説明

運転条件データ生成装置

【課題】 比較的な簡単な操作で所望の運転条件データを設定することを可能にする運転条件データ生成装置を提供すること。
【解決手段】 運転条件データを生成するための条件を予め記憶しておく条件記憶手段と、外部入力に基づいて上記条件記憶手段から条件を順次取り出してこれを順次表示する条件取り出し・表示手段と、上記条件取り出し・表示手段によって表示された条件に対する外部入力に基づいて処理条件を決定する処理条件決定手段と、上記処理条件決定手段により決定された条件に基づいて運転条件データを生成する運転条件データ生成手段と、上記運転条件データ生成手段により生成された運転条件データを格納する運転条件データ格納手段と、を具備したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転条件データ生成装置に係り、特に、各種照明機器、空調機器、冷凍機器等に関して省エネ運転を行う場合に、使用者の好みに応じた所望の運転条件データを容易に生成することができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、各種照明機器、空調機器、冷凍機器等を運転・制御する場合には、それらの各々について、使用者が個別に運転条件を選択・設定していた。又、その場合の運転条件は、例えば、「省エネ運転モード」、「快適運転モード」といった大まかなものであった。
【0003】
そのような内容を開示するものとして、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−241159号公報
【特許文献2】特開2003−42518号公報
【特許文献3】特開平09−42737号公報
【特許文献4】特開昭57−177624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、運転条件データの設定が面倒であるという問題があった。又、細かな設定は可能ではあるが、使用者にとって必要なこと(省エネや快適性)と、実際の運転条件データの設定での設定値の羅列入力との間に考え方のずれがあり、よって、使用者が希望する内容の運転条件データの設定ができないおそれがあった。
又、仮に、設定が可能であっても、設定に熟練を要してしまうという問題があった。
又、予め用意されている運転条件データが大まかなものであり、細かな運転条件データの設定ができないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、比較的簡単な操作で所望の運転条件データを容易に設定することを可能にする運転条件データ生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による運転条件データ生成装置は、所望の省エネ運転を実現するべく制御対象機器の運転条件を決定するための項目を予め記憶しておく項目記憶手段と、外部入力に基づいて上記項目記憶手段から項目を順次取り出してこれを順次表示する項目取出・表示手段と、上記項目取出・表示手段によって取り出されて表示された項目に対する外部入力に基づいて該項目に関する内容を決定する項目内容決定手段と、上記項目内容決定手段により決定された項目内容に基づいて上記制御対象機器の運転条件データを生成する運転条件データ生成手段と、上記運転条件データ生成手段により生成された運転条件データを格納する運転条件データ格納手段と、を具備したことを特徴とするものである。
又、請求項2による運転条件データ生成装置は、請求項1記載の運転条件データ生成装置において、上記項目には、上記制御対象機器の基本運転指針を選択するための基本運転指針項目が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項3による運転条件データ生成装置は、請求項1又は請求項2記載の運転条件データ生成装置において、上記制御対象機器の中で優先度を選択する優先機器指定項目が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項4による運転条件データ生成装置は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、上記制御対象機器毎に運転条件を指定する運転条件指定項目が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項5による運転条件データ生成装置は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、制御を適用する期間を指定する運転期間指定項目が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項6による運転条件データ生成装置は、請求項1〜請求項5の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、基本運転指針項目により設定された基本運転指針に対する例外となる個別スケジュール指定項目が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項7による運転条件データ生成装置は、請求項1〜請求項6の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、上記個別スケジュール指定項目により指定された機器の個別運転指針を指定する個別運転指定項目が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項8による運転条件データ生成装置は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、現在指定されている運転条件の結果として得られる、運転時の瞬時電力量もしくはピーク電力量もしくはある期間の積算電力量もしくはある期間の電力料金を表示する項目が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように本発明の請求項1による運転条件データ生成装置によると、所望の省エネ運転を実現するべく制御対象機器の運転条件を決定するための項目を予め記憶しておく項目記憶手段と、外部入力に基づいて上記項目記憶手段から項目を順次取り出してこれを順次表示する項目取出・表示手段と、上記項目取出・表示手段によって取り出されて表示された項目に対する外部入力に基づいて該項目に関する内容を決定する項目内容決定手段と、上記項目内容決定手段により決定された項目内容に基づいて上記制御対象機器の運転条件データを生成する運転条件データ生成手段と、上記運転条件データ生成手段により生成された運転条件データを格納する運転条件データ格納手段と、を具備した構成になっているので、運転条件データの生成が容易化されるものである。
又、請求項2による運転条件データ生成装置は、請求項1記載の運転条件データ生成装置において、上記項目には、上記制御対象機器の基本運転指針を選択するための基本運転指針項目が設けられているので、まずは、全体の基本となる運転指針を決定することができる。
又、請求項3による運転条件データ生成装置は、請求項1又は請求項2記載の運転条件データ生成装置において、上記制御対象機器の中で優先度を選択する優先機器指定項目が設けられているので、特定の機器を優先する運転条件データを生成することができる。
又、請求項4による運転条件データ生成装置は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、上記制御対象機器毎に運転条件を指定する運転条件指定項目が設けられているので、機器毎に条件を設定することができる。
又、請求項5による運転条件データ生成装置は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、制御を適用する期間を指定する運転期間指定項目が設けられているので、所望の期間のみに適用される運転条件データを設定することができる。
又、請求項6による運転条件データ生成装置は、請求項1〜請求項5の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、基本運転指針項目により設定された基本運転指針に対する例外となる個別スケジュール指定項目が設けられているので、例外とされる期間を設定することができる。
又、請求項7による運転条件データ生成装置は、請求項1〜請求項6の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、上記個別スケジュール指定項目により指定された機器の個別運転指針を指定する個別運転指定項目が設けられているので、任意の機器に関して例外的な運転指針を接定することができる。
又、請求項8による運転条件データ生成装置は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、現在指定されている運転条件の結果として得られる、運転時の瞬時電力量もしくはピーク電力量もしくはある期間の積算電力量もしくはある期間の電力料金を表示する項目が設けられているので、それらの料金情報を参考にしながら設定作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、運転条件データ生成装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す図で、運転条件データ生成装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施の形態を示す図で、運転条件データ生成装置を使用して運転条件データを生成する場合の最初の画面表示を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す図で、運転条件データ生成装置を使用して運転条件データを生成する場合の2番目の画面表示を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態を示す図で、運転条件データ生成装置を使用して運転条件データを生成する場合の3番目の画面表示を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示す図で、運転条件データ生成装置を使用して運転条件データを生成する場合の4番目の画面表示を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態を示す図で、運転条件データ生成装置を使用して運転条件データを生成する場合の5番目の画面表示を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態を示す図で、運転条件データ生成装置を使用して運転条件データを生成する場合の6番目の画面表示を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態を示す図で、運転条件データ生成装置を使用して運転条件データを生成する場合の7番目の画面表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1乃至図9を参照して本発明の一実施の形態を説明する。まず、図1の機能ブロック図を参照して、本実施の形態による運転条件データ生成装置の構成を説明する。図1は本実施の形態による運転条件データ生成装置1、省エネルギ制御装置3の構成を示す機能ブロック図である。
【0011】
上記運転条件データ生成装置1は次のような構成になっている。まず、マイクロプロセッサ(中央演算処理装置、CPU)5があり、このマイクロプロセッサ5には通信インターフェース7、マンマシンインターフェース9、記憶装置11が接続されている。上記マンマシンインターフェース9にはディスプレイ・マウス13が接続されている。この運転条件データ生成装置1は管理者15によって操作される。
【0012】
上記記憶装置11には、運転条件データ決定プログラム記憶部17、運転条件データ一時保存領域19、計算領域21が設置されている。
【0013】
次に、上記省エネルギ制御装置3の構成を説明する。まず、マイクロプロセッサ(中央演算処理装置、CPU)31があり、このマイクロプロセッサ31には、通信インターフェース33、入力インターフェース35、出力インターフェース37が設置されている。上記通信インターフェース33、上記運転条件データ生成装置1の通信インターフェース7を介して、運転条件データ生成装置1とエネルギ制御装置3との間で相互に通信が行われることになる。上記入力インターフェース35には電力計39より電力使用量信号が入力されるようになっている。又、上記出力インターフェース37からは照明機器41、空調機器43、冷凍機器45に制御信号、温度制御信号、温度制御信号がそれぞれ出力されるように構成されている。
【0014】
又、上記マイクロプロセッサ31には記憶装置47が接続されている。上記記憶装置47には、運転条件データ記憶領域49、運転プログラム記憶部51、計算領域53が設けられている。
【0015】
本実施の形態の場合は、まず、上記運転条件データ生成装置1によって運転条件データを生成し、それを通信インターフェース7、通信インターフェース33を介して、運転条件データ領域49に記憶する。そして、上記省エネルギ制御装置3は、その記憶している運転条件データに基づいて運転を行わせるように制御するものである。
【0016】
又、運転条件データの生成は、例えば、システムの導入・運転開始時或いは一定期間毎に管理者15が、例えば、ディスプレイ・マウス13を介して操作することにより行う。又、運転条件データには、照明機器41、空調機器43、冷凍機器45のそれぞれに関して運転指示の情報が記憶されていて、上記省エネルギ制御装置3はそれらの情報を解釈して、照明機器41については照度制御、空調機器43と冷凍機器45については温度制御を行うものである。
【0017】
次に、図2のフローチャートを参照して全体の処理の流れを説明する。
まず、ステップS1において、基本運転指針の条件と基本運転指針の種類の入力処理が実行される。これは管理者15によるディスプレイ・マウス13を介しての外部入力に基づいてマイクロプロセッサ5において行われる入力処理である。次に、ステップS2に移行して、上記基本運転指針の条件と基本運転指針の種類の入力処理が完了したか否かが判別される。基本運転指針の条件と基本運転指針の種類の入力処理が完了していないと判別された場合にはステップS1に戻る。これに対して、基本運転指針の条件と基本運転指針の種類の入力処理が完了していると判別された場合には、ステップS3に移行する。このステップS3においては、基本運転モード、すなわち、基本運転指針の条件と基本運転指針の種類の設定と記憶が実行される。
【0018】
次に、ステップS4に移行して、通常時と優先時の運転状態の入力処理が実行される。これも管理者15によるディスプレイ・マウス13を介しての外部入力に基づいてマイクロプロセッサ5において行われる入力処理である。次いで、ステップS5に移行する。ステップS5においては、通常時と優先時の運転状態の入力処理が完了しているか否かが判別される。通常時と優先時の運転状態の入力処理が完了していないと判別された場合には、ステップS4に戻る。これに対して、通常時と優先時の運転状態の入力処理が完了していると判別された場合には、ステップS6に移行する。このステップS6においては、制御対象毎の通常時と優先時の運転状態が記憶される。
【0019】
次に、ステップS7に移行して、制御対象の優先の入力処理が実行される。これも管理者15によるディスプレイ・マウス13を介しての外部入力に基づいてマイクロプロセッサ5において行われる入力処理である。次に、ステップS8に移行して、制御対象の優先の入力処理が完了したか否かが判別される。制御対象の優先の入力処理が完了していないと判別された場合には、ステップS7に戻る。これに対して、制御対象の優先の入力処理が完了していると判別された場合にはステップS9に移行する。
【0020】
このステップS9においては、基本優先制御対象の記憶が実行される。次に、ステップS10に移行する。このステップS10においては、運転期間と制御変更周期の入力処理が実行される。これも管理者15によるディスプレイ・マウス13を介しての外部入力に基づいてマイクロプロセッサ5において行われる入力処理である。次に、ステップS11に移行する。このステップS11においては、運転期間と制御変更周期の入力処理が完了したか否かが判別される。運転期間と制御変更周期の入力処理が完了していないと判別された場合には、ステップS10に戻る。これに対して、運転期間と制御変更周期の入力処理が完了していると判別された場合には、ステップS12に移行する。
【0021】
ステップS12においては、運転期間と制御変更周期の記憶が実行される。次に、ステップS13に移行する。このステップS13においては、時間要素と優先付け入力が実行される。これも管理者15によるディスプレイ・マウス13を介しての外部入力に基づいてマイクロプロセッサ5において行われる入力処理である。次に、ステップS14に移行して、時間要素と優先付け入力が実行されたか否かが判別される。時間要素と優先付け入力が実行されていないと判別された場合には、ステップS13に戻る。これに対して、時間要素と優先付け入力が実行されたと判別された場合には、ステップS15に移行する。このステップS15においては、時間要素と優先順位の記憶が行われる。
【0022】
次に、ステップS16に移行して、時間要素と運転指針の関連付け入力処理が実行される。これも管理者15によるディスプレイ・マウス13を介しての外部入力に基づいてマイクロプロセッサ5において行われる入力処理である。次に、ステップS17に移行して、時間要素と運転指針の関連付け入力処理が実行されたか否かかの判別が実行される。時間要素と運転指針の関連付け入力処理が実行されていないと判別された場合には、ステップS16に戻る。これに対して、時間要素と運転指針の関連付け入力処理が実行されたと判別された場合には、ステップS18に移行する。このステップS18においては、時間要素と運転指針の関連付けが記憶されることになる。
【0023】
次に、ステップS19に移行して、パターン決定期間中、制御変更周期毎ループを設定する。
尚、このステップS19以降の処理は、ステップS1〜ステップS18に至る過程で決定された運転条件データに基づいて時系列の運転指令を作成するための処理である。すなわち、運転制御はタイムスライス毎に行われることを前提としているので、タイムスライス毎の運転指令を作成することになる。以下、詳細に説明する。
まず、ステップS20に移行して、計算する運転時間(タイムスライス)に対応した運転指針を決定する。この点について詳しく説明すると、まず、すでに説明したステップS10において入力されている運転期間と制御変更周期からタイムスライスを決定する。次に、この決定されたタイムスライス毎に、ステップS1で入力されている情報に基づいて運転指針を決定することになる。次いで、ステップS21に移行して、ステップS4において入力された情報に基づいて運転する運転時間(タイムスライス)に対応した優先運転機器の決定を行う。
【0024】
次いで、ステップS22に移行して、上限となる消費電力Pmの決定を行う。これは運転指針が決定されているので自ずと決定されることになる。次いで、ステップS23に移行して、機器毎の運転率Dの仮決定を行う。次いで、ステップS24に移行して運転率Dが設定可能な範囲内か否かを判別する。
尚、設定可能な範囲内か否かとは次のようなことを意味する。例えば、照明機器41を例に挙げると、照明機器41は、例えば一般的なインバーター蛍光灯では20〜100%の範囲で照度の調整が可能であるが、これを、例えば、5%の運転率Dにしようとした場合、機器の仕様外となり、そのような制御は不可能ということになる。よって、仮に、上記運転率Dがそのようなレベルの内容を意味している場合には、「設定可能な範囲ではない」と判別されることになる。
そして、運転率Dが設定可能な範囲内であると判別された場合にはステップS25に移行する。これに対して、運転率Dが設定可能な範囲内ではないと判別された場合にはステップS26に移行する。ステップS26においては「設定不能エラー」として処理され、ステップS1に戻る。
【0025】
上記ステップS25においては、運転率D時における消費電力(P)の計算を行う。消費電力(P)は次の式(I)により算出する。
【数1】

但し、
n :制御対象の総数
:制御対象毎の最大消費電力
:制御対象毎に仮決めした運転率
i :i番目の制御対象を示す媒介変数
次いで、ステップS27に移行して、消費電力(P)≦最大消費電力(P)か否かを判別する。P≦Pであると判別された場合には、ステップS28に移行する。これに対して、P≦Pではないと判別された場合には、ステップS29に移行する。このステップS29において、運転率Dをさらに下げ(例えば、0.8を乗じて下げる。)、その結果、消費電力(P)が小さくなるような処理を行う。そして、ステップS24に戻る。
【0026】
上記ステップS28においては、タイムスライス毎の運転条件の決定が行われ、次いで、ステップS30に移行して、タイムスライス毎の運転条件の記憶が実行される。次いで、ステップS31に移行して、パターン決定期間中、制御変更周期毎ループの終端処理を行い、さらに、ステップS32に移行して、運転条件データファイルの出力が行われる。これによって、一連の処理が完了する。
【0027】
次に、図3〜図9を参照して、実際の画面上における運転条件データ設定作業を説明する。ここで説明する運転条件データの設定作業は、図1に示す管理者15が運転条件データ生成装置1のディスプレイ・マウス13を介して行うものであり、それによって、既に説明した図2に示す一連の処理が順次実行されるものである。
【0028】
まず、図3に示す画面が表示される。この画面は、基本的な運転指針を設定するためのものである。本実施の形態においては、基本的な運転指針として、「ピーク制御」、「総量制御」、「バランス」、「快適性優先」の4種類がある。この内、「ピーク制御」とは、全負荷時を100%とした場合にピーク設定を100%未満の任意の値に設定して省エネを行う運転モードを意味する。次に、「総量制御」は全負荷時を100%とした場合に総量を100%未満の任意の値に設定して省エネを行う運転モードを意味する。次に、「バランス」であるが、これは、上記「ピーク制御」と「総量制御」との組み合わせにより省エネを行う運転モードを意味する。さらに、上記「快適性優先」は、個別に設定したスケジュール以外の時には削減を行わず、個別に設定したスケジュールの時にのみ削減を行って省エネを図る運転モードを意味する。
図3に示す例の場合には、基本的な運転指針としては「バランス」が選択されている。上記したように、「バランス」は「ピーク制御」と「総量制御」との組み合わせにより省エネを行う運転モードであり、図3に示す例の場合には、「ピーク制御」に関しては「85%」、「総量制御」に関しては「90%」に設定されている。又、図3の表示の下段には100%負荷時の電力機器の情報が表示されていて、管理者15はこれらの情報を参考にして設定を行う。
又、管理者15のこのような入力操作によって、図2に示すステップS1の処理が実行されることになる。
【0029】
次に、「B.優先機器指定」を選択することにより図4に示すような画面が表示される。これは、制御対象の優先度を選択・決定させるための画面である。具体的には、「バランス」、「空調優先」、「冷凍機優先」、「照明優先」の4種類である。
図4に示す例の場合には、冷凍機器45を優先させて設定温度から動かさないように設定している。又、優先されていない機器は省エネ運転の対象となる。具体的には、照明機器41はその照度が減光され、空調機器43は冷房を弱く、且つ、暖房を弱くするように制御される。
又、管理者15のこのような入力操作によって、図2に示すステップS4の処理が実行されることになる。
【0030】
次に、「C.運転条件指定」を選択することにより図5に示す画面が表示される。この画面は、照明機器41、空調機器43、冷凍機器45毎に、優先運転時と通常運転時の消費電力の抑制度合いを指定するためのものである。
尚、図5に示す例の場合には、照明機器41については、優先時上限が100%(電力抑制を行わない。)、優先時下限が80%、通常時上限が80%、通常時下限が50%に設定されている。又、空調機器43については、優先時上限が100%(電力抑制を行わない。)、優先時下限が90%、通常時上限が90%、通常時下限が70%に設定されている。さらに、冷凍機器45については、優先時上限が100%(電力抑制を行わない。)、優先時下限が100%、通常時上限が100%、通常時下限が85%に設定されている。
この実施の形態の場合には、冷凍機器45を優先させるように設定しているので、冷凍機器45に関しては、上記したように、優先時上限が100%(電力抑制を行わない。)、優先時下限が100%という内容で運転されることになり、一方、照明機器41については、通常時上限が80%、通常時下限が50%の範囲で省エネ運転されることになる。又、空調機器43に関しても、通常時上限が90%、通常時下限が70%の範囲で省エネ運転されることになる。
又、管理者15のこのような入力操作によって、図2に示すステップS7の処理が実行されることになる。
【0031】
次に、「D.運転期間指定」を選択することにより図6に示す画面が表示される。この画面では、運転条件データを適用する期間と、制御変更周期(タイムスライス)を指定する。運転中にはタイムスライスの時間経過毎に照度や空調制御の状態を変更する。それについては、既に説明した図2のフローチャートにおいて、ステップ19以降の処理によって実現される。
尚、図6に示す例の場合には、開始が2011年3月11日、終了が2012年4月1日と設定されている。又、制御変更周期(タイムスライス)について1分と設定されている。したがって、タイムスライスの1分毎に対応する運転指針が決定され(図2のステップS20)、タイムスライスの1分毎に優先運転機器が決定され(図2のステップS21)、以下、図2のステップS30に至る処理が実行されることにより、タイムスライスである1分毎の運転条件データが決定・記憶されることになる。
又、管理者15のこのような入力操作によって、図2に示すステップS10の処理が実行されることになる。
【0032】
次に、「E.個別スケジュール指定」を選択することにより図7に示す画面が表示される。この画面では、基本運転条件データに対して変更を加えたいと考えている「日時条件」と「その優先順位」を決定する処理が行われる。
尚、図7に示す例の場合には、7月の土曜日・終日を例外運転状態として定義している。又、特定した日として2011年3月11日が表示されている。このような個別スケジュール指定は複数設定することができる。又、下段のリストボックスでは、優先順位を決める処理が行われる。又、日時条件が重なった場合にはどちらが優先されて運転されるのかを優先順位で決定するように構成されている。
又、管理者15のこのような入力操作によって、図2に示すステップS13の処理が実行されることになる。
【0033】
次に、「F.個別運転指定」を選択することにより図8に示す画面が表示される。この画面では、設定した例外条件に対して、運転条件データを関連付ける。すなわち、「運転条件指定」釦を押すことにより、設定済みの個別日時条件に対して運転指針を関連付けて表示する。
尚、図8に示す例の場合は、7月の土曜日に関しては、「快適性優先」が選択されるように設定されている。同様に、他の個別スケジュール指定に関しても任意の運転指針を関連付けることができる。
又、管理者15のこのような入力操作によって、図2に示すステップS16の処理が実行されることになる。
【0034】
次に、「G.運転条件データ生成」を選択することにより図9に示す画面が表示される。この画面では、今までに指定した全ての設定内定が表示されている。そして、「運転条件データ生成」を押すことにより、運転条件データファイルを生成して保存する。又、既に図2のフローチャートにおけるステップS19〜ステップS32において説明したように、条件が厳し過ぎて運転条件データを生成できない場合、矛盾が有る場合、等には、エラーメッセージと共に問題となる要素を設定する画面に移動して使用者に修正を促す。
【0035】
以上、本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、所望の運転条件データを容易に生成して格納することかできるようになった。
又、その際、細かな条件についてもこれを予め設定しておくことにより、容易に選択・決定することができるので、従来のように大まかな運転条件ではなく、細かな内容を含んだ所望の運転条件データを容易に生成することができるものである。
【0036】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記一実施の形態の場合には、予め、一つの基本運転指針を選択・決定するようにしたが、これを時間帯毎に異なる基本運転指針になるように選択・決定させてもよい。
又、現在指定されている運転条件の結果として得られる、運転時の瞬時電力量もしくはピーク電力量もしくはある期間の積算電力量もしくはある期間の電力料金を表示する項目を設けることも考えられる。この場合には、例えば、月毎の電気料金を参考にしながら設定作業を行うことができる。
その他、項目の種類、選択・設定の順序等については、これを特に限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、運転条件データ生成装置に係り、特に、各種照明機器、空調機器、冷凍機器等に関して省エネ運転を行う場合に、使用者の好みに応じた所望の運転条件データを容易に生成することができるように工夫したものに関し、例えば、省エネのための運転条件データの生成に好適である。
【符号の説明】
【0038】
1 運転条件データ生成装置
3 省エネルギ制御装置
5 マイクロプロセッサ
11 記憶装置
41 照明機器
43 空調機器
45 冷凍機器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の省エネ運転を実現するべく制御対象機器の運転条件を決定するための項目を予め記憶しておく項目記憶手段と、
外部入力に基づいて上記項目記憶手段から項目を順次取り出してこれを順次表示する項目取出・表示手段と、
上記項目取出・表示手段によって取り出されて表示された項目に対する外部入力に基づいて該項目に関する内容を決定する項目内容決定手段と、
上記項目内容決定手段により決定された項目内容に基づいて上記制御対象機器の運転条件データを生成する運転条件データ生成手段と、
上記運転条件データ生成手段により生成された運転条件データを格納する運転条件データ格納手段と、
を具備したことを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の運転条件データ生成装置において、
上記項目には、上記制御対象機器の基本運転指針を選択するための基本運転指針項目が設けられていることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の運転条件データ生成装置において、
上記制御対象機器の中で優先度を選択する優先機器指定項目が設けられていることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、
上記制御対象機器毎に運転条件を指定する運転条件指定項目が設けられていることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、
制御を適用する期間を指定する運転期間指定項目が設けられていることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、
基本運転指針項目により設定された基本運転指針に対する例外となる個別スケジュール指定項目が設けられていることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、
上記個別スケジュール指定項目により指定された機器の個別運転指針を指定する個別運転指定項目が設けられていることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載の運転条件データ生成装置において、
現在指定されている運転条件の結果として得られる、運転時の瞬時電力量もしくはピーク電力量もしくはある期間の積算電力量もしくはある期間の電力料金を表示する項目が設けられていることを特徴とする運転条件データ生成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−202569(P2012−202569A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65176(P2011−65176)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(597010628)協立電機株式会社 (18)
【Fターム(参考)】