説明

酸素富化給湯装置

【課題】浴槽水を循環させる回路に高濃度酸素を混入し、かつカランやシャワーヘッドなど端末からも溶存酸素富化水を得ることができる酸素富化給湯装置を提供する。
【解決手段】酸素富化給湯装置は、給湯回路4に高濃度酸素生成手段13で生成した高濃度酸素を混入する混入手段14を設け、溶存酸素濃度の高い湯水をシャワーヘッド8やカラン9からも使用することにより、溶存酸素濃度の高い湯水を洗髪や身体の洗浄に用いることができ、溶存酸素が毛穴や角質から浸透することで、毛根の細胞や肌細胞の活性を高めることができ、頭髪の育毛促進および美容効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水中の溶存酸素濃度を高め、カランやシャワー等の給湯端末から、溶存酸素濃度を高めた湯水を供給する酸素富化給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の酸素富化装置は、ジェットバス等の浴槽湯循環回路の湯水に高濃度の酸素を供給するものや(例えば、特許文献1)、浴槽湯中に微細気泡として高濃度の酸素を供給するもの(例えば、特許文献2、特許文献3)がある。図8は、特許文献1に記載された従来の酸素富化装置を示すもので、循環流路101を介して浴槽100の湯水を循環させるポンプ102と循環流路101に気体を供給する供給部103を設け、供給部103に酸素富化空気を供給する酸素富化装置104を設け、浴槽100には吸入口105と吐出口106を設けて構成される。さらに、溶存酸素濃度を高めた湯水には、頭髪の育毛促進効果があること(特許文献4)や水分の浸透促進効果のあることが知られている。
【特許文献1】特開平4-002347号公報
【特許文献2】特開2002-191949号公報
【特許文献3】特開2004−283810号公報
【特許文献4】特開平7-16304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の酸素富化給湯装置は、浴槽水の循環流路に高濃度の酸素を溶解させる構成であり、カランやシャワーヘッド等の給湯端末から溶存酸素濃度を高めた湯水を供給することはできなかった。そのため、通常の入浴形態では浴槽水に浸漬しない頭髪部や顔部を洗う湯水には、溶存酸素濃度を高めた湯水を供給することができなかった。
【0004】
上記課題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、一般家庭、その他で設置している給湯装置の給湯路のカランやシャワーヘッド等の給湯端末からも溶存酸素濃度を高めた湯水の供給を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の酸素富化給湯装置は、給水路と、前記給水路からの給水を加熱する加熱手段と、高濃度酸素生成手段と、前記高濃度酸素生成手段で生成した高濃度酸素を前記加熱手段で加熱した温水に混入する混入手段を備えたものであり、シャワーヘッドやカラン等の給湯端末から溶存酸素濃度の高い湯水の供給が可能となるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の酸素富化給湯装置は、溶存酸素濃度の高い湯水をシャワーヘッドやカラン等の給湯端末からも使用することができ、従って頭髪の育毛促進および美容効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明における酸素富化給湯装置は、給水路と、給水路からの給水を加熱する加熱手段と、高濃度酸素生成手段と、前記高濃度酸素生成手段で生成した高濃度酸素を加熱手段で加熱した温水に混入する混入手段を備えたものである。
【0008】
上記構成によって、給湯装置から供給されるすべての湯水の溶存酸素濃度を高めること
ができ、シャワーヘッドやカラン等の給湯端末からも、溶存酸素濃度を高めた湯水の供給を可能とすることができる。
【0009】
第2の発明における酸素富化給湯装置は、第1の発明における高濃度酸素生成手段を酸素イオン伝導体とこれを挟持する電極とを有した構成、または酸素富化膜と前記酸素富化膜を介して外気を吸引する真空ポンプとを有する構成とすることにより、電極間に電流を流すことで陽極側から純粋な酸素ガスが得られるので、酸素濃度100%の高濃度酸素を得ることができ、簡単でコンパクトな構成で高濃度溶存酸素水を供給することができる。
【0010】
また、真空ポンプにより外部空気を酸素富化膜に通すだけで酸素濃度約30%の高濃度酸素を得ることができ、安価に溶存酸素濃度を高めた湯水を得ることができる。
【0011】
第3の発明における酸素富化給湯装置は、第1の発明または第2の発明の混入手段を、高濃度酸素を微細気泡として温水に混入する加圧混入手段で構成してあり、高濃度酸素を溶解することで溶存酸素濃度を高めるだけでなく、さらに微細気泡として加圧混入することで、溶存酸素を過飽和状態にまで溶解することが可能となり、より高濃度の溶存酸素水を得ることができるとともに、微細気泡を含んだ水を供給することで、気泡がはじけるときに放出される超音波の洗浄効果を得ることができる。
【0012】
さらに、微細気泡であるため毛穴の中に入り込み洗浄を行なうため、毛穴の汚れを洗浄することで溶存酸素が毛穴から入り込みやすくなり、微細気泡と溶存酸素の相乗効果で、育毛促進効果や美容効果を高めることができる。
【0013】
第4の発明における酸素富化給湯装置は、特に第3の発明における加圧混入手段を、高濃度酸素生成手段の真空ポンプを利用して加圧混入する構成としており、簡単な構成で安価に溶存酸素濃度を高めた湯水を得ることができる。
【0014】
第5の発明における酸素富化給湯装置は、第1〜第4のいずれか1つの発明の混入手段を、給湯装置本体、シャワーヘッド、カラン等の給湯端末の直前、浴槽内噴出アダプタの直前、洗面台の少なくとも1つ以上に設けた構成としており、高濃度酸素の混入手段を湯水の噴出する端末に設けることにより、高濃度酸素が給湯端末等の近くで混入されて微細気泡のままで湯水を得られ、例えば湯水の流通路の途中で高濃度酸素を混入して一旦溶解した微細気泡が、給湯端末の近くに達した時に流通路内で析出し気泡径が大きくなることを防止することができる。
【0015】
第6発明における酸素富化給湯装置は、第1〜第5のいずれか1の発明の混入手段を給湯装置本体に設け、給湯装置本体内で混入した高濃度酸素を再び微細気泡化する微細化手段をシャワーヘッド、カラン等の給湯端末の直前、浴槽内噴出アダプタの直前、洗面台の少なくとも1つ以上に設けた構成としており、混入手段で一旦溶解した微細気泡が、給湯路等内で析出し気泡径が大きくなった場合においても、噴出直前で再度気泡を微細化することができる。
【0016】
第7発明における酸素富化給湯装置は、第6の発明の微細化手段を絞り部で構成することで、混入された高濃度酸素を再度、端末部で衝撃波により微細気泡化することができ、簡単な構成で溶存酸素富化水を得ることができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各実施の形態の説明において、同じ構成および同じ作用効果を奏する部分については同一符号を付与し、重複した詳細な説明を行わないものとする。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における酸素富化給湯装置のシステム全体の構成図で、図2は同じく第1の実施の形態における高濃度酸素生成手段の構成図である。図3は、通常入浴と溶存酸素富化水入浴後の角質水分量の変化を示した図である。図1において、給湯装置1は給水路2と給湯回路3および浴槽水の追炊き循環回路4を有する熱交換器5と、熱交換器5を加熱するバーナー6と、バーナー6に燃焼空気を送るバーナーファン7を設けている。そして、熱交換器5と、バーナー6は給水路2からの給水と浴槽水の加熱手段を構成している。
【0019】
給水路2の水は熱交換器5で加熱され湯となり、給湯回路3を経て給湯端末であるシャワーヘッド8やカラン9から供給される。また、追炊き循環回路4に設けた風呂ポンプ10で循環される浴槽水は、熱交換器5で加熱された後、追炊き循環回路4を経て浴槽内噴出アダプタとしての追炊きアダプタ11から浴槽12に供給される。
【0020】
給湯回路3には、高濃度酸素生成手段13で生成した高濃度酸素を混入する混入手段14が設けてあり、高濃度酸素生成手段13は、図2に示すように酸素イオン伝導体である固体電解質15を支持する一対の陰極側電極16と陽極側電極17とで固体電解質15を挟み、陰極側電極16を空気に曝露して固体電解質15と陽極側電極17とをケース18内に収納するとともに、陰極側電極16と陽極側電極17の間に電流を流す直流電源19を有し、陽極側電極17から発生するガスはケース18に設けたスリット20から導入する空気で希釈され酸素配管21に搬送される。
【0021】
混入手段14は、所定の流速で流体が通過することにより、前記通過箇所に負圧作用を生じさせて外部より空気を引き込むエゼクタで構成してあり、エゼクタの負圧側は逆止弁22、流量調節弁23を介して高濃度酸素生成手段13に通じる酸素配管21と接続されている。また、追炊き循環回路4の往き回路には、混入手段14の前後の給湯回路3に追炊き循環回路4の往き回路を接続する酸素付加回路24に切り替える三方弁の切り替え手段24aと、混入手段14の下流の酸素付加回路24に接続し、切り替え手段24aに連動して開閉する二方弁の切り替え手段24bが設けられている。
【0022】
そして、切り替え手段24a、24bにより、混入手段14に供給される湯水は、給湯回路3からの湯水と追い炊き循環回路4で循環する浴槽水とを切り替えられる構成となっており、図示矢印のように浴槽水を循環する際にも混入手段14を介して、浴槽水に高濃度酸素を混合することができ、追い炊きアダプタ11を介して高濃度酸素を混合した湯水が浴槽14に噴出される。
【0023】
次にその動作、作用について説明する。使用者がシャワーヘッド8もしくはカラン9から湯を得ようとした時、給湯回路3に湯水が供給されてエゼクタ14を湯水が通過した結果、エゼクタ14が機能し、エゼクタ14の負圧側に接続された酸素配管21は負圧となり、高濃度酸素生成手段13で生成された高濃度酸素を有する空気が酸素配管21内を流動して給湯回路3の湯水に気泡となって混入される。
【0024】
なお、酸素配管21には逆止弁22および流量調節弁23が設けられているため、酸素配管21内に給湯回路3の湯水が逆流することを防止でき、高濃度酸素生成手段13を保護することができる。
【0025】
一方、高濃度酸素生成手段13は、直流電源19により陰極側電極16と陽極側電極17の間に電流を流すと、曝露された陰極側電極16上では空気中の酸素が電子を受けてイオン化し固体電解質15内を酸素イオンとして移動できるようになる。そして、陽極側電
極17まで移動した酸素イオンは電子を放出して酸素ガスとなり、高濃度酸素を生成することができる。湯水に溶解する気体の量は、溶解度およびヘンリーの法則により定められており40℃のお湯に溶解することができる酸素は、最大で約40ppmであり、通常の酸素濃度20%空気に接している場合は、約8ppmとなる。
【0026】
溶解する空気の酸素濃度は、溶存酸素を高めるためには非常に重要であり、本実施の形態に示すように高濃度の酸素を混合することで、溶存酸素濃度を高めた湯水を得ることができる。
【0027】
さらに、エゼクタ16により高濃度酸素を混入することで、短時間で高濃度溶存酸素水を得ることができる、そして、シャワーヘッド8やカラン9から溶存酸素富化水を得ることができる。入浴者が溶存酸素富化水をシャワー水として使用した場合、溶存酸素が角質及び毛穴から浸透し、細胞を活性化することが可能となる。
【0028】
例えば、頭皮に使用した場合には、毛穴から毛根へと溶存酸素水が供給されることで、毛根の細胞が活性化し育毛促進効果を得ることができる。さらに、身体に使用した場合にも同様に、角質層より溶存酸素として肌に酸素が吸収され、横軸に時間、縦軸に水分量を示す図3の、通常入浴、高濃度酸素吸引入浴、溶存酸素富化水入浴のグラフのように肌への水分の浸透を促進するとともに、肌細胞を活性化することができ、肌細胞を活性化することで、細胞の新陳代謝が促進され美肌効果を得ることができる。
【0029】
すなわち、溶存酸素富化水入浴は、通常入浴および高濃度酸素を吸引しながらの入浴と比較して、入浴5分後の角層水分量が高く、溶存酸素富化水が肌への水分の浸透を促進していることを示している。
【0030】
使用者が追い炊きを行う際には、切り替え手段24a、24bの切り替え操作により追い炊き循環回路4を循環する浴槽水が酸素付加回路24に迂回することでエゼクタ14を通過し、この時に高濃度酸素が先に説明したと同じようにエゼクタ14の働きで浴槽水に供給され、浴槽水中に溶存酸素富化水を供給することが可能となり、溶存酸素富化水の美肌効果を得ることができる。
【0031】
さらに、溶解し切れなかった高濃度酸素が浴槽12の水面から空間に放出され、これを入浴者が吸入することで入浴中にも酸素不足に陥りにくくなり、長湯が可能で温浴効果を促進できる。また、酸素吸入による覚醒作用を発揮できるとともに、心拍数の増加を抑制できる。これにより、高濃度酸素の効果を最大限に発揮させて美容、かつ健康的な入浴ができるようになる。
【0032】
なお、浴室内に切り替え手段24aの切り替えと、切り替え手段24bの開閉の切り替えのためのスイッチ(図示せず)を設け、スイッチをオン、オフすることで、切り替え手段24a、24bを切り替えるとともに、風呂ポンプ10を動作させる構成とすることで、追い炊きとは別に浴槽水に高濃度酸素を供給することも可能であることはもちろんである。
【0033】
このように、一対の電極間に電流を流すだけで陽極側から高濃度の酸素ガスが得られるので、簡単な構成でコンパクトに溶存酸素富化水を得ることができ、育毛促進効果および美容効果を得ることができる。入浴中に育毛促進効果や美容効果を得るための方法としては、マッサージによる血行促進や発汗による毛穴洗浄なども有効であるが、酸素富化給湯装置を用いることで育毛促進および美容効果のある溶存酸素富化水を得ることで、入浴者は手軽に毎日継続して育毛および美容行為を行うことができる。
【0034】
なお、酸素富化給湯装置による溶存酸素富化水とマッサージや発汗などを組み合わせることでも、相乗効果を得ることができる。
【0035】
なお、本実施の形態では混入手段14として負圧作用で高濃度酸素の空気を吸引して混入するエゼクタに限定されるものではなく、高濃度酸素の空気をポンプ等で加圧して流通する湯水または浴槽水に混入する構成であってもよいことはもちろんである。
【0036】
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態における酸素富化給湯装置の構成図で、図5は同第2の実施の形態における酸素富化給湯装置の運転による使用者の心拍数の変化を示す心拍数時間変化図である。本実施の形態は、高濃度酸素生成手段を酸素富化膜で構成し、さらにエゼクタを加圧混入手段としたことで上記した実施の形態1と異なり、それ以外の構成は同じなので、異なるところを中心に説明する。
【0037】
高濃度酸素生成手段13は、酸素富化膜25と酸素富化膜25に外部からの空気を送風する送風ファン26と、真空ポンプ27で構成され、高濃度酸素生成手段13で生成した高濃度酸素が、真空ポンプ27を利用して加圧され逆止弁22、流量調節弁23を介して加圧混入手段28のエゼクタ14の負圧側に接続した酸素配管21に流れてエゼクタ14に加圧されて混入するように構成されている。すなわち、加圧混入手段28は、高濃度酸素生成手段13の真空ポンプ29を利用して高濃度酸素の空気を加圧混入する構成(点線枠で示す部分)に混入手段を構成したものである。
【0038】
以上のように構成された酸素富化給湯装置について、以下その動作・作用を説明する。使用者がシャワーヘッド8もしくはカラン9から湯を得ようと給湯回路3に湯水が流れた時、本実施の形態でいう加圧混入手段28は上記した実施の形態1でいうエゼクタ14と同じようなエゼクタ機能を有しているので、エゼクタの負圧側に接続された酸素配管21は負圧となる。さらに、エゼクタ14により吸引されるだけでなく真空ポンプ27による圧力がプラスされ、エゼクタ14に混入する空気は加圧された状態となり、給湯回路3の湯水、または酸素付加回路24を介して流れる浴槽水に酸素配管21内の空気を加圧混入することで微細な気泡として混入させることができる。
【0039】
一方、真空ポンプ27により減圧されることで外部空気が酸素富化膜25を通過し、約30%の高濃度酸素を得ることができ、高濃度酸素を微細気泡として湯水に混入することができるる。なお、酸素配管21には逆止弁22および流量調節弁23が設けられているため、酸素配管21内に給湯回路3の湯水が逆流することを防止でき、高濃度酸素生成手段13を保護することができる。
【0040】
そして、高濃度酸素を加圧混入することで微細気泡として混入することが可能となり、微細気泡とすることで気液の接触面積を大きくすることができ、短時間で溶存酸素富化水を得るとともに、微細気泡とすることで溶存酸素を過飽和状態にまで溶解することができ、より高濃度の溶存酸素溶解水を得ることができる。さらに、微細気泡を含んだ水を供給することで、気泡がはじけるときに放出される超音波の洗浄効果を得ることができる。
【0041】
さらに、微細気泡であるため毛穴の中に入り込み洗浄を行なうため、毛穴の汚れを洗浄することで溶存酸素が毛穴から入り込みやすくなり、微細気泡と溶存酸素の相乗効果で、育毛促進効果や美容効果を高めることができる。
【0042】
また、高濃度酸素生成手段を酸素富化膜とし、前記酸素富化膜に外部空気を通過させるための真空ポンプを、高濃度酸素を加圧混合するためのポンプと兼用しているから、高濃度酸素を加圧混入するための加圧混入手段の吸引力を用いて、外部空気を酸素富化膜に通
すだけで酸素濃度約30%の高濃度酸素を得ることができるので、簡単な構成で、安価に溶存酸素濃度を高めた水を得ることができる。
【0043】
入浴者が溶存酸素富化水をシャワー水として使用した場合、溶解しきれなかった微細気泡が、人体にあたりはじける際に放出される超音波の洗浄効果や、微細気泡が毛穴の中まで入り込むことで、洗浄効果を得ることができる。そして、毛穴が洗浄されたことで溶存酸素の角質及び毛穴からの浸透を促進し、細胞の活性化をさらに高めることが可能となる。例えば、頭皮に使用した場合には、微細気泡によって毛穴の汚れを除去することで、毛穴への溶存酸素富化水の浸透が促進され、さらに毛穴から毛根へと溶存酸素水が供給されることで、毛根の細胞が活性化し育毛促進効果を得ることができる。
【0044】
さらに、身体に使用した場合にも同様に、微細気泡によって毛穴の汚れを除去するとともに、角質層より溶存酸素として肌に酸素が吸収され、肌への水分の浸透を促進するとともに、肌細胞を活性化することができ、肌細胞を活性化することで、細胞の新陳代謝が促進され美肌効果を得ることができる。
【0045】
一方、切り替え手段24a、24bにより追い炊き循環回路4を循環する浴槽水に高濃度酸素を混合した場合には、浴槽水中に高濃度酸素の微細気泡が噴出され、溶存酸素富化水の美肌効果を得るとともに、浴槽水を微細気泡により白濁させることができ、視覚的にもリラックス効果を得ることができる。また、微細気泡は気泡が浮上消滅し難く湯と人体との間に存在することで人体への温度刺激が低減され、心拍の上昇が抑制される。
【0046】
さらに、溶解し切れなかった高濃度酸素は、浴槽水の水面から放出され、これを入浴者が吸入することで入浴中にも酸素不足に陥りにくくなり、安心して長湯が可能で温浴効果を促進できる。また、酸素吸入による覚醒作用を発揮できるとともに、心拍数の増加を抑制できる。これにより、高濃度酸素の効果を最大限に発揮させて美容、かつ健康的な入浴ができるようになる。 横軸に時間、縦軸に心拍数を採った図5に示した使用者心拍変化の入浴中のレベルにおいて、酸素微細気泡を発生させると通常入浴に比較して使用者の心拍数は上昇が抑えられて少ない数値になっている。
【0047】
なお、本実施の形態でいう加圧混入手段28は、実施の形態1でいうエゼクタ14の機能も有するように構成しているが、エゼクタ機能のない単に高濃度酸素を含む気体を加圧して混入する形態の加圧混入手段であっても、本実施の形態と同等の作用効果を期待できるものであり、そして加圧に高濃度酸素生成手段13の真空ポンプ27を利用して構成を簡単にしたが、別個に加圧ポンプを有する加圧混入手段にしてもよいものである。
【0048】
(実施の形態3)
図6は、本発明の第3の実施の形態における酸素富化給湯装置を示す構成図である。本実施の形態は、実施の形態2で説明した加圧混合手段28を、給湯装置本体、シャワー端末、カラン端末、浴槽内噴出アダプタの直前、洗面台の少なくとも1つ以上に設けた構成とし、さらに実施の形態1、2の酸素付加回路24、切り替え手段24a、24bの無い構成にして点で実施の形態1、2と異なり、従って異なるところを中心に説明する。
【0049】
図6において、給湯装置1は給水路2と、給湯回路3および追炊き循環回路4を有する熱交換器5と、熱交換器5を加熱するバーナー6と、バーナー6に燃焼空気を送るバーナーファン7とを設けている。そして、給水路2のは熱交換器5で加熱され湯となり、使用者はシャワーヘッド8もしくはカラン9から湯を得ようとした時、湯水が給湯回路3に供給され、給湯回路3を経てシャワーヘッド8やカラン9から供給される。また、追炊き循環回路4に設けた風呂ポンプ10で循環される浴槽水は、熱交換器5で加熱された後、追炊き循環回路4を経て追炊きアダプタ11から浴槽12に供給される。
【0050】
そして、シャワーヘッド8の直前に実施の形態1でいうエゼクタと同じ機能のエゼクタ30、カラン9の直前に実施の形態1と同じエゼクタ31、追い炊きアダプタ11の直前に実施の形態1と同じエゼクタ32が設けてあり、これらエゼクタ30、31、32の負圧側にはそれぞれ逆止弁34、33、35を介して高濃度酸素生成手段13で生成した高濃度酸素を供給するためのチューブ37、38、39と接続されている。シャワーヘッド8およびカラン9に湯水を供給する給湯回路4には、流量検知手段40、追い炊きアダプタ11の直前に設けたエゼクタ32と接続するチューブ39に遮断弁41を備えている。
【0051】
以上のように構成された酸素富化給湯装置について、以下その動作・作用を説明する。使用者がシャワーヘッド8より、湯を得ようとした場合には、シャワーヘッド8の端末直前のエゼクタ30に湯水が流れ、エゼクタ30が機能する。同様に、カラン9から湯を得ようとした場合にはエゼクタ31、さらに風呂ポンプ10が動作し、追い炊き循環回路4に湯が循環したときには、エゼクタ32が機能し、チューブ37、38、39を介して高濃度酸素生成手段13で生成した高濃度酸素を湯水に混入する。
【0052】
なお、エゼクタ30、31、32は逆止弁33、34、35を介して高濃度酸素生成手段13と接続しているため、チューブ37、38、39内に給湯回路3の湯水、追炊き循環回路4の浴槽水が逆流することを防止でき、高濃度酸素生成手段13を保護することができる。
【0053】
また、複数の箇所で同時に湯水を使用する際は、エゼクタで吸引する高濃度酸素の吸引量が減少するため、十分な高濃度酸素を混入することができなくなるので、本実施の形態ではシャワーヘッド8およびカラン9より十分な溶存酸素富化水を得るために、風呂ポンプ10が動作中であっても、流量検知手段40により、シャワーヘッド8もしくはカラン9で湯水が使用されていることを検知した際には、追炊き循環回路4の浴槽水に高濃度酸素がエゼクタ32で混入されるのを停止するため遮断弁41を遮断し、追い炊きアダプタ11の直前に設けたエゼクタ32への高濃度酸素の供給を遮断するものである。
【0054】
このように、高濃度酸素の混入手段であるエゼクタ30、31、32を、シャワーヘッド8およびカラン9、追い炊きアダプタ11の直前に設けることで、一旦溶解した微細気泡が、給水路内で析出し気泡径が大きくなることを防止することができ、確実に溶存酸素富化水を得ることができる。
【0055】
なお、実施の形態1と同様に、浴室内に切り替え手段24a、24bを切り替えるためのスイッチ(図示せず)を設け、スイッチをオンすることで、切り替え手段24a、24bを切り替えるとともに、風呂ポンプを動作させる構成とすることで、追い炊きとは別に浴槽水に高濃度酸素を供給することも可能であることはもちろんであり、その際にもシャワーヘッド8およびカラン9への溶存酸素富化水の供給を優先し、シャワーヘッド8もしくはカラン9で湯水が使用されていることを検知した際には、遮断弁41を遮断し、追い炊きアダプタ11の直前に設けたエゼクタ32への高濃度酸素の供給を遮断するものである。
【0056】
また、本実施の形態では浴室内の給湯端末に、混入手段であるエゼクタを設けた構成としたが、給湯配管の端末であれば、洗面所の洗面台ないしは台所等のカラン端末にエゼクタを設ける構成とすることで、洗面所での溶存酸素富化水による育毛促進効果や美肌効果を得ることができるとともに、台所で用いた場合には溶存酸素富化水を飲用に用いることができ、微細気泡による食器洗浄効果などを得ることができるのはもちろんである。
【0057】
また、本実施の形態では実施の形態1でいう混入手段としてエゼクタ30、31、32
を使用したが、実施の形態2でいう加圧混入手段を使用しても本実施の形態と同等の作用効果を期待できるものである。
【0058】
(実施の形態4)
図7は、本発明の第4の実施の形態における酸素富化給湯装置を示す構成図である。本実施の形態は、実施の形態2で説明した酸素付加回路24、切り替え手段24a、24b、高濃度酸素生成手段13、加圧混入手段28を給湯装置1の本体内に設け、給湯装置本体内で加圧混入した高濃度酸素を再び微細気泡化する微細化手段をシャワーヘッド8、カラン9、追い炊きアダプタ11の直前、洗面台の少なくとも1つ以上に設けた構成としていることである。
【0059】
そして、前記の湯水中の気泡の微細化手段としては、シャワーヘッド10の直前に絞り部44、カラン11の直前に絞り部45、追い炊きアダプタ13の直前に絞り部46をそれぞれ設けて構成してある。
【0060】
以上のように構成された酸素富化給湯装置について、以下その動作・作用を説明する。使用者がシャワーヘッド8もしくはカラン9から湯を得ようと給湯回路3に設けたエゼクタ機能を有する加圧混入手段28に湯水が供給された時、エゼクタ作用が機能し、エゼクタの負圧側に接続された酸素配管21は負圧となり高濃度酸素を含む気体が加圧混入手段28により湯水に混入される。さらに、加圧混入手段28のエゼクタ作用により高濃度酸素が吸引されるだけでなく、高濃度酸素生成手段13の真空ポンプ27による圧力がプラスされ加圧混入手段28に混入する空気は加圧された状態となり、給湯回路3の湯水に酸素配管21内の空気を加圧混入することで微細な気泡として混入させることができる。
一方、真空ポンプ27により減圧されることで外部空気が酸素富化膜25を通過し、約30%の高濃度酸素をえることができ、高濃度酸素を微細気泡として湯水に混入することができる。このように、給湯機本体内で生成した溶存酸素富化水は給湯回路3により、浴室内に搬送され、シャワーヘッド8およびカラン9ないしは切り替え手段24a、24bを切り替え追い炊きアダプタ11より噴出する。
【0061】
使用者がシャワーヘッド8より、湯を得ようとした場合には、シャワーヘッド8の直前に設けた絞り部42に湯水が流れ、絞り部42により湯水は再度加圧され、加圧混入手段28のエゼクタ作用で一旦溶解した微細気泡が、給湯路内で析出し気泡径が大きくなった場合においても、給湯端末直前に設けた絞り部で再度加圧することで、噴出直前に再度気泡を微細化することができ、再度、溶存酸素濃度を高めることができる。他の絞り部43、44も前記した絞り部42と同じようにして作用し、噴出直前に再度気泡を微細化することができ、再度、溶存酸素濃度を高めることができる。
【0062】
このように、本実施の形態によれば、給湯装置本体と浴室の距離が離れている場合など、配管距離が長くなり加圧混入手段で一旦溶解した微細気泡が、給湯路内で析出し気泡径が大きくなった場合においても、噴出直前で再度気泡を微細化することができるため、安定して溶存酸素富化水を得ることができる。
【0063】
さらに、微細化手段を絞り部で構成することで、加圧混入された高濃度酸素を再度、端末部で衝撃波により微細気泡化することができ、簡単な構成で、溶存酸素富化水を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように本発明にかかる酸素富化給湯装置は、高濃度酸素を微細気泡として湯水に混入することで、溶存酸素富化水を得ることができるため、水生生物の養殖用装置や、水耕栽培装置、飲料水や食品の改質装置、健康福祉機器、気液反応装置等の用途へも適用で
きる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態1における酸素富化給湯装置の構成図
【図2】同実施の形態1におけ酸素富化給湯装置の高濃度酸素生成手段の構成図
【図3】同実施の形態1における酸素富化給湯装置の浴水入浴後の肌水分変化図
【図4】本発明の実施の形態2における酸素富化給湯装置の構成図
【図5】同実施の形態2における酸素富化浴槽装置の運転時における心拍数時間変化を示す図
【図6】本発明の実施の形態3における酸素富化給湯装置の構成図
【図7】本発明の実施の形態4における酸素富化給湯装置の微細化手段の構成図
【図8】従来の微細気泡発生装置の構成図
【符号の説明】
【0066】
1 給湯装置
2 給水路
3 給湯回路
4 追炊き循環回路
5 熱交換器
6 バーナー
8 シャワーヘッド(給湯端末)
9 カラン(給湯端末)
11 追炊きアダプタ(浴槽内噴出アダプタ)
13 高濃度酸素生成手段
14 混入手段
15 固体電解質(酸素イオン伝導体)
16 陰極側電極(電極)
17 陽極側電極(電極)
25 酸素富化膜
27 真空ポンプ
28 加圧混入手段
30、31、32 エゼクタ(混入手段)
42、43、44 絞り部(微細化手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路と、前記給水路からの給水を加熱する加熱手段と、高濃度酸素生成手段と、前記高濃度酸素生成手段で生成した高濃度酸素を前記加熱手段で加熱した温水に混入する混入手段を備えた酸素富化給湯装置。
【請求項2】
高濃度酸素生成手段は、酸素イオン伝導体とこれを挟持する電極とを有する構成、または酸素富化膜と前記酸素富化膜を介して外気を吸引する真空ポンプとを有する構成にした請求項1記載の酸素富化給湯装置。
【請求項3】
混入手段は、高濃度酸素を微細気泡として温水に混入する加圧混入手段とする請求項1または2に記載の酸素富化給湯装置。
【請求項4】
加圧混入手段は、高濃度酸素生成手段の真空ポンプを利用して加圧混入する構成とした請求項3記載の酸素富化給湯装置。
【請求項5】
混入手段は、給湯装置本体、シャワー、カラン等の給湯端末の直前、浴槽内噴出アダプタの直前、洗面台の少なくとも1つ以上に設けた請求項1から4のいずれか1項に記載の酸素富化給湯装置。
【請求項6】
混入手段を給湯装置本体に設け、前記給湯装置本体内で湯水に混入した高濃度酸素を再び微細気泡化する微細化手段をシャワーヘッド、カラン等の給湯端末の直前、浴槽内噴出アダプタの直前、洗面台の少なくとも1つ以上に設けた請求項1から5のいずれか1項に記載の酸素富化給湯装置。
【請求項7】
微細化手段は、絞り部を設けた構成とする請求項6記載の酸素富化給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−82782(P2007−82782A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275694(P2005−275694)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】