説明

配管接続用コネクター

【目的】 アルミニウム材料あるいは合成樹脂材料などにかかわらず、シート部7、8および内部通路3、4を容易に形成可能で、その加工コストを大幅に低減可能な配管接続用コネクター20を提供することを課題とする。
【構成】 内部通路3、4を接続用ブロック21とは別体の接続用パイプ22、23により形成することに着目したもので、上流側配管5および下流側配管6を接続可能な接続用ブロック21と、接続用ブロック21内に位置させるとともに上流側配管5および下流側配管6のそれぞれのシート部7、8を有する接続用パイプ22、23とを有し、接続用パイプ22、23と接続用ブロック32とを一体に成形することによって、接続用パイプ22、23により内部通路3、4を形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は配管接続用コネクターにかかるもので、とくに内部通路の加工コストを大幅に低減可能な配管接続用コネクターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の配管接続用コネクターにおける接続用ブロックは、これをアルミニウム材料などにより製造するが、冷間鍛造、アルミダイカストあるいは押出し成形などによりこれを造り、機械加工により流体の内部通路を加工することが一般的である。
【0003】たとえば、実公平4−38204号では、膨張弁のパイプ組付装置を開示しており、膨張弁のハウジングに接続孔を形成し、この膨張弁を押さえプレートと接続ブロックとの間に配置して、入口パイプおよび出口パイプを接続するようにしてあるが、上記ハウジングの製造にあたっては、入口パイプおよび出口パイプのシート部および内部通路を加工する必要がある。
【0004】こうした従来の配管接続用コネクター(たとえば上記膨張弁のハウジング)の問題について以下概説する。図8は、従来の配管接続用コネクター1の断面図であって、この配管接続用コネクター1は、アルミニウム材料などによる接続用ブロック2に内部通路(入口側内部通路3および出口側内部通路4)を形成してある。
【0005】こうした配管接続用コネクター1においては、上流側配管5がシートして接続される上流側シート部7(図中右側)、および下流側配管6がシートして接続される下流側下流側シート部8(図中右側)などを精密に切削加工する必要があるため、加工コストが高いという問題があり、したがって使用される場所が限定されているなどの問題もある。
【0006】なお、図8および以下の各図において、いずれの側が上流もしくは下流であるか、あるいは入口もしくは出口であるかは、説明の便宜上のものであって、配管接続用コネクターの使用部位などによって任意に決定されるものである。
【0007】さらに、入口側内部通路3の下流側シート部材9(図中左側)、および出口側内部通路4の上流側シート部材10(図中左側)は、別途これらを製造し、それぞれの部位に取り付けるもので、これら下流側シート部材9および上流側シート部材10の別途構成および取付けの工程もコストアップの要因となっている。
【0008】また、接続用ブロック2が長い場合に、入口側内部通路3および出口側内部通路4の加工長さが深くなり、さらに加工コストが上昇するという問題もある。
【0009】なお図9は、こうした配管接続用コネクター1を車両の空調装置におけるエバポレーター11と、ダッシュパネル12を介した外部配管13との接続に用いた場合を示す概略図である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、シート部および内部通路の加工コストを大幅に低減可能な配管接続用コネクターを提供することを課題とする。
【0011】また本発明は、アルミニウム材料あるいは合成樹脂材料などにかかわらず、シート部および内部通路を容易に形成可能な配管接続用コネクターを提供することを課題とする。
【0012】さらに本発明は、従来のシート部材、シート部および内部通路を一体的に構成可能な配管接続用コネクターを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、内部通路を接続用ブロックとは別体の接続用パイプにより形成することに着目したもので、上流側配管および下流側配管を接続可能であるとともに、これら上流側配管および下流側配管に連通する内部通路を有する配管接続用コネクターであって、上記上流側配管および下流側配管を接続可能な接続用ブロックと、この接続用ブロック内に位置させるとともに上記上流側配管および下流側配管のそれぞれのシート部を有する接続用パイプと、を有し、この接続用パイプと上記接続用ブロックとを一体に成形することによって、該接続用パイプにより上記内部通路を形成したことを特徴とする配管接続用コネクターである。
【0014】上記接続用パイプには、上記上流側配管および下流側配管のそれぞれのシート部をあらかじめ形成しておくことができる。
【0015】上記接続用パイプは、これをたとえばアルミニウムなど金属製の上記接続用ブロックに形成した貫通孔に挿入し、拡管成形によりこれを成形することができ、あるいはたとえば合成樹脂製の上記接続用ブロックの成形用型内に配置し、該接続用ブロックにインサート成形することができる。
【0016】上記接続用パイプは、これをアルミニウムなどの金属材料から構成することができる。
【0017】
【作用】本発明による配管接続用コネクターにおいては、従来機械加工をしていたシート部および内部通路の部分を、たとえばアルミニウム材料などによる接続用パイプに置き換えることにより、当該内部通路を形成可能としたので、精密な加工を必要としないため、シート部および内部通路を形成する加工工程を簡素化可能で、加工コストを大幅に減少させることができるとともに、接続用ブロックに樹脂などの廉価な材料を使用することができ、材料費を下げることができるとともに、全体の軽量化も可能となる。さらに、長い内部通路を有する長い接続用ブロックについても、その材料費が上昇するのみで、対応可能である。
【0018】
【実施例】つぎに本発明の第1の実施例による配管接続用コネクター20を図1ないし図5にもとづき説明する。ただし、図8および図9と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
【0019】図1は、配管接続用コネクター20の断面図、図2は、同、側面図であって、配管接続用コネクター20は、接続用ブロック21と、接続用パイプ(入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23)とを有する。
【0020】接続用ブロック21は、精密な機械加工をせずに加工可能であればよく、ある程度の強度を有する材料、たとえばアルミニウム、鉄、合成樹脂などを採用可能である。
【0021】入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23は同様に、アルミニウム、鉄などを採用することができ、それぞれ入口側内部通路3および出口側内部通路4を構成している。
【0022】入口側接続用パイプ22には、上流側配管5がシートして接続される上流側シート部7、および下流側シート部材9に相当する下流側シート部24を一体に形成してある。出口側接続用パイプ23には、下流側配管6がシートして接続される下流側シート部8、および上流側シート部材10に相当する上流側シート部25を一体に形成してある。
【0023】こうした構成の配管接続用コネクター20を製造方法を図3ないし図6にもとづき説明する。ただし、各図中、入口側接続用パイプ22あるいは出口側接続用パイプ23の一方のみを図示してある。接続用ブロック21の材料を金属とした場合には、入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23を拡管成形することができる。すなわち図3に示すように、貫通孔26を有する接続用ブロック21、入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23を別々に成形しておく。
【0024】なお、貫通孔26の端部には上流側シート部7の裏打ちとなるシート部用段部7Aおよび下流側シート部8の裏打ちとなるシート部用段部8Aをあらかじめ形成しておくが、これらのシート部用段部7A、8Aの加工はそれほど精度は必要なく、ラフにこれを形成しておけばよいもので、実際には接続用ブロック21は、その型を製造し、鋳造によりこれを成形するものとする。
【0025】入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23には、あらかじめ下流側シート部24および上流側シート部25を成形しておくものとする。
【0026】つぎに図4に示すように、接続用ブロック21に形成した貫通孔26に入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23を挿入した上で、拡管成形する。
【0027】すなわち、入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23を接続用ブロック21の貫通孔26に挿入した状態で、拡管治具27を用いて、図5に示すように、反対側の下流側シート部24および上流側シート部25側から押さえ治具28を配置した状態で、入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23の中から拡管処理を施すことにより、上流側シート部7および下流側シート部8を形成しつつ、接続用ブロック21、入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23を一体成形する。
【0028】したがって、上流側シート部7および下流側シート部8の精度は、拡管治具27のシート部形成用段部27Aの精度による。
【0029】接続用ブロック21の材料を合成樹脂とした場合には、図6に示すように成形用型29の所定位置に入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23を配置した状態で、樹脂材料を流し込むことにより、接続用ブロック21、入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23をインサート成形する。
【0030】図7は、本発明の第2の実施例による配管接続用コネクター30を示すもので、内部通路3、4を形成するためのパイプとしては直管(たとえば入口側接続用パイプ22)のみならず、曲管31でもよい。
【0031】なお本発明においては、接続用ブロックに一体成形する接続用パイプは、単数でも複数でもよいとともに、シート部としては、凸状あるいは凹状のいずれの組み合わせでもよい。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、接続用ブロックとともには別体の接続用パイプを用いてこれらを一体に成形することにより接続用ブロックの内部に流体を通過させる内部通路を形成するようにしたので、従来の機械加工に比較して加工コストを大幅に減少することができる。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による配管接続用コネクター20の断面図である。
【図2】同、側面図である。
【図3】同、接続用ブロック21に形成した貫通孔26に入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23を挿入して一体成形する拡管成形の断面説明図である。
【図4】同、拡管成形において、入口側接続用パイプ22および出口側接続用パイプ23を接続用ブロック21の貫通孔26に挿入した状態を示す断面説明図である。
【図5】同、拡管治具27および押さえ治具28を配置した状態で、中から拡管処理を施す状態を示す断面説明図である。
【図6】同、接続用ブロック21の材料を合成樹脂とした場合のインサート成形の方法を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例による配管接続用コネクター30の断面図である。
【図8】従来の配管接続用コネクター1の断面図である。
【図9】同、配管接続用コネクター1を車両の空調装置におけるエバポレーター11と、ダッシュパネル12を介した外部配管13との接続に用いた場合を示す概略図である。
【符号の説明】
1 配管接続用コネクター
2 接続用ブロック
3 入口側内部通路(内部通路)
4 出口側内部通路(内部通路)
5 上流側配管
6 下流側配管
7 上流側シート部(シート部)
7A 上流側シート部7の裏打ちとなるシート部用段部
8 下流側シート部(シート部)
8A 下流側シート部8の裏打ちとなるシート部用段部
9 入口側内部通路3の下流側シート部材(シート部材)
10 出口側内部通路4の上流側シート部材(シート部材)
11 エバポレーター
12 ダッシュパネル
13 外部配管
20 配管接続用コネクター
21 接続用ブロック
22 入口側接続用パイプ(接続用パイプ)
23 出口側接続用パイプ(接続用パイプ)
24 下流側シート部材9に相当する下流側シート部
25 上流側シート部材10に相当する上流側シート部
26 貫通孔
27 拡管治具
27A 拡管治具27のシート部形成用段部
28 押さえ治具
29 成形用型
30 配管接続用コネクター
31 曲管

【特許請求の範囲】
【請求項1】 上流側配管および下流側配管を接続可能であるとともに、これら上流側配管および下流側配管に連通する内部通路を有する配管接続用コネクターであって、前記上流側配管および下流側配管を接続可能な接続用ブロックと、この接続用ブロック内に位置させるとともに前記上流側配管および下流側配管のそれぞれのシート部を有する接続用パイプと、を有し、この接続用パイプと前記接続用ブロックとを一体に成形することによって、該接続用パイプにより前記内部通路を形成したことを特徴とする配管接続用コネクター。
【請求項2】 前記接続用パイプには、前記上流側配管および下流側配管のそれぞれのシート部をあらかじめ形成してあることを特徴とする請求項1記載の配管接続用コネクター。
【請求項3】 前記接続用パイプは、これを前記接続用ブロックに形成した貫通孔に挿入し、拡管成形によりこれを成形したことを特徴とする請求項1記載の配管接続用コネクター。
【請求項4】 前記接続用パイプは、これを前記接続用ブロックの成形用型内に配置し、該接続用ブロックにインサート成形したことを特徴とする請求項1記載の配管接続用コネクター。
【請求項5】 前記接続用パイプは、これを金属材料から構成したことを特徴とする請求項1記載の配管接続用コネクター。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開平7−269987
【公開日】平成7年(1995)10月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−83756
【出願日】平成6年(1994)3月31日
【出願人】(000003333)株式会社ゼクセル (510)