説明

遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法

【課題】遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料を製造する。
【解決手段】粒径15μm以下の蛇紋石40〜60重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌して、遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料を製造する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料は存在していなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来は遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料は存在していなかったため、従来の塗料を、例えば便所や浴室あるいは台所の壁面に塗布した家屋においては抗菌作用、脱臭作用、防カビ作用、防虫作用および静電気防止作用を期待することが全くできないという課題があった。
【0004】本発明はかかる課題を解決すべくなしたもので、遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、粒径15μm以下の蛇紋石40〜60重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌するという手段、粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に酸化カルシウム20〜30重量%およびシリカ15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌するという手段、粒径15μm以下の蛇紋石5〜15重量%および炭素15〜25重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア20〜30重量%および酸化亜鉛20〜30重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌するという手段、粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン5〜15重量%を添加し、更に粒径15μm以下の酸化カルシウム5〜15重量%、マグネシア5〜15重量%、酸化亜鉛20〜30重量%およびシリカ5〜15重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌するという手段、粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア20〜30重量%およびシリカ15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌するという手段、粒径15μm以下の蛇紋石40〜60重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%および分散剤0.1〜0.5mg/lを塗料に添加して混合攪拌するという手段、粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に酸化カルシウム20〜30重量%およびシリカ15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%および分散剤0.1〜0.5mg/lを塗料に添加して混合攪拌するという手段、粒径15μm以下の蛇紋石5〜15重量%および炭素15〜25重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア20〜30重量%および酸化亜鉛20〜30重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%および分散剤0.1〜0.5mg/lを塗料に添加して混合攪拌するという手段、粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン5〜15重量%を添加し、更に粒径15μm以下の酸化カルシウム5〜15重量%、マグネシア5〜15重量%、酸化亜鉛20〜30重量%およびシリカ5〜15重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%および分散剤0.1〜0.5mg/lを塗料に添加して混合攪拌するという手段、粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア20〜30重量%およびシリカ15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%および分散剤0.1〜0.5mg/lを塗料に添加して混合攪拌するという手段、のいずれかを採用することにより、上記課題を解決した。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明者は、単一成分のセラミックスにつき、夫々遠赤外線放射率、抗菌率、脱臭率、防カビ性を示す防カビ抵抗、ノミやダニ等の衛生害虫に対する防虫性を示す忌避率を個々に測定すると共に、更に数種のセラミックスにつき固有の電気抵抗を示す比抵抗について測定し、遠赤外線放射率、抗菌率、脱臭率、防カビ抵抗および忌避率のいずれか数種類の項目において優れたセラミックスと、前記項目の外、更に比抵抗が小さく、導電性において優れたセラミックスを複数種類一定比率で混合攪拌し、然る後仮焼して遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性、防虫性を有すると共に、静電気防止効果において優れた複合セラミックスを製造し、そして該複合セラミックスを塗料に添加して混合攪拌することにより、遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料を完成した。
【0007】本発明に使用される遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性、防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する複合セラミックスを構成する単一成分のセラミックスの平均放射率、抗菌率、脱臭率、防カビ抵抗、忌避率、比抵抗および水素イオン濃度を測定したところ、表1に示す測定値を得た。なお、前記防カビ抵抗はJIS Z 2911によって測定した。
【0008】
【表1】


【0009】表1の測定結果から、炭素が96%の極めて高い遠赤外線放射率を有し、そしてシリカが94%、チタンが93%、蛇紋石が90%、マグネシアが89%、酸化亜鉛が87%、最低の酸化カルシウムでも84%という高い遠赤外線放射率を有すると共に、いずれも水素イオン濃度はアルカリ域にあることが判った。また、蛇紋石はブドウ状球菌に対して97%、大腸菌に対して94%と高い抗菌率を有すると共に、硫化水素に対して90%、アンモニアに対して89%と高い脱臭率を有し、また酸化カルシウムはブドウ状球菌に対して90%、大腸菌に対して89%と高い抗菌率を有するが、硫化水素に対して67%、アンモニアに対して63%の中程度の脱臭率しかなく、更にマグネシアはブドウ状球菌に対して97%、大腸菌に対して96%の高い抗菌率を有するが、硫化水素に対して75%、アンモニアに対して65%の中程度の脱臭率しかなく、更にまた酸化亜鉛は、硫化水素に対して88%、アンモニアに対して85%の高い脱臭率を有するが、ブドウ状球菌に対して40%、大腸菌に対して35%の低い抗菌率しかなく、また更にシリカはアンモニアに対して97%、硫化水素に対して96%の脱臭率を有するが、大腸菌およびブドウ状球菌に対する抗菌率はいずれも0%であり、そしてチタンおよび炭素はいずれも抗菌率、脱臭率ともに0%で抗菌性および脱臭性がないことが判った。
【0010】防カビ抵抗は蛇紋石が最高値の3を示し、次いでマグネシアが2で中程度の防カビ性を有するが、その他のセラミックスはいずれも1で、防カビ性がほとんどないことが判った。
【0011】そして、ノミやダニ等に対する防虫性を示す忌避率は、蛇紋石が97%で極めて高く、マグネシアも85%で高いが、シリカは68%、酸化カルシウムは50%と中程度の忌避率しかなく、酸化亜鉛は30%、チタンおよび炭素はいずれも20%で低い忌避率しかないことが判った。
【0012】前記抗菌率、脱臭率、防カビ抵抗および忌避率において劣っているチタンおよび炭素を本発明に使用される複合セラミックスの素材として採用するのは、チタンは光によって他のセラミックスを活性励起させるという作用を有し、炭素は比抵抗が低く導電性においては優れているため、両者を混合することにより、炭素はチタンの活性励起作用によって炭素の特性である導電性が活性励起されて更に導電率を高くすることができるためである。
【0013】上記の結果より、本発明者は遠赤外線放射率、抗菌率、脱臭率、防カビ抵抗および忌避率において、高率の数値を示した蛇紋石および遠赤外線放射率が高く、且つ比抵抗が小さく導電性において優れた炭素を本発明に使用する複合セラミックスの基材として採用し、これら基材に助材としてチタンを添加し、更に混合材として酸化カルシウム、マグネシア、酸化亜鉛およびシリカのうち1〜2種類または4種類を添加して混合攪拌することによって、遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する複合セラミックスが得られると考え、前記各セラミックスをその配合比率を種々変えて複合セラミックスを製造した。
【0014】すなわち、基材となる蛇紋石40〜60重量%、好ましくは50重量%および炭素5〜15重量%、好ましくは10重量%に対して、助材としてチタン15〜25重量%、好ましくは20重量%、混合材としてマグネシア15〜25重量%、好ましくは20重量%を添加混合して複合セラミックスAを製造し、または基材となる蛇紋石20〜30重量%、好ましくは25重量%および炭素5〜15重量%、好ましくは10重量%に対して、助材としてチタン15〜25重量%、好ましくは20重量%、混合材として酸化カルシウム20〜30重量%、好ましくは25重量%およびシリカ15〜25重量%、好ましくは20重量%を添加混合して複合セラミックスBを製造し、そしてまたは基材となる蛇紋石5〜15重量%、好ましくは10重量%および炭素15〜25重量%、好ましくは20重量%に対して、助材としてチタン15〜25重量%、好ましくは20重量%、混合材としてマグネシア20〜30重量%、好ましくは25重量および酸化亜鉛20〜30重量%、好ましくは25重量%を添加混合して複合セラミックスCを製造し、更に基材となる蛇紋石20〜30重量%、好ましくは25重量%および炭素5〜15重量%、好ましくは10重量%に対して、助材としてチタン5〜15重量%、好ましくは10重量%、混合材として酸化カルシウム5〜15重量%、好ましくは10重量%、マグネシア5〜15重量%、好ましくは10重量%、酸化亜鉛20〜30重量%、好ましくは25重量%およびシリカ5〜15重量%、好ましくは10重量%を添加混合して複合セラミックスDを製造し、また更に基材となる蛇紋石20〜30重量%、好ましくは25重量%および炭素5〜15重量%、好ましくは10重量%に対して、助材としてチタン15〜25重量%、好ましくは20重量%、混合材としてマグネシア20〜30重量%、好ましくは25重量%およびシリカ15〜25重量%、好ましくは20重量%を添加混合して複合セラミックスEを製造した。
【0015】そして、本発明で採用する複合セラミックスを構成する単一成分のセラミックスである蛇紋石、炭素、チタン、酸化カルシウム、マグネシア、酸化亜鉛およびシリカを夫々表2に示す好ましい混合率により混合して製造された複合セラミックスの遠赤外線放射率、抗菌率、脱臭率、防カビ抵抗、忌避率、比抵抗および水素イオン濃度を測定した結果を表3に示す。前記防カビ抵抗はJIS Z 2911によって測定した。なお、表3における記号A〜Eは表2の記号A〜Eと対応している。
【0016】
【表2】


【0017】
【表3】


【0018】前記表3の測定結果から、いずれの複合セラミックスも、その複合セラミックスを構成する各単一成分の各セラミックスの相乗効果により遠赤外線放射率が93〜95%、大腸菌に対する抗菌率が95〜97%、ブドウ状球菌に対する抗菌率が95〜98%、アンモニアに対する脱臭率が95〜96%、硫化水素に対する脱臭率が94〜96%と極めて高く、遠赤外線放射特性、抗菌性および脱臭性において優れていると共に、防カビ抵抗が3および忌避率が95〜98%で高く、防カビ性およびノミやダニ等の衛生害虫に対する防虫性を示す忌避効果においても優れ、更に各複合セラミックスとも炭素およびチタンが含まれているため、比抵抗が小さく導電性において優れていることが判った。
【0019】以下本発明に採用する遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性を有すると共に、防カビ性、防虫性および導電性を有する複合セラミックスの製造方法について更に詳細に説明する。前記複合セラミックスを構成する各単一成分の各セラミックスの粒径は、15μm以下の微粉末を使用する必要があり、そしてこれら各セラミックスを混合すると、各セラミックスの比重、水分、湿度等の物理的特性が夫々異なると共に、これら原材料である前記各セラミックスは粒径が15μm以下の微粉末であるため、凝集化が安易に作用して、前記各セラミックスを均一に混合することは極めて容易ではない。
【0020】そこで本発明者は、表2に示すような好ましい混合比率により前記基材、助材および混合材を夫々所定比率で混合機に投入して混合攪拌した後、その混合物を粉砕機に投入して粉砕し、そして更に、前記粉砕したものを再び混合機に投入して混合攪拌し、その後また粉砕機に投入して粉砕するという工程を順次約30分間繰返すという手段を採用することにより、基材、助材および混合材とが均一に混合された複合セラミックスを製造することができた。
【0021】そして、前記均一に混合された複合セラミックスの化学特性の安定化を図るため、複合セラミックスを200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して、遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性、防虫性および静電気防止効果を有する複合セラミックスとするのである。
【0022】なお、前記複合セラミックスの材料である各セラミックスの水素イオン濃度は、表1に示すようにアルカリ性状を呈している。また、前記各セラミックスより成る複合セラミックスも表3に示すようにアルカリ性状を呈している。
【0023】表1記載の水素イオン濃度を有する各セラミックスを複合した本発明に採用される複合セラミックスの水素イオン濃度は、前記のように200℃〜500℃で焼成されているので、表3に示すように非常に安定してアルカリ性状を呈し、水素イオン濃度の経時変化がない。更に、これら複合セラミックスは仮焼によって結晶化されて、電界エネルギー(陽イオン)を発生する機能を有する複合セラミックスになる。前記複合セラミックスがアルカリ性状を呈するのは、その焼成加工中に不純物がガス化されるので、単一成分のセラミックスよりもアルカリ性に移行するからである。
【0024】前記表3から前記製造方法によって得られた複合セラミックスは、陽イオンを有する複合セラミックスであり、アルカリ域の水素イオンになり、1年以上という長時間に亘って経時変化がなく安定していて、脱臭機構は分解作用であるという特性を有し、その結果前記製造方法によって得られた複合セラミックスは、遠赤外線放射特性を有すると共に、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を兼ね備える外、前記したようにチタンおよび炭素が含まれているため、導電性において優れており静電気防止効果を有していることが判る。
【0025】一般的に生菌の表層(壁)は陰イオンであって、そのため中性領域(pH7.0〜7.5)でしか生息が不可能であるが、前記製造方法によって得られた複合化された複合セラミックスの最大の特性として陽イオンを発生するので、陰イオンである菌体の表層(壁)が、前記複合セラミックスの陽イオンによって破壊されると同時に、菌体蛋白質が変成して、呼吸困難となり死滅するのである。
【0026】更に、硫化水素およびアンモニア等に対する脱臭作用は、物理的吸着または化学的吸着等の一般的作用ではなく、分解作用のため飽和状態にならないので、抗菌力と同様に、脱臭力を半恒久的に有すると共に、毒性をも有していないのである。
【0027】前記複合セラミックスは各セラミックス間の粒間(異なるセラミックスとの間)に電界エネルギー(陽イオン)を発生するが、光エネルギーによって励起されてそのエネルギーが大きくなり、このエネルギーによって複合セラミックスが有している陽イオンを発生するという固有の特性が励起され、これにより遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性、防虫性および導電性が大きくなり、その作用効果も大きくなる。
【0028】本発明製造方法の素材となる複合セラミックスの粒子の粒径は、塗料の生産に支障のない程度に充分小さいことが好ましく、粒径5〜15μm程度のものの利用も可能であるが、通常は0.1〜5μm程度のもの、特に0.2〜1.5μm程度のものが好適である。
【0029】そして、塗料に対する前記複合セラミックスの混合率は、3〜15重量%の範囲が好ましく、5〜10重量%が特に好ましい。遠赤外線放射率、抗菌率、脱臭率、防カビ抵抗、忌避率および導電率を高くする点では、前記複合セラミックスの混合率が高い程好ましいが、塗料の塗着の点ではその混合率が低いほうが好ましいことが多い。
【0030】本発明塗料は、前記製造方法によって得られた粒径15μm以下の複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌することにより製造することができる。なお、前記複合セラミックスを塗料に添加混合する場合、分散剤は一般的には添加混合する必要はないが、本発明塗料の製造時に添加混合すると複合セラミックスの凝集が起こらず製造が容易であり、更に貯蔵、塗装作業時にも凝集が起こらないので使用することが好ましい。使用する分散剤は特に限定する必要はないが、好ましくはヘキサメタリン酸ソーダ0.1%を0.1〜0.5mg/l程度使用することが推奨される。
【0031】前記本発明製造方法により得られた塗料を便所、浴室および台所の壁面に塗布した後、遠赤外線放射率、抗菌率、脱臭率、防カビ抵抗、忌避率、比抵抗および水素イオン濃度についてそれぞれ測定した平均値を表4〜表6に示す。なお、便所には複合セラミックスAを7.0重量%を添加混合した塗料、浴室には複合セラミックスCを5.0重量%を添加混合した塗料、台所には複合セラミックスEを10重量%を添加混合した塗料をそれぞれ使用した。なお、いずれの塗料にも分散剤は不使用であった。
【0032】
【表4】


【0033】
【表5】


【0034】
【表6】


【0035】前記表4〜表6の測定結果より、いずれも遠赤外線放射率が92〜94%、大腸菌に対する抗菌率が95〜96%、ブドウ状球菌に対する抗菌率が96〜97%、アンモニアに対する脱臭率が94〜95%、硫化水素に対する脱臭率が94〜95%、防カビ抵抗が最高値の3および忌避率が94〜97%でいずれも高く、また、比抵抗は小さく導電性が高く、更に水素イオン濃度がいずれもアルカリ域にあることが判った。
【0036】従って、前記各塗料を便所の壁面に使用した場合、臭気の発生がなく、大腸菌、ブドウ状球菌の発生を阻止し、また前記各塗料を浴室の壁面に使用した場合、カビおよび臭気の発生がなく、更に前記各塗料を台所の壁面に使用した場合、ノミやダニ等の衛生害虫を寄せつけず、飲食物の加工時に発生する食品等の臭いを脱臭し、更に大腸菌、ブドウ状球菌の発生を阻止することが立証され、然も比抵抗が小さく導電性がよいため静電気防止効果を有することが判った。
【0037】
【発明の効果】本発明は上述のように、塗料に遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する複合セラミックスが添加混合されているため、該塗料を便所、浴室、台所の壁面に塗布すると、前記便所、浴室、台所等の大腸菌やブドウ状球菌の発生を阻止し、アンモニアや硫化水素による悪臭を脱臭すると共に、カビの発生を阻止し、ノミやダニ等の衛生害虫が寄せつけず、然も静電気防止効果をも有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】粒径15μm以下の蛇紋石40〜60重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌することを特徴とする遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法。
【請求項2】粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に酸化カルシウム20〜30重量%およびシリカ15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌することを特徴とする遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法。
【請求項3】粒径15μm以下の蛇紋石5〜15重量%および炭素15〜25重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア20〜30重量%および酸化亜鉛20〜30重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌することを特徴とする遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法。
【請求項4】粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン5〜15重量%を添加し、更に粒径15μm以下の酸化カルシウム5〜15重量%、マグネシア5〜15重量%、酸化亜鉛20〜30重量%およびシリカ5〜15重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌することを特徴とする遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法。
【請求項5】粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア20〜30重量%およびシリカ15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%を塗料に添加して混合攪拌することを特徴とする遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法。
【請求項6】粒径15μm以下の蛇紋石40〜60重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%および分散剤0.1〜0.5mg/lを塗料に添加して混合攪拌することを特徴とする遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法。
【請求項7】粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に酸化カルシウム20〜30重量%およびシリカ15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%および分散剤0.1〜0.5mg/lを塗料に添加して混合攪拌することを特徴とする遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法。
【請求項8】粒径15μm以下の蛇紋石5〜15重量%および炭素15〜25重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア20〜30重量%および酸化亜鉛20〜30重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%および分散剤0.1〜0.5mg/lを塗料に添加して混合攪拌することを特徴とする遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法。
【請求項9】粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン5〜15重量%を添加し、更に粒径15μm以下の酸化カルシウム5〜15重量%、マグネシア5〜15重量%、酸化亜鉛20〜30重量%およびシリカ5〜15重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%および分散剤0.1〜0.5mg/lを塗料に添加して混合攪拌することを特徴とする遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法。
【請求項10】粒径15μm以下の蛇紋石20〜30重量%および炭素5〜15重量%を基材とすると共に、これら基材に対して助材として粒径15μm以下のチタン15〜25重量%を添加し、更に粒径15μm以下のマグネシア20〜30重量%およびシリカ15〜25重量%を混合材として前記基材および助材に添加して、混合機および粉砕機に順次複数回に亘って投入して、前記基材、助材および混合材を混合攪拌および粉砕して均一に混合し、然る後200〜500℃の仮焼温度で焼成機により焼成して得られた複合セラミックス3〜15重量%および分散剤0.1〜0.5mg/lを塗料に添加して混合攪拌することを特徴とする遠赤外線放射特性、抗菌性、脱臭性、防カビ性および防虫性を有すると共に、静電気防止効果を有する塗料の製造方法。

【公開番号】特開平10−324825
【公開日】平成10年(1998)12月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−149963
【出願日】平成9年(1997)5月26日
【出願人】(591084137)
【出願人】(591163605)大原産和株式会社 (1)