説明

適応可能な発射システム

【課題】 新たな砲弾を既存の主砲発射装置に統合するためのコストを削減する。
【解決手段】本発明の単一セルの垂直発射システムは、(A)容器と、前記容器は、ホスト発射装置の中に受け入れられるように寸法が決められ、アレンジされている、(B)砲弾アダプタと、前記砲弾アダプタは、前記容器の中に配置され、第1の複数の発射筒に入った砲弾を受け入れ、前記第1の複数の発射筒に入った砲弾が点火された後で、第2の複数の発射筒に入った砲弾を受け入れるために、前記砲弾アダプタの一部が、取り外し可能になっており、更に前記砲弾アダプタの一部が取り外されたときにも、前記容器は残る、(C)前記ゲスト発射装置が前記ホスト発射装置と物理的に及び電子的に通信することを可能にするインターフェースとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミサイルの発射装置に関し、特に、垂直ミサイル発射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、近代の軍艦では主要な攻撃用及び防御用の武器として、誘導ミサイルを使用している。海軍の交戦は長引くので、軍艦は即時の発射が可能な多数のミサイルを保有する必要がある。この要求は、複数の発射セル(例えば8セルなど)に、別々に発射できるミサイルを搭載する、マルチミサイル発射装置によって処理されてきた。
【0003】
単一のマルチミサイル発射装置から、異なるタイプのミサイルを発射したいという要求もある。この要求は、例えば、甲板下の垂直Mk41及びMk57発射装置によって満たされる。これらの発射装置は発射筒入りのミサイルを受け入れ、そこでは、発射筒の中のミサイルは、いくつかのタイプのうちの1つでよい。発射筒は、ミサイル発射装置の中の、相当する発射筒保持チャンバーまたはセルに装填される。各々の発射筒に入ったミサイルは、標準のコネクタを有し、各々のセルの内部で発射シーケンサに接続されている。発射シーケンサは、その発射筒に関連付けられたコードを解読することで発射筒内のミサイルを識別する電子組立である。発射シーケンサは、識別されたミサイルに対して信号(例えば点火信号、安全信号など)のシーケンスを生成することによって、制御のより高いレベルからの、戦闘準備及び点火の信号にも対応する。これらの信号は、へその緒状のケーブルを介して、発射を制御するために、発射筒及びその中のミサイルへと伝達される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
海軍艦隊に新たな砲弾(munition)の能力を提供することへの大きな障害は、発射装置に関連する改造の極端に高いコストである。特に、新たな砲弾を、既存の主砲(main battery)発射システムに統合することは、一般的には、新しい発射筒についての、梱包、取り扱い、輸送の設計と認定を必要とする。更に、既存の主砲ホスト発射装置(host−launcher)電子回路及びソフトウェアを、新規に開発された発射筒の中の砲弾のラウンド(round)の各々への、動力と、インターフェースを提供するために、適切に改造しなければならない。それに加えて、新たな砲弾を統合することは、一般的には、新たな砲弾のための、発射装置のガス管理システムを再認定することを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、新たな砲弾を既存の主砲発射装置に統合するためのコストを削減する方法を開発することは、利益があることである。
【0006】
例示した本発明の実施の形態は、新たな及び既存の砲弾に関する、単一のセルの、垂直発射システム(以降では、「適応可能な(adaptable)発射システム」または、「ALS」とする)である。
【0007】
いくつかの実施の形態では、ALSは、独立の発射装置として用いられる。いくつかの別の実施の形態では、ALSはマルチセルの「ホスト」発射システム(例えばMk41またはMk57VLS主砲発射装置)のセルの中の、「ゲスト」の発射装置として用いられる。その独立の、またはゲストの発射装置の応用のいずれであっても、ALSは、単一の砲弾または、その単一発射セルの中でより小さな砲弾の「マルチパック」を収容することができる。
【0008】
ALSが新たな砲弾を既存の主砲発射システムに統合することに関連する問題を処理することは、特に、ゲスト発射装置としての、その能力の範囲内である。これに関しては、ALSは、Mk41またはMk57発射装置のセルの中に受け入れられるような、発射筒に入ったラウンドとは類似していない。むしろ、ALSは発射に必要とされる機能の大部分を含んで、動作している。ALS自身が、取り外し可能な「砲弾アダプタ」の中に、発射筒に入った砲弾を受け入れる。多数のバージョンの「砲弾アダプタ」を提供することは、ALSが、異なるタイプの砲弾を適応させることを可能とする。ALSは、既存の認定された発射筒と砲弾を、改造なしに、有利に使用する。このことは、ALSの中で、可能な限り、以前の応用で開発された、機械的、電気的な、ハードウェア、ソフトウェア及びロジックを再利用することによってなされる。結果として、ゲスト/ホスト機能を確立するような、ALSの存在に適応するための、主砲発射装置への一回限りの改造が必要とされる。砲弾に関する、統合/適応の詳細は、ALS自身の内部で取り扱われる。
【0009】
要約すると、ALSの以下の特徴が、少なくとも開発上のまたは繰り返しのコストの削減の点から、その有益さに貢献している。
・独立の発射装置として、または、択一的に、それに限定はされないが、主砲発射装置(例えばMk41またはMk57垂直発射システム)のようなホスト発射装置と連結したゲスト発射装置として、動作する能力。
・ALSの存在に適合するように、既存の主砲発射装置を一回限りの改造することを要求されるアーキテクチャ。全ての将来の小さな砲弾の統合/適応の詳細は、ALS自身の内部で取り扱われる。
・(多目的の発射装置よりも)各々の新たな砲弾の具体的な注文に合わせることを容易にするオープンアーキテクチャ。
・(例えば、Mk41及びMk57システムで行われている、発射筒の交換による発射済みの砲弾の交換より、むしろ)他のものが使用されたときに、新たな砲弾を繰り返し搭載できるように、ホスト発射システムのセルに設けられる、半永久的な機械的構造。
・(ALS自身の発射筒としての開発及び使用よりも)砲弾の、船外での保管、運搬、装填、及び発射のために、既存のUSN認定済みAURs(All Up Round)の使用を可能とする、取り外し可能な内部砲弾アダプタ組立。
・ホスト発射装置の機器とインターフェースする発射制御用電子回路と、マルチ砲弾システムの発射装置のレベルでの機能に関する能力。
・(その目的のために機器を開発または改良するよりも)新たな砲弾の具体例に対して、発射装置機器(例えばインタフェースなど)を再使用する能力。
・軽量でカプセルに包まれた砲弾室を提供する、発射装置の外側の構造としての複合材料の使用。これは、発射装置の使用可能な内部スペースの量を増加させ、ホスト発射装置のスペースから、排気ガスの隔離を提供する。
・オープンで、アクセス可能な電子回路室。それはホスト発射装置システムの中に設けられているが、そこでは、ALS発射制御電子回路への保守用アクセスが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の例示の実施の形態に従って、適応可能発射システムを取り付けて改造された、ホスト発射装置、特にMK41VSLを示した図である。
【図2】図1のALSの外側の構造を示した図である。
【図3】図1のALSの内側で、砲弾アダプタ、砲弾室内の砲弾、及び電子回路室内の制御電子回路を示す図である。
【図4】砲弾アダプタの更に詳細を示した図である。
【図5A】−
【図5E】種々の、砲弾に固有の、砲弾アダプタの実施の形態を示した図である。
【図6】図4の砲弾アダプタの更に詳細を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここに開示される適応可能発射システム(ALS)は、独立の発射装置としても、主砲ホストシステムのゲスト発射装置としても使用することができる。前者の応用が、ずっとわかりやすい応用であるので、後述の開示の大部分は、ALSの既存の主砲発射装置との統合に関連するものになっている。
【0012】
図1は、本発明の例示の実施の形態に従う、改造されたマルチセル発射装置(RMCL)100を示している。RMCL100は、マルチセル・マルチ砲弾の発射装置(MCL)102及びALS112を含んでいる。ここに示される実施の形態では、MCL102は、MK41VLS主砲発射装置であって、それは、ゲスト発射装置として、そのセルの中のALS112ユニットを動作させるように適切に改造されている。他の実施の形態では、他のホスト発射装置(例えばMK57VLSなど)がMCL102として適宜、使用されうる。この開示に関連して、この技術分野の当業者であれば、ALS112を受け入れるために、ホスト発射装置を改造するやり方は、理解できるであろう。ゲスト発射装置としてALS112の動作を許容するための、MCL102への改造は、セルの甲板・ハッチ組立108の改造、必要な動力用及びデータ用の配線の改造及び施工、ホスト発射装置の戦略ソフトウェアの改造、及びホスト発射装置の副次的ソフトウェアの改造を含むが、それに限定されない。この技術分野の当業者は、本開示を読んだ後では、要求された改造をなすことができるであろう。
【0013】
図1に示すように、MCL102は、固定された垂直のマルチミサイルの貯蔵及び発火システムである。ミサイル発射装置は、多様な、異なるタイプのミサイルの発射が可能な、単一の、8個のセルのミサイルモジュールからなる。8個のセルのモジュールは、8個のセルを区切る直立構造104を有する。典型的なMK41VSLユニットでは、それらのセルは、8個のミサイル発射筒のための垂直な保管スペースを提供する。しかし、例示の実施の形態に従えば、セル106が、ALS112ユニットを受け入れる。
【0014】
モジュールの最上部にある甲板・ハッチ組立108のみが船の甲板から目視できるような状態で、MCL102としてのMK41VSLが甲板の下に据え付けられている。甲板・ハッチ組立は、保管中のALS112(または、従来のMK41VSLでは、ミサイル発射筒)を保護し、そのハッチは、砲弾発射を可能にするように開く。(図1には示されないが)高圧排気構造が、モジュールを貫いて垂直に上方へ、排気ハッチを通して大気中へと、ミサイルの排気ガスを捕らえて換気する。
【0015】
電子機器110は、MCL102の種々の要素を監視し、制御し、RMCL100の外部で発せられる動力信号をALS112ユニットに分配し、制御及び障害制御信号をALS112から収集し、それらを適切な権限に伝達し、ALS112ユニットからの砲弾の発射を支援する。
【0016】
図1に示されるALS112の顕著な特徴は、容器114、砲弾アダプタ116、及び発射制御電子回路118を含むことである。これらの特徴は以下に簡単に述べられ、また、更に詳細には図2、3、4及び6と関連づけて、この明細書の中で後に述べられる。
【0017】
容器114は、砲弾アダプタ116及び発射制御電子回路118のハウジングとして役に立つ。砲弾アダプタ116は、それが携行する砲弾に固有である。砲弾アダプタ116の種々の実施の形態が、ミサイル、アクティブデコイ(active decoy)、及び無人飛翔体(unmanned aerial vehicles)(UAVs)のために使用される。これらは、後に図5A−図5Eと関連づけて説明される。
【0018】
砲弾は、それ自身の武器制御システム(weapon control system)(WCS)の制御の元で、特定の砲弾タイプに合わせた発射制御電子回路118の具体化によって、ALS112から発射される。発射制御電子回路118は、電力を砲弾に供給し、発射シーケンスを管理する。多くの実施の形態では、電力分配サブ組立及び少なくともいくつかの配線は、「概念的には」ここに開示されるALSの部分ではあるが、ALS112自身には含まれない。むしろそれらの要素はホスト発射装置に関連付けられる。
【0019】
ガス及びグリーンウォータ(green water)の管理は、ALS112によって提供され、それによって、ホスト発射装置の管理システムを変更する必要は避けられる。ホストハッチシステム(例えば甲板・ハッチ組立108など)は、異常な、不慮の、または規制された点火(restrained firing)の事態の下で、排気ガスの換気を可能にするために、砲弾のタイプの機能として、改造が必要とされるかもしれない。
【0020】
ALS112は、以下のようにしてMCL102(MCLがMK41VSLであるときには)に搭載される。砲弾アダプタ116と砲弾発射制御電子回路118が内蔵された状態で、ALS112は、水平方向で、ドックサイドに運搬される。「チルトフィクスチャ(tilt fixture)」がALS112を垂直方向に回転させるために使用される。その後、垂直の「ストロングバック(strong back)」がALS112に取り付けられ、ドックサイドのクレーンが、船の上のMCL102の指定されたセルの中にALS112を搭載するために使用される。
【0021】
その後、作業員が「ドッグダウン(dog−down)」を用いて、従来のミサイル発射筒でなされたのと同様なやり方で、セルの中でALS112をしっかり固定する。その後、へその緒状の、及び他の必要とされるケーブルが取り付けられる。最初の据付の一部として、MCLの標準ハッチは、ALSが従来形のMCLから通常は点火されないような砲弾で充填される限りにおいて、ALS112内の砲弾に適合するハッチと交換される。
【0022】
ALS112は、MCL102のセルの中での半永久的な据付として意図されている。ALS112は、要求が変化すれば、取り外し、または場所を変えることができるが、一般的にはその場所に残り、それまでのラウンドが発射されるか、または別のことで取り外されたときに、砲弾の新たなラウンドが再び充填される。このことは、それまでに発射筒に貯蔵された砲弾が発射された後で、発射筒がMK41VSLのような発射装置から取り外され、その後に、新たなミサイルを持つ発射筒に交換されるような、従来使用された発射筒とは対照的である。繰り返すが、ALSは、発射筒に入った砲弾とは、類似していない。
【0023】
図2は、容器114の更なる詳細を示し、図3は、その容器内の、砲弾アダプタ116及び発射制御電子回路118の位置関係に関し、更に詳細を示している。
【0024】
図2を参照すると、容器114は、外殻(shell)220、密封隔壁222、砲弾室224、電子回路室226、電子回路アクセス路230、頂部枠/密封部232、及び底部枠234からなる。
【0025】
外殻220は、Mk41発射筒の物理的要求(例えば寸法、形状など)を満たしている。外殻220は、適切な標準(例えばMIL−STD2031、DDS078−1など)を満たす複合材料で形成されている。外殻220は、タクティカル・レングス(tactical length)、ストライク・レングス(strike length)の両方の発射装置での応用に適合するような寸法になっている。ALS112のいくつかの「独立の」実施の形態に関しては、発射制御電子回路118のいくつかは、寸法の制約から外殻220の外側に位置している。
【0026】
(図2に破線で示される)密封隔壁222は、砲弾アダプタ116(図1及び図3)を収容している砲弾室224を、発射制御電子回路118(図1及び図3)を収容している電子回路室226から分離する。密封隔壁は、砲弾の排気ガスが、電子回路室226及び船の発射装置スペースに入るのを防ぐことで、ガス管理システムの一部として働く。
【0027】
ALS112は、(砲弾の発射筒として働くのではないので)前方への飛翔(fly−through)カバーを含まず、輸送や保管のために別の方法で密封されることもない。実際に、この明細書で後に述べるように、ALS112は、船上に搭載されるまで、砲弾を保持していない。従って、容器114の上端部228に配置されている頂部枠兼モジュール密封部232が、MCL102の甲板・ハッチ組立108と協同して、排気ガスがその船の発射装置スペースに入ることを防止する密封部を形成する。
【0028】
電子回路室226は密封されない。電子回路室へのアクセスは、電子回路アクセス路230によって提供される。電子回路アクセス路はALS112がMCL102に設置されたときに、以下の3つの機能を提供する。
1.電子回路の保守のための、電子回路室226へのアクセスを提供する。
2.充填作業の間に、砲弾アダプタ116の底部を、隔壁222に固定するためのアクセスを提供する。
3.発射制御電子回路118と砲弾室224に収められた砲弾との間の、電気的な接続のためのアクセスを提供する。
【0029】
図3を参照すると、砲弾室224の中に置かれた砲弾アダプタ116は、砲弾に固有の枠組立340及び砲弾延長組立342を含んでいる。電子回路室226に置かれた発射制御電子回路118は、発射制御モジュール346及び発射制御電子回路348からなる。
【0030】
砲弾に固有の枠組立340は、発射筒に入った砲弾344を受け入れる。この特定の実施の形態では、枠組立340は、4本の発射筒に入った砲弾を受け入れる、4本パック枠組立である。図示の実施の形態では、発射筒に入った砲弾344は、NULKAアクティブデコイである。先に述べたように、砲弾に固有の枠組立340の形状は、使用される特定の砲弾(図5Aから図5Eを見よ)によって変化する。砲弾に固有の枠組立340は、図4と関連づけて更に詳細に述べられる。
【0031】
砲弾延長組立342は、ALS112を異なる寸法の砲弾に適合させることを可能とする。明確には、砲弾延長組立の長さは、使用される砲弾タイプの長さに基づき、砲弾室224の余分な長さを満たすように変化する。多くの実施の形態では、特定の砲弾延長組立342の長さは可変ではなく、複数の、異なる長さの砲弾延長組立が、砲弾の長さの差異に適合するために製作される。砲弾延長組立342の基部は、砲弾344の発射または規制された点火の間に発生する排気ガスに曝されないように、密封隔壁222に対して、密封される。砲弾延長組立342は、図6と関連づけて更に詳細に述べられる。
【0032】
図4は、砲弾アダプタ116の、砲弾に固有の枠組立340の追加の詳細を示す。図4に示す実施の形態では、砲弾アダプタ116は、頂部締め金(brace)450、保持具(retainer)452、直立支柱454、及び基部456からなる。
【0033】
この実施の形態では、基部456が、砲弾に固有の枠組立340の中に最終的に装填される、(図4には示されない)砲弾発射筒の底部を受け入れる。保持具452は、砲弾を、枠組立の中で安定させる。直立支柱454は、砲弾に固有の枠組立340に剛性を与えるために、基部456と頂部締め金450とを連結する。
【0034】
図5Aから図5Eは、5つの異なるタイプの砲弾とともに使用される、砲弾に固有の枠組立340の5つの異なる実施の形態を示す。図5Aは、NULKAアクティブデコイ344A(図4も併せて見よ)とともに使用される、砲弾に固有の枠組立340Aを示す。図5Bは、回転機体ミサイル(rolling airframe missile)(RAM)344Bとともに使用される、砲弾に固有の枠組立340Bを示す。図5Cは、精密攻撃ミサイル(precision attack missile)(PAM)344Cとともに使用される、砲弾に固有の枠組立340Cを示す。図5Dは、無人飛翔体(UAV)344Dとともに使用される、砲弾に固有の枠組立340Dを示す。図5Eは、ヘルファイアミサイル(hellfire missile)344Eとともに使用される、砲弾に固有の枠組立340Eを示す。砲弾に固有の枠組立340Aから340Cまでと、340Eは、4本パックであり、4つの発射筒に入った砲弾を受け入れる。
【0035】
図6に、砲弾延長組立342についての更に詳細を示す。図6に示されるように、砲弾延長組立は、インタフェース板660、垂直衝撃隔離部662、延長部材664、及び基部666を含む。
【0036】
砲弾延長組立342は、(延長部材664の長さの機能として)ALS112に異なる長さの砲弾への適応能力を提供する以外にも、いくつかの目的のために機能する。特に、砲弾延長組立の垂直衝撃隔離部662は、砲弾に固有の枠組立340の内部での砲弾の衝撃防止機能を提供する。また、種々の電気的コネクタが、インタフェース板660及び基部666の近辺に用意されており、これらが、(図示しない)ケーブルと共同して、発射制御電子回路118と、枠組立340の中の砲弾344との間での電気的な接続を行う。密封隔壁222と基部666の間に位置する(図示しない)密閉板が、排気ガスの漏洩、及び開いた、または漏れるハッチによる、いかなるグリーンウォータの浸入をも防止する。
【0037】
多くの実施の形態では、ALS112と連動して使用される砲弾は、発射筒を有し、発射筒と「AUR」(オールアップラウンド)のコンフィグレーションを、輸送、保管、発射の能力のために、使用するであろう。このことは、発射筒をALS112に統合するための、開発及び繰り返しのコストを削減する。ALSは、AURを受け入れるが、ALS自身がAURとして機能する訳ではない。
【0038】
以下に、NULKAオールアップラウンド344A(例えば図5Aを参照)をALS112に装填するプロセスの例を提供する。NULKA電子デコイカートリッジ334Aは船荷用のコンテナではなく、追加のコンテナが船荷用には使用される。従って、NULKA AURを船へと輸送するために、各々のNULKA AURが、船荷用コンテナに搭載される。船荷用コンテナは、船の甲板まで運ばれ、そこでNULKA AURが取り外される。
【0039】
作業員は、容器114と砲弾アダプタ116の結合を解き、ドックサイドのクレーンを使用して、MCL102のセルの中のALS112から、砲弾アダプタを部分的に抜き出す。(砲弾アダプタは、容器114の頂部228(図2参照)から抜き出される。)砲弾アダプタは、少なくとも、砲弾に固有の枠組立340が船の甲板上に出る地点まで、抜き出される。作業員は、消費されたり不発だったなどのAURを取り除き、新たなAURを砲弾アダプタ116の枠組立340の中へ装填する。
【0040】
装填が完了したら、ドックサイドのクレーンは、砲弾アダプタ116を(まだMCL102の中にある)容器114の中に、降ろして戻す。作業員はその砲弾アダプタを容器114へと再び結合し、また、その砲弾アダプタを発射制御電子回路118に結合する。
【0041】
図2に戻ると、発射制御電子回路118は、密封隔壁222の下の、電子回路室226の中に配置される。例示の実施の形態では、その発射制御電子回路は、発射制御モジュール346と、砲弾に固有の電子回路348とを含む。
【0042】
砲弾に固有の電子回路348は、一般的には、既存の発射装置で、特定の砲弾のために供給されるものと同じユニットである。例えば、NULKAで具体化された発射制御電子回路118の場合は、砲弾に固有の電子回路348は、2個のMK174プロセッサパワーサプライである。これらは、MK53DLS甲板設置の迫撃砲(mortar)タイプの防御(coutermeasure)システムの、NULKAラウンドに使用されたものである。砲弾に固有の電子回路348は、動力、データ、砲弾への砲活性化(ordnance activation)制御を提供し、また、限定的な発射制御機能を果たす。
【0043】
発射制御モジュール346は、砲弾の武器制御システム、砲弾に固有の電子回路348、及びホスト発射装置(例えばMK41など)の間の、制御/通信を調整する。発射制御モジュール346は、特定の砲弾タイプとともに使用されるために開発される。それは、その後、他のタイプの砲弾のために、適切なハードウェア及びソフトウェアの改造を行って、再使用される。その改造は、ホスト発射装置ではなく、ALS112に関係する。
【0044】
a.ホスト/ゲスト通信
ホスト発射装置MCL102とALS112の間の通信は、MK41VSLをホスト発射装置とし、ALSをNULKAとした具体例の場合について、以下に述べられる。
【0045】
NULKA MK24デコイ発射プロセッサは、発射制御モジュール346と、直接、通信する。そして、その発射制御モジュールが、MK24デコイ発射プロセッサとプロセッサ電力供給部348との間の、既存のRS−422(シリアルバス)メッセージの転送を制御する。発射制御モジュール346は、ハッチ操作及び発射調整動作を、MCL102と調整する。
【0046】
ALS112の識別コードが、発射シーケンサ110とMCL102の発射制御ユニットに伝送される。
【0047】
b.発射動作
ゲスト発射装置として使用されるときは、ALS112は砲弾を発射することに関連する大部分のタスクを実行し続ける。しかし、ホストによって提供される機能に関して、ホスト−MCL102−と調整をするであろう。このような機能は、ALS112がMCL102によって提供される機器を使用するためのものであり、より高度の、ホスト発射装置レベルで処理されるべき操作上の考慮を含んでいる。このような機能は、
・操作上の準備完了の調整
・ハッチ管理
・他のホスト及び船の活動との、発射の調整
・自立の、ホストの、及び障害の管理
を含むが、これに限定されない。
【0048】
c.インベントリ制御及び発射プロセスの開始
ALS112はへその緒状のケーブルを通して、MCL102にIDを提供する。このIDは、そのMCLに特定のセルがALS112で占有されていることを知らせるが、そのALSに収容されている砲弾タイプは特定しない。従って、MCL102が、セルにALS112が存在することを通知されたときには、そのMCLは、砲弾に固有の情報(例えば砲弾の戦闘タイプ−AAW、ASW、SUW、その他、発射レートデルタ(rate deltas)など)に関して、ALS112に、適切な時機に問い合わせることが必要である。いくつかの実施の形態では、このことは、ALS112とMCL102の間のメッセージを介して達成される。これらのメッセージ及び関連する制御機能は、ALS112と共に使用される、全ての将来の砲弾を取り扱う自由度を提供し、それによって、そのような砲弾を統合するための関連コストを削減する。
【0049】
発射プロセスを開始するためには、ALS112の砲弾のための武器制御システムが、希望するセル及び(セルの中に多数の砲弾がある場合は)セル内の特定の砲弾の選択を調整する。このプロセスは武器制御システムによって駆動されるが、MCL102は、一般的には、動力供給などの約束、または、使用不可の機器に関連する問題、アブラティブ(ablative)問題などにより、好みの砲弾の選択の使用が妨げられるかもしれない、他の進行中の発射アクティビティを有しているであろう。
【0050】
d.発射シーケンス
ALS112とMCL102の間のメッセージ通信は、そのALSの中の発射制御電子回路118とMCL102のの中の発射制御ユニットとの間のメッセージ通信である。発射シーケンスのいくつかの態様は、砲弾タイプによって変化しうる。砲弾の1つのカテゴリーでは、そのシーケンスは、砲弾の武器制御システム、発射制御電子回路118、及び(ミサイルの準備、最終の点火、発射出口(egress)に関する)砲弾を必要とするが、1つのサブシーケンスの最後までMCL102との関連は持たない。別のカテゴリーでは、シーケンスは、MCL102の内部のプロセスを必要とするが、1つのサブシーケンスの最後まで、ALS112との関連は持たない。MCL102とALS112との間の調整は、各々のサブシーケンスの完了時のみに必要とされる。
【0051】
いくつかの実施の形態では、ALS112とMCL102との間では、調整ポイントが5つだけある。従って、ALSとMCLの発射シーケンスの統合は、全ての引き続く砲弾のための、一回限りのタスクであり得る。垂直発射システムにおけるALS112によって発射されるどんな砲弾に関しても、調整ポイントは、
(1)ALS112内の発射制御電子回路118が、MCL102内の発射制御ユニットに、その発射制御電子回路118が、適切な武器制御システムによって、砲弾を発射するように選択されたことを告げる。
(2)MCL102内の発射制御ユニットが、発射制御電子回路118に、MCL102がセルと発射操作のために調整を完了し、発射制御電子回路118が準備に進んでもよいことを告げる。
(3)発射制御電子回路118が、MCL102内の発射制御ユニットに、砲弾は発射される準備ができていると告げ、発射の許可を要求する。
(4)MCL102内の発射制御ユニットが、発射制御電子回路118に、砲弾を発射する命令を与える。
(5)発射制御電子回路118が、MCL102内の発射制御ユニットに、MCL102がハッチを閉じるために、砲弾がいつ離れたかを告げる。
である。
【0052】
例えば、規制された解放のように、いくつかの、砲弾に固有のプロセスが、現在は、ホスト発射装置(例えばMk41VLS)によって行われている。しかし、このことは、各々の砲弾によって変化し、統合の費用に加算される。これらの砲弾に固有の機能を、ALS112の中に設けることによって、それらの特徴は、ALS112の、砲弾に固有の具体化の一部になり、最初の具体化の後では、ホスト(すなわち、MCL102)への更なる改造を必要としないようになるであろう。
【0053】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0054】
100 RMCL
102 MCL
104 直立構造
106 セル
108 甲板・ハッチ組立
112 ALS
114 容器
116 砲弾アダプタ
118 発射制御電子回路
220 外殻
222 密封隔壁
224 砲弾室
226 電子回路室
228 上端部
230 電子回路アクセス路
232 頂部枠/密封部
234 底部枠
340 枠組立
342 砲弾延長組立
344 砲弾
346 発射制御モジュール
450 頂部締め金
452 保持具
454 直立支柱
456 基部
660 インタフェース板
662 垂直衝撃隔離部
664 延長部材
666 基部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一セルの垂直発射システムを有する装置において、
前記垂直発射システムは、ホスト発射装置の中でゲスト発射装置として使用され、 前記発射システムは、
(A)容器と、
前記容器の中に密封隔壁が配置され、前記密封隔壁が前記容器を砲弾室と電子回路室に分離する、
(B)前記砲弾室の中に配置された砲弾アダプタと、
前記砲弾アダプタは、
(a)砲弾に固有の枠組立と、
前記砲弾に固有の枠組立は、少なくとも1個の、特定の発射筒に入った砲弾を受け入れ、また、前記砲弾に固有の枠組立は、前記特定の発射筒に入った砲弾を受け入れるために、外殻から少なくとも一部分は取り外し可能である、
(b)砲弾延長組立と、
前記砲弾延長組立は、細長い胴部(body)を有し、前記細長い胴部の長さは前記特定の砲弾の大きさの相関要素として選択される、
を有し、
(C)前記電子回路室に配置された発射制御電子回路と、
前記発射制御電子回路は、
(a)特定の砲弾に対して、動力、データ、及び、砲弾への砲活性化制御を提供するための、及び、限定的な発射制御機能を果たすための、砲弾に固有の電子回路と、
(b)特定の砲弾の武器制御システム、砲弾に固有の電子回路、及びホスト発射装置との間の通信を調整するための発射制御ユニットと、
を有し、
を有する
ことを特徴とする単一セルの垂直発射システムを有する装置。
【請求項2】
前記ホスト発射装置は、複数のセルを持ち、そのセルの1つに単一セル垂直発射システムが配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ホスト発射装置が、MK41VSLである
ことを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記砲弾に固有の枠組立が、4個の発射筒に入った砲弾を収容する
ことを特徴とする請求項1記載の発射システム。
【請求項5】
前記砲弾延長組立が、前記砲弾に固有の枠組立の中の発射筒に入った砲弾を衝撃から隔離する衝撃隔離部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の発射システム。
【請求項6】
前記電子回路室が、アクセス路を有し、
前記アクセス路は、前記発射システムが前記ホスト発射装置の中に据え付けられたときに前記電子回路室へのアクセスを提供する
ことを特徴とする請求項2記載の発射システム、
【請求項7】
前記発射システムの頂部が、前記ホスト発射装置のハッチ・甲板組立に対して密封されるまで、開放されている
ことを特徴とする請求項1記載の発射システム。
【請求項8】
前記発射制御モジュールが、前記ホスト発射装置と電気的に通信している
ことを特徴とする請求項2記載の発射システム。
【請求項9】
単一セルの垂直発射システムにおいて、
前記発射システムが、ホスト発射装置の中でのゲスト発射装置としての使用に適しており、前記垂直発射システムが、
(A)容器と、
前記容器は、ホスト発射装置の中に受け入れられるように寸法が決められ、アレンジされている、
(B)砲弾アダプタと、
前記砲弾アダプタは、前記容器の中に配置され、第1の複数の発射筒に入った砲弾を受け入れ、前記第1の複数の発射筒に入った砲弾が点火された後で、第2の複数の発射筒に入った砲弾を受け入れるために、前記砲弾アダプタの一部が、取り外し可能になっており、更に前記砲弾アダプタの一部が取り外されたときにも、前記容器は残る、
(C)前記ゲスト発射装置が前記ホスト発射装置と物理的に及び電子的に通信することを可能にするインターフェースと、
を有する
ことを特徴とする単一のセルの垂直発射システム。
【請求項10】
前記発射筒入りの砲弾が、ミサイルである
ことを特徴とする請求項9記載の発射システム。
【請求項11】
前記発射筒入りの砲弾が、無人飛翔体である
ことを特徴とする請求項9記載の発射システム。
【請求項12】
前記発射筒入りの砲弾が、アクティブデコイである
ことを特徴とする請求項9記載の発射システム。
【請求項13】
前記砲弾アダプタが、発射筒に入った砲弾を受け入れる、砲弾に固有の枠組立と、その長さが発射筒に入った砲弾の長さの相関要素である、砲弾延長組立と、を更に有することを特徴とする請求項9記載の発射システム。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−509389(P2011−509389A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534291(P2010−534291)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/084115
【国際公開番号】WO2009/108231
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(504242618)ロッキード マーティン コーポレーション (19)