説明

重力式下方搬送装置

【課題】 重力をエネルギー源として用いることにより、構造が簡単でかつ人工的なエネルギーを要することなく、しかも上位搬送手段と同一方向に被搬送物を搬送する下位搬送手段に、直接被搬送物を荷渡しすることができる重力式下方搬送装置を提供する。
【解決手段】 回転体2に巻回されるとともに、この回転体2から下位搬送手段側Bへと下方に延在し、回転体2の回転に伴って上下に移動する牽引部材3aと、この牽引部材3aに連結されて牽引部材3aと共に上下に移動する荷受台4と、回転体2に巻回されて下方に延在し、回転体2の回転に伴って牽引部材3aとは逆方向の上下に移動するカウンタ牽引部材3bと、このカウンタ牽引部材に連結されたカウンターウエイト5と、回転体2の上方に払い出し部A1から荷受台4へと漸次下方に傾斜して設けられ、上位搬送手段Aから払い出された被搬送物Wを荷受台4へと案内する案内部材16とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を上位置から下位置に順次搬送することが可能な重力式下方搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被搬送物を、例えば所定の高さに位置するベルトコンベヤからこれより一段低い位置のベルトコンベヤに搬送する場合があり、この場合には上位ベルトコンベヤと下位ベルトコンベヤとの間に下方搬送装置を設けることになる。
【0003】
この場合、上記下方搬送装置としては、通常、上位ベルトコンベヤから被搬送物を荷受けするとともに、当該被搬送物を下方に搬送して下位ベルトコンベヤに荷渡しする荷受台と、この荷受台を上下に移動可能にする上下移動機構と、この上下移動機構を介して荷受台を上下に駆動するモータや空圧シリンダ等を備えたもので構成することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記下方搬送装置においては、上述のように、モータや空圧シリンダ等の人工的なエネルギ(例えば、電力や空圧等)を利用する装置を備えることになるので、構造が複雑になると共に、当該装置に対して電力や空圧等の人工的なエネルギーを供給する必要が生じるという問題があった。
【0005】
また、上記従来の下方搬送装置にあっては、荷受台が上下移動機構によって、下方に移動するのみであるために、上位ベルトコンベヤから搬送されてきた被搬送物を、同一の方向に向けて下位ベルトコンベヤで搬送する場合には、一旦荷受台から払い出された上記被搬送物を180°水平方向に回転させて、下位ベルトコンベヤに荷渡しする必要がある。
【0006】
このため、装置が複雑化するとともに、被搬送物を180°回転させるためにも、別途電力等の人工的なエネルギーを要するという問題点があった。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、重力をエネルギー源として用いることにより、構造が簡単でかつ人工的なエネルギーを要することなく、しかも上位搬送手段と同一方向に被搬送物を搬送する下位搬送手段に、直接被搬送物を荷渡しすることができる重力式下方搬送装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の重力式下方搬送装置は、被搬送物を搬送する上位搬送手段の払い出し部と、この上位搬送手段の下方に荷受け部が設けられた下位搬送手段との間に設けられ、上記上位搬送手段から払い出された上記被搬送物を下方に搬送して上記下位搬送手段に荷渡しする重力式下方搬送装置であって、上記上位搬送手段の払い出し部よりも下方に配置される回転体に巻回されるとともに、当該回転体から上記下位搬送手段側へと下方に延在し、上記回転体の回転に伴って上下に移動する牽引部材と、この牽引部材に連結され、上記被搬送物が載荷されるとともに上記牽引部材と共に上下に移動する荷受台と、上記回転体に巻回されるとともに、当該回転体から下方に延在し、上記回転体の回転に伴って上記牽引部材とは逆方向の上下に移動するカウンタ牽引部材と、このカウンタ牽引部材に連結され、被搬送物が載荷されていない空の状態の上記荷受台を上記回転体および上記牽引部材を介して上方に駆動可能な重さで、かつ被搬送物が載荷された状態の上記荷受台を上記回転体および上記牽引部材を介して下方に移動可能にする重さに設定されたカウンターウエイトと、上記回転体の上方に上記払い出し部から上記荷受台へと漸次下方に傾斜して設けられ、上記上位搬送手段から払い出された上記被搬送物を上記荷受台へと案内する案内部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記荷受台は、上記被搬送物の載荷姿勢を保持させるレールに案内されて上下に移動可能に構成されており、上記レールは、その下方位置に、上記荷受台から上記被搬送物を上記下位搬送手段へと払い出すべく当該荷受台の先端を下方に傾斜させる払出案内部を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記カウンターウエイトの移動速度を制限する制動手段を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記回転体が、上記案内部材の下方に水平方向に設けられた2以上の小回転体からなることを特徴とするものである。
なお、上記各請求項に記載の発明で示す上下は、垂直方向に沿う上下方向であっても、
垂直方向に対して傾斜する方向に沿う上下方向であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜4のいずれかに記載の発明によれば、荷受台が空の状態であれば、当該荷受台が上方に移動し、カウンターウエイトが下方に移動することになる。そこで、上位搬送手段から被搬送物が払い出されると、当該被搬送物は、案内部材によって回転体を上方から跨ぐようにして下位搬送手段側へと案内され、荷受台に荷渡しされる。この結果、載荷された荷受台が自重によって下方に移動するとともに、カウンターウエイトが上方に移動することになる。
【0013】
次いで、この下方に位置した状態の荷受台から被搬送物が下位搬送手段に荷渡されると、荷受台に作用する重力の低減により、当該荷受台が上方に移動するとともに、カウンターウエイトが下方に移動する。そこで再び、上位搬送手段から荷受台に被搬送物が荷渡しされると、当該荷受台が降下することになる。これにより、上述した被搬送物の搬送作業が繰り返し行われることになる。
【0014】
従って、電力や空圧等の人工的なエネルギーを使用することなく、被搬送物を順次下方に搬送することができる。しかも、モータや空圧シリンダ等の人工的なエネルギーを用いた装置を必要としないので、例えば電気配線や、空圧配管や、荷受台を所定の位置で停止させるべく制御するリミットスイッチや、その他の制御装置等々の付帯設備が不要になる。従って、構造が極めて簡単になると共に、コストの低減を図ることができる。しかも、上述したモータや空圧シリンダ等の作動に伴う騒音や振動の発生を防止することができるという利点がある。
【0015】
加えて、上位搬送手段から払い出された被搬送物を、案内部材によって回転体を上方から跨ぐようにして下位搬送手段側へと案内して荷受台に載荷するようにしている結果、下方に移動した荷受台が下位搬送手段の荷受け部と対向することになるために、直接下位搬送手段に荷渡しをすることにより、そのまま下位搬送手段によって上位搬送手段と同一方向に被搬送物を搬送することができる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明によれば、レールによって荷受台を上記被搬送物の載荷姿勢を保持させた状態で安定的に移動することができる。しかも、レールの下方位置に、荷受台から被搬送物を払い出すべく荷受台を傾斜させる払出案内部が備えられているので、レールの下方位置に達した荷受台から被搬送物を自動的に払い出すことができる。したがって、被搬送物を荷受台から例えば下位搬送手段に荷渡しする際にも、電力等の人工的なエネルギーが消費されるのを防止することができる。
【0017】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、カウンターウエイトの移動速度を制限する制動手段を備えているので、有積の状態の荷受台が降下する速度や、空の状態の荷受台が上昇する際に、重力加速度によって過度に移動速度が上昇することを抑制することにより、当該移動速度を一定の速度以下に抑えることができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明によれば、上記回転体として、上記案内部材の下方に水平方向に2以上の小回転体を用いることにより、容易に上位搬送手段の払い出し部と荷受台との高さ寸法を小さくすることができる。この結果、案内部材の傾斜角度を小さくして、円滑に上位搬送手段から払い出された被搬送物を荷受台へと案内することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜3は、本発明を実施するための最良の形態を示すものである。
この実施の形態で示す重力式下方搬送装置は、ワーク(被搬送物)Wを搬送する上位ベルトコンベヤ(上位搬送手段)Aの払い出し部A1と、この上位ベルトコンベヤAの下方に荷受け部B1が設けられた下位ベルトコンベヤ(下位搬送手段)Bとの間に設けられて、上位ベルトコンベヤAから払い出されたワークWを下方に搬送して下位ベルトコンベヤBに直接荷渡しするものである。
【0020】
この重力式下方搬送装置は、フレーム1と、このフレーム1の上部であって払い出し部A1の直下に水平に配置した2組の小径のプーリ(回転体、小回転体)2と、これらプーリ2に巻回されるとともに、下位ベルトコンベヤB側へと下方に延在し、プーリ2の回転に伴って上下に移動するワイヤ(牽引部材)3aと、このワイヤ3aに連結されて一体的に上下方向に移動する荷受台4と、プーリ2に巻回されるとともに上位ベルトコンベヤA側において下方に延在し、プーリ2の回転に伴ってワイヤ3aの移動方向とは逆の上下方向に移動するカウンタワイヤ(カウンタ牽引部材)3bと、このカウンタワイヤ3bに連結され、ワークWが載荷されていない空の状態の荷受台4をプーリ2およびワイヤ3aを介して上方に駆動可能な重さで、かつワークWが載荷された状態の荷受台4をプーリ2およびワイヤ3aを介して下方に移動可能にする重さに設定されたカウンターウエイト5とから概略構成されたものである。
【0021】
ここで、フレーム1は、基礎部G上を移動可能な車1aを備えた台車1b上に構成されている。
また、ワイヤ3aとカウンタワイヤ3bとは、図1に示すように、連続する1本のワイヤで構成されており、プーリ2の溝に約1/4円周巻回して下位ベルトコンベヤB側に垂れ下がる側がワイヤ3aとなっており、他方のプーリ2の溝に約1/4円周巻回して上位ベルトコンベヤA側に垂れ下がる側がカウンタワイヤ3bとなっている。そして、これらワイヤ3a、3bは、互いの下端部同士が連結されて無端状に形成されるとともに、下部プーリ6によって案内されている。
【0022】
他方、2組のプーリ2は、図1に示すように、フレーム1の上端部に、上位ベルトコンベヤAの払い出し方向(水平方向)に向けて間隔を置いて配設されている。また、これらプーリ2は、図2および図3に示すように、各々フレーム1の幅方向の中央部に配置されており、軸方向を水平に向けてフレーム1に回転自在に設けられた回転支持軸2aに、同軸に一体的に連結されている。
【0023】
また、荷受台4は、荷受部7と、この荷受部7の基端側に位置する支持部8と、支持部8に設けられた4つのローラ9とから構成されている。
荷受部7は、図3に示すように、四角形状の上面部7aを有している。また、荷受部7には、上面部7aに載置したワークWを荷受部7の基端部と先端部とを結ぶ先後方向Aに移動自在にする図示しないローラコンベア(滑走手段)が設けられている。
【0024】
他方、支持部8は、図1および図2に示すように、荷受部7の基端部からこれに対して下方にL字状となるように当該荷受部7に一体的に形成されている。また、荷受部7と支持部8とは、図示されない筋交い状の補強部材によって補強されている。
【0025】
また、ローラ9は、支持部8の幅方向の両側部8aにおいて、各々上端部および下端部の2カ所、合計4カ所に配置されている。ここで、上端部のローラ9は、支持部材8の前面側に設けられ、下端部のローラ9は、支持部材8の裏面側に設けられている。そして、これらのローラ9は、回転軸を水平方向に向けて各側部8aに取り付けられたボールベアリングによって構成されており、当該ボールベアリングにおける硬質の外輪が転輪としてそのまま利用されている。
【0026】
そして、荷受台4は、フレーム1の幅方向両側に設置された一対のレール10に案内されて上下に移動可能になっている。
各レール10は、図3に示すように、ウエブ10aおよびこのウエブ10aの左右に配置されたフランジ10bによって断面がコ字状に形成されており、対向する各フランジ10bの内面で荷受台4の各ローラ9を回転自在に支持するようになっている。
【0027】
また、各レール10は、図1に示すように、直線部11と、この直線部11の下端部に位置する傾斜部(払出案内部)12とによって一体的に形成されている。直線部11は、ウエブ10aおよびフランジ10bが直線状に延在するように形成されている。傾斜部12は、少なくとも荷受部7と反対側のフランジ10bが下方に向かうにしたがって漸次荷受部7から離れる方向に湾曲するように形成されている。なお、荷受部7側のウエブ10bも同様に湾曲するように形成してもよい。
【0028】
そして、各レール10は、直線部11が垂直方向に延在すべく設置されており、直線部12に位置する荷受部7を水平に保持しながら垂直方向に案内するようになっているとともに、傾斜部12に移動した荷受台4に対して、荷受部7からのワークWの払い出しを可能にすべく当該荷受部7をその先端部が下方となるように傾斜させるようになっている。
【0029】
ここで、フレーム1の下部には、下位ベルトコンベヤBの荷受け部B1に向けて水平に突出して、傾斜する荷受部7の先端を支承する支持板13が設けられている。
【0030】
また、カウンターウエイト5は、鋼等の比重の大きな金属で略円柱状に形成されたものであり、ワークWが載荷されていない空の状態の荷受台4をプーリ2およびワイヤ3a、3bを介して上方に駆動可能な重さで、かつワークWが載荷された状態の荷受台4を下方に移動可能にする重さに設定されている。
【0031】
さらに、このカウンターウエイト5の上方に位置するフレーム1には、有底円筒状のウエイト案内管14が立設されており、このウエイト案内管14の底部には、付加ウエイト(カウンターウエイトの速度制動手段)15が載置されている。また、ウエイト管14の底板には、ワイヤ3bが挿通される孔部14aが穿設されている。そして、この孔部14aの内径は、カウンターウエイト5の外径よりも大きく、かつ付加ウエイト15の外径よりも小さく設定されている。
【0032】
他方、フレーム1の上端部には、プーリ2を跨ぐようにして略平板状の案内部材16が設けられている。この案内部材16は、上位ベルトコンベヤA側の端部16aが、この上位ベルトコンベヤAの搬送ベルトよりも若干下方に位置し、かつ荷受台4側の端部16bが、荷受部7の基端部の若干上方に位置するように、払い出し部A1から荷受台4へと漸次下方に傾斜するように設けられている。
【0033】
以上の構成からなる重力式下方搬送装置においては、荷受台4が空の状態になると、カウンターウエイト5が下方に移動するのに連れて、荷受台4が上方に移動することになる。そこで、上位ベルトコンベヤAの払い出し部A1からワークWが払い出されると、当該ワークWは、傾斜する案内部材16上を滑り、プーリ2を上方から跨ぐようにして荷受台4の荷受部7上に荷渡しされる。この結果、載荷された荷受台4が自重によって下方に移動するとともに、カウンターウエイト5が上方に移動することになる。
【0034】
この際に、荷受台4が降下するに連れて、重力加速度により次第にその移動速度が上昇するが、これに伴ってカウンターウエイト5がウエイト案内管14の孔部14aを通過すると、上方に位置する付加ウエイト15を同伴する。これにより、カウンターウエイト5側の重量が増加するために、荷受台4の降下が制動力を受け、よって荷受台4が降下する速度を一定の速度以下に抑えることができる。
【0035】
そして、荷受台4がレール10の直線部11に案内されて垂直に降下した後、傾斜部12に至ると、支持部9の下端部に設けられたローラ9が湾曲するフランジ10bに案内されることにより、荷受部7がワークWの払い出しが可能な程度まで傾斜して先端部が支持板13によって支承され、停止することになる。これにより、ワークWが荷受台4から下位置に配置された下位ベルトコンベヤBに重力により荷渡しされる。
【0036】
次いで、荷受台4からワークWが下位ベルトコンベヤBに荷渡されると、荷受台4に作用する重力の低減により、カウンターウエイトおよび付加ウエイト15によって荷受台4が上方に移動する。そして、カウンターウエイト5および付加ウエイト15がウエイト案内管14の底部まで移動すると、付加ウエイト15のみをウエイト案内管14の底部に残して、カウンターウエイト5のみが荷受台4が上方の荷受け位置に復帰するまで降下する。
【0037】
そこで再び、上位ベルトコンベヤAから荷受台4にワークWが荷渡しされると、当該荷受台4が降下することになり、これにより上述したワークWの搬送作業が繰り返し行われることになる。
【0038】
以上のように、上記重力式下方搬送装置によれば、電力や空圧等の人工的なエネルギーを使用することなく、ワークWを順次下方に搬送することができる。しかも、モータや空圧シリンダ等の人工的なエネルギーを用いた装置を必要としないので、例えば電気配線や、空圧配管や、荷受台を所定の位置で停止させるべく制御するリミットスイッチや、その他の制御装置等々の付帯設備が不要になる。従って、構造が極めて簡単になるとともに、コストの低減を図ることができる。しかも、上述したモータや空圧シリンダ等の作動に伴う騒音や振動の発生を防止することができるという利点がある。
【0039】
加えて、上位ベルトコンベヤAから払い出されたワークWを、案内部材16によってプーリ2を上方から跨ぐようにして下部ベルトコンベヤB側へと案内して荷受台4に載荷するようにしている結果、下方に移動した荷受台4が下位ベルトコンベヤBの荷受け部B1と対向することになる。このため、直接荷受台4から下位ベルトコンベヤBにワークWを荷渡しすることにより、そのまま下位ベルトコンベヤBによって上位ベルトコンベヤAと同一方向にワークWを搬送することができる。
【0040】
この際に、レール10によって荷受台4をワークWの載荷姿勢を保持させた状態で安定的に移動することができる。しかも、レール10の下方位置に傾斜部12を形成して、荷受台4からワークWを払い出すべく荷受台4を傾斜させているので、レール10の下方位置に達した荷受台4からワークWを自動的に払い出すことができる。したがって、ワークWを荷受台4から下位ベルトコンベヤBに荷渡しする際にも、電力等の人工的なエネルギーが消費されるのを防止することができる。
【0041】
さらに、カウンターウエイト5が上昇する途上に、付加ウエイト15を設けているので、有積の状態の荷受台4が降下する速度や、空の状態の荷受台4が上昇する際に、重力加速度によって過度に移動速度が上昇することを抑制することにより、当該移動速度を一定の速度以下に抑えることができる。
【0042】
また、案内部材16の下方に、水平方向に2組のプーリ2を配置しているので、容易に上位ベルトコンベヤAの払い出し部A1と荷受台4との高さ寸法を小さくすることができ、よって案内部材16の傾斜角度を小さくすることにより、円滑に上位ベルトコンベヤAから払い出されたワークWを荷受台4へと案内することができる。
【0043】
一方、全体が車1aを備えた台車1b上に構成されているので、上位ベルトコンベヤAや下位ベルトコンベヤBを配置換えするようなことがあっても、当該配置換えに伴って、重力式下方搬送装置の設置位置を自由に変更することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態として示した重力式下方搬送装置の要部破断正面図である。
【図2】同重力式下方搬送装置を示す要部側面図である。
【図3】同重力式下方搬送装置を示す要部平面図である。
【符号の説明】
【0045】
2 プーリ(回転体、小回転体)
3a ワイヤ(牽引部材)
3b カウンタワイヤ(カウンタ牽引部材)
4 荷受台
5 カウンターウエイト
7 荷受部
8 支持部
9 ローラ
10 レール
11 レールの直線部
12 レールの傾斜部(払出案内部)
15 付加ウエイト
A 上位ベルトコンベヤ(上位搬送手段)
1 払い出し部
B 下部ベルトコンベヤ(下位搬送手段)
1 荷受け部
W ワーク(被搬送物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送する上位搬送手段の払い出し部と、この上位搬送手段の下方に荷受け部が設けられた下位搬送手段との間に設けられ、上記上位搬送手段から払い出された上記被搬送物を下方に搬送して上記下位搬送手段に荷渡しする重力式下方搬送装置であって、
上記上位搬送手段の払い出し部よりも下方に配置される回転体に巻回されるとともに、当該回転体から上記下位搬送手段側へと下方に延在し、上記回転体の回転に伴って上下に移動する牽引部材と、
この牽引部材に連結され、上記被搬送物が載荷されるとともに上記牽引部材と共に上下に移動する荷受台と、
上記回転体に巻回されるとともに、当該回転体から下方に延在し、上記回転体の回転に伴って上記牽引部材とは逆方向の上下に移動するカウンタ牽引部材と、
このカウンタ牽引部材に連結され、被搬送物が載荷されていない空の状態の上記荷受台を上記回転体および上記牽引部材を介して上方に駆動可能な重さで、かつ被搬送物が載荷された状態の上記荷受台を上記回転体および上記牽引部材を介して下方に移動可能にする重さに設定されたカウンターウエイトと、
上記回転体の上方に上記払い出し部から上記荷受台へと漸次下方に傾斜して設けられ、上記上位搬送手段から払い出された上記被搬送物を上記荷受台へと案内する案内部材と、
を備えていることを特徴とする重力式下方搬送装置。
【請求項2】
上記荷受台は、上記被搬送物の載荷姿勢を保持させるレールに案内されて上下に移動可能に構成されており、
上記レールは、その下方位置に、上記荷受台から上記被搬送物を上記下位搬送手段へと払い出すべく当該荷受台の先端を下方に傾斜させる払出案内部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の重力式下方搬送装置。
【請求項3】
上記カウンターウエイトの移動速度を制限する制動手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の重力式下方搬送装置。
【請求項4】
上記回転体は、上記案内部材の下方に水平方向に設けられた2以上の小回転体からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の重力式下方搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−31016(P2007−31016A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212956(P2005−212956)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)