説明

酸化鉄−結合性ペプチド

本発明は、結合ペプチドでコーティングされている金属酸化物粒子、特に酸化鉄粒子を含有する診断剤に関する。この結合ペプチドは、高い親和性で金属酸化物粒子と結合し、この結果、このペプチド−コーティングされた金属酸化物粒子は、医薬的適用のために、例えば磁気共鳴トモグラフィーのための造影剤として適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、結合ペプチドでコーティングされている金属酸化物粒子、特に酸化鉄粒子を含有する診断剤に関する。この結合ペプチドは、高い親和性で金属酸化物粒子と結合し、この結果、このペプチド−コーティングされた金属酸化物粒子は、医薬的適用のために、例えば磁気共鳴トモグラフィーのための造影剤として適している。
【0002】
マグネタイト又はマグヘマイトからの超常磁性酸化鉄−ナノ粒子(SPIO)は、その超常磁特性のために、磁器共鳴(MR)−トモグラフィーのための造影剤として傑出して適している。
【0003】
この磁器特性に関してここから、このナノ粒子の実際的な有用性は本質的に物理化学的パラメーター、例えば粒径、ゼータ電位及びこの表面の疎水性により決定される。後者は、in vitroでのこの安定性に関しても、また同様にin vivoでの崩壊挙動及び分散に関しても決定的である。この理由から、酸化鉄のコロイド調製物は様々な場合において、既にこの合成の間に、所望の特性を媒介する化学的なコーティングが備えられる。従って、全ての酸化鉄−ナノ粒子(腸管外適用のための)は、既に臨床的に適用され、デキストラン又はデキストラン誘導体からなるシェルを備えていて、例えば、WO 94/03501である。更に、様々な有機及び無機のコーティングが検査され([1]中の概要)、例えばデキストラン、PEG、キトサン、ポリアクリル酸、脂肪酸、シラン、シリカその他、シラン化合物、例えばアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)が、酸化鉄に共有結合することができ、全ての他のコーティングは、いわゆる物理吸着(又は化学吸着)を介してこの粒子と会合している。この非共有性相互作用はこの際、最終的に、結合した材料と結合していない材料との間での平衡の形成を結合強度に依存して生じ、即ち、このコーティングの一部は希釈後に失われる。
【0004】
SPIO粒子は一般的に細網内皮系(RES)、銅−細胞を介して肝臓中で分解され、従って、まず、この臓器の像形成のために使用できる。血液中での半値時間、及び、これに依存した肝臓中への取り込みは、この際、このコーティングの選択を介して実現される。
【0005】
SPIO−粒子の標的案内分子又はターゲティング分子に対する連結により、更に、体内の臨床に関連した標的構造、例えば腫瘍及び炎症病巣のいわゆる分子像形成を得ることが努められる。この課題のために問題となるターゲティング分子は、任意の表面マーカーに対して反応する抗体及び−断片の他に、ペプチド(概要文献[2])及び小分子、例えば葉酸[3]である。PET診断においては、既にこのような造影剤が存在し、例えば、これは放射線同位体で標識化したペプチドであるオクトレオチドであり、これは腫瘍−会合したソマトスタチンレセプターと結合する。MR診断においては、臨床的に適用される比較可能な調製物が存在しない。これは主としてターゲティング分子の手間のかかる連結のためである。
【0006】
弱く結合するコーティング材料、例えばデキストラン/カルボキシデキストランは、ターゲティング分子のための担体としてほとんど適さない。結合平衡の形成の経過における分離は、ときおりの極めて高価な分子の損失を引き起こすのみでなく、この標的構造の遮断によるシグナルの消滅をも予期させるものである。年月が経過するうちに既に幾つかの戦略がより効率的な連結のために獲得され、例えば、デキストランの架橋、シランを介した共有結合又はより高い親和性でもって結合するコーティング材料である。
【0007】
本発明の根底をなす課題は、従って、前述した技術水準の欠点を少なくとも部分的に回避する金属酸化物粒子のためのコーティング材料を見出すことである。とりわけ、このコーティング材料は高い親和性及び従ってとりたててのべる程でもない損失でもって金属酸化物粒子と結合し、他方では高い生体親和性を有するものである。
【0008】
この課題は本発明により、結合ペプチドでコーティングされた金属酸化物粒子を含有する診断剤の調整により解決される。更に本発明は、コーティング材料としての及び場合によりターゲティング−又は標的案内分子としての分子アンカーとしての金属酸化物結合性ペプチドに関する。本発明により、ペプチドは、炭水化物、例えばデキストランの場合に比較してより高い親和性で金属酸化物、例えば鉄酸化物と結合することができることが確認された。
【0009】
この金属酸化物粒子は有利には、磁性粒子であり、特に有利には超常磁性粒子である。この金属酸化物は例えば、遷移金属、例えばコバルト、ニッケル、マンガン、銅又は/及び鉄の酸化物である。有利には、金属酸化物は、酸化鉄、例えばマグネタイト又はマグヘマイトである。この金属酸化物粒子は有利にはコロイド状粒子である。この平均直径は、1nm〜1μmの範囲内にあり、有利には1〜100nm、特に有利には2〜50nmの範囲内にあることができる。
【0010】
この金属酸化物粒子の表面は、結合ペプチドでのコーティング前に、場合により修飾されていることができ、例えばこれはシラン化合物による。
【0011】
金属酸化物粒子のコーティングのために使用される結合ペプチドは通常は100構成要素までの長さ、有利には5〜50構成要素までの長さ、特に有利には5〜25構成要素の長さを有する。
【0012】
この結合ペプチドは有利には、アミノ酸の線状連続から構成されている。この結合ペプチドは、しかしながら、典型的なペプチド構造の1個以上の変更を有することができ、これは例えば、修飾アミノ酸構成要素の使用、ペプチド主鎖中での変更、環化、その他である。従って、このペプチドの構成要素は、天然に存在するアミノ酸、即ち特に遺伝的にコードされたアミノ酸、非天然の即ち人工の、遺伝的にコードされていないアミノ酸及びその組み合わせから選択されることができる。この構成要素は有利にはL−α−アミノカルボン酸であり、しかしながら、他の構成要素、例えばD−α−アミノカルボン酸、β−アミノカルボン酸、アミノ酸類似体その他を使用することもできる。主鎖の変更は例えば、構成要素の連結のために使用されるアミド結合の、他の結合、例えばN−アルキルアミド、例えばN−メチルアミド、ケトメチレン、ヒドロキシエチレン、(E)−エチレン、カルバ、エーテル、還元アミド、レトロ−インベルソアミド、ホスホンアミド、ホスホナート又はホスフィナートによる置き換えを含む。ペプチド構造の可能性のある変更のための更なる例は、Boehm et al., "Wirkstoffdesign", 1996, Spektrum akademischer Verlag Heidelberg, 特に第10章.中で見出される。
【0013】
結合ペプチドは有利には非酵素的な合成、例えば、適した合成樹脂での化学的な固相合成により公知の方法に応じて製造される。原則的にしかしながら、酵素による合成は、例えばin vitroトランスロケーション系又は細胞において可能である。
【0014】
この結合ペプチドは、診断的適用を可能にするために、十分な親和性を金属酸化物粒子に対して有するように選択される。本出願において記載される実験により、ペプチドの金属酸化物粒子に対する結合は、特異的なアミノ酸配列の存在に依存しないことが示される。
【0015】
有利な一実施態様において、この結合ペプチドは、鉄結合性タンパク質、例えばフェリチン、IscA、セルロプラスミンその他からの部分配列、又は、このような配列の修飾を含有し、その際、例えば1、2、3、4又はそれより多いアミノ酸が欠失、付加又は/及び他の構成要素により置換されていることができる。他方では、この結合ペプチドはしかしながら、人工配列も有することができる。天然に存在する配列及び人工配列の組み合わせも可能である。
【0016】
少なくとも1の塩基性の構成要素を含有する結合ペプチド、即ち、塩基性基、例えばアミノ−又はグアニジノ基を有する側鎖を有する構成要素、例えばアルギニン(R)又は/及びリシン(K)は、金属酸化物粒子のための特に高い親和性を有することができる。有利には、従って、1、2、3、4、5又はそれ以上の塩基性のアミノ酸構成要素を含有する結合ペプチドである。更に有利には、この結合ペプチドは更に少なくとも1の酸性構成要素を含有し、即ち、酸性基、例えばカルボン酸基を含有する側鎖を有する構成要素、例えばグルタミン酸(E)又は/及びアスパラギン酸(D)を含有する。有利には、この結合ペプチドは、1、2、3、4、5又はそれ以上の酸性(アミノ酸)−構成要素を含有する。塩基性(アミノ酸)−構成要素と酸性(アミノ酸)−構成要素との比はこの結合ペプチド中で、有利には1:2より少なく、即ち、塩基性構成要素あたりに2よりも少ない酸性構成要素が存在する。特に有利にはこの比は1:1.5よりも少ない。更に有利には、このペプチドは1個以上の親水性(アミノ酸)−構成要素、即ち、親水性基、例えばOHを含有する側鎖を有する構成要素、例えばセリン(S)を含有する。
【0017】
この結合ペプチドの等電点(pl)は典型的には、>5.0、有利には≧5.5、特に有利には≧6.0であり、更により有利には≧6.5であり、更に一層より有利には≧7.0であり、最も有利には≧8.0である。等電点が13までの又はそれ以上の極めて塩基性のペプチドも金属酸化物粒子に対して高い効率で結合できる。
【0018】
有利にはこの結合ペプチドは、酸性のまた同様に塩基性の構成要素を含有し、例えば、正に荷電した及び負に荷電した(アミノ酸)−構成要素からなる交互の順列を有し、これは金属酸化物粒子の表面に対する特に高い親和性を有し、この表面には同様に交互に正の及び負の電荷が存在する交互の順列を有する。特に有利には、従って、次の配列:
(Bnmr又は(Smnr
[式中、Bはそれぞれ独立して塩基性(アミノ酸)−構成要素、例えばK又はRであり、
Sはそれぞれ独立して酸性(アミノ酸)−構成要素、例えばE又はDであり、
n及びmはそれぞれ独立して1、2又は3を意味し、そして
rは、自然数≧1、有利には≧2、特に有利には≧3を意味する]
を含有する結合ペプチドが使用される。
【0019】
最も有利には、それぞれ塩基性(アミノ酸)−構成要素及び酸性(アミノ酸)−構成要素の交互の順列を含有するペプチドである。
【0020】
この結合ペプチドは、前述の、金属酸化物粒子に対する結合のために必要とされる結合配列の他に、更なる成分、例えばスペーサー分子、標識化基、例えば着色剤、又は/及び目的案内−又はターゲティング分子を含有する。
【0021】
第1の実施態様(参照図1A)において、スペーサー分子はペプチド鎖に対して連結されることができる。この連結は、ペプチド合成の間又は後に公知の方法により行われることができる。スペーサー分子のための有利な例は、マクロマー分子、例えば親水性ポリマー、例えばポリアルキレングリコール又は/及びポリアルキレングリコールエステル、特にポリエチレングリコール又は/及びポリエチレングリコールエステル、オリゴマー−又はポリサッカリド、ポリアルコール、例えばポリビニルアルコール、その他である。このスペーサー分子の分子量は、有利に500〜30000Da、特に有利には3000〜5000Daの範囲内にある。スペーサー分子の連結により、金属酸化物粒子は、アグレゲーションに対して立体的に安定化され、即ち、このスペーサー分子は、個々の粒子の間の隔維持剤として作用する。更に、適した分子、例えばポリエチレングリコールでのコーティングにより、この粒子の生体親和性又は/及び血流中での循環期間は高められる。
【0022】
更なる有利な一実施態様において、標的認識分子が結合ペプチドに連結される(参照図1B)。標的認識分子は、特異的に標的構造を体内中で認識する、例えば、特定の組織−又は細胞種、例えば腫瘍細胞又は腫瘍を養う血管の細胞を体内中で認識する分子である。標的認識分子は一方では自体で、配列が結合ペプチドの合成の間に既に付加されることができるペプチド配列であることができる。標的認識分子のための他の例は、ポリペプチドであり、例えば、抗体断片を含む抗体、アプタマー又は低分子量化合物である。このような分子は後から、結合ペプチドの反応性基との公知の反応により連結されることができる。SH基に対する連結は、例えば、マレイミド反応剤の使用により、そして、アミノ基に対する連結は、活性エステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミドエステルの使用により行われることができる。有利には、この標的認識分子は、スペーサー分子、例えばポリエチレングリコール(参照図1B)を介して、この結合ペプチドに連結されることができる。適した連結方法は例えば概要[4]中に記載されている。
【0023】
適した結合ペプチド配列の選択により更に、金属酸化物粒子の生体親和性及びファーマコキネティクスに影響が及ぼされることができる(参照図1C)。従って、−生体親和性及び循環期間を高めるために−結合ペプチドが使用されることができ、これは、親水性アミノ酸、例えばセリン、又は/及び負に帯電したアミノ酸、例えばグルタミン−又はアスパラギン酸を含有する。
【0024】
金属酸化物からのこの結合ペプチドの解離定数は、有利には、10-6M以下、特に有利には10-9M以下である。結合ペプチドと親水性ポリマーとの組み合わせにより、相互作用、例えば水素架橋結合がポリマー鎖の間に形成されることができ、これは、このコーティングの親和性を更に増強することができる更なる固定化を生じる。
【0025】
金属酸化物粒子は結合ペプチドの他に更なる材料でコーティングされることができ、例えば典型的なコーティング材料、例えば炭水化物、例えばカルボキシルデキストラン、ポリアルキレングリコール、例えばPED、ポリアクリル−又は−メタクリル酸、脂肪酸、シリカ又は/及びシランその他である。従って、この金属粒子表面はまず部分的にペプチド(これは場合により上記したような更なる成分、例えば標的案内分子に連結されている)でコーティングされ、引き続きこの残存する金属酸化物表面上に他のコーティング材料が設けられる。
【0026】
本発明による金属酸化物粒子は、有利には診断剤として使用される。特に有利には、造影剤として、特に磁器共鳴トモグラフィーのために使用される。この粒子は、獣医学的医薬においてもまた同様にヒト医薬においても使用できる。磁気共鳴トモグラフィーにおける診断的使用のためには例えば体重1kgあたり金属、例えば鉄0.001〜0.1mmolが患者に投与される。特に有利には体重1kgあたり約0.01mmolの鉄が投与される。この投与は有利には静脈内に行われる。この粒子の体内での分散は次いで、前もって定めた時間後に磁気共鳴又は場合により他の適した方法により決定される。相応する方法が当業者に公知である。
【0027】
最後に、本発明は、
(a)結合ペプチドの合成、
(b)スペーサー分子又は/及び目的認識分子の場合による付加、及び
(c)コーティングが生じることができる条件下での結合ペプチドと金属酸化物粒子との接触
を含む
結合ペプチドでコーティングされた金属酸化物粒子の製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、実施態様を示す図である。
【図2】図2は、実験結果を示す図である。
【0029】
更に本発明は以下の実施例により説明される。
【0030】
実施例
酸化鉄結合性ペプチドを算出するために、実験において40個の様々なペプチドをアレイとしての化学合成により膜上で合成した。この際、アミノ酸の人工的な順列又は鉄代謝のタンパク質からの配列を使用した。膜に対する酸化鉄粒子の吸収(調製物に対するより正確な説明)を介してペプチド結合が証明された。
【0031】
市販されている粒子(Resovist, Schering AG, ドイツ国−Fluidmag-CT, Chemicell AG, ドイツ国)を使用するか又は粒子をアルカリ性ショック(標準的な手法)を用いて製造し、脱安定化又はトリメチルアンモニウムヒドロキシドで安定化して使用した。この粒子を水中鉄濃度5mMに希釈し、室温で10〜20分間ペプチドアレイを用いてインキュベーションした。酸化鉄の形成を視覚的にまず直接的に、次いでベルリン青としての鉄の染色について確かめる。
【0032】
図2は、このような実験結果を示す。ペプチド2−25,27、29及び31−40は、膜での酸化鉄粒子の結合を引き起こし、これは、褐色の着色について認識可能であることが認識できる。
【0033】
このペプチド2−21は、負に帯電したか又は酸性かつ正に帯電したか又は塩基性のアミノ酸の人工の順列を含有し、そして従って両性イオン性である。ペプチド2から出発して、この配列は、Lys(K)及びGlu(E)の交互の順列からなるペプチドへと修飾されかつ簡素化され、これは同様に酸化鉄と結合する。
【0034】
ペプチド26−41は、タンパク質フェリチン、IscA及びセルロプラスミンからなる天然の配列又はこのような配列の修飾を包含し、ここで例えばシステインはセリンにより置換されている。この配列も−とりわけこれが等電点≧5、特に≧5.5を有する場合に−酸化鉄に対する効率的な結合を示す。
文献:
[1] AK Gupta, M Gupta: Synthesis and surface engineering of iron oxide nanoparticles for biomedical applications. Biomaterials 2005, 26:3995-4021.
[2] JC Reubi: Peptide receptors as molecular targets for cancer diagnosis and therapy. EndocrRev 2003, 24:389-427.
[3] Y Zhang, N Kohler, M Zhang: Surface modification of superparamagnetic magnetite nanoparticles and their intracellular uptake. Biomaterials 2002,23:1553-61.
[4] Y Zhang, C Sun, N Kohler, M Zhang: Self-assembled coatings on individual monodisperse magnetite nanoparticles for efficient intracellular uptake. Biomed Microdevices 2004, 6:33-40.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合ペプチドでコーティングされた金属酸化物粒子を含有する診断剤。
【請求項2】
金属酸化物粒子が磁性粒子であることを特徴とする、請求項1記載の剤。
【請求項3】
粒子が超常磁性粒子であることを特徴とする、請求項1又は2記載の剤。
【請求項4】
金属酸化物粒子が酸化鉄粒子であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の剤。
【請求項5】
金属酸化物粒子が、1nm〜1μm、有利には1〜100nmの平均直径を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の剤。
【請求項6】
結合ペプチドが5〜100(アミノ酸)−構成要素の長さを有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の剤。
【請求項7】
結合ペプチドが天然(アミノ酸)−構成要素、非天然(アミノ酸)−構成要素及びこれらの組み合わせを含有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の剤。
【請求項8】
結合ペプチドが少なくとも1の塩基性(アミノ酸)−構成要素、特にArg(R)又は/及びLys(K)を含有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の剤。
【請求項9】
結合ペプチドが更に少なくとも1の酸性(アミノ酸)−構成要素、特にGlu(E)又は/及びAsp(D)を含有することを特徴とする、請求項8記載の剤。
【請求項10】
結合ペプチド中の塩基性(アミノ酸)−構成要素と酸性(アミノ酸)−構成要素との比が、1:2より小さく、有利には1:1.5より小さいことを特徴とする、請求項8又は9記載の剤。
【請求項11】
結合ペプチドが更に少なくとも1の親水性(アミノ酸)−構成要素、特にSer(S)を含有することを特徴とする、請求項8から10までのいずれか1項記載の剤。
【請求項12】
結合ペプチドが、等電点≧5.0、有利には≧6.0、特に有利には≧7.0、最も有利には≧8.0を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の剤。
【請求項13】
スペーサー分子が結合ペプチドに連結していることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の診断剤。
【請求項14】
スペーサー分子が、親水性ポリマー、例えばポリアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールエステル、特にポリエチレングリコール又はポリエチレングリコールエステル、オリゴ−又はポリサッカリド又はポリアルコールであることを特徴とする、請求項13記載の診断剤。
【請求項15】
スペーサー分子が、500〜30000Daの分子量を有することを特徴とする、請求項14記載の診断剤。
【請求項16】
標的認識分子が結合ペプチドに連結していることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の診断剤。
【請求項17】
標的認識分子が、ペプチド、ポリペプチド、例えば抗体、アプタマー又は低分子量化合物から選択されていることを特徴とする、請求項16記載の診断剤。
【請求項18】
結合ペプチドが、鉄結合性タンパク質、例えばフェリチン、IscA又はセルロプラスミンからの部分配列又はこのような配列の修飾を含有することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の剤。
【請求項19】
結合ペプチドが人工配列を含有することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載の剤。
【請求項20】
結合ペプチドが少なくとも1の部分配列:
(Bnmr又は(Smnr
[式中、Bはそれぞれ独立して塩基性(アミノ酸)−構成要素であり、
Sはそれぞれ独立して酸性(アミノ酸)−構成要素であり、
n及びmはそれぞれ独立して1、2又は3を意味し、そして
rは、自然数≧1、有利には≧2、特に有利には≧3を意味する]
を含有することを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記載の剤。
【請求項21】
金属酸化物粒子からの結合ペプチドの解離定数が、10-6M以下であることを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項記載の剤。
【請求項22】
金属酸化物粒子が結合ペプチドの他に更なる材料でコーティングされていることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項記載の剤。
【請求項23】
造影剤として、特に磁気共鳴療法のために適用される、請求項1から22までのいずれか1項記載の剤。
【請求項24】
結合ペプチドでコーティングされた金属酸化物粒子。
【請求項25】
(a)結合ペプチドの合成、
(b)スペーサー分子又は/及び標的認識分子の場合による付加、及び
(c)コーティングが生じることができる条件下での結合ペプチドと金属酸化物粒子との接触
を含む、結合ペプチドでコーティングされた金属酸化物粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−516718(P2010−516718A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546647(P2009−546647)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000118
【国際公開番号】WO2008/089738
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(507210421)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Muellerstrasse 178, D−13353 Berlin, Germany
【Fターム(参考)】