説明

運転支援装置

【課題】複数の運転支援を適切に行うことができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【解決手段】運転支援装置1は、車両2の運転を支援する複数の運転支援に対応した運転支援情報をそれぞれ出力可能である支援装置4と、複数の運転支援の優先度と、車両2に対する運転操作とに基づいて、支援装置4を制御し、当該支援装置4から出力する運転支援情報を変更する制御装置5とを備えることを特徴とする。したがって、運転支援装置1は、複数の運転支援を適切に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、運転者による車両の運転を支援するための情報を出力する従来の運転支援装置として、例えば、特許文献1には、情報提供装置が開示されている。この情報提供装置は、道路上の所定の位置に設置された路側装置と情報の送受信を行う機能を備えており、一時停止支援を促す情報を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−134838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の情報提供装置は、車両の速度や位置、シフトダウン、ブレーキ操作、アクセル操作等の運転者の運転行動に基づいて、運転者に提供する情報態様を変更するが、例えば、複数の運転支援を適切に行うべく、更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、複数の運転支援を適切に行うことができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る運転支援装置は、車両の運転を支援する複数の運転支援に対応した運転支援情報をそれぞれ出力可能である支援装置と、前記複数の運転支援の優先度と、前記車両に対する運転操作とに基づいて、前記支援装置を制御し、当該支援装置から出力する前記運転支援情報を変更する制御装置とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記運転支援装置では、前記複数の運転支援は、それぞれ異なる前記運転操作に関する支援であるものとすることができる。
【0008】
また、上記運転支援装置では、前記制御装置は、前記複数の運転支援の開始条件がそれぞれ成立している場合、前記支援装置を制御し、前記優先度が高い前記運転支援に対応した前記運転支援情報を出力すると共に、前記優先度が高い前記運転支援に対応した前記運転操作がなされた後に、前記優先度が次に高い前記運転支援に対応した前記運転支援情報を出力するものとすることができる。
【0009】
また、上記運転支援装置では、前記制御装置は、前記複数の運転支援の開始条件がそれぞれ成立した場合、前記優先度が高い前記運転支援の終了条件が成立した場合であっても、前記優先度が高い前記運転支援に対応した前記運転操作がなされるまでは、前記優先度が高い前記運転支援に対応した前記運転支援情報の出力を継続するものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る運転支援装置は、複数の運転支援を適切に行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態に係る車両制御システムを表す概略構成図である。
【図2】図2は、実施形態に係る運転支援装置における信号支援の開始/終了条件を説明する概念図である。
【図3】図3は、実施形態に係る運転支援装置における右折支援の開始/終了条件を説明する概念図である。
【図4】図4は、実施形態に係る運転支援装置における信号支援の一例を説明する模式図である。
【図5】図5は、実施形態に係る運転支援装置における右折支援の一例を説明する模式図である。
【図6】図6は、比較例に係る運転支援装置の動作の一例を説明する模式図である。
【図7】図7は、実施形態に係る運転支援装置の動作の一例を説明する模式図である。
【図8】図8は、実施形態に係る運転支援装置における制御の一例を表すフローチャートである。
【図9】図9は、変形例に係る運転支援装置における制御の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る車両制御システムを表す概略構成図、図2は、実施形態に係る運転支援装置における信号支援の開始/終了条件を説明する概念図、図3は、実施形態に係る運転支援装置における右折支援の開始/終了条件を説明する概念図、図4は、実施形態に係る運転支援装置における信号支援の一例を説明する模式図、図5は、実施形態に係る運転支援装置における右折支援の一例を説明する模式図、図6は、比較例に係る運転支援装置の動作の一例を説明する模式図、図7は、実施形態に係る運転支援装置の動作の一例を説明する模式図、図8は、実施形態に係る運転支援装置における制御の一例を表すフローチャート、図9は、変形例に係る運転支援装置における制御の一例を表すフローチャートである。
【0014】
本実施形態の運転支援装置1は、図1に示すように、車両2に搭載される車両制御システム3に適用される。運転支援装置1は、支援装置としてのHMI(Human Machine Interface)装置4と、制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)5とを備える。そして、運転支援装置1は、状況に応じてECU5がHMI装置4を制御し種々の運転支援情報(HMI情報)を出力することで、運転者による車両2の運転を支援するものである。
【0015】
本実施形態の車両制御システム3は、例えば、路側に配置された路側機等を用いて通信することにより運転支援を行う、いわゆるインフラ協調型の運転支援システムである。車両制御システム3は、例えば、路側機等から信号情報、対向車情報、歩行者情報等の種々の情報を取得する。そして、車両制御システム3は、これら種々の情報に基づいて運転支援装置1が運転者に対して運転支援情報を提供する。これにより、運転支援装置1は、運転者による運転操作を誘導支援する。
【0016】
なお、車両2は、駆動輪を回転駆動させるための走行用動力源として、エンジン、モータ等のいずれか1つを備える。車両2は、エンジンとモータとの両方を備えるハイブリッド車両、エンジンを備える一方でモータを備えないコンベ車両、モータを備える一方でエンジンを備えないEV車両等のいずれの形式の車両であってもよい。
【0017】
具体的には、車両制御システム3は、HMI装置4、ECU5、電波メディア受信機(Antenna)6、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)受信機(Antenna)7、データベース8、車両情報網9等を含んで構成される。HMI装置4とECU5とは、運転支援装置1を構成する。
【0018】
HMI装置4は、車両2の運転を支援する運転支援を行うものである。HMI装置4は、車両2の運転を支援する情報である運転支援情報を出力可能である。HMI装置4は、運転者に対して運転支援情報の提供を行うことで、運転支援を行う。HMI装置4は、車載機器である。HMI装置4は、例えば、車両2の車室内に設けられたディスプレイ41、スピーカ42等を含んで構成される。ディスプレイ41は、視覚情報(図形情報、文字情報)を出力する視覚情報表示装置である。スピーカ42は、聴覚情報(音声情報、音情報)を出力する聴覚情報(音声)出力装置である。HMI装置4は、車両2の車室内の既設の装置、例えば、ナビゲーションシステムのディスプレイ41やスピーカ42等が流用されてもよい。HMI装置4は、視覚情報、聴覚情報等を出力することによって情報提供を行い、運転者の運転操作を誘導する。HMI装置4は、こうした情報提供により運転者の運転操作を支援する。HMI装置4は、ECU5に電気的に接続されこのECU5により制御される。
【0019】
ECU5は、HMI装置4等を含む車両制御システム3の全体の制御を統括的に行う制御ユニットである。ECU5は、例えば、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路として構成されている。
【0020】
電波メディア受信機6は、電波メディアを利用して無線通信で種々のインフラ情報を取得する装置である。電波メディア受信機6は、インフラストラクチャーと協調することで取得可能な車両2の周囲の動的なインフラ情報を取得する。電波メディア受信機6は、例えば、電波メディア機器20等から種々のインフラ情報を取得する。電波メディア機器20は、車両2の車外に設けられ、車両2にインフラ情報を配信するための機器である。電波メディア機器20は、例えば、路側に設置された光ビーコン等の路車間通信機器(路側機)である。また、電波メディア機器20は、例えば、他の車両に車載された車車間通信機器を含んでもよい。さらに、電波メディア機器20は、例えば、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ等を介するインターネット等の通信インフラを利用して情報のやりとりを行う装置等を含んでもよい。
【0021】
電波メディア受信機6が取得する動的なインフラ情報は、例えば、先行車両情報、後続車両情報、対向車情報、歩行者情報、交差点情報、信号情報、工事・交通規制情報、渋滞情報、緊急車両情報、事故履歴データベースに関する情報等のうちの少なくとも1つを含む。対向車情報は、例えば、対向車の有無、当該対向車の車速、および、当該対向車の交差点までの到達時間(TTC:Time To Collision)に関する情報等のうちの少なくとも1つを含む。また、歩行者情報は、例えば、車両2の右折先または左折先の横断歩道における歩行者の有無、および、自転車の有無に関する情報のうちの少なくとも1つを含む。また、交差点情報は、例えば、交差点の形状情報、交差点における一時停止位置情報等のうち少なくとも1つを含む。交差点の形状は、例えば、十字路、T字路、Y字路、スクランブル交差点、ロータリー交差点などを含む。また、例えば、信号情報は、車両2の走行方向前方の信号機位置、停止線等の位置情報、青信号、黄信号、赤信号、青矢印、黄矢印の点灯サイクルや信号変化タイミング等の信号サイクル情報等のうちの少なくとも1つを含む。電波メディア受信機6は、ECU5と電気的に接続されており、インフラ情報に関する信号をECU5に出力する。
【0022】
GPS受信機7は、車両2の現在の位置を検出する装置である。GPS受信機7は、GPS衛星30が配信する車両2の位置情報(GPS情報)を表すGPS信号を受信する。GPS受信機7は、ECU5と電気的に接続されており、受信したGPS信号をECU5に出力する。
【0023】
データベース8は、種々の情報を記憶するものである。データベース8は、道路情報を含む地図情報等の静的なインフラ情報、電波メディア受信機6が取得した動的なインフラ報、車両2の実際の走行で得られる種々の情報や学習情報等を記憶する。例えば、道路情報は、道路勾配情報、路面状態情報、道路形状情報、制限車速情報、道路曲率(カーブ)情報等のうちの少なくとも1つを含む。データベース8に記憶されている情報は、ECU5によって適宜参照され、必要な情報が読み出される。なお、このデータベース8は、ここでは車両2に車載するものとして図示しているが、これに限らず、車両2の車外の情報センタ等に設けられ、電波メディア受信機6等を介して、ECU5によって適宜参照され、必要な情報が読み出される構成であってもよい。
【0024】
車両情報網9は、車内ネットワークとして構築されたCAN(Control Area Network)等により構成される。車両情報網9は、車両制御システム3の各種アクチュエータを制御するアクチュエータECUやセンサ類に接続された伝送路等から構成される。ECU5は、車両情報網9を介して上記アクチュエータECUやセンサ類に接続される。ECU5は、車両情報網9を介して、状態検出装置等から種々の車両情報を取得する。状態検出装置は、車両2の走行状態、運転者による車両2に対する実際の操作等に関する状態量や物理量を検出するものである。車両情報は、例えば、車両2の車両速度(以下、「車速」という場合がある。)情報、運転者によるアクセルペダルの操作量(踏み込み量)に相当するアクセル開度情報、運転者によるブレーキペダルの操作量(踏み込み量)に相当するマスタシリンダ圧情報、ウインカ(方向指示器)の動作状態に関する情報等のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
上述したECU5は、電波メディア受信機6が取得したインフラ情報、GPS受信機7が取得した位置(GPS)情報、車両情報網9を介して取得する車両情報、データベース8に記憶されている種々の情報、各部の駆動信号、制御指令等に対応した電気信号が入力される。ECU5は、入力されたこれらの電気信号等に応じて、HMI装置4等を含む車両制御システム3の各部を制御する。
【0026】
そして、運転支援装置1は、状況に応じてECU5がHMI装置4を制御し運転支援を実行することで、運転者に対して所定の運転操作を促す支援を行う。運転支援装置1は、ECU5による制御に応じてHMI装置4が種々の運転支援情報を出力することで運転支援を実行し、運転者に対して推奨の運転操作、典型的には変化を伴う運転操作を促す誘導支援を行う。
【0027】
本実施形態のECU5は、HMI装置4を制御し複数の運転支援を実行可能である。HMI装置4は、複数の運転支援(サービス)に対応した運転支援情報をそれぞれ出力可能である。ECU5は、インストールされている運転支援アプリケーションプログラム(以下、「支援アプリ」という場合がある)を起動、実施することで、HMI装置4による運転支援を実行する。
【0028】
ここでは、複数の運転支援は、それぞれ異なる運転操作に関する支援である。ECU5は、状況に応じて運転者に対して注意喚起を行う複数の安全運転支援アプリを備える。本実施形態のECU5は、例えば、第1支援アプリとして信号アプリを、第2支援アプリとして右折アプリを備える。ECU5は、信号アプリを実施することで、HMI装置4による信号支援を実行することができる。HMI装置4は、信号支援の場合にはこの信号支援に対応した運転支援情報(信号支援情報)を出力する。一方、ECU5は、右折アプリを実施することで、HMI装置4による右折支援を実行することができる。HMI装置4は、右折支援の場合にはこの右折支援に対応した運転支援情報(右折支援情報)を出力する。信号支援は、信号機に応じた運転者による減速、停止操作に関する支援である。一方、右折支援は、交差点に応じた運転者による右折操作に関する支援である。
【0029】
より詳細には、信号アプリ(信号支援)は、例えば、車両2の走行方向前方の交差点の信号機が停止を表す状態であるにもかかわらず、運転者が減速行動をとろうとしない場合に、運転者に対して注意喚起を行う支援アプリ(運転支援)である。ここで、信号機が停止を表す状態とは、典型的には、赤信号が点灯している状態である。一方、右折アプリ(右折支援)は、例えば、車両2の走行方向前方の交差点を右折する際に、対向車や歩行者等が接近、存在しているにもかかわらず、運転者が右折行動をとろうとする場合に、運転者に対して注意喚起を行う支援アプリ(運転支援)である。
【0030】
ECU5は、例えば、1つの交差点で信号アプリを単独で実施する場合、予め設定された信号支援開始条件(以下、「信号アプリ開始条件」という場合がある。)が成立したと判定した際に信号アプリを実施し信号支援を開始する。また、ECU5は、予め設定された信号支援終了条件(以下、「信号アプリ終了条件」という場合がある。)が成立したと判定した際に信号アプリを終了し信号支援を終了する。この場合、ECU5は、例えば、図2に例示するように、下記に示す(1−1)〜(1−4)の条件を全て満たした場合に、信号支援開始条件が成立したと判定する。また、ECU5は、例えば、図2に例示するように、下記に示す(1−5)〜(1−7)の条件(OR条件)のいずれかを満たした場合に、信号支援終了条件が成立したと判定する。ECU5は、インフラ情報、車両2の現在の位置情報、車両2の車両情報、データベース8に記憶されている種々の情報等に基づいて、信号支援開始条件、信号支援終了条件を判定する。
【0031】
[信号支援開始条件(AND条件)]
(1−1)車両2の走行方向前方の信号機が赤信号である。
(1−2)アクセルオン状態である。
(1−3)車速が予め設定された支援開始車速より高い状態である。
(1−4)停止線で停止する為にはある一定以上の減速度が必要である。
【0032】
[信号支援終了条件(OR条件)]
(1−5)車両2の走行方向前方の信号機が赤信号以外である。
(1−6)車両2が停止した状態(車速=0)である。
(1−7)車両2が停止線を通過した。
【0033】
同様に、ECU5は、例えば、1つの交差点で右折アプリを単独で実施する場合、予め設定された右折支援開始条件(以下、「右折アプリ開始条件」という場合がある。)が成立したと判定した際に右折アプリを実施し右折支援を開始する。また、ECU5は、予め設定された右折支援終了条件(以下、「右折アプリ終了条件」という場合がある。)が成立したと判定した際に右折アプリを終了し右折支援を終了する。この場合、ECU5は、例えば、図3に例示するように、下記に示す(2−1)、(2−2)の条件を全て満たした場合に、右折支援開始条件が成立したと判定する。また、ECU5は、例えば、図3に例示するように、下記に示す(2−3)〜(2−4)の条件のいずれかを満たした場合に、右折支援終了条件が成立したと判定する。ECU5は、インフラ情報、車両2の現在の位置情報、車両2の車両情報、データベース8に記憶されている種々の情報等に基づいて、右折支援開始条件、右折支援終了条件を判定する。
【0034】
[右折支援開始条件(AND条件)]
(2−1)右折ウインカがオン状態である。
(2−2)停止線手前まで予め設定された支援開始距離(所定距離)以内である。
【0035】
[右折支援終了条件(OR条件)]
(2−3)右折ウインカがオフ状態である。
(2−4)車両2が交差点を通過した。
【0036】
次に、図4、図5を参照して、運転支援装置1における信号支援、及び、右折支援の一例を説明する。
【0037】
図4に示すように、車両2は、交差点に向かって走行している。ECU5は、車両2が地点A1に到達した際に信号アプリ(信号支援)開始条件が成立すると、信号アプリを実施しHMI装置4による信号支援を開始する。ECU5は、例えば、HMI装置4を制御して音と画面による支援を行う。一例として、ECU5は、ディスプレイ41を制御して、信号支援に対応した運転支援情報として、このディスプレイ41から「信号注意!!」等の表示メッセージ(視覚情報)を出力する。あわせて、ECU5は、例えば、スピーカ42を制御して、信号支援に対応した運転支援情報として、このスピーカ42から「ピピピピッ」等のきづかせ音(聴覚情報)を出力する。これにより、運転支援装置1は、運転者に対して運転操作として減速、停止操作を促すような注意喚起を行い、運転者に対する運転支援を行う。ECU5は、例えば、車両2が地点A2に到達した際に信号機が青色になるなど、信号アプリ(信号支援)終了条件が成立すると、信号アプリを終了しHMI装置4による信号支援を終了する。これにより、運転支援装置1は、きづかせ音が停止し、表示メッセージ等のHMI表示が非表示となる。
【0038】
一方、ECU5は、図5に示すように、車両2が地点B1に到達した際に右折アプリ(右折支援)開始条件が成立すると、右折アプリを実施しHMI装置4による右折支援を開始する。ECU5は、例えば、HMI装置4を制御して音と画面による支援を行う。一例として、ECU5は、ディスプレイ41を制御して、右折支援に対応した運転支援情報として、このディスプレイ41から「右折注意」等の表示メッセージを出力する。あわせて、ECU5は、例えば、スピーカ42を制御して、右折支援に対応した運転支援情報として、このスピーカ42から「ポーンッ」等のきづかせ音を出力する。これにより、運転支援装置1は、運転者に対して運転操作として安全な右折操作を促すような注意喚起を行い、運転者に対する運転支援を行う。ECU5は、車両2が右折して交差点を通過し地点B2にて右折アプリ(右折支援)終了条件が成立すると、右折アプリを終了しHMI装置4による右折支援を終了する。これにより、運転支援装置1は、きづかせ音が停止し、表示メッセージ等のHMI表示が非表示となる。
【0039】
上記のように構成される運転支援装置1は、信号支援開始条件と右折支援開始条件とが共に成立している状態では、基本的には、優先度(優先順位)が高い運転支援を優先して実施する。ECU5は、複数の支援アプリの開始条件が成立している状態では、各支援アプリに割り当てられた優先度に応じて実施する支援アプリを選択する。
【0040】
例えば、信号支援開始条件と右折支援開始条件とが共に成立している場合、車両2の前方の交差点の信号機は、赤信号となっている。このため、車両2の運転者は、交差点を右折する前に、交差点手前の停止線で停止しなければならない。したがってこの場合、信号支援は、右折支援と比較して運転者に対してより優先度の高い運転支援となる。つまり、信号アプリと右折アプリとは、信号アプリの方がより優先度の高い支援アプリであり、右折アプリが信号アプリの次に優先度の高い支援アプリとなる(信号アプリ>右折アプリ)。
【0041】
ECU5は、信号支援開始条件と右折支援開始条件とが共に成立している状態では、基本的には、右折アプリより信号アプリを優先して実施し、信号支援を優先して実行する。また例えば、ECU5は、信号支援開始条件が成立していない状態で右折支援開始条件が成立すると、右折アプリを実施し右折支援を実行する。このとき、ECU5は、右折アプリを実施している最中に信号支援開始条件が成立すると、右折アプリを終了し、より優先度の高い信号アプリを実施し、信号支援を実施する。
【0042】
ところで、運転支援装置1は、複数の支援アプリの開始条件が成立している場合、例えば、ECU5によって選択された優先度の高い支援アプリを実施し終了条件が成立し次第、すぐに次に優先度の高い支援アプリを開始してしまうと、運転者に対して違和感を与えてしまうおそれがある。
【0043】
図6は、比較例に係る運転支援装置の動作の一例を説明する模式図である。比較例に係る運転支援装置のECUは、図6に例示するように、車両2が地点C1に到達した際に信号アプリ開始条件が成立すると、信号アプリを実施しHMI装置4による信号支援を開始する。比較例に係るECUは、ディスプレイ41、スピーカ42を制御して、信号支援に対応した運転支援情報を出力する。その後、比較例に係るECUは、車両2が地点C2に到達した際に右折アプリ開始条件が成立した場合、優先度が高い信号アプリの実施を継続する。したがって、HMI装置4は、信号支援に対応した運転支援情報の出力を継続する。これにより、比較例に係る運転支援装置は、運転者に対して、HMI装置4によって信号支援に対応した運転支援情報の提示を継続する。
【0044】
そして、比較例に係るECUは、例えば、車両2が地点C3に到達した際に信号機が青色になるなど、信号アプリ終了条件が成立すると、信号アプリを終了しHMI装置4による信号支援を終了する。これにより、HMI装置4は、信号支援に対応した運転支援情報の提示を終了する。そして、比較例に係るECUは、次に優先度の高い右折アプリを実施しHMI装置4による右折支援を開始する。つまり、HMI装置4は、運転者に対して提示する運転支援情報を、信号支援に対応した運転支援情報から右折支援に対応した運転支援情報に切り替える。これにより、比較例に係る運転支援装置は、運転者に対して、HMI装置4によって右折支援に対応した運転支援情報の提示を開始する。そして、比較例に係るECUは、車両2が地点C4に到達した際に右折アプリ(右折支援)終了条件が成立すると、右折アプリを終了しHMI装置4による右折支援を終了する。
【0045】
この場合、比較例に係る運転支援装置は、信号支援に応じた運転支援情報にしたがって減速、停止操作を行おうとしている運転者に対して、HMI装置4が提示する運転支援情報の内容が、信号アプリ終了条件が成立した地点C3にて急に変化することとなる。つまり、HMI装置4が運転者に提示する運転支援情報の内容は、運転者の運転操作の有無にかかわらず、地点C3にて、信号支援に応じた運転支援情報から右折支援に応じた運転支援情報に急に切り替わることとなる。この結果、比較例に係る運転支援装置は、運転者に対して違和感を与えてしまうおそれがあり、煩わしさを感じさせたり混乱を招いたりするおそれがある。
【0046】
さらに言えば、上記のような違和感は、「交差点を直進する」運転者に対する信号支援と、「交差点を右折する」運転者に対する右折支援といったように、運転者による異なる運転操作に基づく複数の運転支援(支援アプリ)の開始条件が同時に成立している場合に、より大きくなる傾向にある。つまり、運転支援装置1は、減速、停止操作に関する信号支援と右折操作に関する右折支援といったように、運転者による異なる運転操作に基づく複数の運転支援(支援アプリ)の開始条件が同時に成立している場合等に、これらの複数の運転支援を適切に行うことが望まれる。
【0047】
これに対して、本実施形態の運転支援装置1は、ECU5が複数の運転支援の優先度と、車両2に対する運転者の運転操作とに基づいて、HMI装置4を制御し、HMI装置4から出力する運転支援情報を変更する。ECU5は、複数の運転支援の開始条件が成立している状態で、運転支援の優先度と、運転者の運転操作とに基づいて、運転者に提示する運転支援情報を適切に切り替える。これにより、運転支援装置1は、運転支援の優先度だけでなく、実際の運転者の運転操作も踏まえて、運転支援情報を適切に切り替えて運転者に提示することができ、複数の運転支援を適切に行うことができる。
【0048】
具体的には、ECU5は、図1に示すように、機能概念的に、車両走行位置算出部51と、車両行動算出部52と、運転意思算出部53と、支援アプリ開始/終了判定部54と、実施支援アプリ選択部55と、情報提示部56とが設けられる。
【0049】
車両走行位置算出部51は、車両2の現在の走行位置を算出するものである。車両走行位置算出部51は、GPS受信機7が受信したGPS信号に基づいて、車両2の位置情報、例えば、GPS情報(X座標;X,Y座標;Y)を測位・演算する。
【0050】
車両行動算出部52は、車両(自車両)2における実際の行動(Action)を算出するものである。車両行動算出部52は、インフラ情報、車両2の現在の位置情報、車両2の車両情報、データベース8に記憶されている種々の情報等に基づいて、車両2が実際にどのように動いているかを検出する。車両行動算出部52は、例えば、車両2の減速、停止、右左折、ウインカのオン/オフ等を検出する。
【0051】
運転意思算出部53は、運転者の運転意思を算出するものである。運転意思算出部53は、インフラ情報、車両2の現在の位置情報、車両2の車両情報、データベース8に記憶されている種々の情報等に基づいて、運転者の運転行動推定を行い、運転者の運転意思を検出する。運転意思算出部53は、例えば、運転者の右左折意思や減速停止意思等を検出する。
【0052】
支援アプリ開始/終了判定部54は、支援アプリの開始判定、及び、終了判定を行うものである。支援アプリ開始/終了判定部54は、車両走行位置算出部51が算出する車両2の位置情報、車両行動算出部52が算出する車両2の行動(動き)、運転意思算出部53が算出する運転者の運転意思等に基づいて、信号アプリ、右折アプリの開始判定、終了判定を行う。ECU5は、上述した信号アプリ開始条件(1−1)〜(1−4)、信号アプリ終了条件(1−5)〜(1−7)、右折アプリ開始条件(2−1)、(2−2)、右折アプリ終了条件(2−3)〜(2−4)を判定し、信号アプリ、右折アプリの開始判定、終了判定を行う。
【0053】
実施支援アプリ選択部55は、実際に実施する支援アプリを選択するものである。実施支援アプリ選択部55は、支援アプリ開始/終了判定部54による判定結果、運転支援の優先度、車両2に対する運転者の運転操作等に基づいて、実施する支援アプリを選択する。例えば、実施支援アプリ選択部55は、複数の支援アプリの開始条件が成立している状態では、基本的には、各支援アプリに割り当てられた優先度に応じて実施する支援アプリを選択する。そして、実施支援アプリ選択部55は、後述するように、車両2に対する運転者の運転操作に応じて、実施する支援アプリを切り替える。
【0054】
情報提示部56は、HMI装置4を制御し、このHMI装置4から運転支援情報を出力することで、運転者に対して運転支援情報を提示するものである。ここでは、情報提示部56は、ディスプレイ41を制御して、このディスプレイ41から運転支援情報として、視覚情報を出力する。また、情報提示部56は、スピーカ42を制御して、このスピーカ42から運転支援情報として、聴覚情報を出力する。情報提示部56は、実施支援アプリ選択部55が選択した支援アプリに対応した運転支援情報をHMI装置4から出力する。情報提示部56は、実施支援アプリ選択部55によって信号アプリが選択されている場合には、「信号注意!!」の表示メッセージ、「ピピピピッ」のきづかせ音等、信号アプリに対応した運転支援情報をHMI装置4から出力する。情報提示部56は、実施支援アプリ選択部55によって右折アプリが選択されている場合には、「右折注意」の表示メッセージ、「ポーンッ」のきづかせ音等、右折アプリに対応した運転支援情報をHMI装置4から出力する。
【0055】
上記構成によって、ECU5は、複数の運転支援の優先度と、車両2に対する運転者の運転操作とに基づいて、HMI装置4を制御し、HMI装置4から出力する運転支援情報を変更する。言い換えれば、ECU5は、上記構成によって、複数の運転支援の優先度と、車両2に対する運転者の運転操作とに基づいて、信号アプリ(信号支援)と右折アプリ(右折支援)とを切り替える。
【0056】
そして、ECU5は、複数の運転支援、ここでは、信号支援と右折支援との開始条件がそれぞれ成立している場合、下記のようにして運転支援を行う。すなわち、ECU5は、HMI装置4を制御し、まず、優先度が高い信号支援に対応した運転支援情報を出力する。その後、ECU5は、優先度が高い信号支援に対応した運転操作、ここでは車両2の減速、停止操作がなされた後に、優先度が次に高い右折支援に対応した運転支援情報を出力する。
【0057】
つまり、ECU5は、信号支援に対応した運転支援情報を出力し、運転者によって車両2の減速、停止操作がなされた後に、運転支援情報の態様を変更し、右折支援に対応した運転支援情報に切り替える。言い換えれば、ECU5は、車両2の減速、停止操作に関する条件以外の信号支援終了条件が成立した場合であっても、すぐに信号支援を終了するのではなく、信号支援に対応した運転操作がなされるまでは、この信号支援に対応した運転支援情報の出力を継続する。
【0058】
この場合、ECU5の上記各構成は、概略、下記のように動作する。すなわち、支援アプリ開始/終了判定部54は、各運転支援(信号支援、右折支援)の開始条件が成立しているかを判定する。実施支援アプリ選択部55は、成立した運転支援の中で優先度が最も高い運転支援(信号支援)を選択する。情報提示部56は、選択された運転支援(信号支援)に対応した運転支援情報をHMI装置4から運転者に提示する。そして、実施支援アプリ選択部55は、優先して実施された運転支援により、運転者に期待する運転操作(車両2の減速、停止操作)が実施されているかを判定する。実施支援アプリ選択部55は、運転者に期待する運転操作が実施されていると判定した場合、次に優先度が高い運転支援(右折支援)を選択する。情報提示部56は、選択された運転支援(右折支援)に対応した運転支援情報をHMI装置4から運転者に提示する。実施支援アプリ選択部55は、運転者に期待する運転操作が実施されていないと判定した場合、優先度が最も高い運転支援(信号支援)を選択した状態を継続する。情報提示部56は、継続されている運転支援(信号支援)に対応した運転支援情報をHMI装置4から運転者に提示し続ける。
【0059】
図7は、本実施形態の運転支援装置1の動作の一例を説明する模式図である。ECU5は、図7に例示するように、車両2が地点D1に到達した際に信号アプリ開始条件が成立すると、信号アプリを実施しHMI装置4による信号支援を開始する。ECU5は、ディスプレイ41、スピーカ42を制御して、信号支援に対応した運転支援情報を出力する。
【0060】
その後、ECU5は、車両2が地点D2に到達した際に右折アプリ開始条件が成立した場合、優先度が高い信号アプリの実施を継続する。したがって、HMI装置4は、信号支援に対応した運転支援情報の出力を継続する。これにより、運転支援装置1は、運転者に対して、HMI装置4によって信号支援に対応した運転支援情報の提示を継続する。
【0061】
そして、ECU5は、例えば、車両2が地点D3に到達した際に信号機が青色になるなど、信号アプリ終了条件が成立した場合、信号支援に対応して期待される運転者による車両2の減速、停止操作がなされたか否かを監視する。ECU5は、運転者による車両2の減速、停止操作がなされていないと判定した場合には、信号アプリ終了条件が成立していても信号アプリを継続しHMI装置4による信号支援を継続する。
【0062】
ECU5は、車両2が地点D4に到達した際に運転者による車両2の減速、停止操作がなされた判定した場合(あるいは、安全を確認した上で停止線を通過した場合)には、信号アプリを終了しHMI装置4による信号支援を終了すると共に、次に優先度の高い右折アプリを実施しHMI装置4による右折支援を開始する。これにより、HMI装置4は、信号支援に対応した運転支援情報の提示を終了し、これにかえて右折支援に対応した運転支援情報の提示を開始する。つまり、HMI装置4は、運転者に対して提示する運転支援情報を、信号支援に対応した運転支援情報から右折支援に対応した運転支援情報に切り替える。そして、ECU5は、車両2が地点D5に到達した際に右折アプリ(右折支援)終了条件が成立すると、右折アプリを終了しHMI装置4による右折支援を終了する。
【0063】
なお、ECU5は、信号アプリ開始条件と右折アプリ開始条件とが共に成立した状態で信号アプリを実施している際に途中で右折アプリ終了条件が成立した場合には、運転者による車両2の減速、停止操作の有無にかかわらず、信号アプリ終了条件が成立した際に信号アプリを終了させる。
【0064】
この結果、運転支援装置1は、信号支援開始条件と右折支援開始条件とが共に成立している状態では、信号支援で運転者に期待する運転操作が完了するまでは、優先度の高い信号支援を継続することができ、右折支援に移行しないようにすることができる。したがって、運転支援装置1は、例えば、信号支援に応じた運転支援情報にしたがって減速、停止操作を行おうとしている運転者に対してHMI装置4が提示する運転支援情報の内容が、信号アプリ終了条件が成立した時点で急に変化してしまうことを抑制することができる。よって、運転支援装置1は、運転者に対して違和感を与えてしまうことを抑制することができ、煩わしさを感じさせたり混乱を招いたりすることを抑制することができる。
【0065】
さらに言えば、運転支援装置1は、運転支援の優先度だけでなく、実際の運転者の運転操作も踏まえて、運転支援情報を適切に切り替えて運転者に提示することができ、複数の運転支援を適切に行うことができる。これにより、運転支援装置1は、運転者による異なる運転操作に基づく複数の運転支援(支援アプリ)の開始条件が同時に成立している場合であっても、実際の運転者の運転操作を考慮した運転支援を実現することができ、運転者に違和感を与えない運転支援を実現することができる。
【0066】
次に、図8フローチャートを参照して運転支援装置1におけるECU5による制御の一例を説明する。なお、これらの制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
【0067】
まず、ECU5は、信号アプリ開始条件が成立しているか否かを判定する(ST1)。ECU5は、信号アプリ開始条件が成立していると判定した場合(ST1:Yes)、信号アプリを実施しHMI装置4による信号支援を開始する。これにより、HMI装置4は、信号支援に対応した運転支援情報の提示する(ST2)。
【0068】
次に、ECU5は、信号アプリ終了条件が成立しているか否かを判定する(ST3)。ECU5は、信号アプリ終了条件が成立していないと判定した場合(ST3:No)、ST2に戻って以降の処理を繰り返し実行し、信号支援を継続する。ECU5は、信号アプリ終了条件が成立していると判定した場合(ST3:Yes)、右折アプリ開始条件が成立しているか否かを判定する(ST4)。
【0069】
ECU5は、右折アプリ開始条件が成立していると判定した場合(ST4:Yes)、ECU5は、車両2が停止した、あるいは、交差点を通過したか否かを判定する(ST5)。ECU5は、車両2が停止しておらず、かつ、交差点も通過していないと判定した場合(ST5:No)、ST2に戻って以降の処理を繰り返し実行し、信号支援を継続する。
【0070】
ECU5は、車両2が停止した、あるいは、交差点を通過したと判定した場合(ST5:Yes)、信号アプリを終了しHMI装置4による信号支援を終了すると共に、右折アプリを実施しHMI装置4による右折支援を開始する。これにより、HMI装置4は、信号支援に対応した運転支援情報の提示を終了し、提示する情報を右折支援に対応した運転支援情報に切り替える(ST6)。
【0071】
そして、ECU5は、右折アプリ終了条件が成立しているか否かを判定する(ST9)。ECU5は、右折アプリ終了条件が成立していないと判定した場合(ST9:No)、ST1に戻って以降の処理を繰り返し実行する。
【0072】
ECU5は、右折アプリ終了条件が成立していると判定した場合(ST9:Yes)、支援アプリを終了し、HMI装置4による運転支援情報を非表示(非提示)とし(ST10)、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。
【0073】
ECU5は、ST1にて、信号アプリ開始条件が成立していないと判定した場合(ST1:No)、右折アプリ開始条件が成立しているか否かを判定する(ST7)。ECU5は、右折アプリ開始条件が成立していないと判定した場合(ST7:No)、ST1に戻って以降の処理を繰り返し実行する。
【0074】
ECU5は、右折アプリ開始条件が成立していると判定した場合(ST7:Yes)、右折アプリを実施しHMI装置4による右折支援を開始する。これにより、HMI装置4は、右折支援に対応した運転支援情報の提示する(ST8)。その後、ECU5は、ST9に移行する。
【0075】
ECU5は、ST4にて、右折アプリ開始条件が成立していないと判定した場合(ST4:No)、ST10に移行する。
【0076】
なお、本実施形態の運転支援装置1は、一旦、右折アプリを開始したら、途中で信号アプリが成立してもそのまま右折アプリを継続し、右折支援を継続するように構成することもできる。この場合、ECU5は、図9に例示するように、ST9にて、右折アプリ終了条件が成立していないと判定した場合(ST9:No)、ST1に戻るのではなく、ST8に戻って以降の処理を繰り返し実行し、右折支援を継続する。
【0077】
以上で説明した実施形態に係る運転支援装置1によれば、HMI装置4と、ECU5とを備える。HMI装置4は、車両2の運転を支援する複数の運転支援に対応した運転支援情報をそれぞれ出力可能である。ECU5は、複数の運転支援の優先度と、車両2に対する運転操作とに基づいて、HMI装置4を制御し、HMI装置4から出力する運転支援情報を変更する。
【0078】
したがって、運転支援装置1は、実際の運転者の運転操作も踏まえて、運転支援情報を適切に切り替えて運転者に提示することができ、複数の運転支援を適切に行うことができる。この結果、運転支援装置1は、複数の運転支援の開始条件が同時に成立した場合であっても、運転者に混乱を与えないように複数の運転支援を調整することができる。これにより、運転支援装置1は、運転者に違和感を与えない運転支援を実現することができ、運転者に効果的な運転支援を行うことができる。
【0079】
なお、上述した本発明の実施形態に係る運転支援装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0080】
以上の説明では、制御装置は、ECU5によって兼用されるものとして説明したがこれに限らない。例えば、制御装置は、ECU5とは別個に構成され、相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行う構成であってもよい。
【0081】
以上の説明では、運転支援装置が運転者に対して誘導支援する運転操作、すなわち、運転支援装置が支援する運転操作は、停止操作や右折操作であるものとして説明したが、これに限らない。運転支援装置が支援する運転操作は、例えば、加速要求操作(アクセルオン操作)、制動要求操作(ブレーキオン操作)、加速要求操作の解除操作(アクセルオフ操作)、制動要求操作の解除操作(ブレーキオフ操作)、変速操作、操舵操作等であってもよい。つまり、運転支援装置が行う複数の運転支援は、信号支援と右折支援とであるものとして説明したがこれに限らない。複数の運転支援は、信号支援、右折支援以外の運転支援であってもよいし、信号支援、右折支援に加えてさらに別の運転支援を含むものであってもよく、適宜に優先度が割り当てられていればよい。また、運転支援の優先度は、車両の状態に応じて変化するものであってもよい。
【0082】
以上の説明では、支援装置は、運転支援情報として視覚情報、聴覚情報を出力するものとして説明したが、これに限らない。支援装置は、例えば、運転支援情報として、ハンドル振動、座席振動、ペダル反力などの触覚情報等を出力する触覚情報出力装置等を含んで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 運転支援装置
2 車両
3 車両制御システム
4 HMI装置(支援装置)
5 ECU(制御装置)
6 電波メディア受信機
7 GPS受信機
8 データベース
9 車両情報網
20 電波メディア機器
30 GPS衛星
41 ディスプレイ
42 スピーカ
51 車両走行位置算出部
52 車両行動算出部
53 運転意思算出部
54 支援アプリ開始/終了判定部
55 実施支援アプリ選択部
56 情報提示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転を支援する複数の運転支援に対応した運転支援情報をそれぞれ出力可能である支援装置と、
前記複数の運転支援の優先度と、前記車両に対する運転操作とに基づいて、前記支援装置を制御し、当該支援装置から出力する前記運転支援情報を変更する制御装置とを備えることを特徴とする、
運転支援装置。
【請求項2】
前記複数の運転支援は、それぞれ異なる前記運転操作に関する支援である、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記複数の運転支援の開始条件がそれぞれ成立している場合、前記支援装置を制御し、前記優先度が高い前記運転支援に対応した前記運転支援情報を出力すると共に、前記優先度が高い前記運転支援に対応した前記運転操作がなされた後に、前記優先度が次に高い前記運転支援に対応した前記運転支援情報を出力する、
請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の運転支援の開始条件がそれぞれ成立した場合、前記優先度が高い前記運転支援の終了条件が成立した場合であっても、前記優先度が高い前記運転支援に対応した前記運転操作がなされるまでは、前記優先度が高い前記運転支援に対応した前記運転支援情報の出力を継続する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−105200(P2013−105200A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246656(P2011−246656)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】