説明

重箱

【課題】 おせち料理等を収納する重箱であって、上段側の箱に収納している所望の料理を他の料理と別にして収納可能とし、且つ、下段側の箱側からそれぞれの料理を入れた上段側の箱を簡単に分離させて別々に所望の場所に配置可能にした重箱を提供する。
【解決手段】 下段側の箱1上に上段側の箱2を重ね合わせ、この上段側の箱2に蓋体3を被冠してなる重箱において、上段側の箱2を分割箱体2A、2Bによって構成し、これらの分割箱体2A、2Bの周壁21における底板22から下方に突出している下端部に内向き嵌合段部23を形成している一方、下段側の箱1の周壁11の上端部に外向き嵌合段部13を形成して、この外向き嵌合段部13における互いに平行な両側嵌合段部に上記分割箱体2A、2Bの内向き嵌合段部23における互いに平行な両側嵌合段部を摺動可能に係合させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はおせち料理や祝儀料理を収納する箱を上下に重ね合わせてなる重箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
重箱としては、例えば、特許文献1に記載されているように、平面矩形状に形成された浅底の木製の箱を、下段側の箱の上端開口縁に上段側の箱の底部を嵌め込むことによって複数段、上下に積み重ね、最上段の箱に蓋を被冠させてなる構造のものが広く知られている。これらの箱は、矩形状に枠組した外枠の内周面下端部に底板を一体に設けることによって箱主体を形成し、この箱主体の外枠に矩形状に枠組した内枠を内嵌させてなり、この内枠の上端部は外枠の上端面から上方に突出していてこの突出端部の内面と外枠の上端面とによって外向き嵌合段部を形成していると共に、底板から下方に突出している外枠の下端部の内面と底板の外周部下面とによって内向き嵌合段部を形成してあり、下段側の箱の上記外向き嵌合段部に上段側の箱の上記内向き嵌合段部を外嵌させることによって重箱を構成している。
【0003】
一方、おせち料理を収納する重箱に限定されないが、特許文献2には重ね合わせ容器として、平面横長長方形状の容器と、この容器を長さ方向に分割した分割容器とからなり、平面横長長方形状の容器の外底面に、上記分割容器の開口端に嵌合可能な突部を長さ方向に一定間隔毎に設けている一方、分割容器の外底面に、上記平面横長長方形状の容器の開口端に嵌合可能な凸部を設けてあり、これらの平面横長長方形状の容器と分割容器とを組み合わせることによって平面横長長方形状の容器上に数個の分割容器を並列状態に重ね合わせてなる容器や、並列させた数個の分割容器上に平面横長長方形状の容器を重ね合わせてなる容器を構成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−195440号公報
【特許文献1】特開2010−202251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の重箱によれば、平面形状が同大、同形の箱を積み重ねてなるものであるから、全体の構造が単調にして雅趣に乏しいばかりでなく、上段側の箱も下段側の箱と同様に、該箱内を仕切壁等によって複数個の小容器に区画し、これらの小容器内に異なった料理をそれぞれ収納するように構成しているため、テーブル上に料理を分散させた状態となるように配置することができず、一つの箱内に多種類の料理が一まとめに収納された状態でテーブル上に配置されることとなって比較的広い配置場所を必要とするばかりでなく、食したい料理以外の料理も箱内に収納された状態で配置変えを行わねばならないといった問題点がある。
【0006】
さらに、豪華な一品料理も他の料理と共に一つの箱内に収納された状態となって見栄えが低下するばかりでなく、他の料理の匂い等が付着して味覚が低下する虞れがある。また、上段側の箱を下段側の箱から分離させる場合、両手でもって上段側の箱の両側壁部の外面を挟持し、そのまま上方に持ち上げて下段側の箱の上端開口縁に形成している外向き嵌合段部からその底面外周部に形成している内向き嵌合段部を離脱させなければならず、その際、手が滑ったり外向き嵌合段部に内向き嵌合段部が引っ掛かったりして上段側の箱が手から滑り落ちる虞れがあった。
【0007】
一方、上記特許文献2に記載の重ね合わせ容器のように、平面横長長方形状の容器と、この容器を長さ方向に分割した形状を有する分割容器とから構成し、且つ、この重ね合わせ容器をおせち料理用の容器として使用可能な大きさに形成している場合には、一つの分割容器に所望の料理を収納しておくことが可能となるばかりでなく、狭い場所でも配置することができるが、上段側の容器の外底面に突設している凸部を下段側の容器の開口端に嵌合させることによって重ね合わせているので、その凸部が下段側の容器の開口端部内に没入した状態となってこの容器の収納容積が少なくなる上に、該凸部の下面によって容器内に収納している料理が押圧されて変形する虞れがあった。
【0008】
さらに、上段側の容器を下段側の容器から分離させる場合、上記同様に両手でもって上段側の箱の両側壁部の外面を挟持し、そのまま上方に持ち上げて下段側の箱の上端開口縁からその底面に突設している凸部を離脱させなければならず、手が滑らないように注意深く分離作業を行わなければならなかった。本発明はこのような問題点を解消することができる重箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の重箱は、請求項1に記載したように、上下に重ね合わされた箱とこれらの箱における上段側の箱に被冠した蓋体とからなる重箱において、下段側の箱は底板の周縁から上方に突出している一定高さの周壁における少なくとも対向する一組の両側壁部を互いに平行な壁部に形成していると共に周壁の上端部に全周に亘って断面L字状の外向き嵌合段部を形成している一方、上段側の箱は下段側の箱を上記互いに平行な両側壁部の長さ方向に少なくとも二分割された形状を有する分割箱体からなり、これらの分割箱体は底板とこの底板の周端縁から上方に向かって突設している一定高さの周壁とを有していると共にこの周壁における底板から下方に突出した互いに平行な両側壁部の下端部に断面L字状の内向き嵌合段部を形成してあり、この内向き嵌合段部を上記下段側の箱の平行に対向した両側壁部の上端部に形成している上記外向き嵌合段部に該両側壁部の長さ方向に摺動自在に係合させた構造を有している。
【0010】
このように構成した重箱において、請求項2に係る発明は、隣接する分割箱体の対向する内端側壁部における底板から下方に突出した下端部の両側端に、下段側の箱の両側壁部の上端部に形成している外向き嵌合段部を挿通させた切欠開口部を設けていることを特徴とする。
【0011】
一方、請求項3に係る発明は、隣接する分割箱体の対向する内端側壁部における底板から下方に突出した下端部を切除していることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、下段側の箱を平面亀甲形状に形成している一方、上段側の箱はこの平面亀甲形状の箱を互いに平行な両側壁部の長さ方向の中央部から二分割した形状の分割箱体によって構成していることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項5に係る発明は、下段側の箱と上段側の分割箱体とを、下端部内周面を底板の外周端縁に一体に固着している外枠とこの外枠に内嵌した内枠とから構成してこれらの内外枠によって周壁を形成していると共に、内枠の上端部は外枠の上端面から上方に突出していてこの突出端部の内面と外枠の上端面とによって断面L字状の外向き嵌合段部を形成している一方、分割箱体においてはその底板を固着させている内枠の下端から下方に突出している外枠の下端部の内周面と内枠の下端面とによって断面L字状の内向き嵌合段部を形成してあり、さらに、隣接する分割箱体の対向する内端側壁部における外枠の下端両側部を内枠の下端面にまで門形状に切除することによって切欠開口部を形成し、この切欠開口部に下段側の箱の外枠の上端から突設している内枠における両側枠部の上端部によって形成された内側嵌合突縁部を挿通させていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、下段側の箱及び分割箱体は木製品であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、下側側の箱に重ねている上段側の箱は、下段側の箱をこの箱の平行に対向する両側壁部の長さ方向の中間部から分割してなる形状を有する少なくとも2つの分割箱体を組み合わせてなるものであるから、おせち料理のように多種類の料理をこれらの上段側の箱と下段側の箱に収納するに際して、通常、上段側の箱にも下段側の箱と同様に多種類の料理を一まとめにして収納していたのを、これらの分割箱体に分別した状態に収納することができると共に、豪華の料理をその他の料理と別にして一つの分割箱体に見栄えよく収納しておくことができ、その上、テーブル上に対して分割箱体を別々にして狭い場所であっても所望の料理が所望の位置に配設されるように設置することができる。
【0016】
さらに、下段側の箱上に重ね合わせている分割箱体は、底板とこの底板の周端縁から上方に向かって突設している一定高さの周壁とを有していると共にこの周壁における底板から下方に突出した互いに平行な両側壁部の下端部に断面L字状の内向き嵌合段部を形成してあり、この内向き嵌合段部を上記下段側の箱の平行に対向した両側壁部の上端部に形成している断面L字状の外向き嵌合段部に該両側壁部の長さ方向に摺動自在に係合させているので、下段側の箱に分割箱体を重ね合わせる際に、分割箱体を下段側の箱上の重ね合わせ位置に正確に合わせる必要もなく、その位置から下段側の箱の外端寄りの位置において、該分割箱体の底板から下方に突出した互いに平行な内向き嵌合段部を下段側の箱の周壁における互いに平行に対向した両側壁部の上端部に形成している外向き嵌合段部に係合させてこの外向き嵌合段部をガイドとして分割箱体を下段側の箱の中央部に向かって摺動移動させるだけで、この分割箱体の互いに平行な両側壁部の外端部間の外壁部下端が下段側の箱の開口端における外壁部の外面に当接、係止させることができ、従って、重ね合わせ位置に自動的に簡単且つ正確に配設することができる。
【0017】
その上、下段側の箱上に分割箱体を並列状態に重ね合わせることによって構成された上段側の箱を蓋体によって被冠するものであるから、並列状態の分割箱体は互いに離間する方向に摺動移動可能となっているにもかかわらず、この蓋体によってその移動を確実に阻止して下段側の箱上に分割箱体を正確に重ね合わせた安定した状態を維持することができる。
【0018】
また、下段側の箱上から分割箱体を分離させる際には、互いに係合した内外係合段部を相対的に摺動させながら分割箱体を互いに離間させる方向に水平移動させると、分割箱体の外端部が下段側の箱の箱体の外端部から外方に突出するので、この突出部分を片手によって把持して持ち上げることにより、手が滑ることなく安定した状態で分割箱体を下段側の箱から分離させることができ、この状態で所望の場所に容易に設置することができる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、隣接する分割箱体の対向する内端側壁部における底板から下方に突出した下端部の両側端に、下段側の箱の両側壁部の上端部に形成している外向き嵌合段部を挿通させた切欠開口部を設けているので、下段側の箱の両側壁部に対して直交する方向に設けている分割箱体の内端側壁部の下端が下段側の箱の両側壁部から下方に突出しているにもかかわらず、上記切欠開口部を通じて下段側の箱の両側壁部上端に形成している外向き嵌合段部に沿って分割箱体を内外方向に円滑に摺動移動させることができると共に下段側の箱から分割箱体を引き出そうとしても底板から下方に突出している上記内端側壁部の下端部外面が下段側の箱の外壁部上端内面に当接してそれ以上の引き出しが阻止され、分割箱体の内端側壁部を下段側の箱の外壁部上端に支持させた状態に保持して不測に下方に傾動させることなく安定した状態で持ち上げることができる。
【0020】
一方、請求項3に係る発明によれば、隣接する分割箱体の対向する上記内端側壁部において、床板から下方に突出する下端部を切除しているので、内端側壁部の下端が下段側の箱内に収納している料理に引っ掛かることなく分割箱体を円滑に下段側の箱から引き出して分離させることができる。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、下段側の箱を平面亀甲形状に形成している一方、上段側の箱はこの平面亀甲形状の箱を互いに平行な両側壁部の長さ方向の中央部から二分割した形状の分割箱体によって構成しているので、豪華な料理に相応しい高級感をかもし出し、祝い用として最適な重箱を提供することができる。
【0022】
さらに、請求項5に係る発明によれば、下段側の箱およびこの箱の上に重ね合わせている分割箱体は下端部を底板の外周端縁に一体に固着している外枠と、この外枠に内嵌した内枠とからなり、これらの内外枠によって周壁を形成していると共に、内枠の上端部は外枠の上端面から上方に突出していてこの突出端部の内面と外枠の上端面とによって断面L字状の外向き嵌合段部を形成している一方、分割箱体においてはその内枠の下端面から下方に突出している外枠の下端部の内面と内枠の下端面とによって断面L字状の内向き嵌合段部を形成しているので、この内向き嵌合段部に外向き嵌合段部を互いに密に係合させることができて下段側の箱上に分割箱体をガタツキなどが生じることなく正確に重ね合わせることができるのは勿論、隣接する分割箱体の対向する内端側壁部における外枠の下端両側部を内枠の下端面にまで門形状に切除することによって切欠開口部を形成し、この切欠開口部に下段側の箱の外枠の上端から突設している内枠における両側枠部の上端部によって形成された内側嵌合突縁部を挿通させているので、隣接する分割箱体の対向する内端側壁部の下端部が底板の下面から下方に突出しているにもかかわらず、上述したように上記切欠開口部を通じて下段側の箱の外向き嵌合段部に沿って分割箱体を内外方向に円滑に摺動移動させることができる。
【0023】
また、請求項6に係る発明によれば、上記下段側の箱及び分割箱体は木製であるから、白木調の美麗な外観を呈する豪華な重箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明重箱の斜視図。
【図2】その一部の縦断側面図。
【図3】分解斜視図。
【図4】蓋を取り外した状態の斜視図。
【図5】分割箱体を互いに離間する方向に水平移動させた状態の斜視図。
【図6】分割箱体を下面側から見た斜視図。
【図7】分割箱体内に敷紙を敷設した状態の斜視図。
【図8】本発明の別な実施例を示す一部切欠斜視図。
【図9】その分割箱体の斜視図。
【図10】分割箱体の別な実施例を示す下面側から見た場合の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1〜図4において、重箱は浅底の箱1、2を二段に重ね合わせていると共に上段側の箱2に蓋体3を被冠してなる構造を有し、さらに、上段側の箱2は二つの箱体に分割された分割箱体2A、2Bから構成されている。
【0026】
この重箱の構造をさらに具体的に詳述すると、上記重ね合わせている上下の箱1、2の平面形状は正方形、長方形、或いは、八角形等の形状であってもよいが、本発明においては、対向する壁部において少なくとも一組の壁部が平行に設けられていることが必要であり、この実施例においては平面亀甲形状に形成されている。即ち、下段側の箱1は、亀甲形状に枠組された一定高さを有する周壁11の下端に同形の底板12を一体に固着してなり、この周壁11の上端部に、該上端部の厚み方向の外側半部分が欠除してなる断面L字状の外向き嵌合段部13を全周に亘って形成している。
【0027】
このように構成した下段側の箱1において、亀甲形状に枠組されている周壁11の各壁部の辺長を等しくして正六角形の形状に形成しておいてもよいが、図においては、互いに平行に対向する一組の側壁部11a 、11a の辺長を他の辺長よりも長く形成してあり、これらの両側壁部11a 、11a の一端部間と他端部間とを互いに平面V字状に組み合わされている辺長の短い傾斜壁部11b 、11b によって形成している。このように形成した周壁11を平面同一形状の上記底板12の周壁から上方に突設することによって下段側の箱1を構成している。
【0028】
この下段側の箱1の周壁11は、該周壁11の周長に等しい長さと周壁11の高さに等しい幅を有する一定厚みの帯状の木製板材の上端部を断面L字状に切除して係合段部13を形成すると共にこの係合段部13が内側に向くように帯状の木製板材を、その幅方向に刻設しているV字状溝を介して亀甲形状に折り曲げることによって形成してもよいが、周壁11の外周面側の周長に等しい長さと周壁11の高さに相当する幅を有する一定厚みの帯状の木製板材の片面に全幅に亘って貫通したV字状溝を亀甲形状の各辺の長さ間隔毎に刻設し、この帯状木質板材を上記V字状溝から折り曲げると共に突き合わせ状に接合する両端面を接着することにより亀甲形状の外枠11-1を形成し、この外枠11-1の下端に底板12の上面外周縁部を接着等によって一体に固着する一方、周壁11の内周面側の周長に等しい長さと外枠11-1の縦幅に等しいかやや広い幅を有する一定厚みの帯状の木製板材をその片面に亀甲形状の各辺の長さ間隔毎に設けているV字状溝から折り曲げることによって内枠11-2を形成し、この内枠11-2をその下端面が底板12の外周部上面に当接するまで外枠11-1に内嵌、固着させることによって、これらの内外枠11-1、11-2により周壁11を形成していると共に、この周壁11の下端部内周面に底板12を一体に設けてなる下段側の箱1を形成している。
【0029】
さらに、この下段側の箱1において、外枠11-1の上端から突設する内枠11-2の上端部を後述する上段側の箱2の外底部を嵌合させる内側嵌合突縁部13a に形成してこの内側嵌合突縁部13a の外周面と外枠11-1の上端面とによって断面L字状の外向き嵌合段部13を形成している。
【0030】
このように構成した下段側の箱1上に並列状態で重ね合わせている上記二つの分割箱体2A、2Bは、下段側の箱1を上記互いに平行な両側壁部11a 、11a の長さ方向(辺長方向)の中央部から二分割した形状を有している。この場合、これらの分割箱体2A、2Bは下段側の箱1を二等分した形状に形成しているが、かならずしも等分に分割する必要はなく、一方の分割箱体の内外端間の長さと他方の分割箱体の内外端間の長さとを異にした大小の分割箱体に形成しておいてもよい。
【0031】
これらの分割箱体2A、2Bの底板22は、下段側の箱1の亀甲形状の底板12を互いに平行な両側辺の長さ方向の中央部間から分割した五角形の形状を有している。即ち、この底板22は、下段側の箱1の底板12における互いに平行な両側辺部間の長さに略等しい長さを有する辺側を内端側としてこの内端側の辺22c の両側端にこの辺22c に対して外端側に向かって直角方向に互いに平行な両側辺22a 、22a を有し、これらの両側辺2a、22a の外端から下段側の箱1の底板12の互いにV字状に連続している両側斜辺と同じ長さで且つこれらの斜辺と同一傾斜方向に傾斜した両側斜辺22b 、22b を設けてなる形状に形成されている。なお、この底板22の上記両側辺の長さは、下段側の箱1の底板12の互いに平行な辺長の略1/2の長さに形成されている。
【0032】
このように形成した底板22の外周端縁から上方に向かって一定高さの周壁21を突設することによって分割箱体2A(2B)を形成している。この周壁21は、底板22の内端側の辺22c から上方に突設した内端側壁部21c と、底板22の両側辺22a 、22a から上方に突設した互いに平行な両側壁部21a 、21a と、底板22の両側斜辺22b 、22b から上方に突設した傾斜壁部21b 、21b とを周方向に連続してなり、さらに、この周壁21の下端部を底板22から下方に突出させてその突出下端部に、該下端部の厚み方向の内側半部分が欠除した状態の断面L字状の内向き嵌合段部23を全周に亘って形成してあり、この内向き嵌合段部23における互いに平行な両側嵌合段部とこの両側嵌合段部の外端に連なる傾斜した嵌合段部とを上記下段側の箱1の開口端縁に形成している断面L字状の外向き嵌合段部13における互いに平行な両側嵌合段部とこの両側嵌合段部の外端に連なる傾斜した嵌合段部とにそれぞれ被嵌させることによって下段側の箱1上にこれらの分割箱体2A、2Bを並列状態に重ね合わせて重箱を形成するように構成している。
【0033】
これらの分割箱体2A、2Bの上記周壁21は、上記下段側の箱1と同様に、該周壁21の周長に等しい長さと周壁21の高さに等しい幅を有する一定厚みの帯状の木製板材の上下端部の厚み方向の一半部と他半部とに互いに嵌合可能な断面L字状の係合段部を形成しておき、この帯状の木製板材を、その幅方向に刻設しているV字状溝を介して亀甲形状に折り曲げることによって形成してもよいが、この実施例においては、周壁21を底板22の外周端面にその下端部内周面を一体に固着してなる一定高さの外枠21-1と、この外枠21-1に内嵌した内枠21-2とによって形成している。
【0034】
具体的には、底板22の周長に等しい長さと形成すべき周壁21の高さに相当する幅を有する一定厚みの帯状の木製板材の片面に全幅に亘って貫通したV字状溝を上記底板22の各辺22a 〜22c の長さ間隔毎に刻設すると共にこのV字状溝と共に該片面の下端部に全長に亘って底板22の各辺22a 〜22c の端縁部を挿嵌させる直状の凹溝26(図2に示す)を形成しておき、この凹溝26に外板22の外周端縁部を挿嵌させながら帯状木質板材を各V字状溝から折り曲げると共に突き合わせ状に接合する両端面を接着することにより下端部に上記底板22を取付けた亀甲形状の外枠21-1を形成する一方、この外枠21-1内に、周壁21の内周面側の周長に等しい長さと外枠21-1の縦幅に等しいかやや広い幅を有する一定厚みの帯状の木製板材をその片面に底板22の各辺22a 〜22c の長さ間隔毎に設けているV字状溝から折り曲げることによって内枠21-2を形成し、この内枠21-2をその下端面が底板22の外周部上面に当接するまで内嵌、固着させることによって、これらの内外枠21-1、21-2により周壁21を形成していると共に、この周壁21の下端に底板22を一体に設けてなる分割箱体2A、2Bを形成している。
【0035】
さらに、これらの分割箱体2A、2Bにおいて、外枠21-1の上端から突設する内枠21-2の上端部を内側嵌合突縁部24a に形成し、この内側嵌合突縁部24a の外周面と外枠21-1の上端面とによって断面L字状の外向き嵌合段部24を形成していると共に、底板22を固着させている内枠21-2の下端から下方に突出している外枠21-1の下端部を外側嵌合突縁部23a に形成し、この外側嵌合突縁部23a の内周面と内枠21-2の下端面とによって上記断面L字状の内向き嵌合段部23を形成している。
【0036】
また、これらの分割箱体2A、2Bの外枠21-1における底板22の内端側の辺から下方に突出している外側嵌合突縁部23a の両側端部、即ち、分割箱体2A、2Bにおける互いに平行な両側壁部21a 、21a の下端部内端に直角に連なる外側嵌合突縁部23a の両側端部を、図6に示すように下段側の箱1の内枠11-2の厚みよりもやや広い幅でもって下端面から分割箱体2A、2Bにおける内枠21-2の下端面に達するまで門形状に切除して、下段側の箱1の互いに平行な両側壁部11a 、11a の上端部に形成している上記外向き嵌合段部13における内側嵌合突縁部13a を挿通させた切欠開口部25に形成している。
【0037】
一方、上記蓋体3は、下段側の箱1の底板12と同大、同形の天板32の外周端縁に下方に向かって下段側の箱1や分割箱体2A、2Bの周壁11、21の高さよりも低い一定高さの周壁31を突設している。即ち、この周壁31は、下段側の箱1の周壁11と平面同一形状に形成されてあり、この下段側の箱1の両側壁部11a 、11a に対応する両側壁部31a 、31a と、これらの両側壁部31a 、31a の両端に内端を一体に連続させている平面V字状に形成された両側傾斜壁部31b 、31b とから平面亀甲形状に形成されている。
【0038】
さらに、この周壁31は、上記下段側の箱1と同様に、亀甲形状に枠組された外枠31-1に内枠31-2を内嵌させてなり、図2に示すように内枠31-2の下端から外枠31-1の下端部を下方に突出させることによって外側嵌合突縁部33a を形成していると共に、この外側嵌合突縁部33a の内周面と内枠31-2の下端面とによって、上記互いに並設した分割箱体2A、2Bからなる上段側の箱2の断面L字状の外向き嵌合段部24に外嵌する断面L字状の内向き嵌合段部33を形成している。
【0039】
上記のように形成した下段側の箱1と、段側の箱2を構成する分割箱体2A、2Bと、蓋体3とによって重箱を構成するには、まず、図4に示すように、下段側の箱1の一半部上と他半部上とに、分割箱体2A、2Bを互いにその対向する内端側壁部21c 、21c が突き合わせ状に並列するようにそれぞれ重ね合わせる。
【0040】
この際、下段側の箱1の一半部の真上に一方の分割箱体2Aの外底面を対向させてこの分割箱体2Aの互いに平行な両側壁部21a 、21a の下端から傾斜壁部21b 、21b の下端に亘って設けている内向き嵌合段部23を、下段側の箱1の両側壁部11a 、11a の上端から傾斜壁部11b 、11b の上端に亘って設けている外向き嵌合段部13に被嵌させるといった面倒な作業を行う必要はなく、一方の分割箱体2Aの内端側壁部21c の下端両側端部に形成している切欠開口部25、25を下段側の箱1の互いに平行な両側壁部11a 、11a の上記内側嵌合突縁部13a 、13a の外端部側に被せてこの内側嵌合突縁部13a 、13a を有する外向き嵌合段部13、13の外端部上に分割箱体2Aの両側壁部21a 、21a の下端部に形成している内向き嵌合段部23、23を被嵌させ、この状態にして該分割箱体2Aを、その互いに平行に設けている外側嵌合突縁部23a 、23a の下端面を下段側の箱1の互いに平行な外向き嵌合段部13、13の水平面上で摺動させながら下段側の箱1の中央部側に向かって移動させ、分割箱体2Aの外端側の傾斜壁部21b における下端部に形成した内向き嵌合段部23が下段側の箱1の一方の外端側の傾斜壁部11b における上端部に形成した外向き嵌合段部13に当接、係合させることによって分割箱体2Aが下段側の箱1の一半部上に正確に且つ簡単に配設させることができる。
【0041】
同様にして下段側の箱1の他半部上に他方の分割箱体2Bを配設すると、これらの分割箱体2A、2Bは、図4に示すように、互いに対向する内端側壁部21c 、21c が突き合わせ状二当接、若しくは僅かな隙間を介して近接すると共に、この内端側壁部21c 、21c 以外の互いに平行な両側壁部21a 、21a と傾斜壁部21b 、21b とによって下段側の箱1の平面亀甲形状の周壁11と平面同大、同形の周壁を形成すると共に、一方の分割箱体2Aの両側壁部21a 、21a の上端部に形成している外向き嵌合段部24の内端と、他方の分割箱体2Bの両側壁部21a 、21a の上端部に形成している外向き嵌合段部24の内端とが一直線状で連なった状態となる。なお、下段側の箱1や分割箱体2A、2Bに収納される料理は図示していない。
【0042】
このように下段側の箱1上に分割箱体2A、2Bを並列状態に配設したのち、蓋体3の周壁31の下端部内周面に形成している平面亀甲枠形状の上記内向き嵌合段部33をこれらの分割箱体2A、2Bの周壁上端部に形成している外向き嵌合段部24における上記一直線状に連なった状態の互いに平行な外向き嵌合段部と両側傾斜壁部21b 、21b の上端部に形成している外向き嵌合段部とによって形成された平面亀甲枠形状の外向き嵌合段部24に被嵌させることにより重箱を構成する。
【0043】
このように構成すると、蓋体3の外端側の傾斜壁部31b 、31b の下端部に設けている外側嵌合突縁部33a の内面が分割箱体2A、2Bの外端側の傾斜壁部21b 、21b の上端部に設けている内側嵌合突縁部24a 、24a の外面に係合した状態となり、従って、これらの分割箱体2A、2Bが下段側の箱1の両側壁部11a 、11a の上端に設けている互いに平行な外向き嵌合段部13、13をガイドとして外方、即ち、下段側の箱1上から抜け出る方向に移動するのを阻止され、下段側の箱1上にこれらの分割箱体2A、2Bを安定した積み重ね状態にして並設させておくことができる。
【0044】
また、蓋体3を取り外したのち、これらの分割箱体2A、2Bを互いに離間する方向に軽く押圧すると、その互いに平行な両側壁部21a 、21a の下端部に設けている内向き嵌合段部23、23が、下段側の箱1の互いに平行な両側壁部11a 、11a の上端に設けている外向き嵌合段部13、13に係合しながらこの外向き嵌合段部13、13をガイドとして外端に向かって水平に摺動移動し、図5に示すように、その傾斜壁部21b 、21b 側の外端部が下段側の箱1の外端部から外方に突出する。この状態にして、これらの分割箱体2A、2Bの外端部を上下から掴むようにして把持して持ち上げれば、テーブル等における所望の場所にそれぞれ容易に配置することができる。
【0045】
なお、分割箱体2A、2B内には、金色や赤色等に着色した敷紙4を図7に示すように敷設しておいてもよく、さらに、内部を仕切壁等によって複数個の小容器に区画しておいてもよい。下段側の箱1においても同様である。
【0046】
また、以上の実施例においては、上段側の箱2を二つの分割箱体2A、2Bによって構成しているが、図8、図9に示すように、両端側の箱体2A' 、2B' と中央部側の箱体2C' との3つの箱或いは3つ以上の箱に分割しておいてもよい。この場合、両端側の分割箱体2A'
、2B' は、上記実施例で示した分割箱体2A、2Bとは内外端間の長さが短くなっている以外は同一構造に形成されているため、下段側の箱1と共に同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
一方、中央部側の箱体2C' は、下段側の箱1の底板12の互いに平行な両側辺間の幅に等しい長さとこの長さよりも短い幅を有する長方形状の底板22' の四方端縁に周壁21' を一体に設けてなり、この周壁21' は、長方形状に枠組された外枠21’-1に内枠21' -2を内嵌させて、内枠21' -2の下端から外枠21’-1の下端部を下方に突出させることによって外側嵌合突縁部23a'を形成していると共に、この外側嵌合突縁部23a'における両側の突縁部分の内側面と内枠21' -2の両側下端面とによって、上記下段側の箱1の外向き嵌合段部13上に摺動自在に係合する断面L字状の内向き嵌合段部23' 、23' を形成している。
【0048】
さらに、外枠21’-1の両側壁部の上端から上方に突出する内枠21' -2の両側壁部の上端部によって内側嵌合突縁部24a'を形成していると共に、この外側嵌合突縁部24a'における外側面と内枠21' -2の両側下端面とによって、上記蓋体3の内向き嵌合段部33の両側中央部に係合する断面L字状の外向き嵌合段部24' 、24' を形成している。また、この中央部側の箱体2C' において、両端側の箱体2A' 、2B' の内端側壁部21c 、21c に対して突き合わせ状に対向する両壁部21c'、21c'における外枠21’-1部分の両側下端部を下段側の箱1の内枠11-2の厚みよりもやや広い幅でもって下端面から内枠21' -2の下端面に達するまで門形状に切除して、下段側の箱1の互いに平行な両側壁部11a 、11a の上端部に形成している上記外向き嵌合段部13における内側嵌合突縁部13a を挿通させた切欠開口部25' 、25' に形成している。
【0049】
従って、この中央部側の箱体2C' は、下段側の箱1の外向き嵌合段部13をガイドとしてこの外向き嵌合段部13に両側の内向き嵌合段部23' 、23' を係合させながら下段側の箱1上を摺動移動することができると共に、下段側の箱1上から上記分割箱体2A' 、2B' と同様に容易に離脱させることができる。
【0050】
なお、以上のいずれの実施例においても、分割箱体2A、2B、2A' 、2B' や中央箱体2C'
には、両側端部に下段側の箱1の両側外向き嵌合段部13を挿通させている切欠開口部25、25' を設けている壁部の下端部を下段側の箱1内に向かって突出させているが、図10に示すように、この突出下端部を切除26しておいてもよく、このように構成することによって下段側の箱1内に収納している食品の表面に該壁部の突出下端が押接したり引っ掛かったりするのをなくすることができる。また、本発明の重箱は、上記のように平面亀甲形状に限定されることなく、例えば、正方形、長方形等であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 下段側の箱
2 上段側の箱
2A、2B 分割箱体
3 蓋体
11、21、31 周壁
12、22 底板
13、24 外向き嵌合段部
23、33 内向き嵌合段部
11-1、21-1 外枠
11-2、21-2 内枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に重ね合わされた箱とこれらの箱における上段側の箱に被冠した蓋体とからなる重箱において、下段側の箱は底板の周縁から上方に突出している一定高さの周壁における少なくとも対向する一組の両側壁部を互いに平行な壁部に形成していると共に周壁の上端部に全周に亘って断面L字状の外向き嵌合段部を形成している一方、上段側の箱は下段側の箱を上記互いに平行な両側壁部の長さ方向に少なくとも二分割された形状を有する分割箱体からなり、これらの分割箱体は底板とこの底板の周端縁から上方に向かって突設している一定高さの周壁とを有していると共にこの周壁における底板から下方に突出した互いに平行な両側壁部の下端部に断面L字状の内向き嵌合段部を形成してあり、この内向き嵌合段部を上記下段側の箱の平行に対向した両側壁部の上端部に形成している上記外向き嵌合段部に該両側壁部の長さ方向に摺動自在に係合させていることを特徴とする重箱。
【請求項2】
隣接する分割箱体の対向する内端側壁部における底板から下方に突出した下端部の両側端に、下段側の箱の両側壁部の上端部に形成している外向き嵌合段部を挿通させた切欠開口部を設けていることを特徴とする請求項1に記載の重箱。
【請求項3】
隣接する分割箱体の対向する内端側壁部における底板から下方に突出した下端部を切除していることを特徴とする請求項1に記載の重箱。
【請求項4】
下段側の箱を平面亀甲形状に形成している一方、上段側の箱はこの平面亀甲形状の箱を互いに平行な両側壁部の長さ方向の中央部から二分割した形状の分割箱体によって構成していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の重箱。
【請求項5】
下段側の箱及び上段側の分割箱体は、下端部内周面を底板の外周端縁に一体に固着している外枠と、この外枠に内嵌した内枠とからなり、これらの内外枠によって周壁を形成していると共に、内枠の上端部は外枠の上端面から上方に突出していてこの突出端部の内面と外枠の上端面とによって断面L字状の外向き嵌合段部を形成している一方、分割箱体においてはその底板を固着させている内枠の下端から下方に突出している外枠の下端部の内周面と内枠の下端面とによって断面L字状の内向き嵌合段部を形成してあり、さらに、隣接する分割箱体の対向する内端側壁部における外枠の下端両側部を内枠の下端面にまで門形状に切除することによって切欠開口部を形成し、この切欠開口部に下段側の箱の外枠の上端から突設している内枠における両側枠部の上端部によって形成された内側嵌合突縁部を挿通させていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4又は請求項5に記載の重箱。
【請求項6】
下段側の箱及び分割箱体は木製であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか1項に記載の重箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−183138(P2012−183138A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47266(P2011−47266)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(593228911)株式会社大成産業 (2)
【Fターム(参考)】