説明

遠隔クロックの同期

【課題】第1のクロックと第2のクロックとを同期させる。
【解決手段】システムは、第1のクロックに関連付けられ、第2のクロックから遠隔パルスを受信するように構成された受信器を含む。遠隔パルスは、ローカルクロックに既知であるパルス繰返し周波数及びスペクトル特性を有する。システムは、また、第1のクロックにおいてローカルパルスを生成するように構成されたローカルパルス発生器と、ローカルパルス及び遠隔パルスを配向するように構成された光学要素と、を含む。システムは、さらに、ローカルパルスと上記遠隔パルスとの間に干渉パターンを生成するように構成された干渉計を含む。第1のクロックと上記第2のクロックとの間における時間遅延を、ローカルパルスと遠隔パルスとの間における干渉パターンに基づいて計算するように構成された、コントローラが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にタイミング同期に関する。本開示は、より具体的には、遠方のクロックをサブピコ秒という精度により同期させ、このような精度を複数の遠隔装置・システム全体に伝えるシステム及び方法に関する。
【0002】
初期のクロックは、時間の経過を記録するために、物体の絶え間ない移動を利用していた。このような移動には、空全体における太陽(又は太陽から形成される影)の移動、又は、水若しくは砂の比較的に一定の速度での移動が含まれていた。しかしながら、現代のクロックは、発振器及び時間インターバルカウンタという2つの構成要素からなる生産物である。発振器は時間インターバルを正確に区切る一方、時間インターバルカウンタは、定められた数の発振が完了することに基づいて、時間インターバルを進める。日常用として現代で用いられる水晶振動子の振動は、各年につき1分以内という精度を可能にしているが、さらに高い精度が重要になる場面が存在する。
【0003】
原子クロックは、マイクロ波によりプローブされたときに原子の複数のエネルギーレベルの間における振動に依存したものであって、この50年間、計時を大いに進歩させてきた。例えば、標準的な「秒」の定義は、約9.192x109Hzという周波数におけるマイクロ波を用いてセシウム133の振動をプローブすることを利用する。熱いセシウム原子のビームを用いた最初の原子クロックは、約1/1010まで安定であったが、冷たいセシウムの泉を用いるといったようなさらなる発達が、平均約1/1013という安定性を可能にしてきた。しかしながら、セシウムの原子を冷却することにより得られるより大きな安定性は、その泉における原子の間における振動についての電位により制限され、これにより、原子の遷移の周波数をシフトさせうる。噴水クロックから、最先端技術は、さらに進歩してきた。マイクロ波とは反対に光を用いることによって、光クロックが原子の遷移を測定するための著しく高い周波数を実現する。例えば、マイクロ波の1010Hzという周波数の代わりに、光は、1015Hzという周波数を有し、これによって、潜在的により高いクロックの安定性を可能にする。
【0004】
光クロックといったような進歩したクロックの正確なタイミング信号を伝えること及び同期させることは、遠方の構成要素の通信及びデータ転送を扱うときに益々重要である。例えば、衛星ネットワーク、電気送電網、航空機の様々なサブシステム、及び、地球全体の科学研究室が、高度に同期したマスタークロック、又は、マスタークロックから正確なタイミングを受信する能力を必要としうる。1つの非限定的な例として、サテライト間という場面及び衛星と地球との間という場面の両方において衛星通信を扱うときに、同期したクロックが利用される。軌道に乗っている本体の速度が計り知れないほどであることによって、遠方の第2のシステムにおける動作に同調するように特定の動作が第1のシステムにおいていつ発生するべきかを正確に認識することがさらに必要とされる。幾つかの場面においては、正確なタイミングは、いつ衛星といったような特定のシステムが送信機にとっての通信範囲内にあるのかを認識することに関連する一方、別の場面においては、正確なタイミングは、複数すなわちアレイ状の衛星間において、又は、複数の衛星と地球との間において、同期式データ転送のための通信を遅延させることに関する。同期エラーの影響により、全地球測位システム(GPS)のナビゲーション精度が制限され、複数のソース間におけるデータの相関性がより不正確なものとなり、また、電気送電網の安定性が低下する。
【0005】
複数のクロックシステムから正確な信号を搬送し、かつ、複数のクロックシステム間における同期を高める、システム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態によれば、ローカルクロックと遠隔クロックとを同期させるシステムは、上記ローカルクロックに関連付けられ、上記遠隔クロックから遠隔パルスシーケンスを受信するように構成された受信器を含む。上記遠隔パルスシーケンスは、上記ローカルクロックに既知である、パルス繰返し周波数と遠隔パルス幅を含むスペクトル特性とを有する。上記システムは、また、上記ローカルクロックにおいて、ローカルパルス幅を有するローカルパルスシーケンスを生成するように構成されたローカルパルス発生器を含む。上記システムは、さらに、上記ローカルパルスシーケンス及び上記遠隔パルスシーケンスを空間的に配向するように構成された光学要素と、空間的に配向された上記ローカルパルスシーケンスと上記遠隔パルスシーケンスとの間に干渉パターンを生成するように構成された干渉計と、を含む。上記システムは、また、上記干渉パターンを解釈して、上記第1のクロックと上記第2のクロックとの間における時間オフセットを計算するように構成されたプロセッサを含む。上記プロセッサは、さらに、上記時間オフセットを上記第1のクロック及び上記第2のクロックのうちのスレーブクロックに適用して、上記スレーブクロックを上記第1のクロック及び上記第2のクロックのうちのマスタークロックに一致するように同期させる、ように構成されている。上記時間オフセットの時間的な分解能は、上記ローカルパルス幅及び上記遠隔パルス幅の分数である。
【0007】
別の実施形態によれば、第1のクロックと第2のクロックとを同期させる方法は、上記第1のクロックにおいて、上記第2のクロックから、上記第1のクロックに既知である、パルス繰返し周波数と遠隔パルス幅を含むスペクトル特性とを受信するステップを含む。上記方法は、また、上記第1のクロックにおいてローカルパルス幅を有するローカルパルスシーケンスを発生させるステップと、上記ローカルパルスシーケンス及び上記遠隔パルスシーケンスを空間的に配向するステップと、を含む。上記方法は、これに加えて、上記ローカルパルスシーケンスと上記遠隔パルスシーケンスとの間に発生した干渉パターンを測定するステップと、上記ローカルパルスと上記遠隔パルスとの間における上記干渉パターンに基づいて上記第1のクロックと上記第2のクロックとの間における時間オフセットを計算するステップと、を含む。上記方法は、さらに、上記時間オフセットにより上記第1のクロック及び上記第2のクロックのうちのスレーブクロックの時間を調節して、上記スレーブクロックを上記第1のクロック及び上記第2のクロックのうちのマスタークロックに同期させるステップを含む。上記時間オフセットの時間的な分解能は、上記ローカルパルス幅及び上記遠隔パルス幅の分数である。
別の実施形態によれば、クロックは、基準発振器と、該基準発振器により安定化されたローカルフェムト秒レーザーパルスシーケンスを発生させるように構成されたフェムト秒レーザーと、を含む。上記クロックは、さらに、上記ローカルフェムト秒レーザーパルスシーケンスの経路にあって、上記フェムト秒レーザーパルスシーケンスの一部分を同期システムに導くように構成されたビームスプリッタを含む。上記同期システムは、上記ローカルフェムト秒レーザーパルスシーケンス及び遠隔クロックに関連付けられた遠隔フェムト秒レーザーパルスシーケンスを干渉計法による分析により、当該クロックを上記遠隔クロックに光学的に同期させるように構成される。上記干渉計法による分析は、上記ローカルフェムト秒レーザーパルスシーケンスのローカルパルス幅及び上記遠隔フェムト秒レーザーパルスシーケンスの遠隔パルス幅の分数である時間的な分解能を用いて、当該クロックと上記遠隔クロックとの間における時間オフセットを計算するように構成される。
【0008】
他の態様及び実施形態が、以下に述べる詳細な説明、添付した図面及び添付した特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の実施形態の様々な特徴が添付した図面に示されており、同様の参照符号は同様の構成要素を示す。
【0010】
【図1】図1は、フェムト秒レーザーを安定化させる基準発振器を有する光クロックを模式的に示す。
【0011】
【図2】図2は、図1の光クロックが遠隔周波数コムの振動を標準化するような分配ネットワークを模式的に示す。
【0012】
【図3】図3は、基準発振器の安定化した振動を図2の分配ネットワークにおける遠隔周波数コムに供給するために用いられる分配システムの一実施形態を模式的に示す。
【0013】
【図4】図4は、図3の分配システムにおけるマルチプレクサの一実施形態を示す。
【0014】
【図5】図5は、例えば図3の分配システムの実施形態において利用可能なノイズ除去システムの一実施形態を示す。
【0015】
【図6】図6は、分配ネットワークの一実施形態の一例を示す。
【0016】
【図7】図7は、各々が個別のクロックを含む1対の分配ネットワークであって、これらのクロックが同期システムによって同期させられるような分配ネットワークの一実施形態を示す。
【0017】
【図8】図8は、上記同期システムにより接続されたクロックの別の実施形態を示す。
【0018】
【図9】図9は、遠隔クロック及びローカルなクロックにより発生させられるフェムト秒レーザーパルスの干渉を測定するように構成され、両方のクロックの間における時間遅延を決定する同期システムの一実施形態を示す。
【0019】
【図10】図10は、フェムト秒レーザーパルスに干渉して時間遅延を確認するように構成されたスペクトル干渉計についての記載を描くテーブルである。
【0020】
【図11】図11は、図10のスペクトル干渉計の干渉パターン出力を周波数の関数としてプロットする。
【0021】
【図12】図12は、干渉パターンから空間周波数分離を確認するためのフーリエ変換の出力を線形スケール及び対数スケールの両方によりプロットする。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、クロック100についての一般的なシステムレベルの模式図を示す。図示のように、クロック100は、基準発振器110を含む。一実施形態では、基準発振器110は、任意の好適な構造又は構成を有する光学システムとすることができる。一実施形態では、基準発振器110は、原子システム120の構成により特徴付けられうる。原子システム120は、イオン又は格子をベースにしたものをこれに限定することなく含む任意の構成を有するものとすることができる。原子システム120がイオンをベースにしたものであるような一実施形態では、青色乃至紫外線(UV)レーザーが、単一のイオンと相互作用して、標準的な基準振動を提供及び検出することができる。図1に示したような他の実施形態では、原子システム120は、中性原子をベースにしたものである。原子システム120が中性原子をベースにしたものであるような一実施形態では、中性原子のトラップが可視レーザー及び/又は短波赤外線レーザーを利用することができる。この可視レーザー及び/又は短波赤外線レーザーは、磁気光学トラップ(MOT)を用いてレーザー冷却され、原子における遷移をプローブすることができる。様々な実施形態では、原子システム120は、クロック100の構成に従って、セシウム、カルシウム、マグネシウム、水銀、ルビジウム、アルミニウム、ストロンチウム、イッテルビウム等をこれらに限定せずに含む任意の好適な原子遷移を利用することができる。
【0023】
図示した実施形態に示すように、基準発振器110は、持続波レーザー130を含み、この持続波レーザーは、超低膨張キャビティ140によりキャビティ安定化(cavity stabilized)することが可能なものである。持続波(CW)レーザー130は、ファイバーレーザー、ダイオードレーザー、ガスレーザー、及び、ソリッドステートレーザーをこれらに限定することなく含む任意の好適な構造又は構成を有するものとすることができる。同様に、光学超低膨張(ULE)キャビティ140は、例えば、周波数安定CWレーザー130に対するULEガラスのブロックを含む、任意の好適な構造又は構成を有するものとすることができる。CWレーザー130は、検出器150により出力されたレーザー出力を検出することにより、及び、サーボ160を介したCWレーザーフィードバックを調整することにより、同調可能である。図示のように、CWレーザー130は、原子システム120に参照され、CWレーザー130は、さらに、サーボ170を介して原子システム120により調整可能なものである。
【0024】
CWレーザー130の安定性は、この後、光分割器180に転送されるものとすることができ、この光分割器180は、インターバルにおける基準発振器110の振動をカウントすることができる。図示のように、フェムト秒(fs)レーザー190が、フェムト秒周波数コム200を発生させるように構成され、このフェムト秒周波数コム200は、共通検出器210により基準発振器110にロックされている。共通検出器210は、サーボ220を介してフェムト秒レーザー190を調整することができる。また、図示のように、フェムト秒レーザー190は、さらに、f-2f自己参照手法230をフェムト秒周波数コム200に適用することにより調整可能であり、この手法では、さらなる調整がサーボ240により行われる。一実施形態では、f-2f自己参照手法230は、例えば、ビートノートをロックしてフェムト秒レーザー190をさらに安定化することを含む。
【0025】
局所的にクロック100では、光分割器180により調整されたフェムト秒レーザー190は、マイクロ波コンバータ250により検出されうる。マイクロ波コンバータ250は、この後、基準発振器110に基づいて時間の経過を正確に記録するために、時間インターバルカウンタにより用いられうる。図示のように、マイクロ波コンバータ250は、フェムト秒周波数コム200から多数のコムラインを混合してマイクロ波周波数コム270を発生させることが可能な検出器260を含むことができる。検出器260は、フェムト秒レーザー190により発せられたフェムト秒周波数コム200を検出することが可能な任意の好適な構造又は構成を有するものとすることができる。一実施形態では、マイクロ波周波数コム270の出力は、光学的なフェムト秒周波数コム200を発生させるフェムト秒レーザー190の基本繰返し率の倍数(整数)とすることができる。図示のように、一実施形態では、検出器260は、高速低ノイズ検出器である。幾つかの実施形態では、検出器260は、インジウムガリウムヒ化物(InGaAs)構成又はインジウムアンチモニ(InSb)構成を有するものとすることができる。
【0026】
マイクロ波コンバータ250は、時間インターバルカウンタ(図示しない)を含むことができ、この時間インターバルカウンタは、光分割器180を通過した振動をカウントすることができるものである。所定の数の振動が経過した後、タイマーが1秒だけインクリメントする。振動の数は、フェムト秒周波数コム200から分割したマイクロ波周波数コム270の周波数に依存するであろう。一実施形態では、時間インターバルカウンタは、上記マイクロ波コムから生じた複数の周波数のうちの1つの周波数が負電圧から正電圧に移動するときにゼロと交差することを利用することができる。一実施形態では、光分割器180の光学周波数が分割されて、時間インターバルカウンタにより必要とされる入力周波数が得られ、これにより、高分解能の時間インターバルカウンタを不要にすることができる。時間インターバルカウンタが時間をインクリメントすることは、任意の好適なメカニズム又はシステムにより表示されるようにしてもよい。例えば、現在の時間又は基準時間からの経過時間等を示すアナログクロック出力クロック又はディジタル出力クロックにより時間を表示することができる。かかる表示は、コンピュータにより読み取り可能な媒体を利用したものであってもよく、様々な実施形態では、無線、コンピュータネットワーク、又は、他の任意の一過性ではない記憶メカニズムを介して伝えられるようにしてもよい。幾つかの実施形態では、上記表示は、時間インターバルカウンタに与えられる基準信号の周波数を出力してもよい。
【0027】
クロック100がさらに示すように、光分割器180からのフェムト秒レーザーパルスのうちの幾つかを、後に詳述する分配システム290及び/又は同期システム300に伝えるために、ビームスプリッタ280を用いることができる。
【0028】
図2は、分配システム290を用いる分配ネットワーク310の一実施形態に係るシステムアーキテクチャを示す。一実施形態では、クロック100(図2においては、基準発振器110についてカルシウム標準を利用するものとして示されている)は、中央ハブとして設けることができるものであり、ここでは、光分割器180からのレーザーパルスの正確性が多くのクロックに同時に分配される。一実施形態では、分配システム290は、クロック100から複数のノード330(ノード330a-h)に延びる様々な分配ビーム320(分配ビーム320a-h)を形成するように構成された1又はそれ以上のビームスプリッタ又はマルチプレクサを含むことができる。分配ビーム320は、任意の好適なメカニズムによりノード330に伝達されうる。例えば、このビームの転送は、空きスペースにおいて、又は、ファイバー光ケーブル全体において生ずるものとすることができる。一実施形態では、複数のノード330の各々は、フェムト秒レーザーパルスの安定したフェムト秒周波数コム200を検出してマイクロ波周波数コム270に分割することを可能にするマイクロ波コンバータ250を含むことができる。各ノード330は、付加的に、自己専用の時間インターバルカウンタ及び時間出力(すなわち、ディスプレイ、電子タイミング信号等)を有することができ、これにより、基準発振器110からの正確性が分配ネットワーク310全体に適切に分配されるようになっている。一実施形態では、コンバータ250から生ずるマイクロ波周波数が同軸ケーブル又は空きスペースにより転送されうる場合には、1又はそれ以上のノード330に分配される正確性周波数(precision frequency)は、フェムト秒周波数コム200からではなく、マイクロ波周波数コム270からのものとすることができる。一実施形態では、分配ネットワーク310は、分配ビーム320に存在しうるもののような、基準発振器110とノード330との間における遅延オフセットを考慮するように構成されてもよい。一実施形態では、各ノード330は、クロック100と略同一の断片的な周波数不安定性(fractional frequency instabilities)を有してもよい。一実施形態では、各ノード330は、ローカルなタイミングシーケンスのために、マイクロ波又は無線周波数(RF)に分割してもよい。
【0029】
複数のノード330のうちの幾つか、例えば、図2におけるノード330hは、さらに、複数のビームスプリッタ又はマルチプレクサを含むことによって、さらなる分配ビーム340からさらなるノード350にフェムト秒ビームをサブ分割して分配することができる。図示した実施形態では、さらなる分配ビーム340a-cが、ノード330hから延びて、基準発振器110の正確性をさらなるノード350a-cに分配することができる。幾つかの実施形態では、1又はそれ以上のノード330から1又はそれ以上のさらなるノード350へのさらなる分配が、ノード330における関連するマイクロ波コンバータ250から生ずるものとすることができ、これによって、付加的なビーム340を介して分配される正確性が、複数のノード330の関連するマイクロ波周波数コム270から生ずるものとすることができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、基準発振器110からの出力であって光学ULEキャビティ140により安定化されたレーザーは、分配ネットワーク310全体に伝送されるものとすることができ、これによって、1又はそれ以上のノード330及び/又はさらなる複数のノード350が、自己専用の光分割器180であって、複数の遠隔ノード330又はさらなるノード350において基準発振器110の安定性を分割する光分割器180を有するようになっている。分配システム290の1つの実施形態が図3に示されている。この実施形態では、分配システム290が、転送レーザー360を利用するように構成されたものであり、この転送レーザーは、一実施形態では、CWレーザー130に類似した持続波レーザーとしてもよいし、また、基準発振器110の持続波レーザーに類似したキャビティ安定化されるものであってもよい。一実施形態では、光学ULEキャビティ370により安定化される転送レーザー360は、基準発振器110に関連付けられたフェムト秒周波数コム200の複数の光学ラインのうちの1つの光学ラインにロックされた周波数基準ビームを発生させるように構成されうる。図示のように、マルチプレクサ380は、splits分配ビーム385(すなわち、図示した実施形態における分配ビーム385a-d)にわたって転送するためのレーザービームを、複数の関連付けられたフェムト秒周波数コム390a-dに分割する。ここで、各遠隔フェムト秒周波数コム390は、別々の遠隔ノードに関連付けられている。4つの遠隔フェムト秒周波数コム390a-dが示されているが、マルチプレクサ380は、N個のノードであって各々が自己専用の遠隔フェムト秒周波数コム390を有するN個のノードにビームを分配することができる。様々な実施形態では、分配ビーム385は、大気中を通して、ファイバー光ケーブルにより、又は、他の任意の伝送メカニズムにより、ビームを伝送することができる。一実施形態では、転送レーザー360により発せられた分配ビーム385は、図1における基準発振器110からのビームとして動作することができる。例えば、一実施形態では、各遠隔ノード330又はさらなるノード350は、遠隔光分割器及び/又は遠隔マイクロ波コンバータを含むことができ、これらは、幾つかの実施形態では、クロック100の光分割器180及びマイクロ波コンバータ250に類似したものとすることができる。このような実施形態では、各遠隔フェムト秒周波数コム390は、光分割器180のフェムト秒周波数コム200に類似したものとすることができ、基準発振器110からのビームによってではなく、転送レーザー360からのビームによって安定化されるものとすることができる。
【0031】
一実施形態では、マルチプレクサ380により分配されたレーザービームは、各遠隔フェムト秒周波数コム390をロックするために用いることができ、これにより、コムの間隔は、1次基準(すなわち、フェムト秒周波数コム200)と同一の間隔を有するようになっている。一実施形態では、マイクロ波信号が、遠隔フェムト秒周波数コム390及び転送レーザー360を介して伝送されたフェムト秒周波数コム200のコムライン間におけるビートノート(beat note)において発生させられる。各遠隔フェムト秒周波数コム390が一旦フェムト秒周波数コム200と同一の間隔を有すると、分配ネットワーク310におけるすべてのクロックが同一の周波数を共有し、関連付けられた時間インターバルカウンタが、その周波数において見られる振動をカウントすることができ、したがって、分配ネットワーク310の複数のリンクにわたる各遠隔位置において、フェムト秒周波数コム200のための周波数を確立するカルシウム磁気光学トラップ(MOT)といったような別々の基準発振器110が不要となる。一実施形態では、200に含まれる1つの異なるコムラインにロックされた1つの異なる周波数に別の転送レーザー360を付加することによって、さらなるビーム385を供給することができる。
【0032】
マルチプレクサ380の一実施形態の一例が図4に示されている。図示のように、キャビティ安定化されたレーザー(例えば転送レーザー360)からのビームが、アレイ状のビームスプリッタ381に導かれている。このビームは、最初、ビームスプリッタ381aに影響を与えることが可能であり、この後、ビームスプリッタ381b及び381cに向けられる。これら2つのビームスプリッタの各々は、さらに、ビームを、図示のように、分配ビーム385(具体的には、図示した実施形態では、分配ビーム385a-d)として光学基準ポートに向かって分割する。さらなる遠隔フェムト秒周波数コム390を用いる場合には、さらなるビームスプリッタ381がマルチプレクサ380の中に存在しうる。これに代えて、1又はそれ以上のさらなるマルチプレクサ380が、配置され、複数の分配ビーム385のうちの1又はそれ以上の分配ビーム385に関連付けられるものとしてもよい。一実施形態では、別の転送レーザー360が、設けられ、1つの異なるコムラインにロックされるようにしてもよい。
【0033】
図5は、一実施形態においてマルチプレクサ380から生じた分配されたビームの各々がどのようにノイズ低減システム395によりノイズ低減又はノイズ除去を受けるかを示す。ノイズ低減システム395によるノイズ低減は、マルチプレクサ380から分配された分配ビーム385といったような各ビームパスに適用されるものとすることができる。図示した実施形態において、ノイズ除去がマルチプレクサ380内において分配ビーム385の各パスについて適用された後、ビームが光学基準(図示せず)から分配されるようにしてもよい。一旦、フェムト秒周波数コム200(すなわち光学基準)にロックされた転送レーザー360からのビームは、マルチプレクサ380を通過するとビームスプリッタ400に遭遇し、このビームスプリッタ400が、さらに、ミラー410、音響光学変調器420及び検出器430にビームを分割する。ビームが検出器430により分析されるときには、位相ロックループ440が、音響光学変調器420における位相シフトを調整することによって、ビームが遠隔フェムト秒周波数コム390に向かって導かれたビーム385を含む分配媒体を通過するときに、そのビームをさらに安定化させる。
【0034】
分配ネットワーク310は、基準発振器110から安定性を得るので、分配ビーム385は、遠隔フェムト秒周波数コム390に対する基準となる。さらに、マイクロ波コンバータ250は、遠隔フェムト秒周波数コム390に関連付けられて、遠隔マイクロ波信号を発生させる。このような光学的に発生させられたマイクロ波信号の安定性は、現在のセシウム標準の安定性よりも著しく良好な光学基準(すなわち、基準発振器110)の安定性と同一の安定性を有することができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、分配ネットワークのアーキテクチャは、基準発振器110から約数100kmまで離れたところにある遠隔ノードに対するタイミング信号の伝送を可能にするのに十分なものでありうる。このような実施形態では、基準発振器110と複数の遠隔ノード/コム(すなわち、330,350,390)との間における分離は、伝播媒体(すなわち、ファイバー又は空きスペース)とは関係なく、遠隔コム390からノイズ低減システム395までの往復時間にわたって定常なビームにおける位相歪みを維持するために、図5に描かれたノイズ低減技術の能力によって制限されるかもしれない。
【0036】
上述したように、幾つかの実施形態では、分配ネットワーク310の分離は数100km離れたものとすることができるが、 他の実施形態では、分配は、一般的に局所的なスケールにおいて動作してもよい。例えば、図6に示されているように、クロック100は多数のローカルなサブシステムを含むローカルなシステム450の一部である。図6において、クロック100は、少なくとも、基準発振器110及びフェムト秒レーザー190を含み、さらに、ローカルなシステム450を介してクロックの安定性及び正確性を分配するように構成される。ローカルなシステム450は、陸、海、空若しくは宇宙をベースにした軍事的プラットフォーム又は他の商業的ネットワーク若しくは電気通信システムをこれらに限定せずに含む、他の任意の構造又は構成を有するものとすることができる。幾つかの実施形態では、局所的システム450は単一の自動車であってもよいし、他の実施形態では、局所的システム450は、同期式かつ位相コヒーレント(phase coherent)なものであって、別体のローカルなサブシステムの位相及び周波数割り当てについての間欠的又は連続的な更新のために光学的に接続可能な複数の自動車又はシステムを含むものであってもよい。図示した実施形態では、ローカルなシステム450は、データプロセッサ460と、ナビゲーションシステム470と、武器システム480と、を含む。また、電気光学/赤外線(EO/IR)システム490、受動RFシステム500、レーダーシステム510及び通信システム520も図面に示されている。このような遠隔構成要素は、どのような目的についても、基準発振器110からの超安定的な信号を利用することができる。1つの実施形態として、ナビゲーションシステム470は、全地球測位システムに同調したクロック振動を利用して、コースを定める目的として、局所的システム450の位置又はこの局所的システム450の構成要素の位置を正確に決定することができる。
【0037】
幾つかの実施形態では、クロック100は、マイクロ波コンバータ250により光からマイクロ波への変換を行うことができ、また、このマイクロ波信号をローカルなシステム450における各サブシステムに分配することができる。他の実施形態では、クロック100は、フェムト秒周波数コムを光学的に分配し、ローカルなマイクロ波コンバータ250を有する各サブシステムにおいてマイクロ波への変換を行わせるようにしてもよい。幾つかの実施形態では、複数の分配を実行してもよく、これにより、幾つかのサブシステム(すなわちレーダーシステム510)がマイクロ波信号を受信する一方、他のサブシステム(すなわちEO/IR システム490)がEOシステムレーザーに愛する光学的なリンクを利用することができる。ローカルなシステム450におけるクロック100に結合された複数のサブシステムの各々は、光をベースにした(すなわち遠隔フェムト秒周波数コム390)又はマイクロ波をベースにした信号を受信可能な別々の遠隔コムを利用することができる。幾つかの実施形態では、ローカルなシステム450の各サブシステムは、上述したような、自己専用のノイズ低減システム395を含むことができる。
【0038】
幾つかの実施形態では、例えば、複数の遠隔ノードが、分配システム290全体にわたる接続が利用できないほど十分に離れたものであるときに、各々が自己専用のクロック100(基準発振器110を備えた)を有する複数の別々の遠隔ノードを利用することができ、これにより別々の分配ネットワーク310を形成することができる。図7に示されているのは、分配ネットワーク310A及び分配ネットワーク310Bであり、各分配ネットワークは、自己専用のクロック100(すなわち、マスタークロック100A及びスレーブクロック100B, このマスター/スレーブ構成については、後に詳述する。) を有する。複数のクロック100の正確な振動が、これらのクロック100に関連付けられた基準発振器110から複数の遠隔ノード330に分配される。図示した実施形態では、分配ネットワーク310Aに対する複数の遠隔ノードは、遠隔ノード330Aa-330Ahと称される一方、分配ネットワーク310Bに対する複数の遠隔ノードは、遠隔ノード330Ba-330Bhと称される。分配ネットワーク310Aの遠隔ノードと分配ネットワーク310Bの遠隔ノードとの間において一致した時間を確保するためには、マスタークロック100Aとスレーブクロック100Bとを同期させることが望ましいであろう。図7に示すように、複数のクロック100がそれらに関連付けられた同期システム300の間において接続されうる。マスタークロック100Aに関連付けられた同期システム300A及びスレーブクロック100Bに関連付けられた同期システム300Bは、後に詳述するように、任意の適当な距離をおいて配置することができる。
【0039】
図8は、伝播媒体530を介して同期システム300Aと同期システム300Bとを接続する模式図を示す。幅広く描かれているように、各クロック100は、送信器540及び時間インターバルカウンタ550に接続されている。時間インターバルカウンタ550は、また、受信器560に接続されており、一実施形態では、受信器560及びクロック100からマイクロ波信号を受信して、時間のインクリメントをカウントする。送信器540A/B及び受信器560A/Bの両方は、これらに関連付けられた570A/Bに結合されうる。570A/Bは、ビームスプリッタ又は他の光学要素を含んで、伝播媒体530を介してビームの送受信を実現することができる。一実施形態では、伝播媒体530間の接続は、大気、スペース、ファイバー光ケーブル等のうちの1又はそれ以上を介した光学ビームによるものとすることができる。マスタークロック100A及びスレーブクロック100Bからの出力、又は、時間インターバルカウンタ550A及び時間インターバルカウンタ550Bからの出力は、後に詳述するように、マスタークロック100A及びスレーブクロック100Bに関する情報を互いに提供することが可能なデータケーブル又は任意の他のデータ転送メカニズムにより接続可能なものである。
【0040】
マスタークロック100Aとスレーブクロック100Bとを同期させるために、スレーブクロック100Bがマスタークロック100Aと一致するように時間を調整されるべきであるということを最初に理解されたい。同期の正確性は、伝播媒体530を介した同期システム300Aと同期システム300Bとの間における転送信号の周波数帯域幅に依存しうる。幾つかの実施形態では、どのクロックがマスターであってどのクロックがスレーブであるかという指定は変化しうるものであるので、割り当てられた指定を示す信号は、クロック間において伝送されうる。一実施形態では、伝播媒体530を介する転送信号は、後に詳述するように、分光学的に識別可能な超短波の光パルス又は光に近い(near-optical)パルスである。一実施形態では、ミキサー570は、各々の受信器560に光パルス(すなわち超短波光パルス)を搬送するために光学要素及びビームスプリッタを含むことができ、これによって、各時間インターバルカウンタ550は、局所的パルスLの時間と遠隔パルスRが遠隔送信器から受信された時間との間における時間差を測定することができる。幾つかの実施形態では、遠隔光パルスは、受信器560により検出されるものとすることができる。他の実施形態では、遠隔光パルス及び局所的光パルスは、(図示しない)コントローラにおいてデータに変換されるものとすることができ、スレーブクロック100Bについてマスタークロック100Aにより確立された調整オフセットのデータは、これによりスレーブクロック100Bを調整するために、他の手段により通信されるであろう。
【0041】
一実施形態では、スレーブクロック100Bの時間調整は、パルスについての到着時間及び/又は伝達時間を測定することに基づくことが可能なものであり、これにより、一旦、マスタークロック100A及びスレーブクロック100Bのクロックが同期すれば、マスタークロック100Aとスレーブクロック100Bとの間において同期の正確性及び距離測定学の実行を実現可能である。かかるクロック同期を実行するために、同一の時間であると信じられる時に、超短波光パルスがマスタークロック100A及びスレーブクロック100Bから送信されるものとすることができる。伝播媒体530を介した超短波光パルスの伝送の前に、クロック100A及び100Bは、例えば、マスタークロック100Aからスレーブクロック100Bに対して「現在」時間をデータ転送することによって、大まかに同期させるものとすることができ、これによって、スレーブ時間インターバルカウンタ550Bが調整されるようになっている。
【0042】
図9には、受信器560のうちの1つの一実施形態の一部分が模式的に示されている。図示のように、受信器560は、遠隔クロック100からの遠隔パルスRを安定化させるように構成された安定化ミラー580を含むことができる。安定化ミラー580は、遠隔パルスRが通過した距離に関連付けられた任意の数の問題であって、例えば、大気中におけるシンチレーションに起因する空間ジッター、マスタークロック100A及び/又はスレーブクロック100Bのプラットフォームにおける振動、又は、遠隔パルスRの配向及び安定性に影響を与える任意の他の動きを含む問題、を訂正するように構成されるものとすることができる。図示した実施形態では、安定化ミラー580は、遠隔パルスRが局所的パルスLとともに空間的に配向可能となるように、回動自在であるように描かれている。図1に示した実施形態では、局所的パルスLは、局所的クロック100についてのビームスプリッタ280によりフェムト秒レーザー190から分割されたビームとすることができる。同様に、遠隔パルスRは、遠隔クロック100についての関連付けられたビームスプリッタ280により、関連付けられたフェムト秒レーザー190から分割されたビームとすることができる。受信器560は、第1のビームスプリッタ590及び第2のビームスプリッタ600を含むように示されている。遠隔パルスRは、安定化ミラー580に反射し、第1のビームスプリッタ590に衝突して、配向アレイ610に向かって或る角度だけ逸れるとともに、レンズ620に向かって進むように示されている。局所的パルスLは、第2のビームスプリッタ600を横切り、第1のビームスプリッタ590に向かって或る角度だけ逸れるとともに、第2のビームスプリッタ600を通過して後に詳述する遅延ミラー630に向かって進む。反射して第1のビームスプリッタ590に向かった局所的パルスLの部分は、或る角度で反射して平らなミラー640に向かい、これがこの後第1のビームスプリッタ590を通過して、配向アレイ610にイメージされる。遅延ミラー630に反射した局所的パルスLの部分は、この後、或る角度で第2のビームスプリッタ600に反射してレンズ620に向かう。
【0043】
配向アレイ610において遠隔パルスR及び局所的パルスLを受信することによって、これらのパルスの粗い配向が可能となる。安定化ミラー580は、ローカルなパルスLに遠隔パルスRを空間的に並べるように、回動自在なものとすることができる。例えば、安定化ミラー580は、遠隔パルスRの角度をローカルなパルスLの角度に合わせることができる。同様に、他の光学要素を遠隔パルスR及びローカルなパルスLの経路に存在させて、粗いパルス配向を実現することもできる。配向アレイ610が、安定化ミラー580を調整するように構成された安定化コントローラに接続されるようにして、ローカルなパルスL及び遠隔パルスRを空間的に配向することができる。一実施形態では、この安定化コントローラは、同期システム300に関連付けられた、プロセッサ、コンピュータ又は他の電子装置の一部であるものとすることができる。図示した実施形態では、遅延ミラー630は、配向アレイ610に向かうように導かれたパルスのいずれかではなく、レンズ620に向かうように導かれたローカルなパルスLの部分の位相を調整するように構成されているが、幾つかの実施形態では、これらのパルスのうちのいずれかのパルスの少なくとも一部分が、配向アレイ610に反射する前に、遅延ミラー630又は別の遅延ミラーに衝突するように構成されることにより、配向アレイ610において遠隔パルスRとローカルなパルスLとの間における干渉パターンに縞(fringes)を形成するようにしてもよい。このような実施形態では、配向アレイ610及び遅延ミラー630に関連付けられたプロセッサ又はコントローラが、パルスのより粗い位相調整のために用いられうる。幾つかの実施形態では、ローカルなパルスL及び遠隔パルスRが、粗い配向についてのイメージに利用されうる。配向アレイ610においてなされる測定、及び、安定化ミラー580、遅延ミラー630及び/又は他の光学要素によってなされる調整を介して、ローカルなパルスL及び遠隔パルスRの周波数が調整されるので、位相差を確認することができる。
【0044】
図示した実施形態では、レンズ620により導かれたローカルなパルスL及び遠隔パルスRの量が、パルスの精細な配向のために構成可能な干渉計650に導かれる。粗い調整及び精細な調整という概念は相対的なものであるが、一実施形態では、粗い配向が受信器560の外側で行われ、精細な配向が配向アレイ610において実行され、高精細な配向が干渉計650を用いて実行されるものとすることができる。干渉計650は、(スペクトル干渉計やファブリーペロ干渉計等といったような)フィールド干渉計又は線形干渉計をこれらに限定せずに含む任意の好適な構造又は構成を有するものとすることができる。幾つかの実施形態では、干渉計650は、周波数分解光ゲート法(FROG)を利用するものといったような非線形干渉計であってもよい。図示した実施形態では、干渉計650は、3つのミラーの「反射性トリプレット(reflective triplet)」デザイン形式を用いて構成されており、この形式は、干渉計650により形成されるイメージ面におけるスペクトル分解能を高めることができる。
【0045】
図示した実施形態では、レンズ620は、複数のパルスを干渉計650のピンホール660の上にフォーカス(集中)させ、このピンホール660は、イメージ面670に配置されている。これらのパルスは、ピンホール660から発散して1次ミラー680に向かう。パルスは、1次ミラー680に衝突した後、2次ミラー690に反射し、この後、3次ミラー700に至る。パルスは、3次ミラー700に反射したとき、分散要素710に衝突する。図示した実施形態では、分散要素710は、3次ミラー700に向かって戻す方向に導くスペクトルにパルスを分散させるように構成された回折格子である。他の類似した実施形態においては、分散要素710は、プリズムであってもよい(背面反射のためのミラー側又は最小偏差構成に配置されたミラーに結合されたものであってもよい)。分散したスペクトルは、3次ミラー700、2次ミラー690及び1次ミラー680によって反射させられ戻されたとき、干渉計のイメージャ720に到達する。このイメージャ720は、図示した実施形態では、ピンホール660から間隔をおいたイメージ面670の上に配置されている。一実施形態では、図示のように、干渉計イメージャ720は、遅延ミラー630に関連付けられたプロセッサに読み取られることができ、これによって、位相ローカルなパルスLが同調されて、干渉計イメージャ720に形成される縞が強められる。上述のように、プロセッサは、同期システム300に関連付けられた任意のプロセッサ、コンピュータ又は電子装置であるものとすることができ、また、幾つかの実施形態では、プロセッサは、安定化ミラー580を調整するように構成された安定化コントローラに関連付けられるか、又は、この安定化コントローラを含むものとすることができる。干渉計650の1つの非限定的な実施形態に対する記載が図10に与えられている。干渉計イメージャ720は、線形焦点面アレイ、電荷結合デバイス又は相補型金属酸化物半導体(CMOS)をこれらに限定せずに含む任意の構造又は構成を有するものとすることができる。
【0046】
干渉計650の出力を分析することによって、遠隔パルスRとローカルなパルスLとの間における時間差を確認することができる。このような計算は、ローカルなパルスL及び遠隔パルスRのスペクトル特性の知識を用いて、遠隔パルスRとローカルなパルスLとの間における時間遅延t0を解くものである。一実施形態では、パルスは、次の式により特徴付けられる。
【数1】

ここで、tは、パルスの幅(例えば、フェムト秒レーザー190からの35 fsec FWHM)であり、f0 = c/λ(例えば、フェムト秒レーザー190からのλ=840 nm)である。次に、ローカルなパルスLのスペクトルが次の式により特徴付けられる。
【数2】

ここで、コサイン項から正の周波数のみが取り出される。BWは、次の式により定義することが可能である。
【数3】


次に、遠隔パルスRのスペクトルが次の式により定義される。
【数4】

ここで、定数bは、ローカルなパルスLと遠隔パルスRとの間における振幅の差を示すために含まれている。繰り返すが、t0は、遠隔パルスRが遅延ミラー630に関連付けられた余分な距離を進むときの時間遅延である。
【0047】
遠隔パルスR及びローカルなパルスLに干渉するとき、干渉Wが次の式により特徴付けられる。
【数5】

パルスのスペクトル特性、例えば、パルスの周波数及びパルスの振幅は、既知であるので、遠隔パルスRとローカルなパルスLとの間の未知の位相成分に対応する、パルス間の時間遅延t0を解くことができる。干渉計650の出力(干渉計イメージャ720により受信されたデータといったような)に対する処理は、任意のメカニズムにより達成可能なものであり、例えば、一実施形態では、そのデータは、受信器560、クロック100又は時間インターバルカウンタ550に関連付けられたコントローラにより、又は、これらのうちの少なくとも1つの部分により、自動的に処理可能なものである。このコントローラは、補償可能な任意の既知のノイズ又はエラーにも対処可能なものである。プラットフォーム同期システム300A及び/又は同期システム300Bについての移動するプラットフォームに起因するドップラーシフトもまた、評価されており、このような影響は無視できるものであると考えられている。1つの評価は、移動するプラットフォームであって、静止したプラットフォーム及びもう1つの移動するプラットフォームのうちのいずれかと同期する、移動するプラットフォームを考慮してきた。一実施形態では、7km/secという2つのプラットフォーム間の相対速度が、.01%という変化を発生させる。7km/s未満の速度は、さらに小さな変化を発生させるであろう。このように、軌道速度までの速度で移動するプラットフォームは、測定において著しいエラーを一般的には発生させないであろう。しかしながら、上記の及びこれ以外のノイズ源及び遅延源、例えば、計算時間といったようなものが、コントローラによって考慮されるようにしてもよい。
【0048】
干渉計650がスペクトル干渉計である場合には、干渉計イメージャ720の出力は、干渉されたパルスの波長にわたる照射量(irradiance)としてプロットされるが、受信されたデータは、周波数領域に容易に変換される。この出力の一例が図11に描かれている。図11は、約330~390THzというパルス周波数にわたる照射量を描く。フーリエ変換を用いて出力が処理され、パルスの変調周波数が測定される。図12に示すように、パルス方程式におけるコサイン項が正及び負のローブ(lobes)を生成し、これらの位置は、時間遅延t0に対応している。図示した例から分かるように、パルス間の遅延t0は約1.6ピコ秒として計算される。一実施形態では、システムは、この干渉計のスペクトル幅により制限されたパルス幅の分数まで小さくなった精度を有する。幾つかの実施形態では、これに加えて、又は、これに代えて、ヒルベルト変換又はローレンツ変換をこれらに限定せずに含む他の変換が、数学的分析において用いられるものとすることができる。ローブのさらなる分析を実行して、例えば、波形関数の実部及び虚部を比較することにより、パルスの位相差をより正確に決定することができるが、ローブのピークを決定することは、時間遅延t0を確認するのに十分である。
【0049】
一実施形態では、2つのクロックを同期させることができる精度、分解能又はエラーでありうる、時間遅延t0(すなわち、システムにより測定される最短時間)を利用して、遠隔パルスR(ローカルなパルスL)と一致させるためにローカルなパルスL(又は遠隔パルスR)進めなくてはならない又は遅らせなければならない量を決定することができる。一実施形態では、進める又は遅らせる量は、精度/分解能値であるt0より著しく大きいものとすることができる。遠隔パルスRを供給する遠隔クロック100がマスタークロック100Aであるような一実施形態では、スレーブクロック100BからのローカルなパルスLは、進められるか又は遅らせられ(又は、オフセットの量がスレーブ時間インターバルカウンタ550Bにより補償され)、これにより、スレーブクロック100Bがマスタークロック100Aと一致するよう時間調整される。ローカルなクロックがマスタークロック100Aであるような別の実施形態では、全時間オフセット測定が遠隔スレーブクロック100Bに通信され、これにより、遠隔クロックは、局所マスタークロック100Aと一致するように進められるか又は遅らせられる。
【0050】
2方向時間転送といったような幾つかの場面では、時間オフセットが、マスタークロック100A及びスレーブクロック100Bの両方において計算され、この後、正確なクロック同期のために、各クロックにより互いに相手に対して送信されるものとすることができる。図8に示されているように、ここでは、マスタークロック100A及びスレーブクロック100Bが伝播媒体530を介して接続されており、マスタークロック100Aからスレーブクロック100Bに向かう方向における伝播遅延時間がDABとして示される一方、スレーブクロック100Bからマスタークロック100Aに向かう方向における伝播遅延時間がDBAとして示される。マスタークロック信号伝送時間がTAである一方、スレーブクロック信号伝送時間がTBである。したがって、マスタークロック100Aにおける測定がTmeas(A)
= TA-TB+DABであり、これが、測定されてt0という精度/分解能となる。したがって、スレーブクロック100Bにおける測定はTmeas(B) = TB-TA+DBAである。スレーブクロック100Bをマスタークロック100Aに同期させるために、マスター/スレーブプロトコルに従って、Tmeas(A)及びTmeas(B)がマスタークロック100A及びスレーブクロック100Bのうちのいずれか又は両方に伝送されるであろう。スレーブクロック100Bをマスタークロック100Aに進めるための時間遅延は、次の式により計算することができる。
【数6】

したがって、伝播時間が方向に関係なく同一である(かつDAB=DBA)とすると、次の式により示される結果が得られる。
【数7】

これにより、スレーブクロック100Bは、マスタークロック100Aと一致するように進められる。
【0051】
一実施形態では、このような2方向時間転送方式の同期を実行するために、同一の時間であると考えられる時に、両方のクロックに既知となっているパルス繰返し周波数において動作する、各ローカルなフェムト秒レーザー(すなわち、フェムト秒レーザー190)からのパルスが、対応する遠隔クロックに伝送される。伝送時には、各ローカルな時間インターバルカウンタが伝送されたパルスと遠隔クロックからのパルスの到着との間における時間を測定し始める。一旦、遠隔パルスが到達すると、時間インターバルカウンタが粗い時間インターバルを測定しているので、システムは、遠隔クロックからの次のパルスがいつ到着するかを知る。この情報によって、同期システム300は、予測された遠隔パルスの到着に関してローカルなパルスを遅らせるか又は進めるかどうかを決定して、スペクトル干渉計650を用いて干渉縞を測定し始める。一実施形態では、この精細な調整は、パルスが進む距離を増加又は減少させる(各ミリメートルが約3.33ピコ秒という時間における変化に等しくなる)ように物理的に移動可能な(機械的に可動なミラーをこれに限定されることなく具備するような)可変遅延ラインを用いて実現可能である。この機械的な調整の全遅延は、フェムト秒レーザーのパルス繰返し周波数の逆数に等価なものとすることができ、ミリメートル未満の分解能を有するものとすることができる。一旦、干渉縞が検出されると、ローカルな同期システム300は、さらなる調整を用いて、干渉パターンを最適化し、より精細な時間の測定値を行うことができる。一実施形態では、時間インターバルカウンタは、粗い時間測定を行うことができ、移動する可変遅延ミラー630の効果によって精細な時間測定を行うことができ、干渉縞の計算によって正確な時間測定を行うことができる。一実施形態では、全オフセット時間は、3つすべての組み合わせを含むものとすることができる。一実施形態では、可変遅延ラインの移動を測定すること、及び/又は、上述した様々な計算を実行することは、同期システム300に関連付けられた任意のプロセッサ、コンピュータ又は電子装置により測定可能なものである。
【0052】
上述した計算の一例として、マスタークロック100Aに関連付けられた時間インターバルカウンタが、100万のインターバル(ここで、各インターバルは100 ピコ秒に等しい、すなわち、100万ピコ秒にわたって100マイクロ秒)を測定する。また、可変遅延が212.1mm(706.99ピコ秒すなわち706,990フェムト秒に相当する)だけ進むことを必要とし、縞の測定が37フェムト秒という分離を決定し、次に、測定された遅延がマスタークロック100Aにおいて100.000707027マイクロ秒である、と決定される。スレーブクロック100Bは、このスレーブクロックがパルスを送信した時と受信した時との間における差が100.032550123マイクロ秒であると測定したときには、クロック間の測定差は、.031843096マイクロ秒すなわち31.843096ナノ秒である。上述した2方向転送方式を用いて、2つのクロックのオフセットは、この値の2分の1であると決定されうる。したがって、スレーブクロック100Bは、15.921548ナノ秒進められて、マスタークロック100Aと同期する。
【0053】
上述した結果は、ノイズを考慮していない。転送システム、並びに、マスタークロック100A及びスレーブクロック100Bにおける基準発振器110におけるノイズ、並びに、信号の周波数が、同期を達成するための積分時間を決定するが、方法論は同一のままである。マスタークロック100Aに対するスレーブクロック100Bの同期は、一旦達成及び考慮されると、上述したように、基準発振器110の安定性により定められる時間期間についての与えられた精度に維持されうる。
【0054】
フェムト秒のパルスの転送を利用する、本明細書において開示された同期技術は、任意の数のプラットフォームに統合することが可能なものである。例えば、マスタークロック100A及びスレーブクロック100Bは、指定されたマスター/クロック構成を有する一対の衛星に配置することが可能なものである。マスタークロック100Aとスレーブクロック100Bとの間における距離が各クロックにおけるフェムト秒レーザー190からの安定性の正確な転送に対する距離を上回ることがあるが、パルスの干渉パターンは、依然として、干渉計により測定可能なものであり、マスタークロック100Aとスレーブクロック100Bとの間における時間遅延を計算するのに利用可能なものである。各衛星における時間差の測定を用いて、両方のクロック間における時間オフセットを計算することができ、一旦、両方のクロックが同期させられると、後に続くパルスを交換することによって、両方の衛星間の範囲を決定することができる。一実施形態では、この決定では、光速のパルス幅倍という精度が得られる。例えば、100フェムト秒のパルスを用いることによって、両方の衛星間におけるサイト距離のラインが、30ミクロン内で確認することができる。これにより、スレーブ衛星は、そのクロックをマスターのクロックに調整して、光パルス幅の分数である測定システムのエラー内にまでオフセットを低減することができる。
【0055】
特定の実施形態を示して説明してきたが、添付した特許請求の範囲に表現された本発明の概念の精神及び範囲内にある変形及び変更が可能であるということが明らかである。本明細書において開示された様々な実施形態は、本発明の概念の原理を示すためだけに提供されたものであって、いかなる場合にも限定するものとして考慮されるべきものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカルクロックと遠隔クロックとを同期させるシステムであって、
前記ローカルクロックに関連付けられ、該ローカルクロックに既知である、パルス繰返し周波数と遠隔パルス幅を含むスペクトル特性とを有する遠隔パルスシーケンスを前記遠隔クロックから受信するように構成された、受信器と、
前記ローカルクロックにおいてローカルパルス幅を有するローカルパルスシーケンスを生成するように構成されたローカルパルス発生器と、
前記ローカルパルスシーケンス及び前記遠隔パルスシーケンスを空間的に配向するように構成された光学要素と、
空間的に配向された前記ローカルパルスシーケンスと遠隔パルスシーケンスとの間に干渉パターンを生成するように構成された干渉計と、
前記干渉パターンを解釈して第1のクロックと第2のクロックとの間における時間オフセットを計算し、かつ、該時間オフセットを前記第1のクロック及び前記第2のクロックのうちのスレーブクロックに適用して、該スレーブクロックを前記第1のクロック及び前記第2のクロックのうちのマスタークロックに一致するように同期させる、ように構成されたプロセッサと、
を具備し、
前記時間オフセットの時間的な分解能が、前記ローカルパルス幅及び前記遠隔パルス幅の分数である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ローカルパルスシーケンスの繰返し周波数により振動をカウントするように構成された時間インターバルカウンタをさらに具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記干渉計が、1次ミラー、2次ミラー及び3次ミラーを反射性トリプレット構成により含む、スペクトル干渉計である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記スペクトル干渉計が、さらに回折格子を含み、
前記反射性トリプレット構成が、2重通過構成により配向され、干渉スペクトルを検出器にフォーカスする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記光学要素に関連付けられ、前記ローカルパルスシーケンスの一部分及び前記遠隔パルスシーケンスの一部分を観測することにより、前記光学要素による前記ローカルパルスシーケンス及び前記遠隔パルスシーケンスの配向を決定するように構成された配向アレイをさらに具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記光学要素が、前記遠隔パルスシーケンスを前記ローカルパルスシーケンスに配向するよう前記遠隔パルスシーケンスを調整するように構成された安定化ミラーを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記光学要素が、さらに、前記遠隔パルスシーケンス及び前記ローカルパルスシーケンスをスペクトル的に配向するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラがフーリエ変換を用いて前記時間オフセットを計算するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
第1のクロックと第2のクロックとを同期させる方法であって、
前記第1のクロックにおいて、前記第2のクロックから、該第1のクロックに既知である、パルス繰返し周波数と遠隔パルス幅を含むスペクトル特性とを有する遠隔パルスシーケンスを受信するステップと、
前記第1のクロックにおいて、ローカルパルス幅を有するローカルパルスシーケンスを発生させるステップと、
前記ローカルパルスシーケンス及び前記遠隔パルスシーケンスを空間的に配向するステップと、
前記ローカルパルスシーケンスと前記遠隔パルスシーケンスとの間において発生した干渉パターンを測定するステップと、
前記ローカルパルスと前記遠隔パルスとの間における前記干渉パターンに基づいて前記第1のクロックと前記第2のクロックとの間における時間オフセットを計算するステップと、
前記第1のクロック及び前記第2のクロックのうちのスレーブクロックの時間を前記時間オフセットにより調節して、前記スレーブクロックを前記第1のクロック及び前記第2のクロックのうちのマスタークロックに同期させるステップと、
を含み、
前記時間オフセットの時間的な分解能が前記ローカルパルス幅及び前記遠隔パルス幅の分数である、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記干渉パターンを測定するステップが、スペクトル干渉計を用いてスペクトル干渉パターンを測定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ローカルパルスシーケンス及び前記遠隔パルスシーケンスを空間的に配向するステップが、前記遠隔パルス及び前記ローカルパルスをスペクトル的にかつ空間的に配向することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のクロックがマスターであり、前記第2のクロックがスレーブであり、これにより、前記第1のクロック及び前記第2のクロックのうちのスレーブクロックの時間を前記時間オフセットにより調節することが、
前記第1のクロックから前記第2のクロックに前記時間オフセットを送信するステップと、
前記時間オフセットにより前記第2のクロックの時間を調節するステップと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のクロックと前記第2のクロックとの間における時間オフセットを計算するステップが、前記干渉パターンのフーリエ分析を実行することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
時間オフセットを計算するステップが、さらに、時間インターバルカウンタ及び可変遅延ラインのうちの少なくとも一方によりなされた測定値に基づくものである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
基準発振器と、
該基準発振器により安定化されたローカルフェムト秒レーザーパルスシーケンスを発生させるように構成されたフェムト秒レーザーと、
前記ローカルフェムト秒レーザーパルスシーケンスの経路にあって、該ローカルフェムト秒レーザーパルスシーケンスの一部分を同期システムに導くように構成されたビームスプリッタと、
を具備するクロックであって、
前記同期システムが、前記ローカルフェムト秒レーザーパルスシーケンス及び遠隔クロックに関連付けられた遠隔フェムト秒レーザーパルスシーケンスを干渉計法による分析により、当該クロックを前記遠隔クロックに光学的に同期させるように構成され、
前記干渉計法による分析が、前記ローカルフェムト秒レーザーパルスシーケンスのローカルパルス幅及び前記遠隔フェムト秒レーザーパルスシーケンスの遠隔パルス幅の分数である時間的な分解能を用いて、当該クロックと前記遠隔クロックとの間における時間オフセットを計算するように構成される、
ことを特徴とするクロック。
【請求項16】
前記基準発振器が、セシウム、カルシウム、マグネシウム、水銀、ルビジウム、アルミニウム、ストロンチウム、又は、イッテルビウムの原子遷移により安定化された光学基準発振器である、請求項15に記載のクロック。
【請求項17】
前記時間オフセットが、時間インターバルカウンタ及び可変遅延ラインのうちの少なくとも一方によりなされた測定値を利用して計算される、請求項15に記載のクロック。
【請求項18】
前記同期システムが、
当該クロックに関連付けられ、前記遠隔クロックから、パルス繰返し周波数と前記遠隔パルス幅を含むスペクトル特性とを有する前記遠隔フェムト秒レーザーパルスシーケンスのうちの幾つかを受信するように構成された、受信器と、
前記ビームスプリッタからの前記フェムト秒レーザーパルスシーケンスの前記一部分及び前記受信器により受信された前記遠隔フェムト秒レーザーパルスシーケンスを空間的に配向するように構成された光学要素と、
前記フェムト秒レーザーと前記遠隔フェムト秒レーザーとの間に干渉パターンを生成するように構成された干渉計と、
前記干渉計法による分析を実行して前記時間オフセットを計算するように構成されたコントローラと、
を具備する請求項15に記載のクロック。
【請求項19】
前記コントローラが、さらに、時間インターバルカウンタ及び可変遅延ラインのうちの少なくとも一方によりなされた測定値を用いて前記時間オフセットを計算するように構成されている、請求項18に記載のクロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−129987(P2012−129987A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−252671(P2011−252671)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】