配管接続部用遮音カバー
【課題】フランジ型等の配管接続部を持つ管継手と配管を接続した部分へ簡単に被覆でき安価に製作可能な遮音カバーを提供すること。
【解決手段】アルミガラスクロスと合成樹脂シートと無機繊維シートを順次に重層して形成した遮音性シートにより、フランジ型の管継手10の接続部分よりも上方の部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の上方カバー2と、その接続部分よりも下方の部分の配管を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の下方カバー4を形成し、これらのカバーの外円側の円弧状の縁部を互いに同曲率且つ同長に形成すると共にアルミガラスクロスによるヒンジ部3により互いに接続し、該上方カバーの外円側の円弧状の縁部に沿ってこれらカバーの接続箇所を隠す帯状の遮音性の目隠し部材19を揺動自在に設けた。
【解決手段】アルミガラスクロスと合成樹脂シートと無機繊維シートを順次に重層して形成した遮音性シートにより、フランジ型の管継手10の接続部分よりも上方の部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の上方カバー2と、その接続部分よりも下方の部分の配管を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の下方カバー4を形成し、これらのカバーの外円側の円弧状の縁部を互いに同曲率且つ同長に形成すると共にアルミガラスクロスによるヒンジ部3により互いに接続し、該上方カバーの外円側の円弧状の縁部に沿ってこれらカバーの接続箇所を隠す帯状の遮音性の目隠し部材19を揺動自在に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管と、フランジ型の配管接続部を持つ管継手との接続部分、或いは配管をソケットを介して接続する形式の配管接続部を持つ管継手との接続部分に適用されて配管系統に遮音と防熱を施す配管接続部用の遮音カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設の排水管や排水管継手に生じる流水による騒音を防止するため、遮音シートを排水管や継手に巻き付けることが行われている。この遮音シートとして、ポリ塩化ビニルシートとグラスウールを積層したシートや、このシートのポリ塩化ビニルの層の表面に、更にアルミ箔とガラス繊維のメッシュを積層したいわゆるアルミガラスクロスを貼り付けた遮音シートが知られている。
【0003】
既設の配管や継手に対するこれらの遮音シートの取り付けは、人手により行われ、一般的には所定の寸法に裁断した遮音シートにより配管等を覆い、これをバンドや接着テープなどの固定手段により固定して配管等の騒音を封じ込んでいる。遮音シートはシート状あるいはテープ状に裁断され、必要な場合は遮音シートに切り込みを入れることで取り付け箇所の表面の凹凸に沿った遮音被覆を行えるようにしている。しかし、フランジ型の配管接続部を備えた排水管継手は、締め付けボルトを挿通するためにフランジ部分が大きく側方へ突出しているので、既設配管の背後に手を回し込んでシート状やテープ状の遮音シートによりフランジ部分が露出しないように覆うことは容易でなかった。
【0004】
また、遮音のためには排水管継手の上記接続部分以外の部分が露出しないように遮音シートで被覆することが望ましいが、排水管継手の設置状態によってその露出部分の長さが変わるため、この露出部分には別途に遮音シートを巻く作業が必要でその分被覆作業時間が長くなる不都合があった。さらに差込型の接続部分を有する排水管継手は、継手よりも側方へ大きく膨出したソケットを介して配管に接続されるから、前記の場合と同様にこの接続部分を遮音シートで覆う作業は容易でなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−236689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フランジ型やソケットを介して配管を接続する形式の配管接続部を持つ管継手の接続部分に、簡単に被覆でき、しかも安価に製作可能な遮音カバーを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、アルミガラスクロスと合成樹脂シートと無機繊維シートを順次に重層して形成した遮音性シートにより、フランジ型の管継手と配管との接続部分の上方部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の上方カバーと、その接続部分の下方部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の下方カバーを形成し、これらのカバーの外円側の円弧状の縁部を互いに同曲率且つ同長に形成すると共にアルミガラスクロスを貼着して互いに接続し、該上方カバーの外円側の円弧状の縁部に沿ってこれらカバーの接続箇所を隠す帯状の遮音性の目隠し部材を揺動自在に設けたことにより、上記の課題を解決するようにした。上方カバーおよび下方カバーの長さ方向の端部に、上記周回した被覆状態を維持するための接着剤を塗布した接合片を設けておくと被覆作業がより簡単になる。
また、アルミガラスクロスと合成樹脂シートと無機繊維シートを順次に重層して形成した遮音性シートにより、フランジ型の管継手と配管の接続部分の上方部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の上方カバーと、その接続部分の下方部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の下方カバーを形成し、これらのカバーの外円側の円弧状の縁部を同長に形成すると共にアルミガラスクロスを貼着して互いに接続し、該上方カバーの内円側の円弧状の縁部に、円弧状に湾曲する帯状の調整カバーに形成され且つ該上方カバーの内円側の縁部と同長に形成された円弧状の縁部をアルミガラスクロスにより接続し、該調整カバーが上記接続部分以外の該管継手の露出部分を被覆するようにすることによっても上記の課題が解決される。この調整カバーには、円弧状の縁部に沿った方向に破線状の切込線を形成し、この切込線に沿って切断することにより該調整カバーの帯状の幅を調節できるようにすることで施工が容易になり、継手の施工状態によって変化する継手下方の各種の露出部分を被覆する作業が一種類の遮音カバーで対応できるようになる。管継手は、フランジ型管継手のように側方へ突出した構成のソケットを介して配管に接続する形式の差込型の管継手で構成することも可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるときは、上部カバーと下部カバーの外円側の円弧状の縁部を同長とし、そこをヒンジ部により互いに接続したので、上部カバーと下部カバーはヒンジ部を中心として立体形に開くことができ、そのまま管継手のフランジ型接続部へかぶせることができ、接合片などの簡単な固定手段を使用して継手や配管に固定できる。これら上下カバーのつなぎ目には遮音性の目隠し部材が設けられてつなぎ目を塞いでいるので、つなぎ目の隙間からの音漏れが防止される。遮音カバーの表面にはアルミガラスクロスを重層してあるから防水性がよく、グラスウールやロックウールなどの無機質繊維シートが吸水状態になることを防げてカビなどの発生を防止できるとともに遮音カバーの引張強度も向上するので施工時におけるカバーの損傷を防止でき、特別な素材を使用しないので安価に製造できる。
【0009】
さらに該上方カバーの内円側の円弧状の縁部に沿って、円弧状に湾曲した帯状の調整カバーの内円側の円弧状の縁部を接続し、該調整カバーが該管継手の下部周囲を被覆することで、該上方カバーでは覆いきれない管継手の下方部分を覆って遮音することができ、この調整カバーに円弧状の縁部に沿った方向に破線状の切込線を形成し、この切込線に沿って切断可能とすることにより該調整カバーの幅を調節して管継手の下方部分の実際の露出長さに簡単に適応させることができる。
【0010】
本発明の構成によれば、フランジ型以外の管継手であっても、例えば側方へ突出した部分を持ったソケットを介して配管に接続される形式の差込型の管継手の接続部分の遮音カバーとしても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の遮音カバーの実施例の正面図
【図2】図1の背面図
【図3】図1の右側面図
【図4】図1の4−4線部分の拡大断面図
【図5】図1の遮音カバーを開いた状態の斜視図
【図6】図1の遮音カバーをフランジ型継手と配管との接続部に適用した状態の断面図
【図7】図6の側面図
【図8】被覆工程の説明図
【図9】被覆工程の説明図
【図10】本発明の他の実施例の斜視図
【図11】図10の調整カバーの平面図
【図12】図10の上方カバーの平面図
【図13】図10の下方カバーの平面図
【図14】図10の遮音カバーを差込型の管継手の接続部分に適用した状態の説明図
【図15】図10のA部の拡大側面図
【図16】図14の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を別紙図面に基づき説明すると、図1ないし図3において符号1は遮音カバー、符号2は円弧状に湾曲した帯状の上方カバーを示す。この上方カバー2にはアルミガラスクロスのテープからなるヒンジ部3により接合された湾曲した帯状の下方カバー4が取り付けられる。これらの上方カバー2および下方カバー4は、図4に示したように、アルミ箔とガラス繊維のメッシュを重層した構成のアルミガラスクロス5と、塩化ビニルなどの吸振性のある合成樹脂シート6と、グラスウールなどの吸音性のある無機繊維シート7を順次に重層して形成した遮音性カバーで構成される。これら上方カバー2と下方カバー4はその帯状幅が多少相違し、その外円側の円弧状の縁部8、9を互いに同曲率且つ同長に形成した。
【0013】
この遮音カバー1は、上方カバー2と下方カバー4の内円側の縁部17、18を離反する方向へ引き離すと、ヒンジ部3を中心として図5に示したような提灯形あるいは算盤玉のような立体形状に開く。上方カバー2の円弧状の縁部8に沿ってアルミガラスクロスのテープにより揺動自在に設けた遮音性の帯状の目隠し部材19は、上下カバー2、4が立体形状に開かれたときに外円側の縁部8、9の接続箇所の隙間を隠して遮音性を向上させ、同時に隙間を防水する作用を営む。実施例では、目隠し部材19に吸振性のある合成樹脂シートにアルミガラスクロスを積層したものを使用したが、遮音性シートと同じ構成のものを使用してもよい。20は上下カバー2、4の両端部に設けた接着剤を塗布した接合片である。
【0014】
フランジ型の管継手10は、図6に示すように、配管11の接続部分12の外周に環状のゴム輪13が設けられ、配管11をこのゴム輪13を介して挿通し、フランジ14と対向した環状の押輪15をボルト16にてフランジ14へ締め付けることにより配管11を接続するもので、上方カバー2はこの接続部分12のフランジ14よりも上方の部分を周回して被覆し、下方カバー4は接続部分12の下方の部分を周回して被覆する。従来は、既存の配管に対する遮音性シートの被覆作業において、このフランジ14が配管経路から側方に大きく突出するためにこの箇所の被覆作業が困難であったが、本発明の遮音カバー1は図5に見られるように中間部が膨らんだ算盤玉のような立体形状に開くことができるから、そのまま接続部分12に回し込んで隙間なく簡単に遮音の被覆をすることができる。なお、図示の例では、フランジ型の管継手10を床スラブ22の貫通孔23に配置してその周囲にモルタル24を充填することにより固定した。配管11には鋼管製、合成樹脂製のものあるいは合成樹脂管をモルタルで被覆した耐火二層管を使用してもよく、この場合、接続部分12にはフランジ14と押輪15の間に生じる隙間を耐火性テープで塞ぐことが望ましい。
【0015】
図8および図9はその被覆作業の具体例の説明図であり、立体形状に開いた遮音カバー1の一端側を接合片20により継手10と配管11に固定し、他端側を一端側へ重ねて接合片20で固定する。そしてその重ね部分および各内円側の縁部17、18にも図7のようにテープ21を貼ると、密閉状態で接続部分12を遮音カバー1で被覆できる。この被覆作業はテープ21の貼り付け作業が主体であるから、短時間で簡単に施工可能である。なお、配管11は鋼管や耐火二層管のような耐火性のものであることが好ましい。
【0016】
図10ないし図16は、本発明の他の実施例を示したもので、上方カバー2と下方カバー4の外円側の円弧状で同長の縁部8、9を互いに突き合わせてアルミガラスクロスのテープ21を貼ることにより概略筒形の立体に形成し、上方カバー2の内円側の円弧状の縁部25に更に調整カバー26を接続して遮音カバー1に構成した。この調整カバー26は、上方カバー2や下方カバー4と同様のアルミ箔とガラス繊維のメッシュを重層した構成のアルミガラスクロス5と、塩化ビニルなどの吸振性のある合成樹脂シート6と、グラスウールなどの吸音性のある無機繊維シート7を順次に重層して形成した構成の帯状且つ円弧状に湾曲した遮音性シートからなり、この調整カバー26の円弧状の内円側の縁部27を、上方カバー2の内円側の円弧状の縁部25と同長に形成し、図15に示したように、これらの縁部25、27を突き合わせてアルミガラスクロスのテープ21で接続することにより図10に見られるような全体が花瓶状の立体に形成した。
【0017】
この調整カバー26には、図11に見られるように、表裏を貫通した破線状の切込線28が円弧状の縁部27に沿った方向に形成されており、この切込線28に沿って調整カバー26を破断することによりその帯状の幅寸法を調整できるようにした。建築物の構造によって床スラブ22の厚さが異なり、これに伴い床スラブ22を貫通して設けられた管継手10が床スラブ22の下方へ露出する部分の長さ29も様々に異なるため、この露出部分を覆う調整カバー26の幅は長さ29に合わせて調整する必要があるが、切込線28を設けておくことでナイフなどで簡単にその調整を行えるから様々な露出部分の長さ29に適合させることができる。
【0018】
この調整カバー26を備えた形式の遮音カバー1は、図10のような立割れした立体形を保有するので、施工に際しては接続部分12の周囲から囲むように包み込み、その立割れ部分をアルミガラスクロスのテープ21で図14に示すように塞ぐことで簡単に取り付けできる。
【0019】
図14に示した実施例は、図16に明示したように管継手10の接続口を差込型に形成した例を示し、この場合は継手の側方へ突出した部分を持つソケット30を介して配管11に接続するようにした。なお、この実施例において管継手10は金属製、配管11も金属製としたが、配管11を合成樹脂管や耐火二層管としてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 遮音カバー、2 上方カバー、3 ヒンジ部、4 下方カバー、5 アルミガラスクロス、6 合成樹脂シート、7 無機繊維シート、8 外円側の縁部、9 外円側の縁部、10 管継手、11 配管、12 接続部分、19 目隠し部材、25 上方カバーの内円側の縁部、26 調整カバー、27 調整カバーの内円側の縁部、28 破線状の切込線、30 ソケット、
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管と、フランジ型の配管接続部を持つ管継手との接続部分、或いは配管をソケットを介して接続する形式の配管接続部を持つ管継手との接続部分に適用されて配管系統に遮音と防熱を施す配管接続部用の遮音カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設の排水管や排水管継手に生じる流水による騒音を防止するため、遮音シートを排水管や継手に巻き付けることが行われている。この遮音シートとして、ポリ塩化ビニルシートとグラスウールを積層したシートや、このシートのポリ塩化ビニルの層の表面に、更にアルミ箔とガラス繊維のメッシュを積層したいわゆるアルミガラスクロスを貼り付けた遮音シートが知られている。
【0003】
既設の配管や継手に対するこれらの遮音シートの取り付けは、人手により行われ、一般的には所定の寸法に裁断した遮音シートにより配管等を覆い、これをバンドや接着テープなどの固定手段により固定して配管等の騒音を封じ込んでいる。遮音シートはシート状あるいはテープ状に裁断され、必要な場合は遮音シートに切り込みを入れることで取り付け箇所の表面の凹凸に沿った遮音被覆を行えるようにしている。しかし、フランジ型の配管接続部を備えた排水管継手は、締め付けボルトを挿通するためにフランジ部分が大きく側方へ突出しているので、既設配管の背後に手を回し込んでシート状やテープ状の遮音シートによりフランジ部分が露出しないように覆うことは容易でなかった。
【0004】
また、遮音のためには排水管継手の上記接続部分以外の部分が露出しないように遮音シートで被覆することが望ましいが、排水管継手の設置状態によってその露出部分の長さが変わるため、この露出部分には別途に遮音シートを巻く作業が必要でその分被覆作業時間が長くなる不都合があった。さらに差込型の接続部分を有する排水管継手は、継手よりも側方へ大きく膨出したソケットを介して配管に接続されるから、前記の場合と同様にこの接続部分を遮音シートで覆う作業は容易でなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−236689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フランジ型やソケットを介して配管を接続する形式の配管接続部を持つ管継手の接続部分に、簡単に被覆でき、しかも安価に製作可能な遮音カバーを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、アルミガラスクロスと合成樹脂シートと無機繊維シートを順次に重層して形成した遮音性シートにより、フランジ型の管継手と配管との接続部分の上方部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の上方カバーと、その接続部分の下方部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の下方カバーを形成し、これらのカバーの外円側の円弧状の縁部を互いに同曲率且つ同長に形成すると共にアルミガラスクロスを貼着して互いに接続し、該上方カバーの外円側の円弧状の縁部に沿ってこれらカバーの接続箇所を隠す帯状の遮音性の目隠し部材を揺動自在に設けたことにより、上記の課題を解決するようにした。上方カバーおよび下方カバーの長さ方向の端部に、上記周回した被覆状態を維持するための接着剤を塗布した接合片を設けておくと被覆作業がより簡単になる。
また、アルミガラスクロスと合成樹脂シートと無機繊維シートを順次に重層して形成した遮音性シートにより、フランジ型の管継手と配管の接続部分の上方部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の上方カバーと、その接続部分の下方部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の下方カバーを形成し、これらのカバーの外円側の円弧状の縁部を同長に形成すると共にアルミガラスクロスを貼着して互いに接続し、該上方カバーの内円側の円弧状の縁部に、円弧状に湾曲する帯状の調整カバーに形成され且つ該上方カバーの内円側の縁部と同長に形成された円弧状の縁部をアルミガラスクロスにより接続し、該調整カバーが上記接続部分以外の該管継手の露出部分を被覆するようにすることによっても上記の課題が解決される。この調整カバーには、円弧状の縁部に沿った方向に破線状の切込線を形成し、この切込線に沿って切断することにより該調整カバーの帯状の幅を調節できるようにすることで施工が容易になり、継手の施工状態によって変化する継手下方の各種の露出部分を被覆する作業が一種類の遮音カバーで対応できるようになる。管継手は、フランジ型管継手のように側方へ突出した構成のソケットを介して配管に接続する形式の差込型の管継手で構成することも可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるときは、上部カバーと下部カバーの外円側の円弧状の縁部を同長とし、そこをヒンジ部により互いに接続したので、上部カバーと下部カバーはヒンジ部を中心として立体形に開くことができ、そのまま管継手のフランジ型接続部へかぶせることができ、接合片などの簡単な固定手段を使用して継手や配管に固定できる。これら上下カバーのつなぎ目には遮音性の目隠し部材が設けられてつなぎ目を塞いでいるので、つなぎ目の隙間からの音漏れが防止される。遮音カバーの表面にはアルミガラスクロスを重層してあるから防水性がよく、グラスウールやロックウールなどの無機質繊維シートが吸水状態になることを防げてカビなどの発生を防止できるとともに遮音カバーの引張強度も向上するので施工時におけるカバーの損傷を防止でき、特別な素材を使用しないので安価に製造できる。
【0009】
さらに該上方カバーの内円側の円弧状の縁部に沿って、円弧状に湾曲した帯状の調整カバーの内円側の円弧状の縁部を接続し、該調整カバーが該管継手の下部周囲を被覆することで、該上方カバーでは覆いきれない管継手の下方部分を覆って遮音することができ、この調整カバーに円弧状の縁部に沿った方向に破線状の切込線を形成し、この切込線に沿って切断可能とすることにより該調整カバーの幅を調節して管継手の下方部分の実際の露出長さに簡単に適応させることができる。
【0010】
本発明の構成によれば、フランジ型以外の管継手であっても、例えば側方へ突出した部分を持ったソケットを介して配管に接続される形式の差込型の管継手の接続部分の遮音カバーとしても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の遮音カバーの実施例の正面図
【図2】図1の背面図
【図3】図1の右側面図
【図4】図1の4−4線部分の拡大断面図
【図5】図1の遮音カバーを開いた状態の斜視図
【図6】図1の遮音カバーをフランジ型継手と配管との接続部に適用した状態の断面図
【図7】図6の側面図
【図8】被覆工程の説明図
【図9】被覆工程の説明図
【図10】本発明の他の実施例の斜視図
【図11】図10の調整カバーの平面図
【図12】図10の上方カバーの平面図
【図13】図10の下方カバーの平面図
【図14】図10の遮音カバーを差込型の管継手の接続部分に適用した状態の説明図
【図15】図10のA部の拡大側面図
【図16】図14の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を別紙図面に基づき説明すると、図1ないし図3において符号1は遮音カバー、符号2は円弧状に湾曲した帯状の上方カバーを示す。この上方カバー2にはアルミガラスクロスのテープからなるヒンジ部3により接合された湾曲した帯状の下方カバー4が取り付けられる。これらの上方カバー2および下方カバー4は、図4に示したように、アルミ箔とガラス繊維のメッシュを重層した構成のアルミガラスクロス5と、塩化ビニルなどの吸振性のある合成樹脂シート6と、グラスウールなどの吸音性のある無機繊維シート7を順次に重層して形成した遮音性カバーで構成される。これら上方カバー2と下方カバー4はその帯状幅が多少相違し、その外円側の円弧状の縁部8、9を互いに同曲率且つ同長に形成した。
【0013】
この遮音カバー1は、上方カバー2と下方カバー4の内円側の縁部17、18を離反する方向へ引き離すと、ヒンジ部3を中心として図5に示したような提灯形あるいは算盤玉のような立体形状に開く。上方カバー2の円弧状の縁部8に沿ってアルミガラスクロスのテープにより揺動自在に設けた遮音性の帯状の目隠し部材19は、上下カバー2、4が立体形状に開かれたときに外円側の縁部8、9の接続箇所の隙間を隠して遮音性を向上させ、同時に隙間を防水する作用を営む。実施例では、目隠し部材19に吸振性のある合成樹脂シートにアルミガラスクロスを積層したものを使用したが、遮音性シートと同じ構成のものを使用してもよい。20は上下カバー2、4の両端部に設けた接着剤を塗布した接合片である。
【0014】
フランジ型の管継手10は、図6に示すように、配管11の接続部分12の外周に環状のゴム輪13が設けられ、配管11をこのゴム輪13を介して挿通し、フランジ14と対向した環状の押輪15をボルト16にてフランジ14へ締め付けることにより配管11を接続するもので、上方カバー2はこの接続部分12のフランジ14よりも上方の部分を周回して被覆し、下方カバー4は接続部分12の下方の部分を周回して被覆する。従来は、既存の配管に対する遮音性シートの被覆作業において、このフランジ14が配管経路から側方に大きく突出するためにこの箇所の被覆作業が困難であったが、本発明の遮音カバー1は図5に見られるように中間部が膨らんだ算盤玉のような立体形状に開くことができるから、そのまま接続部分12に回し込んで隙間なく簡単に遮音の被覆をすることができる。なお、図示の例では、フランジ型の管継手10を床スラブ22の貫通孔23に配置してその周囲にモルタル24を充填することにより固定した。配管11には鋼管製、合成樹脂製のものあるいは合成樹脂管をモルタルで被覆した耐火二層管を使用してもよく、この場合、接続部分12にはフランジ14と押輪15の間に生じる隙間を耐火性テープで塞ぐことが望ましい。
【0015】
図8および図9はその被覆作業の具体例の説明図であり、立体形状に開いた遮音カバー1の一端側を接合片20により継手10と配管11に固定し、他端側を一端側へ重ねて接合片20で固定する。そしてその重ね部分および各内円側の縁部17、18にも図7のようにテープ21を貼ると、密閉状態で接続部分12を遮音カバー1で被覆できる。この被覆作業はテープ21の貼り付け作業が主体であるから、短時間で簡単に施工可能である。なお、配管11は鋼管や耐火二層管のような耐火性のものであることが好ましい。
【0016】
図10ないし図16は、本発明の他の実施例を示したもので、上方カバー2と下方カバー4の外円側の円弧状で同長の縁部8、9を互いに突き合わせてアルミガラスクロスのテープ21を貼ることにより概略筒形の立体に形成し、上方カバー2の内円側の円弧状の縁部25に更に調整カバー26を接続して遮音カバー1に構成した。この調整カバー26は、上方カバー2や下方カバー4と同様のアルミ箔とガラス繊維のメッシュを重層した構成のアルミガラスクロス5と、塩化ビニルなどの吸振性のある合成樹脂シート6と、グラスウールなどの吸音性のある無機繊維シート7を順次に重層して形成した構成の帯状且つ円弧状に湾曲した遮音性シートからなり、この調整カバー26の円弧状の内円側の縁部27を、上方カバー2の内円側の円弧状の縁部25と同長に形成し、図15に示したように、これらの縁部25、27を突き合わせてアルミガラスクロスのテープ21で接続することにより図10に見られるような全体が花瓶状の立体に形成した。
【0017】
この調整カバー26には、図11に見られるように、表裏を貫通した破線状の切込線28が円弧状の縁部27に沿った方向に形成されており、この切込線28に沿って調整カバー26を破断することによりその帯状の幅寸法を調整できるようにした。建築物の構造によって床スラブ22の厚さが異なり、これに伴い床スラブ22を貫通して設けられた管継手10が床スラブ22の下方へ露出する部分の長さ29も様々に異なるため、この露出部分を覆う調整カバー26の幅は長さ29に合わせて調整する必要があるが、切込線28を設けておくことでナイフなどで簡単にその調整を行えるから様々な露出部分の長さ29に適合させることができる。
【0018】
この調整カバー26を備えた形式の遮音カバー1は、図10のような立割れした立体形を保有するので、施工に際しては接続部分12の周囲から囲むように包み込み、その立割れ部分をアルミガラスクロスのテープ21で図14に示すように塞ぐことで簡単に取り付けできる。
【0019】
図14に示した実施例は、図16に明示したように管継手10の接続口を差込型に形成した例を示し、この場合は継手の側方へ突出した部分を持つソケット30を介して配管11に接続するようにした。なお、この実施例において管継手10は金属製、配管11も金属製としたが、配管11を合成樹脂管や耐火二層管としてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 遮音カバー、2 上方カバー、3 ヒンジ部、4 下方カバー、5 アルミガラスクロス、6 合成樹脂シート、7 無機繊維シート、8 外円側の縁部、9 外円側の縁部、10 管継手、11 配管、12 接続部分、19 目隠し部材、25 上方カバーの内円側の縁部、26 調整カバー、27 調整カバーの内円側の縁部、28 破線状の切込線、30 ソケット、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミガラスクロスと合成樹脂シートと無機繊維シートを順次に重層して形成した遮音性シートにより、フランジ型の管継手の接続部分よりも上方の部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の上方カバーと、その接続部分よりも下方の部分の配管を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の下方カバーを形成し、これらのカバーの外円側の円弧状の縁部を互いに同曲率且つ同長に形成すると共にアルミガラスクロスによるヒンジ部により互いに接続し、該上方カバーの外円側の円弧状の縁部に沿ってこれらカバーの接続箇所を隠す帯状の遮音性の目隠し部材を揺動自在に設けたことを特徴とする配管接続部用遮音カバー。
【請求項2】
上記上方カバーおよび下方カバーの長さ方向の端部に、上記周回した被覆状態を維持するための接着剤を塗布した接合片を設けたことを特徴とする請求項1に記載の配管接続部用遮音カバー。
【請求項3】
アルミガラスクロスと合成樹脂シートと無機繊維シートを順次に重層して形成した遮音性シートにより、フランジ型の管継手の接続部分よりも上方の部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の上方カバーと、その接続部分よりも下方の部分の配管を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の下方カバーを形成し、これらのカバーの外円側の円弧状の縁部を同長に形成すると共にアルミガラスクロスを貼着して互いに接続し、該上方カバーの内円側の円弧状の縁部に、円弧状に湾曲する帯状の調整カバーに形成され且つ該上方カバーの内円側の縁部と同長に形成された円弧状の縁部をアルミガラスクロスにより接続し、該調整カバーが上記接続部分以外の該管継手の露出部分を被覆するようにしたことを特徴とする配管接続部用遮音カバー。
【請求項4】
上記調整カバーには、円弧状の縁部に沿った方向に破線状の切込線を形成し、この切込線に沿って切断することにより該調整カバーの帯状の幅を調節することを特徴とする請求項3に記載の配管接続部用遮音カバー。
【請求項5】
上記管継手を、ソケットを介して配管に接続される形式の差込型の管継手で構成したことを特徴とする請求項1または3に記載の配管接続部用遮音カバー。
【請求項1】
アルミガラスクロスと合成樹脂シートと無機繊維シートを順次に重層して形成した遮音性シートにより、フランジ型の管継手の接続部分よりも上方の部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の上方カバーと、その接続部分よりも下方の部分の配管を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の下方カバーを形成し、これらのカバーの外円側の円弧状の縁部を互いに同曲率且つ同長に形成すると共にアルミガラスクロスによるヒンジ部により互いに接続し、該上方カバーの外円側の円弧状の縁部に沿ってこれらカバーの接続箇所を隠す帯状の遮音性の目隠し部材を揺動自在に設けたことを特徴とする配管接続部用遮音カバー。
【請求項2】
上記上方カバーおよび下方カバーの長さ方向の端部に、上記周回した被覆状態を維持するための接着剤を塗布した接合片を設けたことを特徴とする請求項1に記載の配管接続部用遮音カバー。
【請求項3】
アルミガラスクロスと合成樹脂シートと無機繊維シートを順次に重層して形成した遮音性シートにより、フランジ型の管継手の接続部分よりも上方の部分を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の上方カバーと、その接続部分よりも下方の部分の配管を周回して被覆する円弧状に湾曲した帯状の下方カバーを形成し、これらのカバーの外円側の円弧状の縁部を同長に形成すると共にアルミガラスクロスを貼着して互いに接続し、該上方カバーの内円側の円弧状の縁部に、円弧状に湾曲する帯状の調整カバーに形成され且つ該上方カバーの内円側の縁部と同長に形成された円弧状の縁部をアルミガラスクロスにより接続し、該調整カバーが上記接続部分以外の該管継手の露出部分を被覆するようにしたことを特徴とする配管接続部用遮音カバー。
【請求項4】
上記調整カバーには、円弧状の縁部に沿った方向に破線状の切込線を形成し、この切込線に沿って切断することにより該調整カバーの帯状の幅を調節することを特徴とする請求項3に記載の配管接続部用遮音カバー。
【請求項5】
上記管継手を、ソケットを介して配管に接続される形式の差込型の管継手で構成したことを特徴とする請求項1または3に記載の配管接続部用遮音カバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−47566(P2013−47566A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158471(P2012−158471)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【出願人】(595025224)フネンアクロス株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【出願人】(595025224)フネンアクロス株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
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