説明

遠隔健康監視システム

【課題】健康監視システムを提示する。
【解決手段】この健康監視システムは、患者側サブシステムと、医療提供者側サブシステムと、前記システム要素間の通信リンクを提供するためにデータベースと通信システムとを有するサーバステーションとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に遠隔健康監視システムに関し、またはより具体的には、自動遠隔健康監視、行動監視、および治療追跡のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
市場には、医療機関環境または家庭環境で使用できる、患者の健康状態、行動、または服薬を監視するための多数の遠隔健康監視システムがある。
【0003】
米国特許第7,624,028号では、医療提供者が患者の健康状態を監視および管理できる遠隔健康監視および保守システムならびに方法が記載されている。このシステムは、医療提供者によって操作される医療提供者用装置と、患者によって操作される、遠隔でプログラム可能な患者用装置とを含む。医療提供者は、医療提供者用装置を使用するスクリプトプログラムを開発し、次に、そのスクリプトプログラムを、ワールドワイドウェブなどの通信ネットワークによって遠隔でプログラム可能な患者装置に送信する。このスクリプトプログラムは、患者の健康状態に関する情報を患者に提供し、患者に質問をし、これらの質問に対する答えを受信することによって患者健康状態をインタラクティブに監視する、コンピュータが実行可能な患者プロトコルである。次に、健康に関連するこれらの質問に対する答えは、遠隔でプログラム可能な患者用装置から通信ネットワークを介して医療提供者用装置に患者データとして送られる。患者データは、遠隔でプログラム可能な患者用装置に接続された血糖モニタなどの生理学的監視デバイスによって供給される情報も含むことができる。患者データが医療提供者用装置に到着すると、患者データは、遠隔でプログラム可能な患者用装置に別のスクリプトプログラムを送るなどの、医療提供者による患者の健康状態のさらなる管理のために処理される。
【0004】
本特許は、医療提供者が患者の健康状態を監視することが可能になるシステムについて説明する。これらの状態は、患者側デバイスに接続された生理学的監視デバイスによって、または患者側デバイス自体によって、調査の形で収集される。医療提供者は、検査または治療法の詳細、パラメータ、および流れを変更することも可能となる。監視および治療法の詳細の変更は、通信ネットワークを介して患者用デバイスに自動的に委任(delegate)される。従来技術によるこのシステムによって、患者関連情報を収集することに関していくらかの柔軟性が許容されるが、複雑な患者監視および治療追跡プロファイルの初期セットアップおよびカスタマイゼーションならびにこれらのプロファイルに関するすべての変更も、医療提供者または管理者によって実行される広範なプログラム/構成ステップを必要とする。このプログラム/構成では特殊なスキルが必要とされ、同様に、かなり時間がかかることがある。
【0005】
米国特許出願第2005/0222873A1では、医療患者監視および構成システムの構成のためのシステム、方法、およびユーザインタフェースが開示されている。患者情報、医療提供者情報、およびヘルスケアグループ情報が保存されうる中央のデータベースでは、患者情報は医療提供者情報と関連付けられ、医療提供者情報はヘルスケアグループ情報と関連付けられる。保存されている情報がアクセスされると、患者情報がその関連する医療提供者情報と共に表示され、医療提供者情報がその関連するヘルスケアグループ情報と共に表示される。標準化されたユーザプロンプトを患者ごとにカスタマイズするためのシステム、方法、およびユーザインタフェースも開示されている。
【0006】
本特許出願は、精巧なユーザインタフェース機能を有するシステムを開示する。このシステムでは、患者記録がアクセスされると、非常に貴重な情報が表示される。しかし、アンケート、リマインダ、服薬、健康状態、バイタルサイン測定値、イベントの監視に関する大量の表示された低レベルの情報は、分かりにくいことがあり、実行中の治療プロセスおよび患者の現在の状況の迅速かつ正確な概要をつかむのが困難な場合がある。
【0007】
以下で次の段落に示すように、より複雑な家庭監視および治療プロファイルの作成、構成、およびパラメータ化は、従来技術によるシステムでは、極めて厄介である。上述した監視手順および低レベルの大量の考えられる監視および治療パラメータの低レベルの作成は、専門家を必要とし、時間のかかる作業である。
【0008】
「患者」という用語は、医療支援から遠い場所にいる監視対象者に使用される。患者は、自分の家またはマンションに居住してもよいし、介護付き住宅の入所者であってもよい。
【0009】
「監視プロファイル」という用語は、患者側で実行される1組の監視および治療プロセスとして使用され、あらかじめ規定された監視要素(テンプレート)から構成され、十分に構成され、カスタマイズされ、およびパラメータ化されることができる。監視プロファイルは、以下のタイプの多数の要素を含みうるので、非常に面倒な場合がある。
●測定仕様
測定仕様には、生理学的測定のすべての詳細が記載されている。測定仕様は、測定のスケジューリング、使用される測定デバイス、患者側デバイス(「家庭用ハブ(homehub)」とも呼ばれる)に表示する測定に関する指示を含み、場合によっては、測定中、測定前、または測定後に行わなければならない調査も含む。
●監視手順
監視手順には、行動属性測定手順のすべての詳細が記載されている。監視手順は、適用される測定デバイス、スケジューリング、およびアルゴリズムを含み、アルゴリズムは、センサデータに基づいて行動属性を計算する。
●シグナルプロセッサ
シグナルプロセッサは、生理学的データまたは行動データを処理して高次の派生データを生成することが可能である計算プログラムモジュールである。
●医療ルール
医療ルールは、問題解決または疑問解明を目的とした専門知識の知識ベースとして専門家システムに適用される、医療従事者の専門家ルールである。
●調査
調査は、定性的または定量的な情報を収集するために家庭用ハブで患者に表示できる、1組の質問紙に記載される。
●患者の作業
患者の作業は、家庭用ハブによって表示され、患者の技能(たとえば認知機能検査)の検査または治療(たとえば運動)の提供の目的で患者によって実行されなければならない、作業である。
【0010】
新規患者が健康監視提供者に登録すると、適用される新たな監視プロファイルが設定されなければならない。患者の状況が変化したとき、または治療を変更しなければならないとき、適用されている監視プロファイルを再検討し、訂正しなければならない。監視プロファイル管理の作業には、監視要素の作成、追跡があり、以下のような監視要素のパラメータ化も含まれる。
●スケジュールの詳細(たとえばスケジュールの期間、実行する日、時間、分、反復回数、休みの日)
●限界値(たとえば、生理学的値、行動属性の限界)
●遅延値、タイムアウト値(監視手順では、たとえば、許容される最長トイレ時間(これを超えると、警報を生成する)のような多数のタイムアウト値が使用される)
●シグナルプロセッサパラメータ(たとえば、転倒検出シグナルプロセッサで使用される加速度オフセット(acceleration offset)、または基準点から平均値検査を開始するまでの時間遅延のようなECGシグナルプロセッサの詳細な設定)
●質問、および調査の流れ(調査の場合、流れ(ある回答を得た後で次に何を質問するべきか)および質問そのものを定義することができる)
●連絡先情報(シグナルプロセッサ、調査、医療ルールは、監視イベント、監視警報を生成することが可能であり、これらは、医療従事者または介護者に転送されなければならない。連絡先情報には、これらの警報の詳細を記載する)
監視プロファイルの設定は、上記に列挙したタイプの多数の監視要素から監視プロファイルを作成し、これらの要素を、上記に列挙した考えられうるパラメータを用いてパラメータ化することも意味する。複数の監視要素の場合、設定は、非常に厄介であることがある。
【0011】
一方、実行中の監視プロファイルの再検討も面倒な場合がある。専門家は低レベルの監視要素のみを見る場合、高レベルの概要を有するために、低レベルの監視要素のすべてをまとめて頭に入れることは困難である。
【0012】
最後に、低レベルの測定データの表示、分析、および点検も、非常に面倒であり得る。たとえば、タイムスタンプ(たとえば動きイベントの時刻)およびゾーン識別子(たとえば動きの場所)を含めて、モーションセンサの低レベル出力の人間の概要は、毎日生成される大量の動きデータに関して、ほとんど不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願第2005/0222873A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術によるシステムおよび方法に欠点があるため、あらかじめ規定された階層型マルチレベル構造、いわゆるマルチレベル監視プロファイル(MMP)定義を使用することによって、
●監視プロファイル全体の作成およびカスタマイゼーション
●高レベルの概要、および監視プロファイルの変更
●高レベルのデータ提示
という形で、医療従事者を効果的に支援するシステムおよび方法を提供することが継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の例示的な実施形態では、健康監視システムが提唱され、このシステムは、患者側サブシステムと、医療提供者側サブシステムと、システム要素間の通信リンクを提供するためにデータベースと通信システムとを有するサーバステーションとを備え、
− 所定の形で互いに接続されたプロファイル要素からなる監視プロファイルであって、
患者関連データと、
監視関連データと、
評価プロセス要素とを含む、監視プロファイルを含む。本発明の改善点によれば、システムは、
− 監視プロファイル要素が、少なくとも2つの監視プロファイルレベルからなるマルチレベルツリー構造を形成するように互いに接続され、このツリー構造が、
− 最上位の監視プロファイルレベルを定義する最高レベルと、
− 最下位の監視プロファイルレベルを定義する最低レベルとを含み、
患者関連データ、
監視関連データ、
評価プロセス要素
などの監視プロファイル要素が、マルチレベル監視プロファイルのツリー構造に従って分割され、監視プロファイル要素の一部が最上位の監視プロファイルレベルに割り当てられ、監視プロファイル要素の一部が最下位の監視プロファイルレベルに割り当てられることも特徴とする。
【0016】
本発明の別の例示的な実施形態では、このような健康監視システムを操作するための方法が提唱される。この方法は、
− 所定の形で互いに接続されたプロファイル要素からなる監視プロファイルを提供するステップであって、監視プロファイル要素が、
患者関連データと、
監視関連データと、
評価プロセス要素とを含む。
この方法は、
− 監視プロファイル要素が、少なくとも2つの監視プロファイルレベルからなるマルチレベルツリー構造を形成するように互いに接続され、このツリー構造が、
− 特定の健康状態に適合された最上位レベル監視プロファイルを定義する最高レベルと、
− 最低レベルであって、
患者関連データ、
監視関連データ、
評価プロセス要素、
などの低レベル監視プロファイル要素を含む最低レベルとを含み、監視プロファイル要素が、マルチレベル監視プロファイルのツリー構造に従って分割され、監視プロファイル要素の一部が最上位の監視プロファイルレベルに割り当てられ、監視プロファイル要素の一部が最下位の監視プロファイルレベルに割り当てられることをさらに特徴とする。
【0017】
提唱する階層化されたマルチレベル監視プロファイル構造は、下位レベル監視プロファイル要素のそれぞれの評価および影響を同時に行う機能を維持しながら、監視および治療プロファイルの高レベルの作成、構成、および再検討の機能を提供する。
【0018】
本発明の他の有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0019】
次に、添付の図面を参照して、本発明を以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】健康監視システムの概略ブロック図である。
【図2】使用される測定ユニットの概略ブロック図である。
【図3】監視プロファイルの作成の概略図である。
【図4】フラットな監視プロファイル構造の概略図である。
【図5】階層型マルチレベル監視プロファイル構造の概略図である。
【図6】マルチレベル監視プロファイルの単純な例の概略図である。
【図7】監視シナリオの高レベル定義である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
最初に図1を参照すると、遠隔健康監視システムの概略ブロック図が示されている。このシステムは、家庭環境など、医療支援から遠い場所にいる監視対象者(または患者)の所在地に、複数の患者側サブシステム11、12、13を備える。最も単純な場合には、サブシステム11などのサブシステムは、監視端末14、15、または16を備える医療提供者側サブシステムに接続されることができる。図示の実施形態では、サブシステム11は、通信チャネル11’’’を介して監視端末14に接続される。通信チャネル11’’’は、無線通信チャネルとケーブル通信チャネルのいずれかとすることができる。この場合、監視者は、一度に1人の監視対象者のみにアクセスすることができる。被監視者を変更するたびに、別の通信チャネルへの再接続が必要となる。この問題は、データベースを有する中央通信およびデータサーバステーション10を使用することによって解決することができる。中央通信およびデータサーバステーション10は、ケーブルインタフェースまたはエアインタフェースを介し、データ通信チャネルを通して、サブシステム11、12、13と通信することが可能である。監視端末14、15、16は、医療従事者および/または介護担当者および/または承認された親族などの監視者に情報を視覚的表示として提供するために、中央サーバステーション10と通信することも可能である。監視者の各グループは、サブシステム11、12、13および中央サーバユニット10によって提供される監視情報にアクセスするために所定のアクセス権カテゴリを有する。医療従事者は、たとえば、患者データの閲覧および個々の患者の監視パラメータの設定などの機能に対する権限を与えられることができる。介護担当者は、患者データの閲覧およびそれに基づくさまざまな報告の作成に対する権限を与えられることができる。親族は、親類の健康状態に関する情報を得るために、それぞれの親類にアクセスする権限を与えられることができる。監視端末14、15、16は、無線通信チャネルとケーブル通信チャネルのいずれか、またはインターネット17などの無線通信チャネルとケーブル通信チャネルの組み合わせ14’、15’、16’を通して中央サーバ10に接続されることができる。インターネットを通信チャネルとして使用することによって、世界中のどの場所でも無制限に遠隔健康監視システムの要素をセットアップすることが可能になる。したがって、最も柔軟な構成では、システムの要素、たとえばサブシステム11、12、13は、通信リンク11’、12’、13’を通してインターネット17に接続され、中央サーバユニット10は、通信リンク10’および10’’を通してインターネット17に接続され、監視端末14、15、16は、通信リンク14’、15’、16’を通してインターネット17に接続される。図1の一般的な構成では、中央サーバステーション10は、接続された家庭用ハブ(サブシステム制御ユニット)からすべてのデータを受信して保存し、システムに含まれる監視対象者全員の健康状態に関する情報へのアクセスを承認された監視者に提供する。このシステムによって、患者側サブシステムが、所定の形で互いに接続されたプロファイル要素からなる監視プロファイルを定期的に受信して適用することも可能となる。この監視プロファイル要素は、以下からなる。
【0022】
− 構成パラメータなどの患者関連データ、
− 構成パラメータなどの監視関連データ、および
− 監視プロファイル要素の機能の役割を果たすソフトウェアコンポーネントなどの評価プロセス要素
さまざまな患者用に異なる監視プロファイルを決定して適用するための健康監視システムのこの構成では、患者側サブシステム11から13は、サブシステム制御ユニット20と、監視対象者の行動データの連続測定またはバイタルサインの別個の測定を実行するための測定ユニットも備えることができる。患者側サブシステムでは、図2に示すように、サブシステム制御ユニット20(家庭用ハブとも呼ばれる)は、監視対象者のバイタルサインを測定するために測定ユニット21から25に、ならびに監視対象者の行動データの連続測定を実行するために測定ユニット26および27に接続されることができる。サブシステム制御ユニットは、さらに、中央サーバユニットによって提供された監視プロファイルを受信し、保存して、適用することが可能である。
【0023】
バイタルサインを測定するための測定ユニット21から25は、破線21’から25’によって示されるサブシステム制御ユニット20への通信リンクを有する。これらの通信リンクは、有線通信リンクまたは無線通信リンクによって達成されることができる。監視対象者のバイタルサインを測定するための測定ユニットは、たとえば、血圧を測定するための血圧計21、血糖を測定するための血糖計22、体重を測定するための体重計23、ECGデータを提供するためのECGモニタ24、および被監視者の相互作用による他のバイタルサインセンサ25を含むことができるが、これらに限定されるわけではない。これらの測定ユニットの一部またはすべては、破線21’から25’によって示される、サブシステム制御ユニット20への無線通信リンクを有することができる。無線通信は、ブルートゥース、Zigbee(商標)、Wifi、または標準化された他の規格による無線通信を使用して実行されることができる。無線通信範囲外にあるまたは無線通信機能を持たないデバイスのいくつかは、USBケーブルなどの通信線によってサブシステム制御ユニット20に接続されることができる。バイタルサイン測定デバイスは専用デバイスである必要はなく、いつでも入手可能なあらゆる測定ユニットは、接続する可能性のない測定ユニットですら、本発明の目的に適することができる。この場合、システムで使用される家庭用ハブは、使用者がこのような測定ユニットたとえば浴室の体重計から得られた測定結果を入力できるようにするために、手動入力機能を持たなければならない。このようなデバイスを使用することによって、対象者は、デバイスから結果を読み取り、家庭用ハブの入力デバイス(キーボード)を使用して値(複数可)を入力(タイプ)する。高齢者または患者が自力でバイタルサイン測定を実行するのを支援するためのこのようなサブシステムは、米国特許第7,684,999号に開示されている従来技術などの従来技術として知られている。
【0024】
サブシステム制御ユニット20は、バイタルサインの別個の測定および行動データの連続測定の結果を受信して保存するように構成される。監視対象者の行動データの連続測定を実行するための測定ユニット26および27は、たとえば、選択された領域で対象者の動きおよび/または所在地を判定するための固定的に取り付けられたいくつかのモーションセンサ26、ならびに/または対象者の動き活動を判定するために対象者の選択された身体部分の動きの速度および/または加速度などの活動を検知するための身体に装着されたいくつかのセンサを含むことができる。固定的に取り付けられたモーションセンサ26は、無線通信リンクと有線通信リンクのいずれかを使用してサブシステム制御ユニット20と通信することができる。しかし、身体に装着されるセンサの場合、いかなる形であれ装着者の挙動を制限しないように、無線通信リンクを通してサブシステム制御ユニット20と通信しているならば、より有利となりうる。有線通信リンクまたは無線通信リンクとして、同じまたは類似の通信リンクは、バイタルサインを測定するための測定ユニットに使用される通信リンクとして選択されることができる。
【0025】
固定的に取り付けられたセンサは、たとえば、監視対象者の生活領域の壁または他の家具または機器に取り付けられた動き検出器26または接触センサとすることができる。これらのセンサは、被監視者と直接接触しない。接触センサは、監視領域において異なる機能を有することができる。典型的な設置場所は、家屋/アパートメントの玄関、開いているか閉じられているかを知ることが有用な場合があるドア(たとえばトイレのドア)、家庭用機器のドア(たとえば冷蔵庫のドア)、およびヘルスケアが監視を関連付けた重要な場所(たとえば、監視対象者が閉じられている引き出しまたは箱にすべての薬剤を保管する場合、このホルダのドア)である。パッシブ赤外線センサ(PIRセンサ)などのモーションセンサは、その視野内の物体から放射される赤外光を測定することができる。ある温度を有する赤外線源が、別の温度を有する赤外線源の前で位置を変化させたとき、したがって本明細書の場合では、人間が監視領域内でセンサの視野を通過したとき、実際の動きが検出される。大量の動き、次いであらかじめ規定されたしきい値を持つ場合、センサは、サブシステム制御ユニットに信号を送信する。
【0026】
身体に装着されたセンサは、たとえば、身体の一部に、好ましくは装着者の手もしくは腕または脚もしくは足に固定された速度センサまたは加速度センサなどの活動センサ27とすることができる。これらのセンサは、被監視者と直接接触する。身体に装着されたセンサまたはアクティグラフ(Actigraph)(一般にこう呼ばれる)は、身体に装着される機器であり、腕時計のように手首に装着されることが最も多い。ユニットは、機器自体の挙動、したがって患者の手首の挙動を継続的に記録する。このデータを使用して、被監視者の動き(全体的な活動、歩数など)を計算することができる。
【0027】
図3の概略図は、監視プロファイル作成の基本的な問題を示す。
【0028】
右側には、たとえば患者の自宅にある患者側サブシステムが示されており、この患者側サブシステムに、サブシステム制御ユニット(または家庭用ハブ)および種々の測定ユニットMU1からMU2が設置されている。設置される測定ユニットの数は制限されない。測定ユニットは、血圧もしくはECGのようなバイタルサイン、または入室もしくは運動のような行動データ、または認知機能検査または反射機能検査のような能力を測定することができる。測定タイプに関しては、グラフィカルユーザインタフェースおよび入力デバイスのみが必要とされる(たとえば認知機能検査)場合、別個の測定ユニットを用意する必要はなく、患者側サブシステム制御ユニットは、それ自体で測定を実行することができる。
【0029】
監視および治療プロセス全体が、監視プロファイルに記載され、カスタマイズされ、パラメータ化される。患者側サブシステム制御ユニット、たとえば家庭用ハブは、中央サーバユニットから監視プロファイルを受信し、受信した監視プロファイルを保存でき、プロファイルによって記載された監視および治療プロセスを管理することができる。
【0030】
監視プロファイルは、多数の監視プロファイル要素MPE1〜MPEnからなる。「背景技術」の項で説明したように、各監視プロファイル要素は、基本測定仕様、または監視手順、またはシグナルプロセッサ、または医療ルール、または調査、または患者の作業を表す役割を果たす。監視および治療プロセス全体は、監視プロファイル要素の総体によって記載され、管理される。
【0031】
遠隔健康監視および治療プロセスを開始するために、医師は、監視、測定、患者の作業、調査、および医療ルールのうちの意図した措置を監視プロファイル要素に入れなければならない。これは、監視プロファイルの作成の問題であり、疑問符によって表されている。質問は、どのようにすれば医師は迅速で効率的かつ信頼できる方法で監視プロファイルを作成できるかということであり、この質問によって、あらかじめ規定されたテンプレートのカスタマイゼーションおよび利用が可能となる。
【0032】
図4の概略図は、考えられうる監視プロファイル作成、いわゆるフラットな構造を示し、これは従来技術によるシステムによっても使用される。このフラットな構造では、各監視プロファイル要素は、同じレベルの階層にある。この監視プロファイル作成は非常に単純だが、以下のようないくつかの欠点を有する。
●より高いレベルの抽象化を定義する可能性がない。
●監視プロファイルを作成するとき、医師は、多数の監視プロファイル要素を選択しなければならず、多数の監視プロファイル要素パラメータを修正しなければならない。
●多数の監視プロファイル要素を同時に考慮しなければならないので、既に作成された監視プロファイルの再検討は面倒である。
●収集された多数の低レベルデータの再検討および概略説明は面倒である。
【0033】
この図に示されているさまざまなアイコンは、さまざまなタイプの基礎的(primitive)監視プロファイル要素を表す。多くの可能なタイプの基礎的監視要素が考えられるが、それにもかかわらず、この図には、説明の目的で4タイプの要素のみが含まれている。これらの要素は、以下の通りである。
●測定仕様(「ms」によって示される)
●ワークフロー手順(「w」によって示される)
●シグナルプロセッサ(「sp」によって示される)
●医療ルール(「mr」によって示される)
監視プロファイル定義はまた、以下を含むことができる。
●すべての監視測定ユニットの一覧および構成の詳細
○どのような生理学的センサを使用しているか
○どのような行動センサを使用しているか
○センサの具体的な構成
●測定仕様の一覧および構成の詳細
○測定のスケジュール
○使用される測定ユニット
○家庭用ハブに表示するための測定に関する指示
○調査(測定中、測定前、または測定後に行わなければならない)
●監視手順の一覧および構成の詳細
○使用される測定ユニット
○データ収集のスケジュール
○アルゴリズム(センサデータに基づいて行動属性を計算する)
○特定のシナリオに対するシステムの反応
●データ分析を行うシグナルプロセッサの一覧および構成の詳細
○疾患別(disease specific)データ分析
○データ分析の詳細な構成、しきい値
●医療ルールおよびその詳細
○断定(predicate)の詳細な構成、しきい値
○判断支援ルールによって発生される警告、警報の重大度
●調査および調査の詳細
○実行のスケジューリング
○調査の流れおよび質問
○アルゴリズム(得られた回答に基づいて行動属性を計算する)
●患者の作業
○スケジュール
○詳細な構成
○成功率を評価するアルゴリズム
●すべてのデータ視覚化可能性の一覧および構成の詳細
○いくつかのセンサのデータの相互作用を示すグラフ
○患者の状態の著しい変化を最も良く視覚化するグラフ
●疾患管理目標からの逸脱を示す具体的なしきい値
●警報のしきい値
図5の概略図は、階層型マルチレベル監視プロファイル作成を示す。図示された監視プロファイルは、(図の下部に)図4に示される多数の基礎的監視プロファイル要素を含むが、新しいタイプの要素(「f」によって示される)が表示されている。これらの監視プロファイル要素は、より高いレベルの抽象化機能である。各抽象化機能「f」は、より高いレベルの操作、すなわち、より高いレベルの機能を表し、機能の子要素によって保証される。抽象化機能テンプレートを監視プロファイルに追加するには、機能テンプレートのすべての子要素の追加を伴う。
【0034】
本発明の一態様によれば、監視プロファイル要素は少なくとも2つの監視プロファイルレベルからなるマルチレベルツリー構造を形成するように互いに接続され、このツリー構造は、以下を備える。
− 特定の健康状態に適合された最上位レベル監視プロファイルを定義する上位または最上位レベル
− 以下などの低レベル監視プロファイル要素を含む下位または最下位レベル
− 患者関連データ、
− 監視関連データ、
− 評価プロセス要素
患者関連データおよび監視関連データは、図4に関して上記に列挙した構成パラメータなどの構成パラメータを含むことができ、評価プロセス要素は、監視プロファイル要素の機能の役割を果たすソフトウェアコンポーネントを含むことができる。監視プロファイル要素は、マルチレベル監視プロファイルのツリー構造に従って分割され、監視プロファイル要素の一部は、最上位の監視プロファイルレベルに割り当てられ、監視プロファイル要素の一部は、最下位の監視プロファイルレベルに割り当てられる。
【0035】
別の実施形態では、マルチレベル監視プロファイルは、最上位の監視プロファイルレベルと最下位の監視プロファイルレベルの間に少なくとも1つの中間の監視プロファイルレベルを含み、監視プロファイル要素の一部が、少なくとも1つの中間の監視プロファイルレベルに割り当てられる。
【0036】
図5に示される実施形態では、4つの監視プロファイルレベル、すなわち最上位レベル、最下位レベル、および2つの中間レベルがある。異なる最上位レベル監視プロファイル用の監視プロファイルレベルの数(個々の患者は異なる疾患を有する)は、異なることができる。
【0037】
最上位レベルは、監視プロファイル要素の最上位レベルパラメータ要素を含み、下位に置かれる(subordinated)(子)レベルは、監視プロファイル要素の最上位レベルパラメータ要素に由来するパラメータ要素を含む。最下位レベルは、監視プロファイル要素の最下位レベル(生)データ要素を含み、上位に置かれる(superimposed)(親)レベルは、監視プロファイル要素の最下位レベルデータ要素に由来するデータ要素を含む。
【0038】
異なる監視レベルに割り当てられた異なる監視プロファイル要素の所定の構造および監視プロファイル要素の所定の接続は、所定のデフォルトテンプレートに保存されることができる。同様に、異なる監視レベルに割り当てられた異なる監視プロファイル要素の修正された構造および監視プロファイル要素の修正された接続は、修正されたテンプレートに保存されることができる。
【0039】
マルチレベル監視プロファイルすなわちMMPは、プロファイル要素を階層構造で含む。この構造では、任意のレベルの機能を宣言することができる。最下位レベルには、シグナルプロセッサまたは医療ルールのようなパラメータ化された基礎的監視要素がある。上位レベルは、より高いレベルの機能を表す。構造の最高レベルノードは、特定の健康状態に適切な完全な治療および/または監視プロセス(すなわち監視プロファイル)である。これについては、例を挙げることによって、より一層理解できるようになろう。
【0040】
たとえば糖尿病患者の場合、監視プロファイルは、以下のような感じになる。最下位レベルの基礎的監視要素は、斜体で列挙する。
●初期段階の糖尿病者の在宅リハビリテーション(監視プロファイル)
○身体活動の監視
■生の動きデータの収集
●動きデータ測定仕様(ワークフロー)
■身体活動の傾向の監視
●スケジュールされたシグナルプロセッサが、ある期間における身体活動の要約量(summarized amount)を計算する
●スケジュールされたシグナルプロセッサが、ある期間における身体活動の傾向を計算する
●スケジュールされた医療ルール(異常な傾向の場合は、監視警報を生成する)
■トイレに行く回数の監視
●スケジュールされたシグナルプロセッサが、ある期間におけるトイレに行く回数を計算する
●スケジュールされたシグナルプロセッサが、ある期間におけるトイレに行く傾向を計算する
●スケジュールされた医療ルール(異常な傾向の場合は、監視警報を生成する)
■夜間の活動の監視
●シグナルプロセッサが、毎晩の活動を計算する
●医療ルールが、深夜の活動に関する警報を生成する
○血糖値の監視
■スケジュールされた血糖測定
●スケジュールされた血糖測定仕様(ワークフロー)
■手動で開始する血糖測定
●手動血糖測定仕様(ワークフロー)
■血糖値監視
●シグナルプロセッサが血糖の値をチェックし、限度を超えた場合は警報を生成する
■血糖値が異常な場合に実行するべき調査
●調査を実行するワークフロー
■測定忘れの追跡
●スケジュールされた医療ルールが、1日で必要な血糖測定頻度を算出する
●測定忘れの場合に、シグナルプロセッサが監視警報を作成する
●ワークフロー(患者に必要な測定頻度を知らせる)
○服薬追跡
■薬箱の蓋を開けるイベントの収集
●蓋を開けるイベント測定仕様
■蓋を開けるイベントを定期的にチェックする
●医者の指示に基づいた服薬を忘れた場合に、シグナルプロセッサが監視警報を作成する
○食事に関する提案
■スケジュールされた、栄養摂取に関する糖尿病で一般的な提案
●医療ルールが、患者の現在の状況にふさわしい提案を1組の提案から選定する
●スケジュールされたワークフローが、提案を表示する
■血糖値が異常な場合の提案
●この場合、ワークフローが提案を表示する
MMPの構造は、任意のレベルを持つツリーグラフであり、パラメータ委任(葉の方向)およびデータ委任(ルートノードの方向)が行われる。ノードの役割は、以下の通りである。
【0041】
1.最下位レベルの葉ノードの役割
●基礎的監視要素を表す
●表された要素のすべてのパラメータを含む
●低レベルのデータを生成する
●生成したデータを親ノードに委任する
2.中間ノードの役割
●その下にある下位レベルノード(すなわちグループ)を含む
●パラメータ決定方法を使用して、ノードのパラメータに基づいて子ノードのパラメータを決定する
●決定したパラメータを子ノードに委任する
●上位レベル(親)データを生成し、子ノードの下位レベル(子)データ出力に基づいてイベントを監視する。親データは、使用したデータ生成方法および子ノードによって伝達されたデータによって決定される。
●生成した親データを親ノードに委任する
3.最上位レベルノードの役割
●生成したデータの親ノードへの委任を除く、中間ノードの役割のすべての項目
●通知、警告、および警報のような最上位レベル監視イベントを生成する
自動または半自動(使用者との一定の対話処理が必要)のアルゴリズムによって、監視プロファイルの中間レベル要素および最下位レベル要素がパラメータ化される。子ノードのパラメータは、親ノードのパラメータに基づいて決定される。パラメータの委任中に、派生したパラメータ要素は、下位に置かれる(子)レベルのそれぞれに委任されることができる。考えられうるパラメータ委任方法には、以下がある。
【0042】
○単純な委任:パラメータは下方にそのまま委任され、何も変更されない
○列挙割り当て:親パラメータのすべての列挙値に対して、特定の子パラメータが割り当てられる
○範囲割り当て:子パラメータは、数値である親パラメータが属する特定の範囲に割り当てられた値として選定される
○計算:子パラメータは、親パラメータ(複数可)を変数(複数可)として含む数式を評価することによって計算される
○定数委任:適用される子パラメータは、親ノードでは定数として定義される
監視プロファイル要素のパラメータは、グラフの葉の方向に(最上位の監視プロファイルレベルから最下位の監視プロファイルレベルへの方向に)委任されるが、収集されたまたは生成されたデータは、ルートノードの方向に(最下位の監視プロファイルレベルから最上位の監視プロファイルレベルへの方向に)上方に委任される。低レベルのデータは集められ、その結果、より上位レベルのデータを構築する。この集合は、ツリーのどの中間レベルの監視プロファイル要素でも行うことができる。データの委任中に、派生したデータ要素は、上位に置かれる(親)レベルのそれぞれに委任される。考えられうるデータ生成または集合方法には、以下がある。
【0043】
○単純な委任:データは上方にそのまま委任され、何も変更されない
○範囲割り当て:親データは、数値である子データが属する特定の範囲に割り当てられた値として選定される
○計算:親データは、子ノードによって伝達されるデータを変数として含む数式を評価することによって計算される
○統計的抽象化:親データは、ある期間における子ノードによって伝達されるデータの母集団に対する統計指標として計算される
パラメータおよびデータの委任を有する階層型マルチレベル監視プロファイル構造の利点は、以下の通りである。
●あらかじめ規定された高いレベルの抽象化機能(すなわちテンプレート)を使用して、多数の要素を監視プロファイルに容易に追加することができる。
●監視プロファイル要素の自動パラメータ化によって、構成が、簡単かつ迅速で信頼できるものになる。
●適用される高いレベルの要素(すなわち抽象化機能)が少ないので、既に作成された監視プロファイルの再検討が、はるかに簡単で直観的になる。
●生成された高次データの高い抽象化レベルのために、収集された監視データの再検討および解釈は、より簡単になる。
【0044】
マルチレベル監視プロファイルの単純な例が図6に示されている。この図では、マルチレベル監視プロファイル(MMP)の単純な例が示されている。最上位レベル監視要素には、「初期段階のアルツハイマー病者の在宅リハビリテーション」とラベルが付けられている。この例では、医師は、この単一のあらかじめ規定された要素(テンプレート)を監視プロファイルのベースとして選定していてもよく、これは、あらかじめ規定された監視要素階層(すなわちMMP構造)全体の挿入を伴う。本発明の一態様によれば、患者ごとに、さまざまな監視プロファイル要素からなる構造用の修正されたテンプレートを生成し、記憶ユニットに保存することができる。
【0045】
リハビリテーションおよび監視プロセスが、3つの主な機能、すなわち、基本警報を用いた動き監視、血圧測定および監視、ならびに体重測定、からなると仮定する。動き監視は、トイレに行くことの追跡、転倒の検出、および身体活動レベルの監視のような3つの中間レベル監視プロセスからなる。対応する監視プロファイルおよびそれらの階層の要素は、図から分かるように、この構造を反映する。低レベル監視要素(すなわちツリーの葉)は、測定仕様「ms」、ワークフロー手順「w」、シグナルプロセッサ「sp」、または医療ルール「mr」のような基礎的監視要素である。
【0046】
例示的なMMPは、7つの抽象化機能(初期段階のアルツハイマー病者の在宅リハビリテーション、基本警報を用いた動き監視、血圧測定および監視、ならびに体重測定、トイレに行くことの追跡、転倒の検出、および身体活動レベルの監視)を含み、これらは、最下行に列挙された低レベルの12の基礎的要素によって保証される。
【0047】
図7は、監視シナリオの高レベル定義を表し/示し、一般的な医療従事者によって通常与えられる構成および監視シナリオの高レベル定義が、熟練した医療従事者によってあらかじめ規定された監視テンプレートに従って、高レベル、中間レベル、および低レベルの監視プロファイル要素までどのように下方に流れるかの一例を示す。この下方への流れは、「構成」という列で確認することができる。この図は、監視データが、下位の詳細で具体的な生のレベルから上位レベルの抽象化までどのように上方に流れるかも示す。この上方への流れは、「監視データ、監視イベント」という列に示される。この例では、監視プロファイルの一部すなわち監視プロファイルツリー構造全体の単一の分岐のみが存在する。システムのさまざまな行為主体(actor)は、必要な任意のレベルに監視要素を構成する自由を有するが、それにもかかわらず、あらかじめ規定されたデフォルトテンプレートは、しっかりしたベースを提供する。さまざまな監視プロファイル要素の構造用の修正されたテンプレートは、患者ごとに記憶ユニットに保存でき、したがって、医療従事者は、あらかじめ規定されたデフォルトテンプレートのうちの1つに基づいて新しいテンプレートを構成する代わりに、既に構成された監視プロファイルを再使用することができる。
【0048】
提唱するマルチレベル構造は、以下の多くの重要な利点を有する。
【0049】
1.監視プロファイルの設定は、多数の監視要素から監視プロファイルを作成することおよびこれらの要素のパラメータ化を意味する。複数の監視要素の場合、設定は、非常に厄介であることがある。これとは対照的に、MMPを使用する場合は、初期テンプレートとして、ほんの少数の高レベル要素のみを選定しなければならない。要素の下にある構造は再帰的に展開される。
【0050】
たとえば、「初期段階の糖尿病者の在宅リハビリテーション」監視プロファイルテンプレートを選定すると、すべての測定仕様、監視手順、シグナルプロセッサ、医療ルール、調査、および作業が、監視および治療プロセスに追加される。新たに作られた監視プロファイルは、構成し、カスタマイズでき、最終的に、実行のために患者側監視端末(すなわち家庭用ハブ)に伝送される。
【0051】
2.より高度な監視プロファイルの場合、多数の適用された監視要素のパラメータ化は、専門家を必要とする大規模な仕事である。この仕事は、すべての監視要素のすべてのパラメータは手動で1つずつ設定されなければならず、時間がかかるだけでなく、構成エラーの可能性が増加する。これとは対照的に、MMPを使用する場合は、パラメータの委任を適用でき、これによって、パラメータ化の仕事が減少する。
【0052】
パラメータの委任とは、MMPの上位レベルのノードのパラメータによって、その下にある下位レベルノードのパラメータが決まる場合を指す。たとえば、医者によって設定される行動監視パッケージの「重大度」パラメータによって、行動監視パッケージに属する監視手順、シグナルプロセッサ、医療ルールのパラメータ(たとえば、スケジューリング、タイムアウト値、警報のしきい値)が自動的に決定され、設定されることができる。
【0053】
3.MMPを使用しない場合、以前に構築された監視プロファイルの概要/再検討は面倒である。その理由は、専門家は、高レベルの展望を有するために、低レベルの監視要素のみを見てまとめて頭に入れるからである。これとは反対に、MMPを使用する場合は、医療専門家は、MMPの少数の最上位レベル監視要素を見ることによって、実行中の監視プロファイルの迅速で正確な展望を有することができる。たとえば、医療専門家は、「初期段階の糖尿病者の在宅リハビリテーション」または「身体活動の監視」のような最上位レベル要素を見る。
【0054】
4.低レベルの測定データの表示、分析、および点検は、システムの人間の行為主体にとって非常に面倒である。たとえば、タイムスタンプ(たとえば動きイベントの時刻)およびゾーン識別子(たとえば動きの場所)を含めて、モーションセンサの低レベル出力の人間の概要は、毎日生成される大量の動きデータに関して、ほとんど可能ではない。これとは反対に、MMPを使用する場合は、低レベルのデータが統合され、上位レベルのデータを構築する。この集合は、MMPのどの中間レベルでも行うことができる。たとえば、連続した期間におけるトイレでの多くの低レベル動きイベントを集めて、「トイレに行く」という監視イベントデータを構築する。「トイレに行く」データがあまりにも頻繁に生成されるとき、「トイレに行く回数が異常に多い」という新しい監視イベントデータが、MMPの上位レベルに生成される。医者に提示される最上位レベル監視イベント(警報)は、「異常行動」である。医者は、この警報を高レベルの最初のアプローチと見なし、さらに、掘り下げて、この高レベル警報の原因および詳細を見出す。
【0055】
この概念のさらなる利点は、以下の通りである。
【0056】
MMPを使用することによって、医学および技術の詳細に関して持っている専門知識の異なる医療従事者が、罹患している慢性疾患や状態の異なる患者を効果的に管理することができる。
【0057】
使用者は、構成とデータ読み取りの両方に対して、管理できる詳細のレベルでシステムと対話することができる。
【0058】
説明したシステムとは対照的に、現在のシステムは、医者、専門家、または担当者が側にいることを必要とすることが多く、これによってエラー要因が増加するが、本発明の開発の結果は、医学専門知識を統合するシステムであり、したがって、効率および信頼性が向上し、エラーの可能性が低下する。
【0059】
現在のシステムのほとんどは、1つの手法に集中し、すべてのケースを一般的な方法で処理するが、MMPSベースのシステムは、同時にいくつかの分野フィールドおよび疾患グループ(脳卒中、認知症、うつ病)を効果的に監視および遠隔で監督する(tele−supervise)ことができる。
【0060】
カスタマイズされた疾患別監視プランの半自動定義は、一般的な医療従事者によって実行できるが、それにもかかわらず、システムに内蔵された疾患別医学知識から利益を得ることができる。
【0061】
事例固有のデータ分析は、疾患および監視専門家によって以前に定義された方法に基づいて、許可される。
【0062】
患者の事例に最も適した、あらかじめ規定されたデータ視覚化が可能であり、その結果、その事例を担当する医療従事者は、データを視覚化する最良の方法を再発明する必要はない。
【0063】
一般的な医療従事者が、事例固有の、パターンに基づく意思決定支援を利用できる。
【0064】
専門医師(referring physician)は、システムで集められた専門的な疾患別情報を使用して、患者のために設定されるはるかに高度な監視プロファイルを定義でき、したがって患者管理の品質が向上する。
【0065】
テンプレートに基づく定義/管理によって、プロセスを高速化でき、医療従事者がより多くの事例を処理することが可能になり、これによって、生産性およびコスト効率が増加する。
【0066】
疾患別でない一般的な知識を有する医療従事者は、はるかに広範囲の患者を処理でき、これによって、生産性が向上し、アクセスしやすくなる。
【0067】
この明細書では、複数の例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示し、さらにいかなる当業者も本発明を製作し使用することができるようにする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の例を含むことができる。このような他の例は、請求項の書字言語と異ならない構造要素を有する場合、または請求項の書字言語とのわずかな違いを有する等価な構造要素を含む場合、請求項の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0068】
10 中央通信およびデータサーバステーション
10’ 通信リンク
10’’ 通信リンク
11 患者側サブシステム
11’ 通信リンク
11’’’ 通信チャネル
12 患者側サブシステム
12’ 通信リンク
13 患者側サブシステム
13’ 通信リンク
14 監視端末
14’ 通信リンク
15 監視端末
15’ 通信リンク
16 監視端末
16’ 通信リンク
17 インターネット
20 サブシステム制御ユニット
21 測定ユニット、血圧計
21’ 破線
22 測定ユニット、血糖計
22’ 破線
23 測定ユニット、体重計
23’ 破線
24 測定ユニット、ECGモニタ
24’ 破線
25 測定ユニット、バイタルサインセンサ
25’ 破線
26 測定ユニット、動き検出器、モーションセンサ
27 測定ユニット、活動センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者側サブシステムと、医療提供者側サブシステムと、前記システムの要素間の通信リンクを提供するためにデータベースと通信システムとを有するサーバステーションとを備え、その助けにより、前記患者側サブシステムが、
− 所定の形で互いに接続されたプロファイル要素からなる監視プロファイルであって、前記監視プロファイルの要素が、
− 患者関連データと、
− 監視関連データと、
− 評価プロセス要素とを含む、監視プロファイルを定期的に受信して適用することができる健康監視システムであって、
− 前記監視プロファイル要素が、少なくとも2つの監視プロファイルレベルからなるマルチレベルツリー構造を形成するように互いに接続され、前記ツリー構造は、
− 最上位レベル監視プロファイルを定義する上位または最上位レベルと、
− 下位または最下位レベルであって、
− 患者関連データ、
− 監視関連データ、
− 評価プロセス要素
などの低レベル監視プロファイル要素を含む最低レベルとを含み、前記監視プロファイル要素が、マルチレベル監視プロファイルのツリー構造に従って分割され、前記監視プロファイル要素の一部が前記最上位の監視プロファイルレベルに割り当てられ、前記監視プロファイル要素の一部が前記最下位の監視プロファイルレベルに割り当てられることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記マルチレベル監視プロファイルの前記ツリー構造が、前記最上位の監視プロファイルレベルと前記最下位の監視プロファイルレベルの間に少なくとも1つの中間の監視プロファイルレベルを備え、前記監視プロファイル要素の一部が、前記少なくとも1つの中間の監視プロファイルレベルに割り当てられることを特徴とする、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記監視プロファイルレベルの数が、最上位レベル監視プロファイルによって異なることができることを特徴とする、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記最上位レベル要素が最上位レベルパラメータを含み、前記下位に置かれる(子)レベル要素の前記パラメータが前記親レベル要素の前記パラメータに由来することを特徴とする、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記最下位レベル要素が、最下位レベル(生)データを収集するように構成され、前記上位に置かれる(親)レベル要素が、関連付けられた子要素によって収集された前記データに由来する(高次の)データを生成するように構成されることを特徴とする、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記異なる監視レベルに割り当てられた前記異なる監視プロファイル要素の所定の構造および前記監視プロファイル要素の前記所定の接続が、所定のデフォルトテンプレートに保存されることを特徴とする、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記異なる監視レベルに割り当てられた前記異なる監視プロファイル要素の前記修正された構造および前記監視プロファイル要素の前記修正された接続が、修正されたテンプレートに保存されることを特徴とする、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
健康監視システムを操作するための方法であって、前記監視システムが、患者側サブシステムと、医療提供者側サブシステムと、前記システムの要素間の通信リンクを提供するためにデータベースと通信システムとを有するサーバステーションとを備え、前記方法が、
− 所定の形で互いに接続されたプロファイル要素からなる監視プロファイルを提供するステップであって、前記監視プロファイル要素が、
患者関連データと、
監視関連データと、
評価プロセス要素と
を含み、
− 前記監視プロファイル要素が、少なくとも2つの監視プロファイルレベルからなるマルチレベルツリー構造を形成するように互いに接続され、前記ツリー構造は、
− 特定の健康状態に適合された最上位レベル監視プロファイルを定義する上位または最上位レベルと、
− 下位または最下位レベルであって、
患者関連データ、
監視関連データ、
評価プロセス要素
などの低レベル監視プロファイル要素を含む最低レベルとを含み、前記監視プロファイル要素が、マルチレベル監視プロファイルのツリー構造に従って分割され、前記監視プロファイル要素の一部が前記最上位の監視プロファイルレベルに割り当てられ、前記監視プロファイル要素の一部が前記最下位の監視プロファイルレベルに割り当てられることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記マルチレベル監視プロファイルの前記ツリー構造が、前記最上位の監視プロファイルレベルと前記最下位の監視プロファイルレベルの間に少なくとも1つの中間の監視プロファイルレベルを備え、前記監視プロファイル要素の一部が、前記少なくとも1つの中間の監視プロファイルレベルに割り当てられることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記監視プロファイルレベルの数が、最上位レベル監視プロファイルによって異なることができることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記最上位レベル監視プロファイル要素のパラメータが、前記最上位の監視プロファイルレベルから前記最下位の監視プロファイルレベルへの方向に委任されることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記パラメータ委任中に、派生したパラメータが前記下位に置かれる(子)レベルに委任されることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記最下位レベル監視プロファイル要素によって収集されるデータが、前記最下位の監視プロファイルレベルから前記最上位の監視プロファイルレベルへの方向に委任されることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項14】
前記データ委任中に、派生した(高次の)データ要素が、前記上位に置かれる(親)レベルに委任されることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記異なる監視レベルに割り当てられた前記異なる監視プロファイル要素の所定の構造および前記監視プロファイル要素の前記所定の接続が、所定のデフォルトテンプレートに保存されることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項16】
前記異なる監視レベルに割り当てられた前記異なる監視プロファイル要素の前記修正された構造が、修正されたテンプレートに保存されることを特徴とする、請求項8記載のシステム。
【請求項17】
患者固有の監視プロファイルが、所定のテンプレートから派生し、特定の患者に対して保存されることを特徴とする、請求項8記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−80471(P2013−80471A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−215556(P2012−215556)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)