説明

酸素セラピー用装置

【課題】 呼吸器系に高圧の酸素を呼吸器系に送り込むことなしに、酸素セラピー可能な酸素セラピー装置を提供する。
【解決手段】 大気圧よりも高い圧力の高圧エアを全身に付与するための酸素セラピー装置本体10と、前記酸素セラピー装置本体10に接続され、高圧エア供給源20と、から構成された酸素セラピー用装置において、酸素セラピー装置本体10は、呼吸部分が大気に開放されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素セラピー用の装置に関する。より詳しくは、スーツ状、寝袋状の装置本体で酸素セラピーを行うことが可能な酸素セラピー用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人は、大気汚染や森林伐採など地球環境的にも、血管の汚れやストレス、運動不足など体内環境的にも酸素不足に陥りがちであるといわれている。
このような酸素不足を解消するために、いわゆる酸素セラピーが行われている。
【0003】
酸素セラピーとは、一般に高圧の酸素内に身体を曝して通常の呼吸よりも多くの酸素を身体に供給するセラピーである。
血液中のヘモグロビンと結合して運ばれる結合型酸素のほかに、血液や体液に溶け込み毛細血管にも行き届きやすい溶解型酸素も増えるため身体の隅々まで効率よく酸素が供給されることによって、疲労回復やアンチエイジング(老化防止)、ダイエットなどの効果が期待できると言われている。
【0004】
このような酸素セラピーには、カプセル内の気圧を上昇させた状態で(2から3気圧)一定時間過ごすことにより、通常の呼吸で得られるよりも多くの酸素を身体に取り込むシステムが用いられている。
【0005】
通常の大気圧は1気圧で酸素濃度は約21%であるが、普通に呼吸するよりも身体への酸素供給度を上げることにより健康増進を図る。
呼吸によって取り込まれた酸素は、赤血球中のヘモグロビンと結合して末梢組織まで運ばれる(「結合型酸素」)。しかし、この結合型酸素はヘモグロピンの量より多くは運べず取り込まれる酸素量に限りがあり、また毛細血管は結合型酸素より細いので血管の汚れなどの体内環境要素とあいまって血流が悪くなりがちである。
結合型酸素のほかに血液や体液に分子のまま溶け込んで運ばれる「溶解型酸素」が微量存在する。
この「溶解型酸素」は環境気圧を高めることで血液中に溶解する酸素量を増加させることができる。
高気圧エア・カプセルは気圧をあげて溶解型酸素を増やすことで酸素供給度をあげる仕組みといる。
高気圧エア・カプセルは「高気圧エア・チェンパー」「マイルド・チェンバー」と呼ばれる健康増進機器である。従来の医療用の「高気圧酸素治療」に使用される装置とあわせておおまかに下記にまとめる。
【0006】
医療用多人数用の気室型 複数人数が入れる部屋タイプのもの 2−3気圧
医療用一人用のカプセル型 一人用で横たわって入るカプセルタイプ 2−3気圧
エア・カプセル(マイルド・チェンバー)一人用のテント型 一人用で横たわって入る持ち運びのできるポータブル型。宇宙服などに使用する素材でできていて圧があがると膨らむ。 1.2〜3気圧。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの装置は、カプセル型、テント型など装置自体がかなり大掛かりなものであり、費用がかかるという課題がある。
また、加圧下の空気を多量に呼吸器系から取り込むと活性酸素種を多量に取り込む可能性がある。
従って、本発明の課題は、呼吸器系に高圧の酸素を呼吸器系に送り込むことなしに、酸素セラピー可能な酸素セラピー装置を提供することである。
本発明の別の課題は、より安価な酸素セラピー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、次の各項目に関する。
(1) 大気圧よりも高い圧力の高圧エアを全身に付与するための酸素セラピー装置本体と、前記酸素セラピー装置本体に接続され、高圧エア供給源と、から構成された酸素セラピー用装置であって、前記酸素セラピー装置本体は、呼吸部分が大気に開放されていることを特徴とする酸素セラピー用装置。
(2) 前記酸素セラピー装置本体が、耐圧性のカプセルまたは身体の形状に沿って形成されたスーツ状であることを特徴とする(1)に記載の酸素セラピー用装置。
(3) 大気圧よりも高い圧力の高圧エアを全身に付与するための酸素セラピー装置本体と、前記酸素セラピー装置本体に接続され、高圧エア供給源と、から構成された酸素セラピー用装置であって、前記酸素セラピー装置本体が、内部に大気圧よりも高い圧力の高圧エアを保持可能な身体の形状に沿って形成されたスーツ状であることを特徴とする、酸素セラピー用装置。
【0009】
このように、スーツ状の酸素セラピー装置は前記酸素セラピー装置本体は、呼吸部分が大気に開放されている・していないに関わらず新規である。
したがって、本発明は、下記項目まで拡張される。
(4) 高圧エア供給源に接続され、前記高圧エア供給源からのエアを内部に保持して酸素セラピーを施すためのスーツであって、
前記高圧エア供給源との接続口を有しており、使用者が着用した際に前記高圧エア供給源からの大気圧よりも高い圧力の高圧エアを、保持可能な身体の形状に沿って形成されていることを特徴とする、酸素セラピー用のスーツ。
(5) 前記スーツの頭部の鼻および口に相当する部分に呼吸用のマスクを備えることを特徴とする(4)に記載の酸素セラピー用スーツ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、口、鼻等の呼吸器部分に高圧の酸素を曝すことなしに酸素セラピーを施すことができるので、高圧酸素の呼吸器への取り込みによるフリーラジカル腫の体内への過剰の取り込みを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1(a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係る酸素セラピー装置の概略図である。
【0012】
図1(a)に示す通り、本実施形態に係る酸素セラピー装置は、治療者の身体を収納可能であり、なおかつ所定圧力の酸素に対する耐圧性の容器から構成される装置本体10と、装置本体1に接続された高圧エア供給源20とから構成されている。装置本体1は、図1に示す通り身体の頭部を除く身体を収納するプラスチックのテント状の素材で構成されており、その一部に少なくとも1つの酸素導入口11を有している。頭部部分との境目には、内部に取り込んだ空気を装置外へ放出できずなおかつ身体への強い圧迫感を感じさせないように、ゴム等の弾性体により構成されている。
酸素導入口11は、1つであっても複数個あってもよく、複数個ある場合には高圧エア供給源20から分岐した配管により各酸素導入口に高圧エアを導入する。
【0013】
高圧エア供給源20は、所定圧力、例えば1.2から3気圧程度となるようなエアを導入するための従来公知のエア供給源であり、酸素ボンベであってもよく、あるいは酸素濃度を高くした濃縮酸素を供給するための供給源であってもよい。
【0014】
高圧エア供給源からのエアは、所望により図示しないヒータ等により所定温度に暖めた後に装置本体10に供給される。
【0015】
なお、高圧エア供給源20から酸素導入口11のいずれかの箇所に供給圧力を測定するためのゲージを設けることが好ましい。
【0016】
図1(b)に示す実施形態では、装置本体10の鼻および口の部分に開口部が設けられており、開口部から呼吸できる仕組みとなっている以外、図1(a)に示す実施形態と同様である。
所望に応じて、呼吸用のマスクを設けて呼吸するする構成としてもよい。
【0017】
図1(c)に示す実施形態では、装置本体10がスーツ状に形成されている実施形態であり、開口部の周辺部分は内部に取り込んだ空気を装置外へ放出できずなおかつ身体への強い圧迫感を感じさせないように、ゴム等の弾性体により構成されている。ゴム等の弾性体により構成されている。
この場合高圧エア供給源からのエアを均一に身体に導入するために複数の酸素導入口11を有することが好ましい。
【0018】
このように構成することによって、高圧エア中に含まれる活性酸素種・ラジカル種(オゾン、OHラジカル、・・・、NOラジカル)等を呼吸器系に取り込む可能性を抑えることができる。
なお、スーツ状(あるいは寝袋状)に装置本体を構成することによって、身体を包み高圧エアを保持する空間が少ないので高率よくエアを身体に吸収させることができるという利点がある。
【0019】
次に、本発明の第2実施形態を図2に基づいて説明する。
図2(a)および(b)は、本発明の第2実施形態に係る酸素セラピー装置(スーツ)の概略図である。
【0020】
図2(b)に示す実施形態では、図1(c)に示す実施形態において、スーツが頭部を含む全身を覆うように形成されている点が相異する。
さらに、図2(b)に示す実施形態では、口および鼻に相当する部分に大気と接続された呼吸用のマスク12を設け、高圧エアに曝されることなく呼吸を行うことができる構成となっている。
【0021】
このように構成することによって、非常に簡単な構成で、手軽に酸素セラピーを行うことが可能な酸素セラピー用のスーツを提供することが可能である。
しかも、口および鼻に相当する部分に大気と接続された呼吸用のマスクを設けた場合には第1実施形態と同様に高圧エア中に含まれる活性酸素種・ラジカル種(オゾン、OHラジカル、・・・、NOラジカル)等を呼吸器系に取り込む可能性を抑えることができる。さらに、スーツ状にすることによって、身体を包み高圧エアを保持する空間が少ないので高率よくエアを身体に吸収させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 図1(a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係る酸素セラピー装置の概略図である。
【図2】 図2(a)および(b)は、本発明の第2実施形態に係る酸素セラピー装置(スーツ)の概略図である。
【符号の説明】
【0023】
10 装置本体
11 酸素導入口
12 呼吸マスク
20 高圧エア供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧よりも高い圧力の高圧エアを全身に付与するための酸素セラピー装置本体と、
前記酸素セラピー装置本体に接続され、高圧エア供給源と、
から構成された酸素セラピー用装置であって、前記酸素セラピー装置本体は、呼吸部分が大気に開放されていることを特徴とする酸素セラピー用装置。
【請求項2】
前記酸素セラピー装置本体が、耐圧性のカプセルまたは身体の形状に沿って形成されたスーツ状であることを特徴とする請求項1に記載の酸素セラピー用装置。
【請求項3】
大気圧よりも高い圧力の高圧エアを全身に付与するための酸素セラピー装置本体と、
前記酸素セラピー装置本体に接続され、高圧エア供給源と、
から構成された酸素セラピー用装置であって、
前記酸素セラピー装置本体が、内部に大気圧よりも高い圧力の高圧エアを保持可能な身体の形状に沿って形成されたスーツ状であることを特徴とする、酸素セラピー用装置。
【請求項4】
高圧エア供給源に接続され、前記高圧エア供給源からのエアを内部に保持して酸素セラピーを施すためのスーツであって、
前記高圧エア供給源との接続口を有しており、使用者が着用した際に前記高圧エア供給源からの大気圧よりも高い圧力の高圧エアを、保持可能な身体の形状に沿って形成されていることを特徴とする、酸素セラピー用のスーツ。
【請求項5】
前記スーツの頭部の鼻および口に相当する部分に呼吸用のマスクを備えることを特徴とする請求項4に記載の酸素セラピー用スーツ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−56277(P2009−56277A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259219(P2007−259219)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000138060)株式会社メトラン (23)
【Fターム(参考)】