説明

遠隔操作装置

【課題】収納時は横向き、非収納時は縦向きとして使用するこのできる遠隔操作装置を提供する。
【解決手段】機器本体9の収納部9a−1への収納時は赤外線を第1の放出口2aに導き、前記収納部から取り外した非収納時は赤外線を第2の放出口2bに導く導光部材7と、非収納時は赤外線を第2の放出口2bに導く位置に前記導光部材7を保持する付勢部材8と、収納時は赤外線を第1の放出口2aに導く位置に前記導光部材7を前記付勢部材8の付勢力に抗して移動させるように、前記収納部9a−1と前記導光部材7とに相対的に設けた突起部11、傾斜面7aと、横向き表示領域10aと縦向き表示領域10bを有するボタン表示部材10と、収納、非収納に応じて前記横向き表示領域と縦向き表示領域を選択的に前記透過型ボタン群3aに対応表示させるボタン表示部材10とを備えた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テレビ、エアコン、ノートパソコン等の各種の電気機器を離れた位置から遠隔操作する赤外線を利用した遠隔操作装置に係り、特に、車の車室内天井に設けられた電気機器を後部座席の乗員が遠隔操作する遠隔操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、この種の遠隔操作装置(以下、リモコンと称する)は、利便性・紛失防止の点から使用しないときは電気機器に収納する機種が見られるようになった。そして、車の車室内天井に設けられた電気機器を後部座席の乗員が遠隔操作するリモコンには、横型、縦型の両方が存在する。
【0003】
横型リモコンの場合では、後部座席の乗員がリモコンを電気機器の収納部に収納したまま両手で操作し易い他、電気機器自体の省スペースの面で優位性はあるが、電気機器から取り外した非収納時は両手でリモコンを持った操作を強いられ、ユーザにとっては使い勝手の悪いものであつた。
一方、縦型リモコンの場合では、非収納時は片手での操作が可能でクリップ感があり、ユーザにとっては使い勝手がよいが、電気機器自体の省スペースの面で問題があり、収納した場合は意匠性、操作性で難があった。
【0004】
そこで、リモコンを両方向で使えるようにすれば、上記の点は解消する。しかし、これを実現するためには、赤外線を発光する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)をそれぞれの方向に配置する必要があり、リモコン、電気機器ともにコストアップを強いるものであった。
なお、従来、折り畳み式携帯端末装置において、表示部を縦横方向に切換えると操作部のキーの操作方向も縦横方向に切換えられるようにしたものが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4267687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されたものは、折り畳み式携帯端末装置において、表示の向きに合わせて操作部の表示方向を切換えるため、折り畳み式携帯端末装置の開閉の際に第1文字群と第2文字群を有するスライドシートを移動させる構成であり、収納、非収納に合わせて赤外線の発光方向および操作部を切換えるものではない。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、収納、非収納に応じて自動的に赤外線の発光方向および操作部の表示方向を切換えて、収納時は横向き、非収納時は縦向きとして使用することのできる遠隔操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る遠隔操作装置は、内蔵する発光部から赤外線を横方向に放出させる第1の放出口と該赤外線を縦方向に放出させる第2の放出口とを有する本体ケースと、前記本体ケースの操作表面に設けられた透過型ボタンと、機器本体の収納部への収納時は赤外線を第1の放出口に導き、前記収納部から取り外した非収納時は赤外線を第2の放出口に導く導光部材と、非収納時は赤外線を第2の放出口に導く位置に前記導光部材を保持する付勢部材と、収納時は赤外線を第1の放出口に導く位置に前記導光部材を前記付勢部材の付勢力に抗して移動させるように、前記収納部と前記導光部材とに相対的に設けた係合部と、横向き表示領域と縦向き表示領域を有するボタン表示部材と、収納、非収納に応じて前記横向き表示領域と縦向き表示領域を選択的に前記透過型ボタンに対応表示させる表示部材を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、収納時と非収納時とで赤外線の放出方向を縦横に切換えるとともに、操作ボタンの表示方向を切換えるように構成したので、収納時には操作性、意匠性の観点から横向きでの操作が可能となり、非収納時には縦向きで片手での操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明に係るリモコンの非収納時における平面図である。
【図2】この発明に係るリモコンの収納時における平面図である。
【図3】非収納時におけるリモコンの内部をスケルトンで示す斜視図である。
【図4】収納時におけるリモコンの内部をスケルトンで示す斜視図である。
【図5】非収納時におけるリモコンと収納部との関係を示す断面図である。
【図6】収納時におけるリモコンと収納部との関係を示す断面図である。
【図7】非収納時におけるリモコンからの赤外線放出方向を示す平面図である。
【図8】収納時におけるリモコンからの赤外線放出方向を示す平面図である。
【図9】非収納時におけるリモコンのボタン表示部の拡大断面図である。
【図10】収納時におけるリモコンのボタン表示部の拡大断面図である。
【図11】リモコン収納部を示す電気機器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を図面について詳細に説明する。
実施の形態1.
この発明のリモコン1は図1,2に示すように、長方形をした本体ケース1aの横側面の1面に赤外線の第1の放出口としての横方向放出口2aを、縦側面の1面に赤外線の第2の放出口としての縦方向放出口2bを有し、その操作表面には透過型操作ボタン群3aとその他の操作ボタン群3bが設けられ、特に、透過型操作ボタン群3aに対応して収納時(横向き)表示と非収納時(縦向き)表示を備えたボタン表示部材10が配置されている。このボタン表示部材10の材料としては、フイルムのように光を透過する材料を使用する。
【0012】
本体ケース1aの内部には図3,4に示すように、発光ダイオード4,5を搭載した基板6と、導光部材7が設けられている。この導光部材7は本体ケース1a内に縦方向に移動可能に設けられており、リモコン1を機器本体9から取り外した非収納時には、発光ダイオード4から放出された赤外線を縦方向放出口2bに導くとともに発光ダイオード5から放出された赤外線を透過型操作ボタン群3aに対応するボタン表示部材10の縦向き表示領域10bに導く。
【0013】
一方、リモコン1を機器本体9の収納部9a−1に収納した収納時には、導光部材7は本体ケース1a内を縦方向に移動して発光ダイオード4から放出された赤外線を横方向放出口2aに導くとともに発光ダイオード5から放出された赤外線を透過型操作ボタン群3aに対応するボタン表示部材10の横向き表示領域10aに導く。ここで、発光ダイオード5、導光部材7は、横向き表示領域10aと縦向き表示領域10bを選択的に透過型ボタンに対応表示させる表示部材を構成する。
【0014】
そして、本体ケース1aの内部には、非収納時に、発光ダイオード4から放出された赤外線を縦方向放出口2bに導くとともに発光ダイオード5から放出された赤外線を透過型操作ボタン群3aに対応するボタン表示部材10の縦向き表示領域10bに導く位置に導光部材7を保持する付勢部材8が設けられている。この付勢部材8は例えば、本体ケース1aの内面と導光部材7との間に圧縮して配設したコイルバネである。
【0015】
機器本体9の収納部9a−1の底面には図5,6に示すように、収納した本体ケース1aの底面開口1a−1から内部に侵入して、導光部材7の傾斜面7aと当接する突起部11が形成されている。従って、図5の状態から図6の状態に本体ケース1aを収納部9a−1に収納すると、この収納過程で傾斜面7aが突起部11に当接することにより、導光部材7は付勢部材8の付勢力に抗して矢印方向に移動する。このため、図7に示すように、発光ダイオード4から放出された赤外線が入射していた導光路7−1が図8に示すように導光路7−2に切換えられる。
【0016】
一方、導光部材7の上記の移動によって、図9、図10に示すように、発光ダイオード5から放出された赤外線が入射していた点7−aが点7−bに変わる。このため、非収納時には図9に示すように、透過型操作ボタン群3aに対応するボタン表示部材10の縦向き表示領域10bを照射していた発光ダイオード5からの赤外線が、収納時には図10に示すように透過型操作ボタン群3aに対応するボタン表示部材10の横向き表示領域10aを照射するようになる。
なお、この場合、導光部材7から漏れた赤外線がボタン表示部材10側に移行するのを防止するように、遮光シート12、ボタン表示部材10の縦表示領域と横表示領域を仕切る遮光用リブ13が設けられ、不必要な表示領域は視認不可となる構造である。
【0017】
この発明に係るリモコンは上記の構成であるから、非収納時には、発光ダイオード4から放出された赤外線は導光路7−1に入射し、この導光路7−1の先端の反射面7−1aで反射して導光路7−3内を進行して、本体ケース1aの縦方向放出口2bから外部に放出される。このとき、発光ダイオード5からの赤外線は点7−aから導光路7−5内を進行して透過型操作ボタン群3aに対応するボタン表示部材10の縦向き表示領域10bを照射する。従って、ユーザは本体ケース1aを図1に示すように縦向きの状態にして片手操作することができる。
【0018】
使用後、本体ケース1aを図11に示すように、機器本体9の収納部9a−1に横向きに収納すると、導光部材7の移動によって、発光ダイオード4から放出された赤外線は導光路7−2内を進行して、本体ケース1aの横方向放出口2aから外部に放出される。このとき、発光ダイオード5からの赤外線は点7−bから導光路7−4内に進入し、反射面7−4aで反射して導光路7−4内を進行し、先端の反射面7−4bで反射して導光路7−5内を進行して透過型操作ボタン群3aに対応するボタン表示部材10の横向き表示領域10aを照射する。従って、ユーザは収納された本体ケース1aを図1に示すように横向きの状態で両手で操作することができる。本体ケース1aには出し入れ可能なモニタ9aが設けられている。
【0019】
なお、手動で導光部材7を移動可能とする操作部材、例えば取っ手14を該導光部材と一体に設け、この取っ手14を本体ケース1aから外部に突出させておけば、リモコン1を機器本体9の収納部9a−1から取り外した非収納時においても、収納時と同様にリモコンを横向きにして両手でゲーム等ができる。
【0020】
また、実施の形態1では、導光部材7の移動によって発光ダイオード5から放出される赤外線をボタン表示部材10の縦向き表示領域10bまたは横向き表示領域10aに導く構成であるが、導光部材7を移動させる代わりにボタン表示部材10を移動させるように構成することもできる。
【0021】
また、実施の形態1では、本体ケース1aから放出させる赤外線を発生する発光ダイオード4と赤外線をボタン表示部材10の縦向き表示領域10bまたは横向き表示領域10aを表示する赤外線を発生する発光ダイオード5を別個に設けた構成であるが、発光ダイオードは1つとし、この発光ダイオードから放出された赤外線を導光部材によってそれぞれの方向に分けて導光するように構成することもできる。
【0022】
また、実施の形態1では、収納時と非収納時において、導光部材7を移動させて発光ダイオード4の赤外線を本体ケース1aの横方向あるいは縦方向から放出させているが、導光部材7を移動させる代わりに、収納時と非収納時に応じて発光ダイオード4を移動させるように構成することもできる。
【0023】
以上のように、この実施の形態1によれば、収納時と非収納時でリモコンの操作方向を切換わるように構成したので、収納時には操作性、意匠性の観点から横向きでの操作となり、非収納時には縦向きでの操作に切換えることで片手での操作を可能とする。
【符号の説明】
【0024】
1 リモコン、1a 本体ケース、2a 横方向放出口,2b 縦方向放出口、3a 透過型操作ボタン群,3b その他の操作ボタン群、 4,5 発光ダイオード、6 基板、7 導光部材、7a 傾斜面、8 付勢部材(コイルバネ)、9 機器本体、9a モニタ、9a−1 収納部、10 ボタン表示部材、11 突起部、12 遮光シート、13 遮光用リブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵する発光部から赤外線を横方向に放出させる第1の放出口と該赤外線を縦方向に放出させる第2の放出口とを有する本体ケースと、
前記本体ケースの操作表面に設けられた透過型ボタンと、
機器本体の収納部への収納時は赤外線を第1の放出口に導き、前記収納部から取り外した非収納時は赤外線を第2の放出口に導く導光部材と、
非収納時は赤外線を第2の放出口に導く位置に前記導光部材を保持する付勢部材と、
収納時は赤外線を第1の放出口に導く位置に前記導光部材を前記付勢部材の付勢力に抗して移動させるように、前記収納部と前記導光部材とに相対的に設けた係合部と、
横向き表示領域と縦向き表示領域を有するボタン表示部材と、
収納、非収納に応じて前記横向き表示領域と縦向き表示領域を選択的に前記透過型ボタンに対応表示させる表示部材
とを備えた遠隔操作装置。
【請求項2】
手動で導光部材を移動させる操作部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の遠隔操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−155366(P2011−155366A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14299(P2010−14299)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】