説明

酸化銀の製造方法

【課題】
特殊な構造を有する銀錯体化合物を用いて形態が多様であり、粒子のサイズの調節が容易である酸化銀を製造する方法を提供する。
【解決手段】
本発明は1)銀化合物及びアンモニウムカルバメート系化合物、アンモニウムカーボネート系化合物又はアンモニウムビカーボネート系化合物から選ばれる1種又は2種以上の混合物を溶媒の存在下において反応させて得られる銀錯体化合物を含む前駆体溶液を製造する段階;及び2)前記1)段階の銀錯体化合物を含む前駆体溶液に酸化剤を反応させて酸化銀を製造する段階;とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特殊な構造を有する銀錯体化合物に酸化剤を反応させて、多様な形態及びサイズの酸化銀を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Ullmann's Encyclopedia of Ind. Chem., Vol. A24, 107 (1993)では銀(silver)は貴金属として容易に酸化されず、電気及び熱伝導度に優れ、触媒及び抗菌作用などを有しているため、銀(Ag)及び酸化銀のような銀化合物は電極材料、合金、鍍金、医薬、写真、電気電子、繊維、洗剤、家電などの産業全般に広く使用されると記述している。
【0003】
酸化銀は常温において安定的な化合物であるが、加熱分解によって銀(Ag)で還元される性質がある。160℃から還元反応が始まるが、反応速度が遅く、還元が完結された後、導電性を付与するためには400℃以上の加熱が必要である。
【0004】
酸化銀(Ag2O)は日本特開昭56−69309でのように水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に硝酸銀(AgNO3)水溶液を添加した後、沈殿させて酸化銀を製造する方法が記述されているが、凝集によって分散が難しく、低い温度における還元が難しい短所がある。そして、米国特許第7201888号では水溶液上で硝酸銀(AgNO3)と酸化剤として水酸化ナトリウムを使用し、界面活性剤として脂肪酸(fatty acid)を使用してナノサイズの酸化銀を製造する方法が記述されているが、多様な形態の粒子製造については言及がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56−69309号公報
【特許文献2】米国特許第7201888号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ullmann's Encyclopedia of Ind. Chem., Vol. A24, 107 (1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の問題点を解決するためのものであって、特殊な構造を有する銀錯体化合物に酸化剤を反応させることにより、多様な形態及びサイズの酸化銀を製造する方法を提供する。
【0008】
本発明は酸化銀の製造時に使用される酸化剤の種類、酸化剤の含量変化を通じて製造しようとする酸化銀の形態及びサイズを制御する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は多様な形態及びサイズを有する酸化銀を製造する方法に関するものであって、特殊な構造を有する銀錯体化合物に酸化剤を反応させて多様な形態及びサイズを有する酸化銀を製造することを特徴とする。
【0010】
以下、各段階別に分けて詳細に説明する。
【0011】
1)銀化合物及びカルバミン酸アンモニウム系化合物、炭酸アンモニウム系化合物又は重炭酸アンモニウム系化合物から選ばれる1種又は2種以上の混合物を溶媒の存在下において反応させて得られる銀錯体化合物を含む前駆体溶液を製造する段階;及び2)前記1)段階の銀錯体化合物を含む前駆体溶液に酸化剤を反応させて酸化銀を製造する段階;とを含むことを特徴とする。
【0012】
1)段階:特殊な構造を有する銀錯体化合物を含む前駆体溶液を製造する段階
【0013】
本発明の多様な形態及びサイズを有する酸化銀を製造するために使用される銀錯体化合物は下記化学式1で示される銀化合物及び化学式2乃至化学式4で示されるカルバミン酸アンモニウム系化合物、炭酸アンモニウム系化合物又は重炭酸アンモニウム系化合物から選ばれる1種又は2種以上の混合物を溶媒の存在下において反応させて製造する。
【0014】
<化学式1>
【化1】

【0015】
式中、nは1乃至4の整数であり、Xは酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、チオシアン酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、アセチルアセトン酸塩、カルボン酸塩及びその誘導体から構成された群から選ばれる置換基である。
【0016】
<化学式2>
【化2】

【0017】
<化学式3>
【化3】

【0018】
<化学式4>
【化4】

【0019】
式中、前記R1、 R2、 R3、 R4、 R5及びR6は互いに独立にそれぞれ水素、脂肪族又は脂環式(C1−C30)アルキル基、(C6−C20)アリール基、(C6−C20)アリールオキシ基、(C6−C20)アル(C1−C30)アルキル基、トリ(C1−C30)アルキルシリル基、トリ(C1−C30)アルコキシシリル基、トリ(C6−C20)アリールシリル基、アリル基又は3員乃至7員の複素環化合物基、高分子化合物基、ヒドロキシ基、(C1−C30)アルコキシ基、(C1−C30)アルキルアミノ基であり、または互いに独立にR1とR2、 R4とR5はヘテロ原子が含まれ若しくは含まれない(C2−C6)アルキレンで連結されて環を形成してもよく、前記R1、 R2、 R3、 R4、 R5及びR6のアルキル基又はアリール基は脂肪族又は脂環式(C1−C30)アルキル、(C1−C30)アルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C6−C20)アリール、トリ(C1−C30)アルキルシリル、トリ(C1−C30)アルコキシシリル、トリ(C6−C20)アリールシリル、アリル又はカルボン酸でさらに置換してもよい。
【0020】
前記化学式1の銀化合物は具体的に例えば、酸化銀、チオシアン酸銀、シアン化銀、シアン酸銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、リン酸銀、過塩素酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、アセチルアセトン酸銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の混合物であり、これに限られるものではない。
【0021】
そして、前記化学式2乃至化学式4のカルバミン酸アンモニウム系化合物、炭酸アンモニウム系化合物、及び重炭酸アンモニウム系化合物の置換体のR1、 R2、 R3、 R4、 R5及びR6は互いに独立に水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、ヒドロキシ、メトキシ、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル及びその誘導体、そしてポリアリルアミンやポリエチレンイミンのような高分子化合物及びこれらの誘導体から選ばれるが、特にこれに限られるものではない。
【0022】
化合物として具体的に例えば、前記化学式2のカルバミン酸アンモニウム系化合物はアンモニウムカルバメート(ammonium carbamate)、エチルアンモニウムエチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウムジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミニウムヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウムモルホリンカルバメート、ピリジニウムエチルヘキシルカルバメート、ベンジルアンモニウムベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカルバメート、及びその誘導体からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物が例示され、前記化学式3の炭酸アンモニウム系化合物はアンモニウムカーボネート(ammonium carbonate)、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、及びその誘導体からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物が例示され、前記化学式4の重炭酸アンモニウム系化合物はアンモニウムビカーボネート(ammonium bicarbonate)、イソプロピルアンモニウムビカーボネート、t−ブチルアンモニウムビカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムビカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムビカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムビカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムビカーボネート、ピリジウムビカーボネート、トリエチレンジアミニウムビカーボネート、及びその誘導体からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物で例示される。
【0023】
一方、前記のカルバミン酸アンモニウム系、炭酸アンモニウム系、又は重炭酸アンモニウム系化合物の種類及び製造方法は特に限る必要はない。例えば、米国特許第4,542,214号(1985.9.17)では1級アミン、2級アミン、3級アミン、又は最小限一つ以上のこれらの混合物と二酸化炭素からカルバミン酸アンモニウム系化合物を製造することができると記述しており、前記アミン1モル当たり水0.5モルをさらに添加すれば炭酸アンモニウム系化合物が得られ、水1モル以上を添加する場合には重炭酸アンモニウム系化合物を得ることができる。この際、常圧又は加圧の状態において特別な溶媒無く製造ができ、溶媒を使用する場合は水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、ジエチルエチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素系、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、四塩化炭素のようなハロゲン置換溶媒又はこれらの混合溶媒などが挙げられ、二酸化炭素は気相の状態においてバブリング(bubbling)したり固体状のドライアイスを使用することができ、超臨界(supercritical)の状態においても反応することができる。本発明で使用されるカルバミン酸アンモニウム系、炭酸アンモニウム系、又は重炭酸アンモニウム系誘導体の製造には前記の方法以外にも、最終物質の構造が同じであれば公知の如何なる方法を使用しても構わない。つまり、製造のための溶媒、反応温度、濃度又は触媒などを特に限る必要は無く、製造収率も特に限定されない。
【0024】
このように製造されたカルバミン酸アンモニウム系、炭酸カーボネート系、又は重炭酸アンモニウム系化合物と銀化合物を反応させて有機銀錯体化合物を製造することができる。例えば、化学式1で示されたような最小限一つ以上の銀化合物と化学式2乃至4で示されたような化合物又はこれらの混合物を窒素雰囲気の常圧又は加圧の状態において溶媒無く直接反応させることができ、溶媒を使用する場合、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、ジエチルエチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素類、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、又はこれらの混合溶媒などを使用することができる。
【0025】
前記1)段階の銀錯体化合物を含む前駆体溶液は粒子を円滑に分散させるために分散剤をさらに含み、その例としてはEFKA社の4000シリーズ、BYK社のDisperbykシリーズ、アベシア社のSolsperseシリーズ、DeguessaのTEGO Dispersシリーズ、エレメンチス社のDisperse-AYDシリーズ、ジョンソンポリマー社のJONCRYLシリーズなどの市販の分散剤を使用することができる。そして、樹脂;界面活性剤;1級アミン、2級アミン、又は3級アミンから選ばれるアミン化合物;前記化学式2のカルバミン酸アンモニウム系化合物;下記化学式3の炭酸アンモニウム系化合物;下記化学式4の重炭酸アンモニウム系化合物;ホスフィン(phosphine)やホスファイト(phosphite)のようなリン化合物;チオール(thiol)やスルフィド(sulfide)のような硫黄化合物及び脂肪酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物を分散剤として使用することができる。
【0026】
具体的に例えば、前記樹脂としてはポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステルのようなアクリル系樹脂、エチルセルロース、セルロースエステル、セルロースニトレートのようなセルロース系樹脂、脂肪族又は共重合ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドンのようなビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル及びウレア樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレンやポリスチレンのようなオレフィン系樹脂、石油及びロジン系樹脂などのような熱可塑性樹脂やエポキシ系樹脂、不飽和又はビニルポリエステル系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、フェノール系樹脂、オキセタン(oxetane)系樹脂、オキサジン(oxazine)系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、シリコーンエポキシやシリコーンポリエステルのような変性シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂などのような熱硬化性樹脂、紫外線又は電子線硬化型の多様な構造のアクリル系樹脂、そしてエチレン−プロピレンゴム(EPR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、澱粉、ゼラチンのような天然高分子などを1種類以上選んで共に使用可能である。
【0027】
また、界面活性剤としてはラウリル硫酸ナトリウム(sodium laurylsulfate)のような陰イオン界面活性剤、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(nonyl phenoxypolyethoxyethanol)、デュポン(Dupont)社製品のFSNのような非イオン性界面活性剤、そしてラウリルベンジルアンモニウムクロライドなどのような陽イオン性界面活性剤やラウリルベタイン(betaine)、ココベタインのような両方性界面活性剤などが含まれる。
【0028】
前記アミン化合物としてはメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、イソアミルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、イソオクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ドコデシルアミン、シクロプロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アリルアミン、ヒドロキシアミン、水酸化アンモニウム、メトキシアミン、2−エタノールアミン、メトキシエチルアミン、2−ヒドロキシプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、シアノエチルアミン、エトキシアミン、n−ブトキシアミン、2−ヘキシルオキシアミン、メトキシエトキシエチルアミン、メトキシエトキシエトキシエチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジエタノールアミン、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、2,2−(エチレンジオキシ)ビスエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アニリン、アニシジン、アミノベンゾニトリル、ベンジルアミン及びその誘導体、そしてポリアリルアミンやポリエチレンイミンのような高分子化合物及びその誘導体などのようなアミン化合物が挙げられ、アンモニウム化合物として具体的に例えば、カルバミン酸アンモニウム系化合物はアンモニウムカルバメート、エチルアンモニウムエチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウムジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミニウムヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウムモルホリンカルバメート、ピリジニウムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカルバメート、ベンジルアンモニウムベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカルバメート、及びその誘導体などが挙げられ、炭酸アンモニウム系化合物はアンモニウムカーボネート、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、及びその誘導体などがあり、重炭酸アンモニウム系化合物はアンモニウムビカーボネート、イソプロピルアンモニウムビカーボネート、t−ブチルアンモニウムビカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムビカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムビカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムビカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムビカーボネート、ピリジウムビカーボネート、トリエチレンジアミニウムビカーボネート、及びその誘導体などが挙げられる。また、リン化合物としては一般式のR3P、(RO)3P、又は(RO)3POで示されるリン化合物であって、ここでRは直鎖又は分岐の(C1−C20)アルキル又は(C6−C20)アリール基を示し、代表的にトリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスファイト、及びトリフェニルホスファイトなどが挙げられる。そして、硫黄化合物としては例えば、ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、硫化ジエチル、テトラヒドロチオフェンなどがある。なお、脂肪酸としてはパルミチン酸(palmitic acid)、ステアリン酸(stearic acid)、オレイン酸(oleic acid)、又はリノール酸(linoleic acid)などが使用でき、その使用量は特に限る必要は無い。
【0029】
本発明で使用される特殊な構造を有する銀錯体化合物を含む前駆体溶液内の銀含有量は特に限る必要は無いが、一般に質量%で0.1%乃至50%、望ましくは1%乃至30%であり、分散剤の使用量も特に制限する必要は無いが、含有された銀の質量%で0.1%乃至10%、望ましくは0.5%乃至5%である。
【0030】
2)段階:前記1)段階の銀錯体化合物を含む前駆体溶液に酸化剤を反応させて酸化銀を製造する段階
【0031】
2)段階は前記1)段階から製造された銀錯体化合物を含む前駆体溶液に酸化剤を反応させて前記銀錯体化合物を酸化させることにより酸化銀を製造する段階であって、前記酸化剤は希釈剤で希釈して使用することができ、この際に使用される酸化剤の量は特に限る必要は無いが、1)段階の銀錯体化合物を含む前駆体溶液内の銀モル数の0.1当量乃至10当量、望ましくは1.5当量乃至5当量で使用される。
【0032】
前記酸化剤は酸素、オゾンのような酸化性気体、NaOH、KOH、Ca(OH)2、又はこれらの混合物のような強い塩基性を有するアルカリ又はアルカリ土金属化合物、過酸化水素(H2O2)、K2S2O8、NaBO3、KO2、Na2O2、(NH4)2S2O8、Na2S2O8、KHSO5、H2SO5、(CH3)3CO2H、(C6H5CO2)2などのような過酸化物(peroxides)、HCO3H、CH3CO3H、CF3CO3H、C6H5CO3H、m-ClC6H5CO3Hなどのようなペルオキシ酸(peroxy acid)、NaOCH3、NaOCH2CH3などのようなアルカリ金属アルコキシド(alkoxide)、硝酸、硫酸、I2、FeCl3、Fe(NO3)3、Fe2(SO4)3、K3Fe(CN)6、(NH4)2Fe(SO4)2、Ce(NH4)4(SO4)4、NaIO4、KMnO4、K2CrO4などのように一般に良く知られた酸化性無機酸又は金属、非金属化合物などが使用できる。このような酸化剤を使用する時には単独又は最小限一つ以上の酸化剤を混合して使用してもよく、特にこれに限られるものではない。
【0033】
また、本発明に使用される酸化剤の種類、濃度、混合割合、混合方法によって酸化銀の形態及び粒子のサイズが異なる。
【0034】
前記の酸化段階における希釈剤としては水やメタノール、イソプロパノール、1−メトキシプロパノール、ブタノール、エチルヘキシルアルコール、テルピネオールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテートのようなアセテート類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタン、ドデカン、パラフィンオイルのような炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、四塩化炭素のようなハロゲン置換溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド又はこれらの混合溶媒などを使用することができるが、特にこれに限られるものではない。
【0035】
本発明による酸化銀の製造方法によって製造された酸化銀は球形、棒形などの多様な形態及び100乃至500nmの多様なサイズを有し、分散性に優れて電子材料用原料、抗菌剤、反応触媒、二次電池などで活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例1の方法で製造された酸化銀のSEMイメージである。
【図2】本発明の実施例2の方法で製造された酸化銀のSEMイメージである。
【図3】本発明の実施例4の方法で製造された酸化銀のSEMイメージである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明は実施例によってより詳細に説明されるが、実施例は本発明の例示に過ぎないだけで、本発明の範囲が実施例によって限られるものではない。
【0038】
<実施例>
【実施例1】
【0039】
攪拌機が取り付けられた反応器に2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート41.98g(56mmol)と分散剤として0.25gのイソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメートを77.7gのエタノールに溶解させた後、酸化銀(Kojima Chemical Co., Ltd.)5.36g(23mmol)を添加して常温で反応させた。前記反応溶液は始めに黒色の懸濁液(Slurry)で反応が進められて錯化合物が生成されることにより色が薄くなりながら透明に変わることを観察することができ、2時間反応させた結果、無色透明な溶液を得た。ここにKOH5.2g(93mmol)が溶解されているエタノール100gを1時間かけて徐々に加えた。透明な状態において反応が進行し、明るい褐色に変化し、反応が完結すると黒褐色の懸濁液を得た。この懸濁液をフィルタペーパーを用いて粒子を濾過した後、未反応の銀錯体化合物と酸化剤が完全に除去されるまでエタノールで洗滌した後、真空乾燥オーブンの下で40℃を保持したまま、減圧を行って溶媒を完全に除去してサイズが200乃至500nmである球形の酸化銀を製造した。この時、酸化銀のSEM写真を図1に図示した。
【実施例2】
【0040】
攪拌機が取り付けられた反応器に2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート41.98g(56mmol)と分散剤として0.25gのイソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメートを77.7gのエタノールに溶解させた後、酸化銀(Technic Inc.)5.36g(23mmol)を添加して常温で反応させた。前記反応溶液は始めに黒色の懸濁液(Slurry)で反応が進められて錯化合物が生成されることにより色が薄くなりながら透明に変わることを観察することができ、2時間反応させた結果、無色透明な溶液を得た。ここにNaOH3.7g(93mmol)が溶解されているエタノール100gを1時間かけて徐々に加えた。透明な状態で反応が進行し、明るい褐色に変化し、反応が完結すると黒褐色の懸濁液を得た。この懸濁液をフィルタペーパーを用いて粒子を濾過した後、未反応の銀錯体化合物と酸化剤が完全に除去されるまでエタノールで洗滌した後、真空乾燥オーブンの下で40℃を保持したまま、減圧を行って溶媒を完全に除去してサイズが100乃至300nmである球形の酸化銀を製造した。この時、酸化銀のSEM写真を図2に図示した。
【実施例3】
【0041】
攪拌機が取り付けられた反応器に2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート41.98g(56mmol)と分散剤として0.25gのイソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメートを77.7gのエタノールに溶解させた後、酸化銀(Kojima Chemical Co., Ltd.)5.36g(23mmol)を添加して常温で反応させた。前記反応溶液は始めに黒色の懸濁液(Slurry)で反応が進められて錯化合物が生成されることにより色が薄くなりながら透明に変わることを観察することができ、2時間反応させた結果、無色透明な溶液を得た。ここにKOH2.6g(46.5mmol)とNaOH1.9g(46.5mmol)が溶解されているエタノール100gを1時間かけて徐々に加えた。透明な状態で反応が進行し、明るい褐色に変化し、反応が完結すると黒褐色の懸濁液を得た。この懸濁液をフィルタペーパーを用いて粒子を濾過した後、未反応の銀錯体化合物と酸化剤が完全に除去されるまでエタノールで洗滌した後、真空乾燥オーブンの下で40℃を保持したまま、減圧を行って溶媒を完全に除去してサイズが100乃至500nmである球形の酸化銀を製造した。
【実施例4】
【0042】
実施例1において、分散剤としてイソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメートの代わりにオレイン酸(oleic acid)を同量添加して同一な方法で製造した結果、厚さが200乃至300nmである棒形の酸化銀を得た。この時、酸化銀のSEM写真を図3に図示した。
【実施例5】
【0043】
実施例2において、分散剤としてイソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメートの代わりにオレイン酸(oleic acid)を同量添加して同一な方法で製造した結果、厚さが200乃至300nmである棒形の酸化銀を得た。
【実施例6】
【0044】
実施例3において、分散剤としてイソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメートの代わりにオレイン酸(oleic acid)を同量添加して同一な方法で製造した結果、厚さが200乃至300nmである棒形の酸化銀を得た。
【実施例7】
【0045】
実施例1において、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルカルバメートの代わりにt−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート10.66g(56mmol)をエタノールの代わりに83.98gの水に溶解させた後、同一な方法でサイズが300乃至500nmである球形の酸化銀を得た。
【実施例8】
【0046】
実施例2において、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルカルバメートの代わりにt−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート10.66g(56mmol)をエタノールの代わりに83.98gの水に溶解させた後、同一な方法でサイズが300乃至500nmである球形の酸化銀を得た。
【実施例9】
【0047】
実施例3において、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルカルバメートの代わりにt−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート10.66g(56mmol)をエタノールの代わりに83.98gの水に溶解させた後、同一な方法でサイズが300乃至500nmである球形の酸化銀を得た。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は酸化銀の製造方法に関するものであって、より詳しくは銀錯体化合物を用いて多様な形態の酸化銀の微粒子を製造する方法を提供するものである。
【0049】
また、本発明の方法で製造された酸化銀は400℃以下の低い温度においても還元が生じ、分散性に優れて製造の条件によって粒子の形態及びサイズの調節が容易であり、例えば数百ナノ以下の球形や棒形などの酸化銀の製造が可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)下記化学式1で示される銀化合物及び化学式2乃至化学式4で示されるカルバミン酸アンモニウム系化合物、炭酸アンモニウム系化合物又は重炭酸アンモニウム系化合物から選ばれる1種又は2種以上の混合物を溶媒の存在下において反応させて得られる銀錯体化合物を含む前駆体溶液を製造する段階;及び
2)前記1)段階の銀錯体化合物を含む前駆体溶液に酸化剤を反応させて酸化銀を製造する段階;
とを含むことを特徴とする酸化銀の製造方法。
<化学式1>
【化1】


式中、nは1乃至4の整数であり、Xは酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、チオシアン酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、アセチルアセトン酸塩、カルボン酸塩及びその誘導体から構成された群から選ばれる置換基である。
<化学式2>
【化2】


<化学式3>
【化3】


<化学式4>
【化4】


式中、前記R1、 R2、 R3、 R4、 R5及びR6は互いに独立にそれぞれ水素、脂肪族又は脂環式(C1−C30)アルキル基、(C6−C20)アリール基、(C6−C20)アリールオキシ基、(C6−C20)アル(C1−C30)アルキル基、トリ(C1−C30)アルキルシリル基、トリ(C1−C30)アルコキシシリル基、トリ(C6−C20)アリールシリル基、アリル基又は3員乃至7員の複素環化合物基、高分子化合物基、ヒドロキシ基、(C1−C30)アルコキシ基、(C1−C30)アルキルアミノ基であり、または互いに独立にR1とR2、 R4とR5はヘテロ原子が含まれ若しくは含まれない(C2−C6)アルキレンで連結されて環を形成してもよく、前記R1、 R2、 R3、 R4、 R5及びR6のアルキル基又はアリール基は脂肪族又は脂環式(C1−C30)アルキル、(C1−C30)アルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C6−C20)アリール、トリ(C1−C30)アルキルシリル、トリ(C1−C30)アルコキシシリル、トリ(C6−C20)アリールシリル、アリル又はカルボン酸でさらに置換してもよい。
【請求項2】
前記化学式1の銀化合物は酸化銀、チオシアン酸銀、シアン化銀、シアン酸銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、リン酸銀、過塩素酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、アセチルアセトン酸銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項3】
前記R1、 R2、 R3、 R4、 R5及びR6は互いに独立に水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、ヒドロキシ、メトキシ、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、及びこれらの誘導体から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項4】
前記化学式2のカルバミン酸アンモニウム系化合物はアンモニウムカルバメート(ammonium carbamate)、エチルアンモニウムエチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウムジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミニウムヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウムモルホリンカルバメート、ピリジニウムエチルヘキシルカルバメート、ベンジルアンモニウムベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカルバメート、及びその誘導体からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であり;
前記化学式3の炭酸アンモニウム系化合物はアンモニウムカーボネート(ammonium carbonate)、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、及びその誘導体からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であり;
前記化学式4の重炭酸アンモニウム系化合物はアンモニウムビカーボネート(ammonium bicarbonate)、イソプロピルアンモニウムビカーボネート、t−ブチルアンモニウムビカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムビカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムビカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムビカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムビカーボネート、ピリジウムビカーボネート、トリエチレンジアミニウムビカーボネート、及びその誘導体からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項5】
前記1)段階の溶媒は水、アルコール類、グリコール類、アセテート類、エーテル類、ケトン類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、及びハロゲン化炭化水素類から選ばれる1種又は2種以上の溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項6】
前記溶媒は水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテート、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、メチレンクロライド、及び四塩化炭素からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合溶媒であることを特徴とする請求項5に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項7】
前記1)段階の銀錯体化合物を含む前駆体溶液は分散剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項8】
前記分散剤は樹脂;界面活性剤;1級アミン、2級アミン、又は3級アミンから選ばれるアミン化合物;下記化学式2のカルバミン酸アンモニウム系化合物;下記化学式3の炭酸アンモニウム系化合物;下記化学式4の重炭酸アンモニウム系化合物;リン化合物、硫黄化合物及び脂肪酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項7に記載の酸化銀の製造方法。
<化学式2>
【化5】


<化学式3>
【化6】


<化学式4>
【化7】


式中、前記R1、 R2、 R3、 R4、 R5及びR6は互いに独立にそれぞれ水素、脂肪族又は脂環式(C1−C30)アルキル基、(C6−C20)アリール基、(C6−C20)アリールオキシ基、(C6−C20)アル(C1−C30)アルキル基、トリ(C1−C30)アルキルシリル基、トリ(C1−C30)アルコキシシリル基、トリ(C6−C20)アリールシリル基、アリル基又は3員乃至7員の複素環化合物基、高分子化合物基、ヒドロキシ基、(C1−C30)アルコキシ基、(C1−C30)アルキルアミノ基であり、または互いに独立にR1とR2、 R4とR5はヘテロ原子が含まれ若しくは含まれない(C2−C6)アルキレンで連結されて環を形成してもよく、前記R1、 R2、 R3、 R4、 R5及びR6のアルキル基又はアリール基は脂肪族又は脂環式(C1−C30)アルキル、(C1−C30)アルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C6−C20)アリール、トリ(C1−C30)アルキルシリル、トリ(C1−C30)アルコキシシリル、トリ(C6−C20)アリールシリル、アリル又はカルボン酸でさらに置換してもよい。
【請求項9】
前記樹脂は、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、オレフィン樹脂、石油、ロジン、エポキシ樹脂、不飽和又はビニルポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、オキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂、変性シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)及び天然高分子からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項8に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項10】
前記リン化合物は下記化学式6乃至化学式8で示される化合物から選ばれることを特徴とする請求項8に記載の酸化銀の製造方法。
<化学式6>
【化8】


<化学式7>
【化9】


<化学式8>
【化10】


式中、Rは直鎖又は分岐の(C1−C20)アルキル又は(C6−C20)アリール基から選ばれる置換基である。
【請求項11】
前記硫黄化合物はブタンチオール、n−ヘキサンチオール、硫化ジエチル又はテトラヒドロチオフェンから選ばれることを特徴とする請求項8に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項12】
前記脂肪酸はパルミチン酸(palmitic acid)、ステアリン酸(stearic acid)、オレイン酸(oleic acid)、又はリノール酸(linoleic acid)から選ばれることを特徴とする請求項8に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項13】
前記2)段階において加える酸化剤は酸化性気体、過酸化物、ペルオキシ酸、酸化性無機酸、酸化性金属化合物及び酸化性非金属化合物の群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項14】
前記酸化剤は1)段階の銀錯体化合物を含む前駆体溶液内の銀モル数の0.1乃至10当量が添加されることを特徴とする請求項13に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項15】
前記酸化剤は酸素、オゾン、NaOH、KOH、Ca(OH)2、H2O2、K2S2O8、NaBO3、KO2、Na2O2、(NH4)2S2O8、Na2S2O8、KHSO5、H2SO5、(CH3)3CO2H、(C6H5CO2)2、HCO3H、CH3CO3H、CF3CO3H、C6H5CO3H、m-ClC6H5CO3H、NaOCH3、NaOCH2CH3、硝酸、硫酸、I2、FeCl3、Fe(NO3)3、Fe2(SO4)3、K3Fe(CN)6、(NH4)2Fe(SO4)2、Ce(NH4)4(SO4)4、NaIO4、KMnO4、及びK2CrO4からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項13に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項16】
前記酸化剤は水、アルコール、グリコール、アセテート、エーテル、ケトン、炭化水素、芳香族及びハロゲン化炭化水素の群から選ばれる1種以上の溶媒で希釈されることを特徴とする請求項13に記載の酸化銀の製造方法。
【請求項17】
前記溶媒は水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキシプロパノール、ブタノール、エチルヘキシルアルコール、テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン、エチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ヘキサン、ヘプタン、ドデカン、パラフィンオイル、ミネラルスピリット、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、アセトニトリル、及びジメチルスルホキシドから選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項16に記載の酸化銀の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−506239(P2011−506239A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536846(P2010−536846)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007166
【国際公開番号】WO2009/072820
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510151245)インクテック シーオー.,リミテッド. (3)
【氏名又は名称原語表記】INKTEC CO.,LTD.