説明

酸素富化機

【課題】エネルギー効率が高く使用性の高い酸素富化機を提供することを目的とする。
【解決手段】一次電池および/または二次電池11を電力源とし、酸素富化手段2で生成される酸素富化空気を吸引手段で吸引して使用者へ酸素富化空気を吐出供給する吐出部7を有する酸素富化機であって、使用者の呼吸(呼気および/または吸気)による空気の流れを検知する空気流検知手段9を備え、制御手段8は、前記空気流検知手段の出力に応じて前記吸引手段の運転状態を制御する構成としてあり、制御手段8が、空気流検知手段9の出力に応じて吸引手段5の運転状態を制御するので、エネルギー効率が高く、簡易な構成からなる酸素富化機を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素富化手段を用いて得られる、いわゆる酸素富化空気を使用者に提供する酸素富化機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の酸素富化機としては、酸素の透過速度が窒素の透過速度より早い酸素富化膜と大気を吸引する吸引ポンプと、前記酸素富化膜通過後の酸素富化空気を放出する吐出口とを具備し、室内または使用者の口元に酸素富化空気を供給することを目的としている装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、使用者の呼吸タイミングに同調して高濃度酸素を供給する技術として、圧力センサを利用したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−136232号公報
【特許文献2】特開2004−242906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の酸素富化機では運転中は連続的に酸素富化空気を吐出しており、使用者の呼吸タイミングは考慮されておらず、吸引をしない間も吐出しており、無駄なエネルギーの消費になっていた。特に酸素富化機の電源に電池を用いた場合では、そのまま使用できる時間に影響するので、無駄なエネルギー消費がある分、使用時間が短いもしくは電池容量が大きくなり重くなるといった課題となっていた。また、圧力センサを用いて呼吸を検知するものにおいては、酸素ボンベを用いる場合など圧力が精度よく測定できる密閉型の呼吸装置には適しているが、家庭用健康機器として用いられるような酸素富化機では、密閉型の形態は使用感のわずらわしさからも取りにくく、鼻腔または口腔から比較的離れた空気吐出部を備えた開放型の形態を持っているため、適さないという課題があった。
【0004】
本発明は、これら従来の課題を解決するもので、使用者の呼吸タイミングを考慮したエネルギー効率の高い、かつ簡易な構成からなる一次電池もしくは二次電池を電源とする酸素富化機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の酸素富化機は、一次電池および/または二次電池を電力源とし、酸素富化手段で生成される酸素富化空気を吸引手段で吸引して使用者へ酸素富化空気を吐出供給する吐出部を有する酸素富化機であって、使用者の呼吸(呼気および/または吸気)による空気の流れを検知する空気流検知手段を備え、制御手段は、前記空気流検知手段の出力に応じて前記吸引手段の運転状態を制御するようにしたものである。
【0006】
これにより、使用者の呼吸タイミングを考慮して吸引手段を運転するのでエネルギー効率の高い、かつ簡易な開放型の構成からなる酸素富化機を提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の酸素富化機は、電池を電源とし、使用者の呼吸タイミングを考慮したエネルギー効率の高い、かつ簡易な開放型の構成からなる酸素富化機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、一次電池および/または二次電池を電力源とし、酸素富化手段で生成される酸素富化空気を吸引手段で吸引して使用者へ酸素富化空気を吐出供給する吐出部を有する酸素富化機であって、使用者の呼吸(呼気および/または吸気)による空気の流れを検知する空気流検知手段を備え、制御手段は、前記空気流検知手段の出力に応じて前記吸引手段の運転状態を制御するようにしたもので、これにより使用者の呼吸タイミングを考慮して吸引手段を運転するので、エネルギー効率の高い、かつ簡易な構成からなる酸素富化機を提供することができる。
【0009】
第2の発明は、一次電池および/または二次電池を電力源とし、酸素富化手段で生成される酸素富化空気を吸引手段で吸引して使用者へ酸素富化空気を吐出供給する吐出部を有する酸素富化機であって、使用者の呼吸(呼気および/または吸気)による空気の流れを検知する空気流検知手段と、前記吸引手段と前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気を貯留可能な貯留手段と、前記貯留手段から前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気の貯留手段での貯留および吐出部からの吐出を切替可能にする開閉手段とを備え、制御手段は、前記空気流検知手段の出力に応じて前記開閉手段を開閉制御するようにしたもので、目標とする吐出量を吸気する時間だけでなく呼気中に吐出部を封して貯めることができるので、エネルギー効率が高く、また酸素富化手段および吸引手段のダウンサイジングが図れる酸素富化機を提供することができる。
【0010】
第3の発明は、一次電池および/または二次電池を電力源とし、酸素富化手段で生成される酸素富化空気を吸引手段で吸引して使用者へ酸素富化空気を吐出供給する吐出部を有する酸素富化機であって、使用者の呼吸(呼気および/または吸気)による空気の流れを検知する空気流検知手段と、前記吸引手段と前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気を貯留可能な貯留手段と、前記貯留手段から前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気の貯留手段での貯留および吐出部からの吐出を切替可能にする開閉手段とを備え、制御手段は、前記空気流検知手段の出力に応じて前記開閉手段を開閉制御するとともに前記吸引手段を運転状態を制御するようにしたもので、目標とする吐出量を吸気する時間だけでなく呼気中に吐出部を封して貯めることができるので、エネルギー効率が高く、また酸素富化手段および吸引手段のダウンサイジングが図れる酸素富化機を提供することができる。
【0011】
第4の発明は、特に空気流検知手段を流量(風量)センサから構成したもので、使用者の呼吸タイミングを考慮して吸引手段を運転するので、エネルギー効率の高い酸素富化機を提供することができる。
【0012】
第5の発明は、特に制御手段が、機器の運転開始から所定時間は連続で空気流検知手段の出力信号に関わらず連続して吐出部から酸素富化空気を吐出するように運転制御するもので、使用者の呼吸タイミングが判断できるまでは連続運転を行うので、エネルギー効率が高く、かつ使用性の高い酸素富化機を提供することができる。
【0013】
第6の発明は、特に制御手段が、所定時間空気流検知手段の出力信号を観測することで使用者の呼吸周期を推定する呼吸周期推定手段と、前記呼吸周期推定手段で推定した呼吸周期情報から使用者の呼気および/または吸気開始タイミングを制定する呼吸タイミング推定手段とを備え、空気流検知手段で呼気および/または吸気を検知する前に酸素富化空気の吐出部からの吐出を制御するようにしたもので、よりスムーズに呼吸タイミングに合わせた制御ができるので、エネルギー効率が高く、かつ使用性の高い酸素富化機を提供することができる。
【0014】
第7の発明は、特に第6の発明において、制御手段が、空気流検知手段の信号の検知タイミングが呼吸周期推定手段で推定した呼吸周期から所定期間外れた場合には連続して酸素富化空気を吐出するよう制御するようにしたもので、呼吸のタイミングが何らかの理由でずれた場合にも連続運転することで一旦対応でき、エネルギー効率が高く、かつ使用性の高い酸素富化機を提供することができる。
【0015】
第8の発明は、特に第6または第7の発明において、制御手段が、空気流検知手段の信号が呼吸周期推定手段で推定した呼吸周期から所定期間連続で検知されなくなった場合には運転を停止するよう制御するようにしたもので、使用者が運転状態のまま機器から離れた場合には機器の運転を停止するので、無駄なエネルギー消費を抑えるエネルギー効率が高く、かつ使用性の高い酸素富化機を提供することができる。
【0016】
第9の発明は、特に制御手段が、空気流検知手段での検知信号または呼吸周期推定手段によって推定された呼吸タイミングを表示手段で表示する
ようにしたもので、使用者に機器が判断している呼吸タイミングが分かるので動作としての分かりやすさが増し使用性の高い酸素富化機を提供することができる。
【0017】
第10の発明は、特に第2から第9の発明において、酸素富化空気を貯留可能な貯留手段が、吸引手段の送風圧で膨張収縮可能な弾性容器で構成されているもので、呼気のタイミングでの容器の膨張による貯留と吸気のタイミングでの容器の収縮を弾性によって行うことで、酸素富化空気を使用者の呼吸に合わせてスムーズに吐出させることができ、よりエネルギー効率が高く、かつ使用性の高い酸素富化機を提供することができる。
【0018】
第11の発明は、特に第2から第9の発明において、酸素富化空気を貯留する貯留容器内の圧力を検出する貯留圧検知手段を備え、前記貯留圧検知手段の検出値が所定の値より高くなった場合には貯留されている酸素富化空気を外部へ吐出するよう制御する高圧保護手段を備えてなるもので、貯留容器への貯留が限界量を越えた場合の暴発を防ぎ、使用性の高い酸素富化機を提供することができる。
【0019】
第12の発明は、空気流検知手段が検知する空気流に応じて、酸素富化手段と吸引手段を制御して酸素富化空気の生成量を調整する生成量調整手段を備えてなるもので、空気流検知手段が検知する流量に応じて酸素富化空気の生成量を調整するので、十分以上の無駄な運転を行わず、エネルギー効率の高い酸素富化機を提供することができる。
【0020】
第13の発明は、一次電池および/または二次電池を電力源とし、酸素富化手段で生成される酸素富化空気を吸引手段で吸引して使用者へ酸素富化空気を吐出供給する吐出部を有する酸素富化機であって、前記吸引手段と前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気を貯留可能な貯留手段と、前記貯留手段から前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気の貯留手段での貯留および吐出部からの吐出を切替可能にする開閉手段と、使用者によって操作される操作部とを備え、制御手段は操作部からの信号に応じて前記開閉手段を開閉制御するようにしたもので、使用者が自らの意思で呼吸タイミングを定めて呼吸する場合に吐出のタイミングを合わすことができるエネルギー効率が高く、かつ使用性の高い酸素富化機を提供することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0023】
図1〜図7において、酸素富化機本体(以下、本体と称す)1の内部には、前記本体1内に吸引した空気の酸素の濃度を高め、いわゆる酸素富化空気を発生する酸素富化膜ユニットから構成された酸素富化手段2を内設している。有機高分子の平膜から構成されている前記酸素富化膜ユニットを通過することで空気の酸素濃度は、通過前の通常の約21%(窒素約79%)から、約30%(窒素約70%)に高められる。
【0024】
また、本体1の内部に設けられた吸引手段5は、高圧力タイプのポンプから構成され、本体1の背面に設けた吸気口3から前記本体1内の酸素富化手段2に外気を吸引し、さらに、酸素富化手段2を通じて生成された酸素富化空気を本体吐出口6からチューブ4を介して連結された吐出部7に送り込んでいる。この吸引手段5はマイクロコンピュータなどから構成された制御手段8によって制御駆動され、その電力源は制御手段8とともに本体1内収納されている電池11である。なお、この電池11は一次電池であっても充電可能な二次電池であってもよい。また、酸素富化手段2が有する酸素富化膜(図示せず)を通過しない空気、すなわち窒素濃度の高い窒素富化空気は、送風手段10により本体1の側面に設けられた排気口12aから外部へ排出している。
【0025】
図5に使用者が酸素富化空気を使用している様子を示す。この図に示す吐出部7内にフローセンサで構成された空気流検知手段9を配設し、使用者の呼気を検出できるようにする。吐出部7の詳細断面図を図6に示す。この図において、実線白抜き矢印20で示された酸素富化空気が使用者の鼻腔もしくは口腔近傍に供給され、さらに使用者の呼気が破線矢印21で示された経路を通ることで空気流検知手段9が呼気を検出し、信号線22を介して制御手段8に呼気タイミングを伝達する。同時にフローセンサを用いることにより、使用者は密閉式のような圧迫感を感じることなく、自然な呼吸を行うことができる。
【0026】
以下、その動作を説明する。
【0027】
使用者が吐出部7を支持するヘッドセットを図5のように装着して運転を開始すると、制御手段8が吸引手段5を駆動して酸素富化手段2で生成される酸素富化空気をチューブ4を介して、その先端に配設された吐出部7から使用者の鼻元に酸素富化空気を吐出する。また、空気流検知手段9は使用者の呼吸による空気流検知手段出力信号22a(以降出力信号22aと呼ぶ)を出力する。フローセンサで構成されたその出力信号22aの様子の一例は図7に示すの波形のようになる。呼気と吸気で空気の流れが逆になるので出力信号として正負の出力となり、制御手段8は呼気側の出力時間t1と吸気側の出力時間t2とが判断できるので、呼気のタイミングでは吸引手段5の運転を一時停止させ、吸気のタイミングでは運転させて酸素富化空気を供給することで、運転時間を減ずることができ、使用者に必要十分な酸素富化空気を提供しつつ、省エネルギー化を図れる。つまり、連続運転している場合と比較し、電池11が同容量なら長時間運転が可能になり、逆に、同時間動作させるための容量としては少なくでき、小型軽量化を図ることができる。すなわち簡易な開放型の構成でエネルギー効率の高い酸素富化機を提供することができる。
【0028】
なお、本実施の形態において空気流検知手段9は吐出部7に配設しているが、例えば鼻カニューラの鼻腔に挿入される2つの吐出口の内の1つを酸素富化空気吐出口として残りの一方をフローセンサの空気流路とすると使用者の呼吸検出精度アップになることは容易に考えられる。また更に、チューブ4を二重構造や2本のチューブを平行配設する構成を取れば、使用者の呼吸に伴う空気流を導入してフローセンサを本体内部に配設してマウス部の小型軽量化や空気流検知手段出力信号22a用電線等をチューブ4に沿わせて本体まで配線する必要も無くなるため、更に使い勝手が向上できることは言うまでもない。
【0029】
また、使用者に対して使用感をよくするために、まず、運転開始の第1所定時間の間は空気流検知手段9の信号の有無等にかかわらず連続して酸素富化空気を吐出するよう運転する。運転開始直後は使用者の呼吸が整っていない場合が多いことや使用開始直後は連続吐出している方が使用感が良いとの研究結果によるものである。
【0030】
さらに、図1に示すように、呼吸周期推定手段12が、呼気と吸気のタイミングt1とt2の周期を計測して周期の推定を行い、この結果から呼吸タイミング推定手段13は、呼気と吸気の切り替わりのタイミングを予測して制御手段8に信号を送り、運転と停止のタイミングを決定する。これにより、吸気が始まる直前から出力を開始することができ、より使用感をよくすることができる。
【0031】
また、何らかの原因によって使用者の呼吸のタイミングに変化があった場合には、呼吸タイミング推定手段13の出力と、空気流検知手段9の出力結果が所定期間外れた場合には一旦制御手段8は連続運転を行い、再度周期が安定し、再推定できてから間欠運転にすることでより、使用性を向上できる。
【0032】
また、呼気が所定時間感じられなくなった場合には、使用者が運転状態のまま、機器から離れたと判断し、制御手段8は運転を停止させる。これにより、電池11の無駄な消耗を抑えることができ、省エネを図ることができる。
【0033】
さらに、吸引手段5の間欠運転のタイミングの根拠となる、呼吸タイミング推定手段13の出力もしくは空気流検知手段9の出力から、使用者がそのタイミングがわかるように制御手段8は表示手段25で表示するようにして、さらに使用感を向上させることができる。表示のかわりに音による報知でも同様であることはいうまでもない。
【0034】
(実施の形態2)
以下、本発明の第2の実施の形態について図8、図9を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成については同番号を付し、説明を省略する。また図8は本体1や吐出部7を示す一点差線は省略している。
【0035】
図8、図9において、14は酸素富化空気経路の途中に設けた開閉手段で、使用者の呼気タイミングで、酸素富化空気を吐出部7側への通路を閉じ、貯留手段15へ酸素富化空気を送り込む。次に、吸気のタイミングでは吐出部7側への通路を開くことで、吸引手段5の送り出す酸素富化空気と、貯留手段15に貯められていた酸素富化空気を合わして、吐出部7すなわち使用者へ供給する。これにより、吸引手段5のみで送り込む流量に比べ、より多くの流量を得ることができる。すなわち、吸引手段を形成するポンプとして従来方式と同能力では、より大きな流量を供給することができ、あるいは、同流量を得るために従来方式より能力の小さいもので供給ができるので、エネルギー効率の高い酸素富化空気を得ることができる。特に電池による運転ではエネルギー量が限られており、運転時間をより長く得ることができる。また、小型のポンプを用いることで、携帯させる場合に機器としてより小型軽量化が図れ、使用性を向上することができる。
【0036】
また、この貯留手段15は図9に示すように弾性をもつ容器で膨張収縮できるように構成してあり、開閉手段14によって吐出部7への経路が閉じられた場合には、吸引手段5からの流入圧力で膨らみ、開閉手段14によって吐出部7への経路が開かれた場合は、その弾性によって溜め込んだ空気を押し出す構成をとることで、貯留手段15内の空気を排出する動力は不要になり、より簡易な構成で、貯留手段15による効率的な流入排出機能を実現できる。
【0037】
さらに、何らかの原因で貯留手段15内の圧力が高くなりすぎると、内部を破損したり、吐出部7から高圧力で空気を噴出する原因となるので、その圧力を検出する貯留圧検知手段16が設けてある。17は高圧保護手段で、前記貯留圧検知手段16の検出結果から貯留手段15の圧力が所定値より高くなった場合には、内部の空気を逃がして、圧力を下げるように第2開閉手段18を切り替え、本体外へ空気を漏らすようにすることで、より使用性を高くすることができる。また、貯留圧が大気圧より所定値以上高いままで、所定時間変化しない場合には、運転が停止されたと判断して第2開閉手段18を開き、通常空気圧に戻すこともできる。また、高圧保護手段17が制御手段8と信号をやり取りすることで、開閉手段14及び第2開閉手段18の故障判断も行うことができる。これにより、さらに使用者の使い勝手及びサービス性を向上することができる。
【0038】
また、19は生成量調整手段で、これは空気流検知手段9から使用者の呼吸量を判断し、必要な生成量に対して酸素富化手段2内の経路を切り替えて妥当な酸素富化膜ユニットの面積を設定し、これにあわせた吸引手段5の出力を制御することで、必要十分な量のみを生成し、エネルギー効率の高い酸素富化機を提供することができる。
【0039】
また、実施の形態1で述べた吸引手段5の間欠運転との組み合わせにより、使用環境に合わせて、電池11による運転時間あるいは電池11の容量選択、必要な酸素富化空気の生成量などの要因から運転方式を切り替え可能とすることでさらに使用性を高めることもできる。
【0040】
(実施の形態3)
以下、本発明の第3の実施の形態について図10を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成については同番号を付し、説明を省略する。また図10は本体1や吐出部7を示す一点差線は省略している。
【0041】
図10において、本実施形態の酸素富化機は空気流検知手段9を搭載しておらず、変わりに操作部23を備えている。
【0042】
使用者が操作部23を操作すると、制御手段24は操作信号を検知して操作されている間中開閉手段14を閉じ、貯留手段15に酸素富化空気を貯留する。そして使用者が操作部23から手を離すとその信号から制御手段24は開閉手段14を開いて吸引手段5から送風される酸素富化空気と貯留手段15内に貯留された酸素富化空気とを合わせて勢い良く吐出部7に送風して使用者に提供する。いわゆる手動入力による運転制御を行うもので、簡易かつ安価な構成をとりつつエネルギー効率の高い酸素富化機を実現することができる。また、恣意的な呼吸法を行うときに使い勝手がよく、効果的な酸素の摂取が可能となる。操作入力の方法としては、他にもあらかじめ時間設定するなどの方法もある。
【0043】
なお、この実施の形態では貯留手段15を用いた方法で説明を行ったが、間欠運転方式でも高いエネルギー効率が得られるのは言うまでもない。
【0044】
また、手動設定する手段である操作部23を実施の形態1や2の酸素富化機に組み込みその機能を選択設定できるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明にかかる酸素富化機は、使用者の呼吸に連動して酸素富化空気の吐出を制御することでエネルギー効率の高いものとしたので、電池を電力源として使用する酸素富化機に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1における酸素富化機のシステムブロック図
【図2】同酸素富化機の上面断面図
【図3】同酸素富化機の側面断面図
【図4】同酸素富化機の吐出部を接続した本体斜視外観図
【図5】同吐出部の使用者への使用形態を示す斜視図
【図6】同酸素富化機の吐出部の断面図
【図7】同空気流検知手段の出力波形値を示す図
【図8】本発明の実施の形態2における酸素富化機のシステムブロック図
【図9】同酸素富化機の貯留手段の断面図
【図10】本発明の実施の形態3における酸素富化機のシステムブロック図
【符号の説明】
【0047】
1 本体
2 酸素富化手段
5 吸引手段
8 制御手段
9 空気流検知手段
11 電池
12 呼吸周期推定手段
13 呼吸タイミング推定手段
15 貯留手段
16 貯留圧検知手段
17 高圧保護手段
19 生成量調整手段
23 操作部
25 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次電池および/または二次電池を電力源とし、酸素富化手段で生成される酸素富化空気を吸引手段で吸引して使用者へ酸素富化空気を吐出供給する吐出部を有する酸素富化機であって、使用者の呼吸(呼気および/または吸気)による空気の流れを検知する空気流検知手段を備え、制御手段は、前記空気流検知手段の出力に応じて前記吸引手段の運転状態を制御する酸素富化機。
【請求項2】
一次電池および/または二次電池を電力源とし、酸素富化手段で生成される酸素富化空気を吸引手段で吸引して使用者へ酸素富化空気を吐出供給する吐出部を有する酸素富化機であって、使用者の呼吸(呼気および/または吸気)による空気の流れを検知する空気流検知手段と、前記吸引手段と前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気を貯留可能な貯留手段と、前記貯留手段から前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気の貯留手段での貯留および吐出部からの吐出を切替可能にする開閉手段とを備え、制御手段は、前記空気流検知手段の出力に応じて前記開閉手段を開閉制御する酸素富化機。
【請求項3】
一次電池および/または二次電池を電力源とし、酸素富化手段で生成される酸素富化空気を吸引手段で吸引して使用者へ酸素富化空気を吐出供給する吐出部を有する酸素富化機であって、使用者の呼吸(呼気および/または吸気)による空気の流れを検知する空気流検知手段と、前記吸引手段と前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気を貯留可能な貯留手段と、前記貯留手段から前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気の貯留手段での貯留および吐出部からの吐出を切替可能にする開閉手段とを備え、制御手段は、前記空気流検知手段の出力に応じて前記開閉手段を開閉制御するとともに前記吸引手段を運転状態を制御する酸素富化機。
【請求項4】
空気流検知手段は流量(風量)センサである請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸素富化機。
【請求項5】
制御手段は、機器の運転開始から所定時間は連続で空気流検知手段の出力信号に関わらず連続して吐出部から酸素富化空気を吐出するように運転制御する構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸素富化機。
【請求項6】
制御手段は、所定時間空気流検知手段の出力信号を観測することで使用者の呼吸周期を推定する呼吸周期推定手段と、前記呼吸周期推定手段で推定した呼吸周期情報から使用者の呼気および/または吸気開始タイミングを制定する呼吸タイミング推定手段とを備え、空気流検知手段で呼気および/または吸気を検知する前に酸素富化空気の吐出部からの吐出を制御する構成とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸素富化機。
【請求項7】
制御手段は、空気流検知手段の信号の検知タイミングが呼吸周期推定手段で推定した呼吸周期から所定期間外れた場合には連続して酸素富化空気を吐出するよう制御する構成とした請求項6記載の酸素富化機。
【請求項8】
制御手段は、空気流検知手段の信号が呼吸周期推定手段で推定した呼吸周期から所定期間連続で検知されなくなった場合には運転を停止するよう制御する構成とした請求項6または7記載の酸素富化機。
【請求項9】
制御手段は空気流検知手段での検知信号または呼吸周期推定手段によって推定された呼吸タイミングを表示手段で表示する構成とした請求項1〜8のいずれか1項に記載の酸素富化機。
【請求項10】
貯留手段は、吸引手段の送風圧で膨張収縮可能な弾性容器で構成した請求項2〜9のいずれか1項に記載の酸素富化機。
【請求項11】
貯留容器内の圧力を検出する貯留圧検知手段を備え、前記貯留圧検知手段の検出値が所定の値より高くなった場合には貯留されている酸素富化空気を外部へ吐出するよう制御する高圧保護手段を備えた請求項2〜10のいずれか1項に記載の酸素富化機。
【請求項12】
空気流検知手段が検知する空気流に応じて、酸素富化手段と吸引手段を制御して酸素富化空気の生成量を調整する生成量調整手段を備えた請求項1〜11のいずれか1項に記載の酸素富化機。
【請求項13】
一次電池および/または二次電池を電力源とし、酸素富化手段で生成される酸素富化空気を吸引手段で吸引して使用者へ酸素富化空気を吐出供給する吐出部を有する酸素富化機であって、前記吸引手段と前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気を貯留可能な貯留手段と、前記貯留手段から前記吐出部との間に設けられ酸素富化空気の貯留手段での貯留および吐出部からの吐出を切替可能にする開閉手段と、使用者によって操作される操作部とを備え、制御手段は操作部からの信号に応じて前記開閉手段を開閉制御する構成とした酸素富化機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−129910(P2006−129910A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318967(P2004−318967)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)