説明

部品情報管理システム

【課題】企業が代替部品を捜したいときに、他社が保有する部品管理情報を容易に利用でき、各企業が互いに保有する部品情報を容易に交換でき、さらには企業同士が、製品や部品についての密接な情報連係を構築できる部品情報管理システムを提供する。
【解決手段】ユーザ情報、ユーザが取り扱う部品について当該部品が含有する化学物質に関する情報を含む部品情報、部品の含有化学物質に関する規制情報を記憶するデータベースと、前記データベースに記憶された部品情報及び規制情報に基づいて、当該部品が含有化学物質に関する規制に違反するか否かを判定する手段と、前記データベースに記憶された部品情報から、一のユーザの部品の代替部品となる部品であって他のユーザが取り扱う部品を検索する手段と、前記検索された代替部品の部品情報を前記一のユーザに提供する手段とを有する部品管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業等が販売する製品の部品が含有する化学物質についての情報を管理するシステムに関し、特に、企業等が有する部品情報を互いに公開及び提供し合うことができる部品情報管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
世界的に環境保護の機運が高まっており、有害化学物質に対する規制が厳しさを増している。例えば、欧州のREACH (Registration, Evaluation, Authorization and restriction of CHemicals) 規則が、2007年6月1日から施行された。従来は、指定された使用禁止物質を含有するか否かが問われるに過ぎなかったが、近年では、より具体的に、企業等が販売する製品や部品を構成する化学物質の種類や、その各々の含有量についても情報開示することが求められている。
【0003】
従来、部品情報と、その構成情報にもとづいて製品を管理する、部品表(BOM)をベースにした化学物質管理システムが公知となっている。ここでBOMとは Bill Of Materials の意であり、製品がどの部品、子部品、中間製品、または原資材などから構成、製造されるのかという関係を示したリスト、またはデータベースを指す。このBOMベースの部品情報に、さらに各部品の含有化学物質情報を追加してデータベース化すれば、上記の情報開示の要請に応えられる部品の含有化学物質管理システムを構築することができる。
特許文献1には、製品を重量で管理し、含有化学物質を重量換算して含有量を割り出すシステムが記載されている。
特許文献2には、製品内に含まれる化学物質の種類と量を求め、その化学物質を規制する法律を表示するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−351947号公報
【特許文献2】特開2005−71338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、製造業者は、自社の製品に含まれる部品の情報と、各部品に含まれる化学物質の情報を、上記のようなBOMに準拠した部品管理情報データベースとして、おのおの保有し、管理していた。
しかしながら、自社の製品に法令の基準を満たさない部品があれば、その代替部品の使用を検討しなければならない。この場合、自社の部品情報から法令の基準に適合する部品が見つからなければ、他企業が取り扱う部品に代替部品となり得るものがあるか否かを調査する必要がある。
ところが、上記の特許文献に開示されたシステムでは、自社の部品情報の管理はできても、他企業が取り扱う代替部品の調査はおこなえない。このため、従来は人手により、他企業が取り扱う代替部品候補について、その部品がいかなる化学物質を、どれだけ含むかを、直接当該企業に問い合わせたり、その部品を取り寄せて分析、調査したりする必要があった。
また、他企業が取り扱う部品の部品情報も自社の部品管理情報データベースに、あらかじめ登録しておけば、上記のような煩雑さは回避できるが、そのような企業間での部品情報の収集や交換を可能にするシステムは存在していなかった。
【0006】
本発明は、上記の課題の克服を目的としたものであり、企業が代替部品を探したいときに、他社が保有する部品管理情報を容易に利用でき、各企業が互いに保有する部品情報を容易に交換でき、さらには企業同士が、製品や部品についての密接な情報連係を構築できる部品情報管理システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段として、本発明は、ユーザ情報を記憶し、ユーザが取り扱う部品について当該部品が含有する化学物質に関する情報を含む部品情報をユーザごとに記憶し、及び部品の含有化学物質に関する規制情報を記憶するデータベースと、前記データベースに記憶された部品情報及び規制情報に基づいて、当該部品が含有化学物質に関する規制に違反するか否かを判定する判定手段と、前記データベースに記憶された部品情報から、一のユーザの部品の代替部品となる部品であって他のユーザが取り扱う部品を検索する検索手段と、前記検索された代替部品の部品情報を前記一のユーザに提供する情報提供手段とを有する部品管理システムを提供するものである。
【0008】
本発明の部品情報管理システムにおいて、前記データベースに記憶された部品情報は、部品ごとに公開又は非公開の設定情報を含んでおり、前記検索手段は、代替部品の検索において、公開の設定がされた部品のみを代替部品としての検索結果に含めることを特徴とする。
これにより、部品情報を積極的に公開したがらないユーザに対しても本システムの利用を促進することができる。
本発明の部品情報管理システムにおいて、前記検索手段は、代替部品の検索において、非公開の設定がされた部品が代替部品として存在する場合には、前記データベースに記憶されたユーザ情報に基づき、前記他のユーザに対して当該代替部品の公開許可を要求し、前記他のユーザによって公開許可要求が受理された場合にのみ、当該代替部品を検索結果に含めることを特徴とする。
これにより、ユーザ同士の間で個々のケースに応じた柔軟な情報授受を行うことが可能となる。
本発明の部品情報管理システムにおいて、前記情報提供手段は、検索された代替部品の部品情報をユーザにダウンロード可能とし、又は検索された他のユーザが取り扱う代替部品の部品情報を前記一のユーザの部品情報として前記データベースに記憶することを特徴とする。
これにより、従来他社が有していた部品情報を取得し、自社の部品情報として活用することが容易となる。
本発明の部品情報管理システムにおいて、前記検索手段は、前記データベースに記憶された部品情報から代替部品を検索する際に、前記判定手段を通じて前記データベースに記憶された規制情報に基づき検索された代替部品が含有化学物質に関する規制に違反するか否かを判定し、違反しない代替部品のみ、当該代替部品を検索結果に含めることを特徴とする。
これにより、検索結果の有用性を高めることができる。
【0009】
本発明は、また、ユーザ情報を記憶し、ユーザが取り扱う部品について当該部品が含有する化学物質に関する情報を含む部品情報をユーザごとに記憶し、及び部品の含有化学物質に関する規制情報を記憶するデータベースを有し又は利用するコンピュータにおいて、一のユーザから、前記データベースに記憶された部品情報に含まれる部品の指定を受け付ける部品指定ステップと、前記データベースに記憶された部品情報及び規制情報に基づいて、前記指定された部品が含有化学物質に関する規制に違反するか否かを判定する判定ステップと、前記指定された部品が規制違反と判定された場合に、前記データベースに記憶された部品情報から、前記指定された部品の代替部品となる部品であって他のユーザが取り扱う部品を検索する検索ステップと、前記検索された代替部品の部品情報を前記一のユーザに提供する情報提供ステップとを実行する部品管理プログラムを提供するものである。
【0010】
本発明の部品情報管理プログラムにおいて、前記データベースに記憶された部品情報は、部品ごとに公開又は非公開の設定情報を含んでおり、前記検索ステップにおいて、公開の設定がされた部品のみを代替部品としての検索結果に含めることを特徴とする。
これにより、部品情報を積極的に公開したがらないユーザに対しても本システムの利用を促進することができる。
本発明の部品情報管理プログラムにおいて、前記検索ステップにおいて、非公開の設定がされた部品が代替部品として存在する場合には、前記データベースに記憶されたユーザ情報に基づき、前記他のユーザに対して当該代替部品の公開許可を要求し、前記他のユーザによって公開許可要求が受理された場合にのみ、当該代替部品を検索結果に含めることを特徴とする。
これにより、ユーザ同士の間で個々のケースに応じた柔軟な情報授受を行うことが可能となる。
本発明の部品情報管理プログラムにおいて、前記情報提供ステップにおいて、検索された代替部品の部品情報を前記一のユーザにダウンロード可能とし、又は検索された他のユーザが取り扱う代替部品の部品情報を前記一のユーザの部品情報として前記データベースに記憶することを特徴とする。
これにより、従来他社が有していた部品情報を取得し、自社の部品情報として活用することが容易となる。
本発明の部品情報管理プログラムにおいて、前記検索ステップにおいて、前記判定手段を通じて前記データベースに記憶された規制情報に基づき検索された代替部品が含有化学物質に関する規制に違反するか否かを判定し、違反しない代替部品のみ、当該代替部品を検索結果に含めることを特徴とする。
これにより、検索結果の有用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の部品管理システムによれば、ユーザは、自社の部品情報を本システムに登録した上で、
・各部品の法令チェックを行う機能、法令チェックにより基準違反と判定された部品について本システムに登録された他ユーザ所有の部品情報から代替部品を検索する機能、
・検索された他ユーザ所有の代替部品について、当該代替部品の部品情報が公開されている場合は、その部品情報を取得して自社のものとする機能、
・検索された他ユーザ所有の代替部品の部品情報が非公開の場合には、その所有ユーザに対して部品情報の提供を求め、許可を得てその部品情報を取得して自社のものとする機能を利用することが可能となる。
これにより、ユーザは法令適合のための代替部品を探すにあたり、従来のように人手で他企業に部品情報を問い合わせる必要がなく、代替部品の検索を自動的かつ効率的に行うことができ、また、検索された代替部品の部品情報を容易に取得することができるので、企業の部品調達業務が飛躍的に効率化される。
【0012】
また、本発明の部品管理システムを利用するユーザ企業は、自社製品の情報を積極的に公開する契機が得られ、新規顧客の開拓が容易になる。また、含有化学物質についての個別の問い合わせに対応する煩わしさを回避することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかる部品管理システムの構成図である。
【図2】図1に示す部品情報管理システムにおける、ユーザ情報データベースの構造を示す図である。
【図3】図1に示す部品情報管理システムにおける、部品情報データベースの構造を示す図である。
【図4】図1に示す部品情報管理システムにおける、リンク情報データベースの構造を示す図である。
【図5】図1に示す部品情報管理システムにおける、含有化学物質情報データベースの構造を示す図である。
【図6】図1に示す部品情報管理システムにおける、化学物質管理法令情報データベースの構造を示す図である。
【図7】図1に示す部品情報管理機能部がおこなう、部品情報登録処理の手順を示す流れ図である。
【図8】図1に示す法令チェック機能部がおこなう、部品の法令チェック処理の手順を示す流れ図である。
【図9】図1に示す部品情報検索機能部がおこなう、代替部品の検索処理の手順を示す流れ図である。
【図10】図1に示す部品情報管理システムにおける、部品情報データベース、リンク情報データベース、含有化学物質情報データベースの格納情報から把握される部品構成情報を概念的に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の部品情報管理システムを、実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1〜図10は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0015】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態にかかる部品管理システムの構成を示す図である。
図1に示すとおり、本実施形態の部品情報管理システムは、ソフトウェアモジュールとして、部品情報管理機能部10、法令チェック機能部20、部品情報検索機能部30、及び部品情報公開機能部40を実行するプログラム群を有する。また、データベースとして、ユーザ情報データベース50、部品情報データベース60、リンク情報データベース70、含有化学物質情報データベース80、及び化学物質管理法令情報データベース90を有する。
なお、本システムは、ネットワークを介して利用者端末から利用できるように、ASP形態で提供するのが望ましい。したがって、図1には、入力部、出力部、演算部は、明示的に示されていない。
【0016】
部品情報管理機能部10は、部品情報の登録及び管理を担う。ユーザは、部品情報管理機能部10によって、自社の部品情報を、本システムの部品情報データベース60、リンク情報データベース70及び含有化学物質情報データベース80に登録できる。
法令チェック機能部20は、本システムが管理する部品の化学物質含有量が、法令に準拠するか否かを、化学物質管理法令情報データベース90にもとづいて判断する。
部品情報検索機能部30は、化学物質の含有量が法令に適合しない部品の、代替部品を部品情報データベース60から検索する手段を提供する。
部品情報公開機能部40は、各ユーザが有する部品情報を、他のユーザに公開する手段を提供する。具体的には、部品情報データベース60の属性フィールドである、公開フラグを用いて、情報を公開するか否かを決める。公開フラグの設定をすれば、当該部品情報は、他企業が部品情報検索機能部30を使って、検索が可能となる。
【0017】
ユーザ情報データベース50は、本システムのユーザである企業等の名称、所在地、連絡先などの情報を格納する。図2に、ユーザ情報データベース50のテーブル構成例を示す。
部品情報データベース60は、本システムが管理する部品の名称、種別、規格、及び情報公開されるか否かを示すフラグなどの情報を格納する。図3に、部品情報データベース60のテーブル構成例を示す。尚、この部品情報データベース60が有する部品情報は、製造業で一般的に利用されているBOMに準拠したデータ構成を有するものとする。
リンク情報データベース70は、本システムが管理する、部品の親子関係(部品構成情報)についての情報を格納する。図4に、リンク情報データベース70のテーブル構成例を示す。
含有化学物質情報データベース80は、本システムの管理にかかる部品が含有する化学物質の名称や、含有量などの情報を格納する。図5に、含有化学物質情報データベース80のテーブル構成例を示す。
化学物質管理法令情報データベース90は、化学物質を規制する根拠となる法令の名称、規制される化学物質の名称、含有量の閾値などの情報を格納する。図6に、化学物質管理法令情報データベース90のテーブル構成例を示す。
【0018】
<動作>
上記のように構成された本実施形態の部品情報管理システムの動作について、説明する。まず、モジュールごとにその機能を個別に述べ、さらにシステムの処理の流れを、詳しく記す。
【0019】
<部品情報登録処理>
図7は、ユーザが自社の部品情報を、本システムに登録する処理を示す流れ図である。この部品情報登録処理は、本システムの部品情報管理機能部10が実行する。
まず、ユーザはネットワークを介して本システムにアクセスし、自己のユーザID等を入力して、本システムにログインする(ステップS71)。
次に、自社の部品情報をアップロードする(ステップS72)。ここで、ユーザが有する部品情報はBOMベースのデータ構成であり、図3に示す部品情報データベースのデータ構成と同一又は互換性を有するものであるので、部品情報管理機能部10は、ユーザがアップロードした部品情報を特別な処理を必要とせず容易に部品情報データベースに追加登録することができる。
次に、部品情報をアップロードした各部品について、他ユーザに部品情報を公開をするか否かを示す公開フラグの値を設定する(ステップS73)。
なお、部品情報登録処理においては、既に登録してある部品情報の編集や削除も行うことができる。
【0020】
<部品の法令チェック処理>
図8の流れ図は、ユーザがあらかじめ登録した自社の部品が、含有化学物質に関する法令の基準を満たすか否かをチェックする処理を示す。この、部品の法令チェック処理は法令チェック機能部20により実行される。
まず、ユーザは、部品情報データベース60にあらかじめ登録してある自社の部品情報から、法令に適合するか否かをチェックする対象の部品を選び出す(ステップS81)。
法令チェック機能部20は、指定した部品が含有する化学物質の量を集計した情報と、化学物質管理法令情報データベース90に格納されている法令情報とを比較し(ステップS82)、当該部品が法令に適合するか否かを判定する(ステップS83)。
ステップS83において、ユーザが指定した部品の含有化学物質量が法令基準を超えないと判定した場合、法令チェック機能部20は、「法令対応状況問題無し」のメッセージを表示して(ステップS84)、部品の法令チェック処理を終了する。
ステップS83において、ユーザが指定した部品の含有化学物質量が法令基準を超えると判定した場合、法令チェック機能部20は、「法令対応状況問題有り」のメッセージを表示して(ステップS85)、部品の法令チェック処理を終了する。
尚、法令チェック機能部20は、ユーザが指定した部品が法令に適合しない場合、当該部品の部品構成情報から、原因となる子部品を特定してユーザに表示することもできる。
【0021】
<代替部品の検索処理>
図9は、上記の部品の法令チェック処理により法令基準を満たさないと判定された部品について、ユーザ以外の他ユーザ企業が有する部品で代替可能なものがあるか否かを検索する代替部品の検索処理の手順を示す流れ図である。この代替部品の検索処理は、部品情報検索機能部30が実行する。
【0022】
まず、ユーザが、部品情報データベース60にあらかじめ登録してある自社の部品情報から、代替部品の検索対象とする部品を選択する(ステップS91)。尚、上記の法令チェック処理に引き続いて本処理を行う場合には、法令チェック処理のステップS85において「法令対応状況問題あり」と表示された部品が既に選択された状態となる。
部品情報検索機能部30は、部品情報データベース60において指定された部品の代替部品を検索する(ステップS92)。すなわち、部品情報データベース60に登録されている全ユーザの部品情報から、指定された部品と同等の用途、機能、規格、材料、寸法形状等を有する部品を検索する。このとき、法令チェック機能部20と連携して、指定された部品と同等の用途、機能、寸法形状等を有する部品であり、かつ、法令基準を満たす部品のみを、代替部品として検索することも可能である。
【0023】
続いてステップS93において、この検索により代替部品候補が発見されなかった場合には、「代替部品候補無し」のメッセージをユーザに表示して(ステップS94)、代替部品の検索処理を終了する。
一方ステップS93において、この検索により代替部品候補が発見された場合には、当該部品の部品情報が公開設定されているか否かを判定する(ステップS95)。当該部品の部品情報が公開設定されている場合には、その部品情報及びユーザ情報データベース50に格納されているその部品の所有者であるユーザの情報(例えば、企業名、企業コード、業種、所在地、連絡先などの情報)を、検索を行っているユーザに表示する(ステップS96)。検索を行っているユーザは、当該表示を確認し、必要に応じて、当該代替部品の部品情報を自端末に取得し、あるいは部品情報データベース60の自社の部品情報に追加することができる(ステップS97)。
【0024】
ステップS95において、発見された代替部品候補の部品情報が非公開設定されている場合には、部品情報検索機能部30は、当該代替部品候補の部品情報を所有するユーザに対して、当該代替部品候補の部品情報の提供を他のユーザが要求している旨のアラートを送信する(ステップS98)。このアラートを受けたユーザは、部品情報の提供を要求されている部品や要求元ユーザの情報を確認し、提供を許可するか否かの情報を本システムに通知する(ステップS99)。尚、ここでアラートに対する応答期間を予め設定しておき、所定期間内に何らの通知もない場合には、部品情報の提供の要求は拒否されたものとして取り扱うこともできる。
アラートを受けたユーザにより部品情報の提供が拒否された場合(所定期間内に通知がなかった場合を含む)には、部品情報検索機能部30は、「代替部品候補無し」のメッセージをユーザに表示して(ステップS94)、代替部品の検索処理を終了する。
一方、アラートを受けたユーザにより部品情報の提供が許可された場合には、ステップS96に進み、上記した公開設定されている部品情報へのアクセスと同様の処理を行うことができる。
【0025】
図10は、本実施形態の部品情報管理システムにおける部品情報データベース60、リンク情報データベース70、含有化学物質情報データベース80の格納情報から把握される部品構成情報を概念的に示す図である。
図10(a)においては、部品[A-001]を構成するBOM構成情報を示している。ここで、部品[A-001]は、1個の部品[A-002]と、1個の部品[A-005]から構成されている。部品[A-002]は、3個の部品[A-003]と、2個の部品[A-004]とから構成されている。また、部品[A-005]は、1個の部品[A-006]から構成されている。また、各部品の含有化学物質情報が含まれている。
尚、図10(b)に示すように、各部品の含有化学物質情報は、別データとして構成してもよい。
【0026】
以上、本発明の部品情報管理システムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態におけるデータベースの構成及びモジュールに様々な変更・改良を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、図1に示すように、おもにASP形態での実装を念頭においたシステムであり、コンピュータのCPU、メモリ、補助記憶装置、ディスプレイ、入力デバイス等を含むハードウェア資源上に構築されたOS、アプリケーションソフトウェア、データベース、ネットワークシステム等によって実現されるものであって、部品の含有化学物質情報の管理、公開、検索といった情報処理が上記のハードウェア資源を用いて具体的に実現されるものであるから、自然法則を利用した技術的思想に該当するものであり、製造業等の産業において利用することができるものである。
【符号の説明】
【0028】
10 部品情報管理機能部
20 法令チェック機能部
30 部品情報検索機能部
40 部品情報公開機能部
50 ユーザ情報データベース
60 部品情報データベース
70 リンク情報データベース
80 含有化学物質情報データベース
90 化学物質管理法令情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ情報を記憶し、ユーザが取り扱う部品について当該部品が含有する化学物質に関する情報を含む部品情報をユーザごとに記憶し、及び部品の含有化学物質に関する規制情報を記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶された部品情報及び規制情報に基づいて、当該部品が含有化学物質に関する規制に違反するか否かを判定する判定手段と、
前記データベースに記憶された部品情報から、一のユーザの部品の代替部品となる部品であって他のユーザが取り扱う部品を検索する検索手段と、
前記検索された代替部品の部品情報を前記一のユーザに提供する情報提供手段とを有する部品管理システム。
【請求項2】
前記データベースに記憶された部品情報は、部品ごとに公開又は非公開の設定情報を含んでおり、
前記検索手段は、代替部品の検索において、公開の設定がされた部品のみを代替部品としての検索結果に含めることを特徴とする請求項1に記載の部品情報管理システム。
【請求項3】
前記検索手段は、代替部品の検索において、非公開の設定がされた部品が代替部品として存在する場合には、前記データベースに記憶されたユーザ情報に基づき、前記他のユーザに対して当該代替部品の公開許可を要求し、前記他のユーザによって公開許可要求が受理された場合にのみ、当該代替部品を検索結果に含めることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品情報管理システム。
【請求項4】
前記情報提供手段は、検索された代替部品の部品情報をユーザにダウンロード可能とし、又は検索された他のユーザが取り扱う代替部品の部品情報を前記一のユーザの部品情報として前記データベースに記憶することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の部品情報管理システム。
【請求項5】
前記検索手段は、前記データベースに記憶された部品情報から代替部品を検索する際に、前記判定手段を通じて前記データベースに記憶された規制情報に基づき検索された代替部品が含有化学物質に関する規制に違反するか否かを判定し、違反しない代替部品のみ、当該代替部品を検索結果に含めることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の部品情報管理システム。
【請求項6】
ユーザ情報を記憶し、ユーザが取り扱う部品について当該部品が含有する化学物質に関する情報を含む部品情報をユーザごとに記憶し、及び部品の含有化学物質に関する規制情報を記憶するデータベースを有し又は利用するコンピュータにおいて、
一のユーザから、前記データベースに記憶された部品情報に含まれる部品の指定を受け付ける部品指定ステップと、
前記データベースに記憶された部品情報及び規制情報に基づいて、前記指定された部品が含有化学物質に関する規制に違反するか否かを判定する判定ステップと、
前記指定された部品が規制違反と判定された場合に、前記データベースに記憶された部品情報から、前記指定された部品の代替部品となる部品であって他のユーザが取り扱う部品を検索する検索ステップと、
前記検索された代替部品の部品情報を前記一のユーザに提供する情報提供ステップとを実行する部品管理プログラム。
【請求項7】
前記データベースに記憶された部品情報は、部品ごとに公開又は非公開の設定情報を含んでおり、
前記検索ステップにおいて、公開の設定がされた部品のみを代替部品としての検索結果に含めることを特徴とする請求項6に記載の部品情報管理プログラム。
【請求項8】
前記検索ステップにおいて、非公開の設定がされた部品が代替部品として存在する場合には、前記データベースに記憶されたユーザ情報に基づき、前記他のユーザに対して当該代替部品の公開許可を要求し、前記他のユーザによって公開許可要求が受理された場合にのみ、当該代替部品を検索結果に含めることを特徴とする請求項6又は7に記載の部品情報管理プログラム。
【請求項9】
前記情報提供ステップにおいて、検索された代替部品の部品情報を前記一のユーザにダウンロード可能とし、又は検索された他のユーザが取り扱う代替部品の部品情報を前記一のユーザの部品情報として前記データベースに記憶することを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の部品情報管理プログラム。
【請求項10】
前記検索ステップにおいて、前記判定手段を通じて前記データベースに記憶された規制情報に基づき検索された代替部品が含有化学物質に関する規制に違反するか否かを判定し、違反しない代替部品のみ、当該代替部品を検索結果に含めることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の部品情報管理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−70280(P2011−70280A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218930(P2009−218930)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)