説明

遺体用衣部

【課題】 従来、抗菌剤を張り合わせたシートで遺体を包むものは最後のお別れをするために対面する人達には奇異に感じられ、更に、ドライアイスに代わる保冷材パックを用いるものは、ドライアイスと同じような課題を有し、更には、使用後の保冷材パックの処理にも課題がある。
【解決手段】 遺体用衣部は上半身用衣部1と下半身用衣部2とから成り、上半身用衣部は長手方向を2つ折りに折曲させて折曲線1aを設け、折曲線から頭部切り込み線1bを形成し、頭部切り込み線から下辺に前部切り込み線1cを形成すると共に、下半身用衣部2は下半身に巻き付けるように両端上部に紐2aを延設させたお腰状としたものであり、更に、遺体用衣部は不織布で形成し、不織布に防腐防臭剤を含浸させるものであり、更には、防腐防臭剤はジクロロイソシアル酸ナトリウムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺体に着せる経帷子の内側に内装する遺体用衣部に関するものであり、更に詳細には、遺体に着せる経帷子の内側に容易に着せることができ、更には、防腐防臭を目的とする遺体用衣部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遺体を腐食から保護する方法として大量のドライアイスを用いて0℃〜−30℃程度まで温度を下げて、お通夜等のために一昼夜以上保冷状態で保存することが広く行われてきたが、ドライアイスは地球温暖化の要因となる二酸化炭素を大量に放出すると共に、低温化させた遺体は夫々保冷されている条件が異なり、火葬する際条件の設定が困難であり、更に、残っているドライアイスにより酸欠状態と成ったりすることから火葬場でダイオキシンが発生している事実が判明し、近年では、シートに抗菌剤を張り合わせて遺体を包む(特許文献1参照)ものや、ドライアイスに代わる保冷材パックを用いているもの(特許文献2参照)が考慮されつつある。
【特許文献1】実用新案登録第3043181号公報
【特許文献2】実用新案登録第3084099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
然し乍ら、特許文献1に記載されているような、抗菌剤を張り合わせたシートで遺体を包むものは最後のお別れをするために対面する人達には奇異に感じられ、更に、特許文献2に記載されているような、ドライアイスに代わる保冷材パックを用いるものは、ドライアイスと同じような課題を有し、更には、使用後の保冷材パックの処理にも課題を有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前述の課題に鑑み、鋭意研鑽の結果、遺体に着せる経帷子の内側に内装する遺体用衣部であって、遺体用衣部は上半身用衣部と下半身用衣部とから成り、上半身用衣部は長い矩形状に形成する共に長手方向を2つ折りに折曲させて折曲線を設け、折曲線から頭部切り込み線を形成し、頭部切り込み線から下辺に前部切り込み線を形成すると共に、下半身用衣部は下半身に巻き付けるように両端上部に紐を延設させたお腰状としたものであり、更に、遺体用衣部は不織布で形成し、不織布に防腐防臭剤を含浸させるものであり、更には、防腐防臭剤はジクロロイソシアル酸ナトリウムとするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の遺体用衣部は、前述の構成により、上半身用衣部と下半身用衣部とから成り、上半身用衣部は長い矩形状に形成する共に長手方向を2つ折りに折曲させて折曲線を設け、折曲線から頭部切り込み線を形成し、頭部切り込み線から下辺に前部切り込み線を形成すると共に、下半身用衣部は下半身に巻き付けるように両端上部に紐を延設させたお腰状としたことにより、遺体に容易に着せることができ、遺体用衣部を不織布で形成し防腐防臭剤を含ませることにより、遺体を冷却しなくとも腐敗の進行をさせないとこから、ドライアイスが不要であり、二酸化炭素の排出を抑えると共に、雰囲気中の温度で遺体を経時保存できるため火葬の時間の設定が容易なものであり、画期的で実用性の高い発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、遺体に着せる経帷子の内側に内装する遺体用衣部に関するものであり、更に詳細には、遺体に着せる経帷子の内側に容易に着せることができ、更には、防腐防臭をする遺体用衣部に関するものであり、請求項1に記載の遺体用衣部は、遺体に着せる経帷子Aの内側に内装する遺体用衣部であって、該遺体用衣部は上半身用衣部1と下半身用衣部2とから成り、前記上半身用衣部1は人間の上半身を前後から覆う長い矩形状に形成する共に長手方向を2つ折りに折曲させて折曲線1aを設け、該折曲線1aから人間の頭部が貫通する略コ字状又は略半円形状の頭部切り込み線1bを形成し、該頭部切り込み線1bの中央から下辺に直線状の前部切り込み線1cを形成すると共に、前記下半身用衣部2は人間の下半身に巻き付けるように両端上部に紐2aを延設させたお腰状としたものである。
【0007】
更に、請求項2に記載の遺体用衣部は、請求項1に記載の遺体用衣部において、前記上半身用衣部1と下半身用衣部2の遺体用衣部は不織布で形成し、該夫々の不織布に防腐防臭剤を含浸させるものである。
【0008】
更には、請求項3に記載の遺体用衣部は、請求項2に記載の遺体用衣部において、前記防腐防臭剤はジクロロイソシアル酸ナトリウムとするものである。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の遺体用衣部の実施の形態の図面によって具体的に説明すと、図1は本発明の遺体用衣部の実施の形態の概要を説明するための概要説明図であり、図2は本発明の遺体用衣部の実施例の経帷子の説明図であり、図3は本発明の遺体用衣部の実施例の上半身用衣部の説明図であり、図4は本発明の遺体用衣部の実施例の下半身用衣部の説明図である。
【0010】
即ち、本発明の遺体用衣部の上に着衣させている経帷子A(仏衣)は図1及び図2に図示する如く周知の従来から用いられている白いさらしで作られた死装束であり、遺体用衣部は上半身用衣部1と下半身用衣部2とから成り経帷子Aの内側に着せるものである。
【0011】
そして、上半身用衣部1は人間の上半身の胸部と腹部と背部と腰部とを前後から覆う長い矩形状に形成する共に、長手方向を2つ折りに折曲させて折曲線1aを設けているもので、つまり、折曲線1aを介して裏側は人間の上半身の背部と腰部を覆い、表側は胸部と腹部とを覆う大きさのものである。
【0012】
次いで、頭部切り込み線1bは表側の折曲線1aから人間の頭部が貫通する略コ字状又は略半円形状切り込みを入れているものであり、頭部切り込み線1bの内側布は遺体の頭部の下に位置させるものである。
【0013】
更に、前部切り込み線1cは頭部切り込み線1bの中央から下辺に直線状に形成したもので、前開きとして両側の肩部から胸部と腹部とを覆うものである。
【0014】
更には、下半身用衣部2は、図4に図示する如く、お腰状に形成しているもので、腰部から足先を除く下半身を捲着できる大きさとし、両端上部に紐2aを延設させているものである。
【0015】
そして、遺体に着せるときは経帷子Aの上の下方に下半身用衣部2の位置を合わせて開いた状態で載置して、下半身用衣部2の上方辺を上半身用衣部1の下方辺と重複させると共に、上半身用衣部1の裏側の位置を合わせて開いた状態で載置し、遺体を寝かして頭を頭部切り込み線1bの内側布に乗せ、前部切り込み線1cの両側の布を遺体の胸部から腹部にかけて乗せ、下半身用衣部2を捲着させて紐2aを縛り、経帷子の前を閉じるもので、マジックテープ1d.2bは適宜に取り付けているものである。
【0016】
そして、上半身用衣部1と下半身用衣部2とは不織布で形成しているもので、不織布はレーヨン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を布状にしたものである。
【0017】
更には、前記遺体用衣部の不織布に含ませる防腐防臭剤はジクロロイソシアル酸ナトリウムを用いているもので、ジクロロイソシアル酸ナトリウムは細菌に対して強力な殺菌力を持っており、循環風呂の管理や、プール等でも用いられており、濃度にもよるが人体に対しては比較的安全なものであり、後には自然分解されるものである。
【0018】
更には、余分に肌着地をセットしておくことにより、手甲、脚絆、足袋等の内側に貼付して用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の遺体用衣部は、上半身用衣部と下半身用衣部とから成り、上半身用衣部には折曲線と頭部切り込み線と前部切り込み線とを形成したことにより、容易に遺体に着せることを可能とすると共に、遺体用衣部を不織布で形成し防腐防臭剤を含ませることにより、遺体を冷却しなくとも腐敗の進行をさせないとこから、ドライアイスが不要であり、二酸化炭素の排出を抑えると共に、雰囲気中の温度で遺体を経時保存できるため火葬の時間の設定が容易なものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 図1は本発明の遺体用衣部の実施の形態の概要を説明するための概要説明図である。
【図2】 図2は本発明の遺体用衣部の実施例の経帷子の説明図である。
【図3】 図3は本発明の遺体用衣部の実施例の上半身用衣部の説明図である。
【図4】 図4は本発明の遺体用衣部の実施例の下半身用衣部の説明図である。
【符号の説明】
【0021】
A 経帷子
1 上半身用肌着
1a 折曲線
1b 頭部切り込み線
1c 前部切り込み線
2d マジックテープ
2 下半身用肌着
2a 紐
2b マジックテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺体に着せる経帷子の内側に内装する遺体用衣部であって、該遺体用衣部は上半身用衣部と下半身用衣部とから成り、前記上半身用衣部は人間の上半身を前後から覆う長い矩形状に形成する共に長手方向を2つ折りに折曲させて折曲線を設け、該折曲線から一方側の布に人間の頭部が貫通する略コ字状又は略半円形状の頭部切り込み線を形成し、該頭部切り込み線の中央から下辺に直線状の前部切り込み線を形成すると共に、前記下半身用衣部は人間の下半身に巻き付けるように両端上部に紐を延設させたお腰状としたことを特徴とする遺体用衣部。
【請求項2】
前記上半身用衣部と下半身用衣部の遺体用衣部は不織布で形成し、該夫々の不織布に防腐防臭剤を含浸させることを特徴とする請求項1に記載の遺体用衣部。
【請求項3】
前記防腐防臭剤はジクロロイソシアル酸ナトリウムとすることを特徴とする請求項2に記載の遺体用衣部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−204842(P2006−204842A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46187(P2005−46187)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(305024226)
【出願人】(505047795)
【Fターム(参考)】