説明

配線用カバー装置

【課題】大型のカバー部材を適用した場合であっても通孔を開閉する際の操作を良好にし、かつ通孔を覆った場合の外観品質を向上させること。
【解決手段】天板2に形成した通孔3の内部に取り付けられ、互いに対向する一対の支持壁部111を有した装置本体11と、天板2の通孔3を開閉する態様で装置本体11の支持壁部111に移動可能に支持させたカバー部材12とを備え、カバー部材12が天板2の通孔3を覆った状態で配線ケーブルを通過させる配線用カバー装置において、支持壁部111に直交する同一の揺動軸心を中心としてそれぞれの支持壁部111にアーム部材125を揺動可能に支持させ、かつ各アーム部材125の先端部に揺動軸心に平行となる同一の回転軸心を中心としてカバー部材12を回転可能に支持させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルの天板に設けた配線用の通孔をカバーするための配線用カバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パソコンやディスプレイ等の電子機器、あるいは卓上照明等の電化製品が設置されるテーブルにおいては、電源ケーブル等の配線ケーブルを見栄え良く敷設するために、天板に形成した配線用の通孔を配線用カバー装置によって覆うようにしている。
【0003】
この種の配線用カバー装置は、天板に形成した通孔の内部に取り付けられる装置本体と、天板の通孔を開閉する一対のカバー部材とを備えたものが一般的である。一対のカバー部材は、アーム部材によって観音開きとなるように装置本体に対して揺動可能に支持され、通孔を覆った場合に天板の上面と同じ平面上に位置されるものである。カバー部材を開放した状態にあっては、天板の上面に通孔が露出されるため、差込プラグやACアダプター等、配線ケーブルよりも大型の部品を天板の上下に通過させることができる。一方、カバー部材の先端部間には、通孔を覆った場合にも幅の狭い間隙が確保されており、この間隙を通じて天板の上下に配線ケーブルを通過させるようにしている。
【0004】
この種の配線用カバー装置によれば、アーム部材によってカバー部材が装置本体に支持された構造であるため、天板の通孔を開閉する際にカバー部材を着脱する必要がなく、カバー部材を紛失する等の問題を招来する恐れがない。しかも、通孔を開放した状態においては、カバー部材が通孔の内部に収納された状態となるため、配線ケーブルを敷設する際にカバー部材が邪魔になることもない。
【0005】
しかしながら、カバー部材を単にアーム部材によって揺動可能に支持させたのでは、カバー部材の移動軌跡が円弧状となるため、通孔を覆った状態にあるカバー部材を開放する方向に移動させるには、天板の通孔を超えてカバー部材を外方に移動させる必要がある。つまり、カバー部材によって天板を覆った状態において、天板における通孔の縁部とカバー部材との間に、カバー部材が移動するための隙間を確保しておかなければ、カバー部材を開放方向に移動させることができず、外観品質を考慮した場合、必ずしも好ましいとはいえない。
【0006】
このため従来では、アーム部材の揺動軸心を装置本体に対して移動可能に配設し、カバー部材を開閉する際にアーム部材の揺動軸心を移動させるものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。この配線用カバー装置によれば、カバー部材を開放する際にアーム部材の揺動軸心を移動させることでカバー部材を通孔の内方側に配置することができるため、天板の縁部との間に隙間を確保しておかなくとも、カバー部材を開放方向に移動させることが可能となり、外観品質を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−110816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、電子機器や電化製品が設置されるテーブルには、同時に複数人で使用するのが前提となったものもある。こうしたテーブルにあっては、配線ケーブルを敷設するための通孔を複数人で共用するのが一般的であり、通孔として大きな開口面積を有したものを用意するようにしている。こうしたテーブルを対象とする配線用カバー装置としては、通孔の開口面積に合わせて大型のものが必要となり、通孔を覆うカバー部材としても大きな面積を有したものを適用する必要がある。
【0009】
ここで、カバー部材が大きな面積を有したものであっても、アーム部材の揺動軸心が正確に規定されていれば、装置本体に対してカバー部材を揺動させる際の操作も容易に行うことが可能である。しかしながら、特許文献1に記載の装置にあっては、アーム部材の揺動軸心が装置本体に対して移動可能であるため、換言すれば、カバー部材の揺動軸心が正確に規定される構成ではなく、装置本体に対してカバー部材を揺動させる途中において揺動軸心がずれることになり、操作性に問題を来す恐れがある。例えば、揺動軸心の移動により装置本体に対してカバー部材が斜めに配置されることもあり、そのまま揺動させた場合、装置本体に対してカバー部材が拗れる等の動作不良を招来する恐れがある。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて、大型のカバー部材を適用した場合であっても通孔を開閉する際の操作を良好にし、かつ通孔を覆った場合の外観品質を向上させることのできる配線用カバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る配線用カバー装置は、天板に形成した通孔の内部に取り付けられ、少なくとも互いに対向する一対の支持壁部を有した装置本体と、前記天板の通孔を開閉する態様で前記装置本体の支持壁部に移動可能に支持させたカバー部材とを備え、前記カバー部材が前記天板の通孔を覆った状態で配線ケーブルを通過させる配線用カバー装置において、前記支持壁部に直交する同一の揺動軸心を中心としてそれぞれの支持壁部にアーム部材を揺動可能に支持させ、かつ各アーム部材の先端部に前記揺動軸心に平行となる同一の回転軸心を中心として前記カバー部材を回転可能に支持させたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述した配線用カバー装置において、前記カバー部材の両端部に前記揺動軸心に沿って軸部を突設する一方、前記支持壁部には前記カバー部材の軸部をスライド可能に挿通する案内溝を形成し、前記案内溝は、前記アーム部材の揺動を停止した状態で前記カバー部材が前記天板の通孔を覆った位置から通孔を開放した位置まで前記回転軸心を中心として回転した場合の前記軸部の移動を案内する回転案内部と、前記カバー部材が前記天板の通孔を開放した位置から通孔の内部に収容された位置まで前記揺動軸心を中心として移動した場合の前記軸部の移動を案内する揺動案内部とを有したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上述した配線用カバー装置において、前記天板の通孔に対して観音開きとなるように平板状を成す2枚のカバー部材を並設し、これらカバー部材によって前記天板の通孔を覆った場合に前記カバー部材の相互間に配線ケーブルを通過させる隙間を確保したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アーム部材とカバー部材とが互いに回転可能であるため、カバー部材によって通孔を開閉する操作と、カバー部材の通孔に対して出し入れする操作とを個別に行うことができ、通孔を開放させる際に通孔を超えてカバー部材を外方に移動させる必要がなくなる。このため、カバー部材によって通孔を覆った場合に天板との間に隙間を確保しておく必要もなくなり、外観品質を向上させることができる。しかも、カバー部材を回転させる際の回転軸心やアーム部材を揺動させる際の揺動軸心が常に同じ位置に規定される。このため、カバー部材が長大化した場合であってもこれを回転させる際の挙動を安定化することができ、通孔を開閉する際の操作を良好に行うことができる。
【0015】
また、本発明によれば、カバー部材が軸部を介して装置本体の案内溝に沿って移動するため、通孔を開閉する際の操作をより安定化することができる。
【0016】
また、本発明によれば、2つのカバー部材によって通孔を覆うようにしているため、カバー部材の幅寸法を小型化でき、通孔を開閉する際の操作をより良好に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である配線用カバー装置を適用したテーブルの外観斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したテーブルに適用する配線用カバー装置を概念的に示した斜視図である。
【図3】図3は、図2に示した配線用カバー装置においてカバー部材を閉じた状態の断面図である。
【図4】図4は、図2に示した配線用カバー装置に適用するカバー部材及びアーム部材の構成を示す分解斜視図である。
【図5】図5は、図4に示したカバー部材及びアーム部材を組み立てた状態の斜視図である。
【図6】図6は、図2に示した配線用カバー装置においてカバー部材を閉じた状態から開放方向に移動させた状態の断面図である。
【図7】図7は、図6に示した配線用カバー装置よりもさらにカバー部材を開放方向に移動させた状態の断面図である。
【図8】図8は、図7に示した配線用カバー装置よりもさらにカバー部材を開放方向に移動させた状態の断面図である。
【図9】図9は、図2に示した配線用カバー装置においてカバー部材を開放した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る配線用カバー装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態である配線用カバー装置を適用したテーブルを示したものである。ここで例示するテーブル1は、天板2が長辺2aと短辺2bとを有した矩形の平板状を成し、長辺2aとなる縁部にそれぞれ2名ずつ着座して、合計4名で使用することを前提に構成したもので、天板2の中央部に通孔3が形成してある。通孔3は、天板2の上面に設置する電子機器や電化製品から延在された電源ケーブル等の配線ケーブルと、床面に敷設された給電ケーブル等の配線ケーブルとを互いに接続するために天板2に設けた貫通孔であり、4名で共用できるように大きな開口面積を有している。本実施の形態の通孔3は、短辺3bに対して長辺3aの寸法を十分に大きく形成してあり、長辺3a及び短辺3bがそれぞれ天板2の長辺2a及び短辺2bと平行となるように配置してある。
【0020】
このテーブル1の通孔3には、配線用カバー装置10が設けてある。配線用カバー装置10は、通孔3に配線ケーブルを通過させた状態で通孔3の開口を覆うためのもので、図2に示すように、装置本体11を備えている。装置本体11は、互いに平行に配置した一対の支持壁部111と、支持壁部111の両側部間を連結する一対の側壁部112と、これら支持壁部111及び側壁部112によって構成される枠状体の底面を閉塞する底壁部113とを有して構成したもので、上端部が開口した直方体状を成している。
【0021】
支持壁部111は、その上端部に通孔3の短辺3bとほぼ同じ幅を有した挿入部111aを有しており、この挿入部111aを天板2の下方から通孔3の内部に挿入することが可能である。挿入部111aの上下方向に沿った寸法は、天板2の板厚よりもわずかに小さい長さに形成してあり、天板2の通孔3に挿入した場合にも、挿入部111aが天板2の上面から突出することはない。尚、支持壁部111の下方部には、それぞれ開口111bが形成してあり、装置本体11の上端部の開口との間に配線ケーブルを通過させることが可能である。
【0022】
側壁部112は、矩形の平板状を成すもので、支持壁部111の挿入部111aをそれぞれ通孔3の短辺3bに当接させた状態において一対の支持壁部111の間を連結することのできる長さに形成してある。側壁部112の上下方向に沿った寸法は、支持壁部111の挿入部111aを通孔3に挿通させた場合にその上面が天板2の下面に当接するだけの高さに形成してある。図2からも明らかなように、側壁部112は、個々の外表面に複数の取付片114を備えており、これら取付片114のネジ挿通孔114aを介して天板2の下面にネジを螺合させることにより、装置本体11を天板2に取り付けることが可能である。
【0023】
また、装置本体11には、側壁部112の相互間に一対のカバー部材12が配設してある。カバー部材12は、通孔3の長辺3aとほぼ同じ長さを有し、かつ通孔3の短辺3bの1/2よりもわずかに幅の狭い矩形の平板状を成しており、互いに並設した状態で通孔3に配置した場合、長辺3aに沿った方向にはほぼ隙間なく、短辺3bに沿った方向にはわずかに隙間ができるように構成してある。
【0024】
本実施の形態では、図4及び図5に示すように、押し出し成形によって構成した長尺のカバー基部材121の両端部にそれぞれキャップ部材122を装着することによってカバー部材12を構成している。尚、一対のカバー部材12は、互いに対称に構成したものであるため、以下においては一方についてのみ説明する。
【0025】
カバー基部材121は、表面121aとなる部位が平坦面状に構成してある一方、裏面となる部位にピン装着溝部121b及び収容溝部121cを有している。ピン装着溝部121bは、横断面が細径の円形を成す貫通孔であり、径外方向に形成したスリットにより、カバー部材12において一方の長辺(以下、区別する場合に「基端側長辺12a」という)の端面に開口している。収容溝部121cは、ピン装着溝部121bに隣接して形成した一連の凹溝であり、カバー部材12の裏面において約1/2の幅を有するように形成してある。この収容溝部121cにおいて他方の長辺(以下、区別する場合に「先端側長辺12b」という)に近接する開口縁部には、基端側長辺12aに向けてストッパ片部121dが突設してある。尚、図2中の符号は、各カバー部材12において先端側長辺12bの先端縁に装着したリップ部材123である。リップ部材123は、合成樹脂材によって成形したもので、先端側長辺12bの全長に渡って設けてある。
【0026】
キャップ部材122は、図4及び図5に示すように、互いに対称となる形状に形成してあり、カバー基部材121の両端面に嵌着してその全域を覆うことにより、カバー基部材121のエッジを外部に露出させないように機能するものである。それぞれのキャップ部材122には、ピン挿通孔122a及びアームピン支持孔122bが形成してある。ピン挿通孔122aは、カバー基部材121のピン装着溝部121bを外部に開口させるために形成した貫通孔である。アームピン支持孔122bは、カバー基部材121の収容溝部121cに対応する位置に形成した細径の孔であり、カバー基部材121に対向する部位にのみ開口し、キャップ部材122の外表面には開口していない。
【0027】
それぞれのカバー部材12には、基端側長辺12aに近接する部位に一対の案内ピン124及び一対のアーム部材125が設けてある。
【0028】
案内ピン124は、比較的太径の円柱状を成す摺動案内部124aと、摺動案内部124aの一端面から突出した細径の円柱状を成す嵌着部124bとを一体に成形したものである。それぞれの案内ピン124は、キャップ部材122のピン挿通孔122aを介して嵌着部124bをカバー基部材121のピン装着溝部121bに圧入することにより、カバー部材12の短辺12cから外部に突出した状態に取り付けてある。上述したように、カバー基部材121を押し出し成形によって成形してあるため、ピン装着溝部121bに取り付けた一対の案内ピン124は、それぞれの軸心がカバー部材12の長辺12a,12bに沿って互いに合致している。
【0029】
アーム部材125は、幅広の基端部から先端に向けて漸次幅が狭くなり、幅狭の先端部が屈曲した外形形状を有したもので、屈曲した先端部の相互間が連結ロッド126によって互いに連結してある。連結ロッド126に対してそれぞれのアーム部材125は、互いに同一方向に向けて延在し、基端部が常に互いに対向した位置に配置される構成である。
【0030】
個々のアーム部材125には、基端部に柱状部125aが設けてある一方、先端部に支持ピン部125bが設けてある。柱状部125aは、アーム部材125の基端部において互いに外方側となる表面から外方に向けて突出した太径の円柱状を成すもので、個々の中心部にネジ嵌着孔125cを有している。アーム部材125に設けたネジ嵌着孔125cは、それぞれの軸心(揺動軸心)が連結ロッド126の軸心に平行となる方向において互いに合致したもので、その内部に揺動ボルトB(図2参照)の頭部を嵌着することが可能である。支持ピン部125bは、アーム部材125の先端部において互いに外方側となる表面から外方に向けて突出した細径の円柱状を成すものである。それぞれの支持ピン部125bは、連結ロッド126と同一の軸心(回転軸心)となるようにアーム部材125に設けてある。
【0031】
連結ロッド126によって連結したアーム部材125は、支持ピン部125bをそれぞれキャップ部材122に設けたアームピン支持孔122bに回転可能に嵌合させることにより、連結ロッド126をカバー部材12の収容溝部121cに配置した状態で、連結ロッド126の軸心を中心としてカバー部材12に回転可能に支持させてある。
【0032】
アーム部材125の基端部は、個々のネジ嵌着孔125cに嵌着させた揺動ボルトBを介して装置本体11の支持壁部111に揺動可能に支持させてある。揺動ボルトBは、それぞれの軸心が支持壁部111に対して直交する向きに配設してあり、支持壁部111に対してアーム部材125を干渉させることなく揺動させることが可能である。
【0033】
支持壁部111に対するアーム部材125の向きは、図3に示すように、アーム部材125に支持させた2つのカバー部材12が先端側長辺12bを互いに対向させた状態で並設し、開放した場合に互いに観音開きとなるように、互いに柱状部125aを形成した基端部を近接させ、かつ支持ピン部125bを形成した先端部が互いに離反するように配置してある。アーム部材125を支持させる位置は、アーム部材125の先端部をもっとも上方に配置した場合、図3に示すようにカバー部材12によって通孔3の開口を覆うことができ、かつアーム部材125の先端部をもっとも下方に配置した場合には、図9に示すように、表面121aを通孔3の長辺3aに対向させ、かつ先端側長辺12bが上方に向いた状態でカバー部材12を通孔3の内部に収容することのできるように設定してある。また、図3に示すように、並設したカバー部材12の先端側長辺12bが互いに離隔し、かつリップ部材123の先端のみが互いに当接できるように揺動ボルトBの相互間距離が設定してある。
【0034】
一方、装置本体11の支持壁部111には、案内溝115が形成してある。案内溝115は、カバー部材12に設けた案内ピン124の摺動案内部124aをスライド可能に収容し、案内ピン124を介して支持壁部111に対するカバー部材12の移動を案内するためのもので、回転案内部115a及び揺動案内部115bを有している。回転案内部115aは、アーム部材125の揺動を停止した状態でカバー部材12のみを支持ピン部125bの軸心回りに回転させ、天板2の通孔3を覆った位置から通孔3を開放した位置まで移動させた場合の案内ピン124の軌跡となる位置に形成してある。具体的には、回転案内部115aは、支持壁部111の挿入部111aにおいて通孔3の長辺3aに近接した上端部に設けてあり、支持壁部111の中心側に向かうに従って下方に傾斜する向きに延在している。揺動案内部115bは、カバー部材12が先端側長辺12bを上方に向けた姿勢でアーム部材125を揺動させ、通孔3に対してアーム部材125を上下方向に移動させた場合の案内ピン124の軌跡となる位置に形成したもので、上端部が回転案内部115aの下端部に連続している。
【0035】
上記のように構成した配線用カバー装置10を備えるテーブル1では、配線ケーブルを敷設しない場合、カバー部材12を互いに並設した状態に配置することで、図1及び図3に示すように、天板2に設けた通孔3を覆うことができ、外観品質を確保することができる。このとき、カバー部材12は、図3に示すように、カバー基部材121に設けたストッパ片部121dがアーム部材125の先端部に当接することによって相対回転が規制されており、カバー基部材121の表面121aを天板2の上面に一致させた状態に維持されている。
【0036】
一方、天板2の上面に設置した電子機器や電化製品に対する配線ケーブルを敷設する場合には、カバー部材12を開いて天板2の通孔3を開放すれば、通孔3を介して天板2の上下に配線ケーブルを敷設することが可能となる。この場合、2枚のカバー部材12を観音開きとし、天板2の通孔3が大きく開放することができるため、差込プラグやACアダプター等、配線ケーブルよりも大型の部品を天板2の上下に容易に通過させることができる。配線ケーブルを敷設した後においては、再びカバー部材12を閉じることにより、配線ケーブルをカバー部材12の相互間に通過させた状態で通孔3を覆うことができ、外観品質を確保することが可能となる。通孔3を覆う場合には、カバー部材12をそのままの姿勢で上方に引き上げた後、互いの先端側長辺12bを近接する方向に向けて下方に回転させる操作を行えば良い。
【0037】
この配線用カバー装置10によれば、アーム部材125によってカバー部材12が装置本体11に支持された構造であるため、上述した配線ケーブルの敷設作業を行う場合、天板2の通孔3を開閉する際にカバー部材12を取り外す必要がなく、カバー部材12を紛失する等の問題を招来する恐れがない。しかも、通孔3を開放した場合には、図9に示すように、カバー部材12が通孔3の内部に収納された状態となるため、配線ケーブルを敷設する際にカバー部材12が邪魔になることもない。
【0038】
さらに、上述した配線用カバー装置10においては、アーム部材125とカバー部材12とを相対的に回転可能に配設しており、カバー部材12によって通孔3を開閉する操作と、カバー部材12の通孔3に対して出し入れする操作とを個別に行うことが可能である。従って、図3、図6〜図9に示すように、通孔3の内部においてカバー部材12を開閉移動させることができ、通孔3を超えてカバー部材12を外方に移動させる必要がない。このため、カバー部材12によって通孔3を覆った場合に、カバー部材12の基端側長辺12aと天板2との間に隙間を確保しておく必要もなくなり、外観品質を低下させる事態を招来することがない。
【0039】
しかも、支持壁部111に対してアーム部材125を揺動させる際の揺動軸心となるネジ嵌着孔125cやカバー部材12に対してアーム部材125を回転させる際の回転軸心となる支持ピン部125bを常に同じ位置に規定することができる。このため、カバー部材12の長辺寸法が大きな場合であっても、通孔3に対してカバー部材12やアーム部材125が傾斜する等の事態を招来する恐れがなく、カバー部材12を開閉する際の挙動を安定化することができ、その操作を良好に行うことができる。
【0040】
さらに、開放された通孔3を覆うべくカバー部材12を上方に引き上げた場合には、カバー部材12の案内ピン124が案内溝115の回転案内部115aに至った時点でカバー部材12の基端側長辺12aを通孔3の長辺3aに近接した方向に案内するため、カバー部材12の先端側長辺12bが通孔3を覆う方向に回転することになり、その操作をきわめて容易に行うことができるようになる。
【0041】
尚、上述した実施の形態では、4名で使用することを前提としたテーブル1に適用する配線用カバー装置10を例示したが、必ずしもこれに限定されず、5名以上で使用するテーブルであっても、3名以下で使用するテーブルであっても同様に適用することは可能である。この場合、通孔3が天板2の中央部に設けられている必要はなく、特に片側に着座することを前提としたテーブルにあっては、天板の奥側に通孔が形成されているものであっても構わない。
【0042】
また、上述した実施の形態では、2枚のカバー部材12を備えたものを例示しているが、カバー部材の数は1枚であっても構わない。
【0043】
さらに、上述した実施の形態では、カバー部材12に案内ピン124を設け、この案内ピン124を支持壁部111に形成した案内溝115にスライド可能に収容させるようにしているため、カバー部材12を開閉する際の挙動をより安定させることが可能になる。しかしながら、必ずしもカバー部材に設けた案内ピンを支持壁部の案内溝に沿って案内させる必要はなく、アーム部材125とカバー部材12とを相対的に回転可能に配設してあれば良い。
【符号の説明】
【0044】
2 天板
3 通孔
10 配線用カバー装置
11 装置本体
12 カバー部材
111 支持壁部
115 案内溝
115a 回転案内部
115b 揺動案内部
124 案内ピン
125 アーム部材
125b 支持ピン部
125c ネジ嵌着孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板に形成した通孔の内部に取り付けられ、少なくとも互いに対向する一対の支持壁部を有した装置本体と、前記天板の通孔を開閉する態様で前記装置本体の支持壁部に移動可能に支持させたカバー部材とを備え、前記カバー部材が前記天板の通孔を覆った状態で配線ケーブルを通過させる配線用カバー装置において、
前記支持壁部に直交する同一の揺動軸心を中心としてそれぞれの支持壁部にアーム部材を揺動可能に支持させ、かつ各アーム部材の先端部に前記揺動軸心に平行となる同一の回転軸心を中心として前記カバー部材を回転可能に支持させたことを特徴とする配線用カバー装置。
【請求項2】
前記カバー部材の両端部に前記揺動軸心に沿って軸部を突設する一方、前記支持壁部には前記カバー部材の軸部をスライド可能に挿通する案内溝を形成し、
前記案内溝は、
前記アーム部材の揺動を停止した状態で前記カバー部材が前記天板の通孔を覆った位置から通孔を開放した位置まで前記回転軸心を中心として回転した場合の前記軸部の移動を案内する回転案内部と、
前記カバー部材が前記天板の通孔を開放した位置から通孔の内部に収容された位置まで前記揺動軸心を中心として移動した場合の前記軸部の移動を案内する揺動案内部とを有した
ことを特徴とする請求項1に記載の配線用カバー装置。
【請求項3】
前記天板の通孔に対して観音開きとなるように平板状を成す2枚のカバー部材を並設し、これらカバー部材によって前記天板の通孔を覆った場合に前記カバー部材の相互間に配線ケーブルを通過させる隙間を確保したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線用カバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−100688(P2012−100688A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249021(P2010−249021)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】