説明

道路地図データ入力装置

【目的】 一方通行の方向データの入力を簡便に行なうことができ、かつ入力ミスを少なくすることができる道路地図データ入力装置を提供する。
【構成】 ノード番号1001,1004,1002,1003のノードを介するリンク10a〜10eが表示されている状態で、操作者は一方通行の始端側のリンク10bから一方通行の終端側のリンク10dまでを順次選択する。処理装置はリンクの入力された順から一方通行の方向を認識し、一方通行の始端側のノード番号が終端側のノード番号より小さいリンクに対しては正方向の方向データ20a,20cを設定し、ノード番号の大小が逆の場合は逆方向の方向データ20bを設定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は道路地図データ入力装置に関し、特にナビゲーションシステムなどで行なわれている経路誘導のために適用される道路地図ネットワークデータの一方通行情報を入力する道路地図データ入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりナビゲーションシステムなどに用いられる道路地図データベースを作成するために、道路地図に基づいたリンクのネットワークデータを入力するための道路地図データ入力装置が知られている。
【0003】道路地図データ入力装置において、操作者は図8に例示される道路地図に基づいて、図9に示される交叉点などをノード、道路をリンクとしたネットワークデータをマウスやデジタイザなどにより入力する。各々のリンクとノードには各々のリンクとノードを識別するためのリンク番号、ノード番号が併せて入力される。
【0004】一方通行である道路にはリンク番号に対応させて一方通行を示すデータが入力される。
【0005】図10に示されるノード番号1001,1004,1002,1003,1005の各々のノードを結ぶリンク10a〜10dがノード番号1001から1005に向う一方通行の道路であるときに入力されるデータを図11を用いて説明する。
【0006】リンク10aにおいて、一方通行の始端側のノードのノード番号1001と一方通行の終端側のノードのノード番号1004とでは終端側のノードのノード番号の方が大きいので、操作者によってリンク10aには正方向を示すデータ20aが入力される。一方リンク10bにおいては一方通行の始端側のノードのノード番号1004と一方通行の終端側のノードのノード番号1002とでは始端側のノードのノード番号の方が大きいので、操作者によってリンク10bには逆方向を示す情報20bが入力される。
【0007】同様に操作者によってリンク10cには正方向を示すデータ20cが、リンク10dには正方向を示すデータ20dが入力される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の道路地図データ入力装置では、一方通行のデータを入力するときに操作者はリンク1本1本に対して正逆方向を判定した後にデータを入力しなければならなかったため、入力に時間を要しかつ入力ミスが生じやすいという問題点があった。
【0009】そこでこの発明は一方通行のデータの入力を簡便に行なうことができ、かつ入力ミスを少なくすることができる道路地図データ入力装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の道路地図データ入力装置は、一方通行情報を入力するための道路地図データ入力装置であって、一方通行である道路を構成する複数のリンクのうち少なくとも2つのリンクを連続して入力する入力手段と、入力されたリンクの順序に基づいて、複数のリンクの各々に対して一方通行情報に対応する方向データを設定する設定手段とを備えたものである。
【0011】請求項2に記載の道路地図データ入力装置は、一方通行情報を入力するための道路地図データ入力装置であって、一方通行である道路を構成する複数のリンクのノードのうち少なくとも2つのノードを連続して入力する入力手段と、入力されたノードの順序に基づいて、複数のリンクの各々に対して一方通行情報に対応する方向データを設定する設定手段とを備えたものである。
【0012】
【作用】請求項1に記載の道路地図データ入力装置は、一方通行である道路を構成する複数のリンクのうち少なくとも2つのリンクを連続して入力し、入力されたリンクの順序に基づいて、複数のリンクの各々に対して一方通行情報に対応する方向データを設定する。
【0013】請求項2に記載の道路地図データ入力装置は、一方通行である道路を構成する複数のリンクのノードのうち少なくとも2つのノードを連続して入力し、入力されたノードの順序に基づいて複数のリンクの各々に対して一方通行情報に対応する方向データを設定する。
【0014】
【実施例】図2は本発明の一実施例である道路地図データ入力装置の装置構成を示すブロック図である。
【0015】図を参照して道路地図データ入力装置は各種情報処理のためのワークステーション101と、データ入力のための端末装置103a〜103dと、地図データを記録する地図データデータベース105と、地図データの入力結果を出力する磁気テープ記録装置107と、地図の描画を行なうプロッタ111と、データの出力を行なうプリンタ109とから構成される。
【0016】図3は図2の端末装置103a〜103dの1つの具体的構成を示すブロック図である。
【0017】図を参照して端末装置は、処理装置201と、データ入力のためのマウス217と、キーボード205と、デジタイザ215と、データ出力のためのCRT203と、プロッタ207と、プリンタ213と、データを記憶するハードディスク装置209と、フロッピーディスクドライブ装置211と、光磁気ディスクドライブ装置219とから構成される。
【0018】本実施例における道路地図データ入力装置では複数の端末装置を用いることにより、複数の操作者により同時に道路地図データの入力が可能である。
【0019】図4は本実施例における道路地図データ入力装置での一方通行データの入力処理を示すフローチャートである。
【0020】図を参照してステップS401で操作者のマウス217の操作によりCRT203に表示されているリンクの中から一方通行の始端側のリンクが選択される。ステップS402で操作者による処理の終了の指示があるか判定される。処理の終了の指示はたとえば操作者がマウスのボタンをダブルクリックすることで行なわれる。
【0021】ステップS403において、次に操作者が選択可能なリンクが識別される。操作者が選択可能なリンクとは、2本目に選択されるリンクでは、1本目に選択されたリンクの端点であるノードのどちらか一方を端点に持つリンクであり、3本目以降に選択されるリンクでは1回前に選択されたリンクのノードであって、他の選択されたリンクと端点を共有していないノードを端点とするリンクである。
【0022】ステップS403の処理が終了するとステップS401からの処理が繰り返し行なわれる。
【0023】ステップS402でYESであれば、ステップS404において選択されたリンクの順番から一方通行の方向が識別される。ステップS405において識別された一方通行の方向に基づいて入力されたリンクの各々に方向データが設定される。
【0024】図1は本実施例における一方通行データの第1の入力例を説明するための図である。
【0025】図1(a)に示されるように、ノード番号1001,1004,1002,1003が各々付されているノードを結ぶリンク10a〜10eがCRT203に表示されている状態で操作者がリンク10b,10c,10dに図面に対して左から右への一方通行のデータを入力する場合を想定する。
【0026】操作者はマウス217によりリンクをリンク10b→リンク10c→リンク10dの順に選択する。選択されたリンクは図1(b)に示されるように、他のリンクとは表示色を変えて表示される(図4のステップS401〜S403での処理に相当)。
【0027】操作者によるマウスのボタンのダブルクリックにより、一方通行データの入力処理は終了する(図4R>4のステップS402でYESに相当)。
【0028】リンクの入力された方向から処理装置201は一方通行の方向を識別する(図4のステップS404)。図1の例では図面の左から右に向かってリンクが入力されているので、左から右への方向が一方通行の方向となる。その後処理装置は入力されたリンクの各々が結ぶノード番号の大小と一方通行の方向とからリンクの各々に一方通行の方向データを設定する(図4のステップS405に相当)。
【0029】具体的にはリンクの一方通行の終端側のノードのノード番号が始端側のノードのノード番号よりも大きいときには、リンクには正方向を示すデータが設定され、リンクの一方通行の始端側のノードのノード番号が終端側のノードのノード番号よりも大きいときはリンクには逆方向を示すデータが設定される。
【0030】つまり図1の例では図1(c)のようにリンク10b,10dには正方向を示すデータ20a,20cが設定され、リンク10cには逆方向を示すデータ20bが設定される。
【0031】図5は本実施例における一方通行データの第2の入力例を説明するための図であり、図1に対応する図である。
【0032】図を参照して図1と同じリンク10a〜10eの中のリンク10b,10c,10dに図面に対して右から左への一方通行のデータが入力されるときには、操作者のマウス217の操作によりリンク10d→リンク10c→リンク10bの順にリンクが選択される。この場合一方通行の方向が図1とは逆であるので、図5(c)に示されるように、リンク10b〜10dに設定される一方通行の方向データは図1(c)とは正逆が反転したものとなる。
【0033】図6は本実施例における一方通行データの第3の入力例を説明するための図である。
【0034】図を参照して一方通行の始端リンクとして操作者がリンク10gを選択したときに、次に入力可能なリンクはリンク10gの端点であるノードのどちらか一方を端点に持つリンクであるので、リンク10f,10h,10kが入力可能なリンクとなる。この中で操作者がリンク10hを選択したのであれば、次に入力できるリンクはリンク10iのみとなる。
【0035】図7は本実施例における一方通行データの第4の入力例を説明するための図である。
【0036】図を参照して操作者が一方通行の始端側のリンクとしてリンク10nを選択したのであれば、次に入力可能なリンクはリンク10m,10q,10s,10uである。それらのリンクの中で操作者がリンク10mを選択したのであれば、次の入力可能なリンクはリンク10r,10tのみとなる。
【0037】つまり一方通行の方向データの入力の際に選択される1本目のリンクとして操作者は地図データの中のすべてのリンクから1本のリンクを選択することが可能である。2本目に入力されるリンクは1本目に入力されたリンクに連続しているリンクであれば選択可能である。3本目以降のリンクは1本前に入力されたリンクの終端側のノードに接続しているリンクのみ選択可能である。
【0038】なお本実施例においてはリンクを一方通行の方向順に順次入力することにより一方通行の方向を入力することとしたが、操作者がノードを一方通行の方向順に順次入力することにより一方通行の方向データを入力するようにしてもよい。
【0039】たとえば図1に示される例では操作者はノード番号1001→1004→1002→1003のノードを順次選択することにより、一方通行の方向データを入力するようにしてもよい。
【0040】また本実施例では一方通行の方向の順にリンクを順次入力するようにしたが、リンクの分岐がない道路地図データに対しては一方通行の始端側のリンクやノードと一方通行の終端のリンクやノードとを入力しその間のすべてのリンクに対してデータの正逆方向を判定し、一方通行の方向データを設定するようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】請求項1に記載の道路地図データ入力装置は、操作者の簡単な操作により道路地図データに一方通行の方向データを設定することができる。
【0042】請求項2に記載の道路地図データ入力装置では、操作者の簡単な操作により道路地図データに一方通行の方向データを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における一方通行データの第1の入力例を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施例である道路地図データ入力装置の装置構成を示すブロック図である。
【図3】図2の端末装置103a〜103dの1つの具体的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例における道路地図データ入力装置での一方通行データの入力処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例における一方通行データの第2の入力例を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施例における一方通行データの第3の入力例を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施例における一方通行データの第4の入力例を説明するための図である。
【図8】道路地図の一例を示す図である。
【図9】図8の道路地図をリンクのネットワークデータとして表現した図である。
【図10】従来の道路地図データ入力装置での一方通行の方向データの入力例について説明するための図である。
【図11】従来の道路地図データ入力装置での一方通行の方向データについて説明するための図である。
【符号の説明】
10 リンク
20 一方通行の方向データ
101 ワークステーション
103 端末装置
105 地図データデータベース
107 磁気テープ記録装置
111 プロッタ
109 プリンタ
201 処理装置
203 CRT
205 キーボード
207 プロッタ
209 ハードディスク装置
211 フロッピーディスクドライブ装置
213 プリンタ
215 デジタイザ
1001〜1004 ノード番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一方通行情報を入力するための道路地図データ入力装置であって、一方通行である道路を構成する複数のリンクのうち少なくとも2つのリンクを連続して入力する入力手段と、前記入力されたリンクの順序に基づいて、前記複数のリンクの各々に対して一方通行情報に対応する方向データを設定する設定手段とを備えた、道路地図データ入力装置。
【請求項2】 一方通行情報を入力するための道路地図データ入力装置であって、一方通行である道路を構成する複数のリンクのノードのうち少なくとも2つのノードを連続して入力する入力手段と、前記入力されたノードの順序に基づいて、前記複数のリンクの各々に対して一方通行情報に対応する方向データを設定する設定手段とを備えた、道路地図データ入力装置。

【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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