説明

野球ゲーム盤

【課題】 投球に変化を増すことによってより面白い遊びをすることのできる野球ゲーム盤を提供する。
【解決手段】 野球場を模擬した盤面の投球部から捕球部へ向けてボールを発射し、発射されたボールをバッティング部で打ち返すように構成した野球ゲーム盤において、ボールを発射させるため及び発射されたボールに変化を与えるために操作可能とされたつまみを複数備えた投球操作部を有し、該投球操作部に覆設する投球制御プレート6を備えた野球ゲーム盤とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盤面上で野球ゲームを行う野球ゲーム盤に関し、更に詳しくは、つまみの操作により、盤面上で投球、打球を行う野球ゲーム盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野球場を模擬した盤面上で投球、打球、捕球等を行いながら野球ゲームが行えるように構成した野球ゲーム盤が種々存在する。このような野球ゲーム盤は、投球部、打球部、捕球部等種々の機構を備え、投手、打者、走者、野手等の人形をそれぞれ配備できるようにし、実際の野球のルールを模してゲームを楽しめるように構成されている。
【0003】
例えば、本願出願人は、つまみの操作によって、捕球部へ向けて投球部からボールを発射し、発射されたボールをバッティング部で打ち返すことができるように構成した野球ゲーム盤を提案している(例えば、特許文献1参照)。この野球ゲーム盤は、投球をカーブさせたり、消える魔球となるようにボールを陥落させたりする等の機能を有し、投球を変化させてゲームとしての楽しみ方を増加させている。
【特許文献1】実公平6−33973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実際の野球においては、ゲーム中に抑えや中継ぎを担当するピッチャーが先発ピッチャーに交代して登板することがあり、それぞれのピッチャーの個性、即ち得意とする球種、によってゲームの流れを変えることがある。野球ゲーム盤による野球ゲームにおいては、一般に投球部を操作する遊技者と打撃部を操作する遊技者の2人で2つのチームに分かれてプレイするが、同じ遊技者が一試合を通して投球を操作するため、実際の野球におけるピッチャー交代のようなゲームの流れを変える多様な遊び方をすることができなかった。
【0005】
そこで、本発明は投球部を操作する1人の遊技者がそれぞれ個性の違う複数のピッチャーを演じられるように構成することにより、打撃力と守備力の調整を行って、実際の野球に近い多様な遊び方のできる野球ゲーム盤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の野球ゲーム盤は、野球場を模擬した盤面の投球部から捕球部へ向けてボールを発射し、発射されたボールをバッティング部で打ち返すように構成した野球ゲーム盤において、ボールを発射させるため及び発射されたボールに変化を与えるために操作可能とされたつまみを複数備えた投球操作部を有し、該投球操作部に覆設する投球制御プレートを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
前記各投球制御プレートには、前記操作可能とされたつまみが各々挿通する複数のつまみ制御孔が形成されていることが好ましい。
【0008】
前記投球操作部は、各つまみを前後動させるための前後に長尺なつまみ摺動孔を備え、前記投球制御プレートの各つまみ制御孔は、各々が各つまみ摺動孔と略等しい長さかそれより短く形成されることが好ましい。
【0009】
また、前記つまみ摺動孔は、略等間隔で配置されていることが好ましい。
【0010】
そして、前記投球制御プレートは複数枚備え、各投球制御プレートのつまみ制御孔は、プレート毎に少なくとも何れか1つの長さが異なることが好ましい。
【0011】
更に、該投球制御プレートは、前記投球操作部の平面形状と略等しい大きさ及び形状の薄板として形成されることが好ましい。
【0012】
また、前記投球操作部は野球ゲーム盤の後方側外方に外縁を湾曲させて備えられ、上面板が外縁部よりも低い高さで設けられていることが好ましい。
【0013】
そして、前記投球制御プレートの上面及び/又は下面には、投球の種類を示す表示がつまみ制御孔の側方に描かれていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の野球ゲーム盤によれば、ボールを発射させる投球部や、発射されたボールに変化を与える変化球部などをそれぞれ操作するつまみを備えた投球操作部に投球制御プレートを覆設することによって、各つまみの動作を制御できる。従って、投球制御プレートを使用すると1人の遊技者が他のピッチャーを演じられるので、より実際の野球に近い遊びを行うことができる。
【0015】
前記投球制御プレートには前記つまみが各々挿通する複数のつまみ制御孔が形成されているため、各つまみを該つまみ制御孔に挿通させた状態で投球制御プレートを投球操作部に覆設して各つまみの移動範囲を制限できる。
【0016】
また、前記投球制御プレートのつまみ制御孔は投球操作部に形成された各つまみ摺動孔と略等しい長さかそれより短く形成されているため、投球制御プレートを取り付けることでつまみの動作範囲を小さくしたり、動作不能としてボールの変化を制限することができる。
【0017】
そして、投球制御プレートは複数枚備えられ、各投球制御プレートのつまみ制御孔はプレート毎に少なくとも何れか1つのつまみ制御孔の長さが異なるため、当該投球制御プレートを交換することでつまみの動作の制限を種々変更することができる。
【0018】
前記投球制御プレートは、投球操作部の平面形状と略等しい大きさ及び形状の薄板として形成されているので、投球操作部の外観を損ねることなく覆設することができる。
【0019】
そして、前記投球操作部は、野球ゲーム盤の後方側外方に外縁を湾曲させて備えられ、その上面板が外縁部よりも低い高さで設けられているので、投球制御プレートを投球操作部の上面に前後左右に遊動することなく嵌め込むことができる。
【0020】
また、各つまみ摺動孔は略等間隔で配置されると共に、投球制御プレートには投球操作部に覆設可能なようにつまみ制御孔を形成しており、該投球制御プレートの上面及び/又は下面には投球の種類を示す表示がつまみ制御孔の側方に描かれているため、投球制御プレートはいずれの面もおもて面として使用でき、一方の面と他方の面とで異なる投球制限をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る野球ゲーム盤は、野球場を模擬した盤面の投球部から捕球部へ向けてボールを発射し、発射されたボールをバッティング部で打ち返すように構成した野球ゲーム盤において、該野球ゲーム盤は、ボールを発射させるため及び発射されたボールに変化を与えるために操作可能とされたつまみを備えた投球操作部を有し、該投球操作部に覆設する投球制御プレートを備えて構成されている。
【0022】
前記投球操作部は、野球ゲーム盤の後方側外方に外縁を湾曲させて備えられ、その上面板は外縁部よりも低い高さで設けられるとともに、各つまみを前後動させるための前後に長尺なつまみ摺動孔を略等間隔で備えている。
【0023】
そして、前記投球制御プレートは、前記投球操作部の上面板と略等しい大きさ及び形状の薄板であって少なくとも一隅に切り欠きを有して形成され、複数枚備えられる。投球制御プレートには、各つまみが各々挿通可能な前記投球操作部のつまみ摺動孔と略等しい前後長さかそれより短く形成されたつまみ制御孔が略等間隔に形成されるとともに、一方の面又は両面に投球の種類を示す表示をつまみ制御孔の側方に描いている。
【実施例1】
【0024】
以下、本発明の野球ゲーム盤の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、本発明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、野球ゲーム盤の捕球部側を正面としてピッチャー側から見たときの方向に従うこととする。
【0025】
図1は本実施形態の野球ゲーム盤の斜視図を、図2はその平面図を示し、当該野球ゲーム盤は全体を野球場を模擬して形成されている。盤台A上に形成した盤面1のダイヤモンド内には、マウンドの投手板の後方にボールを発射させる投球部3が設けられ、該投球部3より後方の外野側には、ボールを当該投球部3へ搬送するためのボール投入部96が設けられている。盤面1の前端部には、3個の凹部を並設した捕球部8が設けられ、中央をストライクカウント用、左右をボールカウント用としている。捕球部8の後方となる投球部3側にはホームベースが描かれており、このホームベースの投球部3側には縦変化球部2が装備されている。また、該縦変化球部2の3塁側側方にはバッター人形を配置するバッティング部5が装備されている。
【0026】
盤台Aの後方側でバックスクリーンを模した位置の外方には外縁を弓形に湾曲させた投球操作部11が張出しており、その上面板は外縁部よりも低い高さで設けられている。また、該投球操作部11には投球部3に連結され該投球部3からボールを発射させる投球つまみ13、縦変化球部2に連結され該縦変化球部2のプレート板を上下動させる縦変化球つまみ12、及び、横変化球部(図示しない)に連結される横変化球つまみ14が、上面板の下方から突出するように配設されている。そして、盤台Aの前方側外方には外縁前端部を湾曲させた打撃操作部15が張出しており、その上面板は外縁部よりも低い高さで設けられている。また、該打撃操作部15には、バッター人形を回転させる打撃つまみ16、バッティング部5に連結され該バッティング部5を前後に摺動させるスタンス変更つまみ17、及び捕球部8を上昇移動させる押し上げつまみ18が、上面板の下方から突出するように配設されている。
【0027】
また、前記投球部3の側方にはピッチャー人形を配置する投手立設部85aが配備され、1塁、2塁、3塁の各塁の側方には各ランナー人形を配置する走者立設部85c,85d,85eがそれぞれ配備され、前記バッティング部5の略中央にはバッター人形を配置する打者立設部85fが配備されている。そして、盤面1の内野守備位置及び外野守備位置には、凹部で形成したボールを捕球する野手部81が7ヶ所に配備されるとともに、該野手部81の後方には各野手人形を配置する野手立設部81aがそれぞれ配備されている。更に、1塁側側方には、ストライクカウント、ボールカウント及びアウトカウントを表示する表示つまみ86a,86b,86cが配備され、その側方には盗塁の「アウト」若しくは「セーフ」などをルーレットによって決定して表示する覗窓86dが配備され、3塁側側方には、ランナー人形を配置する待機走者立設部85bが配備されている。また、外野の後方側周囲にはボールが入るとファウル、ヒット、2塁打、3塁打、アウト、ホームランとなる各受入口82が形成され、該受入口82の中堅後方には、スコアボードを取り付ける取付部84が設けられている。
【0028】
そして、野球ゲーム盤の盤台Aの下方には、図3及び図4に示すように、操作部Cが配設されている。該操作部Cは、野球ゲーム盤の前端から後端に延設された枠体91を有し、該枠体91の後端近傍にはボールを発射するための投球つまみ13と、発射されたボールを変化させる縦変化球つまみ12及び横変化球つまみ14を備え、枠体91の前端近傍には打撃つまみ16とスタンス変更つまみ17を備え、枠体91の略中央に前記投球つまみ13に連動する投球部3を、該投球部3よりも前方に前記横変化球つまみ14に連動する横変化球部4を、該横変化球部4よりも前方に前記縦変化球つまみ12に連動する縦変化球部2を、該縦変化球部2の側方には前記打撃つまみ16とスタンス変更つまみ17に連動するバッティング部5を装備して構成されている。
【0029】
前記投球部3は、盤面1に設けられたボール放出部95の下方に配備され、該投球部3の発射台32が後端部に投球つまみ13を有する投球杆31の先端部に連結されている。この投球杆31は、ガイド92に沿わせて後方移動できるように装備されるとともに、その先端を上方に屈曲させて投球部3と係合し、投球つまみ13は枠体91の後端に配備されている。また、前記横変化球部4は、投球部3の前方に配備され、後端部に横変化球つまみ14を有する横変化球杆41の先端側に係合されている。この横変化球杆41は、前後動できるように前記投球杆31の1塁側に略平行に装備されるとともに、その前端側を上方に屈曲させて横変化球部4と係合し、横変化球つまみ14は枠体91の後端において前記投球つまみ13の1塁側に配備されている。更に、前記縦変化球部2は、横変化球部4の前方であって、盤面1に描かれたホームベースよりも投球部3側に配備され、後端部に縦変化球つまみ12を有する縦変化球杆21の先端側が縦変化球部2の掛止部26に係合されている。この縦変化球杆21は、ガイド92に沿わせて前後動できるように前記投球杆31の3塁側に略平行に装備されるとともに、その前端側を側方に略直角に屈曲させて縦変化球部2と係合し、縦変化球つまみ12は枠体91の後端において前記投球つまみ13の3塁側に配備されている。
【0030】
そして、図5に示すように、盤台Aの後方側外方に張出した投球操作部11にはその上面板の3箇所を切り欠いて前後方向に長尺とした摺動孔を設けており、投球つまみ摺動孔11bを中央にして、縦変化球つまみ摺動孔11aと横変化球つまみ摺動孔11cが該投球つまみ摺動孔11bの側方に形成されている。この縦変化球つまみ摺動孔11a、投球つまみ摺動孔11b及び横変化球つまみ摺動孔11cは、左右に略等間隔で配置されている。そして、投球つまみ摺動孔11bの下方から投球つまみ13が突出し、縦変化球つまみ摺動孔11aの下方から縦変化球つまみ12が突出し、横変化球つまみ摺動孔11cの下方から横変化球つまみ14が突出している。
【0031】
また、バッティング部5は、図3及び図4に示したように、縦変化球部2の3塁側側方に配備されている。該バッティング部5のピニオン55が、前端部に打撃つまみ16を有する打撃アーム51のピニオン係合部51aと係合し、該ピニオン係合部51aは打撃アーム51の後端側に設けられている。そして、バッティング部5の下摺動枠体57bが、前端部にスタンス変更つまみ17を有するスタンス変更アーム52の後端部に連結されている。該打撃アーム51及びスタンス変更アーム52は前後動できるように装備され、打撃つまみ16及びスタンス変更つまみ17は枠体91の前端に配備されている。
【0032】
そして、図6に示すように、盤台Aの前方側外方に張出した打撃操作部15にはその上面板の3箇所を切り欠いて前後方向に長尺とした摺動孔を設けており、打撃つまみ摺動孔15aを略中央にして、スタンス変更つまみ摺動孔15bがその3塁側に、押し上げつまみ摺動孔15cが1塁側に形成されている。そして、この打撃つまみ摺動孔15aの下方から打撃つまみ16が突出し、スタンス変更つまみ摺動孔15bの下方からスタンス変更つまみ17が突出している。そして、押し上げつまみ摺動孔15cの下方からは押し上げつまみ18が突出している。該押し上げつまみ18は後述する押し上げアームの前端部に設けられており、該押し上げアームは盤面1の裏面に装備されて捕球部8に係合されている。
【0033】
更に、図7乃至図9に示すように、本実施形態の野球ゲーム盤は複数枚の投球制御プレート6を備えている。該投球制御プレート6は、前記投球操作部11の上面板と略等しい大きさ及び形状の薄板の左右の隅部を切り欠いて形成されている。また、投球制御プレート6には、投球つまみ制御孔62を中央にして、縦変化球つまみ制御孔61と横変化球つまみ制御孔63が該投球つまみ制御孔62の側方に略等間隔で形成されており、投球操作部11の上面に着脱自在とされるとともに、投球つまみ13、縦変化球つまみ12及び横変化球つまみ14が挿通可能とされる。従って、投球操作部11の上面に覆設可能であるだけでなく、外縁部の内側に前後左右に遊動することなく嵌め込むことができる。
【0034】
以下、各部材について、その構成をより詳細に説明する。
縦変化球部2は、図1及び図2等に示したように、捕球部8の後方の盤面1に描かれたホームベースよりも投球部3側に装備され、その後端がバッティング部5の打者立設部85fよりも後方に位置するように配置されている。そして、図10乃至図12に示すように、該縦変化球部2は、突出部材を形成するプレート板22と、該プレート板22を上下動させる昇降支持基台24と、該昇降支持基台24を基準位置に戻すための付勢部材27とで構成されている。
【0035】
プレート板22は、図11に示したように、平面視略矩形状とする板状体における投球部3側の2つの角を切り欠いて後端壁部22aの左右に傾斜壁部22bを形成した薄板であり、後端壁部22aはボール放出部95と捕球部8の中央の凹部とを結ぶ線に対して略直角に交わるように配置される。プレート板22は平板状の昇降台23の上に固定され、該昇降台23は前後両側部に支持突起23a,23bを備えている。そして、この昇降台23は枠体91に立設された支持板93に左右側部を挟持され、左右の支持突起23a,23bを該支持板93の昇降溝93aから外方に突出させた状態で上下動可能に支持されている。尚、前記プレート板22と昇降台23は、一体に成型することもある。
【0036】
前記支持板93は、図10及び図11に示したように、前記昇降台23の左右側方に配備される立板で、昇降台23の支持突起23a,23bが挿通可能な昇降溝93aを上端から底面付近まで帯状に切り欠いて前後に備えている。また、該支持板93の前端側は、左右の板幅を捕球部8の凹部の幅と略等しくなるように次第に狭幅にして、1塁側のボールカウント用の凹部と連通するように配設されている。
【0037】
また、昇降支持基台24は、図11及び図12に示したように、前記プレート板22及び昇降台23の両側方に配備された支持板93の外側側方に前後に摺動可能にそれぞれ配備される昇降支持部25と、この左右の昇降支持部25の後方側端部同士を連結するとともに縦変化球杆21を係合するための掛止部26とで構成されている。
【0038】
前記昇降支持部25は、投球部3側となる後方が上昇するように傾斜する第1傾斜部25aを前端側に備えて、該第1傾斜部25aの上端から後方に連続する略水平の第1平坦部25b、該第1平坦部25bの後方に昇降支持部25の底部より僅かに高くなるように設けられた略水平の第3平坦部25i、該第3平坦部25iの後端に連続し前記第1傾斜部25aと略平行に後方に上昇傾斜する第2傾斜部25e、該第2傾斜部25eの上端から前記第1平坦部25bと略等しい高さで略水平に後方に連続する第2平坦部25fとを備えている。
【0039】
そして、左側となる1塁側に配備した昇降支持部25の外側側面には可動板部24aが設けられ、該可動板部24aの上端には可動板部24aを安定的に支持するための補強部24bが設けられている。
【0040】
前記掛止部26は、前記左右の昇降支持部25の後方側端部に、該昇降支持部25と略直角に設けられている。該掛止部26には左右方向に屈曲した縦変化球杆21の前端側が係合されており、従って該縦変化球杆21の前後動に連動して昇降支持基台24が前後動するように構成されている。
【0041】
縦変化球杆21の後端部に備えられた縦変化球つまみ12を操作しない基準位置において、図11及び図12に示したように、プレート板22の上面は野球ゲーム盤の盤面1と略面一(つらいち)とされており、このとき、昇降台23の支持突起23a,23bは、前方の支持突起23aが昇降支持部25の第1傾斜部25a上に、後方の支持突起23bが第2傾斜部25e上にそれぞれ載置支持されている。
【0042】
また、図10及び図11に示したように、昇降支持基台24の1塁側には付勢部材27が配備されており、該付勢部材27は、縦変化球部2が基準位置にあるときの昇降支持部25の可動板部24aの側方に制止部材29を立設し、左右に長尺の前揺動板27aと後揺動板27bを前記可動板部24a及び制止部材29の前後に略平行に配置して構成されている。この前揺動板27aと後揺動板27bは、1塁側端部近傍においてそれぞれ、枠体91に立設する支持軸27c,27dにより揺動可能に支持されている。従って、前揺動板27aは支持軸27cを中心として前方へ揺動可能であるも制止部材29により後方への揺動が制止され、後揺動板27bは支持軸27dを中心として後方へ揺動可能であるも制止部材29により前方への揺動が制止される。また、前揺動板27aと後揺動板27bの上面にはそれぞれ係合凸部27e,27fが付設され、引張りばね28の一端を前揺動板27aの係合凸部27eに、該引張りばね28の他端を後揺動板27bの係合凸部27fに係合させ、前揺動板27aと後揺動板27bを互いに接近方向に弾圧付勢している。
【0043】
また、縦変化球部2のプレート板22の上面が野球ゲーム盤の盤面1と面一とされる基準位置にあるとき、図2及び図5等に示したように、縦変化球杆21の後端部に備えられた縦変化球つまみ12は、投球操作部11の縦変化球つまみ摺動孔11aの前端よりも僅かに後方に位置するように配置されている。従って、縦変化球つまみ12は前方向と後方向のいずれの方向にも摺動させることができる。
【0044】
即ち、図13及び図14に示すように縦変化球つまみ12を矢印D方向に前方に押すと、昇降支持基台24は捕球部8側である前方へ摺動する。昇降支持基台24が前方へ摺動すると、昇降台23の前方の支持突起23aは第1傾斜部25aの傾斜に従って第1平坦部25bまで上方へ移動し、後方の支持突起23bは第2傾斜部25eの傾斜に従って第2平坦部25fまで上方へ移動して、プレート板22及び昇降台23が上方へ移動するとともに、前揺動板27aが同じく前方へ移動した可動板部24aに押されて支持軸27cを中心として前方に揺動する。このとき、プレート板22は盤面1よりも突出した状態となる。
【0045】
そして、縦変化球つまみ12から手を離すと、引張りばね28の戻り力により前揺動板27aが可動板部24aを後方へ押動して昇降支持基台24を後方へ移動させるとともに、昇降台23の前方の支持突起23aは第1傾斜部25aを、後方の支持突起23bは第2傾斜部25eをそれぞれ下方へ移動し、プレート板22は基準位置へ戻される。
【0046】
反対に、図15及び図16に示すように縦変化球つまみ12を矢印E方向である後方に引くと、縦変化球杆21の前端部に係合した昇降支持基台24が後方へ摺動する。昇降支持基台24が後方へ摺動すると、昇降台23の前方の支持突起23aは第1傾斜部25aの傾斜に従って下方へ移動し、後方の支持突起23bは第2傾斜部25eの傾斜に従って下方へ移動して、プレート板22及び昇降台23が下方へ移動するとともに、後揺動板27bが同じく後方へ移動した可動板部24aに押されて支持軸27dを中心として後方に揺動する。このとき、投球部3側である後方の支持突起23bは第3平坦部25iに当接して下方への移動が制限され、捕球部8側である前方の支持突起23aのみが昇降溝93aの下端位置まで下方へ移動し、プレート板22は前方に傾倒した状態となる。
【0047】
そして、縦変化球つまみ12から手を離すと、引張りばね28の戻り力により後揺動板27bが可動板部24aを前方へ押動して昇降支持基台24を前方へ移動させるとともに、昇降台23の前方の支持突起23aは第1傾斜部25aを、後方の支持突起23bは第2傾斜部25eをそれぞれ上方へ移動し、プレート板22は基準位置へ戻される。
【0048】
従って、投球時に縦変化球つまみ12を前方に押した場合、プレート板22は盤面1より突出するので、投球部3から発射されたボールが適切な速度でプレート板22の後端壁部22aに当たるとその衝撃によりボールが上方に弾かれることとなり、弾かれたボールは放物線を描いてバットの上を飛び越え前方の捕球部8のストライクカウント用の凹部に回収される。また、ボールがプレート板22の左右の傾斜壁部22bに当たった場合は進行方向を左又は右に軌道変更されてボールカウント用の捕球部8へ回収されることとなる。このため、幅の制限されたプレート板22の後端壁部22aに速球を正確に当てるようにボールを発射すると、容易にストライクカウントを取ることができる。また、縦変化球つまみ12を後方に引いた場合は、投球部3から捕球部8へ向けて発射されたボールは、盤面1の下方に移動して前方に傾倒したプレート板22の斜面を転がり、昇降台23の左右側方に配置した支持板93に案内されるようにして盤面1下の支持板93に連通した補球部8の1塁側のボールカウント用の凹部へ回収される。
【0049】
前記横変化球部4は、図10に示したように、前記縦変化球部2の後方となる投球部3側に配備され、平面視略L字形状の揺動基板42の一端に磁石43を備えている。該揺動基板42の他端は横変化球杆41の前端部に係合され、該横変化球杆41の前後動により磁石43が揺動軸44を中心に左右に揺動可能とされている。前記磁石43が縦変化球部2のプレート板22の略真後ろに位置する中央位置において、横変化球杆41の後端部に備えられた横変化球つまみ14は、図2及び図5等に示したように、投球操作部11の横変化球つまみ摺動孔11cの略中央に位置するように配置されている。
【0050】
図17に示すように、横変化球つまみ14を横変化球つまみ摺動孔11cの後端側に位置させると、横変化球杆41が後方へ移動し、磁石43は揺動軸44を中心に左方向に揺動して、中央位置よりも1塁側に位置することとなる。反対に、図18に示すように、横変化球つまみ14を横変化球つまみ摺動孔11cの前端側に位置させると、横変化球杆41が前方へ移動し、磁石43は揺動軸44を中心に右方向に揺動して、中央位置よりも3塁側に位置することとなる。
【0051】
従って、投球時に横変化球つまみ14を操作して磁石43を所望位置に位置させておくと、投球部3から捕球部8へ向けて発射されたボールは磁石43が配置された方向へ進路を曲げて進むので、投球の進路を曲げることが可能であり、直球以外にカーブやシュートの投球を行うことができる。
【0052】
前記投球部3は、図3及び図4に示したように、盤面1上のボール放出部95の下方に装備され、図19に示すように、ボール放出部95の直下に配備される発射台32と、該発射台32の横側方に配備され発射台32に連通する送球溝33と、該送球溝33の横側方に配備され送球溝33の方向に移動可能とされたボール押出部材34、並びに前記発射台32に連結されボール放出部95の開閉動作を行わせる押上部36とで構成されている。
【0053】
この発射台32は、図19及び図20に示すように、前後に長尺の平板であって、この発射台32の上面にボール受け部32aと、該ボール受け部32aの前方に位置する移動規制板32b、並びに後方に位置するブロック部材32cを配備して構成されている。そして、発射台32は両側をガイド板94aに沿わせて前後動できるようにして操作部Cの枠体91に装備されている。そして、発射台32の後端部には投球杆31の前端部が固定され、発射台32の前端部には引張りばね39の一端が連結されて前方方向に弾圧付勢されている。また、発射台32の1塁側の前端側部にはピニオン係合部32dが備えられ、該ピニオン係合部32dは、当該発射台32の1塁側側方に配備されるとともにボール放出部95の側方に配置された投手立設部85aと回転軸を同一とするピニオン40に係合されている。
【0054】
前記ボール受け部32aはボールBを安定して保持できる僅かに窪んだ凹部として形成され、その直径はボールBの直径よりも小さい径に形成されている。前記移動規制板32bは前後に長尺の立板で、その後端部は垂直に立ち上るとともにその上方には前方に上昇傾斜する傾斜部32eが形成されている。また、前記ブロック部材32cは前後に長尺の立板であり、前端部の送球溝33側に突出片32fを備えて形成されている。そして、移動規制板32bとブロック部材32c間の寸法はボールBの直径よりも僅かに長い寸法とされ、該移動規制板32bとブロック部材32c間には1個のボールBのみが前記ボール受け部32aによって保持可能とされている。
【0055】
また、発射台32の3塁側の前端側部には、押上部36が設けられている。該押上部36は、発射台32に連結した押上基部36aから立ち上る支持部材36bに主振り子37と補助振り子38が、該支持部材36bに設けられた左右水平方向に延びる回動軸36cに外嵌されて構成されている。
【0056】
前記主振り子37は、図20に示したように、上面と下面を有する前後に長尺の直方体を、回転軸36c側の基端部を湾曲側面に形成し、先端部に下端側が後方に傾斜する接地部37aを形成して成り、基端部側が回動軸36cに回動可能に外嵌されている。通常、主振り子37は接地部37aが押上基部36aの上面に当接した状態とされ、その上面は後方側が上昇傾斜する前傾斜部37b、下面は後方側が上昇傾斜する後傾斜部37cを成している。前記補助振り子38は、薄板の基端部が円筒状に形成され、先端部に上面が下方に傾斜する傾斜片38aを備えて成り、基端部側が回動軸36cに回動可能に外嵌されている。通常、補助振り子38は略水平に支えられ、主振り子37と補助振り子38は互いに連動可能とされている。
【0057】
前記送球溝33は、図19に示したように、前記発射台32の横側方に略平行に配備され、後端部は盤面1に設けられたボール投入部96の下方に位置している。送球溝33の前端部にはボールBの転落を防ぐためのブロック板94bが備えられ、前方両側部は切り欠いて連通部33a,33bを設け、1塁側が発射台32と連通可能とされるとともに3塁側はボール押出部材34の圧縮ばね34aが挿入可能とされている。また、送球溝33の上面は後部よりも前部が低くなるよう僅かに傾斜し、前端部においては発射台32側に僅かに傾斜している。従って、ボール投入部96から投入されたボールBは送球溝33の上面を前方方向に転動し、前端部においては発射台32側へ転動する。
【0058】
発射台32は、投球杆31の後端部に備えられた投球つまみ13を操作しない状態では引張りばね39の付勢力によって最も前方位置に引かれており、この時に送球溝33は前部が発射台32の後部横側方に位置するように配置されている。従って、発射台32が最も前方位置にあるとき、送球溝33の発射台32側の連通部33aの側方にはブロック部材32cが位置し、ボール投入部96から投入されたボールBは送球溝33の前端部で制止された状態となる。そして、投球つまみ13を後方に引いて発射台32が後方へ移動して該発射台32のボール受け部32aが連通部33aの側方に位置したときに発射台32と送球溝33は連通し、ボールBが発射台32側へ転動可能となる。
【0059】
そして、図19に示したように、送球溝33の3塁側の前端側方にはボール押出部材34が装備されている。該ボール押出部材34は、図20に示したように、底板の前後に前板と後板を平行に配備し、底板の下面には係合突起34bを備えるとともに、軸を左右方向に水平とする圧縮ばね34aを前記送球溝33側に備えて構成され、図19に示したように、枠体91に設けた挟持板35bが前後に配置されて左右方向に摺動可能に挟持されている。また、ボール押出部材34の下方にはスライド板35が配備されている。該スライド板35は前後に長尺の薄肉の平板で、前端が押上部36に連結され、発射台32の前後動に連動して前後に移動可能とされている。また、スライド板35は平面視へ字形状の切り欠き溝35aを有し、該切り欠き溝35aは、前方側を押上部36に対して斜めとして前端を該押上部36に近づけ、後方側を発射台32と平行とするように構成されている。そして、ボール押出部材34の係合突起34bが当該切り欠き溝35aに係合されている。
【0060】
発射台32が最も前方位置にあるとき、ボール押出部材34の係合突起34bは切り欠き溝35aの後端部に係合しておりボール押出部材34の圧縮ばね34aが送球溝33の連通部33bの側方に位置している。そして、投球杆31を後方に引いて発射台32を後方へ移動させるとスライド板35も後方へ移動し、係合突起34bがスライド板35の切り欠き溝35aの前方側の斜め部分に係合したときに、ボール押出部材34は溝の傾きに沿って送球溝33の方向へ移動する。そして、スライド板35が最後部位置に到達したとき、ボール押出部材34の圧縮ばね34aは連通部33bから送球溝33の内部に挿入される。
【0061】
また、発射台32が引張りばね39の付勢力によって最も前方位置に引かれた基準位置において、図2及び図5等に示したように、投球杆31の後端部に備えられた投球つまみ13は、投球操作部11の投球つまみ摺動孔11bの前端に位置するように配置され、該投球つまみ13は、後方への引き操作のみが可能とされている。尚、投球つまみ13が投球つまみ摺動孔11bの後端に位置するとき、発射台32のボール受け部32aが送球溝33の連通部33aの側方に位置するように構成されている。
【0062】
そして、前記発射台32の直上に配備されるボール放出部95は、図21に示すように、前後に長尺の蓋板95aの左右に側板95bを備えて構成されている。蓋板95aの先端側裏面には、後方が上方傾斜した側面視略三角形状の薄板から成る係止部95fが略中央に設けられている。左右の側板95bの後端側上部には軸95dをそれぞれ外方に突出させて設けるとともに、その側面には跳ね上げ防止鍔部95eを設けている。そして、3塁側の側板95bに設けられた跳ね上げ防止鍔部95eの側面から円柱形状の接触部95cを略水平に外方に突出させて設けている。ボール放出部95は、図24に示すように、蓋板95aが盤面1と略面一となるように装備されるとともに軸95dを該盤面1に係止させて当該軸95dを中心に上方に開閉可能とされている。
【0063】
この接触部95cは、図22(a)に示すように、発射台32が最も前方位置にあるとき押上部36の後方に配置されている。そして、該接触部95cと押上部36の主振り子37と補助振り子38とが、該押上部36の前方移動時又は後方移動時に連動することによって、ボール放出部95が開閉する。
【0064】
即ち、図22(b)に示すように投球杆31に引かれて発射台32が矢印E方向に後方へ移動すると、該発射台32に連結された押上部36も後方へ移動する。このとき、押上部36の主振り子37の後傾斜部37cがボール放出部95の側板95bに設けられた接触部95cに当接し、該主振り子37は回動軸36cを中心に上方へ回動する。発射台32が更に矢印E方向に後方へ移動すると、主振り子37は接地部37aで接触部95cに接触しながら下方に回動し、図22(c)に示すように、押上部36はボール放出部95の後方に移動して、接触部95cとの接触が外れた主振り子37は通常位置である接地部37aが押上基部36aの上面に当接した状態となる。
【0065】
そして、図23(a)に示すように、押上部36がボール放出部95の後方に位置した状態から発射台32が矢印D方向に前方へ移動すると、押上部36も前方へ移動する。押上部36の前方への移動により接触部95cが主振り子37の前傾斜部37bへ当接すると、接触部95cは前傾斜部37bを上方へ移動し、ボール放出部95は後端の軸95dを中心として先端部が上方へ移動するように回動する。そして、発射台32が更に矢印D方向に前方へ移動して接触部95cが主振り子37の基端部まで移動すると、図23(b)に示すように、該接触部95cは補助振り子38の傾斜片38aに沿って下方へ移動し、ボール放出部95は軸95dを中心として先端が下方へ移動するように回動する。そして、図23(c)に示すように発射台32が前方位置に戻ると、接触部95cは通常位置である押上部36の後方に位置するとともに蓋板95aが盤面1と面一となる。
【0066】
また、該ボール放出部95の先端が位置する盤面1の裏には、図24に示したように、後方を下降させるように傾斜する放出案内台97が設けられている。該放出案内台97の下端部は最も前方位置にあるときの発射台32のボール受け部32aの上面に位置されている。該放出案内台97の略中央にはスリット状のスライド溝(図示しない)が形成されており、該スライド溝にはボール放出部95の閉止時に蓋板95aの裏面に設けられた係止部95fが挿入されるとともに、発射台32に設けられた移動規制板32bが抜き差し可能となっている。発射台32が最も前方位置にあるとき、移動規制板32bはスライド溝に嵌挿されて放出案内台97の下方に位置した状態とされている。移動規制板32bは後端側に傾斜部32eを備えているため、該移動規制板32bが放出案内台97の下方に位置しても該放出案内台97の斜面は平坦となる。
【0067】
従って、ボール投入部96からボールBを投入し、送球溝33にボールBが充填された状態で投球つまみ13を後端部まで引くと、図25及び図26に示すように、発射台32が後方へ移動して発射台32のボール受け部32aと送球溝33の連通部33aが連通する。そして、押上部36に連結したスライド板35も後方へ移動するため、スライド板35の切り欠き溝35aに係合した係合突起34bの摺動によりボール押出部材34が送球溝33の方向へ移動し、ボール押出部材34の圧縮ばね34aが連通部33bから送球溝33の内部に侵入してくる。このため、送球溝33の最前位置のボールBがボール押出部材34の圧縮ばね34aに押されて転動し発射台32のボール受け部32aに嵌まる。この時、ガイド板94aによりボールBの転落が防止されるとともに、ブロック部材32cの突出片32fによりボールBを直接ボール受け部32aに導くことができる。
【0068】
尚、このとき、押上部36も後方へ移動して、図22(c)及び図26に示したように、ボール放出部95の後方に位置する。そして、ボールBがボール受け部32aに載置された状態で投球つまみ13から手を離すと、図27に示すように、発射台32に連結した引張りばね39の戻り力により発射台32が前方方向に付勢され、ボール受け部32aに載置されたボールBは放出案内台97の傾斜を上昇移動して投球部3内から弾発されて矢印F方向に盤面1上に発射されることとなる。このとき、押上部36によりボール放出部95の先端が跳ね上げられるので、ボールBはボール放出部95に触れることなく発射される。そして、発射台32のピニオン係合部32dによりピニオン40を回転させ、投手立設部85aに立設したピッチャー人形を回転させて、弾発と同時に該ピッチャー人形がボールBを投球する演出を行うことができる。
【0069】
また、このボールBの発射に際し、発射台32を後端部まで後退させてボールBを発射台32のボール受け部32aに載置した後、投球つまみ13の位置を調整して発射台32を前後させ、投球つまみ13を指から離す位置によってボールBの発射速度を調整することができる。従来は、投球つまみ13を離す位置を調整するときに再度後端部まで引き戻すと、発射台32にボールBが乗っている状態にもかかわらず、更に送球溝33から次のボールBが発射台32に移動してしまい、一度に複数のボールBが発射されることがあった。しかし、本実施形態の野球ゲーム盤に装備した発射台32は、ボール受け部32aの前後に移動規制板32bとブロック部材32cを備えて1個のボールBのみを載置可能としている。このため、既に発射台32にボールBが載置された状態で投球つまみ13を後端部まで引いた場合においても、ボール押出部材34の圧縮ばね34aが次のボールBを発射台32に押し込もうとしても当該圧縮ばね34aは圧縮されて次のボールBを発射台32に送り込むことはできない。従って、発射速度を調整するために投球つまみ13を前後動させても、送球溝33からボールBが移動するのを制止でき、同時に2個のボールBが発射されるのを防止することができる。
【0070】
また、縦変化球部2の3塁側に配備されるバッティング部5は、図28及び図29に示すように、バッター人形7の両足の位置を決定するスタンス制御部53と、該バッター人形7を立設させる人形立設部材54と、ピニオン55と、圧縮ばね55cとを同一軸上に互いに係合させ、上摺動枠体57aと下摺動枠体57bとで上下から挟持して構成され、上摺動枠体57aを盤面1のバッティング部取付窓87に下方から前後に摺動可能に挿嵌し、下摺動枠体57bを操作部Cの枠体91の取付窓(図示しない)に上方から前後に摺動可能に挿嵌している。
【0071】
前記スタンス制御部53は、平面視略円形状の平板の略中央に係合孔53bを有し、下面に一部を開襟した鍔部53cを設け、開襟部にはギア53aを設けて構成されている。前記係合孔53bは、円形状の貫通孔と該円形状の貫通孔の開襟部側の外縁2箇所から外方に膨出させるように貫通させた孔により形成されている。前記人形立設部材54は、円柱形状の略中央に平面視略正方形状の軸受け孔を形成し、その側面中程に鍔部54bを備えて、下方には数箇所を下端から切り欠いて係合爪54cを形成している。前記ピニオン55は、上面に前記人形立設部材54の係合爪54cと係合する係合爪55aを備え、下面に圧縮ばね55cの一端を係合させるばね受け部55bを備えるとともに、略中央には回転軸となる貫通孔が形成されている。
【0072】
前記上摺動枠体57aは前後に長尺の平面視略矩形状の薄板で、前後端部の下面にはそれぞれ外方に向けて摺動鍔部が設けられている。また、略中央に前記スタンス制御部53と略等しい外径の嵌合孔57cが形成されており、下面には該嵌合孔57cの前後に連結柱57dが垂下されている。前記下摺動枠体57bは、前記上摺動枠体57aと同様に、前後に長尺の平面視略矩形状の薄板で、前後端部の上面にはそれぞれ外方に向けて摺動鍔部が設けられている。また、上面の略中央に前記ピニオン55、圧縮ばね55c等を配置させるための保持台部57fを備えるとともに、該保持台部57fの前後に上摺動枠体57aの連結柱57dを支持する連結凹部57eを備えている。
【0073】
図29に示したように、スタンス制御部53の係合孔53bに人形立設部材54を下方から挿入して該スタンス制御部53の下面に人形立設部材54の鍔部54bを下方から当接させ、人形立設部材54の係合爪54cをピニオン55の係合爪55aに係合させ、該ピニオン55を圧縮ばね55cを介在させて下摺動枠体57bの保持台部57fに支持させ、上摺動枠体57aの嵌合孔57cにスタンス制御部53を下方から挿入して該上摺動枠体57aの下面にスタンス制御部53の鍔部53cを下方から当接させ、上摺動枠体57aの連結柱57dを下摺動枠体57bの連結凹部57eに嵌合させて互いを連結させている。そして、前記スタンス制御部53のギア53aを盤面1に形成したバッティング部取付窓87の1塁側の盤面1の裏面に装備されたギア係合部56に係合させて、上摺動枠体57aを盤面1のバッティング部取付窓87に下方から嵌合させ、下摺動枠体57bを枠体91の取付窓に上方から嵌合させている。
【0074】
当該バッティング部5において、スタンス制御部53の鍔部53cの上面が上摺動枠体57aの下面に当接し、人形立設部材54の鍔部54bがスタンス制御部53の下面に当接しており、スタンス制御部53、人形立設部材54及びピニオン55が圧縮ばね55cにより上方に弾圧付勢されているため、上摺動枠体57a、スタンス制御部53及び人形立設部材54の上面は面一とされる。
【0075】
また、図10に示したように、バッティング部5では、ピニオン55に打撃アーム51のピニオン係合部51aを係合させ、下摺動枠体57bにスタンス変更アーム52の後端部を連結させている。前記打撃アーム51は、前端部に打撃つまみ16を備え、後方側の側方にピニオン係合部51aを備えて、後端部には引張りばね58の一端が連結されて後方方向に弾圧付勢されている。前記スタンス変更アーム52は、前端部にスタンス変更つまみ17を備えている。該スタンス変更アーム52はスタンス変更つまみ17により前後動させることができ、後端部には下摺動枠体57bを連結しているので、バッティング部5を前後に摺動可能としている。
【0076】
そして、人形立設部材54の軸受け孔54aには、図30に示すバッター人形7を立設させることができる。バッター人形7は、頭部と、バットを備えた胴部71と、人形基部74と、左右の脚部とで構成されている。胴部71には人形基部74を貫通して下方から突出する立設軸72が設けられており、該立設軸72を回動軸として、図30(a)及び図30(b)に示したように、胴部71が頭部や脚部に対して約180℃の範囲で回転可能とされている。また、立設軸72は平面視略正方形状の固定枠部72aを備えており、該固定枠部72aの口径は前記バッティング部5に装備される人形立設部材54の軸受け孔54aと略同一とされている。また、左右の脚部の下面にはそれぞれピン73が備えられており、これらはスタンス制御部53に形成された係合孔53bのうち外方に膨出させるように形成した貫通孔に挿入可能とされている。
【0077】
従って、バッター人形7は、立設軸72を人形立設部材54の軸受け孔54aに挿入して固定枠部72aで固定させ、ピン73をスタンス制御部53の係合孔53bの外方に膨出した貫通孔に挿入させて立設させることができる。このとき、人形立設部材54の軸受け孔54aとピニオン55の貫通孔は同一軸とされているため、バッター人形7の立設軸72はピニオン55の貫通孔の内部まで挿入される。人形立設部材54はピニオン55に係合しているため、打撃アーム51を前後に摺動させると、該打撃アーム51のピニオン係合部51aに係合されたピニオン55が回動して人形立設部材54を回動させ、従って、該人形立設部材54の軸受け孔54aに挿入固定されたバッター人形7の立設軸72も回動するため、該立設軸72に連結した胴部71が回動する。
【0078】
そして、上述の如く、スタンス制御部53のギア53aは盤面1の下面に設けられたギア係合部56に係合されているため、スタンス変更アーム52の前後動に連動して上摺動枠体57aが前後動すると、該上摺動枠体57aに係合されたスタンス制御部53は回転軸を中心として前後に回動する。スタンス変更つまみ17の先端をスタンス変更つまみ摺動孔15bの略中央に位置させた基準位置においては、図31(a)に示すように、上摺動枠体57aは、バッティング部取付窓87の前後に間隙を有して配置されており、この状態でバッター人形7を立設させると、図31(b)に示すように、バッター人形7の脚部が上摺動枠体57aと平行となり、所謂スクエアスタンスにバッター人形7を立設させることができる。
【0079】
また、スタンス変更つまみ17をスタンス変更つまみ摺動孔15bの盤台Aの外側方向となる前方側に位置させた場合は、図32に示すように、ピニオン55がピニオン係合部51aの前端直近に位置するように下摺動枠体57bが前方へ移動し、図33(a)に示すように、上摺動枠体57aも前方へ移動するとともに、図示しない盤面1の下面に固定したギア係合部56とスタンス制御部53のギア53aとの噛合により、スタンス制御部53は回動軸を中心として反時計回りに回動する。この状態でバッター人形7を立設させると、図33(b)に示すように、バッター人形7の脚部における後足をホームベース寄りに踏み出して構える、所謂オープンスタンスにバッター人形7を立設させることができる。
【0080】
また、スタンス変更つまみ17をスタンス変更つまみ摺動孔15bの盤台Aの中央方向である後方側に位置させた場合は、図34に示すように、ピニオン55がピニオン係合部51aの前端から僅かに後方の位置となるように下摺動枠体57bは後方へ移動し、図35(a)に示すように、上摺動枠体57aも投球部3側の後方へ移動するとともに、図示しない盤面1の下面に固定したギア係合部56によって、スタンス制御部53は回動軸を中心として時計回りに回動する。この状態でバッター人形7を立設させると、図35(b)に示すように、バッター人形7の脚部の後足をホームベースから遠ざけて構える、所謂クローズドスタンスにバッター人形7を立設させることができる。
【0081】
このバッティング部5は、バッター人形7をバットをピッチャー側である後方に向けた状態で立設させて打撃つまみ16を前方方向に引くと、ピニオン55の噛合回転により引張りばね58の弾力を蓄積させながらバットをテークバックさせることができ、投球が行われる際に、タイミングを合わせて打撃つまみ16を放すと、引張りばね58の戻り力により打撃アーム51が基準位置に戻り、ピニオン55が素早く回転する。ピニオン55が回転すると、人形立設部材54も回転して、人形立設部材54の軸受け孔54aに挿入されたバッター人形7の立設軸72、ひいてはバッター人形7の胴部71が回転し、バットが回転してボールを打つことができる。
【0082】
そして、図36(a)に示すように、スクエアスタンスにバッター人形7を立設させたときは前後に略180°の角度でバットを振ることができ、図36(b)に示すように、オープンスタンスにバッター人形7を立設させたときは、3塁側へ向けてバットを振ることができ、図36(c)に示すように、クローズドスタンスにバッター人形7を立設させたときは、1塁側へ向けてバットを振ることができる。
【0083】
尚、スタンス変更つまみ17により摺動枠体を前後に移動させるとき、盤面1の裏面に設けたギア係合部56によりスタンス制御部53が回転する回転角と、打撃アーム51に設けたピニオン係合部51aに係合するピニオン55が摺動枠体の前後動に従って回転する回転角とが同一回転角となるように、ギア係合部56の歯ピッチとピニオン係合部51aの歯ピッチとを調整している。
【0084】
捕球部8は、図1及び図2等に示したように、盤面1の前端部に設けられている。該捕球部8は、図37及び図38に示すように、略矩形のベース板88を仕切板88aで三等分し、該ベース板88の左右両側部には移動支持部材89を外方に設けて構成されている。移動支持部材89は、平面視略S字形状で、前後の屈曲部下部には後方が上昇するように傾斜した案内面部89aが形成されている。そして、先端部に押し上げつまみ18を有する押し上げアーム59をベース板88に設けた移動支持部材89に係合させた状態で、該捕球部8を盤面1の前端部に設けた取付窓(図示しない)に嵌め込むとともに押し上げアーム59を盤台Aの裏面に装着している。
【0085】
前記押し上げアーム59は、平面視略U字形状の薄板で、両端部上面には各々2個の昇降支持体59aを備えている。該昇降支持体59aは、投球部3側となる後方が上昇するように傾斜する支持傾斜部59bを備えた薄板で、該支持傾斜部59bの傾斜角度はいずれも等しくされている。また、各昇降支持体59aは、前後に位置をずらして備えられ、各々の支持傾斜部59bがベース板88に設けられた移動支持部材89の案内面部89aと当接するように構成されている。そして、押し上げアーム59の横架部上面には、押し上げつまみ18が設けられている。
【0086】
移動支持部材89の案内面部89aを昇降支持体59aの支持傾斜部59bに載置するようにして捕球部8を押し上げアーム59で支持し、該押し上げアーム59は、図37に示したように、盤台Aの裏面に前方方向に摺動可能に取り付けられている。押し上げアーム59は引張りばね60の前端側に連結しており、引張りばね60の後端側は盤台Aに取り付けられ、従って、押し上げアーム59は後方方向へ弾圧付勢されている。押し上げつまみ18を操作しない基準位置において、当該押し上げつまみ18は押し上げつまみ摺動孔15cの後端に位置されている。
【0087】
以上の構成により、押し上げつまみ18の操作によって捕球部8を盤面1から突出させて捕球部8に回収されたボールを取りやすくすることができる。即ち、図39に示すように、押し上げつまみ18を操作しない基準位置において、ベース板88に設けた移動支持部材89の案内面部89aは押し上げアーム59に設けられた昇降支持体59aの支持傾斜部59bの下端に位置し、仕切板88aの上面は盤面1と略面一とされている。そして、押し上げつまみ18を前方方向へ引くと、図40に示すように、押し上げアーム59が前方方向へ摺動し、移動支持部材89の案内面部89aが支持傾斜部59bの傾斜に従って上方へ移動する。押し上げつまみ18を押し上げつまみ摺動孔15cの最前端まで引くと、仕切板88aが盤面1上に突出して捕球部8のベース板88は盤面1と略面一となる。従って、捕球部8に回収されたボールを容易に取り出すことができる。
【0088】
また、盤面1に設けられた捕球部8を嵌め込む取付窓の左右両側部には、図37に示したように、裏面に下方に向けてガイド板90が設けられており、このガイド板90を捕球部8の移動支持部材89の間隙に挿嵌して捕球部8が垂直に上下移動できるようにしている。
【0089】
また、上述した如く、盤台Aの後方側外方に張出した投球操作部11の上面には、投球を制限する投球制御プレート6を覆設することができる。該投球制御プレート6は、図7及び図8に示したように、投球操作部11の上面板と略等しい大きさ及び形状に形成された薄板で、左右の隅部を切り取って投球操作部11への着け外しが容易となるようにしている。そして、投球制御プレート6は3箇所に貫通孔を有し、投球つまみ13が摺動する投球つまみ摺動孔11bの上方に位置する投球つまみ制御孔62と、縦変化球つまみ12が摺動する縦変化球つまみ摺動孔11aの上方に位置する縦変化球つまみ制御孔61と、横変化球つまみ14が摺動する横変化球つまみ摺動孔11cの上方に位置する横変化球つまみ制御孔63とで構成され、各貫通孔の前端位置及び後端位置を変化させて任意長さの貫通孔に形成している。尚、これら縦変化球つまみ制御孔61、投球つまみ制御孔62及び横変化球つまみ制御孔63は、各つまみ摺動孔と略等しい前後長さかそれより短い長さに形成される。
【0090】
従って、投球制御プレート6は投球操作部11の上面に重ねて固定することができ、各つまみ制御孔61,62,63を投球操作部11の各つまみ摺動孔11a,11b,11cと一致させることができる。つまり、投球制御プレート6は、投球操作部11の上面に載置することで各つまみの作動範囲を制限し、ピッチャーの性格づけを可能としている。
【0091】
この投球制御プレート6は、図9(a)乃至図9(e)に示すように、所望の投球形態とするために複数のパターンのプレートを形成する。例えば、図9(a)の投球制御プレート6は、縦変化球つまみ12と横変化球つまみ14の動作を制限するもので、投球つまみ制御孔62を投球つまみ摺動孔11bと略同じ長さとして形成し、縦変化球つまみ制御孔61の後端位置を縦変化球つまみ摺動孔11aの後端位置と同じとするとともに前端位置を縦変化球つまみ12の基準位置と略等しい位置に形成し、横変化球つまみ制御孔63の後端位置を横変化球つまみ摺動孔11cの後端位置と同じとするとともに前端位置を横変化球つまみ摺動孔11cの略中央位置に形成している。従って、図7に示したように、図9(a)の投球制御プレート6を覆設した投球操作部11において、縦変化球つまみ12は後方へ引く操作のみ行うことができ、プレート板22を盤面1より降下させる動作のみが操作可能となり、横変化球つまみ14を操作する場合は、磁石43を中心位置から左方向の1塁側に位置させる動作のみが操作可能となる。
【0092】
また、投球制御プレート6の上面には各つまみ制御孔の側方に球種の名称が描かれており、その名称位置につまみを位置させることで所望の球種で投球することができる。図9(a)に示した投球制御プレート6には縦変化球つまみ制御孔61の後端部側方に「フォーク」の文字が描かれており、投球時に縦変化球つまみ12をこの縦変化球つまみ制御孔61の後端部に位置させると、ボールを盤面の下方に移動させることができるので、実際の野球で投げられるフォークボールのような投球が可能となる。また、横変化球つまみ制御孔63の前端部側方には「ストレート」の文字が、後端部側方には「シュート」の文字が描かれており、投球時に横変化球つまみ14をこの横変化球つまみ制御孔63の前端部に位置させると、横変化球部4の磁石43を中心位置に位置させるので直球を投球することができ、横変化球つまみ14を横変化球つまみ制御孔63の後端部に位置させると、磁石43を1塁側に位置させるので実際の野球で投げられるシュートボールのような変化球を投球することができる。
【0093】
図9(b)の投球制御プレート6は、縦変化球つまみ12と横変化球つまみ14を制限するもので、縦変化球つまみ制御孔61の後端位置を縦変化球つまみ12の基準位置と略等しい位置に形成するとともに前端位置を縦変化球つまみ摺動孔11aの前端位置と同じとし、横変化球つまみ制御孔63の後端位置を横変化球つまみ摺動孔11cの略中央位置にするとともに前端位置を横変化球つまみ摺動孔11cの前端位置と同じとして形成してなるものである。従って、縦変化球つまみ12は前方へ押す操作のみ行うことができ、プレート板22を盤面1より上昇させる動作のみが可能となり、横変化球つまみ14を操作する場合は、磁石43を中心位置から右方向の3塁側に位置させる動作のみが操作可能となる。
【0094】
また、図9(b)に示した投球制御プレート6には、縦変化球つまみ制御孔61の前端部側方に「ジャイロ」の文字が描かれており、投球時に縦変化球つまみ12をこの縦変化球つまみ制御孔61の前端部に位置させると、盤面から突出した縦変化球部2のプレート板22にボールを当ててジャンプボールとすることができるので、実際の野球で投げられるジャイロボールのような投球が可能となる。また、横変化球つまみ制御孔63の前端部側方には「カーブ」の文字が、後端部側方には「ストレート」の文字が描かれており、投球時に横変化球つまみ14をこの横変化球つまみ制御孔63の前端部に位置させると、横変化球部4の磁石43を3塁側に位置させるので実際の野球で投げられるカーブボールのような変化球を投球することができ、横変化球つまみ14を横変化球つまみ制御孔63の後端部に位置させると、磁石43を中心位置に位置させるので直球を投球することができる。
【0095】
図9(c)の投球制御プレート6は、縦変化球つまみ12を制限するもので、投球つまみ制御孔62及び横変化球つまみ制御孔63を投球つまみ摺動孔11b及び横変化球つまみ摺動孔11cと略同じ長さとして形成し、縦変化球つまみ制御孔61を縦変化球つまみ12の基準位置と略等しい位置に形成してなるものである。従って、縦変化球つまみ12は操作不可となり、横変化球つまみ14の操作のみでボールを変化させることとなる。図9(d)の投球制御プレート6は、横変化球つまみ14を制限するもので、投球つまみ制御孔62及び縦変化球つまみ制御孔61を投球つまみ摺動孔11b及び縦変化球つまみ摺動孔11aと略同じ長さとして形成し、横変化球つまみ制御孔63を横変化球つまみ14の基準位置と略等しい位置に形成してなるものである。従って、横変化球つまみ14は操作不可となり、縦変化球つまみ12の操作のみでボールを変化させることとなる。尚、図9(c)に示した投球制御プレート6と図9(d)に示した投球制御プレート6は、一枚のプレートの裏表として形成しており、一枚のプレートで2種類の投球制限を行うことができる。
【0096】
そして、図9(e)の投球制御プレート6は、縦変化球つまみ12と横変化球つまみ14の動作を制限するもので、縦変化球つまみ制御孔61の後端位置を縦変化球つまみ摺動孔11aの後端位置と同じとするとともに前端位置を縦変化球つまみ12の基準位置と略等しい位置に形成し、横変化球つまみ制御孔63を横変化球つまみ14の基準位置と略等しい位置に形成してなるものである。従って、横変化球つまみ14は操作不可となり、縦変化球つまみ12は後方へ引く操作のみ行うことができることとなる。
【0097】
本発明において、投球つまみ13を後端部まで引いたときにボールBが送球溝33から発射台32へ移動し、発射台32が前方方向への付勢によって通常位置に戻るときにボールBが発射されるように構成しているため、投球つまみ制御孔62は投球つまみ摺動孔11bと略等しい形状で形成する。尚、図9(a)乃至図9(e)に示したように、投球つまみ制御孔62の側方には「遅」及び「速」の文字が描かれており、発射台32のボール受け部32aにボールBが載置された状態で投球つまみ13を「遅」や「速」に位置させることにより、ボールBの発射速度を制限することができる。つまり、「遅」の位置に投球つまみ13を戻してボールBを発射させると、「速」の位置から投球つまみ13を放したときよりも発射台32の前方方向への付勢が弱くなるため、発射速度を遅くすることができる。
【0098】
このように、ピッチャーの癖、キャリア、投球の種類に合わせて特定の投球制御プレート6を使用することにより、ピッチャーに性格づけをすることができ、一枚のプレートでも投球の種類を制限して投打の攻撃力を調整して遊ぶことができ、また、制御孔の長さが異なる複数枚の投球制御プレート6を用いればプレイ中に順次交換して用いることにより、ピッチャーを交代させるという実際の野球の試合に近い遊び方をすることが可能となる。
【0099】
以上詳述した如く、本発明の野球ゲーム盤は、投球を上下方向に変化させる縦変化球部2、投球を左右方向に変化させる横変化球部4、バッター人形7のスタンスを変更させる機能を備えたバッティング部5、並びに投球を操作する投球操作部11に覆設して投球操作に制限を与える投球制御プレート6を備えているので、これらをプレイ中に組み合わせて操作することにより、多様な遊び方をすることができる。
【0100】
即ち、縦変化球つまみ12により前記縦変化球部2を操作すると、縦変化球つまみ12を前方へ押したときは、盤面1から上昇したプレート板22にボールBを接触させてその衝撃により該ボールBを上方に弾き、弾かれたボールBはバッター人形7のバットの上を飛び越えるため、ジャンプボールとすることができ、縦変化球つまみ12を後方へ引いたときは、投球部3から捕球部8へ向けて発射されたボールBを盤面1の下方へ落下させることができるため、消える魔球とすることができる。
【0101】
そして、投球操作部11に投球制御プレート6を覆設すると、縦変化球つまみ12を操作することによるプレート板22の上昇又は下降移動を制限したり、横変化球つまみ14の動作範囲を制限して磁石43の揺動範囲を制限することができるので、ピッチャーに個性を与えることができ、ピッチャー交代といった実際の野球のゲームに近い遊び方をすることができる。
【0102】
尚、本実施形態において、投球操作部11の上面板を外縁部よりも低い高さで設けて構成したが、外縁部上端と略等しい高さで上面板を設けることも可能である。その場合は、上面板に係合凸部又は係合凹部を形成し、投球制御プレート6にはその上面板の係合凸部又は係合凹部と係合する係合凹部又は係合凸部を形成しておく。このように、互いに係合する凸部と凹部を上面板と投球制御プレート6に形成しておくことで、投球制御プレート6を安定して固定させることができる。また、係合凸部と係合凹部を上面板と投球制御プレート6に形成すると、投球制御プレート6を任意の形状とすることができる。
【0103】
また、投球操作部11の上面板を投球制御プレート6で構成することも可能である。つまり、投球操作部11の平面形状と略等しい大きさ及び形状にプレート板を作成し、該プレート板を、つまみの動作を制限しない標準プレートと複数枚の投球制御プレート6を備えて、投球操作部11の上端に着け外し可能に構成しておけば良い。
【0104】
そして、投球制御プレート6の前端側に立板を略垂直に設けることもある。該立板をスコアボードの背後に重なるようにし、立板の前面の一部に各ピッチャーのイラストを描き、スコアボードの対応する部分を切り欠いて覗き窓を形成しておけば、投球制御プレート6を付け替えたときに、バッター側からピッチャーの交代を確認することができる。
【0105】
また、投球操作部11に配置する縦変化球つまみ12及び横変化球つまみ14を左右方向に摺動可能に配置することもできる。つまり、縦変化球つまみ摺動孔11aと横変化球つまみ摺動孔11cを横方向に長尺に形成し、例えば、縦変化球杆21には縦変化球つまみ12の左右の移動に対して該縦変化球杆21を前後に摺動させる補助部材を備え、横変化球杆41には揺動軸を設けて該揺動軸を支点として横変化球部4を揺動させるように構成し、カーブやシュートの横変化と横変化球つまみ14の左右移動を合わせるようにすることもできる。
【0106】
更に、野球ゲーム盤としては、ボールを盤面1下へ落下させるように縦変化球つまみ12を後方へ引く操作のみが行えるようにしてプレート板22の下降移動のみが行えるように構成した縦変化球部2を備えた野球ゲーム盤や、ボールのジャンプ変化のみを行わせるように縦変化球つまみ12を前方へ押す操作のみが行えるように構成した縦変化球部2を備えた野球ゲーム盤であっても、投球制御プレート6と組み合わせることにより縦変化の制限や横変化の一部制限を行ってピッチャーの交代を演出して遊ぶことができる。
【0107】
そして、この野球ゲーム盤では、投球部3の発射台32には、ボール受け部32aの前後に移動規制板32bとブロック部材32cを備え、当該発射台32に1個のボールBのみを載置可能としているため、ボールBが発射台32に載置された状態で投球つまみ13を前後に移動させても次のボールBが発射台32に侵入するのを防ぐことができる。
【0108】
また、バッティング部5の摺動枠体に連結されたスタンス変更つまみ17を操作すると、バッティング部5に立設させたバッター人形7をスクエアスタンス、オープンスタンス及びクローズドスタンスの各スタンスで立設させることができるため、打撃つまみ16を操作したときのバットの回転後端位置が異なり、打撃方向をセンター方向、レフト方向、ライト方向と選択して打撃することが容易にできる。
【0109】
尚、本実施形態において、バッティング部5は右打者のみを図示して説明したが、左打者用のバッティングボックスを装備して右打者、左打者の両方でバッティングできるようにしても良い。
【0110】
上述の如く、本発明を好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明に係る野球ゲーム盤の斜視図である。
【図2】本発明に係る野球ゲーム盤の平面図である。
【図3】本発明に係る野球ゲーム盤の内部を破線で示した平面図である。
【図4】本発明に係る野球ゲーム盤の内部の平面図である。
【図5】本発明に係る野球ゲーム盤の後部の平面図である。
【図6】本発明に係る野球ゲーム盤の前部の平面図である。
【図7】投球操作部に投球制御プレートを装着した状態の平面図である。
【図8】投球制御プレートの斜視図である。
【図9】(a)乃至(e)は各種投球制御プレートの平面図である。
【図10】縦変化球部、横変化球部及びバッティング部の要部の構成を示す平面図である。
【図11】基準位置における縦変化球部の斜視図である。
【図12】基準位置における縦変化球部の概略側面図である。
【図13】縦変化球つまみの押し操作時における縦変化球部の動作を示す平面図である。
【図14】縦変化球つまみの押し操作時における縦変化球部の動作を示す概略側面図である。
【図15】縦変化球つまみの引き操作時における縦変化球部の動作を示す平面図である。
【図16】縦変化球つまみの引き操作時における縦変化球部の動作を示す概略側面図である。
【図17】横変化球つまみの引き操作時における横変化球部の動作を示す平面図である。
【図18】横変化球つまみの押し操作時における横変化球部の動作を示す平面図である。
【図19】投球部の要部の構成を示す平面図である。
【図20】投球部を構成する要部の斜視図である。
【図21】ボール放出部の外観斜視図である。
【図22】(a)乃至(c)は投球部の動作を説明する図である。
【図23】(a)乃至(c)は投球部の動作を説明する図である。
【図24】基準位置における投球部の概略側面図である。
【図25】投球つまみの引き操作時における投球部の動作を示す平面図である。
【図26】投球つまみの引き操作時における投球部の動作を示す概略側面図である。
【図27】投球時の投球部の動作を示す概略側面図である。
【図28】バッティング部の分解斜視図である。
【図29】バッティング部の概略側面図である。
【図30】(a)及び(b)はバッター人形の構造を示す斜視図である。
【図31】(a)及び(b)はスクエアスタンスにおけるバッティング部の平面図である。
【図32】オープンスタンスにおけるバッティング部の概略位置を示す図である。
【図33】(a)及び(b)はオープンスタンスにおけるバッティング部の平面図である。
【図34】クローズドスタンスにおけるバッティング部の概略位置を示す図である。
【図35】(a)及び(b)はクローズドスタンスにおけるバッティング部の平面図である。
【図36】図30乃至図34におけるバッター人形のスイング範囲を示す平面図である。
【図37】捕球部の取り付け状態を説明する裏面図である。
【図38】補球部の分解斜視図である。
【図39】基準位置における補球部の概略側面図である。
【図40】押し上げつまみの操作時における捕球部の動作を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0112】
A 盤台 B ボール
C 操作部 D,E,F 矢印
1 盤面 2 縦変化球部
3 投球部 4 横変化球部
5 バッティング部 6 投球制御プレート
7 バッター人形 8 捕球部
11 投球操作部 11a 縦変化球つまみ摺動孔
11b 投球つまみ摺動孔 11c 横変化球つまみ摺動孔
12 縦変化球つまみ 13 投球つまみ
14 横変化球つまみ
15 打撃操作部 15a 打撃つまみ摺動孔
15b スタンス変更つまみ摺動孔 15c 押し上げつまみ摺動孔
16 打撃つまみ 17 スタンス変更つまみ
18 押し上げつまみ
21 縦変化球杆 22 プレート板
22a 後端壁部 22b 傾斜壁部
23 昇降台 23a,23b 支持突起
24 昇降支持基台 24a 可動板部
24b 補強部
25 昇降支持部 25a 第1傾斜部
25b 第1平坦部 25e 第2傾斜部
25f 第2平坦部 25i 第3平坦部
26 掛止部 27 付勢部材
27a 前揺動板 27b 後揺動板
27c,27d 支持軸 27e,27f 係合凸部
28 引張りばね 29 制止部材
31 投球杆 32 発射台
32a ボール受け部 32b 移動規制板
32c ブロック部材 32d ピニオン係合部
32e 傾斜部 32f 突出片
33 送球溝 33a,33b 連通部
34 ボール押出部材 34a 圧縮ばね
34b 係合突起 35 スライド板
35a 切り欠き溝 35b 挟持板
36 押上部 36a 押上基部
36b 支持部材 36c 回動軸
37 主振り子 37a 接地部
37b 前傾斜部 37c 後傾斜部
38 補助振り子 38a 傾斜片
39 引張りばね 40 ピニオン
41 横変化球杆 42 揺動基板
43 磁石 44 揺動軸
51 打撃アーム 51a ピニオン係合部
52 スタンス変更アーム
53 スタンス制御部 53a ギア
53b 係合孔 53c 鍔部
54 人形立設部材 54a 軸受け孔
54b 鍔部 54c 係合爪
55 ピニオン 55a 係合爪
55b ばね受け部 55c 圧縮ばね
56 ギア係合部 57a 上摺動枠体
57b 下摺動枠体 57c 嵌合孔
57d 連結柱 57e 連結凹部
57f 保持台部 58 引張りばね
59 押し上げアーム 59a 昇降支持体
59b 傾斜部 60 引張りばね
61 縦変化球つまみ制御孔 62 投球つまみ制御孔
63 横変化球つまみ制御孔
71 胴部 72 立設軸
72a 固定枠 73 ピン
74 人形基部
81 野手部 81a 野手立設部
82 受入口 84 取付部
85a 投手立設部 85b 待機走者立設部
85c,85d,85e 走者立設部 85f 打者立設部
86a,86b,86c 表示つまみ 86d 覗窓
87 バッティング部取付窓 88 ベース板
88a 仕切板 89 移動支持部材
89a 案内面部 90 ガイド板
91 枠体 92 ガイド
93 支持板 93a 昇降溝
94a ガイド板 94b ブロック板
95 ボール放出部 95a 蓋板
95b 側板 95c 接触部
95d 軸 95e 跳ね上げ防止鍔部
95f 係止部
96 ボール投入部 97 放出案内台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野球場を模擬した盤面の投球部から捕球部へ向けてボールを発射し、発射されたボールをバッティング部で打ち返すように構成した野球ゲーム盤において、
該野球ゲーム盤は、ボールを発射させるため及び発射されたボールに変化を与えるために操作可能とされたつまみを複数備えた投球操作部を有し、該投球操作部に覆設する投球制御プレートを備えたことを特徴とする野球ゲーム盤。
【請求項2】
前記投球制御プレートには、前記操作可能とされたつまみが各々挿通する複数のつまみ制御孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の野球ゲーム盤。
【請求項3】
前記投球操作部は、各つまみを前後動させるための前後に長尺なつまみ摺動孔を備え、前記投球制御プレートの各つまみ制御孔は、各々が各つまみ摺動孔と略等しい長さかそれより短く形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の野球ゲーム盤。
【請求項4】
前記つまみ摺動孔は、略等間隔で配置されていることを特徴とする請求項3に記載の野球ゲーム盤。
【請求項5】
前記投球制御プレートを複数枚備え、各投球制御プレートのつまみ制御孔は、プレート毎に少なくとも何れか1つの長さが異なることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の野球ゲーム盤。
【請求項6】
前記投球制御プレートは、前記投球操作部の平面形状と略等しい大きさ及び形状の薄板として形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の野球ゲーム盤。
【請求項7】
前記投球操作部は野球ゲーム盤の後方側外方に外縁を湾曲させて備えられ、上面板が外縁部よりも低い高さで設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の野球ゲーム盤。
【請求項8】
前記投球制御プレートの上面及び/又は下面には、投球の種類を示す表示がつまみ制御孔の側方に描かれていることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれかに記載の野球ゲーム盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2009−82502(P2009−82502A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256681(P2007−256681)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000128234)株式会社エポック社 (21)