説明

配管接続部材、送風システム及び建物

【課題】空気の改質機能を有し、かつ、配管経路の自由度を向上させた配管接続部材を提供する。
【解決手段】配管接続部材1Aは、給気ダクト4SAが接続される第1の接続部20aを一方の端部に有し、イオン発生器3が取り付けられる直管部20と、直管部20の他方の端部に取り付けられ、空気が吹き出される給気グリル5SAが接続される第2の接続部21aを、直管部20に取り付けられる側と反対側の端部に有し、曲げ方向と伸縮方向に変形可能な可撓部21を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気が通るダクト部材と、空気の吹出口または吸込口を接続する配管接続部材、この配管接続部材が用いられる送風システム及びこの送風システムが用いられる建物に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等に設置される送風装置として、給排気を行う換気装置本体を天井裏等に設置すると共に、各部屋に給気グリルを設置し、換気装置本体と給気グリルを空気が通るダクトで接続して、各部屋の換気を行えるようにした換気システムが提案されている。
【0003】
このような換気システムでは、空気を改質するためのイオンを発生させるイオン発生器を給気グリルに備え、給気グリルが設置されている部屋にイオンを供給できるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
従来は、エルボータイプと称されるL字型の配管を有した給気グリルと、ストレートタイプと称される直線状の配管を有した給気グリルが用意されており、設置場所等に応じて使用可能な給気グリルが決められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4223306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来は、給気グリルの配管の形状が決められており、設置場所に制約が生じていた。また、給気グリルにイオン発生器を備えることで、給気グリルが大型化することでも設置場所に制約が生じていた。更に、イオン発生器を備えていない給気グリルも存在し、イオン発生器を備えた給気グリルを用意しなければ、空気改質機能を持たせることができなかった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、空気の改質機能を有し、かつ、配管経路の自由度を向上させた配管接続部材、この配管接続部材が用いられる送風システム及びこの送風システムが用いられる建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、空気が通る風路を構成する管部と、管部を通る空気を改質する空気改質手段を備え、管部は、空気が通るダクト部材が接続される第1の接続部を一方の端部に有し、空気改質手段が取り付けられる直管部と、直管部の他方の端部に取り付けられ、空気が吹き出される吹出口または空気が吸い込まれる吸込口が接続される第2の接続部を、直管部に取り付けられる側と反対側の端部に有し、少なくとも曲げ方向に変形可能な可撓部とを備えた配管接続部材である。
【0009】
本発明の配管接続部材では、空気の吹出口または吸込口に空気改質手段を備えていなくても、空気改質機能を持たせることができ、吹出口または吸込口の小型化が可能である。また、本発明の配管接続部材では、可撓部を直線状とするか、または任意の方向かつ角度に曲げることで、直線状の配管と曲がり部分のある配管の何れであっても構成できる。これにより、1種類の配管接続部材を用いることで、吹出口または吸込口の設置場所に応じて、曲がり部分のある配管経路でも直線状の配管経路でも対応可能となる。
【0010】
本発明の送風システムは、上述した配管接続部材が用いられるものであり、空気が通るダクト部材と空気が吹き出される吹出口を接続する配管接続部材と、空気を吸い込み、吸い込んだ空気を吹き出す送風手段を有し、ダクト部材が接続される送風装置とを備え、配管接続部材は、空気が通る風路を構成する管部と、管部を通る空気を改質する空気改質手段を備え、管部は、空気が通るダクト部材が接続される第1の接続部を一方の端部に有し、空気改質手段が取り付けられる直管部と、直管部の他方の端部に取り付けられ、空気が吹き出される吹出口が接続される第2の接続部を、直管部に取り付けられる側と反対側の端部に有し、少なくとも曲げ方向に変形可能な可撓部とを備えたものである。
【0011】
本発明の送風システムでは、送風装置及び空気の吹出口に空気改質手段を備えていなくても、空気改質機能を持たせることができ、送風装置及び吹出口の小型化が可能である。また、本発明の換気システムでは、配管接続部材の可撓部を直線状とするか、または任意の方向かつ角度に曲げることで、直線状の配管と曲がり部分のある配管の何れであっても構成できる。これにより、1種類の配管接続部材を用いることで、吹出口等の設置場所に応じて、曲がり部分のある配管経路でも直線状の配管経路でも対応可能となる。
【0012】
本発明の建物は、上述した送風システムが用いられるものであり、空気改質手段を備えた配管接続部材が用いられることで、送風装置及び空気の吹出口に空気改質手段を備えていなくても、改質された空気を供給することができる。また、本発明の建物では、曲がり部分のある配管経路でも直線状の配管経路でも対応可能な配管接続部材が用いられることで、吹出口等の設置場所の自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の配管接続部材によれば、空気改質手段と曲げ方向に変形可能な可撓部を備えることで、曲がり部分のある配管経路でも直線状の配管経路でも対応可能であり、空気の改質機能を有した配管経路の自由度を向上させることができる。このように、1種類の配管接続部材を用いて、曲がり部分のある配管経路でも直線状の配管経路でも対応可能とすることで、複数種類の部材を用意する場合と比較して、低コスト化を実現できる。また、空気の吹出口または吸込口に空気改質手段を備える必要がなく、吹出口または吸込口の小型化が可能であるとともに、吹出口または吸込口の低コスト化を実現できる。
【0014】
本発明の送風システムによれば、上述した配管接続部材が用いられることで、配管経路に応じて複数種類の部材を用意することなく、曲がり部分のある配管経路でも直線状の配管経路でも対応可能である。本発明の建物によれば、上述した送風システムが用いられることで、吹出口等の設置場所の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態の配管接続部材の一例を示す側面図である。
【図2】本実施の形態の配管接続部材の内部構成の一例を示す側断面図である。
【図3】本実施の形態の配管接続部材の使用例を示す側面図である。
【図4】本発明の配管接続部材が用いられた送風システムの一例を示す構成図である。
【図5】本実施の形態の送風システムを構成する送風装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の配管接続部材、配管接続部材が用いられる送風システム及び送風システムが用いられる建物の実施の形態について説明する。
【0017】
<本実施の形態の配管接続部材の構成例>
図1は、本実施の形態の配管接続部材の一例を示す側面図、図2は、本実施の形態の配管接続部材の内部構成の一例を示す側断面図である。また、図3は、本実施の形態の配管接続部材の使用例を示す側面図である。
【0018】
本実施の形態の配管接続部材1Aは、空気が通る風路を形成する管部2と、管部2を通る空気にイオンを供給するイオン発生器3を備える。管部2は、イオン発生器3が取り付けられる直管部20と、曲げ方向及び伸縮方向に変形可能な可撓部21を備える。
【0019】
可撓部21は、円筒形状の管状部材の長さ方向に沿った周面の断面形状を蛇腹状の波形として、伸縮する方向及び曲げ方向に変形可能で、かつ、変形した形状を保持可能に構成される。
【0020】
配管接続部材1Aは、直管部20の端部に可撓部21が取り付けられ、可撓部21を任意の方向及び角度に曲げることが可能であると共に、可撓部21を任意の長さに伸縮可能である。
【0021】
配管接続部材1Aは、図3に示すように、ダクト部材である給気ダクト4SAと吹出口である給気グリル5SAを接続するため、可撓部21が取り付けられる側と反対側の直管部20の端部に、給気ダクト4SAとの第1の接続部20aを備える。また、直管部20が取り付けられる側と反対側の可撓部21の端部に、給気グリル5SAとの第2の接続部21aを備える。
【0022】
イオン発生器3は空気改質手段の一例で、略同数の正イオンと負イオンがイオン放出面30から放出される。イオン発生器3の原理について説明すると、イオン発生器3は、図示しない一対の電極が誘電体を介して対向配置され、電極間に家庭用交流電源等から取った交流電圧を昇圧して印加することにより、コロナ放電を起こし、空気中の酸素ないしは水分が電離によりエネルギーを受けてイオン化し、H+(H2O)m(mは任意の自然数)と、O2-(H2O)n(nは任意の自然数)が主体のイオンを放出するものである。
【0023】
これらH+(H2O)m及びO2-(H2O)nは、浮遊菌の表面に付着し、化学反応して活性種であるH22または・OHを生成する。H22または・OHは、極めて強力な活性を示すため、これらにより、空気中の浮遊細菌を取り囲んで除去することができる。ここで、・OHは活性種の1種であり、ラジカルのOHを示している。
【0024】
これにより、イオン発生器3で略同数の正イオンと負イオンを発生させ、管部2を通る空気に略同数の正イオンと負イオンを供給することで、空気中の浮遊雑菌が除去される。ここで、イオン発生器3は、タバコ臭等の脱臭機能も有している。また、空気改質手段はイオン発生器に限るものではなく、加湿、除湿、空気清浄等の機能を有するものであっても良く、空気を改質する機能を有するものであれば良い。
【0025】
直管部20は直線状で、イオン発生器3が取り付けられる開口部22が形成される。イオン発生器3は、イオン放出面30が直管部20の内周面と略同一となるように、直管部20の外側に取り付けられる形態であっても良いし、イオン放出面30が直管部20の内周面から内側に向けて突出するように、直管部20の内側に一部を突出させて取り付けられる形態であっても良い。以下の例では、イオン発生器3が直管部20の内側に突出させて取り付けられる形態について説明する。
【0026】
配管接続部材1Aは、イオン発生器3が取り付け部材6に取り付けられ、イオン発生器3が取り付けられた取り付け部材6が、直管部20の開口部22に取り付けられる。なお、配管接続部材1Aは、イオン発生器3を駆動する基板が実装される図示しない基板ボックスが、取り付け部材6を介して直管部20に取り付けられる。
【0027】
取り付け部材6は、イオン発生器3が固定される爪部60を有し、爪部60で所定の位置に固定されたイオン発生器3のイオン放出面30の前面に、イオン放出面30の前方と、空気の流れる方向に沿った上流側と下流側に開口を有した空間61が形成される。
【0028】
取り付け部材6は、イオン発生器3のイオン放出面30の前方の開口に、人の指が入らない程度の大きさで格子が設けられ、空間61の高さを、空気の流れる方向に沿った上流側と下流側の開口から指が入らない程度とした構成である。
【0029】
取り付け部材6の内周面と接するイオン発生器3の外周面には、封止部材としてのパッキン62が貼り付けられ、パッキン62が貼り付けられたイオン発生器3が取り付け部材6に挿入されることで、イオン発生器3が爪部60で所定の位置に固定される。イオン発生器3が取り付け部材6に固定されると、イオン発生器3と取り付け部材6との間に入るパッキン62によって、イオン発生器3と取り付け部材6との取り付け部位での気密が保たれる。
【0030】
また、直管部20の開口部22の内周面と接する取り付け部材6の外周面には、封止部材としてのパッキン63が貼り付けられ、イオン発生器3が取り付けられると共に、パッキン63が貼り付けられた取り付け部材6が、直管部20の開口部22に挿入され、図示しないネジ等により直管部20に固定される。取り付け部材6が直管部20に固定されると、取り付け部材6と直管部20の開口部22との間に入るパッキン63によって、取り付け部材6と直管部20との取り付け部位での気密が保たれる。
【0031】
これにより、配管接続部材1Aは、管部2を通る空気が、イオン発生器3と取り付け部材6との取り付け部位、及び取り付け部材6と直管部20との取り付け部位から漏れることが防止される。
【0032】
また、配管接続部材1Aは、イオン発生器3が取り付け部材6により管部2に取り付けられると、イオン発生器3のイオン放出面30が、直管部20の内周面から所定の高さで突出した位置となり、イオン放出面30の前面に形成される空間61が、管部2による風路中に配設される。
【0033】
配管接続部材1Aは、直管部20の第1の接続部20aに図3に示す給気ダクト4SAが接続され、可撓部21の第2の接続部21aに給気グリル5SAが接続されて、給気ダクト4SAから配管接続部材1Aを通る空気が給気グリル5SAから吹き出される。
【0034】
配管接続部材1Aでは、イオン発生器3のイオン放出面30の前面に形成された空間61に、管部2を通る空気の流れに対して上流側の開口から空気が取り込まれることで、給気ダクト4SAから吹き出されて管部2を通る空気が、イオン発生器3のイオン放出面30に沿って流れる。
【0035】
イオン発生器3が駆動されて、イオン放出面30から略同数の正イオンと負イオンが放出されると、イオン発生器3のイオン放出面30に沿って流れる空気に、略同数の正イオンと負イオンが供給される。
【0036】
正イオンと負イオンが供給された空気は、管部2を通る空気の流れに対して下流側の開口及びイオン放出面30と対向した開口部から、管部2を通る空気の流れによって吹き出され、略同数の正イオンと負イオンを含む空気が給気グリル5SAから吹き出される。
【0037】
断面形状が円形の管部2の内部を通る空気は、管部2の内周面に近い側では風速が遅く、中心に向かって風速が徐々に速くなり、管部2の中心付近で最も風速が速くなる。
【0038】
配管接続部材1Aでは、取り付け部材6によって直管部20の内周面から突出させてイオン発生器3が取り付けられ、イオン発生器3のイオン放出面30が、直管部20の中心付近に近づけられることで、正イオンと負イオンを放出するイオン放出面30が、管部2の内部において風速の速い位置に配設される。このように、イオン発生器3のイオン放出面30が、管部2の内部で風速の速い位置に配設されると、給気グリル5SAから吹き出される空気中のイオンの数を増加させることができる。
【0039】
<本実施の形態の配管接続部材の使用例>
次に、図3等を参照して、本実施の形態の配管接続部材1Aの使用例について説明する。
【0040】
図3(a)及び図3(b)では、給気グリル5SAが住宅等の建物の天井100に取り付けられた例を示す。給気ダクト4SAは、通常、天井100に沿うように配置される。これに対して、天井100の取り付けられた給気グリル5SAは、ダクトとの接続箇所が上方を向いており、給気ダクト4SAの配置される方向と略直交する。
【0041】
そこで、配管接続部材1Aは、直管部20の端部の第1の接続部20aを給気ダクト4SAに接続する。また、可撓部21を略直角に曲げ、曲げられた可撓部21の端部の第2の接続部21aを給気グリル5SAに接続する。このように、配管接続部材1Aを用いることで、L字型の配管接続部材を用いることなく、配管経路を略直角に曲げることができる。可撓部21は、この曲げられた形状を維持できるようになっている。
【0042】
また、天井裏の空間の高さ方向の寸法が狭い等により、天井100と給気ダクト4SAとの距離が狭い場合は、図3(a)に示すように、可撓部21の曲げられた部分より先を縮めることで、配管接続部材1Aの設置高さを低く抑えることができる。一方、天井100と給気ダクト4SAとの距離が大きくなるような場合は、図3(b)に示すように、可撓部21の曲げられた部分より先を伸ばすことで、配管接続部材1Aの設置高さを高くすることができる。
【0043】
図3(c)では、給気グリル5SAが住宅等の建物の天井100に形成された段差部分の壁面101に取り付けられた例を示す。天井100の段差部分の壁面101に取り付けられた給気グリル5SAは、ダクトとの接続箇所が横を向いており、給気ダクト4SAの配置される方向と略平行となる。
【0044】
そこで、配管接続部材1Aは、直管部20の端部の第1の接続部20aを給気ダクト4SAに接続する。また、可撓部21を直線状として、端部の第2の接続部21aを給気グリル5SAに接続する。このように、配管接続部材1Aを用いることで、直線状の配管経路とすることも可能である。
【0045】
従って、1種類の配管接続部材1Aを用いることで、曲がり部分のある配管経路でも直線状の配管経路でも対応可能となる。従来は、エルボータイプと称されるL字型の配管を有した給気グリルと、ストレートタイプと称される直線状の配管を有した給気グリルの2種類を用意する必要があったが、本実施の形態では、1種類の配管接続部材1Aでエルボータイプとストレートタイプの両方に対応可能となり、同一種類の製品をより多く生産できることによるコスト削減が可能となる。
【0046】
また、配管接続部材1Aと給気グリル5SAを独立した部品とし、イオン発生器3を配管接続部材1Aに備えたことにより、給気グリル5SAの小型化が可能となり、設置場所の制約を減らすことができる。
【0047】
一般的に、給気ダクト4SAの径や、給気グリル5SAのダクトとの接続箇所の径は規格が決められている。このため、配管接続部材1Aの第1の接続部20aと第2の接続部21aを規格に合わせておけば、給気ダクト4SAの配管経路や給気グリル5SAの取り付け形態によらず、空気を改質する機能を持つイオン発生器3を備えた配管接続部材1Aを、様々な給気ダクト4SAと給気グリル5SAに接続可能となる。これにより、イオン発生器等の空気改質手段の有無で2種類の給気グリルを用意する必要が無く、配管接続部材1Aを用いることで、給気グリル5SAにイオン発生器等の空気改質手段を備えていなくても、空気改質機能を持たせることができる。また、配管接続部材1Aの第2の接続部21aは、チャンバ部を有した給気グリル5SAに接続可能な構造としておけば、給気ダクト4SAと直接接続可能な既存の給気グリル5SAに、配管接続部材1Aを接続することができる。
【0048】
また、配管接続部材1Aは、可撓部21が曲げ方向及び伸縮方向に自在に変形可能であるので、曲げ部分の径を変えることができ、曲げ部分の径を小さくすることで、空気を改質する機能を持つ配管接続部材1Aを、狭い空間へ設置することが可能となる。なお、可撓部21は、本例では蛇腹形状となっているが、曲げや伸縮等、可撓できるものであれば、他の構造であっても良い。
【0049】
<本実施の形態の送風システム及び建物の構成例>
図4は、本発明の配管接続部材が用いられた送風システムとしての換気システムの一例を示す構成図、図5は、本実施の形態の送風システムとしての換気システムを構成する送風装置としての換気装置の一例を示す構成図で、次に、上述した配管接続部材1Aが用いられた送風システムとしての換気システム及び建物について説明する。
【0050】
送風システムの一例である本実施の形態の換気システム11は、外気OAを吸い込んで給気SAとして室内に吹き出すと共に、室内からの還気RAを吸い込んで排気EAとして屋外に排気し、かつ、外気OAと還気RAとの間で熱交換を行う熱交換型の換気装置12を備える。
【0051】
送風装置の一例である換気装置12は、図5に示すように、外気吸込口120OAから給気吹出口120SAへつながる給気風路121SAが形成され、外気吸込口120OAから外気OAを吸い込み、給気吹出口120SAから給気SAを吹き出す送風ファン122を備える。
【0052】
また、換気装置12は、還気吸込口120RAから排気吹出口120EAへつながる排気風路121EAが形成され、還気吸込口120RAから還気RAを吸い込み、排気吹出口120EAから排気EAを排気する換気ファン123を備える。
【0053】
更に、外気吸込口120OAから吸い込まれた外気OAと還気吸込口120RAから吸い込まれた還気RAとの間で熱交換を行う熱交換素子124を備える。
【0054】
熱交換素子124は、給気風路121SAを形成する素材と排気風路121EAを形成する素材が、給気風路121SAと排気風路121EAを直交する向きとして積層される。熱交換素子124は、給気風路121SAと排気風路121EAが、熱伝導性を有すると共に空気を通さない隔壁で仕切られ、給気風路121SAを通る空気と排気風路121EAを通る空気との間で熱交換される。
【0055】
換気装置12は、給気吹出口120SAに単数または複数の給気ダクトジョイント125SAが取り付けられ、給気対象となる部屋数等に応じて、給気ダクトジョイント125SAに図3等で説明した給気ダクト4SAが接続される。給気ダクト4SAには、図1等で説明した配管接続部材1Aが接続され、配管接続部材1Aに給気グリル5SAが接続される。
【0056】
また、換気装置12は、外気吸込口120OAに取り付けられた外気ダクトジョイント125OAに外気ダクト4OAが接続され、外気ダクト4OAに屋外グリル5OAが接続される。更に、排気吹出口120EAに取り付けられた排気ダクトジョイント125EAに排気ダクト4EAが接続され、排気ダクト4EAに屋外グリル5EAが接続される。
【0057】
また、換気装置12は、下面にフロントパネル126が取り付けられ、フロントパネル126に形成された吸込グリル126RAが還気吸込口120RAとつながる。なお、換気装置12は、給気風路121SAと排気風路121EAに図示しないフィルタを備え、熱交換素子124に埃等が付着しないように構成される。
【0058】
換気システム11が設置された建物71は、図4に示すように、本例では一戸建て住宅を例にしており、居間や台所等、壁や扉72で仕切られた複数の部屋73a〜73bが設けられている。
【0059】
換気システム11は、例えば廊下74の天井裏に換気装置12が設置され、図5に示すように還気吸込口120RAとつながる吸込グリル126RAが形成されたフロントパネル126が、廊下74の天井に露出する。
【0060】
また、各部屋73a〜73bの天井100に給気グリル5SAが設置され、各給気グリル5SAが、図1等で説明した配管接続部材1Aにより給気ダクト4SAに接続される。
【0061】
図4では、部屋73aは、平面状の天井100に給気グリル5SAが取り付けられ、図3(a)または図3(b)に示すように、配管接続部材1Aの可撓部21が略直角に曲げられ、曲げられた可撓部21に給気グリル5SAが接続される。
【0062】
一方、部屋73bは、天井100に形成された段差部分の壁面101に給気グリル5SAが取り付けられ、図3(c)に示すように、配管接続部材1Aの可撓部21が直線状に伸ばされ、直線状に伸ばされた可撓部21に給気グリル5SAが接続される。
【0063】
これにより、換気システム11では、1種類の配管接続部材1Aを用いることで、曲がり部分のある配管経路でも直線状の配管経路でも設置可能となる。
【0064】
また、換気システム11は、建物71の外壁に屋外グリル5OAが設置され、屋外グリル5OAに外気ダクト4OAが接続される。更に、建物71の外壁に屋外グリル5EAが設置され、屋外グリル5EAに排気ダクト4EAが接続される。
【0065】
建物71は、扉72に設けたアンダーカットUや、図示しないガラリ等を通して各部屋73a〜73bと廊下74との間等で空気が流れる構成である。これにより、各部屋73a〜73bの給気グリル5Aから給気SAが吹き出されると共に、各部屋73a〜73bの空気が、アンダーカットUやガラリを通り廊下74の換気装置12から吸い込まれる空気の流れが形成される。
【0066】
<送風システムの動作例>
次に、各図を参照して送風システムの一例である本実施の形態の換気システム11の動作の一例について説明する。
【0067】
換気システム11は、給排気が機械換気で行われる第1種換気システムを構成し、所定時間で各部屋73a〜73bの空気が入れ替えられる換気風量で、24時間連続運転される。すなわち、換気装置12では、送風ファン122と換気ファン123が、所定の換気風量が得られる回転数で駆動される。
【0068】
換気装置12は、送風ファン122が駆動されると、給気風路121SAを外気吸込口120OAから給気吹出口120SAへ向かう空気の流れが発生する。また、換気装置12は、換気ファン123が駆動されると、排気風路121EAを還気吸込口120RAから排気吹出口120EAへ向かう空気の流れが発生する。
【0069】
これにより、換気装置12では、建物外壁の屋外グリル5OAから外気ダクト4OAを通り外気吸込口120OAへ外気OAが吸い込まれ、熱交換素子124を通って給気吹出口120SAから給気SAが吹き出される。
【0070】
また、アンダーカットUや図示しないガラリを通して、廊下74のフロントパネル126から還気吸込口120RAへ各部屋73a〜73bからの還気RAが吸い込まれ、熱交換素子124を通って排気吹出口120EAから排気EAが排出され、排気吹出口120EAから排出された排気EAは、排気ダクト4EAを通り建物外壁の屋外グリル5EAから屋外へ排出される。
【0071】
そして、外気吸込口120OAから吸い込まれた外気OAと還気吸込口120RAから吸い込まれた還気RAが、熱交換素子124を通ることで熱交換されて、室温に近づけられた給気SAが給気吹出口120SAから吹き出される。
【0072】
換気装置12の給気吹出口120SAから吹き出された給気SAは、給気ダクト4SAから配管接続部材1Aを通り、給気グリル5Aから吹き出される。
【0073】
配管接続部材1Aは、上述したように、図1等に示すイオン発生器3が駆動されると、イオン発生器3から略同数の正イオンと負イオンが放出され、管部2を通る空気に略同数の正イオンと負イオンが供給される。
【0074】
これにより、換気装置12から給気ダクト4SAを通して配管接続部材1Aに供給された給気SAに、略同数の正イオンと負イオンが供給され、略同数の正イオンと負イオンを含む空気が、給気SAとして給気グリル5Aから吹き出される。
【0075】
図4に示すような建物71において、給気グリル5Aが備えられた各部屋73a〜73bに略同数の正イオンと負イオンを含む空気が供給されることで、空気中の浮遊雑菌が除去される。
【0076】
本実施の形態の換気システム11では、給気ダクト4SAと給気グリル5SAを接続する配管接続部材1Aにイオン発生器3を備えることで、換気装置12及び給気グリル5SAにイオン発生器等の空気改質手段を備えていなくても、空気改質機能を持たせることができる。
【0077】
また、本実施の形態の換気システムに用いられる配管接続部材1Aは、空気の吹出側ではなく、吸込側の配管経路に用いることができる。例えば、図4に示すように、トイレ73c等の天井100に、吸込口としての副吸込グリル5RAが取り付けられる。換気装置12は、熱交換素子124を通さずに排気を行う副吸込口に副吸込ダクト4RAが接続され、副吸込ダクト4RAと副吸込グリル5RAが、図1等で説明した配管接続部材1Aで接続される。
【0078】
換気装置12が駆動されると、トイレ73c内の空気は、副吸込グリル5RAから吸い込まれることで、トイレ73c内の臭気が、換気装置12のフロントパネル126から吸い込まれる空気の流れで他室に漏れないようになっている。副吸込グリル5RAに接続される配管接続部材1Aにイオン発生器3を備えることで、換気装置12に吸い込まれる空気に正イオンと負イオンを供給できる。これにより、換気装置12に吸い込まれる空気中の浮遊雑菌等を除去することができる。
【0079】
なお、本発明の送風システムの一例である本実施の形態の換気システムを構成する送風装置の一例である換気装置としては、上述した熱交換型の換気装置以外に、熱交換機能を有していない換気装置であっても良く、例えば、中間ダクトファンと称される給気機能のみを有した換気装置にも適用可能である。また、本発明の送風システムは、室内空気を循環させる循環機能を備えたものであっても良く、循環させる空気の給気、または、循環させる空気の吸込、あるいは、給気と吸込がダクトを通して行われるような送風装置が用いられるものであっても良い。更に、排気による換気機能に加え、室内空気を循環させる循環機能を備えたものであっても良く、例えば、送風装置として、室内空気を吸い込んで排気する排気機能と、室内空気を循環させる循環機能を備えた浴室暖房換気乾燥装置と称される換気装置が用いられるものであっても良い。また、給気による換気機能に加え、室内空気を循環させる循環機能を備えたものであっても良く、あるいは、換気機能を備えてしない循環機能のみの送風システムや、排気機能を有していないものでも良く、ダクトを通した送風機能を備えているものであれば、様々なものに適用でき、実施の形態に記載のものに限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、ダクトと給気グリル、ダクトと吸込グリル、ダクト同士を接続する配管接続部材に適用される。
【符号の説明】
【0081】
1A・・・配管接続部材、2・・・管部、20・・・直管部、20a・・・第1の接続部、21・・・可撓部、21a・・・第2の接続部、3・・・イオン発生器、4SA・・・給気ダクト、5SA・・・給気グリル、11・・・換気システム、12・・・換気装置、71・・・建物、100・・・天井、101・・・壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が通る風路を構成する管部と、
前記管部を通る空気を改質する空気改質手段を備え、
前記管部は、
空気が通るダクト部材が接続される第1の接続部を一方の端部に有し、前記空気改質手段が取り付けられる直管部と、
前記直管部の他方の端部に取り付けられ、空気が吹き出される吹出口または空気が吸い込まれる吸込口が接続される第2の接続部を、前記直管部に取り付けられる側と反対側の端部に有し、少なくとも曲げ方向に変形可能な可撓部とを備えた
ことを特徴とする配管接続部材。
【請求項2】
前記可撓部は、曲げ方向と伸縮方向に変形可能に構成される
ことを特徴とする請求項1記載の配管接続部材。
【請求項3】
前記空気改質手段は、前記管部を通る空気にイオンを供給するイオン発生器である
ことを特徴とする請求項1または2記載の配管接続部材。
【請求項4】
空気が通るダクト部材と空気が吹き出される吹出口を接続する配管接続部材と、
空気を吸い込み、吸い込んだ空気を吹き出す送風手段を有し、前記ダクト部材が接続される送風装置とを備え、
前記配管接続部材は、
空気が通る風路を構成する管部と、
前記管部を通る空気を改質する空気改質手段を備え、
前記管部は、
空気が通るダクト部材が接続される第1の接続部を一方の端部に有し、前記空気改質手段が取り付けられる直管部と、
前記直管部の他方の端部に取り付けられ、空気が吹き出される吹出口が接続される第2の接続部を、前記直管部に取り付けられる側と反対側の端部に有し、少なくとも曲げ方向に変形可能な可撓部とを備えた
ことを特徴とする送風システム。
【請求項5】
前記配管接続部材は、空気が吸い込まれる吸込口が前記第2の接続部に接続され、
前記送風装置で吸い込まれる空気が通るダクト部材と前記吸込口が、前記配管接続部材で接続される
ことを特徴とする請求項4記載の送風システム。
【請求項6】
請求項4または5記載の送風システムを備えた
ことを特徴とする建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−99638(P2011−99638A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255444(P2009−255444)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】