説明

配線ダクト連結具

【課題】カップリングと直状ダクト連結具とを嵌脱可に組み立てることによりジャバラダクトと直状ダクトの連結に供することができ、又カップリングを直状ダクト連結具から分離することによりジャバラダクト相互の連結に供する配線ダクト連結具を提供する。
【解決手段】一端内周面と他端内周面に第一、第二ジャバラダクト11,14端部のジャバラ12に係脱可に係合される第一、第二係合溝13,16を有するカップリング1と、一端に上記カップリング1の一方の係合溝13(16)に係脱可に係合される連結フランジ20を有する直状ダクト連結具19とから成る配線ダクト連結具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジャバラダクトと直状ダクトの連結と、ジャバラダクト相互の連結に兼用し得る配線ダクト連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床上や壁配線における曲げ配線部においては、屈撓可能なジャバラダクトを用いて入り側と出側の直状ダクトと連結する配線方法が採られており、該ジャバラダクト相互の連結には両ジャバラダクト端部のジャバラに係合して両者を引き留めする専用のカップリングを用い、又各ジャバラダクトの尾端と直状ダクト端部の連結には、ジャバラダクトの端部を受け入れてジャバラに係合する部分と直状ダクトを受け入れる部分とを一体成形したコネクタを用いている。
【0003】
又は特許文献1に示すような両端に直状ダクトの挿入部を一体成形したジャバラダクトを用い、該挿入部に直状ダクトを挿入して連結する方法が採られている。
【特許文献1】特開平10−68536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通り、従来の配線ダクト連結具(前者)においては、ジャバラダクト相互を連結する専用の機能を有するカップリングと、ジャバラダクトと直状ダクトを連結する専用の機能を有するコネクタとは相互に互換性を有せず、ジャバラダクトと直状ダクトのコネクタをジャバラダクト相互を連結するカップリングに転用できず、ジャバラダクト相互のカップリングを直状ダクトとジャバラダクトのコネクタに転用できない状況にある。
【0005】
従ってジャバラダクトや直状ダクトに合わせたカップリングとコネクタが夫々必要となる。
【0006】
又後者(特許文献1)においては、壁面や天井面への配線において、温度変化による製品の収縮や配線する電線、ケーブル等の重みにより直状ダクトより挿入部分が抜け落ちる問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一端内周面と他端内周面にジャバラダクト端部のジャバラに係脱可に係合される係合溝を有するカップリングと、一端に上記カップリングの一方の係合溝に係脱可に係合される連結フランジを有する直状ダクト連結具とから成り、上記カップリングと直状ダクト連結具とを嵌脱可に組み立てることにより上記ジャバラダクトと直状ダクトの連結に供し、カップリングを直状ダクト連結具から分離することによりジャバラダクト相互の連結に供し得るようにした配線ダクト連結具を提供するものである。
【0008】
上記カップリングは嵌脱可能なカップリングベースとカップリングカバーから成り、該カップリングベースとカップリングカバーを合体することにより上記ジャバラダクト端部のジャバラ又は直状ダクト連結具の連結フランジとの係合状態を形成する。
【0009】
上記直状ダクト連結具の連結フランジは、カップリングを構成するカップリングカバーの係合溝部分に係脱可に係合可能な構成を採る。
【0010】
又はカップリングカバーの係合溝部分とカップリングベースの係合溝部分の双方に係合可能な構成にする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カップリングと直状ダクト連結具とを嵌脱可に組み立てることにより、上記ジャバラダクトと直状ダクトの連結に供することができ、又カップリングを直状ダクト連結具から分離することによりジャバラダクト相互の連結に供することができる。
【0012】
組み立て使用と分離使用に共用できる商品であり、組み立てた一種類の商品を現場に供して、ジャバラダクト間接続、ジャバラダクトと直状ダクトの接続に対応できるから、商品管理、在庫管理面の負担が軽減される。
【0013】
又カップリングを構成するカップリングベースを配線面に確実に固定し、ひいては直状ダクト連結具を安定に据え付けることができ、上記温度変化による製品の収縮や、配線する電線、ケーブル等の重みにより直状ダクトより挿入部分が抜け落ちる問題を解決できる。
【0014】
又連結具の口径を変更することで、ジャバラダクトと直状ダクトの大きさが異なっても対応可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図9に基づき説明する。
図4,図5,図6はカップリング1を示し、図示のように、該カップリング1は合成樹脂成形されたカップリングベース2と、同カップリングカバー3の二分割部品から成る。
【0016】
図5に示すように、上記カップリングベース2は底板4と底板4の対向する二辺から対向して立ち上げた側板5とを有し、全体としてU字形を呈する。
【0017】
他方図6に示すように、カッブリングカバー3は天板6と該天板6の対向する二辺から対向して立ち下げた側板7とを有し、全体として逆U字形を呈する。
【0018】
上記カップリングベース2とカップリングカバー3とは、側板5,7の遊離端を突き合わせ状態にして係脱可に合体し、カップリング1を組み立てる。
【0019】
上記係脱可に合体する手段の例として、側板5と側板7の一方の遊離端の側面に耳片8を設け、該耳片8の内面に係止溝9を設け、他方の側板7,5の遊離端の側面に係止爪10を突設する。
【0020】
上記側板5,7は内外へ弾性変位可能であり、上記耳片8の下端面で上記係止爪10を押圧して側板5,7を弾性変位させながら係止溝9に係止爪10を滑入し、カップリングカバー3とカップリングベース2とを突き合わせ状態に合体し、カップリング1を組み立てる。
【0021】
この時、耳片8は相手側側板5又は7の遊離端の側面に嵌合されて上記係止溝9と係止爪10の係合が果たされ、該係合部は耳片8によって隠蔽される。
【0022】
上記カップリングベース2とカップリングカバー3の合体を解除するには、係止爪10を有する側板5又は7を内方へ弾性変位させることにより係止爪10を係止溝9から脱出せしめる。
【0023】
上記カップリング1は、その一端内周面(即ち一端開口部内周面)に第一ジャバラダクト11の一端のジャバラ12に係脱される第一係合溝13を有し、同他端内周面(即ち他端開口部内周面)に第二ジャバラダクト14の一端のジャバラ15に係脱される第二係合溝16を有する。
【0024】
換言すると、上記カップリングベース2とカップリングカバー3の各一端内周面(即ち一端開口部内周面)に第一ジャバラダクト11の一端のジャバラ12に係脱される第一係合溝13を夫々設け、同他端内周面(即ち他端開口部内周面)に第二ジャバラダクト14の一端のジャバラ15に係脱される第二係合溝16を夫々設ける。
【0025】
上記第一係合溝13はカップリングベース2の底板4と側板5の夫々に周方向において離間して配設するか、周方向において連続するように配設し、第二係合溝16はカップリングベース2の底板4と側板5の夫々に周方向において離間して配設するか、周方向において連続するように配設する。
【0026】
同様に、上記第一係合溝13はカップリングカバー3の天板6と側板7の夫々に周方向において離間して配設するか、周方向において連続するように配設し、第二係合溝16はカップリングカバー3の天板6と側板7の夫々に周方向において離間して配設するか、周方向において連続するように配設する。
【0027】
上記カップリングベース2の底板4には配線床又は配線壁に取り付け固定するための取付孔17を貫設する。
【0028】
次に図4,図8はジャバラダクト11(14)を直状ダクト18に連結するための直状ダクト連結具19を示し、該直状ダクト連結具19は一端に上記カップリング1の一方の係合溝13又は16に係脱可に係合される連結フランジ20を有する。
【0029】
詳述すると、直状ダクト連結具19は直状ダクト18を挿入する直状ダクト挿入部21を有し、該直状ダクト挿入部21の一端側を大口径にし、他端を小口径にし、大口径部24の端部から上記天板22と側板23の上端部に亘る逆U字形の連結フランジ20を外方へ向け突成し、前記カップリングカバー3の第一係合溝13又は第二係合溝16にのみ係合する構成にする。
【0030】
又は上記連結フランジ20を天板22と側板23に連続して形成し、又は間隔を置いて形成し、該連結フランジ20を上記カップリングカバー3の天板6と側板7の係合溝13又は16に係合しつつ、カップリングベース2の側板5に形成した係合溝13又は16に係合する構成とすることができる。
【0031】
直状ダクト連結具19は天板22と該天板22の対向する二辺から立ち下げた側板23を有し、底板を設けずに下面において開放する逆U字形にする。
【0032】
図1,図2に示すように、上記直状ダクト連結具19の連結フランジ20をカップリングカバー3の一方の係合溝13又は16に係合し、カップリングベース2をカップリングカバー3に合体することにより直状ダクト連結具19との連結状態を形成する。
【0033】
図8に示すように、上記連結フランジ20の端部外側面には係止爪25を設け、他方カップリングカバー3の端部外側面に係止孔26を設け、図9に示すように、上記直状ダクト連結具19の連結フランジ20を係合溝13又は16に係合しつつ、該係止爪25を係止孔26に強制的に係合し、上記直状ダクト連結具19とカップリングカバー3乃至カップリング1との結合を確実にする。
【0034】
上記直状ダクト連結具19とカップリング1の組立体を図1に示すように、直状ダクト18とジャバラダクト11(14)との連結に供する。
【0035】
即ち組立体のカップリング1の一方の係合溝13又は16をジャバラダクト11(14)の端部のジャバラ12(15)に係合して連結すると共に、直状ダクト連結具19に、即ち直状ダクト挿入部21に直状ダクト18の端部を挿入し、直状ダクト18とジャバラダクト11(14)とを連通状態に連結する。
【0036】
図7に示すように、上記直状ダクト連結具19とカップリング1の組立体の連結を解除して両者19,1を分離し、該分離したカップリング1を第一ジャバラダクト11と第二ジャバラダクト14相互の連結に供する。
【0037】
上記分離したカップリングカバー3とカップリングベース2の一方を係合溝13又は16を以って第一、第二ジャバラダクト11,14の端部のジャバラ12,15に係合すると共に、他方を係合溝16又は13に係合しつつ合体することにより両者3,2を合体し、ジャバラダクト11,14相互間を連結するために用いる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る配線ダクト連結具を用いて第一、第二ジャバラダクトと直状ダクトとを連結した状態を部分断面して示す側面図。
【図2】上記配線ダクト連結具の組立構造とジャバラダクトとの連結状態を部分断面して示す側面図。
【図3】上記配線ダクト連結具の組立背面図。
【図4】同分解斜視図。
【図5】Aはカップリングベースの斜視図、Bは同平面図、Cは同底面図、Dは同縦断面図、Eは同横断面図。
【図6】Aはカップリングカバーの斜視図、Bは同平面図、Cは同底面図、Dは同縦断面図、Eは同横断面図。
【図7】第一、第二ジャバラダクトをカップリングを使用して連結する状態を、カップリングカバーを分解して示す斜視図。
【図8】Aは直状ダクト連結具の斜視図、Bは同背面図、Cは同正面図、Dは同平面図、Eは同側面図、Fは同底面図。
【図9】カップリングと直状ダクト連結具の組立体を示す斜視図。
【符号の説明】
【0039】
1…カップリング、2…カップリングベース、3…カップリングカバー、4…カップリングベースの底板、5…カップリングベースの側板、6…カップリングカバーの天板、7…カップリングカバーの側板、8…耳片、9…係止溝、10…係止爪、11…第一ジャバラダクト、12…ジャバラ、13…第一係合溝、14…第二ジャバラダクト、15…ジャバラ、16…第二係合溝、17…取付孔、18…直状ダクト、19…直状ダクト連結具、20…連結フランジ、21…直状ダクト挿入部、22…直状ダクト連結具の天板、23…直状ダクト連結具の側板、24…直状ダクト連結具の大口径部、25…係止爪、26…係止孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端内周面と他端内周面にジャバラダクト端部のジャバラに係脱可に係合される係合溝を有するカップリングと、一端に上記カップリングの一方の係合溝に係脱可に係合される連結フランジを有する直状ダクト連結具とから成ることを特徴とする配線ダクト連結具。
【請求項2】
上記カップリングは嵌脱可能なカップリングベースとカップリングカバーから成り、該カップリングベースとカップリングカバーを合体することにより上記ジャバラダクト端部のジャバラ又は直状ダクト連結具の連結フランジとの係合状態を形成する構成を有することを特徴とする請求項1記載の配線ダクト連結具。
【請求項3】
上記直状ダクト連結具の連結フランジはカップリングを構成するカップリングカバーの係合溝部分に係脱可に係合されることを特徴とする請求項1記載の配線ダクト連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−68577(P2010−68577A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230724(P2008−230724)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(390025335)マサル工業株式会社 (8)