説明

運転支援制御装置

【課題】運転支援制御実行中において、適切なタイミングで運転者の運転への適正な関わりの確認でき、運転者に煩わしさを感じさせずに、運転の安全性を確保することのできる運転支援制御装置を提供すること。
【解決手段】高速道路を所定車速以上で運転支援走行している場合に(ステップS1、S2)、タイマの設定時間を単調度が所定値より大である場合は第1所定時間に、単調度が所定値以下である場合は第2所定時間に設定し(ステップS3〜S5)、当該設定時間を経過した時に運転支援制御による運転状態を変化させて、運転者の運転監視の確認を行う(ステップS6〜S8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援制御装置に係り、詳しくは自動的または補助的に車両の運転を行う運転支援制御実行中において、適正な時期に運転者の運転への適正な関わりの確認を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者の負担軽減等を目的として、運転者が任意に指定した車速を保って自動的に走行を行ういわゆるオートクルーズ機能や、前走車と自車両との車間距離を保つよう車速を調整する車間距離維持機能、自車両が車線内の中心を走行するように操舵アシストトルクを制御する車線維持支援システム(LKAS:Lane Keeping Assist System)等を備えた車両が開発されている。
【0003】
このように自動的または補助的に車両の運転を行う各種運転支援制御が行われることで、車両はほぼ自動運転に近い走行が可能となってきている。
一方で、このような自動運転に近い走行が長時間に亘って行われると、運転者自ら行う動作が少なくなるために運転者の覚醒度が低下する傾向にある。これにより、居眠り運転を招いたり、緊急時の対処が遅れる等の問題が生じる。
【0004】
そこで運転者の集中力や注意力を推定する技術が開発されており、例えば運転者による運転操作の反応を検出することで運転者の集中力を推定する技術がある。具体的には、運転者の運転操作の時系列データを記憶しておき、車間距離に応じて、運転者が理想とする追従操作と実際の追従操作からの反応強度または反応時間から運転者の集中力を判定する技術がある(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、自動走行運転中にはオートクルーズ機能により車速は一定に保持され、車間距離維持機能によって前走車への追従操作も自動的に行われる。このため、運転者による運転操作はほとんど行われず、運転操作状況から運転者の注意力を正確に判定することはできない。
また、運転者の集中力や注意力を推定する方法の他の例として、運転者の覚醒度を測定する方法も提案されているが、単調な走行状況において、運転者が運転以外のこと(会話、食事等)に集中するケースも生じる。このような場合、運転者の覚醒度は高いため、運転者の集中力や注意力を推定する方法では、運転者が自動走行運転を監視しているか否かを把握することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−92285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、運転支援制御により車両を走行させている場合であっても、運転者には運転が適正であるか否かを監視・監督する責任があるところ、上記従来技術では、運転者による運転支援制御による運転の適正な監視の有無を判断することができない。このため、上記従来技術では、運転支援制御による運転の適正な監視がなされていない場合に運転者に注意喚起することもできないという問題がある。
【0008】
一方、運転者の注意力が低下しやすいのは、主に渋滞していない高速道路を走行しているとき等であり、一般道を走行している場合は停止動作や旋回操作等も多く運転者の注意力は低下しにくい。このような一般道走行時にまで、注意力を判定して、それに応じた警告等を度々行えば、運転者に煩わしさを感じさせ、却って運転の安全性も害するという問題が生じる。
【0009】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、運転支援制御実行中において、適切なタイミングで運転者の運転への適正な関わりの確認を行うことができ、運転者に煩わしさを感じさせずに、運転の安全性を確保することのできる運転支援制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、請求項1の運転支援制御装置では、自動的または補助的に車両の運転を行う運転支援制御を実行する運転支援制御装置であって、前記車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車速検出手段により検出される車速が所定車速以上であり、前記運転支援制御実行中の所定時期毎に運転者の運転監視の確認を行う運転監視確認手段と、前記運転支援制御の実行状況に対する注意力の度合いを取得する注意力度合取得手段と、前記注意力度合取得手段により取得される注意力の度合いに基づき前記運転監視確認手段における前記所定時期を設定する運転監視確認時期設定手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項2の運転支援制御装置では、請求項1において、前記注意力度合取得手段は、前記注意力の度合いとして、操作の種類に応じてあらかじめ重み付けされた操作手段の運転者による操作情報を示す単調度を取得し、前記運転監視確認手段は、取得された前記単調度に基づき前記所定時期を設定することを特徴としている。
【0012】
請求項3の運転支援制御装置では、請求項2において、前記運転監視確認時期設定手段は、前記単調度が高い程、前記所定時期の間隔を短くすることを特徴としている。
請求項4の運転支援制御装置では、請求項2において、前記運転監視確認時期設定手段は、前記単調度が所定値以下である場合は前記所定時期の間隔を第1所定時間とし、前記単調度が所定値より大である場合は前記所定時期の間隔を当該第1所定時間よりも短い第2所定時間とすることを特徴としている。
【0013】
請求項5の運転支援制御装置では、請求項2において、前記運転監視確認時期設定手段は、前記単調度が所定閾値以上になった時に、前記所定時期に達したとすることを特徴としている。
請求項6の運転支援制御装置では、請求項1から5のいずれかにおいて、前記運転監視確認手段は、前記運転支援制御に基づく車両の運転状態を変化させ、当該変化に対する運転者の反応を検出することで運転者の運転監視の確認を行うことを特徴としている。
【0014】
請求項7の運転支援制御装置では、請求項6において、さらに、前記運転監視確認手段により前記運転者の反応が所定期間内に検出されなかった場合には運転者の注意を喚起する注意喚起手段を備えることを特徴としている。
請求項8の運転支援制御装置では、請求項1から7のいずれかにおいて、さらに、自車両が高速道路を走行していることを検出する高速道路走行検出手段を備え、前記運転監視確認手段は、前記高速道路走行検出手段により自車両の高速道路走行が検出されているときのみ前記運転者の運転監視の確認を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
上記手段を用いる本発明の請求項1の運転支援制御装置によれば、所定の車速以上で運転支援制御を実行している場合には、所定時期毎に定期的に運転者の運転監視の確認を行うものとし、当該所定時期は運転支援制御の実行状況に対する注意力の度合いに基づき設定することとする。
このように、運転支援制御を行っている場合でも低速走行しているような場合には運転者の注意力は低下し難く、高速走行している場合に注意力が低下しやすいことから、所定の車速以上で運転支援制御を実行しているときに限定して運転者の運転監視の確認を行うことで、不要な運転監視の確認を抑制することができる。
【0016】
さらに運転監視の確認を行う所定時期についても、注意力の度合いに基づいて設定することで、車両の走行状態に応じた適切なタイミングで運転への適正な関わりの確認を行うことができ、運転者への煩わしさを軽減しつつ安全性を確保することができる。
請求項2の運転支援制御装置によれば、注意力の度合いとして、操作の種類に応じてあらかじめ重み付けされた操作手段の運転者による操作情報を示す単調度を取得することで、適正に運転者の注意力の度合いを取得することができる。
【0017】
請求項3の運転支援制御装置によれば、単調度が高い程、運転者の操作頻度は少なく注意力は低下しやすいことから、運転監視の確認を行う所定時期の間隔を短くして、運転監視の確認の頻度を上げる。これにより、運転者の注意力に合った適切なタイミングで運転監視の確認を行うことができる。
請求項4の運転支援制御装置によれば、運転監視の確認を行う所定時期の間隔を、単調度が所定値より大である場合には第1所定時間より短い第2所定時間に切り換える。このように単調度が所定値より大である場合に、運転監視の確認を行う頻度を高くすることで、容易に運転者の注意力に合った適切なタイミングで運転監視の確認を行うことができる。
【0018】
請求項5の運転支援制御装置によれば、単調度が所定閾値以上となった時に所定時期に達したこととすることで、時間間隔に限らず単調度を用いて直接的に運転監視の確認を行うこととする。これにより、運転者の注意力が低下しやすい単調度となって直ぐに運転監視の確認を行うことができ、より適切なタイミングでの運転監視の確認を行うことができる。
【0019】
請求項6の運転支援制御装置によれば、運転支援制御に基づく車両の運転状態を意図的に変化させることで運転者への注意を促し、当該変化に対する運転者の反応を確かめることで、運転支援制御実行中においても運転者の運転監視を確実に確認することができる。
請求項7の運転支援制御装置によれば、監視有無確認手段により前記運転者の反応が所定期間内に検出されなかった場合には、注意喚起手段により運転者に注意を喚起する。これにより、運転者を再び運転に集中させることができ、運転の安全性を保つことができる。
【0020】
請求項8の運転支援制御装置によれば、運転監視の確認を高速道路走行中に限定する。これにより、通常、運転者の注意力が高い一般道を走行している際には運転監視の確認を行わず、信号等なく運転者の注意力が低下しやすい高速道路に限って運転監視の確認を行うこととすることで、運転者の煩わしさを低減しつつ、適切なタイミングで運転監視の確認を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態における運転支援制御装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る運転支援制御装置の運転支援ECUが実行する運転監視確認制御ルーチンを表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態における運転支援制御装置の概略構成を示したブロック図であり、同図に基づき説明する。
図1に示す運転支援ECU(電子コントロールユニット)1は、車両に搭載される各種ECUのうちの一つであり、運転者が任意に指定した車速を保って自動的に走行を行ういわゆるオートクルーズ制御、前走車と自車両との車間距離を保つよう車速を調整する車間距離維持制御、及び自車両が車線内の中心を走行するように操舵のアシストトルクを発生させる車線維持支援システム(LKAS:Lane Keeping Assist System)の操舵補助制御等の各運転支援制御を行う制御装置である。具体的には、運転支援ECU1は、図示しない入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成されている。
【0023】
運転支援ECU1の入力側には、運転支援操作部2、ミリ波レーダ4、CCDカメラ6、車速センサ8(車速検出手段)、ナビゲーションユニット10(高速道路走行検出手段)、運転者反応検出部12、ウインカ14(操作手段)、クラッチ16(操作手段)、補助ブレーキ18(操作手段)等の各種デバイスが接続されている。出力側には、エンジン等20、ステアリングの操舵アクチュエータ22、警報器24(注意喚起手段)等の各種デバイスが接続されている。
【0024】
詳しくは、運転支援操作部2は、運転席に設けられており、各運転支援制御のON、OFFの切り換え、オートクルーズ制御における任意の車速及び車間時間等を運転者が設定可能なものである。
ミリ波レーダ4はミリ波帯の電波を用いて自車両の前方にある前走車等の障害物を検知し、自車両に対しての前走車の相対距離及び相対速度を測定するものである。
【0025】
CCDカメラ6は自車両前方を撮影し、自車両両側にある道路上の白線又は黄色線等で表された車線位置を検出するものである。
車速センサ8は自車両の車速を検出するセンサである。
これらミリ波レーダ4、CCDカメラ6、車速センサ8は運転支援制御を行うための代表的なデバイスであり、ミリ波レーダ4及び車速センサ8は主にオートクルーズ制御及び車間距離維持制御に、CCDカメラ6及び車速センサ8は主に操舵補助制御に用いられる。
【0026】
ナビゲーションユニット10は、例えば人工衛星からのGPS(Global Positioning System)信号を受信して自車両の現在位置情報を受信するGPS及び道路交通情報を受信する道路情報受信機等から構成されている。そして、ナビゲーションユニット10は、予め記憶された地図情報に、受信した位置情報及び交通情報を反映して、自車両が現在走行している道路の種別、即ち高速道を走行しているか一般道を走行しているか等、の各情報を運転者や各種装置に提供可能とするものである。
【0027】
運転者反応検出部12は、図示しないが例えば運転席に設けられた専用の応答スイッチ、車内の音を検知するマイク、運転者によるアクセルの踏込量を検知するアクセル開度センサ、ステアリングホイールの操舵角を検知する操舵角センサ等から、運転者の反応を検出するものである。
ウインカ14、クラッチ16、補助ブレーキ18はそれぞれ単調度の程度を判定するための操作手段である。ウインカ14は旋回や車線変更の際に、クラッチ16は変速の際に、補助ブレーキは減速の際に、それぞれ運転者により能動的に操作されるものであり、これらの操作状況を統計することで車両走行における単調度を判定可能である。具体的には、単調度は、これら各種デバイスの操作の種類に応じてあらかじめ重み付けをしておき、一定の期間毎の各操作頻度を計測して定量化した値である。
【0028】
エンジン20等は、車両の走行に関わる主要な装置であり、エンジンの他にはトランスミッション、ブレーキ等がある。運転支援ECU1は、エンジンの出力、トランスミッションの変速ギヤ段、ブレーキによる制動力等をそれぞれ調整して、主にオートクルーズ制御及び車間距離維持制御に基づく車速の調整が可能である。
【0029】
操舵アクチュエータ22は、ステアリングホイールに対してアシストトルクを発生させるものである。当該操舵アクチュエータ22は、例えばいわゆる電動パワーステアリングの電動モータである。運転支援ECU1は、当該操舵アクチュエータ22により発生させるアシストトルクを調整して、操舵補助制御を行う。
【0030】
警報器24は、運転者に視覚的に警告を発するよう運転席のメータ部分等に表示される表示灯、及び警告音を発するスピーカからなる。
ここで、運転支援ECU1の内部構成について詳しく説明する。
図1では、運転支援ECU1の内部構成が概念的に示されており、同図に示すように運転支援ECU1は、運転支援設定部30、監視有無確認制御部32(監視有無確認手段、監視有無確認制御手段)、タイマ34、単調度判定部36(注意力度合取得手段)を有している。
【0031】
運転支援設定部30には、運転支援操作部2において運転者により設定された各運転支援制御のON、OFF情報及びオートクルーズ制御の設定車速情報、ミリ波レーダ4により検出される前走車との相対距離情報及び相対速度情報等、CCDカメラ6により検出される車線位置、車速センサ8により検出される自車両の車速情報等が入力される。
【0032】
運転支援設定部30は、運転支援操作部2によりオートクルーズ制御がONにされると、当該運転支援操作部2において運転者により任意に設定された設定車速を目標車速とする。また、車間距離維持制御もONにされると、前走車がある場合には、自動走行操作部6において運転者により選択された車間時間に基づく目標車速として制御を行う。そして、当該目標車速を達成するためのエンジン出力、変速ギヤ段、制動力等を演算する。
【0033】
また、運転支援操作部2により操舵補助制御がONにされると、CCDカメラ6により検出された車線位置から自車両と左右車線内の中心位置との相対距離を算出する。そして、この中心位置との相対距離に応じて、自車両を中心位置に導く目標アシストトルクを演算する。
このように運転支援設定部30において演算された結果は監視有無確認制御部32に出力される。
【0034】
監視有無確認制御部32には、運転支援設定部30で演算された目標車速を実現するためのエンジン出力等の情報及び目標アシストトルク情報、タイマ34による計時情報、車速センサ8により検出された車速情報、ナビゲーションユニット10からの車両の位置情報等、運転者反応検出部12からの運転者の反応情報、並びに単調度判定部36により判定された単調度情報等が入力される。
【0035】
監視有無確認制御部32は、運転支援制御実行中であって、車両が高速道路を所定車速(例えば60km/h)以上で走行している場合に、タイマ34により計時される所定時期毎に、運転者の運転への適正な関わり、すなわち自動走行制御運転に対する監視・監督の有無の確認(以下、運転監視という。)を行う。
【0036】
運転者の運転監視の確認は、具体的には運転支援制御による運転操作の寄与度を低下させるよう、運転支援設定部30で設定された各運転状態を変化させることで行う。例えば、オートクルーズ制御及び車間距離維持制御を実行しているのであれば、運転支援設定部30で設定された目標車速から所定速度減速または増速させた運転監視確認用車速に変化させる。操舵補助制御を実行しているのであれば、運転支援設定部30で設定された目標アシストトルクから所定トルク分減少させた運転監視確認用アシストトルクに変化させる。
【0037】
このように運転支援制御実行中に、各運転状態の設定を変化させて、運転者反応検出部12の情報に基づき運転者の反応があるか否かを判別することで、運転者の運転への適正な関わりを確認する。
監視有無確認制御部32は、この運転支援制御による各運転状態からの変化度合いを、単調度判定部36により判定された単調度に応じて設定する。例えば、単調度が高い場合、即ち高速道路走行で運転者の操作少なく単調な走行が続いている場合には、運転者の注意力が低くなりやすく運転者が運転状態の変化に気づきにくいことを想定して、変化度合いを大きくする。または当該変化度合いを車速に応じて設定してもよく、例えば車速が高いほど、大きな変化度合いとなるよう設定しても構わない。
【0038】
また、監視有無確認制御部32は、運転者の運転監視の確認を行う所定時期についても、単調度判定部36により判定された単調度に応じて設定する。
詳しくは、当該所定時期は、車両が高速道路で所定車速以上の走行となった時、または前回の運転監視確認終了時からタイマ34による計時を開始し、タイマ34に設定した所定時間経過したときを、運転監視の確認を実行する所定時期とする。そして、当該所定時期は、単調度が高いほど所定時期の間隔を短くすべく、単調度が予め定めた所定値以下である場合は、タイマ34の設定時間を第1所定時間(例えば30分)とし、単調度が所定値より大である場合は、タイマ34の設定時間を当該第1所定時間より短い第2所定時間(例えば15分)とする。
【0039】
さらに、監視有無確認制御部32は、運転支援制御に基づく運転状態を変化させてから一定期間内(例えば5分以内)に運転者反応検出部12により運転者の反応が検出された場合には、再び運転支援設定部30で演算された結果に基づく運転状態に戻す。一方、当該一定期間内に運転者の反応がない場合には、運転者の注意を喚起すべく警報器24を用いて運転者に警告したり、運転支援制御を強制的に停止する等の対処を行う。なお、監視有無確認制御部32は、運転監視を確認する所定時期以外のときには、運転支援設定部30から入力される演算結果に基づきそのままエンジン等20、操舵アクチュエータ22を制御する。
【0040】
単調度判定部36は、ウインカ14、クラッチ16、補助ブレーキ18からの各種操作情報が入力され、各操作の種類に応じた重み付けをして一定の期間毎の操作頻度を計測して定量化することで単調度を判定する。当該単調度は、基本的には各種操作手段の操作頻度が低いと値は高くなり、操作頻度が高いと値は低くなる。
【0041】
このように構成された運転支援ECU1は、通常の運転支援制御時においては運転支援設定部30での設定に応じてエンジン等20及び操舵アクチュエータ22を制御し、高速道路を所定車速以上で運転支援走行している際には、単調度に応じて設定される所定時期毎に運転支援設定部30での設定を変化させて、運転者反応検出部12において運転者の運転への適正な関わりの確認を行う。
【0042】
以下、このように構成された本発明の実施形態に係る運転支援制御装置の作用及び効果について詳細に説明する。
図2には、本発明の一実施形態に係る運転支援制御装置の運転支援ECUが実行する運転監視確認制御ルーチンを表したフローチャートが示されており、以下同フローチャートに沿って説明する。図2に示す運転監視確認制御ルーチンは、運転支援操作部2においていずれかの運転支援制御がON状態であるとき、主に運転支援ECU1の監視有無確認制御部32において実行されるものである。
【0043】
図2に示すように、まずステップS1として監視有無確認制御部32において、ナビゲーションユニット10からの情報に基づき、車両が高速道路を走行しているか否かを判別する。
また次のステップS2では、監視有無確認制御部32は、車速センサ8からの情報に基づき、車速が60km/h以上であるか否かを判別する。
【0044】
当該ステップS1またはステップS2の判別結果が偽(No)である場合、即ち一般道を走行中であったり、60km/h未満の比較的低速な走行をしている場合には、運転者の運転監視の確認は行わないよう当該ルーチンをリターンする。一方、ステップS1及びステップS2の判別結果が真(Yes)である場合、即ち高速道路を60km/h以上で運転支援走行している場合には、ステップS3に進む。
【0045】
ステップS3では、監視有無確認制御部32は、単調度判定部36から取得した単調度が所定値より大であるか否かを判別する。当該判別結果が真(Yes)である場合はステップS4に進む。
ステップS4では、監視有無確認制御部32は、タイマ34の設定時間が第1所定時間に設定されているか否かを判別する。なお、タイマ34の設定時間は初期値では第1所定時間に設定されているものとする。当該判別結果が真(Yes)である場合はステップS5に進む。
【0046】
ステップS5では、監視有無確認制御部32は、タイマ34の設定時間を第1所定時間より短い第2所定時間に切り換えて、ステップS6に進む。
一方、上記ステップS3及びステップS4の判別結果が偽(No)である場合、即ち単調度が所定値以下である場合、または単調度が所定値より大であってタイマ34の設定時間がすでに第2所定時間に設定されている場合は、ステップS6に進む。
【0047】
ステップS6では、監視有無確認制御部32は、タイマ34による計時が、設定された所定時間を経過したか否かを判別する。当該判別結果が偽(No)である場合は、未だ運転監視を確認する所定時期に達していないものとして、当該ルーチンをリターンする。一方、当該判別結果が真(Yes)である場合は、運転監視を確認する所定時期に達したものとして、ステップS7に進む。
【0048】
ステップS7では、監視有無確認制御部32は、運転者の運転監視確認制御を実行する。つまり、上述したように運転支援制御に基づく運転状態を変化させて、一定期間内に運転者の反応があれば再び運転支援制御に基づく設定に戻し、一定期間内に運転者の反応がなかった場合には、警報器24による警告及び運転支援制御の停止を行う。
【0049】
そして、当該ステップS7における運転監視確認制御を実行後は、ステップS8においてタイマ34の設定を初期状態にリセットし、タイマ34の設定時間を第1所定時間として計時も0として、当該ルーチンをリターンする。
以上のような制御ルーチンを繰り返すことで、運転支援ECU1は、高速道路を所定の車速(60km/h)以上で運転支援走行している場合には、運転者の操作手段の操作状況から判定される単調度に基づき設定される所定時期毎に定期的に運転者の運転監視の確認を行う。
【0050】
このように、運転支援制御を行っている場合でも一般道の走行や低速走行しているような場合には運転者の注意力は低下し難く、信号機等がない高速道路で渋滞がなく高速走行している場合に注意力が低下しやすいことから、所定の車速以上で運転支援制御を実行しているときに限定して運転者の運転への適正な関わりの確認を行うことで、不要な運転監視確認を抑制することができる。
【0051】
さらに運転監視確認を行う所定時期についても、単調度に基づいて設定することで、適切なタイミングで運転監視の確認を行うことができ、運転者への煩わしさを軽減しつつ安全性を確保することができる。特に本実施形態では、この単調度に基づく所定時期の設定を、単調度が所定値より大である場合に第1所定時間より短い第2所定時間に切り換えており、容易に運転者の注意力に合った適切なタイミングで運転監視の確認を行うことができる。
【0052】
また、運転監視の確認は運転支援制御に基づく車両の運転状態を意図的に変化させることで運転者への注意を促し、当該変化に対する運転者の反応を確かめることで、運転支援制御実行中においても運転者の注意力を確認することができる。そして、運転監視確認手段により前記運転者の反応が所定期間内に検出されなかった場合には、注意喚起手段により運転者に注意を喚起することで、運転者を再び運転に集中させることができることができ、運転の安全性を確保することができる。
【0053】
これらのことから、本発明の一実施形態に係る運転支援制御装置は、運転支援制御実行中において、適切なタイミングで運転者の運転への適正な関わりの確認を行うことができ、運転者に煩わしさを感じさせずに、運転の安全性を確保することができる。
以上で本発明に係る運転支援制御装置の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
【0054】
上記実施形態では、注意力確認制御部32において、運転者の運転監視の確認を行う所定時期を、単調度が所定値より大である場合に、タイマ34の設定時間を第1所定時間から第2所定時間に切り換えることで、単調度が高い場合に所定時期の間隔を短くしているが、単調度に応じた所定時期の設定はこれに限られるものではない。
【0055】
例えば、上記実施形態のように2段階だけでなく多段階的または連続的に、単調度が高い程、所定時期の間隔を短くするように設定してもよい。これにより、より適切なタイミングで運転監視の確認を行うことができる。
または、単調度が所定値以上になった時を前記所定時期に達したものとしてもよい。このように時間間隔に限らず単調度を用いて直接的に運転監視の確認を行うこととすることで、運転者の注意力が低下しやすい単調度となって直ぐに運転監視の確認を行うことができ、より適切なタイミングでの注力の確認を行うことができる。
【0056】
また、上記実施形態では、運転支援制御をオートクルーズ制御、車間距離維持制御、及び操舵補助制御としているが、運転支援制御はこれに限られるものではない。他の運転支援制御を含んでもよいし、これらの運転支援制御のうちの一部のみを備えているものであってもよく、当該運転支援制御に応じて入出力のデバイスは上記実施形態から変更されてもよい。
【0057】
上記実施形態では、ウインカ14、クラッチ16、補助ブレーキ18を用いて単調度を判定しているが、単調度を判定するためのデバイスはこれに限られるものではなく、運転者が操作可能な操作手段を含むものであればよい。
また、上記実施形態では、運転者の運転監視の確認を行う所定時期は単調度に応じて設定しているが、単調度の他にも運転支援制御の実行状況に対する注意力の度合いを取得し、当該注意力の度合いに応じて所定時期を設定しても構わない。例えば運転者の脈拍等から運転者の注意力レベルを測定し、当該注意力レベルに応じて所定時期を設定しても構わない。この場合、運転者の注意力が高ければ所定時期の間隔を短く、低ければ所定時期の間隔を長くするのが好ましい。
【0058】
上記実施形態では、運転者の運転監視の確認を行う所定車速を60km/hとしているが、当該所定車速は60km/hに限られるものではなく任意に設定可能である。
また、上記実施形態では注意喚起手段として、表示灯及びスピーカからなる警報器24を用いているが、注意喚起手段はこれに限られるものではなく、例えば運転席に振動を生じさせるような装置を用いても構わない。
【符号の説明】
【0059】
1 運転支援ECU
2 運転支援操作部
4 ミリ波レーダ
6 CCDカメラ
8 車速センサ(車速検出手段)
10 ナビゲーションユニット(高速道路走行検出手段)
12 運転者反応検出部
14 ウインカ(操作手段)
16 クラッチ(操作手段)
18 補助ブレーキ(操作手段)
20 エンジン等
22 操舵アクチュエータ
24 警報器(注意喚起手段)
30 運転支援設定部
32 監視有無確認制御部(運転監視確認手段、運転監視確認時期設定手段)
34 タイマ
36 単調度判定部(注意力度合取得手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動的または補助的に車両の運転を行う運転支援制御を実行する運転支援制御装置であって、
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記車速検出手段により検出される車速が所定車速以上であり、前記運転支援制御実行中の所定時期毎に運転者の運転監視の確認を行う運転監視確認手段と、
前記運転支援制御の実行状況に対する注意力の度合いを取得する注意力度合取得手段と、
前記注意力度合取得手段により取得される注意力の度合いに基づき前記運転監視確認手段における前記所定時期を設定する運転監視確認時期設定手段と、
を備えることを特徴とする運転支援制御装置。
【請求項2】
前記注意力度合取得手段は、前記注意力の度合いとして、操作の種類に応じてあらかじめ重み付けされた操作手段の運転者による操作情報を示す単調度を取得し、
前記運転監視確認手段は、取得された前記単調度に基づき前記所定時期を設定することを特徴とする請求項1の運転支援制御装置。
【請求項3】
前記運転監視確認時期設定手段は、前記単調度が高い程、前記所定時期の間隔を短くすることを特徴とする請求項2記載の運転支援制御装置。
【請求項4】
前記運転監視確認時期設定手段は、前記単調度が所定値以下である場合は前記所定時期の間隔を第1所定時間とし、前記単調度が所定値より大である場合は前記所定時期の間隔を当該第1所定時間よりも短い第2所定時間とすることを特徴とする請求項2記載の運転支援制御装置。
【請求項5】
前記運転監視確認時期設定手段は、前記単調度が所定閾値以上になった時に、前記所定時期に達したとすることを特徴とする請求項2記載の運転支援制御装置。
【請求項6】
前記運転監視確認手段は、前記運転支援制御に基づく車両の運転状態を変化させ、当該変化に対する運転者の反応を検出することで運転者の運転監視の確認を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の運転支援制御装置。
【請求項7】
さらに、前記運転監視確認手段により前記運転者の反応が所定期間内に検出されなかった場合には運転者の注意を喚起する注意喚起手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の運転支援制御装置。
【請求項8】
さらに、自車両が高速道路を走行していることを検出する高速道路走行検出手段を備え、
前記運転監視確認手段は、前記高速道路走行検出手段により自車両の高速道路走行が検出されているときのみ前記運転者の運転監視の確認を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の運転支援制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−41524(P2013−41524A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179457(P2011−179457)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】