説明

部品在庫管理における需要予測方法

【課題】 部品在庫管理において、需要が月1個以下などになった低頻度部品群の将来の需要個数を精度良く予測する。
【解決手段】 所定頻度以下となった低頻度部品群を抽出し(データ抽出および加工ENG10aなど)、需要の特徴を示すパラメータを求めて複数のカテゴリに分類すると共に、そのそれぞれについて前記パラメータに基づいて需要発生確率分布を算出し(需要特性分析データ作成ENG10cなど)、算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し(MシミュレーションENG10g)、算出された需要個数の出現頻度確率分布に基づいて低頻度部品群の将来の需要個数を予測する(計算結果表示ENG10h)。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は部品在庫管理における需要予測方法に関し、より具体的には需要が所定頻度以下となった低頻度部品群の将来の需要を予測する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】製造業にあっては、販売した自動車などの製品を構成する多くの部品(スペアパーツ)群を所定期間にわたって保有し、ディーラあるいはユーザの需要に応じて供給する必要があるが、現状では熟練者が適宜な手法で将来の需要を予測して部品群の在庫量を算出しているのが通常である。
【0003】尚、特開平11−7482号公報は、流通経路における中間サプライ業者が保有すべき在庫量を、モンテカルロ・シミュレーションを用いて予測する技術を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、部品の需要は、製品が生産中あるいは生産が中止されてから暫くの間は比較的活発であるが、その後は次第に減少し、やがては月に1個以下程度の低頻度となる。
【0005】需要が活発な間は取引数も多く、実績データも多いことから、適正な在庫量を予測することは比較的容易であるが、需要が減少するにつれて予測が困難となる。特に、需要が低頻度となると、熟練者をもってしても需要を精度良く予測することは困難である。
【0006】しかしながら、部品点数としては低頻度化した部品の方が多く、さらに低頻度部品群に関しては部品製作用金型を廃棄すべきか否かなど付随的に生じる問題も解決しなければならない。
【0007】従って、部品群、特に低頻度化した部品群に対するユーザあるいはディーラなどの末端の需要を精度良く予測することが望まれているが、上記した従来技術は、ユーザなどの末端の需要予測を既知とした上で、中間のサプライ業者が保有すべき適正在庫量をモンテカルロ・シミュレーションを用いて予測する手法を提案するに止まっていた。
【0008】従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、部品群、特に低頻度化した部品群に対するユーザあるいはディーラなどの末端の需要を精度良く予測する部品在庫管理における需要予測方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するために、この発明は請求項1項にあっては、販売した製品を構成する部品群を所定期間にわたって保有すると共に、需要に応じて販売する部品在庫管理において需要が所定頻度以下となった低頻度部品群の将来の需要を予測する方法であって、前記部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、前記需要実績が前記所定頻度以下となった低頻度部品群を抽出し、前記需要実績から前記所定頻度以下となった時点以後の需要の特徴を示すパラメータを求めて前記抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、前記複数のカテゴリのそれぞれについて前記需要の特徴を示すパラメータに基づいて需要発生確率分布を算出し、前記算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、および前記算出された所定期間における需要個数の出現頻度確率分布に基づいて前記低頻度部品群の将来の需要個数を予測することからなる如く構成した。
【0010】部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、所定頻度以下となった低頻度部品群を抽出し、需要実績から所定頻度以下となった時点以後の需要の特徴を示すパラメータを求めて抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、そのそれぞれについて前記需要の特徴を示すパラメータに基づいて需要発生確率分布を算出し、算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、算出された需要個数の出現頻度確率分布に基づいて低頻度部品群の将来の需要個数を予測することからなる如く構成したので、需要が低頻度化した部品群の将来の需要個数を精度良く予測することができ、それによって在庫管理量を適正に求めることができる。さらに、部品製作用金型の廃棄すべきか否かなどについても適正に判断することができると共に、カバー率も含めた在庫管理に関する経営戦略の決定を容易にすることができる。
【0011】請求項2項にあっては、さらに、前記部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、前記需要実績が前記所定頻度より高頻度の第2の所定頻度以下となった第2の低頻度部品群を抽出し、前記抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、前記複数のカテゴリのそれぞれについて前記需要の特徴を示すパラメータに基づいて需要発生確率分布を算出し、前記算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、前記算出された所定期間における需要個数の出現頻度確率分布に基づいて前記第2の低頻度部品群の将来の需要個数を算出し、および前記第2の所定頻度以下となった時点以前の前記需要実績と前記算出された需要個数に基づき、回帰分析によって前記第2の低頻度部品群の将来の需要個数を予測することからなる如く構成した。
【0012】さらに、前記部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、前記所定頻度より高頻度の第2の所定頻度以下となった第2の低頻度部品群を抽出し、抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、そのそれぞれについて前記需要の特徴を示すパラメータに基づいて需要発生確率分布を算出し、算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、それに基づいて前記第2の低頻度部品群の将来の需要個数を算出し、前記第2の所定頻度以下となった時点以前の前記需要実績と算出された需要個数に基づき、回帰分析によって前記第2の低頻度部品群の将来の需要個数を予測する如く構成したので、換言すればモンテカルロ分析と回帰分析の利点を組み合わせて予測するようにしたので、低頻度化した部品群が、その取引の挙動が部品間によって必ずしも同様の特性に示すに至っていない場合であっても、その将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0013】請求項3項にあっては、前記需要の特徴を示すパラメータが、需要発生間隔および需要個数率の少なくともいずれか、より望ましくはその両方である如く構成した。
【0014】このように、前記需要の特徴を示すパラメータとして需要発生間隔および需要個数率の少なくともいずれかに着目し、それらに基づいて需要発生確率分布を算出してモンテカルロ・シミュレーションの入力とすることで、モンテカルロ・シミュレーションの出力として同様の所定期間における需要頻度の確率分布を算出することができ、それによって低頻度部品群の将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0015】請求項4項にあっては、前記個数率が、需要が途絶える前の需要個数に対する需要が途絶えた後の需要個数の割合である如く構成した。
【0016】このように、途絶える前と途絶えた後の需要の挙動を個数面から勘案することで需要発生確率分布を的確に算出することができ、よって低頻度部品群の将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0017】請求項5項にあっては、販売した製品を構成する部品群を所定期間にわたって保有すると共に、需要に応じて販売する部品在庫管理において需要が所定頻度以下となった低頻度部品群の将来の需要を予測する方法であって、前記部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、前記需要実績が前記所定頻度以下となった低頻度部品群を抽出し、前記需要実績に基づき、時間に対する需要発生確率分布、および需要個数率に対する需要発生確率分布を算出し、前記算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、および前記算出された所定期間における需要個数の出現頻度確率分布に基づいて前記低頻度部品群の将来の需要個数を予測することからなる如く構成した。
【0018】部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、所定頻度以下となった低頻度部品群を抽出し、需要実績に基づき、時間に対する需要発生確率分布、および需要個数率に対する需要発生確率分布を算出し、算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、算出された所定期間における需要個数の出現頻度確率分布に基づいて低頻度部品群の将来の需要個数を予測する如く構成したので、換言すれば、時間に対する需要発生確率分布、および需要個数率に対する需要発生確率分布の少なくともいずれかに着目して需要発生確率分布を算出してモンテカルロ・シミュレーションの入力とするこどで、モンテカルロ・シミュレーションの出力として同様の所定期間における需要頻度の確率分布を算出して需要を予測するように構成したので、需要が低頻度化した部品群の将来の需要個数を精度良く予測することができ、それによって在庫管理量を適正に求めることができる。さらに、部品製作用金型の廃棄すべきか否かなどについても適正に判断することができると共に、カバー率も含めた在庫管理に関する経営戦略の決定を容易にすることができる。
【0019】請求項6項にあっては、前記抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、前記複数のカテゴリのそれぞれについて前記需要発生確率分布を算出する如く構成した。
【0020】抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、複数のカテゴリのそれぞれについて需要発生確率分布を算出する如く構成したので、部品に特有の需要の挙動を勘案することができ、よって低頻度部品群の将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0021】請求項7項にあっては、さらに、前記予測された需要個数の精度を検証し、前記検証した結果に基づいて前記カテゴリを変更する如く構成した。
【0022】予測された需要個数の精度を検証し、その結果に基づいてカテゴリを変更する如く構成したので、換言すれば需要予測を進化させるように構成したので、これによって低頻度部品群の将来の需要個数の予測精度を絶え間なく向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に即してこの発明の一つの実施の形態に係る部品在庫管理における需要予測方法を説明する。
【0024】図1は、この発明の一つの実施の形態に係る部品在庫管理における需要予測方法を説明するブロック図である。
【0025】尚、図1では、この需要予測方法を実現する、マイクロコンピュータからなる装置10の処理(図で「ENG」と示す)として示す。
【0026】図示の如く、装置10は、メインフレームコンピュータ(あるいはホストコンピュータ。図示せず)12に接続され、そこに格納された基幹システムの需要実績DB(データベース)12aおよび部品情報DB(データベース)12bにアクセスして販売した製品群を構成する部品群の需要実績および部品情報を入力する。部品情報は、各部品の名称、部品番号、仕向け地(出荷先)、価格などを意味する。
【0027】尚、この実施の形態において、販売した製品群は、4輪自動車、2輪自動車および汎用エンジンなどの汎用製品の3種に大別されるものとし、部品群はそれらの構成部品(いわゆるスペアパーツ)とする。部品は、独立して取引される単位当たりを1個とすると共に、部品番号で特定される。
【0028】データ抽出および加工ENG10aでは入力したデータに基づき、4輪自動車などの複数個の部品のそれぞれについて過去の経時的な需要実績が求められ、需要実績が第1の所定頻度以下となった第1の低頻度部品群、および前記第1の所定頻度より高頻度の第2の所定頻度以下となった第2の低頻度部品群が抽出される。
【0029】図2は、その作業を示す説明図である。
【0030】図示の如く、第1の所定頻度としては、ある部品について月平均需要個数が1個以下で、かつ過去に24ケ月の間、需要が途絶えたことがあることを条件とし、それに該当するものを集合的に第1の低頻度部品群(以下「極低頻度(1)部品」という)とする。
【0031】また、第2の所定頻度としては、ある部品について月平均需要個数が1個以下で、かつ過去に需要が発生した月が通算して13ケ月以上あることを条件とし、それに該当するものを集合的に第2の低頻度部品群(以下「極低頻度(2)部品」という)とする。
【0032】ここで、「月平均需要個数が1個以下で、かつ過去に需要が発生した月が通算して13ケ月以上ある」とは、ある部品について現在の月平均需要は1個以下であるが、過去に、1個以上需要が発生した月が、継続すると否とを問わず、合計すると、13ケ月以上あった、という意味である。
【0033】即ち、図2の左側に示すように、一般に、部品の需要は、製品が生産中あるいは生産が中止されてから暫くの間は、例えば5000個程度と比較的活発であるが、その後は次第に減少し、やがては平均して月に1個以下程度の低頻度となる。
【0034】尚、この明細書で「需要」とは、末端のユーザあるいはディーラからの需要(発注)をいい、「需要個数」とは発注回当たりの部品個数をいう。従って、1ケ月の間に、1度に同一部品を3個発注された場合も、3度に分けて1個づつ発注された場合も、需要個数は3となる。
【0035】上記した定義から明らかな如く、通例、部品は需要が低頻度化すると、最初に極低頻度(2)部品となり、次いで極低頻度(1)部品となる。データ抽出および加工ENG10aでは、このようにして極低頻度(1)部品および極低頻度(2)部品が抽出される。
【0036】図1の説明に戻ると、データ抽出および加工エンジン10aで抽出された極低頻度(1)部品および極低頻度(2)部品についての情報は、極低頻度需要予測DB(データベース)10bに、一旦、格納される。
【0037】次いで、格納された極低頻度部品情報は、需要特性分析データ作成ENG10c、極低頻度(1)部品Mシミュレーション(モンテカルロ・シミュレーション)用入力データ作成ENG10d、および極低頻度(2)部品入力データ作成ENG10eに送られる。
【0038】需要特性分析データ作成ENG10cに送られた極低頻度部品情報は、次いで統計分析処理および特性式入力処理を経て部品カテゴリ別に設けられた需要発生判定式および需要個数判定式DB(データベース)10fに入力され、そこで、需要実績から第1所定頻度以下となった時点以後の需要の特徴を示すパラメータに基づき、抽出された低頻度部品群(極低頻度(1)部品)は、複数のカテゴリに分類される。
【0039】複数のカテゴリへの分類は、4輪自動車用、2輪自動車用および汎用製品用の3種に止まらず、さらに細分類、例えば24,50,100などのグループに分類することを意味する。
【0040】需要発生判定式および需要個数判定式DB(データベース)10fに入力されたデータは、極低頻度(1)部品Mシミュレーション用入力データ作成ENG10dに格納されたデータと共に、MシミュレーションENG10gに送られる。
【0041】尚、「需要発生判定式」および「需要個数判定式」は上記した「所定頻度以下となった時点以後の需要の特徴を示すパラメータ」を意味し、より具体的には上記したように、需要発生間隔および需要個数を意味する。
【0042】MシミュレーションENG10gにおいては、カテゴリごとにそのカテゴリに属する対象部品について前記した需要の特徴を示すパラメータに基づいて需要発生確率分布が2種算出され、算出された需要発生確率分布を入力してモンテカルロ・シミュレーションが行われ、所定期間Nにおける需要個数の出現頻度確率分布が算出される。
【0043】ここで、そのモンテカルロ・シミュレーションを利用した需要予測手法について説明する。
【0044】モンテカルロ・シミュレーション(「モンテカルロ分析」あるいは「モンテカルロ法」とも呼ばれる)は、定式化されたものを再び確率の世界に置き直して解く手法であり、解析的な手法では解けない問題の近似的な解を求める際に良く利用される。
【0045】発明者は低頻度化した部品群の需要予測について考究を重ねたところ、低頻度化した後の需要には幾つかの特徴(法則性)があるのが見い出された。図3は部品a,b,cについて需要個数(月平均値)の経時的な変動を示す図であるが、図示の如く、需要が活発にある間は部品によって需要個数は相違する。
【0046】しかしながら、需要が減少して需要の頻度が低下し、先に述べたように、例えば、月平均需要個数が1個以下で、かつ過去に24ケ月の間、需要が途絶えるようになると、部品間の需要の個性は薄れてほぼ均一化し、部品a,b,cの需要個数は共通化してほぼ1種の特性で把握することができる。
【0047】従って、そのような時点(第1の所定頻度以下となる時点)に着目することで、換言すれば低頻度化した時点を揃えることで、複数個の部品の需要個数を共通した特性で把握することができる。
【0048】さらに、図3に示す過去の経時的な需要実績(データ)について考察を重ねたた結果、低頻度化した後の部品の取引の挙動は、需要(個数を問わず)が何ケ月ぶりに発生したかを示すもの、即ち、時間に対する需要発生確率分布、より具体的には、翌月の需要が発生する確率分布を示すことが見い出された。
【0049】さらに、この需要実績(データ)は、例えば24ケ月などの間途絶える前の需要個数に対してどの位の個数の需要が発生したかを示すもの、即ち、需要個数率に対する需要発生確率分布を示すことが見い出された。尚、図3で右側下方に示すn倍は、途絶えた後の需要個数が、途絶える前のそれの何倍であることを示す。
【0050】このように、途絶える前と途絶えた後の需要の挙動を個数面から勘案することで需要発生確率分布を的確に算出することができ、よって低頻度部品群の将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0051】図4に、上記した知見に基づき、過去の経時的な需要実績(点で表す)を近似的にプロットして得た、時間に対する需要発生確率分布、より具体的には、需要発生間隔(月)に対する需要発生確率分布を示す。
【0052】また、図5に、過去の経時的な需要実績を分析して得た、需要個数率に対する需要発生確率分布を示す。
【0053】「個数率」は、需要が途絶える前の需要個数に対する需要が途絶えた後の需要個数の割合を示す。より具体的には、個数率=24ケ月の間、需要が途絶えた後の需要発生月の需要個数/24ケ月の間、需要が途絶える直前の需要個数を意味する。簡単に言えば、個数率は、途絶える前と途絶えた後の需要個数の割合を意味する。
【0054】さらに、図4および図5に示す特性は、部品の種類によって相違することから、抽出した極低頻度(1)部品群を複数のカテゴリに分類し、カテゴリごとに図6に示すように時間に対する需要発生確率分布(図4R>4に示す)を算出すると共に、図7に示すように需要個数率に対する需要発生確率分布(図5に示す)を算出するようにした。
【0055】部品群のカテゴリへの分類は、極低頻度(1)部品のそれぞれについて需要発生間隔および需要個数率(所定頻度以下となった時点以後の需要の特徴を示すパラメータ)を求め、求めたパラメータが近い部品同士を同一のカテゴリとみなして行うようにした。
【0056】尚、部品群は、例えば24,50などのカテゴリに細分されるが、図6および図7では図示の簡略化のため、4個のカテゴリA,B,C,Dのみ示す。
【0057】次いで、算出した図6および図7に示す2種の需要発生確率分布に基づいて図8に示すようにモンテカルロ・シミュレーションを繰り返し(例えば5000回)実行し、図9に示すように、将来、需要がどの位の確率で何ケ月の間隔で何個発生するか、具体的には所定期間(Nケ月間)における需要個数(総数)の出現頻度を算出する。
【0058】尚、モンテカルロ・シミュレーションは、当該の部品が属するカテゴリについて算出された図6および図7に示す2種の需要発生確率分布を選択し、選択した需要発生確率分布ごとに実行する。
【0059】即ち、この発明は、過去の需要実績は既知であり、将来の需要は未知であるが、将来の需要も、過去の需要発生と同様な確率分布で生じるとみなすことで、予測できるという知見に基づいてなされた。
【0060】このように、需要の特徴を示すパラメータとして時間に対する需要発生確率分布および需要個数率に着目、それらの少なくともいずれかに着目して需要発生確率分布を算出してモンテカルロ・シミュレーションの入力とすることで、モンテカルロ・シミュレーションの出力として同様の所定期間における需要頻度の確率分布を算出することができ、それによって低頻度部品群の将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0061】次いで、算出されたNケ月間における需要個数(総数)の出現頻度確率分布に基づいて極低頻度(1)部品の将来の需要個数を予測(算出)する。より具体的には、図10に示すように、当該カテゴリに属する極低頻度(1)部品のNケ月間の需要をZ%のカバー率(需要に対する目標供給率)でまかなうにはYz個必要と予測(算出)する。
【0062】尚、上記でNケ月をどの程度の期間に設定するかは任意であり、所望の予測期間に対応する値を適宜設定すれば良い。
【0063】このように、任意の幅をもった期間における需要個数(より正確には総数)として予測できるようにした点も、この需要予測方法の特徴の一つに挙げることができる。
【0064】これにより、目標とする予測期間あるいは予測数に応じてその期間に適宜設定することで、必要とする需要を精度良く予測することができる。また、例えばその幅を小さく設定することによって需要個数を絞ることも可能となり、あるいは、縦軸に示す出現頻度確率が所定値以上にあるか否か判断することによって需要個数を絞ることも可能となる。
【0065】上記を図1に示す構成で説明すると、MシミュレーションENG10gにおいてモンテカルロ・シミュレーションによって得たデータ(Nケ月間の需要総数(個数)の出現頻度確率分布)は、計算結果表示ENG10hに送られる。
【0066】計算結果表示ENG10hではデータに基づいて上記のように極低頻度(1)部品の将来の需要個数が予測(算出)され、図示しないCRTおよびプリンタなどを介して表示される。
【0067】また、MシミュレーションENG10gの出力は予測精度検証データ作成ENG10iにも送られ、極低頻度(1)部品のカテゴリ(分類)の適否が検討され、必要に応じてカテゴリの再設定(変更)が行われる。
【0068】予測精度検証データ作成ENG10iでは、該当するカテゴリに属する極低頻度(1)部品について過去のある時点以前の需要実績に基づき、その時点から過去のある時点までの需要が予測され、実績データと比較されて予測精度が検証される。その結果、予測精度が低いときは、カテゴリが再設定(変更)される。
【0069】カテゴリの数は少ないほど作業が容易となるが、予測精度は低下することから、この実施の形態にあっては、カテゴリ数は先に述べたように、例えば24,50などとする。
【0070】ここで、図11を参照し、23万9000アイテムの低頻度部品群について、カテゴリ数を24としたときの、この実施の形態に係る需要予測方法を適用した場合の予測精度を検証した結果を、過去の需要実績と対比して示す。
【0071】尚、予測精度検証データ作成ENG10hでも同種の処理が行われるが、図11に示すものは、アイテム数などにおいてそれと相違する。「アイテム」は部品番号に部品の仕向け地を付したものを意味し、従って同一の部品が日本と米国を仕向け地とするとき、アイテムの数は2となる。
【0072】同図は、23万9000アイテムについて、この実施の形態に係る需要予測方法で予測した部品在庫量を保有したと仮定した場合の、カバー率90%,95%,98%および99.6%(横軸)としたときの欠品率および引当率(縦軸)を示す。
【0073】上記で、「欠品率」(%)は需要に応じられなかった率を、「引当率」(%)は需要に応じられた率を示す。本来的には100%から引当率を減算した値が欠品率となるが、検証期間内に異常需要があったため、欠品率と引当率と異常需要(例えばカバー率99.6%のとき0.15%)を加算して100%とした。
【0074】同図から明らかな通り、ほぼ目標通りの引当率が達成されており、この実施の形態に係る需要予測方法が効果的であることが実証された。
【0075】図1の説明に戻ると、極低頻度(2)部品入力データ作成ENG10eの出力は一方では極低頻度(2)部品需要予測ENG10jに直接に送られると共に、他方ではMシミュレーションENG10gを介して極低頻度(2)部品需要予測ENG10jに送られる。
【0076】概括すると、この実施の形態においては、極低頻度(1)部品に関しては上記したようにモンテカルロ・シミュレーションを用いて需要を予測すると共に、極低頻度(2)部品に関しては回帰分析手法を用いるようにした。また、回帰分析において回帰直線を決定するとき、既知データにモンテカルロ・シミュレーションで得た需要予測値(需要個数)を加えるようにした。即ち、極低頻度(2)部品については、回帰分析とモンテカルロ・シミュレーションの利点を組み合わせて需要を予測するようにした。
【0077】図12を参照して説明すると、同図上部に示すように需要量が多い期間は、単位期間当たりの需要量で取り扱うのが便利であるが、需要量が減少して低頻度化した場合、人為的に決めた単位期間によってデータ自身が変化してしまう。
【0078】そこで、同図左下に示すように、低頻度部品群(より正確には極低頻度(2)部品)は、累積需要数で取り扱うようにした。具体的には、指数関数を用いて同図右下に示すように累積需要数(実績データ)を直線化し、それから回帰直線を引くようにした。
【0079】より具体的には、図13に示すように、既知データから最小2乗法などの公知の手法を用いて回帰係数を決定して直線を引くと共に、モンテカルロ・シミュレーションで得たデータの中の任意の値(符合Mdで示す)も利用して回帰直線を決定するようにした。
【0080】即ち、回帰分析とモンテカルロ分析は本来的に異なる手法であるが、先に述べたように、通例、部品は需要が低頻度化すると、最初に極低頻度(2)部品となり、次いで極低頻度(1)部品となるという関係にあると共に、モンテカルロ・シミュレーションで得た極低頻度(1)部品の需要予測が高精度であることが検証されたため、このように構成した。
【0081】ただし、上で述べたように極低頻度(2)部品は極低頻度(1)部品に時間的に先行することから、極低頻度(2)部品の需要予測のとき、同一部品についてのモンテカルロ・シミュレーションによる需要予測はなされていない。
【0082】従って、この実施の形態においては、極低頻度(1)部品について述べた手法を変形し、極低頻度(2)部品についてカテゴリごとに時間に対する需要発生確率分布および需要個数率に対する需要発生確率分布を求めるとき、例えば個数率の算出に際しては24ケ月に代えて数ケ月などの短縮した期間を使用するようにした。
【0083】図13において、L1は既知データのみから得た回帰直線であり、L2は既知データと変形モンテカルロ・シミュレーションで得た値Mdから得た回帰直線である。図において、回帰直線L1は参考的に示すものであり、この実施の形態に係る需要予測方法においては回帰直線L2が使用される。
【0084】従って、図13の横軸に示す予測期間に対応する回帰直線L2上の値が、縦軸に示す予測数となる。極低頻度(1)部品の場合と同様に、極低頻度(2)部品についても、将来の需要は、任意の幅の期間における需要個数(総数)として予測される。
【0085】このように、極低頻度(2)部品については、モンテカルロ分析と回帰分析の利点を組み合わせて予測するようにしたので、極低頻度(2)部品の取引の挙動が、極低頻度(1)部品について図3を参照して説明したような部品間によって同様の特性に示す状態まで、必ずしも至っていない場合であっても、その将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0086】図1の説明に戻ると、極低頻度(2)部品需要予測ENG10jにおいては、極低頻度(2)部品入力データ作成ENG10eとMシミュレーションENG10gの出力に基づいて上記したような回帰直線L2が決定される。
【0087】極低頻度(2)部品需要予測ENG10jの出力は、MシミュレーションENG10gの出力と共に計算結果表示ENG10hに送られ、そこで極低頻度(2)部品の需要個数が予測(算出)されると共に、図示しないCRTおよびプリンタなどを介して表示される。
【0088】この実施の形態は上記の如く構成したので、需要が月1個以下程度に減少した低頻度部品群の将来の需要を精度良く予測することができ、それによって在庫管理量を適正に求めることができる。
【0089】さらに、低頻度部品群の将来の需要を精度良く予測することで、部品製作用金型を廃棄すべきか否かなどについても適正に判断することができる。
【0090】さらに、低頻度部品群の将来の需要を精度良く予測することで、カバー率も含めた部品在庫に関する経営戦略の決定を容易にすることができる。
【0091】さらに、図1に示す如く、予測精度検証データ作成ENG10iにおいて予測精度を検証し、検証結果に基づき、必要に応じてカテゴリを再設定(変更)する、換言すれば、この実施の形態に係る需要予測方法が進化できるように構成したので、絶え間なく予測精度の向上を図ることができる。
【0092】さらに、低頻度部品群を極低頻度(1)部品と極低頻度(2)部品に区分し、前者についてはモンテカルロ分析を用いて需要個数を予測すると共に、後者についてはモンテカルロ分析と回帰分析をコンバインして需要個数を予測、換言すれば両者の利点を組み合わせて予測するようにしたので、予測精度を一層向上させることができる。
【0093】即ち、極低頻度(2)部品の取引の挙動が、極低頻度(1)部品について図3を参照して説明したような部品間によって同様の特性に示す状態まで、必ずしも至っていない場合であっても、その将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0094】さらに、需要を任意の幅をもった期間における需要個数(総数)として予測するようにしたので、目標とする予測期間あるいは予測数に応じて最適に需要を予測することができる。
【0095】上記した如く、この実施の形態にあっては、販売した製品(4輪自動車、2輪自動車および汎用製品)を構成する部品群を所定期間にわたって保有すると共に、需要に応じて販売する部品在庫管理において需要が所定頻度以下となった低頻度部品群の将来の需要を予測する方法であって、前記部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、前記需要実績が前記所定頻度以下となった低頻度部品群(極低頻度(1)部品)を抽出し(データ抽出および加工ENG10a,極低頻度需要予測DB10b)、前記需要実績から前記所定頻度以下となった時点以後の需要の特徴を示すパラメータを求めて前記抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、前記複数のカテゴリのそれぞれについて前記需要の特徴を示すパラメータに基づいて需要発生確率分布を算出し(需要特性分析データ作成ENG10c、極低頻度(1)部品Mシミュレーション用入力データ作成ENG10d、需要発生判定式および需要個数判定式DB10f、予測精度検証データ作成ENG10i,MシミュレーションENG10g)、前記算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間(Nケ月間)における需要個数の出現頻度確率分布を算出し(MシミュレーションENG10g)、および前記算出された所定期間における需要個数の出現頻度確率分布に基づいて前記低頻度部品群の将来の需要個数(総数)を予測する(計算結果表示ENG10h)ことからなる如く構成した。
【0096】さらに、前記部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、前記需要実績が前記所定頻度より高頻度の第2の所定頻度以下となった第2の低頻度部品群(極低頻度(2)部品)を抽出し(データ抽出および加工ENG10a,極低頻度需要予測DB10b)、前記抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、前記複数のカテゴリのそれぞれについて前記需要の特徴を示すパラメータに基づいて需要発生確率分布を算出し(需要特性分析データ作成ENG10c、極低頻度(2)部品Mシミュレーション用入力データ作成ENG10d、需要発生判定式および需要個数判定式DB10e、予測精度検証データ作成ENG10i,MシミュレーションENG10g)、前記算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し(MシミュレーションENG10g)、前記算出された所定期間における需要個数の出現頻度確率分布に基づいて前記第2の低頻度部品群の将来の需要個数を算出し、および前記第2の所定頻度以下となった時点以前の前記需要実績と前記算出された需要個数に基づき、回帰分析によって前記第2の低頻度部品群の将来の需要個数を予測する(極低頻度(2)部品需要予測ENG10g、計算結果表示ENG10h)ことからなる如く構成した。
【0097】また、前記需要の特徴を示すパラメータが、需要発生間隔(月)(図4に示す)および需要個数率(図5に示す)の少なくともいずれか、より望ましくはその両方である如く構成した。
【0098】また、前記個数率が、需要が途絶える前の需要個数に対する需要が途絶えた後の需要個数の割合、より具体的には、24ケ月の間、需要が途絶えた後の需要発生月の需要個数/24ケ月の間、需要が途絶える直前の需要発生月の需要個数である如く構成した。
【0099】また、販売した製品(4輪自動車、2輪自動車および汎用製品)を構成する部品群を所定期間にわたって保有すると共に、需要に応じて販売する部品在庫管理において需要が所定頻度以下となった低頻度部品群の将来の需要を予測する方法であって、前記部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、前記需要実績が前記所定頻度以下となった低頻度部品群(極低頻度(1)部品)を抽出し(データ抽出および加工ENG10a,極低頻度需要予測DB10b)、前記需要実績に基づき、時間に対する需要発生確率分布、および需要個数率に対する需要発生確率分布を算出し(需要特性分析データ作成ENG10c、極低頻度(1)部品Mシミュレーション用入力データ作成ENG10d、需要発生判定式および需要個数判定式DB10f、予測精度検証データ作成ENG10i,MシミュレーションENG10g)、前記算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間(Nケ月間)における需要個数の出現頻度確率分布を算出し(MシミュレーションENG10g)、および前記算出された所定期間における需要個数の出現頻度確率分布に基づいて前記低頻度部品群の将来の需要個数を予測する(計算結果表示ENG10h)ことからなる如く構成した。
【0100】また、前記抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリ(例えば24,50)に分類すると共に、前記複数のカテゴリのそれぞれについて前記需要発生確率分布を算出する(需要特性分析データ作成ENG10c、極低頻度(1)部品Mシミュレーション用入力データ作成ENG10d、需要発生判定式および需要個数判定式DB10f、予測精度検証データ作成ENG10i,MシミュレーションENG10g)如く構成した。
【0101】さらに、前記予測された需要個数の精度を検証し、前記検証した結果に基づいて前記カテゴリを変更する(予測精度検証データ作成ENG10i)如く構成した。
【0102】尚、上記において、期間あるいは時間の単位として月を使用しているが、それに代え、日、週、旬、季、年など、期間あるいは時間を示す単位であれば、他のどのようなものを用いても良い。
【0103】
【発明の効果】請求項1項にあっては、部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、所定頻度以下となった低頻度部品群を抽出し、需要実績から所定頻度以下となった時点以後の需要の特徴を示すパラメータを求めて抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、そのそれぞれについて前記需要の特徴を示すパラメータに基づいて需要発生確率分布を算出し、算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、算出された需要個数の出現頻度確率分布に基づいて低頻度部品群の将来の需要個数を予測することからなる如く構成したので、需要が低頻度化した部品群の将来の需要個数を精度良く予測することができ、それによって在庫管理量を適正に求めることができる。さらに、部品製作用金型の廃棄すべきか否かなどについても適正に判断することができると共に、カバー率も含めた在庫管理に関する経営戦略の決定を容易にすることができる。
【0104】請求項2項にあっては、さらに、前記部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、前記所定頻度より高頻度の第2の所定頻度以下となった第2の低頻度部品群を抽出し、抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、そのそれぞれについて前記需要の特徴を示すパラメータに基づいて需要発生確率分布を算出し、算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、それに基づいて前記第2の低頻度部品群の将来の需要個数を算出し、前記第2の所定頻度以下となった時点以前の前記需要実績と算出された需要個数に基づき、回帰分析によって前記第2の低頻度部品群の将来の需要個数を予測する如く構成したので、換言すればモンテカルロ分析と回帰分析の利点を組み合わせて予測するようにしたので、低頻度化した部品群が、その取引の挙動が部品間によって必ずしも同様の特性に示すに至っていない場合であっても、その将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0105】請求項3項にあっては、前記需要の特徴を示すパラメータとして需要発生間隔および需要個数率少なくともいずれかに着目し、それらに基づいて需要発生確率分布を算出してモンテカルロ・シミュレーションの入力とすることで、モンテカルロ・シミュレーションの出力として同様の所定期間における需要頻度の確率分布を算出することができ、それによって低頻度部品群の将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0106】請求項4項にあっては、途絶える前と途絶えた後の需要の挙動を個数面から勘案することで需要発生確率分布を的確に算出することができ、よって低頻度部品群の将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0107】請求項5項にあっては、部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、所定頻度以下となった低頻度部品群を抽出し、需要実績に基づき、時間に対する需要発生確率分布、および需要個数率に対する需要発生確率分布を算出し、算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、算出された所定期間における需要個数の出現頻度確率分布に基づいて低頻度部品群の将来の需要個数を予測する如く構成したので、換言すれば、時間に対する需要発生確率分布、および需要個数率に対する需要発生確率分布の少なくともいずれかに着目して需要発生確率分布を算出してモンテカルロ・シミュレーションの入力とするこどで、モンテカルロ・シミュレーションの出力として同様の所定期間における需要頻度の確率分布を算出して需要を予測するように構成したので、需要が低頻度化した部品群の将来の需要個数を精度良く予測することができ、それによって在庫管理量を適正に求めることができる。さらに、部品製作用金型の廃棄すべきか否かなどについても適正に判断することができると共に、カバー率も含めた在庫管理に関する経営戦略の決定を容易にすることができる。
【0108】請求項6項にあっては、抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、複数のカテゴリのそれぞれについて需要発生確率分布を算出する如く構成したので、部品に特有の需要の挙動を勘案することができ、よって低頻度部品群の将来の需要個数の予測精度を一層向上させることができる。
【0109】請求項7項にあっては、予測された需要個数の精度を検証し、その結果に基づいてカテゴリを変更する如く構成したので、換言すれば需要予測を進化させるように構成したので、これによって低頻度部品群の将来の需要個数の予測精度を絶え間なく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る部品在庫における需要予測方法を、その実現に使用する装置(マイクロコンピュータ)の処理を介して全体的に示す概略図である。
【図2】図1に示す需要予測方法で行われる低頻度部品(極低頻度(1)部品および極低頻度(2)部品)の抽出処理を示す説明図である。
【図3】図1に示す需要予測方法で予測する部品群の需要個数の経時的な変動を示す説明図である。
【図4】図1に示す需要予測方法で行われるモンテカルロ・シミュレーションの入力たる需要発生間隔(需要の特徴を示すパラメータ)に対する需要発生確率分布を示す説明図である。
【図5】同様に、図1に示す需要予測方法で行われるモンテカルロ・シミュレーションの入力たる需要個数率(需要の特徴を示すパラメータ)に対する需要発生確率分布を示す説明図である。
【図6】図4に示す需要発生間隔に対する需要発生確率分布を部品のカテゴリごとに算出した例を示す説明図である。
【図7】図5に示す需要個数率に対する需要発生確率分布を部品のカテゴリごとに算出した例を示す説明図である。
【図8】図6および図7の需要発生確率分布を用いて図1R>1に示す需要予測方法で行われるモンテカルロ・シミュレーションを示す説明図である。
【図9】図8のモンテカルロ・シミュレーションで得られる所定期間(Nケ月間)における需要個数の出現頻度確率分布を示す説明図である。
【図10】図9の需要個数の出現頻度確率分布に基づいて行われる需要個数の予測を示す説明図である。
【図11】図8のモンテカルロ・シミュレーションによる需要予測の予測精度の検証結果を示すグラフである。
【図12】図1に示す需要予測方法で行われる回帰分析による需要予測を示す説明図である。
【図13】同様に、図1に示す需要予測方法で行われる回帰分析による需要予測を示す説明図である。
【符号の説明】
10 装置(マイクロコンピュータ)
12 メインフレームコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 販売した製品を構成する部品群を所定期間にわたって保有すると共に、需要に応じて販売する部品在庫管理において需要が所定頻度以下となった低頻度部品群の将来の需要を予測する方法であって、a.前記部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、前記需要実績が前記所定頻度以下となった低頻度部品群を抽出し、b.前記需要実績から前記所定頻度以下となった時点以後の需要の特徴を示すパラメータを求めて前記抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、前記複数のカテゴリのそれぞれについて前記需要の特徴を示すパラメータに基づいて需要発生確率分布を算出し、c.前記算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、およびd.前記算出された所定期間における需要個数の出現頻度確率分布に基づいて前記低頻度部品群の将来の需要個数を予測する、ことからなる需要予測方法。
【請求項2】 さらに、e.前記部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、前記需要実績が前記所定頻度より高頻度の第2の所定頻度以下となった第2の低頻度部品群を抽出し、f.前記抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、前記複数のカテゴリのそれぞれについて前記需要の特徴を示すパラメータに基づいて需要発生確率分布を算出し、g.前記算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、h.前記算出された所定期間における需要個数の出現頻度確率分布に基づいて前記第2の低頻度部品群の将来の需要個数を算出し、およびi.前記第2の所定頻度以下となった時点以前の前記需要実績と前記算出された需要個数に基づき、回帰分析によって前記第2の低頻度部品群の将来の需要個数を予測する、ことからなる請求項1項記載の需要予測方法。
【請求項3】 前記需要の特徴を示すパラメータが、需要発生間隔および需要個数率の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1項または2項記載の需要予測方法。
【請求項4】 前記個数率が、需要が途絶える前の需要個数に対する需要が途絶えた後の需要個数の割合であることを特徴とする請求項3項記載の需要予測方法。
【請求項5】 販売した製品を構成する部品群を所定期間にわたって保有すると共に、需要に応じて販売する部品在庫管理において需要が所定頻度以下となった低頻度部品群の将来の需要を予測する方法であって、j.前記部品群のそれぞれについて過去の経時的な需要実績を求め、前記需要実績が前記所定頻度以下となった低頻度部品群を抽出し、k.前記需要実績に基づき、時間に対する需要発生確率分布、および需要個数率に対する需要発生確率分布を算出し、l.前記算出された需要発生確率分布に基づいてモンテカルロ・シミュレーションを行って所定期間における需要個数の出現頻度確率分布を算出し、およびm.前記算出された所定期間における需要個数の出現頻度確率分布に基づいて前記低頻度部品群の将来の需要個数を予測する、ことからなる需要予測方法。
【請求項6】 前記抽出された低頻度部品群を複数のカテゴリに分類すると共に、前記複数のカテゴリのそれぞれについて前記需要発生確率分布を算出することを特徴とする請求項5項記載の需要予測方法。
【請求項7】 さらに、n.前記予測された需要個数の精度を検証し、およびn.前記検証した結果に基づいて前記カテゴリを変更する、ことを特徴とする請求項1項から6項のいずれかに記載の需要予測方法。

【図2】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図5】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2002−73746(P2002−73746A)
【公開日】平成14年3月12日(2002.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−260918(P2000−260918)
【出願日】平成12年8月30日(2000.8.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】