説明

酸素掃去粒子の製造方法

酸化可能金属粒子(例えば元素 鉄)、酸性化電解質(例えば硫酸水素ナトリウムまたはカリウム)、および所望により水加水分解性ルイス酸(例えば塩化アルミニウム)を含有する1つまたはそれ以上の酸素掃去粒子の製造方法が開示されている。本方法は、酸化可能粒子を第1化合物で被覆する工程、次いで、第1化合物を第2化合物と反応させて第3化合物を生成させる工程を含んでなり、この第3化合物が酸化可能粒子と酸素との反応を促進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装において有用な酸素掃去粒子の製造方法に関する。特に、これらの組成物は、皮膜形成ポリマー中に導入し、次いでこれを用いて容器壁の少なくとも1つの層を作製するのに適している。また本発明は、小袋、掃去キャップおよび化学的加熱パッドにおいても適用可能である。
【背景技術】
【0002】
酸素に敏感な製品、特に、食品、飲料および医薬は、酸素の存在下に劣化または悪化する。この難題を軽減するための1つのアプローチは、物理的障壁として働き、容器壁を通る酸素の透過を減少または排除するが酸素と反応はしない「受動的」気体障壁フィルムの少なくとも1つの層を含む容器中に、そのような製品を包装することである。
【0003】
包装内側の低酸素環境を達成または維持するための別のアプローチは、急速酸素吸収材料を含むパケットを使用することである。このパケット(ポーチまたは小袋とも称される)は、製品と共に包装の内側に置かれる。小袋中の酸素吸収材料は、酸素が被包装製品と反応する前に、酸素と反応することによって被包装製品を保護する。
【0004】
パケット中で使用される酸素吸収剤または掃去材料は、包装中の酸素と化学的に反応するが、外部酸素が包装中に貫通するのを妨げない。従って、このようなパケットを用いる包装のためには、追加の保護(例えば、上記した種類の受動的障壁フィルムのラッピング)を含ませるのが普通である。小袋は液体と共に使用するのが困難であるだけでなく、それは製品コストを増加させる。
【0005】
パケットまたは小袋の欠点および制限に鑑みて、「能動的」酸素吸収剤(即ち、酸素と反応する吸収剤)を、包装物品の壁に直接導入することが提案されている。このような包装物品は、その壁を通って浸透する酸素と反応する材料を含むように配合されるので、この包装は、単に酸素の透過をブロックするのみでそれと反応はしない受動的障壁とは区別されるように、「能動的障壁」を供すると言われる。能動的障壁包装は、酸素に敏感な製品を保護するための魅力的な方法である。その理由は、酸素が外側から製品に到達するのを妨げるだけでなく、容器壁内に存在する酸素を吸収することができ、容器の充填中に導入された酸素を吸収することができるためである。
【0006】
能動的障壁包装を得るための1つのアプローチは、酸化可能金属(例えば鉄)および活性化組成物(金属と酸素との反応を、多くは水の存在下で促進する)の混合物を、適当な皮膜形成ポリマー中に導入することである。活性化組成物の例は、電解質(例えば塩化ナトリウム)、酸性化成分、電解酸性化成分、あるいは、ルイス酸(例えば塩化アルミニウム)のようなプロトン性溶媒加水分解性のハロゲン化合物である。次いで、掃去剤を含む皮膜形成ポリマーを、単層または多層物品に、例えばプレフォーム、ボトル、シートまたはフィルムに溶融加工し、最終的にこれらが硬質または軟質容器あるいは他の包装物品の酸素掃去剤含有の壁を形成する。皮膜形成ポリマーがフィルムまたはシートにされうるポリマーであることは理解されるであろう。しかし、本発明は、フィルムおよびシートに限定されない。このような皮膜形成ポリマーの例は、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエステルである。
【0007】
掃去剤を利用する容器には、ボトル壁、トレー、容器ベース、または蓋が含まれる。容器側壁および容器壁への言及が、容器の蓋、底および上側、ならびに製品周囲にラップされうるフィルム(例えば肉ラップ)にも言及していることを理解すべきである。
【0008】
酸化可能金属または金属化合物および電解質を熱可塑性の層に導入する掃去剤系を用いる1つの難しさは、酸化反応の非効率性である。高負荷量の掃去剤組成物および比較的大量の電解質を用いて、能動的障壁包装において十分な酸素吸収掃去速度および能力が得られることが多い。
【0009】
米国特許第5,744,056号によれば、鉄および塩化ナトリウムなどの系と比較して改善された酸素吸収効率を示す酸素掃去組成物が、組成物中に非電解質の酸性化成分を含有させることによって得られる。水分の存在下に、電解質と酸性化成分の組合せは、どちらか単独と比較して、金属と酸素の反応を大きく促進する。しかし、酸性化成分は、単独で使用したときに十分な酸素掃去特性を示さない。
【0010】
米国特許第5,744,013号による特に好ましい酸素掃去組成物は、鉄粉末、塩化ナトリウムおよび酸性ピロリン酸ナトリウムを、100重量部の鉄あたり約10〜150重量部の塩化ナトリウム+酸性ピロリン酸ナトリウムの量で含有する。
【0011】
これらの通常の掃去組成物は、各成分を乾燥ブレンドすることによって、または酸性化剤および塩を金属粒子上に、水性液体またはスラリーから沈着させることによって製造される。
【0012】
米国特許第5,744,056号は、酸化可能金属、電解質および酸性化成分、さらに、使用する場合には所望によるバインダー成分の混合の程度が、酸素掃去組成物の酸素吸収性能に影響を及ぼし、より良い混合がより良い性能を導くことがわかったことを教示している。混合効果は、低い電解質+酸性化成分/酸化可能金属の成分比ならびに非常に低いおよび非常に高い酸性化成分/電解質の成分比において最も顕著である。約10重量部以下の電解質+酸性化成分/100重量部の金属成分、あるいは、電解質または酸性化成分のどちらかの他方に対する重量比が約10:90を下回るときに、酸素掃去剤成分を、水性スラリー混合によって混合し、それに続いてオーブン乾燥し、微細粒子に粉砕するのが好ましい。これらの比以下で、比較的高い比において適する方法による混合は、例えば、強力粉末混合による混合(HenschelミキサーまたはWaring粉末ブレンダーにおけるような混合)、あるいは、比較的低い強力混合法による混合(ローラーまたはタンブラー上の容器におけるような混合)は、特に組成物を熱可塑性樹脂に導入し、溶融加工操作において使用するときに、酸素吸収のばらつきを導くことがある。他の条件が同じなら、米国特許第5,744,056号は、スラリー混合によって製造した酸素掃去組成物が最も高い酸素吸収効率または性能を有し、これに、強力固体ミキサーおよびローラー/タンブラー混合法を用いて製造した組成物が順に続くことを教示している。
【0013】
米国特許第4,127,503号は、電解質を水に溶解し、この溶液を酸化可能成分(例えば鉄)と接触させ、次いで水を組成物から除去することを教示している。この方法は、水に溶解する塩には適しているが、プロトン性溶媒(例えば水)の存在下に加水分解する塩には適さない。例えば塩化アルミニウムは、水の存在下に塩酸および水酸化アルミニウムに加水分解するであろう。
【0014】
国際特許出願PCT/EP2004/008982(2004年8月11日提出)は、活性化組成物を、実質的に水分を含まない有機溶液に溶解し、この溶液を酸化可能金属と接触させ、次いで溶媒を除去することによって、ある種のプロトン性溶媒加水分解性の活性化組成物を、酸化可能成分上に配置しうることを教示している。
【0015】
日本特許出願10-131379(「反応性材料のための鉄粉末およびその製造」と題する)は、熱塩素または塩化水素ガスを鉄粉末に接触させることにより、[sic]塩化第二鉄の表面になる被覆層を有する鉄粉末において0.1〜2重量%の塩素を含有する被覆層を設けることを教示している。このようにして、塩化第二鉄が鉄粉末の表面に形成されるようにする。
【0016】
この蒸気相-固相反応は、鉄と種々ガスの反応生成物に限定される。この特定の開示は酸化剤が鉄の反応生成物であることを必要とするので、実施者は、鉄に基づく塩と鉄の動力学によって制限される。塩化アルミニウムと鉄のような異種金属には、この方法は利用できない。
【0017】
国際公開WO2006/015982は、プロトン性溶媒加水分解性の活性化組成物を、酸化可能金属上に蒸気流から沈着させうることを教示している。
【0018】
米国特許第6,899,822号は、酸性化電解質(例えば硫酸水素ナトリウム)を塩化ナトリウムおよび鉄の存在下に使用することを教示している。この場合、電解質は水に溶解し、これは、反応するかまたは水によって加水分解されて異なるものになるのとは対照的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、酸素掃去粒子の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の酸素掃去粒子の製造方法は、以下の工程を含んでなる:
(A)前駆体化合物である第1化合物を、酸化可能粒子上に沈着させ;ここで、該第1化合物は、反応性化合物である第2化合物と反応して、酸性化電解質である第3化合物を生成することができ、該第3化合物は、酸化可能粒子と酸素との反応を開始することができ;
(B)第1化合物が沈着した該酸化可能粒子を、第2化合物に、該第2反応性化合物が該第1化合物と反応するに十分な条件下で暴露して、第3化合物を生成させる;ここで、該第3化合物は、酸化可能粒子および第3化合物を水に暴露したときに酸化可能粒子と酸素との反応を開始することができる。
【0021】
さらに開示されているのは、第1化合物が金属水酸化物であり、これを、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群から選択してよいこと、および第2化合物がSO3であることである。
【0022】
また開示されているのは、酸性化電解質を有する粒子を、水加水分解性ルイス酸を酸化可能粒子上に沈着させるさらなる工程に暴露する追加工程である。さらに開示されているのは、水加水分解性ルイス酸を、四塩化チタン、四塩化スズ、ならびに、POCl3、SOCl2、SCl2、S2Cl2、PCl3、PSCl3、PBr3、POBr3、PSBr3、PCl5、PBr5、SiCl4、GeCl4、SbCl5、AlCl3、FeCl2、FeCl3、AlBr3、SbCl3、SbBr3、およびZrCl4からなる群から選択することである。
【0023】
また開示されているのは、酸素掃去粒子の製造方法であって、以下の工程を含んでなる方法である:
(A)第1化合物を酸化可能粒子上に沈着させ;ここで、該第1化合物は、第2化合物と反応して第3化合物を生成することができ、該第3化合物は、第4化合物と反応して第5化合物を生成することができ、該第5化合物は、酸化可能粒子と酸素との反応を開始しうる酸性化電解質であり;
(B)第1化合物が沈着した該酸化可能粒子を、第2化合物に、該第2化合物が該第1化合物と反応するに十分な条件下で暴露して、第3化合物を生成させ;
(C)第3化合物を有する該酸化可能粒子を、第4化合物に、該第3化合物が該第4化合物と反応するに十分な条件下で暴露して、第5化合物を生成させる;ここで、該第5化合物は、酸化可能粒子および第3化合物を水に暴露したときに酸化可能粒子と酸素との反応を開始しうる酸性化電解質である。
【0024】
また開示されているのは、酸性化電解質を有する粒子を、水加水分解性ルイス酸を酸化可能粒子上に沈着させるさらなる工程に暴露する追加工程である。さらに開示されているのは、水加水分解性ルイス酸を、四塩化チタン、四塩化スズ、ならびに、POCl3、SOCl2、SCl2、S2Cl2、PCl3、PSCl3、PBr3、POBr3、PSBr3、PCl5、PBr5、SiCl4、GeCl4、SbCl5、AlCl3、FeCl2、FeCl3、AlBr3、SbCl3、SbBr3、およびZrCl4からなる群から選択することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
酸化可能成分、好ましくは還元原子価状態の酸化可能金属(例えば、鉄、コバルト、アルミニウム、銅、亜鉛、マンガン、およびマグネシウム)を酸性化電解質と共に含有する酸素掃去組成物を、本明細書中に開示した方法により製造することによって、乾燥ブレンド法の欠陥を克服することができると考えられる。
【0026】
通常の酸素掃去系は、酸化可能成分(例えば酸化可能金属)および活性化組成物を含有するであろう。この活性化組成物は、酸化可能成分と酸素との反応を促進または開始する1つの化合物または多数の化合物であってよい。この活性化組成物の不存在下では、酸化可能成分と酸素との反応は、わずかしか存在しないかまたは全く存在しない。従って、その試験は、酸化可能金属が、活性化組成物の存在下で、活性化成分の不存在下と比較して、一定時間により多くの酸素と反応するか否かである。誘発可能な系(例えば、水を要求する成分を要求する系)の場合、活性化組成物、酸化可能金属および水を含有する組成物の酸素消費速度を、酸化可能金属および水の酸素消費速度と比較する。
【0027】
明瞭化のために、活性化組成物の成分は、酸素との反応に関与するかまたは該反応を触媒する実際の化合物である必要はないが、水との反応に関与するかまたは該反応を触媒する化合物を生成させる反応に関与するであろう。例えば、水加水分解性ルイス酸である塩化アルミニウムの場合、この塩化アルミニウムは水と反応して塩酸を生成し、金属と酸素との反応を実際に促進するのはこの塩酸であると考えられる。別の仮説は、この塩酸が反応して、酸素と酸化可能金属との反応の既知活性化物質である塩化鉄を生成するというものである。
【0028】
従って、活性化組成物は、水の存在下で酸化可能金属の反応を開始するのが好ましいと考えられる。これは組成物を誘発可能にするであろう。このような組成物を含む容器は、それが充填され、包装された品物の水が容器壁に移動し、容器壁における酸化可能成分と酸素との反応を開始するまで、酸素と反応しないであろう。
【0029】
用語「酸素と酸化可能金属との反応を開始する」は、水と活性化組成物の存在下に、活性化組成物を含まない水の存在下でよりも、酸化可能金属が酸素に対してより高い反応性になることを意味する。
【0030】
水接触によって開始される酸素との反応のために、この組成物は、水分の存在下での反応を促進することが必須である。水分は、液体との直接接触または周囲の空気または蒸気からの吸収によってもたらされる。水を要求することは、組成物を誘発可能にすることである。
【0031】
典型的な適用において、水、即ちプロトン性溶媒は、包装された品物(例えばビールまたはジュース)からもたらされるであろう。組成物が容器の壁に結合されていると、水が包装された品物から組成物に移動し、酸化可能成分と酸素(壁の外側から内側に通る)との反応を開始する。
【0032】
誘発可能であるためには、活性化組成物は、酸性化電解質および所望によりプロトン性溶媒(例えば水)加水分解性化合物、例えばルイス酸を含有しているべきである。プロトン性溶媒加水分解性化合物の中で、ハロゲン(例えば塩素および臭素)を含む化合物が好ましい。
【0033】
米国特許第5,885,481号(この特許の教示は本明細書の一部を構成する)は、非ハロゲン化酸性化電解成分を使用する利点を教示している。以下のものが適する非ハロゲン化化合物であると考えられ、種々の電解無機酸およびその塩、例えば、スルファミン酸、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、および亜硫酸水素ナトリウムを包含する。このような物質の組合せを使用することもできる。硫酸水素ナトリウムまたはカリウム(NaHSO4、KHSO4)が特に有効な酸性化電解質であると考えられ、これらを、記載される方法に従って製造することができる。
【0034】
本方法は、酸性化電解質を、2つの化合物、好ましくは固体および非固体(液体または気体)の反応によって得ることができるという知見を包含する。この固体は、溶媒に可溶性であるか、または気相から酸化可能粒子上に蒸着されうることが必要である。
【0035】
液体または気相のいずれかから最初に沈着する固体は、第1化合物または前駆体化合物として知られる。硫酸水素ナトリウムおよび硫酸水素カリウムに基づく以下の例は、方法を説明するものである。硫酸水素ナトリウムは、硫酸と水酸化ナトリウムの反応生成物であり、酸化可能成分の粒子の存在下に硫酸を水酸化ナトリウムと反応させ、水を除去し、酸化可能粒子に硫酸水素ナトリウムを沈着させることが提案されている。この反応は、水または硫酸が酸化可能金属を攻撃することが多く、困難である。
【0036】
しかし、本方法によれば、最初に、第1化合物または前駆体を金属水酸化物として、溶液から酸化可能粒子上に沈着させる。これは、各前駆体(NaOH、KOH)を水または別の適する溶媒に溶解し、この溶液中に酸化可能粒子を入れることによって容易に達成されるであろう。次いで、溶解した化合物、溶媒、および酸化可能粒子を含む容器を加熱することによって、または減圧にすることによって、溶媒を除去することができる。好ましくは、容器を回転させて混合を行うべきである。
【0037】
酸化可能粒子が高多孔性である場合、例えばスポンジ鉄または他の粉末化金属である場合、減圧は、酸素を除去し、溶液を鉄の孔に強いるであろう(これは、乾燥ブレンド中には為されないことである)。少量の界面活性剤を添加して、溶液が受ける表面張力阻害を抑えることができる。
【0038】
噴霧乾燥機を使用することが、第1化合物の薄い被覆を酸化可能粒子上に沈着させる別の方法である。
【0039】
また、溶液から鉄への沈着を、米国特許第5,416,159号(この特許の教示はその全体が本明細書の一部を構成する)に記載される以下の方法に従って行うこともできる。
【0040】
1つの方法は「乾燥真空-圧力」法であり、この方法においては、金属粒子を密閉容器に入れ、この容器を真空にかけて(例えば2〜10トルで10〜15分間)、乾燥粒子の孔中に捕捉された空気を逃がす。溶解した化合物を含む液体を、貯留器から容器に入れて、粒子の孔を被覆および充填する。次いで、真空を解放し、圧力を液体シーラントレベルまで適用して(例えば100psiの空気で10〜15分間)、溶液をさらに孔中に押し込む。この後に、過剰の溶液を排出し、粒子を乾燥させる。
【0041】
別の沈着法は、「乾燥真空」法であり、この方法においては、金属粒子を密閉容器に入れ、この容器を真空にかけて(例えば2〜10トルで10〜15分間)、粒子の孔中に捕捉された空気を逃がす。次いで、粒子を、液体溶液中に沈めるかまたは液体溶液に浸して、粒子を覆い、孔を満たし、そして大気圧で10〜15分間にわたり「浸漬」し、これに続いて、過剰の溶液を排出し、粒子を乾燥させる。
【0042】
効率的な乾燥真空装置は、我々の米国特許第4,479,986号(1984年10月30日発行)に記載されている(乾燥真空含浸法のさらに詳しい説明については、この特許の開示が本明細書の一部を構成する)。
【0043】
金属粒子の含浸のための別の普通に実施されている方法は、いわゆる「湿潤真空」法であり、これには、囲まれた含浸タンク中の液体溶液の浴中に粒子を沈める工程、および次いでタンクを十分に低い真空(例えば2〜10トルで10〜15分間)まで排気して粒子の孔中に捕捉された空気のほとんどを逃がすことを可能にし、こうして孔に液体溶液を充填しうるようにする工程が含まれる。次いで、含浸タンク中の真空を解放し、粒子をタンクに移し、そこで過剰の溶液を排出し、粒子を乾燥させる。
【0044】
溶媒を追い出した後に、酸化可能粒子(好ましくは元素金属粒子)は、第1化合物、この場合には金属酸化物(NaOH、KOH)で被覆されているはずである。次いで、この粒子を、第2化合物、いわゆる反応性化合物に暴露する。この反応性化合物は、酸化可能粒子の表面の化合物と反応して酸性化電解質を生成する化合物である。この反応性化合物が必ずしも第1化合物または前駆体化合物と反応性である訳ではないことに注意するのが重要である。ほとんどの場合にそうなるはずであるが、第1化合物を酸化可能粒子上に配置し、それを第2化合物と反応させ、次いで該中間体を反応性化合物と反応させて酸性化電解質を得ることもできると考えられる。
【0045】
金属水酸化物前駆体との硫酸水素塩を調製する場合、反応性化合物としてSO3を用いて金属水酸化物オキシドと反応させて、それぞれの硫酸水素塩を生成させることができる。
【0046】
沈着した前駆体化合物を有する酸化可能成分の第2化合物または反応性化合物(SO3)への暴露は、当分野で既知の多くの方法によって行うことができる。1つの方法は、SO3を加熱し、それを蒸気流中に入れ、そして該蒸気を粒子上に、十分な時間、所望量の硫酸水素塩が酸化可能成分の表面上に生成するまで通すことである。このSO3を窒素と混合して、酸化可能粒子を流動化し、反応中の粘着および凝集を妨げるようにすることもできる。スポンジ鉄が使用されるときには、前駆体金属水酸化物とSO3との反応は、孔中でも起こり、乾燥ブレンドを用いては配置することができない領域に硫酸水素塩を配置するであろう。
【0047】
反応性化合物と反応させる化合物を有する酸化可能粒子を暴露する別の方法は、粒子を、反応性化合物を含む液体中に入れることである。例えば、SO3を、液体として維持することもできる。粒子の分離を維持するために、液体中に窒素を吹き込むこともできる。
【0048】
定義により酸性化電解質は、希水溶液において酸性pH(即ちpH7未満)を生じ、水分の存在下に実質的に陽イオンおよび陰イオンに解離する少なくとも1つの固体化合物からなり、酸化可能成分と酸素との反応を促進するので、上記方法はあらゆる酸性化電解質で機能するはずである。酸化可能金属成分と同様、酸性化電解質成分は、包装される製品に悪影響を及ぼすことなく、包装に使用することができるはずである。本発明の組成物を含むか、またはそれを熱可塑性樹脂と共に使用する用途のために、成分は、溶融配合および加工に耐えるに十分な熱安定性を有しているはずである。
【0049】
反応性化合物またはあらゆる相互作用するであろう中間化合物への暴露は、沈着した化合物と反応性化合物との反応を引き起こすに十分な温度および圧力(または真空)において行わなければならない。SO3および水酸化ナトリウムまたはカリウムの場合、100℃の温度が十分であろう。圧力は、SO3を所望の温度で蒸気相中に維持するように十分に低い。暴露時間は、十分量の所望の反応生成物を生成するのに必要な時間に基づいて実験的に決定される。
【0050】
酸性化電解質の好ましい量は、硫酸水素ナトリウム+鉄の重量に対して、5重量% 硫酸水素ナトリウムのモル当量ないし17重量% 硫酸水素ナトリウムのモル当量の範囲内である。本方法を使用することにより、1〜2重量% 硫酸水素ナトリウム程度に低いモル当量が有効であろうと考えられる。
【0051】
以下の表は、それぞれの酸性化電解質のための可能な前駆体および反応性成分を示すものである。
【表1】

【0052】
次いで、得られた酸化可能成分/硫酸水素ナトリウムの粒子を、以下に記載するように、その上に蒸気相から水加水分解性ルイス酸(例えば塩化アルミニウム)を沈着させることによって、さらに所望により加工することができる。
【0053】
多くのプロトン性溶媒加水分解性化合物、例えば、四塩化チタン、四塩化スズ、ならびに、POCl3、SOCl2、SCl2、S2Cl2、PCl3、PSCl3、PBr3、POBr3、PSBr3、PCl5、PBr5、SiCl4、GeCl4、およびSbCl5は、室温で液体であり、容易に沸騰する。他のプロトン性溶媒加水分解性化合物、例えば、AlCl3、FeCl2、FeCl3、AlBr3、SbCl3、SbBr3、およびZrCl4は、比較的低い温度で昇華する。
【0054】
好ましいプロトン性溶媒加水分解性ハロゲン化合物は、ハロゲン化物、特に塩化物および臭化物であり、より好ましくはAlCl3、AlBr3、FeCl2、FeCl3、FeBr2、FeBr3、TiCl4、SnCl4、およびPOCl3である。
【0055】
本方法の好ましい態様は、種々の沈着法を用いて組成物の単一粒子を創製することである。例えば、国際公開WO2006/015982(この文献の教示はその全体が本明細書の一部を構成する)は、いかに活性化組成物の1つの成分を蒸気相から酸化可能成分上に沈着させうるかについて教示している。
【0056】
また塩化アルミニウムを、有機溶媒(例えばエタノール)から沈着させることもできる。勿論、そのような溶媒が粒子から酸性化電解質を溶解しないという条件のもとである。塩化アルミニウムは、1000部の元素鉄に対して10〜400部の塩化アルミニウムの範囲内の量で、元素鉄上に沈着される好ましい水加水分解性ルイス酸である。蒸着した塩化アルミニウムについては、1000部の元素鉄あたり50〜100部の塩化アルミニウムが最適であることがわかった。
【0057】
塩化アルミニウムの量は、鉄を含む活性化組成物の乾燥ブレンドに対しては、さらに多いことが予想される。
沈着法または乾燥ブレンドのいずれかについて、プロトン性溶媒加水分解性ルイス酸の好ましい量は、塩化アルミニウム+鉄の重量に対して、5重量% 塩化アルミニウムのモル当量ないし40重量% 塩化アルミニウムのモル当量の範囲内である。
【0058】
国際公開WO2006/015982に記載されているように、蒸着法は、2つの擬-単位操作を必要とする。第1の単位操作または工程は、酸化可能成分を、活性化組成物の少なくとも1つの成分を含有する蒸気相と接触させる工程である。次の単位操作または第2工程は、活性化組成物の成分を、酸化可能成分上に液体または固体として凝縮または脱昇華させる蒸着工程である。
【0059】
通常、活性化組成物の1つの成分を、温度および/または圧力を操作することによって活性化組成物を沸騰、噴射または昇華させることにより、蒸気流中に入れる。この気化させた活性化組成物を酸化可能粒子と接触させ、酸化可能粒子と接触すると、活性化組成物は、凝縮または脱昇華により、蒸気流から酸化可能成分上に沈着する。
【0060】
本方法は、酸素および水分を含まない環境において最良に実施されることに注意すべきである。また、接触の親密性のゆえに、活性化組成物の必要量は、先行技術が示す量よりも実質的に少ない。活性化組成物と酸化可能成分の所望の比率は、過度の実験を行うことなく試行錯誤によって容易に決定することができる。当業者は、異なる活性化組成物レベルおよび比率の種々の粒子を調製し、結果を分析し、そして活性化組成物中の成分の量を増加または減少させて所望の酸素掃去活性を達成すればよいだけである。
【0061】
また、酸化可能成分が、いくつかの化合物または化合物の混合物であってよいことにも注意すべきである。さらに、活性化組成物はただ1つの化合物に限定されることもない。追加の物質(例えばバインダーおよび水吸収剤)を、初めに酸化可能粒子上に配置し、この粒子を蒸着にかけることもできる。
【0062】
組成物が創製されたなら、それを皮膜形成ポリマーマトリックス中に分散させることができる。蒸着した酸素掃去粒子をポリマーマトリックス中に分散させた後には、酸化可能成分を含む粒子を含有する全てのポリマー空隙またはカプセルが、活性化組成物をも含有するであろう。対照的に、活性化成分および酸化可能成分の乾燥ブレンドがポリマーマトリックス中に導入されたときには、独立した粒子が近接して存在しないことが多く、塩を鉄から隔てるポリマーが、障壁を創製し、これが粒子を酸素掃去剤として実質的に有効ではないものにする。
【0063】
酸化可能粒子は、好ましくは50μm未満、より好ましくは45μm未満、さらに好ましくは32μm未満、最も好ましくは25μm未満の平均粒径を有する。ナノ-金属を使用することもできる。ナノ-錆を、国際公開WO2006/015982に記載のように還元し、次いで前駆体で処理し、続いて反応性成分に暴露することもできる。
【0064】
鉄が、コストの理由から好ましい金属である。電解還元したアニールまたは非アニールの鉄が好ましいが、カルボニル鉄および一酸化炭素または水素還元したスポンジ鉄も適している。水素および一酸化炭素還元した形態の鉄は、一般に電解還元した鉄よりも反応性が低いことに注意すべきである。また、酸化可能成分が元素(0原子価状態)形態にある必要はない。例えば、Fe(II)を含む化合物が、本方法において使用するのに適すると考えられる。
【0065】
コストの理由から鉄が好ましい酸化可能成分であるが、コバルト、スズ、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウムおよび亜鉛の全てが本発明の方法の候補である。実施者は、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛は、水または水酸化物と反応する可能性があるので、沈着のために特別の方法を必要とすることに注意すべきである。
【0066】
酸化可能成分(特に金属)は100%純粋である必要はない。少量の合金元素、例えば、ニッケル、クロム、ケイ素および他の化合物が存在することができる。例として鉄を用いて、鉄と少量の他の金属との混合物を使用することができる。鉄に基づく掃去組成物を、皮膜形成ポリマー(好ましくは芳香族ポリエステル)から作製された容器の壁に、100万重量部ポリマーあたり500〜10000重量部の量で、好ましくは100万部ポリマーあたり1000〜6000部の量で導入する。審美的な理由から、最大許容量は、100万部の皮膜形成ポリマーあたり3500〜5000部の掃去組成物であろう。ナノスケール掃去剤の場合、200〜2000ppmが十分であろう。不透明な包装において使用するときには、掃去組成物の量は、全ポリマー+掃去組成物の5重量%程度に高くてもよい(95gのポリマー、5gの掃去組成物)。
【0067】
本方法は、皮膜形成ポリマーにおいて使用する粒子の製造に利用されるであろう。皮膜形成ポリマーの中で、ポリエステルが好ましい。皮膜形成ポリマーの他の例は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリ塩化ビニルである。適するポリエステルには、4〜約40個の炭素原子を含む芳香族、脂肪族または脂環式ジカルボン酸および2〜約24個の炭素原子を含む脂肪族または脂環式グリコールから製造されるものが含まれる。
【0068】
皮膜形成ポリマーは、溶融粘度が、固有粘度が0.45dl/g、中間供給固有粘度が0.49〜0.59dl/gまたはより好ましくは0.52〜0.56dl/gであるポリエチレンテレフタレートの溶融粘度に等しいか、またはそれより大きいポリマーである。
【0069】
ポリマーは、供給固有粘度が0.59〜0.69dl/g、より好ましくは0.61〜0.64dl/gの範囲内であるポリエステルボトル樹脂であってよく、ボトルのための通常の固有粘度は、0.72〜0.84dl/g、より好ましくは0.74〜0.82dl/gの範囲内である。包装トレーのための通常の固有粘度は、0.60〜1.50dl/g、より好ましくは0.89〜0.95dl/gの範囲内である。ポリマーの測定固有粘度は単一値であるが、該値は、種々の分子鎖長の複合物を示すものであることに注意すべきである。
【0070】
使用するポリエステルは、当分野で周知の通常の重合操作によって製造することができる。ポリエステルポリマーおよびコポリマーは、例えば、ジオールとジカルボン酸またはその対応するジエステルとの反応を含む溶融相重合によって製造することができる。複数のジオールおよび二塩基酸の使用によって得られる種々のコポリマーを使用することもできる。1種類のみの化学組成の反復単位を含むポリマーはホモポリマーである。同じ巨大分子中に2つまたはそれ以上の化学的に異なる反復単位を含むポリマーは、コポリマーと称される。反復単位の多様性は、最初の重合反応中に存在する異なる種類のモノマーの数に依存する。ポリエステルの場合、コポリマーは、1つまたはそれ以上のジオールと1つまたは複数の二塩基酸との反応を包含し、ときにはターポリマーと称されることもある。
【0071】
上記したように、適するジカルボン酸には、約4〜約40個の炭素原子を有するものが含まれる。具体的なジカルボン酸には、次のものが含まれる(これらに限定はされない):テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル-4,4'-ジカルボン酸、1,3-フェニレンジオキシ二酢酸、1,2-フェニレンジオキシ二酢酸、1,4-フェニレンジオキシ二酢酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸など。具体的なエステルには、次のものが含まれる(これらに限定はされない):種々の異性体のフタル酸およびナフタル酸ジエステル。
【0072】
これらの酸またはエステルを、好ましくは約2〜約24個の炭素原子を含む脂肪族ジオール、約7〜約24個の炭素原子を含む脂環式ジオール、約6〜約24個の炭素原子を含む芳香族ジオール、または4〜24個の炭素原子を含むグリコールエーテルと反応させることができる。適するジオールには、次のものが含まれる(これらに限定はされない):エチレングリコール、1,4-ブテンジオール、トリメチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、レゾルシノールエトキシエチルエーテル、およびヒドロキノンエトキシエチルエーテル。
【0073】
また、多官能性コモノマーを、通常は約0.05〜約3モル%の量で使用することもできる。適するコモノマーには、次のものが含まれる(これらに限定はされない):無水トリメリト酸、トリメチロールプロパン、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、およびペンタエリトリトール。また、ポリエステルを形成するポリ酸またはポリオールを使用することもできる。さらに、ポリエステルおよびコポリエステルのブレンドも、本発明において有用であろう。
【0074】
1つの好ましいポリエステルは、テレフタル酸またはそのエステルとエチレングリコールとのほぼ1:1の化学量論的反応によって得られるポリエチレンテレフタレート(PET)である。別の好ましいポリエステルは、ナフタレンジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコールとのほぼ1:1〜1:1.6の化学量論的反応によって得られるポリエチレンナフタレート(PEN)である。さらに別の好ましいポリエステルは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)である。また、PETのコポリマー、PENのコポリマー、およびPBTのコポリマーも好ましい。重要な具体的コポリマーおよびターポリマーは、イソフタル酸またはそのジエステル、2,6-ナフタル酸またはそのジエステル、および/またはシクロヘキサンジメタノールの組合せを含むPETである。
【0075】
通常、カルボン酸またはエステルとグリコールとのエステル化または重縮合反応は、触媒の存在下に行う。適する触媒には、次のものが含まれる(これらに限定はされない):酸化アンチモン、アンチモン三酢酸、アンチモンエチレングリコレート、有機マグネシウム、酸化スズ、チタンアルコキシド、ジブチルスズジラウレート、および酸化ゲルマニウム。これらの触媒を、酢酸または安息香酸の亜鉛、マンガン、またはマグネシウム塩と組合せて使用することもできる。アンチモンを含む触媒が好ましい。別の好ましいポリエステルは、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)である。これは、例えば、1,3-プロパンジオールと少なくとも1つの芳香族二塩基酸またはそのアルキルエステルとを反応させることによって製造することができる。好ましい二塩基酸およびアルキルエステルには、テレフタル酸(TPA)またはテレフタル酸ジメチル(DMT)が含まれる。即ち、PTTは、好ましくは少なくとも約80モル%のTPAまたはDMTのいずれかを含有する。このようなポリエステルにおいて共重合させうる他のジオールには、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、および1,4-ブタンジオールが含まれる。イソフタル酸およびセバシン酸が、コポリマーを製造するために芳香族および脂肪族酸を同時使用する例である。
【0076】
PTTを製造するための好ましい触媒には、チタンおよびジルコニウム化合物が含まれる。適する触媒性チタン化合物には、次のものが含まれる(これらに限定はされない):チタンアルキレートおよびその誘導体、チタン錯体塩、ヒドロキシカルボン酸とのチタン錯体、二酸化チタン-二酸化ケイ素-共沈物、水和アルカリ含有の二酸化チタン。具体的な例には、テトラ-(2-エチルヘキシル)-チタネート、テトラステアリルチタネート、ジイソプロポキシ-ビス(アセチル-アセトナト)-チタン、ジ-n-ブトキシ-ビス(トリエタノールアミナト)-チタン、トリブチルモノアセチルチタネート、トリイソプロピルモノアセチルチタネート、テトラ安息香酸チタネート、アルカリチタンオキサレートおよびマロネート、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、ならびに、酒石酸、クエン酸または乳酸とのチタン錯体が含まれる。好ましい触媒性チタン化合物は、チタンテトラブチレートおよびチタンテトライソプロピレートである。また、対応するジルコニウム化合物を使用することもできる。
【0077】
本発明を用いるポリマーは、少量のリン化合物(例えば、リン酸塩または亜リン酸塩の形態のリン化合物)、ならびに触媒(例えば、青色を与える傾向があるコバルト化合物)を含有することもできる。
【0078】
上記した溶融相重合に続いて結晶化工程を行い、次いで固相重合(SSP)工程を行って、ある種の物品(例えばボトル)の製造に必要な固有粘度を達成することができる。この結晶化および重合は、回分式の系において回転式乾燥機反応で行うことができる。
【0079】
多くの場合に、掃去剤を溶融重合工程の直後に導入し、掃去剤を含有するポリマーを固相重合にかけるのが有利である。
【0080】
別法によれば、結晶化および重合を連続固体状態法で行うことができ、これによれば、ポリマーは、各容器における予め決めた処理の後に、1つの容器から別の容器に流れる。結晶化条件には、好ましくは約100℃〜約150℃の温度が含まれる。固相重合条件には、好ましくは約200℃〜約232℃、より好ましくは約215℃〜約232℃の温度が含まれる。固相重合は、固有粘度を所望レベルまで高めるのに十分な時間にわたり行ってよく、これは用途に依存するであろう。典型的なボトル適用のために、好ましい固有粘度は、ASTM D-46033-86により30℃でフェノールとテトラクロロエタンの60/40(重量)混合物において測定して、約0.65〜約1.0デシリットル/グラムである。この粘度に到達するのに必要な時間は、約8〜約21時間の範囲内であろう。
【0081】
本発明の1つの態様において、本発明の皮膜形成ポリマーは、リサイクルポリマー(例えば、消費者廃棄または産業廃棄ポリエステル)またはリサイクルポリエステルに由来する物質(例えば、ポリエステルモノマー、触媒、およびオリゴマー)を含んでいてもよい。他の皮膜形成ポリマーの例には、ポリアミド、ポリカーボネート、PVCおよびポリオレフィン(例えばポリエチレンおよびポリプロピレン)が含まれる。
【0082】
酸素掃去組成物を、熱可塑性ポリマー配合または溶融加工操作(例えば、その押出セクション)に直接加えることができ、その後に、溶融した混合物を物品加工ラインに直接進めることができる。
【0083】
別法によれば、組成物を、マスターバッチ濃厚物ペレット中に混ぜ込むことができ、このペレットを、所望の物品にさらに加工するための包装用ポリマー中にさらに導入することができる。
【0084】
ポリエステル樹脂中の濃厚物は、好ましくは100部の樹脂あたり20部以上の酸素掃去組成物を含有するが、この濃厚物は、100部あたり5〜10部程度の少ない量を含有することもできる。本発明の酸素-掃去剤を導入した少なくとも1つの壁を有する容器が、好ましい物品である。カップ、ポーチ、箱、ボトル、蓋およびラップフィルムも、このような壁の例である。延伸および未延伸のフィルムが、容器壁の定義に含まれる。
【0085】
また、1つまたはそれ以上の受動的気体障壁層を本発明の1つまたはそれ以上の層と組合せて使用することにより、能動的および受動的酸素障壁特性の両方を有する物品を提供することも意図されている。さらに、受動的障壁および酸素掃去組成物の両方が、同一層にあることもできる。
【0086】
分析方法
促進された酸素吸収試験-ポリマー試料
鉄を含有する組成物のボトル側壁試料を、鋳型を用いて予め決めたサイズに切断し、側壁試料の重量を0.01gの位で記録する。試料を、20mlのガスクロマトグラフィーバイアルに入れる。このバイアルを、乾燥または活性化して分析する。活性化(湿潤)試料は、2mlの水性0.001M 酢酸をバイアル内に入れることによって活性化し、その後に密閉する。側壁試料を50℃で保存する。個々のバイアルの酸素消費を、規定の時間間隔で対照に対して、ガスクロマトグラフィーにより分析する。
【0087】
固有粘度
60/40のフェノール/テトラクロロエタン中に可溶性である中間分子量および低結晶性のポリ(エチレンテレフタレート)および関連ポリマーの固有粘度は、0.1gのポリマーまたは粉砕ペレットを25mlの60/40 フェノール/テトラクロロエタン溶液に溶解し、溶液の粘度を30℃±0.05において、同温度の溶媒に対して、Viscotek粘度計を用いて測定することによって決定した。固有粘度を、相対粘度に基づきBillmeyerの式を用いて算出した。
【0088】
フェノール/テトラクロロエタン中に可溶性ではない高分子量または高結晶性のポリ(エチレンテレフタレート)および関連ポリマーの固有粘度は、0.1gのポリマーまたは粉砕ペレットを25mlの50/50 トリフルオロ酢酸/ジクロロメタンに溶解し、溶液の粘度を30℃±0.05において、同温度の溶媒に対して、Type OC Ubbelohde粘度計を用いて測定することによって決定した。固有粘度を、Billmeyerの式を用いて算出し、直線回帰を用いて変換し、60/40のフェノール/テトラクロロエタン溶媒を用いて得られた結果と調和する結果を得た。直線回帰は次の通りである:
【数1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素掃去粒子の製造方法であって、以下の工程を含んでなる方法:
(A)前駆体化合物である第1化合物を、酸化可能粒子上に沈着させ;ここで、該第1化合物は、反応性化合物である第2化合物と反応して、酸性化電解質である第3化合物を生成することができ、該第3化合物は、酸化可能粒子と酸素との反応を開始することができ;
(B)第1化合物が沈着した該酸化可能粒子を、第2化合物に、該第2反応性化合物が該第1化合物と反応するに十分な条件下で暴露して、第3化合物を生成させる;ここで、該第3化合物は、酸化可能粒子および第3化合物を水に暴露したときに酸化可能粒子と酸素との反応を開始することができる。
【請求項2】
第1化合物が金属水酸化物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応性化合物がSO3である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1化合物が、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
反応性化合物がSO3である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
粒子を、水加水分解性ルイス酸を酸化可能粒子上に沈着させるさらなる工程に暴露する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
水加水分解性ルイス酸が、四塩化チタン、四塩化スズ、ならびに、POCl3、SOCl2、SCl2、S2Cl2、PCl3、PSCl3、PBr3、POBr3、PSBr3、PCl5、PBr5、SiCl4、GeCl4、SbCl5、AlCl3、FeCl2、FeCl3、AlBr3、SbCl3、SbBr3、およびZrCl4からなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
酸素掃去粒子の製造方法であって、以下の工程を含んでなる方法:
(A)第1化合物を酸化可能粒子上に沈着させ;ここで、該第1化合物は、第2化合物と反応して第3化合物を生成することができ、該第3化合物は、第4化合物と反応して第5化合物を生成することができ、該第5化合物は、酸化可能粒子と酸素との反応を開始しうる酸性化電解質であり;
(B)第1化合物が沈着した該酸化可能粒子を、第2化合物に、該第2化合物が該第1化合物と反応するに十分な条件下で暴露して、第3化合物を生成させ;
(C)第3化合物を有する該酸化可能粒子を、第4化合物に、該第3化合物が該第4化合物と反応するに十分な条件下で暴露して、第5化合物を生成させる;ここで、該第5化合物は、酸化可能粒子および第3化合物を水に暴露したときに酸化可能粒子と酸素との反応を開始しうる酸性化電解質である。
【請求項9】
粒子を、水加水分解性ルイス酸を酸化可能粒子上に沈着させるさらなる工程に暴露する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
水加水分解性ルイス酸が、四塩化チタン、四塩化スズ、ならびに、POCl3、SOCl2、SCl2、S2Cl2、PCl3、PSCl3、PBr3、POBr3、PSBr3、PCl5、PBr5、SiCl4、GeCl4、SbCl5、AlCl3、FeCl2、FeCl3、AlBr3、SbCl3、SbBr3、およびZrCl4からなる群から選択される請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2009−527351(P2009−527351A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555801(P2008−555801)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051766
【国際公開番号】WO2007/096422
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(502214480)エンメ エ ジ・ポリメリ・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (16)
【Fターム(参考)】