
【0060】
運用自動化支援装置20はOCサーバ22、OCクライアント21、SKMS/DB23と連携して、作業を実施するための後述するシナリオ(サービスシナリオ)を作成し、該シナリオとともに作業を実施するサービス提供者/OC関係者(例えば現場作業者)のマシン(OCクライアント21)に表示/登録する機能を有している。
【0061】
また、シナリオは作業項目と該作業項目の作業実施時期(タイミング)を決める時刻(時刻)との組合せ情報を含む。この時刻情報は運用準備処理において運用準備者(シナリオオーサ)により決められる。
【0062】
シナリオは、OC関係者によって前記OCクライアント21を操作することにより作成されるものであるが、このシナリオ作成に際しては、従来ある紙ベースの作業手順書、あるいは先に登録されSKMS/DB23に格納されている手順を流用して作成される。このシナリオ作成は、例えば、シナリオ作成のためのシナリオ作成/編集機能を有した後述する運用準備部にて実行される。実施例では、この運用準備部をOCサーバに設けているが、この場合には、複数のOCクライアントで共用化できる特長がある。運用準備部はOCクライアントに設けても良いが、この場合には、OCクライアント側にそれぞれ設ける必要があり、経済的に不利となる。したがって、望ましくはOCサーバ側に設けると良い。
【0063】
運用自動化支援装置20のOCサーバ22には、例えばSKMS/DB23に登録された運用手順書(サービス手順書)に基づき作成された作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)と該作業項目の作業を実施する実施時刻(t1,t2,・・・tn)とを組み合わせたシナリオ(サービスシナリオ)が登録される。すなわち、SKMS/DB23に登録された運用手順書(作業手順書)に基づき作成された作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)と該作業項目の作業を実施する実施時期(時刻t1、t2・・・tn)とを組合わせたシナリオ(サービスシナリオ)がOCサーバ22の登録部223に登録される。このシナリオは複数のシナリオによりシナリオ群211(図12〜図14参照)となる。
【0064】
OC―自動化支援環境を構成する運用自動化支援装置20のOCサーバ22は前記シナリオに基づく作業項目の作業を実行する。これは、例えば前述したアクション・ナビANと連携して行うと良い。アクション・ナビANは各作業のステータス管理、作業終了期限をアラート通知、繰返し操作・コマンド実行等の機能を備えている。また、前述したアクション・ナビANと連携することにより、運用状況の詳細を管理、表示(図5〜図7参照)することも可能である。
【0065】
作業を実行すると、その運用状況(進捗状況)をサービス提供者OCのOCクライアント21に、例えば前述したツール群5のメール送信ツールや通報機能等と連携して通知する。ここで、進捗情報(未実施、作業中、完了等)はOCクライアント21の表示部213のシナリオ画面に多彩に色表現すると良い。また、これにより、手順の可視化が容易となり、一目で状況を把握することが可能である。
【0066】
また、前述した遠隔操作を支援するオペレーション・アシスタントOA(ツール)と連携し、前述した処理や実行を処理すると良い。この場合、前述したSDCやツールとの連携により、操作履歴情報等をSKMSに保存することが可能である。
【0067】
また、前述した共通基盤との連携により、使用できる機能を制御したり、作業開始時刻等を管理し、設定時刻、各種通報機能を起動させることが可能である。
【0068】
この通知を受けたサービス提供者はOC環境にあるサービス対象(IT環境/非IT環境)に対してオペレーションを実行する。その結果として、サービス提供者(サービス提供現場)からサービス対象側への適切なオペレーションが可能となる。
【0069】
次に、図10〜図12を参照して前述した運用自動化支援装置の動作、及び該支援装置とサービス提供者とサービス対象間のシーケンスについて説明する。
【0070】
運用準備部221は図10に示す運用準備プログラムを備えており、該プログラムに基づいて運用準備を実行する。なお、本実施例では、運用準備部をOCサーバ側に設け、該運用準備部で運用状況をOCクライアントの表示部に表示する機能まで実行させているが、この部分は別途運用状況表示実行部を設け、該実行部にて運用表示機能を制御するようにしても良い。
【0071】
すなわち、図10において、OC活用者により運用準備をスタートすると(ステップS2211)、まず登録部23の運用手順書を準備する(ステップS2212)。
【0072】
次に運用手順書の作業ステップに分解する(ステップS2213)。ここで、作業ステップ(作業項目)に分解するとは、図13、図14に示す如く、作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)毎に分け、各作業項目を時間軸に沿って作業が順次できるようにすることを意味する。
【0073】
次いで分解した作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)毎に作業を開始する時刻(t1、t2、・・・tn)を対応付けし、作業と時刻の組合せからなるシナリオ(サービスシナリオ)を作成する(ステップS2214)。ここで、作業ステップへの分解やサービスシナリオの作成は、サービス手順登録データベースであるSKMS/DB32と連携し、例えば作業単位に定義したアイコンベースにて行う。
【0074】
つまり、前述したように作業単位に予め定義したアイコン(シナリオオブジェクト群)をドラッグ&ドロップすることにより、プログラミングレスで一連の作業シナリオを作成する。このとき、作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)毎に作業を開始する時刻(t1、t2、・・・tn)を対応付けする(作業と時刻とを組み合わせる)ことで適切な時刻に当該作業の実施を運用自動化支援装置20に促すことが可能となる。この時刻は絶対時刻あるいは相対時刻でも良い。前記実施例の時刻は絶対時刻であるが、該絶対時刻の代わりに前のステップ(例えば作業ステップ分解)からの経過時間等相対的な時刻、つまり相対時刻としても良い。要するに、前記時刻をトリガーに前記作業ステップの運用が実行されるように構成してあれば良い。
【0075】
最後に前記シナリオを登録部223に登録して運用を開始する準備に入る(ステップS2215)。
【0076】
運用実行部222は図11に示す処理プログラムを備えており、該プログラムに基づいて運用開始を実行する。
【0077】
すなわち、図11において、運用がスタート(ステップS2221)し、作業の開始時刻が到来すると、例えば作業項目AAAAAの作業に対応付けされた時刻t1が到来すると、アラームを上げる(ステップS2222)。このとき、例えば、前述したルールのアラーム通報を行う通信手段によりアラームがOCクライアント側に通知され、OCクライアントの表示部の画面に表記される。このアラームに基づいて運用自動化支援装置20は現場のサービス提供者と連携して当該作業項目AAAAAの作業を実施する(ステップS2223)。ここで、各作業ステップの実行に応じて、サービス提供者OC(OCクライアント21)の表示部213のOCシナリオ画面の背景色やステータス表示を前述したように反映させる。これによって、サービス提供者(作業者)による進捗状況の把握を容易にすることが可能である。
【0078】
これによって、サービス提供者(作業者)による作業ステップの忘れや一部作業ステップのバイパス、あるいはチェック漏れ等を無くすことが可能である。
【0079】
この作業ステップが完了すると、作業完了ステップを表記する。この表記はOC関係者(OCクライアント21)に対して行い(ステップS2224)、一つの作業を終了させる(ステップS2225)。ここで、作業ステップ完了表記は色を変えるなどしてサービス提供者OCに見やすく可視化すると良い。
【0080】
次に作業項目BBBBBの作業があれば、その開始時刻t2が到来するまで待機する(ステップS2226)。以下、同様な処理ステップを繰り返す。
【0081】
図14はOC関係者であるサービス提供現場の作業者(OCクライアント)とOC−運用自動化支援装置(OCサーバ)のオペレーションコーディネータとの連携によるシナリオ例(新規アカウント登録)とシナリオパターンの一具体例を示す図である。
【0082】
同図において、プログラミングレスでシナリオを作成し、該シナリオに基づくシナリオ・フローでもってアカウント登録作業、アカウント登録作業完了報告メール送信(作業遅延のアラーム通知)、アカウント登録承認を行う。このシナリオを作成する方法として前述した作業単位に定義したアイコンベースにて行うと良い。これにより、プログラミングレスで一連の作業シナリオを作成することが可能である。
【0083】
シナリオパターン211は以下の情報を有している。すなわち、順序を示す情報211a、作業内容を示す情報211b、担当者情報211c、実施時期を示す情報211dである。担当者情報とは当該作業を実施する作業担当者を示し、実施時期情報とは図3で示した作業項目(AAAAA,BBBBB,・・・KKKKK)に対応した時刻情報(t1、t2、・・・tn)である。作業内容は、例えば申請受付、○○より承認取得、○○部署に承認依頼、○○部署より承認受領、受付に連絡、申請書に連絡等々であって、これらに限られるものではない。
【0084】
以上述べた実施例によれば、複数案件に対応中の場合であっても、誤操作、お客様への連絡漏れ、次の作業への開始遅れ等が解消可能となる。また、当日のみの連絡先変更など、イレギュラーな運用を間違いなく実施する手順が複雑になっても対応可能である。更に詳述すれば、以下のようなことが期待できる。
【0085】
(1)誤操作・連絡漏れ・確認漏れ・誤送信・誤添付などの作業ミスの防止
(2)操作実績・成功事例等の参照・有効ツールの標準的活用による作業品質の向上
(3)グルーピングやスケジュール設定による、繰り返し作業や単純作業の負担軽減
(4)事前定義アクションの展開をベースにした、属人的対応の極力排除
(5)作業手順書のペーバーレス化・テンプレート化による作業手順の自動的カスタマイズ
(6)標準テンプレート・アイコンのドラッグ&ドロップによりシナリオ作成の容易化
(7)アクション起動アラートの自動化による、関係者間の調整、作業矛盾発生の防止
(8)オペレーション進捗の可視化による状況把握の容易化
(9)ナリッジDBと検索エンジンとの組合せSKMSによる成功事例・履歴の有効活用
(10)従来サービス基盤「IT運用監視MS/ES(Enterprise Support):SDC等」連携による既存サービスの品質向上・作業工数削減
【産業上の利用可能性】
【0086】
ネットワーク管理サービス(NMS: Network Management Service)やIT資産管理サービス(OFITLCM:オーフイットエルシーエム,ICT安心NAVI/日立電子サービス株式会社)等のIT系だけでなく、非IT系への適用として例えばファシリティ系の調達、工事、修繕等の運用サービス提供等、所謂定型的な一連の手順を持つ全ての作業展開、遂行管理に適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 サービス対象(IT環境/非IT環境)
20 サービス提者者(サービス提供現場)
21 OCクライアント
22 OCサーバ
211 サービスシナリオ群
220 処理部
221 運用準備部
222 運用実行部
223 登録部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業手順書の作業項目の作業を実施し、その運用状況を作業者側に通知する運用支援システムにおいて、
前記作業手順書の作業項目と該作業項目の実施時刻とを組み合わせたシナリオを、該シナリオに基づいて作業を実施するクライアントとサーバを備えたサービス提供者側の運用自動化支援装置に登録し、前記シナリオの実施時刻に従って前記作業項目の作業を実施する運用自動化支援システム。
【請求項2】
前記運用自動化支援装置が、前記時刻に従って実施される前記作業項目の作業の進捗状況を前記サービス提供者へ自動的に通知する手段を備えている請求項1記載の運用自動化支援システム。
【請求項3】
前記シナリオが、各作業のステータス管理、操作・コマンド実行機能を有する自動的なアクションナビゲーションに応じて実行される請求項1記載の運用自動化支援システム。
【請求項4】
作業手順書の作業項目の作業を実施し、その運用状況を作業者側に通知する運用支援装置において、
前記作業手順書の作業項目と該作業項目の実施時刻とを組み合わせたシナリオを、該シナリオに基づいて作業を実施するクライアントとサーバを備えたサービス提供者側の運用自動化支援装置に登録し、前記シナリオの実施時刻に関連して前記作業項目の作業を実施する運用自動化支援装置。
【請求項5】
作業手順書の作業項目の作業を実施し、その運用状況を作業者側に通知する運用支援方法において、
前記作業手順書の作業項目と該作業項目の実施時刻とを組み合わせたシナリオを、該シナリオに基づいて作業を実施するクライアントとサーバを備えたサービス提供者側の運用自動化支援装置に登録するステップと、前記シナリオの実施時刻に従って前記作業項目の作業を実施するステップとを備えたことを特徴とする運用自動化支援方法。
【請求項6】
請求項5記載の運用自動化支援方法において、更に前記時刻に基づく作業項目の作業ステップの進捗状況を前記サービス提供者へ自動的に通知するステップを備えた運用自動化支援方法。
【請求項7】
運用自動化支援方法において、
作業手順書の作業項目の作業と該作業の実施に関連する絶対時刻又は相対時刻とを含むシナリオを作成するステップと、
前記シナリオの前記時刻が到来したとき、該時刻に基づいて前記作業を実施するステップと、
前記作業実施ステップの状況又は完了をサービス提供者側に通知するステップと、
を備えたことを特徴とする運用自動化支援方法。
【請求項8】
運用現場の自動化支援環境にある運用自動化支援装置において、
運用関係者からの作業手順書の情報を受け、該情報から複数の作業項目に分解する分解部と、
前記分解部にて分解された作業項目と該作業項目の実施時刻とを組み合わせたシナリオを作成するシナリオ作成部と、
前記シナリオ作成部にて作成されたシナリオを登録する登録部と、
前記登録部に登録された前記シナリオで設定された前記時刻に基づいて前記シナリオの前記作業項目を実行する実行部と、
前記実行部で実行された前記作業項目の運用状況を前記運用関係者に通知する通知部と、
を備えたことを特徴とする運用自動化支援装置。
【請求項9】
前記通知部が、前記シナリオを構成するシナリオ・オブジェクトを制御し、その色を変える制御部を含んでいる、請求項8記載の運用自動化支援装置。
【請求項10】
前記請求項8の運用自動化支援装置において、更に、前記運用自動化支援装置から展開されるアクション・シーケンスを管理し、該アクション・シーケンスに従った作業項目の詳細作業手順の実行を支援するアクション・ナビと、前記運用自動化支援装置と連携し、遠隔操作を支援するオペレーションズ・アシスタント、前記通知部の通知の収容、管理する通信ツールを含むツール群とを備えた運用自動化支援装置。
【請求項1】
作業手順書の作業項目の作業を実施し、その運用状況を作業者側に通知する運用支援システムにおいて、
前記作業手順書の作業項目と該作業項目の実施時刻とを組み合わせたシナリオを、該シナリオに基づいて作業を実施するクライアントとサーバを備えたサービス提供者側の運用自動化支援装置に登録し、前記シナリオの実施時刻に従って前記作業項目の作業を実施する運用自動化支援システム。
【請求項2】
前記運用自動化支援装置が、前記時刻に従って実施される前記作業項目の作業の進捗状況を前記サービス提供者へ自動的に通知する手段を備えている請求項1記載の運用自動化支援システム。
【請求項3】
前記シナリオが、各作業のステータス管理、操作・コマンド実行機能を有する自動的なアクションナビゲーションに応じて実行される請求項1記載の運用自動化支援システム。
【請求項4】
作業手順書の作業項目の作業を実施し、その運用状況を作業者側に通知する運用支援装置において、
前記作業手順書の作業項目と該作業項目の実施時刻とを組み合わせたシナリオを、該シナリオに基づいて作業を実施するクライアントとサーバを備えたサービス提供者側の運用自動化支援装置に登録し、前記シナリオの実施時刻に関連して前記作業項目の作業を実施する運用自動化支援装置。
【請求項5】
作業手順書の作業項目の作業を実施し、その運用状況を作業者側に通知する運用支援方法において、
前記作業手順書の作業項目と該作業項目の実施時刻とを組み合わせたシナリオを、該シナリオに基づいて作業を実施するクライアントとサーバを備えたサービス提供者側の運用自動化支援装置に登録するステップと、前記シナリオの実施時刻に従って前記作業項目の作業を実施するステップとを備えたことを特徴とする運用自動化支援方法。
【請求項6】
請求項5記載の運用自動化支援方法において、更に前記時刻に基づく作業項目の作業ステップの進捗状況を前記サービス提供者へ自動的に通知するステップを備えた運用自動化支援方法。
【請求項7】
運用自動化支援方法において、
作業手順書の作業項目の作業と該作業の実施に関連する絶対時刻又は相対時刻とを含むシナリオを作成するステップと、
前記シナリオの前記時刻が到来したとき、該時刻に基づいて前記作業を実施するステップと、
前記作業実施ステップの状況又は完了をサービス提供者側に通知するステップと、
を備えたことを特徴とする運用自動化支援方法。
【請求項8】
運用現場の自動化支援環境にある運用自動化支援装置において、
運用関係者からの作業手順書の情報を受け、該情報から複数の作業項目に分解する分解部と、
前記分解部にて分解された作業項目と該作業項目の実施時刻とを組み合わせたシナリオを作成するシナリオ作成部と、
前記シナリオ作成部にて作成されたシナリオを登録する登録部と、
前記登録部に登録された前記シナリオで設定された前記時刻に基づいて前記シナリオの前記作業項目を実行する実行部と、
前記実行部で実行された前記作業項目の運用状況を前記運用関係者に通知する通知部と、
を備えたことを特徴とする運用自動化支援装置。
【請求項9】
前記通知部が、前記シナリオを構成するシナリオ・オブジェクトを制御し、その色を変える制御部を含んでいる、請求項8記載の運用自動化支援装置。
【請求項10】
前記請求項8の運用自動化支援装置において、更に、前記運用自動化支援装置から展開されるアクション・シーケンスを管理し、該アクション・シーケンスに従った作業項目の詳細作業手順の実行を支援するアクション・ナビと、前記運用自動化支援装置と連携し、遠隔操作を支援するオペレーションズ・アシスタント、前記通知部の通知の収容、管理する通信ツールを含むツール群とを備えた運用自動化支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−159131(P2011−159131A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20682(P2010−20682)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000233491)日立電子サービス株式会社 (394)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000233491)日立電子サービス株式会社 (394)
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