配線構造体及びインバータユニット
【課題】組付作業性を向上させ、誤配線が行われるのを防止し、低電圧系の制御信号配線にノイズの影響が与えられるのを抑制する。
【解決手段】樹脂製の配線構造体と、一部を露出させて該配線構造体に一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線構造体に一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。そして、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設される。この場合、主回路配線及び制御信号配線が前記配線構造体に一体に埋め込まれるので、パワーユニットの組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができる。また、主回路配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、インダクタンスを小さくすることができる。
【解決手段】樹脂製の配線構造体と、一部を露出させて該配線構造体に一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線構造体に一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。そして、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設される。この場合、主回路配線及び制御信号配線が前記配線構造体に一体に埋め込まれるので、パワーユニットの組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができる。また、主回路配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、インダクタンスを小さくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配線構造体及びインバータユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電動車両においては、ロータ及びステータによって構成されるモータが使用され、前記ステータに配設されたステータコイルに3相の相電流を供給することによって前記モータが駆動されるようになっている。そのために、電流波形制御回路及びベースドライブ回路を備えたモータ駆動装置が配設され、前記電流波形制御回路において、前記ロータの磁極位置に対応させてU相、V相及びW相から成る3相の正弦波信号が発生させられるとともに、電流指令値が発生させられ、かつ、前記正弦波信号及び電流指令値に基づいて、該電流指令値に対応するパルス幅を有する3相のパルス幅変調信号が発生させられ、該パルス幅変調信号がベースドライブ回路に送られる。
【0003】該ベースドライブ回路は、前記パルス幅変調信号に対応させてトランジスタ駆動信号を発生させ、インバータブリッジに対して出力する。該インバータブリッジは、6個のトランジスタを有し、前記トランジスタ駆動信号がオンの間だけトランジスタをオンにして3相の相電流を発生させ、該相電流を前記ステータコイルに供給する。そして、該ステータコイルに供給された3相の相電流のうちの2相の相電流を電流センサによって検出し、フィードバック制御を行うようにしている。
【0004】ところで、前記6個のトランジスタは一対ずつ直列に接続することによって3個のトランジスタモジュールを構成し、各トランジスタモジュールは、直流電源に対して並列に接続され、該直流電源によって電圧が印加される。また、前記直流電源によって印加される電圧を平滑化するために、各トランジスタモジュールと並列に平滑用コンデンサが接続される。
【0005】そして、各トランジスタモジュール及び平滑用コンデンサによってインバータユニットが形成される。図2は従来のインバータユニットの斜視図である。図において、11は3個の図示しないトランジスタモジュールを樹脂に一体に埋め込むことによって成形されたパワー素子であり、該パワー素子11は、各トランジスタモジュールに対し、それぞれ図示しない正極側の入力端子、負極側の入力端子及び出力端子を有する。また、12は前記パワー素子11に固定されたバスパネルであり、該バスパネル12は、絶縁体15を正極側のバスバー16及び負極側のバスバー17によって挟むことにより形成される。前記絶縁体15は、バスバー16、17間が短絡しないように、バスバー16、17の縁部から所定距離だけ突出させられる。
【0006】また、前記バスパネル12は各トランジスタモジュールに対応させて端子接続窓24〜26を備え、該各端子接続窓24〜26に対応させて、前記バスバー16は端子部p1〜p3を、前記バスバー17は端子部m1〜m3をそれぞれ有する。そして、前記各トランジスタモジュールの正極側の入力端子に前記端子部p1〜p3が、前記各トランジスタモジュールの負極側の入力端子に前記端子部m1〜m3が、前記各トランジスタモジュールの出力端子にバスバー43〜45がそれぞれ固定される。なお、該バスバー43〜45は、それぞれ図示しないステータコイルのU相、V相及びW相の各巻線に図示しないパワーケーブルを介して接続される。
【0007】一方、バスバー16、17にはそれぞれ共通端子部p4、m4が形成され、該共通端子部p4、m4に図示しない直流電源の電圧が印加される。そのために、前記共通端子部p4、m4と直流電源の正極側及び負極側の各端子とがそれぞれ連結用のバスバー51、52及び図示しないパワーケーブルを介して接続される。
【0008】前記バスバー51、52は、前記パワーケーブルとの接続用の端子p5、m5、平滑用コンデンサ42との接続用の端子p6、m6、及び前記共通端子部p4、m4との接続用の端子p7、m7をそれぞれ有する。ところで、前記構成のインバータユニットには、直流電源と平滑用コンデンサ42とを接続するためにバスバー51、52が、該バスバー51、52とパワー素子11とを接続するためにバスバー16、17が、前記パワー素子11とステータコイルとを接続するためにバスバー43〜45が配設され、各バスバー16、17、43〜45、51、52によって高電圧系の主回路(パワー回路)配線が構成される。なお、前記バスバー16、17、43〜45、51、52は図示しない六角ボルト等によって固定され接続される。
【0009】これに対して、パワー素子11の図示しない各トランジスタをオン・オフさせるために、図示しないベースドライブ回路と各トランジスタとがケーブル54を介してそれぞれ接続される。該各ケーブル54は、一対のツイストケーブル55、56及び該各ツイストケーブル55、56の先端にそれぞれ接続された接続端子57、58から成り、該接続端子57、58は各トランジスタのベース及びエミッタに接続される。なお、ケーブル54によって低電圧系の制御信号配線が構成され、前記接続端子57を介して各トランジスタのベースにベース電流が送られ、該ベース電流によってトランジスタがオン・オフさせられるとともに、接続端子57、58を介してベース・エミッタ間に基準電圧が印加される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来のインバータユニットにおいては、前記バスバー16、17、43〜45、51、52、及び各ケーブル54がそれぞれ別々に配線されるので、インバータユニットの組付作業性が低下してしまうだけでなく、誤配線を行ってしまうことがある。
【0011】そこで、回路基板及び配線を樹脂に一体に埋め込むことによって、組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができるようにした回路基板が提供されている(特開平8−64916号公報参照)。ところが、該回路基板をインバータユニットに適用すると、前記バスバー16、17、43〜45、51、52と各ケーブル54とが互いに近接させられることになるので、バスバー16、17、43〜45、51、52がケーブル54にノイズの影響を与えてしまう。
【0012】本発明は前記従来のインバータユニットの問題点を解決して、組付作業性を向上させることができ、誤配線が行われるのを防止することができ、かつ、低電圧系の制御信号配線にノイズの影響が与えられるのを抑制することができる配線構造体及びインバータユニットを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0014】そして、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設される。本発明の他の配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0015】そして、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。本発明の更に他の配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0016】そして、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。本発明の更に他の配線構造体においては、さらに、前記主回路配線と制御信号配線とは、互いに直角の方向に交差させられる。
【0017】本発明のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0018】そして、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設される。本発明の他のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0019】そして、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。本発明の更に他のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0020】そして、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面に、平滑用コンデンサを支持する支持部が一体に成形される。
【0021】本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面にブラケットが一体に成形され、該ブラケットの上に制御回路のプリント基板が取り付けられる。本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面に、前記制御信号配線の入力部が一体に成形される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図3は本発明の第1の実施の形態における電動車両の駆動装置を示す図である。図において、31はモータであり、電源装置としての直流電源33から供給される電流によって駆動される。前記モータ31は、例えば、6極の永久磁石から成る図示しないロータ及び3相の巻線から成る図示しないステータコイルによって構成される。
【0023】前記モータ31のロータシャフト34には、レゾルバ35の回転子が同軸的に結合される。また、前記レゾルバ35にはレゾルバ回路36が接続されていて、該レゾルバ回路36は、前記レゾルバ35に交流電圧を印加するとともに、レゾルバ35からレゾルバ信号を受けて前記磁極位置を検出し、電流波形制御回路37に対して磁極位置信号を出力する。
【0024】前記電流波形制御回路37は、電流指令値に対応するパルス幅を有する3相のパルス幅変調信号を発生させ、該パルス幅変調信号をベースドライブ回路38に対して出力する。該ベースドライブ回路38は、前記パルス幅変調信号を受けて、スイッチング素子としての6個のトランジスタTrを駆動するためのトランジスタ駆動信号をそれぞれ発生させ、インバータブリッジ40に対して出力する。
【0025】そして、前記ステータコイルはインバータブリッジ40によって励磁され、該インバータブリッジ40は、前記6個のトランジスタTr、3個のスナバ回路41及び2個の平滑用コンデンサ13、14から成り、各トランジスタTrのベースに前記トランジスタ駆動信号が入力される。また、一対のトランジスタTrを直列に接続することによってトランジスタモジュール21〜23が形成され、該トランジスタモジュール21〜23は互いに並列に接続される。
【0026】そして、49はメインコンピュータ、51は前記モータ31に供給される相電流を検出する電流センサ、53は前記直流電源33に接続された電源回路であり、該電源回路53は、前記インバータブリッジ40に対して駆動電圧を印加するとともに、電流波形制御回路37等に対して制御電源電圧を印加する。図1は本発明の第1の実施の形態におけるインバータユニットの分解斜視図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるパワーパネルの配設状態を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるインバータユニットの第1の組立状態図である。
【0027】図1において、61は3個のトランジスタモジュール21〜23(図3)が樹脂に一体に埋め込まれたパワー素子であり、該パワー素子61は、前記各トランジスタモジュール21〜23に共通の正極側の入力端子p11、各トランジスタモジュール21〜23に共通の負極側の入力端子m11、及び各トランジスタモジュール21〜23にそれぞれ接続された出力端子62〜64をそれぞれ上面に有する。また、前記パワー素子61の上面には6組の接続端子65、66が突出させて配設され、各接続端子65が前記各トランジスタTrのベースに、各接続端子66が各トランジスタTrのエミッタにそれぞれ接続される。なお、前記各接続端子65を介して各トランジスタTrのベースにベース電流が送られ、該ベース電流によってトランジスタTrがオン・オフさせられるとともに、各接続端子65、66を介してベース・エミッタ間に基準電圧が印加される。
【0028】そして、前記パワー素子61の上にパワーパネル67が取り付けられ、該パワーパネル67は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂によって成形された配線用ブロックとしてのパネル本体71、該パネル本体71に一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線72、及びバスバー73、74、76〜78を有する。該バスバー73、74は、直流電源33、平滑用コンデンサ13、14及びパワー素子61をそれぞれ接続し、バスバー76〜78は、前記パワー素子61と図示しないステータコイルの3相の各巻線とをそれぞれ接続する。なお、前記バスバー73、74によって高電圧系の第1の主回路配線が、バスバー76〜78によって高電圧系の第2の主回路配線がそれぞれ構成されるとともに、バスバー73によって正極側の部分が、バスバー74によって負極側の部分がそれぞれ構成される。また、前記バスバー73、74、76〜78は、図示しない六角ボルト等によって固定され接続される。
【0029】前記制御信号配線72は、上方に向けて突出させて形成される6組の端子81a、81bから成る第1端子部81、上方に向けて突設させられる6組の挿入端子83、84から成る第2端子部82、及び前記第1端子部81と第2端子部82とを連結する6組のリボンケーブル85a、85bから成るリボンケーブル部85を有する。
【0030】そして、制御信号配線72がパネル本体71内に埋め込まれた状態において、前記第1端子部81は、パネル本体71に形成された入力部としてのコネクタ部86内において上方に突出させられ、一部をパネル本体71から露出させる。また、前記パワー素子61にパワーパネル67を取り付けたとき、前記挿入端子83、84にそれぞれ前記接続端子65、66が挿入され、制御信号配線72とパワー素子61とが電気的に接続される。
【0031】この場合、各リボンケーブル85a、85bは互いに平行に配設されるとともに、両者間に空間が形成される。したがって、リボンケーブル85a、85bに平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、制御信号配線72が主回路配線等の外部からノイズの影響を受けても、リボンケーブル85a、85bにおける電圧は互いに同レベルで変化する。その結果、駆動系、すなわち、インバータブリッジ40が誤動作するのを防止することができる。
【0032】また、前記バスバー73、74は、水平に延びて一端をパネル本体71から露出させる第1端子部73a、74a、該第1端子部73a、74aの他端から垂直に延びて一端をパネル本体71から露出させる第2端子部73b、74b、前記第1端子部73a、74aの他端から水平に延びる連結部73c、74c、及び該連結部73c、74cの他端から垂直に延びて一端をパネル本体71から露出させる第3端子部73d、74dから成る。
【0033】そして、前記第1端子部73a、74aの一端側には、それぞれ正極側の端子p12及び負極側の端子m12が形成され、該端子p12、m12はパネル本体71から突出して露出させられ、図示しないパワーケーブルを介して直流電源33に接続される。また、前記第1端子部73a、74aの他端側には、それぞれ正極側の端子p13及び負極側の端子m13が形成され、該端子p13、m13はパネル本体71内において開口を介して露出させられ、それぞれ前記入力端子p11、m11に接続される。
【0034】一方、前記第2端子部73b、74bの一端側には、それぞれ正極側の端子p14及び負極側の端子m14が形成され、該端子p14、m14はパネル本体71から突出して露出させられ、それぞれ平滑用コンデンサ13の正極側の端子p15及び負極側の端子m15に接続される。そして、第3端子部73d、74dの一端側には、それぞれ正極側の端子p16及び負極側の端子m16が形成され、該端子p16、m16はパネル本体71から突出して露出させられ、それぞれ平滑用コンデンサ14の正極側の端子p17及び負極側の端子m17に接続される。
【0035】この場合、前記バスバー73、74は互いに平行に配設されるとともに、両者間に空間が形成される。したがって、バスバー73、74に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせ、主回路配線にC成分を生じさせることができるので、主回路配線のL成分を打ち消してインダクタンスを小さくすることができる。その結果、トランジスタTrがオン・オフするときに、インダクタンス及び相電流の変化率に対応させて発生させられるサージ電圧によってトランジスタTrが破損したり故障したりするのを防止することができるだけでなく、制御信号配線72に主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、インバータブリッジ40が誤動作するのを防止することができる。
【0036】しかも、前記バスバー73、74と制御信号配線72とは、主要部分、すなわち、第1端子部73a、74aとリボンケーブル85a、85bとが互いに直角の方向に交差させられる。したがって、互いに重なる部分が最小になり、主回路配線を流れる電流によって発生させられる磁界により制御信号配線72にノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、インバータブリッジ40が誤動作するのを防止することができる。
【0037】また、前記バスバー76〜78は、一端側に端子76a〜78aを、他端側に端子76b〜78bを備え、前記端子76a〜78aはパネル本体71から突出して露出させられ、それぞれ図示しないパワーケーブルを介してステータコイルのU相、V相及びW相の各巻線に接続される。そして、前記端子76b〜78bはパネル本体71内において開口を介して露出させられ、それぞれ前記出力端子62〜64に接続される。
【0038】前記パネル本体71の上面には、前記平滑用コンデンサ13、14を支持するための凹面状の支持部71a、71bが一体に成形される。また、前記コネクタ部86に対して着脱自在にコネクタ87が配設され、該コネクタ87に6組のケーブル88が接続される。そして、該ケーブル88は、それぞれ一対のツイストケーブル88a、88bから成り、コネクタ部86に対してコネクタ87を着脱させたときに、各ツイストケーブル88a、88bは前記第1端子部81の各端子81a、81bに選択的に接続される。
【0039】このように、前記構成のインバータユニットにおいては、制御信号配線72及びバスバー73、74、76〜78がパネル本体71に一体に埋め込まれて配線されるので、インバータユニットの組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができる。また、前記コネクタ部86に対して着脱自在にコネクタ87が配設され、前記ベースドライブ回路38とコネクタ部86とをコネクタ87によって選択的に接続することができる。したがって、インバータユニットの組付作業性を更に向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを更に防止することができる。
【0040】なお、コネクタ部86とコネクタ87とは、図示しない所定のキー溝と凸条とを嵌(かん)合させることによって接続されるようになっているので、コネクタ部86に対してコネクタ87が誤組付けされることはない。また、コネクタ部86は樹脂によってパネル本体71と一体に成形されるようになっているので、コネクタ部86を任意の位置に設定することができる。
【0041】そして、平滑用コンデンサ13、14を、パネル本体71の上に載置することによって、トランジスタモジュール21〜23の近傍に配設することができる。したがって、主回路配線を短くすることができるので、主回路配線のインダクタンスを小さくすることができる。その結果、トランジスタTrがオン・オフするときに、インダクタンス及び相電流の変化率に対応させて発生させられるサージ電圧によってトランジスタTrが破損したり故障したりするのを防止することができるだけでなく、制御信号配線72に主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、インバータブリッジ40が誤動作するのを防止することができる。
【0042】さらに、平滑用コンデンサ用ブラケットを別に配設する必要がなくなるので、インバータユニットを小型化することができる。しかも、パネル本体71が樹脂によって成形されるようになっているので、支持部71a、71bを任意の位置に設定することができる。また、図示しないリレー、スナバ回路41、図示しない放電抵抗等も併せてパネル本体71の上に載置すれば、インバータユニットを一層小型化することができる。
【0043】次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は本発明の第2の実施の形態におけるインバータユニットの組立状態図である。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。この場合、配線用ブロックとしてのパネル本体171の4隅に、ブラケット172が上方に突出させて一体に成形され、該ブラケット172の上に図3の電流波形制御回路37、ベースドライブ回路38、メインコンピュータ49、電源回路53等の制御回路のプリント基板173が取り付けられる。
【0044】したがって、インバータユニットを一層小型化することができる。次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図7は本発明の第3の実施の形態におけるインバータユニットの組立状態図、図8は本発明の第3の実施の形態におけるバスバーの斜視図である。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。
【0045】この場合、高電圧系の第1の主回路配線を構成するほぼ「L」字状のバスバー273、274により互いに重なる部分がより大きくなるので、配線用ブロックとしてのパネル本体271に一体に埋め込まれる。したがって、バスバー273、274が主回路配線に生じさせるC成分を大きくすることができるので、主回路配線のインダクタンスを一層小さくすることができる。
【0046】なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0047】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0048】そして、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設される。この場合、主回路配線及び制御信号配線が前記配線用ブロックに一体に埋め込まれるので、配線構造体の組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができる。
【0049】また、主回路配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、主回路配線にC成分を生じさせることができる。したがって、主回路配線のL成分を打ち消してインダクタンスを小さくすることができる。その結果、制御信号配線に主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、駆動系が誤動作するのを防止することができる。
【0050】本発明の他の配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。そして、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。
【0051】この場合、制御信号配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、制御信号配線が主回路配線等の外部からノイズの影響を受けても、制御信号配線におけるベース・エミッタ間の基準電圧等が同レベルで変化する。したがって、駆動系が誤動作するのを防止することができる。本発明の更に他の配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0052】そして、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。この場合、主回路配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、主回路配線にC成分を生じさせることができる。したがって、主回路配線のL成分を打ち消してインダクタンスを小さくすることができる。その結果、制御信号配線に主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、駆動系が誤動作するのを防止することができる。
【0053】また、制御信号配線にも平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、制御信号配線が主回路配線等の外部からノイズの影響を受けても、制御信号配線におけるベース・エミッタ間の基準電圧等が同レベルで変化する。したがって、駆動系が誤動作するのを防止することができる。本発明の更に他の配線構造体においては、さらに、前記主回路配線と制御信号配線とは、互いに直角の方向に交差させられる。
【0054】この場合、主回路配線と制御信号配線とが互いに重なる部分が最小になるので、主回路配線を流れる電流によって発生させられる磁界が制御信号配線にノイズの影響を与えるのを抑制することができ、駆動系が誤動作するのを防止することができる。本発明のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0055】そして、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設される。この場合、第1、第2の主回路配線及び制御信号配線が前記配線用ブロックに一体に埋め込まれるので、配線構造体の組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができる。
【0056】また、第1の主回路配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、主回路配線にC成分を生じさせることができる。したがって、第1の主回路配線のL成分を打ち消してインダクタンスを小さくすることができる。その結果、スイッチング素子がオン・オフするときに、インダクタンス及び相電流の変化率に対応させて発生させられるサージ電圧によってスイッチング素子が破損したり故障したりするのを防止することができるだけでなく、制御信号配線に第1の主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、インバータブリッジが誤動作するのを防止することができる。
【0057】本発明の他のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0058】そして、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。この場合、制御信号配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、制御信号配線が第1、第2の主回路配線等の外部からノイズの影響を受けても、制御信号配線におけるベース・エミッタ間の基準電圧等が同レベルで変化する。したがって、インバータブリッジが誤動作するのを防止することができる。
【0059】本発明の更に他のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0060】そして、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。この場合、第1の主回路配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、第1の主回路配線にC成分を生じさせることができる。したがって、第1の主回路配線のL成分を打ち消してインダクタンスを小さくすることができる。その結果、スイッチング素子がオン・オフするときに、インダクタンス及び相電流の変化率に対応させて発生させられるサージ電圧によってスイッチング素子が破損したり故障したりするのを防止することができるだけでなく、制御信号配線に第1の主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、インバータブリッジが誤動作するのを防止することができる。
【0061】また、制御信号配線にも平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、制御信号配線が第1、第2の主回路配線等の外部からノイズの影響を受けても、制御信号配線におけるベース・エミッタ間の基準電圧等が同レベルで変化する。したがって、インバータブリッジが誤動作するのを防止することができる。
【0062】本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面に、平滑用コンデンサを支持する支持部が一体に成形される。この場合、平滑用コンデンサを、配線用ブロックの上に載置することによって、スイッチング素子の近傍に配設することができる。したがって、第1、第2の主回路配線を短くすることができるので、第1、第2の主回路配線のインダクタンスを小さくすることができる。その結果、スイッチング素子がオン・オフするときに、インダクタンス及び相電流の変化率に対応させて発生させられるサージ電圧によってスイッチング素子が破損したり故障したりするのを防止することができるだけでなく、制御信号配線に第1の主回路配線の電圧変動によるノイズの影響を与えるのを抑制することができ、インバータブリッジが誤動作するのを防止することができる。
【0063】さらに、平滑用コンデンサ用ブラケットを別に配設する必要がなくなるので、インバータユニットを小型化することができる。しかも、配線用ブロックが樹脂によって成形されるので、ブラケットを任意の位置に設定することもできる。本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面にブラケットが一体に成形され、該ブラケットの上に制御回路のプリント基板が取り付けられる。
【0064】この場合、平滑用コンデンサの上方にプリント基板が配設されるので、インバータユニットを小型化することができる。本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面に、前記制御信号配線の入力部が一体に成形される。
【0065】この場合、制御回路と前記入力部とがコネクタを介して接続されるので、インバータユニットの組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができる。また、入力部は樹脂によって配線用ブロックと一体に成形されるようになっているので、入力部を任意の位置に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるインバータユニットの分解斜視図である。
【図2】従来のインバータユニットの斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における電動車両の駆動装置を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるパワーパネルの配設状態を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるインバータユニットの第1の組立状態図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるインバータユニットの組立状態図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態におけるインバータユニットの組立状態図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態におけるバスバーの斜視図である。
【符号の説明】
13、14 平滑用コンデンサ
31 モータ
33 直流電源
61 パワー素子
71、171、271 パネル本体
71a、71b 支持部
72 制御信号配線
73、74、76〜78、273、274 バスバー
81 第1端子部
85a、85b リボンケーブル
86 コネクタ部
172 ブラケット
173 プリント基板
Tr トランジスタ
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配線構造体及びインバータユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電動車両においては、ロータ及びステータによって構成されるモータが使用され、前記ステータに配設されたステータコイルに3相の相電流を供給することによって前記モータが駆動されるようになっている。そのために、電流波形制御回路及びベースドライブ回路を備えたモータ駆動装置が配設され、前記電流波形制御回路において、前記ロータの磁極位置に対応させてU相、V相及びW相から成る3相の正弦波信号が発生させられるとともに、電流指令値が発生させられ、かつ、前記正弦波信号及び電流指令値に基づいて、該電流指令値に対応するパルス幅を有する3相のパルス幅変調信号が発生させられ、該パルス幅変調信号がベースドライブ回路に送られる。
【0003】該ベースドライブ回路は、前記パルス幅変調信号に対応させてトランジスタ駆動信号を発生させ、インバータブリッジに対して出力する。該インバータブリッジは、6個のトランジスタを有し、前記トランジスタ駆動信号がオンの間だけトランジスタをオンにして3相の相電流を発生させ、該相電流を前記ステータコイルに供給する。そして、該ステータコイルに供給された3相の相電流のうちの2相の相電流を電流センサによって検出し、フィードバック制御を行うようにしている。
【0004】ところで、前記6個のトランジスタは一対ずつ直列に接続することによって3個のトランジスタモジュールを構成し、各トランジスタモジュールは、直流電源に対して並列に接続され、該直流電源によって電圧が印加される。また、前記直流電源によって印加される電圧を平滑化するために、各トランジスタモジュールと並列に平滑用コンデンサが接続される。
【0005】そして、各トランジスタモジュール及び平滑用コンデンサによってインバータユニットが形成される。図2は従来のインバータユニットの斜視図である。図において、11は3個の図示しないトランジスタモジュールを樹脂に一体に埋め込むことによって成形されたパワー素子であり、該パワー素子11は、各トランジスタモジュールに対し、それぞれ図示しない正極側の入力端子、負極側の入力端子及び出力端子を有する。また、12は前記パワー素子11に固定されたバスパネルであり、該バスパネル12は、絶縁体15を正極側のバスバー16及び負極側のバスバー17によって挟むことにより形成される。前記絶縁体15は、バスバー16、17間が短絡しないように、バスバー16、17の縁部から所定距離だけ突出させられる。
【0006】また、前記バスパネル12は各トランジスタモジュールに対応させて端子接続窓24〜26を備え、該各端子接続窓24〜26に対応させて、前記バスバー16は端子部p1〜p3を、前記バスバー17は端子部m1〜m3をそれぞれ有する。そして、前記各トランジスタモジュールの正極側の入力端子に前記端子部p1〜p3が、前記各トランジスタモジュールの負極側の入力端子に前記端子部m1〜m3が、前記各トランジスタモジュールの出力端子にバスバー43〜45がそれぞれ固定される。なお、該バスバー43〜45は、それぞれ図示しないステータコイルのU相、V相及びW相の各巻線に図示しないパワーケーブルを介して接続される。
【0007】一方、バスバー16、17にはそれぞれ共通端子部p4、m4が形成され、該共通端子部p4、m4に図示しない直流電源の電圧が印加される。そのために、前記共通端子部p4、m4と直流電源の正極側及び負極側の各端子とがそれぞれ連結用のバスバー51、52及び図示しないパワーケーブルを介して接続される。
【0008】前記バスバー51、52は、前記パワーケーブルとの接続用の端子p5、m5、平滑用コンデンサ42との接続用の端子p6、m6、及び前記共通端子部p4、m4との接続用の端子p7、m7をそれぞれ有する。ところで、前記構成のインバータユニットには、直流電源と平滑用コンデンサ42とを接続するためにバスバー51、52が、該バスバー51、52とパワー素子11とを接続するためにバスバー16、17が、前記パワー素子11とステータコイルとを接続するためにバスバー43〜45が配設され、各バスバー16、17、43〜45、51、52によって高電圧系の主回路(パワー回路)配線が構成される。なお、前記バスバー16、17、43〜45、51、52は図示しない六角ボルト等によって固定され接続される。
【0009】これに対して、パワー素子11の図示しない各トランジスタをオン・オフさせるために、図示しないベースドライブ回路と各トランジスタとがケーブル54を介してそれぞれ接続される。該各ケーブル54は、一対のツイストケーブル55、56及び該各ツイストケーブル55、56の先端にそれぞれ接続された接続端子57、58から成り、該接続端子57、58は各トランジスタのベース及びエミッタに接続される。なお、ケーブル54によって低電圧系の制御信号配線が構成され、前記接続端子57を介して各トランジスタのベースにベース電流が送られ、該ベース電流によってトランジスタがオン・オフさせられるとともに、接続端子57、58を介してベース・エミッタ間に基準電圧が印加される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来のインバータユニットにおいては、前記バスバー16、17、43〜45、51、52、及び各ケーブル54がそれぞれ別々に配線されるので、インバータユニットの組付作業性が低下してしまうだけでなく、誤配線を行ってしまうことがある。
【0011】そこで、回路基板及び配線を樹脂に一体に埋め込むことによって、組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができるようにした回路基板が提供されている(特開平8−64916号公報参照)。ところが、該回路基板をインバータユニットに適用すると、前記バスバー16、17、43〜45、51、52と各ケーブル54とが互いに近接させられることになるので、バスバー16、17、43〜45、51、52がケーブル54にノイズの影響を与えてしまう。
【0012】本発明は前記従来のインバータユニットの問題点を解決して、組付作業性を向上させることができ、誤配線が行われるのを防止することができ、かつ、低電圧系の制御信号配線にノイズの影響が与えられるのを抑制することができる配線構造体及びインバータユニットを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0014】そして、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設される。本発明の他の配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0015】そして、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。本発明の更に他の配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0016】そして、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。本発明の更に他の配線構造体においては、さらに、前記主回路配線と制御信号配線とは、互いに直角の方向に交差させられる。
【0017】本発明のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0018】そして、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設される。本発明の他のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0019】そして、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。本発明の更に他のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0020】そして、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面に、平滑用コンデンサを支持する支持部が一体に成形される。
【0021】本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面にブラケットが一体に成形され、該ブラケットの上に制御回路のプリント基板が取り付けられる。本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面に、前記制御信号配線の入力部が一体に成形される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図3は本発明の第1の実施の形態における電動車両の駆動装置を示す図である。図において、31はモータであり、電源装置としての直流電源33から供給される電流によって駆動される。前記モータ31は、例えば、6極の永久磁石から成る図示しないロータ及び3相の巻線から成る図示しないステータコイルによって構成される。
【0023】前記モータ31のロータシャフト34には、レゾルバ35の回転子が同軸的に結合される。また、前記レゾルバ35にはレゾルバ回路36が接続されていて、該レゾルバ回路36は、前記レゾルバ35に交流電圧を印加するとともに、レゾルバ35からレゾルバ信号を受けて前記磁極位置を検出し、電流波形制御回路37に対して磁極位置信号を出力する。
【0024】前記電流波形制御回路37は、電流指令値に対応するパルス幅を有する3相のパルス幅変調信号を発生させ、該パルス幅変調信号をベースドライブ回路38に対して出力する。該ベースドライブ回路38は、前記パルス幅変調信号を受けて、スイッチング素子としての6個のトランジスタTrを駆動するためのトランジスタ駆動信号をそれぞれ発生させ、インバータブリッジ40に対して出力する。
【0025】そして、前記ステータコイルはインバータブリッジ40によって励磁され、該インバータブリッジ40は、前記6個のトランジスタTr、3個のスナバ回路41及び2個の平滑用コンデンサ13、14から成り、各トランジスタTrのベースに前記トランジスタ駆動信号が入力される。また、一対のトランジスタTrを直列に接続することによってトランジスタモジュール21〜23が形成され、該トランジスタモジュール21〜23は互いに並列に接続される。
【0026】そして、49はメインコンピュータ、51は前記モータ31に供給される相電流を検出する電流センサ、53は前記直流電源33に接続された電源回路であり、該電源回路53は、前記インバータブリッジ40に対して駆動電圧を印加するとともに、電流波形制御回路37等に対して制御電源電圧を印加する。図1は本発明の第1の実施の形態におけるインバータユニットの分解斜視図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるパワーパネルの配設状態を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるインバータユニットの第1の組立状態図である。
【0027】図1において、61は3個のトランジスタモジュール21〜23(図3)が樹脂に一体に埋め込まれたパワー素子であり、該パワー素子61は、前記各トランジスタモジュール21〜23に共通の正極側の入力端子p11、各トランジスタモジュール21〜23に共通の負極側の入力端子m11、及び各トランジスタモジュール21〜23にそれぞれ接続された出力端子62〜64をそれぞれ上面に有する。また、前記パワー素子61の上面には6組の接続端子65、66が突出させて配設され、各接続端子65が前記各トランジスタTrのベースに、各接続端子66が各トランジスタTrのエミッタにそれぞれ接続される。なお、前記各接続端子65を介して各トランジスタTrのベースにベース電流が送られ、該ベース電流によってトランジスタTrがオン・オフさせられるとともに、各接続端子65、66を介してベース・エミッタ間に基準電圧が印加される。
【0028】そして、前記パワー素子61の上にパワーパネル67が取り付けられ、該パワーパネル67は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂によって成形された配線用ブロックとしてのパネル本体71、該パネル本体71に一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線72、及びバスバー73、74、76〜78を有する。該バスバー73、74は、直流電源33、平滑用コンデンサ13、14及びパワー素子61をそれぞれ接続し、バスバー76〜78は、前記パワー素子61と図示しないステータコイルの3相の各巻線とをそれぞれ接続する。なお、前記バスバー73、74によって高電圧系の第1の主回路配線が、バスバー76〜78によって高電圧系の第2の主回路配線がそれぞれ構成されるとともに、バスバー73によって正極側の部分が、バスバー74によって負極側の部分がそれぞれ構成される。また、前記バスバー73、74、76〜78は、図示しない六角ボルト等によって固定され接続される。
【0029】前記制御信号配線72は、上方に向けて突出させて形成される6組の端子81a、81bから成る第1端子部81、上方に向けて突設させられる6組の挿入端子83、84から成る第2端子部82、及び前記第1端子部81と第2端子部82とを連結する6組のリボンケーブル85a、85bから成るリボンケーブル部85を有する。
【0030】そして、制御信号配線72がパネル本体71内に埋め込まれた状態において、前記第1端子部81は、パネル本体71に形成された入力部としてのコネクタ部86内において上方に突出させられ、一部をパネル本体71から露出させる。また、前記パワー素子61にパワーパネル67を取り付けたとき、前記挿入端子83、84にそれぞれ前記接続端子65、66が挿入され、制御信号配線72とパワー素子61とが電気的に接続される。
【0031】この場合、各リボンケーブル85a、85bは互いに平行に配設されるとともに、両者間に空間が形成される。したがって、リボンケーブル85a、85bに平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、制御信号配線72が主回路配線等の外部からノイズの影響を受けても、リボンケーブル85a、85bにおける電圧は互いに同レベルで変化する。その結果、駆動系、すなわち、インバータブリッジ40が誤動作するのを防止することができる。
【0032】また、前記バスバー73、74は、水平に延びて一端をパネル本体71から露出させる第1端子部73a、74a、該第1端子部73a、74aの他端から垂直に延びて一端をパネル本体71から露出させる第2端子部73b、74b、前記第1端子部73a、74aの他端から水平に延びる連結部73c、74c、及び該連結部73c、74cの他端から垂直に延びて一端をパネル本体71から露出させる第3端子部73d、74dから成る。
【0033】そして、前記第1端子部73a、74aの一端側には、それぞれ正極側の端子p12及び負極側の端子m12が形成され、該端子p12、m12はパネル本体71から突出して露出させられ、図示しないパワーケーブルを介して直流電源33に接続される。また、前記第1端子部73a、74aの他端側には、それぞれ正極側の端子p13及び負極側の端子m13が形成され、該端子p13、m13はパネル本体71内において開口を介して露出させられ、それぞれ前記入力端子p11、m11に接続される。
【0034】一方、前記第2端子部73b、74bの一端側には、それぞれ正極側の端子p14及び負極側の端子m14が形成され、該端子p14、m14はパネル本体71から突出して露出させられ、それぞれ平滑用コンデンサ13の正極側の端子p15及び負極側の端子m15に接続される。そして、第3端子部73d、74dの一端側には、それぞれ正極側の端子p16及び負極側の端子m16が形成され、該端子p16、m16はパネル本体71から突出して露出させられ、それぞれ平滑用コンデンサ14の正極側の端子p17及び負極側の端子m17に接続される。
【0035】この場合、前記バスバー73、74は互いに平行に配設されるとともに、両者間に空間が形成される。したがって、バスバー73、74に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせ、主回路配線にC成分を生じさせることができるので、主回路配線のL成分を打ち消してインダクタンスを小さくすることができる。その結果、トランジスタTrがオン・オフするときに、インダクタンス及び相電流の変化率に対応させて発生させられるサージ電圧によってトランジスタTrが破損したり故障したりするのを防止することができるだけでなく、制御信号配線72に主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、インバータブリッジ40が誤動作するのを防止することができる。
【0036】しかも、前記バスバー73、74と制御信号配線72とは、主要部分、すなわち、第1端子部73a、74aとリボンケーブル85a、85bとが互いに直角の方向に交差させられる。したがって、互いに重なる部分が最小になり、主回路配線を流れる電流によって発生させられる磁界により制御信号配線72にノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、インバータブリッジ40が誤動作するのを防止することができる。
【0037】また、前記バスバー76〜78は、一端側に端子76a〜78aを、他端側に端子76b〜78bを備え、前記端子76a〜78aはパネル本体71から突出して露出させられ、それぞれ図示しないパワーケーブルを介してステータコイルのU相、V相及びW相の各巻線に接続される。そして、前記端子76b〜78bはパネル本体71内において開口を介して露出させられ、それぞれ前記出力端子62〜64に接続される。
【0038】前記パネル本体71の上面には、前記平滑用コンデンサ13、14を支持するための凹面状の支持部71a、71bが一体に成形される。また、前記コネクタ部86に対して着脱自在にコネクタ87が配設され、該コネクタ87に6組のケーブル88が接続される。そして、該ケーブル88は、それぞれ一対のツイストケーブル88a、88bから成り、コネクタ部86に対してコネクタ87を着脱させたときに、各ツイストケーブル88a、88bは前記第1端子部81の各端子81a、81bに選択的に接続される。
【0039】このように、前記構成のインバータユニットにおいては、制御信号配線72及びバスバー73、74、76〜78がパネル本体71に一体に埋め込まれて配線されるので、インバータユニットの組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができる。また、前記コネクタ部86に対して着脱自在にコネクタ87が配設され、前記ベースドライブ回路38とコネクタ部86とをコネクタ87によって選択的に接続することができる。したがって、インバータユニットの組付作業性を更に向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを更に防止することができる。
【0040】なお、コネクタ部86とコネクタ87とは、図示しない所定のキー溝と凸条とを嵌(かん)合させることによって接続されるようになっているので、コネクタ部86に対してコネクタ87が誤組付けされることはない。また、コネクタ部86は樹脂によってパネル本体71と一体に成形されるようになっているので、コネクタ部86を任意の位置に設定することができる。
【0041】そして、平滑用コンデンサ13、14を、パネル本体71の上に載置することによって、トランジスタモジュール21〜23の近傍に配設することができる。したがって、主回路配線を短くすることができるので、主回路配線のインダクタンスを小さくすることができる。その結果、トランジスタTrがオン・オフするときに、インダクタンス及び相電流の変化率に対応させて発生させられるサージ電圧によってトランジスタTrが破損したり故障したりするのを防止することができるだけでなく、制御信号配線72に主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、インバータブリッジ40が誤動作するのを防止することができる。
【0042】さらに、平滑用コンデンサ用ブラケットを別に配設する必要がなくなるので、インバータユニットを小型化することができる。しかも、パネル本体71が樹脂によって成形されるようになっているので、支持部71a、71bを任意の位置に設定することができる。また、図示しないリレー、スナバ回路41、図示しない放電抵抗等も併せてパネル本体71の上に載置すれば、インバータユニットを一層小型化することができる。
【0043】次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は本発明の第2の実施の形態におけるインバータユニットの組立状態図である。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。この場合、配線用ブロックとしてのパネル本体171の4隅に、ブラケット172が上方に突出させて一体に成形され、該ブラケット172の上に図3の電流波形制御回路37、ベースドライブ回路38、メインコンピュータ49、電源回路53等の制御回路のプリント基板173が取り付けられる。
【0044】したがって、インバータユニットを一層小型化することができる。次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図7は本発明の第3の実施の形態におけるインバータユニットの組立状態図、図8は本発明の第3の実施の形態におけるバスバーの斜視図である。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。
【0045】この場合、高電圧系の第1の主回路配線を構成するほぼ「L」字状のバスバー273、274により互いに重なる部分がより大きくなるので、配線用ブロックとしてのパネル本体271に一体に埋め込まれる。したがって、バスバー273、274が主回路配線に生じさせるC成分を大きくすることができるので、主回路配線のインダクタンスを一層小さくすることができる。
【0046】なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0047】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0048】そして、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設される。この場合、主回路配線及び制御信号配線が前記配線用ブロックに一体に埋め込まれるので、配線構造体の組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができる。
【0049】また、主回路配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、主回路配線にC成分を生じさせることができる。したがって、主回路配線のL成分を打ち消してインダクタンスを小さくすることができる。その結果、制御信号配線に主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、駆動系が誤動作するのを防止することができる。
【0050】本発明の他の配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。そして、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。
【0051】この場合、制御信号配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、制御信号配線が主回路配線等の外部からノイズの影響を受けても、制御信号配線におけるベース・エミッタ間の基準電圧等が同レベルで変化する。したがって、駆動系が誤動作するのを防止することができる。本発明の更に他の配線構造体においては、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0052】そして、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。この場合、主回路配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、主回路配線にC成分を生じさせることができる。したがって、主回路配線のL成分を打ち消してインダクタンスを小さくすることができる。その結果、制御信号配線に主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、駆動系が誤動作するのを防止することができる。
【0053】また、制御信号配線にも平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、制御信号配線が主回路配線等の外部からノイズの影響を受けても、制御信号配線におけるベース・エミッタ間の基準電圧等が同レベルで変化する。したがって、駆動系が誤動作するのを防止することができる。本発明の更に他の配線構造体においては、さらに、前記主回路配線と制御信号配線とは、互いに直角の方向に交差させられる。
【0054】この場合、主回路配線と制御信号配線とが互いに重なる部分が最小になるので、主回路配線を流れる電流によって発生させられる磁界が制御信号配線にノイズの影響を与えるのを抑制することができ、駆動系が誤動作するのを防止することができる。本発明のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0055】そして、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設される。この場合、第1、第2の主回路配線及び制御信号配線が前記配線用ブロックに一体に埋め込まれるので、配線構造体の組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができる。
【0056】また、第1の主回路配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、主回路配線にC成分を生じさせることができる。したがって、第1の主回路配線のL成分を打ち消してインダクタンスを小さくすることができる。その結果、スイッチング素子がオン・オフするときに、インダクタンス及び相電流の変化率に対応させて発生させられるサージ電圧によってスイッチング素子が破損したり故障したりするのを防止することができるだけでなく、制御信号配線に第1の主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、インバータブリッジが誤動作するのを防止することができる。
【0057】本発明の他のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0058】そして、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。この場合、制御信号配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、制御信号配線が第1、第2の主回路配線等の外部からノイズの影響を受けても、制御信号配線におけるベース・エミッタ間の基準電圧等が同レベルで変化する。したがって、インバータブリッジが誤動作するのを防止することができる。
【0059】本発明の更に他のインバータユニットにおいては、複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有する。
【0060】そして、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設される。この場合、第1の主回路配線に平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、第1の主回路配線にC成分を生じさせることができる。したがって、第1の主回路配線のL成分を打ち消してインダクタンスを小さくすることができる。その結果、スイッチング素子がオン・オフするときに、インダクタンス及び相電流の変化率に対応させて発生させられるサージ電圧によってスイッチング素子が破損したり故障したりするのを防止することができるだけでなく、制御信号配線に第1の主回路配線の電圧変動によるノイズの影響が与えられるのを抑制することができ、インバータブリッジが誤動作するのを防止することができる。
【0061】また、制御信号配線にも平滑用コンデンサと同じ機能を持たせることができるので、制御信号配線が第1、第2の主回路配線等の外部からノイズの影響を受けても、制御信号配線におけるベース・エミッタ間の基準電圧等が同レベルで変化する。したがって、インバータブリッジが誤動作するのを防止することができる。
【0062】本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面に、平滑用コンデンサを支持する支持部が一体に成形される。この場合、平滑用コンデンサを、配線用ブロックの上に載置することによって、スイッチング素子の近傍に配設することができる。したがって、第1、第2の主回路配線を短くすることができるので、第1、第2の主回路配線のインダクタンスを小さくすることができる。その結果、スイッチング素子がオン・オフするときに、インダクタンス及び相電流の変化率に対応させて発生させられるサージ電圧によってスイッチング素子が破損したり故障したりするのを防止することができるだけでなく、制御信号配線に第1の主回路配線の電圧変動によるノイズの影響を与えるのを抑制することができ、インバータブリッジが誤動作するのを防止することができる。
【0063】さらに、平滑用コンデンサ用ブラケットを別に配設する必要がなくなるので、インバータユニットを小型化することができる。しかも、配線用ブロックが樹脂によって成形されるので、ブラケットを任意の位置に設定することもできる。本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面にブラケットが一体に成形され、該ブラケットの上に制御回路のプリント基板が取り付けられる。
【0064】この場合、平滑用コンデンサの上方にプリント基板が配設されるので、インバータユニットを小型化することができる。本発明の更に他のインバータユニットにおいては、さらに、前記配線用ブロックの上面に、前記制御信号配線の入力部が一体に成形される。
【0065】この場合、制御回路と前記入力部とがコネクタを介して接続されるので、インバータユニットの組付作業性を向上させることができるだけでなく、誤配線が行われるのを防止することができる。また、入力部は樹脂によって配線用ブロックと一体に成形されるようになっているので、入力部を任意の位置に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるインバータユニットの分解斜視図である。
【図2】従来のインバータユニットの斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における電動車両の駆動装置を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるパワーパネルの配設状態を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるインバータユニットの第1の組立状態図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるインバータユニットの組立状態図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態におけるインバータユニットの組立状態図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態におけるバスバーの斜視図である。
【符号の説明】
13、14 平滑用コンデンサ
31 モータ
33 直流電源
61 パワー素子
71、171、271 パネル本体
71a、71b 支持部
72 制御信号配線
73、74、76〜78、273、274 バスバー
81 第1端子部
85a、85b リボンケーブル
86 コネクタ部
172 ブラケット
173 プリント基板
Tr トランジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設されることを特徴とする配線構造体。
【請求項2】 樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設されることを特徴とする配線構造体。
【請求項3】 樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設されることを特徴とする配線構造体。
【請求項4】 前記主回路配線と制御信号配線とは、互いに直角の方向に交差させられる請求項1〜3に記載の配線構造体。
【請求項5】 複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設されることを特徴とするインバータユニット。
【請求項6】 複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設されることを特徴とするインバータユニット。
【請求項7】 複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設されることを特徴とするインバータユニット。
【請求項8】 前記配線用ブロックの上面に、平滑用コンデンサを支持する支持部が一体に成形される請求項5〜7に記載のインバータユニット。
【請求項9】 前記配線用ブロックの上面にブラケットが一体に成形され、該ブラケットの上に制御回路のプリント基板が取り付けられる請求項8に記載のインバータユニット。
【請求項10】 前記配線用ブロックの上面に、前記制御信号配線の入力部が一体に成形される請求項5〜7に記載のインバータユニット。
【請求項1】 樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設されることを特徴とする配線構造体。
【請求項2】 樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設されることを特徴とする配線構造体。
【請求項3】 樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれた高電圧系の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれた低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、前記主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設されることを特徴とする配線構造体。
【請求項4】 前記主回路配線と制御信号配線とは、互いに直角の方向に交差させられる請求項1〜3に記載の配線構造体。
【請求項5】 複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設されることを特徴とするインバータユニット。
【請求項6】 複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、該制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設されることを特徴とするインバータユニット。
【請求項7】 複数のスイッチング素子を備えたパワー素子と、樹脂製の配線用ブロックと、一部を露出させて該配線用ブロックに一体に埋め込まれ、電源装置及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第1の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、モータ及び前記スイッチング素子に接続された高電圧系の第2の主回路配線と、一部を露出させて前記配線用ブロックに一体に埋め込まれ、前記スイッチング素子に接続された低電圧系の制御信号配線とを有するとともに、前記第1の主回路配線における正極側の部分と負極側の部分とが互いに平行に配設され、前記制御信号配線における対応する二つの部分が互いに平行に配設されることを特徴とするインバータユニット。
【請求項8】 前記配線用ブロックの上面に、平滑用コンデンサを支持する支持部が一体に成形される請求項5〜7に記載のインバータユニット。
【請求項9】 前記配線用ブロックの上面にブラケットが一体に成形され、該ブラケットの上に制御回路のプリント基板が取り付けられる請求項8に記載のインバータユニット。
【請求項10】 前記配線用ブロックの上面に、前記制御信号配線の入力部が一体に成形される請求項5〜7に記載のインバータユニット。
【図1】
【図2】
【図5】
【図7】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【図2】
【図5】
【図7】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【公開番号】特開平10−304679
【公開日】平成10年(1998)11月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−103530
【出願日】平成9年(1997)4月21日
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【公開日】平成10年(1998)11月13日
【国際特許分類】
【出願日】平成9年(1997)4月21日
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
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