説明

酵素反応における試料中のcDNAの合成方法

本発明は、酵素反応における試料中のcDNAの合成のための方法であって、該方法は、以下:ポリアデニル化活性を有する第1の酵素、逆転写酵素活性を有する第2の酵素、緩衝液、少なくとも1つのリボヌクレオチド、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド、アンカーオリゴヌクレオチドを同時に準備する工程、リボ核酸を含む試料を添加する工程、および第1の酵素および第2の酵素が活性を示すように選択される1または複数の温度工程で前の工程の作用物質をインキュベートする工程を含む、方法に関する。本発明は、さらに、ポリアデニル化活性を有する第1の酵素、逆転写酵素活性を有する第2の酵素、任意選択的に緩衝液、任意選択的に少なくとも1つのリボヌクレオチド、任意選択的に少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド、および任意選択的にアンカーオリゴヌクレオチドを含む反応混合物に関する。さらに、本発明は、対応する反応混合物を含むキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、分子生物学分野および本分野における研究に関し、ヒトおよび非ヒト診断にも関する。
【0002】
非ポリアデニル化RNA分子、例えば、細菌RNAなどまたは小RNA、いわゆるミクロRNA(miRNA)などの分析は困難であり、特定の方法を必要とする。可能な方法が、最近、文献に記載された。この方法は、連続的につながった、すなわち、ポリ−(A)−ポリメラーゼおよび適切な基質、典型的には、ATPを使用したRNAのテーリング(tailing)をはじめに実施するいくつかの酵素工程を含む。次いで、ポリ−(A)−反応を停止させ、反応産物を精製する。次いで、生成されたポリ−(A)−RNAを逆転写酵素反応物に加え、適切なプライマーを使用してcDNAに変換する。
【背景技術】
【0003】
連続的につながったこれら2つの酵素反応の実施費用は非常に高額であり、多数の誤差原因、例えば、ヌクレアーゼの投入、材料の損失、またはピペッティングの誤りなどを有する。
【0004】
ミクロRNA(miRNA)は、約20〜25ヌクレオチドのサイズで変化する、新規の非コードRNAファミリーに相当する。
【0005】
ミクロRNAは、いわゆる「ヘアピン前駆体」を介してプロセシングされ、遺伝子発現における負の調節因子としての役割を果たし得る。したがって、ミクロRNAは、多数の下流遺伝子を調整する(非特許文献1)。miRNAは、最初に、長い「一次転写物」(これらは、一次miRNAとも呼ばれる)として転写される(非特許文献2)。次いでこれらの「一次転写物」を短縮し、それにより、その結果長さが約70ヌクレオチドになる。いわゆる「ステム−ループ構造」を産生する;これらは、「プレmiRNA」とも呼ばれる。プレmiRNAは、細胞質中に輸送される。輸送酵素は、エクスポーチンー5と呼ばれる。これらはここでさらにプロセシングされ、このような方法で、約22ヌクレオチド長となり、成熟miRNA分子が産生される(非特許文献3)。最近の研究は、miRNAが発達および分化で重要な役割を果たすと提案している。原理上、ミクロRNAは、2つの異なる方法で調節作用を示し得る。植物では、miRNAは、対応するmRNAと全く正確に相補する。これにより、RNA干渉(RNAi)を含む機構によって標的−mRNAが破壊される。動物では、miRNAは、Lin−4およびLet−7を含む機構によって遺伝子発現を防止する。ここで、miRNAは、その対応するmRNAと正確に相補的ではないが、miRNAはタンパク質の合成および機能を阻止する(非特許文献4)。ごく最近になって発見されたmiRNAが果たす決定的な役割により、その検出または分析は決定的に重要である。
【0006】
真核生物では、18s、5.8s、および25/28s rRNAの合成は、ヌクレオチド中のいわゆる前駆体−rRNA(プレ−rRNA)の修飾におけるプロセシングを含む。この複雑なrRNA生合成経路は、核内に蓄積される多数の小さな、いわゆる「小分子RNA」(snoRNA)を含む。これらは、いわゆる小核小体リボ核タンパク質粒子(snoRNP)の形態で存在する(非特許文献5)。
【0007】
最近特徴づけられている全てのsnoRNAは、RNアーゼ MRPを除いて、2つのファミリーに分類される。後者は、ボックスc/Dおよびボックスh/ACA slow RNAであり、これらは、共通する配列モチーフによって識別することができる(非特許文献6)。snoRNA遺伝子のゲノム構築は、種々の真核生物で非常に多様である。脊椎動物では、ほとんどのsnoRNAは、「宿主遺伝子」を介してイントロン内に導入される。U3などの例外は、独立して転写される。酵母では、イントロン中に導入されるが、snoRNAの大部分が個別のプロモーターで単一遺伝子として転写される。クラスター化snoRNA遺伝子は、共通のプロモーターによって上流に転写される。小さなサイズおよびポリアデニル化の欠損により、snoRNAの検出または分析は、分子生物学的課題である。
【0008】
PCRは、微生物研究において頻繁に使用される手段であり、例えば、16S rRNA遺伝子を分析するためにも使用される。しかし、微生物試料中の新規の遺伝子の発見は、条件的に可能なプライマー合成のみに制限される。したがって、プライマーは、16S rRNA遺伝子についての培養微生物由来の既に知られている配列に由来する(非特許文献7)。今日まで未知である生物由来の16S rRNA遺伝子の抽出に対して当然既に知られている配列に依存する合成に基づいて、微生物送達が非常に過小評価され、単離もされていない可能性がある。
【0009】
16S rRNA分子のみを単離することが困難であり得ると同時に、配列の知識の欠如、特にポリ−A−テールの欠如により、原核生物mRNA分子を単離することは困難であり得る。
【0010】
先行技術では、2工程の方法が知られている。この方法では、RNA分子を酵素であるポリ−A−ポリメラーゼおよび基質であるアデノシン三リン酸を用いて反応させ、その結果、ポリアデニル化リボ核酸分子が産生される。したがって、これにより、ポリアデニル化リボ核酸分子をさらなる工程で精製し、その後に第3の工程で逆転写が起こる。ポリアデニル化テール中で逆転写を使用し、それにより、ホモポリマーオリゴヌクレオチドは、一般に、相補的様式でポリT−オリゴヌクレオチドをポリアデニル化RNAテールへ付着させる。ポリ−T−オリゴヌクレオチドの3’末端はここでポリメラーゼによって使用されて、デオキシリボ核酸鎖を産生し、この鎖は既存のリボ核酸鎖と相補的である。したがって、産生された鎖は、「第1のcDNA鎖」と呼ばれる。このcDNAを、PCR反応で使用することができ、それにより、ランダムプライマーまたは他の特異的プライマーを使用することによって増幅物が生成される。Shiらは、特に、オリゴ−dTアダプター−プライマーを介したmiRNA検出を教示し、それにより、特異的プライマーのアダプターをPCRで使用する(非特許文献8)。
【0011】
このごく最近になって出版された方法は、上記の特定のリボ核酸分子と比較して決定的な欠点を有する。
【0012】
したがって、2段階方法は、一般に、夾雑物の導入を伴い得る。精製工程により、希少なRNAが喪失する。2段階方法には、第1の酵素の失活ならびに第1の酵素および第2の酵素をインキュベートする時間が必要であり、これらは共に非常に長時間を消費する。さらに、2段階方法は、2以上の試料を同時に処理する場合に試料を混同する危険がありうるという欠点を有する。先行技術から公知であるように、ヌクレアーゼ攻撃が懸念される限り、リボ核酸は比較的高感度である。2段階方法は、特に第1の段階後の精製工程は、ヌクレアーゼが導入される危険性を伴う。最終的に、2以上の工程は、常に、ピペッティングの誤りの危険性が増大するという事実をもたらす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Ambros,V.、2001年、「ミクロRNA:大いなる可能性を秘めた小さな制御因子(MicroRNA’s:Tiny Regulators with Great Potential)」、Cell 107、P.823−826。
【非特許文献2】Lee,Y.,Jeon,K.ら、2002年、「ミクロRNA成熟:細胞内局在化の段階的プロセシング(MicroRNA Maturation: Stepwise Processing Subcellular Localisation)」、Embo J.21、p.4663−4670。
【非特許文献3】Lee,Y.ら、2003年、「各RNAのIII Droshaは、ミクロRNAプロセシングを開始する(The Nuclear RNA’s III Drosha Initiates microRNA Processing)」、Nature 425、p.415−419。
【非特許文献4】Ambros,V.、2004年、「動物ミクロRNAの機能(The Functions of Animal microRNA)」、Nature,431、p.350−355。
【非特許文献5】Maxwell,E.S.ら、1995年、「小核RNA(The Small Nucleolar RNA)」、Annual Review Biochem,35、p.897−934。
【非特許文献6】Ballakin,A.D.ら、1996年、「核のRNAワールド:関連する機能を有する異なるBoxエレメントによって定義される小核RNAの2つの主なファミリー(The RNA World of the Nucleolus: Two Major Families of Small Nucleolar RNA Defined by Different Box Elements with Related Functions)」、Cell,86、p.823−834。
【非特許文献7】Olson,D.J.、1986年、「微生物の生態学および進化:リボゾームRNAアプローチ(Microbial Ecology and Evolution: A Ribosomal RNA Approach)」、Annu.Rev.Microbial.40、p.337−365。
【非特許文献8】Shi,R.,and Chiang,V.L.(Shi,R.ら、「リアルタイムPCRによる容易なミクロRNA発現の定量手段(Facile Means for Quantifying microRNA Expression by Real−Time PCR)」、Biotechniques、2005年、39、p.519−25。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発明の主題
したがって、本発明の目的は、cDNA合成を可能にし、できるだけ多くの夾雑物を回避し、あまり時間がかからず、試料を混同する危険性を最小にし、ヌクレアーゼ導入の危険性を最小にし、最終的にピペッティングの誤りの危険性をできるだけ排除する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を、酵素反応における試料中のcDNAの合成方法であって、以下:
(a)ポリアデニル化活性を有する第1の酵素、逆転写酵素活性を有する第2の酵素、緩衝液、少なくとも1つのリボヌクレオチド、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド、アンカーオリゴヌクレオチドを同時に準備する工程、(b)リボ核酸を含む試料を添加する工程、および(c)第1の酵素および第2の酵素が活性を示すように選択される1または複数の温度工程において工程(a)および(b)の作用物質をインキュベートする工程
を含む、方法によって達成する。
【0016】
今日まで、酵素的ポリアデニル化と逆転写酵素との組み合わせが技術的に可能であると見なされていた。これは、さらにより最近に、すなわち、分析および単離に関して特別な分子生物学的課題を示すsnoRNAおよびミクロRNAの発見後に示され、酵素反応が常に連続して実施された(Want,J.F.ら、「イネ由来の20種のミクロRNAの同定(Identification of 20 microRNA from Oryza sativa)」、Nucleic Acid Res.、2004年、32、p.1688−95;Shi,R.and Chiang,V.L.、リアルタイムPCRによる容易なミクロRNA発現の定量手段(Facile Means for Quantifying microRNA Expression by Real−Time PCR)」、Biotechniques、2005年、39、p.519−25;Fu,H.ら、新規の方法によるヒト胎児肝臓miRNAの同定(Identification of Human Fetal Liver miRNA by a Novel Method)」、FEBS Lett、2005年、579、p.3849−54;Chen,C.L.ら、「植物における非常に多様なsnoRNA:イネ由来の120種のsnoRNA遺伝子の同定および比較研究(The High Diversity of snoRNA in Plants: Identification and Comparative Study of 120 snoRNA Genes from Oryza Sativa)」、Nucleic Acids Res、2003年、31、p.2601−13;Botero,L.M.ら、「環境RNAの修飾および逆転写酵素PCR増幅(Poly(A)Polymerase Modification and Reverse Transcriptase PCR Amplification of Environmental RNA)」、Appl.Environ Microbiol、2005年、71、p.1267−75)。驚いたことに、両方法(すなわち、ポリアデニル化および逆転写)は、長い間当業者に既に公知であった(Sano,H.,and Feix,G.、「大腸菌由来の末端リボアデニレートトランスフェラーゼ:特徴づけおよび適用(Terminal Riboadenylate Transferase from Escherichia coli. Characterization and Application)」、Eur.J.Biochem.、1976年、71、p.577−83)。一般に、当業者はポリ−A−テーリング工程によって反応産物を精製している(Shi,R.ら、リアルタイムPCRによる容易なミクロRNA発現の定量手段(Facile Means for Quantifying microRNA Expression by Real−Time PCR)」、Biotechniques、2005年、39、p.519−25)。これらについての理由は、反応に必要な反応緩衝液および基質の組成が明確に異なることにある。
【0017】
本発明の別の主題は、cDNA合成を可能にし、この反応を任意選択的に第3の酵素反応と連携して、同一反応容器中で生成されたcDNAを特異的に検出可能にする簡潔な方法を提供することである。非常に簡潔な取り扱いにより、この「3−イン−1(3−in−1)」方法は、多数の試料を1種または数種の検体で分析することになる場合に特に有利である。例えば、リアルタイムPCRと連携すれば、非常に迅速且つ簡潔な方法で非常に多数の試料を分析できることがその理由である。さらなる取り扱い工程および汚染をできるだけ多く防止するべきであり、それにより時間が短縮され、試料の混同の危険性が最小になり、ヌクレアーゼが導入される危険性が最小になり、最終的に、ピペッティングの誤りの危険性ができるだけ多く排除される。
【0018】
「3−イン−1」反応の目的は、酵素反応およびその後の他の酵素反応、任意選択的に増幅、任意選択的に検出と連携して、下流または増幅中のリアルタイムのいずれかで、試料中のcDNAの合成方法によって達成され、それにより、この方法は、以下:(a)ポリアデニル化活性を有する第1の酵素、逆転写酵素活性を有する第2の酵素、緩衝液、少なくとも1つのリボヌクレオチド、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド、アンカーオリゴヌクレオチド、核酸合成活性を有する少なくとも1つの第3の酵素、少なくとも1つのプライマー、および任意選択的にプローブを同時に準備する工程、(b)リボ核酸を含む試料を添加する工程、および(c)第1の酵素および第2の酵素が活性を示し、任意選択的に第3の酵素が活性または不活性であるように選択される1または複数の温度工程において工程(a)および(b)の作用物質をインキュベートする工程を含む。任意選択的に、1または複数の温度工程が続き、この工程では第1の酵素および第2の酵素の活性がより低いか不活性であり、且つ第3の酵素が活性である。
【0019】
in vivoで使用されるポリ−(A)−ポリメラーゼの基質は、アデノシン三リン酸(ATP)である。いくつかのポリ−(A)−ポリメラーゼについて、基質としての他のNTPへの短いテールの付着でさえ可能であることが示された(Martin,G.,and Keller,W.,Tailing and 3’−End Labeling of RNA with Yeast Poly(A)Polymerase and Various Nucleotides,RNA,1998,4,226−30)。
【0020】
驚いたことに、本発明者らは、一定の要件下で、2つの依然として非常に異なる酵素反応を1つの反応容器中で同時に実施することが可能であることを発見した。本発明の好ましい実施態様では、試料は、一般に原核生物リボ核酸、真核生物リボ核酸、ウイルスリボ核酸、古細菌を起源とするリボ核酸、ミクロリボ核酸(miRNA)、小核小体リボ核酸(snoRNA)、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)、転移リボ核酸(tRNA)、非ポリアデニル化リボ核酸、ならびにリボゾームリボ核酸(rRNA)を含む群から選択されるリボ核酸である。さらに、2以上の上記リボ核酸の混合物である。試料中に、勿論、ポリ−A RNAを事前に含めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明に係る1段階方法(B)と先行技術で公知の2段階方法(A)との間の比較を示す。ポリAポリメラーゼ:本発明におけるポリアデニル化活性を有する酵素;逆転写酵素:本発明における逆転写酵素活性を有する酵素;rATP:リボヌクレオチド、ここでは、例としてアデノシン−5’−三リン酸;dNTPs:デオキシリボヌクレオチド;オリゴdTテールプライマー:本発明における種々の可能な実施態様を有するアンカーオリゴヌクレオチド;Uni GAP dTプライマー:アンカーオリゴヌクレオチドの特定の実施態様;テール:アンカーオリゴヌクレオチドの選択的部分としての5’テール;w:ポリアデニル化活性によって付着したホモポリマーテールの本発明に係る長さを定義する(10〜20塩基より大きい);x、y:本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドの3’アンカー配列の本発明に係る種類および長さを定義する;z:本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドのホモポリマー部分の長さを定義する。
【図2】図2は、表6からのCt値のグラフを示す:条件a)それぞれの場合でのテンプレートを含み、条件b)では、テンプレートの代わりに水のみを添加した(PAP反応中の水)。b)では、PCRサイクル40(実施した最大サイクル数)までシグナルは得らなかった。したがって、表示は、「Ctなし」である。
【図3】図3は、実施例1からのリアルタイムPCR産物のアガロース分析を示す。M:100bpラダー(インビトロジェン、カタログ番号15628−050)。泳動緩衝液としてのTAE中で臭化エチジウムで染色した2%アガロース。ローディング図:トレース1:マーカー、次いで、それぞれの場合での、互いの隣りに3倍量がプロットされている:1a、1b、2a、2b、3a、3b、4a、4b。
【図4】図4は、表8に記載したバッチの反応産物のリアルタイムPCR分析によって得られたCt値の表を示す。3および6では、PCRサイクル40(実施した最大サイクル数)までシグナルは得らなかった。したがって、表示は、「Ctなし」である。
【図5】図5は、表8に記載したバッチの反応産物のリアルタイムPCR分析によって得られたCt値のグラフを示す。
【図6】図6は、表18に記載したバッチb)およびe)の反応産物のリアルタイムPCR分析によって得られたCtの平均値の表を示す。標準的RTを使用した2、4、および5では、サイクル38後のみに最も早くシグナルが検出され、または2)ではシグナルが検出されなかった。したがって、表示は、「Ctなし」である。
【図7】図7は、表18からのバッチb)およびd)ならびに表19からのたった1つのプライマーを使用したコントロール(バッチa)〜d))のリアルタイムPCRの結果の表を示す。PCRサイクル40(実施した最大サイクル数)までシグナルは得らなかった。したがって、表示は、「Ctなし」である。
【図8】図8は、実施例3からのリアルタイムPCR産物のアガロースゲル分析を示す。M:100bpラダー(インビトロジェン、カタログ番号15628−050)。泳動緩衝液としてのTAE中で臭化エチジウムで染色した2%アガロース。
【図9】図9は、表30に記載したバッチ1a)、b)、および2a)、b)の反応産物のリアルタイムPCR分析によって得られたCtの平均値の表を示す。下の部分:表30に記載したバッチの反応産物のリアルタイムPCR分析によって得られたCtの平均値のグラフ。
【図10】図10は、表36の1〜5および表37の6〜9に記載したバッチの反応産物のリアルタイムPCR分析によって得られたCtの平均値の表を示す。下の部分:表36の1〜5および表37の6〜9に記載したバッチの反応産物のリアルタイムPCR分析によって得られたCtの平均値のグラフ。
【図11】図11は、使用した核酸配列のリストを示す。
【図12−1】図12は、本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドを示す。
【図12−2】図12は、本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドを示す。
【図13】図13は、本発明に係る1段階「3−イン−1」方法(B)と先行技術で公知の3段階方法(A)との間の比較を示す。ポリAポリメラーゼ:本発明におけるポリアデニル化活性を有する酵素;逆転写酵素:本発明における逆転写酵素活性を有する酵素;rATP:リボヌクレオチド、ここでは、例としてアデノシン−5’−三リン酸;dNTPs:デオキシリボヌクレオチド;オリゴdTテールプライマー:本発明における種々の可能な実施態様を有するアンカーオリゴヌクレオチド;Uni GAP dTプライマー:アンカーオリゴヌクレオチドの特定の実施態様;テール:アンカーオリゴヌクレオチドの選択的部分としての5’テール;w:ポリアデニル化活性によって付着したホモポリマーテールの本発明に係る長さを定義する(10〜20塩基より大きい);x、y:本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドの3’アンカー配列の本発明に係る種類および長さを定義する;z:本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドのホモポリマー部分の長さを定義する。PCRプライマー:cDNA種の特異的検出のための少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、任意選択的に、少なくとも1つのプローブ;PCR酵素:試料中に含まれるcDNA種の特異的検出を可能とする酵素活性。
【図14】図14は、表41に対応する実施例7からの反応バッチおよび表42からの反応バッチに従った「3−イン−1」反応、すなわち、1つの反応容器中で連携したポリ−(A)−ポリメラーゼ反応と、逆転写と、リアルタイムPCR分析との組み合わせのCtの平均値の表を示す。 下の部分:表41に対応する実施例7からの反応バッチおよび表42からの反応バッチに従った「3−イン−1」反応、すなわち、反応容器中で連携したポリ−(A)−ポリメラーゼ反応と、逆転写と、リアルタイムPCR分析との組み合わせのCtの平均値のグラフ。
【図15】図15は、表44に対応する実施例8の反応バッチおよび表46からの反応バッチ後の「3−イン−1」反応、すなわち、1つの反応容器中での連携したポリ−(A)−ポリメラーゼ反応と、逆転写と、リアルタイムPCR分析との組み合わせのCtの平均値の表を示す。 下の部分:「3−イン−1」反応(すなわち、反応容器中で連携したポリ−(A)−ポリメラーゼ反応と、逆転写と、リアルタイムPCR分析との組み合わせ)のCtの平均値のグラフ。
【図16】図16は、100ngのポリ−(A)またはポリ−(C)の存在下または非存在下でmiScriptを使用して逆転写した種々の量(10pg〜1μg)のmiRNAイージー(easy) RNAを示す。したがって、産生されたcDNAを、リアルタイムPCRで使用した。この場合、miR−16およびlet−7aを試験した。
【図17】種々の量のポリ−(A)の存在下または非存在下でmiScriptを使用して逆転写した種々の量(10pg〜1μg)のmiRNAイージー RNAを示す。したがって、産生されたcDNAを、リアルタイムPCRで使用した;この場合、miR−16を試験した。
【図18】図18は、種々の量のポリ−(C)の存在下または非存在下でmiScriptを使用して逆転写した種々の量(10pg〜1μg)のmiRNAイージー RNAを示す。したがって、産生されたcDNAを、リアルタイムPCRで使用した。この場合、miR−16を試験した。
【図19】図19は、miScript RTキットを使用して50ngのポリ−(C)の存在下または非存在下で逆転写した10pgのmiRNイージー RNAの使用を示す。したがって、産生されたcDNAをリアルタイムPCRで使用して、GAPDHを検出した。
【図20】図20は、種々の量のポリ−(C)の存在下または非存在下でmiスクリプト(Script)を使用して逆転写した種々の量(1〜100ng)のmiRNイージー RNAを示す。したがって、産生されたcDNAをリアルタイムPCRで使用して、この場合、GAPDHを試験した。
【図21】図21は、50ngのポリ−(C)の存在下または非存在下でmiScript RTキットを使用して逆転写した10pgおよび100pgのmiRNイージー RNAの使用を示す。したがって、産生されたcDNAをリアルタイムPCRで試験して、GAPDHを検出した。
【図22】図22は、種々の量のポリ−(C)の存在下または非存在下でmiScriptを使用して逆転写した種々の量(1〜100ng)のmiRNイージー RNAを示す。したがって、産生されたcDNAをリアルタイムPCRで使用して、この場合、CDC2を試験した。
【図23】図23は、50ngのポリ−(C)の存在下または非存在下でmiScriptRTキットを使用して逆転写した1ngのmiRNイージー RNAの使用を示す。したがって、産生されたcDNAをリアルタイムPCRで試験して、CDC2を検出した。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の特に好ましい実施態様では、試料は、原核生物リボ核酸、miRNA、snoRNA、およびrRNAを含む群から選択されるリボ核酸である。本発明の最も好ましい実施態様では、試料は、miRNAおよびsnoRNAを含む群から選択されるリボ核酸を含む。他の物質と組み合わせた異なる量の異なる種類のリボ核酸からなる他の混合物試料が好ましい。
【0023】
さらに、本発明者らは、一定条件下で、2つの依然として非常に異なる酵素反応を1つの反応容器中で同時に実施し、生成されたcDNAの特異的検出のための第3の酵素反応、好ましくは、核酸合成活性であるに追加して後者の反応と連携することができることを発見した。本発明の好ましい実施態様では、試料は、一般に原核生物リボ核酸、真核生物リボ核酸、ウイルスリボ核酸、古細菌を起源とするリボ核酸、ミクロリボ核酸(miRNA)、小核小体リボ核酸(snoRNA)、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)、転移リボ核酸(tRNA)、および非ポリアデニル化リボ核酸を含む群から選択されるリボ核酸ならびにリボゾームリボ核酸(rRNA)である。さらに、2以上の上記リボ核酸の混合物である。試料中に、勿論、ポリ−A RNAを事前に含めることもできる。
【0024】
本発明の特に好ましい実施態様では、試料は、原核生物リボ核酸、miRNA、snoRNA、およびrRNAを含む群から選択されるリボ核酸である。本発明の最も好ましい実施態様では、試料は、miRNAおよびsnoRNAを含む群から選択されるリボ核酸を含む。他の物質と組み合わせた異なる量の異なる種類のリボ核酸からなる他の混合物試料が好ましい。
【0025】
本発明の方法のこれらの利点に基づいて、本発明者らは、miRNAを効率的且つ汚染することなく調製および特徴づけることが可能であることを示すことができた。
【0026】
本発明の1つの実施態様では、アンカーオリゴヌクレオチドは、ポリ−(A)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(C)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(T)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(G)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(U)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(A)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(C)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(T)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(G)−オリゴヌクレオチド、および5’−テールをさらに含むポリ−(U)−オリゴヌクレオチドを含む群から選択されるホモポリマーオリゴヌクレオチドである。任意選択的に、上記で既に説明されているように、さらに5’−テールを含むことができるポリ−(T)−オリゴヌクレオチドが好ましい。
【0027】
本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドは、一般に、6ヌクレオチド長および75ヌクレオチド長との間にある。しかし、約150ヌクレオチド長まであり得る。アンカーオリゴヌクレオチドが合成である場合、最大長は、DNA合成の技術的限度から得られる。アンカーオリゴヌクレオチドは、任意選択的に、5’−テールおよび/またはアンカー配列を含む。5’−テールは、オリゴヌクレオチドの5’末端上のさらなるヌクレオチド配列であり、例えば、クローニング配列、プライマーおよび/またはプローブ結合部位、または任意の他の配列を導入するために使用される。当業者は、各適用の要件に基づいて、5’−テールに適切な配列を同定することが可能である。
【0028】
アンカーオリゴヌクレオチドの3’末端上に、典型的に1〜5個のさらなるヌクレオチド長を有するさらなるアンカー配列を含めることができる。アンカー配列は、少なくとも1つの塩基長を有することができ、それにより、好ましい実施態様では、第1の位置は縮重塩基であり、これは、アンカーオリゴヌクレオチドのホモポリマー部分中で使用される塩基以外の全ての塩基を含む。その後に他の塩基を続けることができる。後者も縮重することができる。本明細書中の1つの好ましい実施態様では、Nゆらぎを使用することが有用であり、N=A、C、G、T、または対応するアナログである。
【0029】
通常、アンカーオリゴヌクレオチドはデオキシリボ核酸(DNA)である。しかし、アンカーオリゴヌクレオチドは、ペプチド核酸(PNA)でもあり得る。ロックド核酸(LNA)、ホスホロチオエート(phosphorus thioate)−デオキシリボ核酸、シクロヘキセン−核酸(CeNA)、N3’−P5’−ホスホラメダイト(phosphoramedites)(NP)、およびトリシクロ−デオキシリボ核酸(tcDNA)も可能である。しかし、デオキシリボ核酸(DNA)であるアンカーオリゴヌクレオチドが好ましい。RNAとDNAまたは1つまたは複数の修飾核酸またはアナログ、ならびに選択された条件下でRNAまたはDNAとハイブリダイズすることができる他の修飾物(対応する塩基アナログなど)との混合物が可能である。1つの特に好ましい実施態様では、アンカーオリゴヌクレオチドは、5’−テールをさらに含むポリ−(T)−オリゴヌクレオチドであり、デオキシリボ核酸であり、15〜150ヌクレオチド長であり、混合物として存在する。アンカーオリゴヌクレオチドの3’末端上に、典型的には1〜5個の長さのさらなるヌクレオチドを有するさらなるアンカー配列を含めることができる。アンカー配列は、少なくとも1つの塩基長を有することができ、それにより、好ましい実施態様では、第1の位置は縮重塩基であり、これは、アンカーオリゴヌクレオチドのホモポリマー部分中で使用される塩基以外の全ての塩基を含む。その後に他の塩基を続けることができる。後者も縮重することができる。本明細書中の1つの好ましい実施態様では、Nゆらぎを使用することが有用であり、N=A、C、G、T、または対応するアナログである。
【0030】
一例として、以下の本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドを列挙することができる。
実施例1(配列番号10):5’TGG AAC GAG ACG ACG ACA GAC CAA GCT TCC CGT TCT CAG CC (T)XVVN 3’
実施例2(配列番号11):5’AACGAGACGACGACGACAGAC(T)x VN 3’
実施例3(配列番号12):5’AACGAGACGACGACAGAC(T)x V 3’
実施例4(配列番号13):5’AACGAGACGACGACAGAC(T)x N 3’
実施例5(配列番号14):5’AACGAGACGACGACAGAC(T)x NN 3’
実施例6(配列番号15):5’AACGAGACGACGACAGAC(T)x VNN 3’
実施例7(配列番号16):5’AACGAGACGACGACAGAC(T)x VNNN 3’
実施例8(配列番号17):5’AACGAGACGACGACAGAC(T)x NNN 3’
実施例9(配列番号18):5’TGG AAC GAG ACG ACG ACA GAC CAA GCT TCC CGT TCT CAG CC(T)x VN 3’
実施例10(配列番号19):5’TGG AAC GAG ACG ACG ACA GAC CAA GCT TCC CGT TCT CAG CC(T)X VNN 3’
Xは好ましくは10〜30塩基である。
VおよびNは、縮重塩基の一文字表記であり、V=A、C、G;N=A、C、G、T。
【0031】
当業者は、他の適切な5’−テール配列の同定が可能である。
【0032】
任意選択的な5’−テールは、さらなる1〜100個のヌクレオチドを含み、次の分析のために使用することができる。したがって、好ましい実施態様では、5’−テールは、オリゴヌクレオチドの結合配列、例えば、1つまたは複数のDNAプローブおよび/または1つまたは複数のPCRプライマーなどを含むことができる。5’−テールのために使用される配列を、後者が本発明の方法に適合するように選択することが好ましい。これは、例えば、本発明の方法およびその後の分析方法の両方においていかなる望ましくない二次反応も生じない配列の選択を含む。
【0033】
本発明によれば、アンカーオリゴヌクレオチドを図12に示す。
【0034】
原理上、本発明における酵素反応は、ビヒクル上またはコンテナ中で起こり得る、すなわち、反応容器中で反応が起こり得る。かかる反応容器は、反応チューブ、または例えばマイクロタイタープレートであり得る。反応は、チップ上で起こり得る。チップ上で反応が起こる場合、1つまたは複数の成分を固定することができる。試験ストリップ上または微小流体系(microfluidic system)中で反応が起こり得る。ビヒクルまたはコンテナと比較して最も多様な実施態様が当業者に公知である。
【0035】
好ましい実施態様では、リボヌクレオチドは、アデノシン−5’−三リン酸、チミジン−5’−三リン酸、シトシン−5’−三リン酸、グアニン−5’−三リン酸、および/またはウラシル−5’−三リン酸である。リボヌクレオチドは、塩基アナログでもあり得る。リボヌクレオチドは、修飾または標識され得る。原理上、リボヌクレオチドを、基質としてポリアデニル化活性にある酵素と反応することが不可欠である。
【0036】
本発明におけるデオキシリボヌクレオチドを、デオキシアデノシン−5’−三リン酸(dATP)、デオキシチミン−5’−三リン酸(dTTP)、デオキシシトシン−5’−三リン酸(dCTP)、デオキシグアノシン−5’−三リン酸(dGTP)、デオキシウラシル−5’−三リン酸(dUTP)、ならびに修飾デオキシリボヌクレオチドおよび標識デオキシリボヌクレオチドを含む群から選択することができる。ユニバーサル塩基(universal base)または塩基アナログを含む1つまたは複数のデオキシリボヌクレオチドを追加して、または代わりに使用する適用も考えられる。使用されるデオキシリボヌクレオチドがcDNA合成を可能にすることが本発明の実施に不可欠である。
【0037】
本発明によれば、dATP、dCTP、dTTP、およびdGTPが混合物として共に存在することが好ましい。
【0038】
本発明によれば、デオキシウラシル−5’−三リン酸も混合物中で使用することができる。これを酵素反応と組み合わせることができ、この酵素反応は、実際の反応後に起こり、ウラシル−DNA−グリコシラーゼを使用し、さらに使用される酵素的に産生された反応産物を分解することができない。
【0039】
デオキシリボヌクレオチドを標識する場合、標識を、32P、33P、35S、H;蛍光色素、例えば、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)、6−カルボキシフルオレセイン(FAM)、キサンテン、ローダミン、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G5)、6−カルボキシローダミン−6G(RG6)、ローダミン110など;ウンベリフェロンなどのクマリン;Hoechst 33258などのベンズイミド;テキサスレッド、臭化エチジウム、アクリジン色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素などのフェナントリジン;Cy3、Cy5、Cy7などのシアニン色素、BODIPY色素、およびキノリン色素、およびアレクサ(alexa)色素を含む群から選択することができる。ビオチンまたは1つまたは複数のハプテン、例えば、ジゴキシゲニンなどの封入体などの他の標識により、核酸の直接または間接的検出が可能となる。例えば、抗体などを介する間接的な検出は、その後に、例えば、抗体とカップリングした酵素を介して酵素検出する。また、例えば、抗体またはアフィニティリガンドと組み合わさったナノ粒子の導入を介して、間接的検出が可能となる。
【0040】
デオキシリボヌクレオチドの修飾はまた5’−リン酸を介して実施されえ、より簡潔なクローニングが可能となる。反応基、例えば、アミノリンカー(ビオチンも)などを含めることにより、デオキシリボヌクレオチドは、例えば、固定されえ、または直接もしくは間接的な検出が利用可能になり得る。
【0041】
特に好ましい修飾物は、蛍光色素、ハプテン、5’−リン酸、5’−ビオチン、および5’−アミノリンカーを含む群から選択される。
【0042】
本発明によれば、反応物中のデオキシリボヌクレオチド濃度は、少なくとも0.01mmolであり、最大で10mmolである。この濃度情報は、各デオキシリボヌクレオチドの濃度である。1つの好ましい実施態様では、デオキシリボヌクレオチドは、それぞれ、dATP、dCTP、dGTP、およびdTTPの場合には、0.2mmol〜2mmolの濃度で存在する。この濃度情報は、混合物中の各デオキシリボヌクレオチドの濃度である。本発明の特に好ましい実施態様では、各デオキシリボヌクレオチドであるdATP、dCTP、dGTP、およびdTTPは、それぞれの場合、0.5mmolの濃度で存在する。
【0043】
驚いたことに、本発明者らは、1工程の酵素反応は、本発明の主題であるように、マグネシウムイオン(Mg2+)の存在下にて、狭い緩衝液のpH範囲であるpH6〜10で起きることを決定した。したがって、好ましい実施態様では、pH6〜10である。
【0044】
特に好ましい実施態様では、本発明に係る緩衝液は、pH6.8〜9である。
【0045】
本発明に係る別の実施態様では、本発明に係る緩衝液は、Mn2+、K、NH4+、およびNaを含む群から選択することができるさらなるイオンを含む。
【0046】
本発明に係る緩衝液は、例えば、MgCl、MgSO、酢酸マグネシウム、MnCl、KCl、(NHSO、NHCl、およびNaClを含む。緩衝物質として、トリス、トリシン、ビシン(bicine)、HEPES、ならびに本発明のpH範囲内にある他の緩衝物質または2以上の適切な緩衝物質の混合物が適切である。
【0047】
ポリアデニル化活性を有する多数の酵素が当業者に公知である。本発明によれば、後者は、原核生物起源、真核生物起源、ウイルス起源、および古細菌起源の酵素、ならびに植物起源の酵素を含む群から選択される。
【0048】
本発明におけるポリアデニル化活性は、基質としてリボ核酸の3’末端を使用し、適切な緩衝液中で酵素的リボヌクレオチド、特に好ましくは少なくとも10〜20リボヌクレオチドをこの3’末端に添加することができる酵素活性である。好ましい実施態様では、酵素は、基質としてアデノシン−5’−三リン酸を使用することができる酵素である。本発明によれば、後者は、一本鎖RNAおよび二本鎖RNA、例えば、ヘアピンRNA、例えば、プレ−miRNAなどを使用する場合に本発明におけるポリアデニル化活性を有する酵素および反応条件を含む。分析すべきRNAに基づいて、当業者は、一本鎖RNA(例えば、成熟miRNA)または二本鎖RNA(例えば、プレ−miRNA)またはその両方のいずれかが分析可能となるような酵素および反応条件を選択することができる。
【0049】
一般に、本発明におけるポリアデニル化活性は、転写酵素活性である。
【0050】
好ましい実施態様では、ポリアデニル化活性を有する酵素は、大腸菌由来のポリ(A)−ポリメラーゼ、酵母由来のポリ(A)−ポリメラーゼ、ウシ由来のポリ(A)−ポリメラーゼ、カエル由来のポリ(A)−ポリメラーゼ、ヒトポリ(A)−ポリメラーゼ、および植物ポリ−(A)−ポリメラーゼを含む群から選択される酵素である。他の酵素が当業者に公知であるか、公知のポリ−(A)−ポリメラーゼにおけるホモロジー分析によって新規に同定することができる。特に好ましい実施態様では、ポリアデニル化活性を有する酵素は、大腸菌由来のポリ−(A)−ポリメラーゼである。
【0051】
本発明の逆転写酵素活性を有する酵素は、本発明にしたがって、ウイルス、細菌、古細菌、および真核生物由来の酵素を含む群から選択され、特に熱安定性生物由来の酵素である。これらには、例えば、イントロン、レトロトランスポゾン、またはレトロウイルス由来の酵素も含まれる。逆転写酵素活性を有する酵素は、本発明にしたがって、適切な緩衝液条件下でリボ核酸上にハイブリダイズするデオキシオリゴヌクレオチドまたはリボオリゴヌクレオチドの3’末端上のリボ核酸中にデオキシリボヌクレオチドを相補的方法で組み込むことができる酵素である。これは、一方では、勿論この機能を有する酵素を含むが、その遺伝子配列の変化、例えば、変異誘発などまたは対応する緩衝液条件のみによってかかる機能を得る酵素も含む。
【0052】
逆転写酵素活性を有する酵素であり、(HIV逆転写酵素、M−MLV逆転写酵素、EAIV逆転写酵素、AMV逆転写酵素、高度好熱菌DNAポリメラーゼI、M−MLV RNアーゼ(RNAse) H、スーパースクリプト(Superscript)、スーパースクリプト II、スーパースクリプト III、モンスタースクリプト(MonsterScript)(エピセンター)、オムニスクリプト(Omniscript)、センシスクリプト(Sensiscript)逆転写酵素(キアゲン)、サーモスクリプト(ThermoScript)、およびサーモ−X(Thermo−X)(共にインビトロジェン)を含む群から選択される酵素)が好ましい。本発明によれば、酵素は、遺伝子配列の修飾後のみでに酵素として逆転写酵素を有する酵素として酵素を使用され得るすることもできる。精度が上昇した逆転写酵素も使用することができる。一例として、例えば、アックスクリプト(AccuScript)逆転写酵素(ストラタジェン)を本明細書中に挙げることができる。逆転写酵素活性を有する2つまたはそれを超える2以上の酵素の混合物を使用することさえも可能であることが当業者に明らかである。
【0053】
逆転写酵素活性を有するほとんどの酵素が2価のイオンを必要とすることが当業者に公知である。したがって、好ましい実施態様では、上に既に記載したように、2価のイオンを必要とする酵素中に2価のイオンが存在する。Mg2+およびMn2+が好ましい。
【0054】
酵素の好ましい組み合わせは、HIV逆転写酵素またはM−MLV逆転写酵素またはEAIV逆転写酵素またはAMV逆転写酵素または高度好熱菌DNAポリメラーゼIまたはM−MLV RNアーゼ H、スーパースクリプト、スーパースクリプト II、スーパースクリプト III、またはモンスタースクリプト(エピセンター)、またはオムニスクリプト逆転写酵素(キアゲン)またはセンシスクリプト逆転写酵素(キアゲン)、サーモスクリプト、サーモ−X(共にインビトロジェン)、または逆転写酵素活性を有する2以上の酵素と大腸菌由来のポリ−(A)−ポリメラーゼとの混合物である。さらに、HIV逆転写酵素またはM−MLV逆転写酵素またはEAIV逆転写酵素またはAMV逆転写酵素または高度好熱菌DNAポリメラーゼIまたはM−MLV RNアーゼ H、スーパースクリプト、スーパースクリプト II、スーパースクリプト III、またはモンスタースクリプト(エピセンター)またはオムニスクリプト逆転写酵素(キアゲン)またはセンシスクリプト逆転写酵素(キアゲン)、サーモスクリプト、サーモ−X(共にインビトロジェン)、または逆転写酵素活性を有する2以上の酵素と酵母由来のポリ−(A)−ポリメラーゼとの混合物。
【0055】
逆転写における高温が二次構造の問題が決定的な役割を果たさないとの効果を有することが当業者に公知である。さらに、一定の酵素において、高温は、逆転写の特異性が増大し、偽対および偽対合が抑制されるという影響を及ぼす。したがって、好熱性である逆転写酵素を本発明の1つの実施態様で使用する。45℃と85℃との間に至適な核酸合成活性を有する酵素が好ましく、55℃と80℃との間がより好ましく、60℃と75℃との間が最も好ましい。高度好熱菌(Tth)DNAポリメラーゼIが好ましい。
【0056】
ポリアデニル化活性を有する酵素が非好熱性酵素であり、逆転写酵素活性を有する酵素が好熱性酵素である場合、方法を、本発明にしたがっていくつかの温度工程で実施でき、それにより、第1の温度工程でポリアデニル化活性を有する酵素の至適温度である温度を使用することができ、第2の温度工程では逆転写酵素活性を有する酵素の至適温度である温度を使用することができる。
【0057】
例えば、AMV逆転写酵素を使用する場合、第2の温度工程を42℃で実施する一方で、主にポリアデニル化活性を有する酵素の活性を有する第1の温度工程を37℃の温度で実施する。しかし、一定温度での実施も可能である。
【0058】
当業者は、各酵素活性が影響を受けるように温度を選択することができる。例えば、高度好熱菌由来のDNAポリメラーゼと共に使用される大腸菌由来のポリ−(A)−ポリメラーゼの組み合わせが使用される場合、一連の温度は以下と思われる。第1に、37℃でインキュベートし、次いで、55℃〜70℃でインキュベートする。本発明によれば、したがって、非熱安定性酵素を、熱安定性酵素と組み合わせることができる。この場合、次いで温度工程は、2つの酵素のうちいずれがポリアデニル化活性を有するのかに依存する。本発明によれば、逆転写酵素活性を有する酵素が熱安定性であることが好ましい。反対の場合、これは当業者にもっともらしく、ポリアデニル化工程における高温でのインキュベーションにより、逆転写酵素活性を有する酵素が部分的または完全に失活するかもしれない。したがって、2つの酵素が熱安定性であることも好ましい。
【0059】
さらに、酵素が非常に異なる程度のプロセシング能力を示すことが当業者に公知であり、その結果、当業者は、種々の長さのテンプレートが異なる方法で容易にcDNAに変換されるような方法で、異なるプロセシング能力を有する酵素を組み合わせることができる。対応する量の各酵素、1つまたは複数の適切なインキュベーション温度、およびインキュベーション時間の使用により、当業者は満足のいく結果を達成することが可能である。
【0060】
本発明の方法は、好ましくは、さらなるポリ−(C)−ポリヌクレオチドを含む。本発明の方法は、特に好ましくは、さらなるポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含む。好ましくは、それぞれ20μlについて1ng〜300ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み、好ましくはそれぞれ20μlの反応物について10ng〜150ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み、特に好ましくは各反応物について25ng〜100ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み、最も好ましくはそれぞれ20μlの反応物について50ng〜75ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含む。
【0061】
本発明に係る反応物は、さらなる試薬、例えば、体積排除物質(volume excluder)、一本鎖結合タンパク質、DTT、および/または競合物質である核酸などを含むことができる。
【0062】
体積排除物質を使用する場合、後者は、デキストランおよびポリエチレングリコールを含む群から選択され、欧州特許第1411133A1号では、本発明に係る体積排除物質を言及している。
【0063】
好ましい実施態様では、競合物質−核酸はホモポリマーリボ核酸、最も好ましくはポリアデノリボ核酸である。例は、米国特許第6,300,069号に開示されている。
【0064】
本発明の方法は、好ましくは、さらなるポリ−(C)−ポリヌクレオチドを含む。本発明の方法は、特に好ましくは、さらなるポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含む。好ましくは、それぞれ20μlについて1ng〜300ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み;好ましくはそれぞれ20μlの反応物について10ng〜150ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み;特に好ましくは各反応物について25ng〜100ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み;および、最も好ましくはそれぞれ20μlの反応物について50ng〜75ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含む。
【0065】
競合物質−核酸自体がポリ−(A)−ポリメラーゼ活性の基質として使用されることを防止することが有利であり得ることが当業者に自明である。可能な解決策は、競合物質−核酸の3’OH基の遮断である。対応する解決策、例えば、3’リン酸塩の使用、デオキシヌクレオチドまたは逆塩基(reverse base)の包含などは、当業者に公知である。
【0066】
競合物質−核酸自体が逆転写酵素活性の基質として使用されることを防止できることが有利であることも当業者に自明である。これは、例えば、使用されるプライマーが後者とハイブリダイズすることができないなどで、所与の反応条件下でcDNAに変換することができない競合物質−核酸を選択することによって確保されうる。別の可能な解決策は、競合物質−核酸の3’OH基のブロッキングである。対応する解決策、例えば、3’リン酸塩の使用、デオキシヌクレオチドまたは逆塩基の包含などは、当業者に公知である。
【0067】
さらに、本発明は、ポリアデニル化活性を有する第1の酵素、逆転写酵素活性を有する第2の酵素、任意選択的に緩衝液、任意選択的に少なくとも1つのリボヌクレオチド、任意選択的に少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド、および任意選択的に1つのアンカーオリゴヌクレオチドを含む反応混合物に関する。アンカーオリゴヌクレオチドは、好ましくは、ホモポリマー部分、アンカー配列、および/またはテールを含む。反応混合物は、さらに好ましくは、ランダムプライマーを含む。ランダムプライマーのさらなる使用は、長い転写物の5’末端でさえも効率的に変換されるという利点を有し、定量的分析で重要である。反応混合物は、本発明の方法で使用される作用物質と同一の作用物質を含むことができる。
【0068】
本発明の1つの実施態様では、アンカーオリゴヌクレオチドは、ポリ−(A)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(C)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(T)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(G)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(U)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(A)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(C)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(T)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(G)−オリゴヌクレオチド、および5’−テールをさらに含むポリ−(U)−オリゴヌクレオチドを含む群から選択されるホモポリマーオリゴヌクレオチドである。上記で既に説明されているように、ポリ−(T)−オリゴヌクレオチド、さらに任意選択的に5’−テールを含むことができるポリ−(T)−オリゴヌクレオチドが好ましい。
【0069】
本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドは、一般に、6ヌクレオチド長および75ヌクレオチド長の間にある。しかし、約150ヌクレオチド長まであり得る。アンカーオリゴヌクレオチドが合成である場合、最大長は、DNA合成の技術的限度から得られる。アンカーオリゴヌクレオチドは、任意選択的に、5’−テールおよび/またはアンカー配列を含む。5’−テールは、オリゴヌクレオチドの5’末端上のさらなるヌクレオチド配列であり、例えば、クローニング配列、プライマーおよび/またはプローブ結合部位、または任意の他の配列を導入するために使用される。当業者は、各適用の要件に基づいて、5’−テールに適切な配列を同定することが可能である。
【0070】
アンカーオリゴヌクレオチドの3’末端に、典型的には1〜5個の長さのさらなるヌクレオチドを有するさらなるアンカー配列を含めることができる。アンカー配列は、少なくとも1つの塩基長を有することができ、それにより、好ましい実施態様では、第1の位置は縮重塩基であり、これは、アンカーオリゴヌクレオチドのホモポリマー部分中で使用される塩基以外の全ての塩基を含む。その後に他の塩基が続き得る。後者も縮重することができる。本明細書中の1つの好ましい実施態様では、Nゆらぎを使用することが有用であり、N=A、C、G、T、または対応するアナログである。
【0071】
任意選択的な5’−テールは1〜100個のヌクレオチドをさらに含み、その後の分析のために使用することができる。したがって、好ましい実施態様では、5’−テールは、オリゴヌクレオチドの結合配列、例えば、1つまたは複数のDNAプローブおよび/または1つまたは複数のPCRプライマーなどを含むことができる。5’−テールのために使用される配列を、後者が本発明の方法に適合するように選択することが好ましい。これは、例えば、本発明の方法およびその後の分析方法の両方においていかなる望ましくない二次反応を生じない配列の選択を含む。
【0072】
本発明の反応混合物は本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドを含み、アンカーオリゴヌクレオチドは、10ヌクレオチドおよび150ヌクレオチドの間の長さを有し、任意選択的に3’末端に1〜5ヌクレオチド長の本発明に係るアンカー配列を保有する。本発明の反応混合物は、上記のように、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、ペプチド核酸(PNA)、またはロックド核酸(LNA)であるアンカーオリゴヌクレオチドを含む。好ましい実施態様では、本発明の反応混合物は、ポリ−(T)−オリゴヌクレオチドである本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドを含み、さらに、5’−テールを保有し、それにより、オリゴヌクレオチドは10〜75ヌクレオチド長であるデオキシリボ核酸であり、混合物として存在し、それにより、アンカー配列は3’末端上に存在し、それぞれの場合、A、G、およびCを含む群から選択される1つのヌクレオチドからなり、任意選択的にその後に4つ全ての塩基A、C、G、およびTまたは対応するアナログを含む1〜5個のさらなるヌクレオチドが続く。
【0073】
本発明の反応混合物のアンカーオリゴヌクレオチドを図12に示す。
【0074】
本発明の反応混合物は、本発明の方法のために上に記載された少なくとも1つのリボヌクレオチドも含む。特に、本発明の反応混合物は、ATP、TTP、CTP、GTP、UTP、または対応する塩基アナログから選択される少なくとも1つのリボヌクレオチドを含む。リボヌクレオチドを、任意選択的に、上記のように修飾または標識することができる。本発明の反応混合物は、本発明の方法に対して記載されたようにデオキシリボヌクレオチドを含む。特に、本発明の反応混合物は、1つまたは複数のデオキシリボヌクレオチド、例えば、dATP、dCTP、dGTP、dUTP、および/またはdTTPなどを含む。好ましい実施態様では、cDNA合成が可能なデオキシリボヌクレオチドの混合物を使用する。これらのデオキシリボヌクレオチドを、任意選択的に修飾または標識することができる。
【0075】
本発明の反応混合物のデオキシリボヌクレオチドを標識する場合、標識を、32P、33P、35S、H、蛍光色素、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、6−カルボキシフルオレセイン(FAM)、キサンテン、ローダミン、6−カルボキシ−2’,4’、7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G5)、6−カルボキシローダミン−6G(RG6)、ローダミン110など;Cy3、Cy5、Cy7、ウンベリフェロンなどのクマリン、Hoechst 33258などのベンズイミド;テキサスレッド、臭化エチジウム、アクリジン色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素などのフェナントリジン、Cy3、Cy5などのシアニン色素、BODIPY色素、キノリン色素、およびアレクサ(Alexa)色素を含む群から選択することができる。ビオチンまたは1つまたは複数のハプテン、例えば、ジゴキシゲニンなどの封入体などの他の標識により、核酸の直接または間接的検出が可能となる。例えば、抗体などを介して間接的に検出し、その後に、例えば、抗体とカップリングした酵素を介して酵素的に検出する。また、例えば、抗体またはアフィニティリガンドとカップリングしたナノ粒子の導入を介して、間接的検出が可能となる。
【0076】
本発明の反応混合物は、それぞれの場合、0.01mmol〜10mmolの濃度のデオキシリボヌクレオチドを含む。各デオキシリボヌクレオチドA、C、G、およびTは、好ましくは、それぞれの場合、0.2mmol〜2mmolの濃度で存在する。デオキシリボヌクレオチドA、C、G、およびTが共存することが特に好ましい。それぞれ、この好ましい実施態様では、0.5mmolの濃度で存在する。
【0077】
さらに、本発明の反応混合物は、緩衝液を含む。この緩衝液は、pH6〜10である。さらに、本発明の反応混合物中にMg2+イオンが見出される。特に好ましい実施態様では、本発明の反応混合物は、pH6.8〜9の緩衝液を有する。反応混合物は、さらなるイオンをさらに含めることができ、Mn2+、K、NH4+、およびNaを含む群から選択することができる。2つの異なる酵素活性の存在は、本発明の反応混合物に不可欠である。本発明の反応混合物は、ポリアデニル化活性を有する少なくとも1つの第1の酵素活性および二次的に逆転写酵素活性を有する第2の酵素活性を含む。これらの活性の好ましい実施態様は、方法について既に上に記載している。さらに、上記方法のように、反応混合物は、さらなる物質、例えば、体積排除物質、一本鎖結合タンパク質、DTT、または1つまたは複数の競合物質−核酸などを含むことができる。
【0078】
体積排除物質を使用する場合、後者は、デキストランおよびポリエチレングリコールを含む群から選択される。本発明に係る他の体積排除物質は、欧州特許第EP1411133A1号に見出される。
【0079】
反応混合物が任意選択的に競合物質−核酸を含む場合、後者は、ホモポリマーリボ核酸およびポリアデノリボ核酸を含む群から選択される。本発明に係る他の競合物質−核酸は、米国特許第6,300,069号に開示されている。
【0080】
本発明の反応混合物は、好ましくは、さらなるポリ−(C)−ポリヌクレオチドを含む。本発明の反応混合物は、特に好ましくは、さらなるポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含む。好ましくは、それぞれ20μlについて1ng〜300ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み、好ましくはそれぞれ20μlの反応物について10ng〜150ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み、特に好ましくは各反応物について25ng〜100ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み、最も好ましくはそれぞれ20μlの反応物について50ng〜75ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含む。
【0081】
さらに、本発明は、上記のように、反応混合物を含むキットに関する。反応混合物は、好ましい実施態様では、1つの反応容器中に存在する。別の実施態様では、キットは、本発明におけるポリアデニル化活性を有する酵素、逆転写酵素活性を有する酵素、任意選択的にデオキシリボヌクレオチド、任意選択的に少なくとも1つのリボヌクレオチド、任意選択的にMg2+を含む緩衝液、および任意選択的に1つまたは複数のオリゴデオキシリボヌクレオチを含む反応容器を含む。任意選択的に、本発明のキット中の反応容器は、さらなる成分を含むことができ、これらの成分は、本発明の反応混合物について示されているとおりである。さらに、キットは、本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチドの5’−テールに対するプローブを含むことができる。さらに、キットは、1つまたは複数のさらなるデオキシリボヌクレオチド、したがって、例えば、逆転写によって導入されるテール配列を検出するための一般的なプライマーを含むことができる。反応混合物は、「ペレット形態」、したがって、例えば、凍結乾燥形態で存在することができる。例えば、液体形態を含まないさらなる調製方法は、当業者に公知である。
【0082】
さらに、キットを、任意選択的に、PCR反応またはリアルタイムPCR反応に必要な試薬と組み合わせることができる。これらの試薬は、少なくとも1種のPCR反応に好ましく、本発明の方法で生成された少なくとも1つのcDNAを検出することを可能にする。
【0083】
さらに、キットは、任意選択的なランダムプライマーおよび単一または多重PCR反応および/またはリアルタイム単一または多重PCR反応においてさらなる標的遺伝子を検出するための任意選択的な1つまたは複数のプライマーまたはプライマー/プローブを含むことができる。
【0084】
本発明の方法、反応混合物、またはキットは、さらなる標的特異的プライマーを含むことができる。標的特異的プライマーの長さを、PCR反応において特異的検出が可能なように選択すべきであり、標的プライマー配列は、生成されたcDNA配列中のたった1つのスポットへの結合が可能なように特異的であるべきである。通常、かかるプライマーは、15〜30ヌクレオチド長、好ましくは17〜25ヌクレオチド長である。
【0085】
特に好ましい実施態様では、反応混合物は、二酵素プレミックスとしてポリアデニル化活性を有する酵素および逆転写酵素活性を有する酵素を含む。この特に好ましい実施態様では、キットは、反応容器中および個別の容器中に、二酵素プレミックス−反応混合物、緩衝液、Mg2+、rNTP(s)、dNTP(s)、任意選択的に1つの本発明に係るアンカーオリゴヌクレオチド、および任意選択的にランダムプライマー、ならびに、さらに、任意選択的に体積排除試薬および/または競合物質−核酸を含む。
【0086】
本発明の方法は、上記で既に説明されているように、1または複数の温度工程中で起こり得る。好ましい実施態様では、本発明の方法は、インキュベーションのための単一の温度工程および酵素失活のための他の温度工程で起こる。したがって、酵素活性が起こるインキュベーション工程の好ましい実施態様では、温度は約37℃である。インキュベーション時間は、約1〜120分、好ましくは5〜90分、より好ましくは10〜75分、さらにより好ましくは15〜60分、さらにより好ましくは20〜60分、最も好ましくは50〜70分である。通常、過度のインキュベーション時間は有害ではない。酵素変性を使用する別の工程では、少なくとも65℃の温度を使用するが、最大で100℃である。好ましくは、約80〜95℃の温度を使用する。変性は、少なくとも1分間の期間実施するが、最大で30分間実施する。好ましい実施態様では、5分間変性させる。
【0087】
本発明のcDNAを生成するための方法は、その後にポリメラーゼ連鎖反応を含むことができる。この場合、cDNA合成中に導入されるテールに特異的なプライマーおよび/または特異的プライマーを、本発明の反応混合物へ添加することが好ましい。次いで、反応混合物はまた、熱安定性DNAポリメラーゼをさらに含む。
【0088】
その後に起こるPCR反応はまた、定量的PCR反応であり得る。PCR反応は、アレイで起こり得るか、微小流体系で起こり得るか、キャピラリーで起こり得るか、またはその他にリアルタイムPCRであり得る。PCRの他の変形が当業者に公知であり、本発明の方法に同様に含まれる。
【0089】
本発明はまた、DNA中のRNAの逆転写方法であって、以下:RNAを含む試料を準備する工程、逆転写酵素活性を有する第1の酵素、緩衝液、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド、オリゴヌクレオチドを添加する工程、酵素が活性を示すように選択され、それにより、反応物がさらなるポリ−(C)−ポリヌクレオチドを含む1または複数の温度工程で作用物質をインキュベートする工程を含む方法に関する。
【0090】
好ましくは、逆転写酵素活性を有する酵素は、HIV逆転写酵素、M−MLV逆転写酵素、EAIV逆転写酵素、AMV逆転写酵素、高度好熱菌DNAポリメラーゼI、M−MLV RNアーゼ H−スーパースクリプト、スーパースクリプト II、スーパースクリプト III、モンスタースクリプト(エピセンター)、オムニスクリプト逆転写酵素(キアゲン)、センシスクリプト逆転写酵素(キアゲン)、サーモスクリプト、サーモ−X(共にインビトロジェン)、または逆転写酵素活性を有する2以上の酵素と大腸菌由来のポリ−(A)−ポリメラーゼとの混合物である。HIV逆転写酵素が特に好ましい。
【0091】
反応物は、好ましくは、ポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含む。それぞれ20μlについて1ng〜300ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み、好ましくはそれぞれ20μlの反応物について10ng〜150ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み、特に好ましくは各反応物について25ng〜100ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含み、最も好ましくはそれぞれ20μlの反応物について50ng〜75ngのポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含む。
【0092】
本発明の好ましい実施態様では、試料は、一般に原核生物リボ核酸、真核生物リボ核酸、ウイルスリボ核酸、古細菌を起源とするリボ核酸、ミクロリボ核酸(miRNA)、小核小体リボ核酸(snoRNA)、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)、転移リボ核酸(tRNA)、非ポリアデニル化リボ核酸、およびリボゾームリボ核酸(rRNA)を含む群から選択されるリボ核酸、さらに、2以上の上記リボ核酸の混合物である。試料中に、勿論、ポリ−A RNAを事前に含めることもできる。
【0093】
テンプレートとして、真核生物リボ核酸、mRNA、原核生物リボ核酸、miRNA、snoRNA、およびrRNAを含む群から選択されるRNAを使用することができる。本発明の最も好ましい実施態様では、試料は、miRNAおよびsnoRNAを含む群から選択されるリボ核酸を含む。他の物質と組み合わせた異なる量の異なる種のリボ核酸由来のさらなる混合試料が好ましい。
【0094】
本発明の方法のこれらの利点に基づいて、本発明者らは、miRNAを効率的且つ汚染することなく調製および同定することが可能であることを示すことができた。少量のRNAを、一般に、該方法を用いて容易に逆転写することができる。
【0095】
本発明はまた、逆転写酵素活性を有する酵素およびポリ−(C)−ポリヌクレオチド、好ましくはポリ−(C)−ポリリボヌクレオチドを含む逆転写用キットに関する。
【0096】
1つの実施態様では、試料を逆転写する前にRNAを最初にポリアデニル化する。
【実施例1】
【0097】
同一反応容器中でのポリ−A反応および逆転写の連携した1段階方法の実行可能性の実証、22量体RNAオリゴヌクレオチドの検出効率に及ぼす種々の緩衝液の影響
本実験では、同一反応容器中でのポリ−A反応および逆転写の連携した1段階方法の実行可能性が実証されるべきである。この目的のために、連携した1段階方法を種々の条件下で実施した。これは、一方では、ポリ−(A)−ポリメラーゼを供給した緩衝液であり、他方では、逆転写酵素を供給した緩衝液であった。さらに、ポリ−(A)−ポリメラーゼ緩衝液と逆転写酵素緩衝液との混合物を試験した。コントロールとして、図1Aと類似の方法で、2段階方法において反応を実施した。
【0098】
表1に示すように、反応物を合わせた。
【0099】
【表1】

PAP: ポリAポリメラーゼ
RT: 逆転写
rATP: アデノシン 5’−三リン酸
【0100】
この目的のために、表2に示した試薬を使用した。
【0101】
【表2】

【0102】
それぞれの場合、テンプレートを使用し(1a、2a、3a、4a、全てトウモロコシRNAのバックグラウンドにおいて合成RNAオリゴヌクレオチドを使用)、またはテンプレートを使用しないで(1b、2b、3b、4b、全てテンプレートの代わりに水に添加した)反応を実施した。テンプレートを使用しない反応を、起こり得る非特異性バックグラウンドの発生についてのコントロールとして実施した。検出すべき22量体RNAオリゴヌクレオチド配列がトウモロコシ中に存在しないので、トウモロコシRNAをバックグラウンドRNAとして選択した。
【0103】
酵素の失活後(表5を参照のこと:93℃で5分間)、2μlの各バッチ、1a/b〜4a/bを、リアルタイムPCRのテンプレートとして使用した。表3に示すように、QuantiTect SYBR Green PCRキット(カタログ番号204143)および表4に示すプライマーを使用して、3倍のバッチでリアルタイムPCRの準備を実施した。
【0104】
【表3】

【0105】
【表4】

【0106】
ユニバーサルテール−プライマーであるHum Uniプライマー中に含まれる配列5’−AAC GAG ACG ACG ACA GAC−3’は、米国特許出願公開第2003/0186288A1号に記載されていた。
【0107】
PCRプロトコールは、QuantiTect SYBR Green PCR Master Mix中に含まれるHotStarTaqポリメラーゼの95℃で15分間の最初の再活性化およびその後の94℃で15秒間、52℃で30秒間、および72℃で30秒間の40サイクルからなる(表5を参照のこと)。
【0108】
【表5】

【0109】
蛍光データの収集を、72℃の伸長工程の間に実施した。反応体積20μlにてABI PRISM 7700(Applied Biosystems)を使用して、PCR分析を実施した。
【0110】
次いで、PCR産物を融解曲線分析に供した。後者を、ABI PRISM 7000リアルタイムPCR装置にて実施した。
【0111】
【表6】

【0112】
次いで、PCR産物の同一性を、アガロースゲル電気泳動を使用して試験した。この目的のために、10μlの各PCR反応物を、臭化エチジウムで染色した2%アガロースゲル上にロードし、分離した。100bpラダー(インビトロジェン,カタログ番号15628−050)を、サイズ標準として使用した。結果を、図3に示す。
【実施例2】
【0113】
同一反応容器中でのポリ−(A)−ポリメラーゼ反応および逆転写の連携した1段階方法の再現性および特異性の実証
【0114】
本実験では、ポリ−(A)−ポリメラーゼ反応および逆転写の連携した1段階方法の実行可能性が、同一容器中で再現されるべきである。この目的のために、同一反応容器中でのポリ−(A)−ポリメラーゼ反応および逆転写の1段階方法の効率が、22量体RNAオリゴヌクレオチドの検出例で分析された。標準的条件にしたがって使用されるテンプレートのための逆転写反応を、検出特異性のコントロールとして使用した。
【0115】
この目的のために、種々の条件下で連携した1段階方法を実施した。後者は、一方では、ポリ−(A)−ポリメラーゼを供給した緩衝液であり、他方では、逆転写酵素を供給した緩衝液であった(表7、8)。
【0116】
【表7】

【0117】
【表8】

【0118】
さらに、その後のPCRで検出特異性を試験する目的で、標準的な逆転写反応を実施した(上記の表7、8を参照のこと)。ポリ−(A)−ポリメラーゼ反応および逆転写後、試料を分けた。それぞれの場合、Uni Gap dTプライマーおよび逆転写酵素を、試料の半分に再度添加した(上記表7を参照のこと)。ここでの目的は、Uni Gap dTプライマーへのA−テールの望ましくない接着によって偽陽性シグナルが小程度に産生される可能性を排除することであった。テンプレートとして、RNeasy Midiキット(キアゲン,Hilden,Germany,カタログ番号75144)を使用してヒト血液から単離した総RNAを添加した。
【0119】
各反応で使用した成分およびその名称を、表7にまとめており、上記を参照のせよ。検出された22量体RNAは、その配列が、ヒトleu7a miRNA(EMBL Acc番号:AJ421724)に対応し、白血球などのヒト血球中で発現することができる。しかし、RNA単離のために使用されるRNeasy方法の精製テクノロジーにより、かかる小RNAは非常に非効率的にしか精製されない。RNeasy方法は、RNeasyカラム(キアゲン RNeasy Midi/Maxi Handbook,06/2001,p.9)のシリカ膜上の200塩基超のサイズのRNAの有効な結合のみを確保し、したがって、miRNAなどの小RNAの多くが除去される。
【0120】
さらに、合成22量体RNAを、予想される内因性コピー数よりも明らかに高い濃度で使用した。反応物を、表8に示すように合わせた(上記を参照のこと)。
【0121】
この目的(end)のために、表9に示した試薬を使用した。
【0122】
【表9】

【0123】
酵素の失活後(93℃で5分間)、バッチを水で1:2に希釈し、2μlの各バッチ、1a/b〜8a/bを、リアルタイムSYBR Green PCRのテンプレートとして使用した。表9(上記)に示すように、QuantiTect SYBR Green PCRキット(カタログ番号204143)および表10に示すプライマーを使用して、2倍のバッチでリアルタイムPCRの準備を実施した。
【0124】
【表10】

【0125】
ユニバーサルテール−プライマーであるHum Uniプライマー中に含まれる配列5’−AAC GAG ACG ACG ACA GAC−3’は、米国特許出願公開第2003/0186288A1号に記載されていた。PCRプロトコールは、QuantiTect SYBR Green PCR Master Mix中に含まれるHotStarTaqポリメラーゼの95℃で15分間の最初の再活性化およびその後の94℃で15秒間、52℃で30秒間、および72℃で30秒間の40サイクルからなる(表11を参照のこと)。
【0126】
【表11】

【0127】
蛍光データの収集を、72℃の伸長工程の間に実施した。反応体積20μlにてApplied Biosystems 7500 Fast Real−Time PCR System(Applied Biosystems)を使用して、PCR分析を行い、次いで、融解曲線分析を実施した。
【0128】
連携した1段階のポリ−(A)−反応および逆転写は、ポリ−(A)−ポリメラーゼ緩衝液およびRT緩衝液の両方で可能であり、これは、リアルタイムPCR分析に基づいて明らかである。好ましい緩衝液条件は、本テキスト中にすでに示している(上記を参照のこと)。これらは、異なる緩衝液を使用した場合に得られるCt値が非常に異なることを示す。
【0129】
特異性のモニタリングのために実施した標準的な逆転写反応(反応3、6)は、全てポリ−(A)−反応なしで陰性(Ctなし)である。これにより、22量体RNA(1、4、7)または予想される通りに天然に存在するmiRNA(2、5、8)のポリアデニル化を使用せずに、PCR増幅のためのテンプレートが存在せず、したがって、シグナルを生成することができない(「Ctなし」)と結論づけることが可能である。
【0130】
「RT二重」バッチでは、おそらく第1の反応におけるRT反応によって検出可能なポリ−(A)テール化UniGap dTプライマーを作製する目的で、さらなるRT酵素およびUni Gap dTプライマーを最初のインキュベーション後に添加した。これらの全バッチは、Ctを示さなかった、すなわち、望ましくない人工物は検出できない。
【0131】
cDNA合成のために使用したプライマーのポリ−(A)−テーリングなどの望ましくない人工物も検出できない。
【実施例3】
【0132】
本発明の方法を使用した種々のmiRNAの検出
本実験では、一般的な逆転写のポリ−(A)−反応を使用した本発明の方法を使用して合成したcDNAテンプレート由来のmiRNA特異的PCRプライマーによっていくつかの標的を検出することができることが実証されるべきである。この目的のために、テンプレートとして293 RNAを使用して方法を実施した。標準的な条件にしたがって使用されるテンプレートのための逆転写反応を、検出の特異性のためのコントロールとして使用した。
【0133】
その後のSYBR Green PCRでは、概して、それぞれの場合、特異的プライマーのテールと共にmiRNAに対する4つの異なる特異的プライマーの1つを使用した。さらに、ヒトβ−アクチン転写物の3’末端に位置するプライマーを、テール特異的プライマーと共に使用して、ポリ−A反応および逆転写の効率を試験した。
【0134】
ポリ−A反応および逆転写(PAP+RT反応)について、表16に示すように、表13からの試薬を共にピペッティングした。
【0135】
【表12】

【0136】
【表13】

【0137】
反応a)では293RNAをネガティブコントロール(negコントロール)として添加し、反応b)では水をネガティブコントロールとして添加した。検出特異性のためのコントロールとして、表14に示した試薬を使用した標準的な逆転写反応を、表17中のダイアグラムに基づいて準備した。
【0138】
【表14】

【0139】
【表15】

【0140】
反応c)では、293RNAをネガティブコントロール(negコントロール)として添加し、反応d)では水をネガティブコントロールとして添加した。次いで、試料を、37℃で1時間インキュベートした。反応を停止させるために、反応物を93℃で5分間インキュベートした;この温度工程によって酵素が失活する。
【0141】
酵素の失活後、バッチを水で1:2に希釈し、2μlの各バッチa)〜d)を、リアルタイムSYBR Green PCRにおけるテンプレートとして使用した。PCRのための材料を、表15に示す。
【0142】
【表16】

【0143】
10種の異なる反応バッチをピペッティングした。反応1〜5(表18)では、それぞれの場合、miRNA特異的またはβ−アクチン3’プライマーおよびテールプライマー(Hum Uni)を使用した。
【0144】
【表17】

【0145】
反応6〜10(表19)では、それぞれの場合、たった1つのプライマー、miRNA特異的プライマーまたはテール特異的プライマーのいずれかを使用した。
【0146】
反応6〜10(表19)では、それぞれの場合、たった1つのプライマー、miRNA特異的プライマーまたはテール特異的プライマーのいずれかを使用した。
【0147】
【表18】

【0148】
プライマーを反応で使用した配列は、表20から認められ得る。リアルタイムPCRの準備を2倍バッチで実施した。
【0149】
【表19】

【0150】
ユニバーサルテール−プライマーであるHum Uniプライマーに含まれる配列AAC GAG ACG ACG ACA GACは、米国特許出願公開第2003/0186288A1号に記載されていた。
【0151】
PCRプロトコールは、QuantiTect SYBR Green PCR Master Mix中に含まれるHotStarTaqポリメラーゼの95℃で15分間の最初の再活性化およびその後の94℃で15秒間、52℃で30秒間、および72℃で30秒間の40サイクルからなる(表21を参照のこと)。蛍光データの収集を、72℃の伸長工程の間に実施した。反応体積20μlにてApplied Biosystems 7000 Fast Real−Time PCR System(Applied Biosystems)を使用して、PCR分析を行い、次いで、融解曲線分析を実施した。
【0152】
【表20】

【0153】
標準的条件下で実施した逆転写および一例として選択されるβ−アクチン系のための本発明の方法の効率が類似していることが示され、リアルタイムPCRのCt値に類似することが明らかである(図6)。
【0154】
標準的条件下で産生されたcDNAを使用する場合、リアルタイムPCRによって38を超える非常に高いCt値が得られ、これは、SybrGreenを使用して実施したリアルタイムPCRにおける非常に良好な検出特異性を意味する(図6)。PCR産物のアガロースゲル分析では、予想される値のPCR産物が検出されるか(図8)、または標準的条件下で産生されたcDNAを使用した場合に産物が検出されなかった。
【0155】
miR24産物は、獲得(acquisition)を示す。ここで、標準的条件下で産生したcDNAを使用する場合、誤ったサイズのPCR産物が産生される(図8、図6も参照のこと)。cDNAを使用してすぐにはこの産物を検出することはできず、本発明の方法を使用して産生された(図8)。
【0156】
本発明の逆転写または方法でRNAテンプレートの代わりに水を使用した全てのコントロール反応は、シグナルを示さない、すなわち、問題のあるリアルタイムPCRでのCt値が得られなかった(図7の上の部分)。たった1つのプライマーを使用した反応にも同じことが適用される(図7の上の部分)。また、PCRにおいてcDNAの代わりに水を使用したネガティブコントロールについてはCt値は得られなかった(図7)。
【実施例4】
【0157】
ポリ−A反応および逆転写の連携した1段階方法を使用したmiRNAの検出およびテール特異的プローブを使用してリアルタイムPCRで生成したcDNAのその後の検出
本実験では、テール−プライマー(Uni Gap dT)上に特異的結合部位を有するTaqmanプローブを使用したリアルタイムPCRを実施した。プローブを介した検出は、SYBR GreenリアルタイムPCRを介した検出の考えられる代替方法である。プローブの使用により、多重PCR、すなわち共増幅のさらなる可能性、または1つもしくは複数の例えばハウスキーピング遺伝子などであり得る内部コントロールなどのさらなる標的核酸を提供する。
【0158】
ポリ−A反応および逆転写(PAP+RT反応)のために、表24に示すように、表22からの試薬を共にピペッティングした。
【0159】
【表21】

【0160】
【表22】

【0161】
次いで、反応バッチを37℃でインキュベートし、その後に酵素を93℃で5分間失活させた。
【0162】
酵素の失活後、2μl非希釈バッチを、リアルタイムPCRのテンプレートとして使用し、検出用のTaqmanプローブを含めた。PCRのための材料を表23に示し、表25に示すように共にピペッティングした。
【0163】
【表23】

【0164】
【表24】

【0165】
リアルタイムPCRのバッチを、2倍バッチで実施した。
【0166】
ユニバーサルテール−プライマーであるHum Uniプライマー中に存在する配列AAC GAG ACG ACG ACA GACは、米国特許出願公開第2003/0186288A1号に記載されていた。ヒトGAPDH遺伝子座中のTaqmanプローブ配列を除去した;それは、米国特許出願公開第2003/0186288A1号に含まれていない。
【0167】
PCRプロトコールは、QuantiTectプローブPCR Master Mix中に含まれるHotStarTaqポリメラーゼの95℃で15分間の最初の再活性化およびその後の94℃で15秒間および52℃で30秒間の45サイクルからなる(表26を参照のこと)。
【0168】
【表25】

【0169】
蛍光データの収集を、52℃の伸長工程中に実施した。反応体積20μlにて7700配列検出システム(Applied Biosystems)を使用してPCR分析を実施した。PCRの結果を、表27に示す。
【0170】
【表26】

【0171】
テール特異的プローブを使用した検出が可能であり、予想される結果が得られる。
【実施例5】
【0172】
ポリ−A反応および逆転写の連携した1段階方法におけるポリ−A−ポリメラーゼの濃度およびインキュベーション時間の影響
本試験では、2つの濃度のポリ−A−ポリメラーゼ(2Uまたは0.5U)を、本発明の方法においてそれぞれ15分間または1時間で使用した。全条件を、それぞれの場合、RT緩衝液(キアゲン)およびポリ−A−ポリメラーゼ緩衝液で試験した。
【0173】
ポリ−A反応および逆転写(PAP+RT反応)について、表30に示すように、表28の試薬を共にピペッティングした;反応a)2Uのポリ−A−ポリメラーゼ、反応b)0.5Uのポリ−A−ポリメラーゼ)。
【0174】
【表27】

【0175】
【表28】

【0176】
次いで、試料を、37℃でインキュベートした(1.1時間/2.15分間)。次いで、反応物を93℃で5分間加熱し、それにより、酵素が失活した。
【0177】
次いで、それぞれの場合、2μlを、各反応物についてSYBR Green PCRに希釈しないで含めた。反応物を、それぞれ2回試験した。この目的のために、表29の試薬を、表31に示すように共にピペッティングし、次いで、表32に示すようにPCRを実施した。
【0178】
【表29】

【0179】
【表30】

【0180】
【表31】

【0181】
PCRプロトコールは、QuantiTect SYBR Green PCR Master Mix中に含まれるHotStarTaqポリメラーゼの95℃で15分間の最初の再活性化、その後の94℃で15秒間、52℃で30秒間、および72℃で30秒間の40サイクルからなる(上記の表32を参照のこと)。蛍光データの収集を、72℃の伸長工程の間に実施した。反応体積20μlにてApplied Biosystems 7000 Real−Time PCR System(Applied Biosystems)を使用して、PCR分析を行い、次いで、融解曲線分析実施した。
【0182】
ポリ−A反応および逆転写の1段階方法の効率がポリ−A−ポリメラーゼの濃度およびインキュベーション時間の両方に依存することが認められうる(図9を参照のこと)。
【実施例6】
【0183】
種々の逆転写酵素を使用した本発明の方法の実施
緩衝液RT(キアゲン)中(反応1〜5)、さらに、比較の目的で、それぞれの場合、逆転写酵素を供給した緩衝液中(反応6〜9)にて全部で5種の異なる逆転写酵素(表35を参照のこと)を本発明の方法に適用した。
【0184】
【表32】

【0185】
ポリ−A反応および逆転写(PAP+RT反応)の1段階方法のために、表33の試薬を、反応1〜5(反応緩衝液:緩衝液RT(キアゲン)については表36に示すように共にピペッティングし、反応6〜9(供給すべき緩衝液のそれぞれの場合におけるさらなる逆転写酵素)については表37に示すように共にピペッティングした。
【0186】
【表33】

【0187】
【表34】

【0188】
【表35】

【0189】
次いで、試料を、37℃で1時間インキュベートした。次いで、反応物を93℃で5分間加熱し、それにより、酵素が失活した。
【0190】
次いで、それぞれの場合、2μlを、各反応物についてSYBR Green PCRに含めた。反応物を、それぞれ2回試験した。この目的のために、表34の試薬を、表38に示すように共にピペッティングし、表39に示すようにPCRを実施した。
【0191】
【表36】

【0192】
【表37】

【0193】
【表38】

【0194】
PCRプロトコールは、QuantiTect SYBR Green PCR Master Mix中に含まれるHotStarTaqポリメラーゼの95℃で15分間の最初の再活性化、その後の94℃で15秒間、52℃で30秒間、および72℃で30秒間の40サイクルからなる(表39を参照のこと)。蛍光データの収集を、72℃の伸長工程の間に実施した。反応体積20μlにてApplied Biosystems 7000 Real−Time PCR System(Applied Biosystems)を使用して、PCR分析を実施し、次いで、融解曲線分析を実施した。
【0195】
逆転写酵素の使用量を、標準的な逆転写反応のために至適化し、認められるCt値の相違を説明できる可能性が高い。
【実施例7】
【0196】
同一反応容器中でのポリ−A反応、逆転写、およびPCRの連携した3段階方法の実行可能性の実証;22量体RNAオリゴヌクレオチドの検出効率への種々の添加物の影響
本実験では、同一反応容器中でのポリ−(A)−ポリメラーゼ反応、逆転写、およびPCRの連携した3段階方法の実行可能性が実証されるべきである。この目的のために、連携した3段階方法を、以下の条件下にて示されるバッチで実施した。
【0197】
コントロールとして、図1Bに基づいた2段階方法で反応を実施した。
【0198】
ポリ−A反応、逆転写、およびPCRの3段階方法(PAP+RT反応+PCR)について、表40の材料を表41に示すように合わせた。
【0199】
【表39】

【0200】
【表40】

【0201】
反応物を、それぞれ3回試験した。この目的のために、表40の試薬を表41に示すように共にピペッティングし、表42に示すように反応を実施した。
【0202】
【表41】

【0203】
反応プロトコールは、最初に、QuantiTect Multiplex逆転写酵素Mix(37℃で45分間および50℃で15分間)を使用した逆転写とポリ−Aポリメラーゼ反応との組み合わせ反応のための条件からなっていた。この後に、ポリ−A−ポリメラーゼおよび逆転写酵素を失活させ、QuantiTect Multiplex RT−PCR Master Mix中に含まれるHotStarTaq DNAポリメラーゼを活性化するために95℃で15分間インキュベートした。45回のPCRサイクル後に94℃で15秒間および52℃で30秒間(表43を参照のこと)を実施して、リアルタイムPCRで生成されたlet7a−cDNAを増幅した。検出のために、Uni Gap dTプライマーの5’−テールに特異的な蛍光標識プローブを使用した。52℃アニーリング/伸長工程中に蛍光データの収集を実施した。反応体積20μlにてApplied Biosystems 7500 Fast Real−Time PCR System(Applied Biosystems)により「3−イン−1」反応を実施した。
【0204】
図14に示すように、「3−イン−1」反応により、トウモロコシRNAのバックグラウンド中の合成22量体RNAオリゴヌクレオチドの特異的検出が可能である。トウモロコシRNAのバックグラウンド中の合成22量体RNAオリゴヌクレオチドを含む試料から20.61のCt値が得られ、トウモロコシRNAとのコントロール反応によって309.65のCt値を得た。この実験は、「3−イン−1」反応が所与の条件下で技術的に使用することができることを示す。
【実施例8】
【0205】
連携した3段階方法の反応を促進するためにマニュアルPCRプライマーである“Hot Starts”を使用した本発明の“3−イン−1”方法の実施
コントロールとして、図1Bに基づいて2段階方法で反応を実施した。
【0206】
反応物を、表44に示すように表43に示した材料と合わせた。
【0207】
【表42】

【0208】
【表43】

【0209】
表45のPCRプライマーを使用して、プライマー混合物を作製し、それぞれ1つの反応についての必要量を、それぞれの場合、オプティカルキャップ(optical cap)のカバー(リアルタイムPCR容器のためのカバー、Applied Biosystems;材料番号4323032)内へピペッティングする。次いで、カバーを、37℃で約20分間の加熱ブロックにて液体が蒸発するまでインキュベートし、プライマーを乾燥した。
【0210】
カバー中でのPCRプライマーの完全な乾燥後、表44にあるように試薬を共にピペッティングし、オプティカルチューブ(Optical Tubes)(リアルタイムPCR容器、Applied Biosystems;材料番号4316567)中に添加し、前処理したオプティカルキャップでシールし、表47に示すようにPCRを実施する。
【0211】
反応物を、それぞれ3回試験した。
【0212】
【表44】

【0213】
【表45】

【0214】
反応プロトコールは、最初に、QuantiTect Multiplex逆転写酵素Mix(37℃で45分間および50℃で15分間)を使用した逆転写とポリ−Aポリメラーゼ反応との組み合わせ反応のための条件からなっていた。次いで、ポリ−A−ポリメラーゼおよび逆転写酵素を失活させるために、反応物を95℃で3分間加熱した。次いで、カバー中に存在する乾燥プライマーを再溶解するためにPCRチューブをデバイスから即座に取り出して反転させ、その後のPCR反応で利用可能にした。この後に95℃で12分間インキュベートしてQuantiTect Multiplex RT−PCR Master Mix中に含まれるHotStarTaq DNAポリメラーゼを活性化した。ポリ−A−ポリメラーゼおよび逆転写酵素を失活する前に反応混合物を既に95℃で3分間加熱しているので、3分間短い活性化ここで選択した。45回のPCRサイクルが94℃で15秒間および52℃で30秒間(表47を参照のこと)で続き、リアルタイムPCRで生成されたlet7a−cDNAを増幅した。検出のために、Uni Gap dTプライマーの5’−テールに特異的な蛍光標識プローブを使用した。52℃アニーリング/伸長工程中に蛍光データの収集を実施した。反応体積20μlにてApplied Biosystems 7500 Real−Time PCR System(Applied Biosystems)を使用して「3−イン−1」反応を実施した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素反応における試料中のcDNAの合成のための方法であって、該方法は、以下:
(a)ターミナルトランスフェラーゼ活性を有する第1の酵素、逆転写酵素活性を有する第2の酵素、緩衝液、少なくとも1つのリボヌクレオチド、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド、アンカーオリゴヌクレオチドを同時に準備する工程、
(b)リボ核酸を含む試料を添加する工程、および
(c)該第1の酵素および該第2の酵素が活性を示すように選択される1または複数の温度工程において工程(a)および(b)の作用物質をインキュベートする工程
を含む、方法。
【請求項2】
ターミナルトランスフェラーゼ活性がポリアデニル化活性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料が、原核生物RNA、真核生物RNA、ウイルスRNA、古細菌RNA、miRNA、snoRNA、mRNA、tRNA、非ポリアデニル化RNA、およびrRNA、ならびにこれらの混合物を含む群から選択されるリボ核酸を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記アンカーオリゴヌクレオチドが、ポリ−(A)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(C)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(T)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(G)−オリゴヌクレオチド、ポリ−(U)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(A)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(C)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(T)−オリゴヌクレオチド、5’−テールをさらに含むポリ−(G)−オリゴヌクレオチド、および5’−テールをさらに含むポリ−(U)−オリゴヌクレオチドを含む群から選択される、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項5】
前記アンカーオリゴヌクレオチドが、6ヌクレオチド長および150ヌクレオチド長の間にあり、任意選択的に、3’末端にアンカー配列を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アンカーオリゴヌクレオチドが、デオキシリボ核酸(DNA)、ペプチド−核酸(PNA)またはロックド核酸(LNA)、ホスホロチオエート(phosphorus thioate)−デオキシリボ核酸、シクロヘキセン−核酸(CeNA)、N3’−P5’−ホスホロアミデート(phosphorus amidate)(NP)、またはトリシクロ−デオキシリボ核酸(tcDNA)である、請求項4〜5に記載の方法。
【請求項7】
前記リボヌクレオチドが、アデノシン−5’−三リン酸、チミン−5’−三リン酸、シトシン−5’−三リン酸、グアニン−5’−三リン酸、ウラシル−5’−三リン酸、塩基アナログを有するリボヌクレオチドを含む群から選択され、任意選択的に前記リボヌクレオチドが修飾または標識され得る、請求項1〜6に記載の方法。
【請求項8】
前記デオキシリボヌクレオチドが、デオキシアデノシン−5’−三リン酸(dATP)、デオキシチミン−5’−三リン酸(dTTP)、デオキシシトシン−5’−三リン酸(dCTP)、デオキシグアミン(deoxyguamine)−5’−三リン酸(dGTP)、デオキシウラシル−5’−三リン酸(dUTP)を含む群から選択され、任意選択的に前記デオキシリボヌクレオチドが修飾または標識され得る、請求項1〜7に記載の方法。
【請求項9】
前記デオキシリボヌクレオチドの標識が、放射性標識、例えば、32P、33P、35S、Hなど;蛍光色素、例えば、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)、6−カルボキシフルオレセイン(FAM)、キサンテン、ローダミン、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G5)、6−カルボキシローダミン−6G(RG6)、ローダミン110など;ウンベリフェロンなどのクマリン;Hoechst 33258などのベンズイミド;テキサスレッド、臭化エチジウム、アクリジン色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素などのフェナントリジン;Cy3、Cy5、Cy7などのシアニン色素、BODIPY色素、およびキノリン色素、およびアレクサ(alexa)色素を含む群から選択され得る、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記修飾が、ビオチン化、ジゴキシゲニン標識、およびハプテンを含む群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記デオキシリボヌクレオチド濃度が、反応物中で少なくとも0.01mmolであり、且つ反応物中で最大で10mmolである、請求項8〜10に記載の方法。
【請求項12】
前記デオキシリボヌクレオチドdATP、dCTP、dGTP、およびdTTPが、0.2mmol〜2mmolの濃度で存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記緩衝液が、pH6〜pH10であり、Mg2+イオンを有する、請求項1〜12のうちの1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ターミナルトランスフェラーゼ活性またはポリアデニル化活性を有する酵素が、原核生物起源、真核生物起源、ウイルス起源、古細菌起源、および植物起源の酵素を含む群から選択される、上記請求項のうちの1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリアデニル化活性を有する酵素が、大腸菌由来のポリ(A)−ポリメラーゼ、酵母由来のポリ(A)−ポリメラーゼ、ウシ由来のポリ(A)−ポリメラーゼ、カエル由来のポリ(A)−ポリメラーゼ、およびヒトポリ(A)−ポリメラーゼを含む群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記逆転写酵素活性を有する酵素が、ウイルス、細菌、古細菌、真核生物に由来する酵素、特に熱安定性生物に由来する酵素、およびその遺伝子配列変異誘発の変化または対応する緩衝液条件のみによってかかる機能を得る酵素を含む群から選択される、上記請求項のうちの1項に記載の方法。
【請求項17】
前記逆転写酵素活性を有する酵素が、HIV逆転写酵素、M−MLV逆転写酵素、EAIV逆転写酵素、AMV逆転写酵素、高度好熱菌DNAポリメラーゼI、M−MLV RNアーゼ(RNAse H)(スーパースクリプト(Superscript)、スーパースクリプト II、スーパースクリプト III)、モンスタースクリプト(MonsterScript)(エピセンター)、オムニスクリプト(Omniscript)、センシスクリプト(Sensiscript)逆転写酵素(キアゲン)、サーモスクリプト(ThermoScript)およびサーモ−X(Thermo−X)(共にインビトロジェン)、アックスクリプト(AccuScript)逆転写酵素(ストラタジェン)を含む群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記工程c)の作用物質のインキュベーションが1または複数の温度工程で起こり、該温度工程が前記第1および第2の酵素が活性を示すように選択される、請求項1〜17のうちの1項に記載の方法。
【請求項19】
前記反応が、約65℃〜95℃のより高い温度での温度工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法において生成されたcDNAが、次いで、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して増幅され、該ポリメラーゼ連鎖反応が反応ランダムプライマーおよび/または特異的プライマーおよび/または任意選択的に1つまたは複数のプローブを含む、請求項1〜19に記載の方法。
【請求項21】
前記工程(a)の同時準備が、DNA合成活性を有する熱安定性酵素の準備も含み、cDNAの特異的検出のための少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが存在する、請求項1〜20のうちの1項に記載の方法。
【請求項22】
前記反応がさらなるポリ−(C)−ポリヌクレオチドを含む、請求項1〜21のうちの1項に記載の方法。
【請求項23】
ポリアデニル化活性を有する第1の酵素、逆転写酵素活性を有する第2の酵素、任意選択的に緩衝液、任意選択的に少なくとも1つのリボヌクレオチド、任意選択的に少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド、および任意選択的に1つのアンカーオリゴヌクレオチド、任意選択的にランダムプライマー、任意選択的にポリ−(C)−ポリヌクレオチド、ならびに任意選択的にDNA合成活性を有する酵素を含む反応混合物。
【請求項24】
請求項23に記載の反応混合物を含むキット。
【請求項25】
DNA中でRNAを逆転写するための方法であって、該方法は、以下:
a.RANを含む試料を準備する工程、
b.逆転写酵素活性を有する第1の酵素、緩衝液、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド、オリゴヌクレオチドを添加する工程、
c.酵素が活性を示すように選択される1または複数の温度工程で作用物質をインキュベートする工程、
d.該反応物がさらなるポリ−(C)−ポリヌクレオチド
を含む、方法。
【請求項26】
逆転写酵素活性を有する酵素およびポリ−(C)−ポリヌクレオチドを含む逆転写のためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2010−500044(P2010−500044A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524183(P2009−524183)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058369
【国際公開番号】WO2008/020008
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(599072611)キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (83)
【Fターム(参考)】