説明

野球ゲーム盤

【課題】 投球におけるボールの変化を多くすることにより野球ゲーム盤100をより楽しくすると共に、組立製造が容易な野球ゲーム盤100を提供する。
【解決手段】 野球場を模した野球ゲーム盤100の投球部30から捕球部111へ向けて発射した鋼球ボールを、バッティング部10で回転させるバットを模した打棒により打ち返すように構成した野球ゲーム盤100において、盤面のホームベースの位置近くに、下方に回動可能とされる平板形状の可動プレートを有し、投球部30と捕球部111との間の盤面下側には前後左右に移動可能とした磁石を配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盤面上で野球ゲームを行う野球ゲーム盤に関し、更に詳しくは、つまみの操作により、盤面上で投球、打球を行う野球ゲーム盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野球場を模擬した盤面上で投球、打球、捕球等を行いながら野球ゲームが行えるように構成した野球ゲーム盤が種々存在する。このような野球ゲーム盤は、投球部、打球部、捕球部等種々の機構を備え、投手、打者、走者、野手等の人形をそれぞれ配備できるようにし、実際の野球のルールを模してゲームを楽しめるように構成されている。
【0003】
例えば、本件出願人は、つまみの操作によって、捕球部へ向けて投球部からボールを発射し、発射されたボールをバッティング部で打ち返すことができるように構成した野球ゲーム盤を提案している(例えば、特許文献1参照)。この野球ゲーム盤は、投球をカーブさせたり、消える魔球となるようにボールを陥落させたりする等の機能を有し、投球を変化させてゲームとしての楽しみ方を増加させている。
また、投球の変化を増してゲームを楽しくする為、本件出願人は、ボールの陥落と左右の変化の他、ボールが跳ねるように変化させることを可能とした野球ゲーム盤の提案(特許文献2)も行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−33973号公報
【特許文献2】特開2009−82499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の一般的な野球ゲーム盤は、ホームベース位置でボールを陥落させるかホームベースの直前でボールの進行方向を左右に変化させるなどの投球の変化を楽しむことはできるも、変化の幅が少なく、ゲームに慣れてくると楽しみが低減することがあった。
また、ボールが跳ねるように変化させる野球ゲーム盤は、部品点数が多く、組立製造に手数を要する欠点があった。
本発明は、このような欠点を排除し、投球におけるボールの変化を多くすることにより野球ゲーム盤をより楽しくすると共に、組立製造が容易な野球ゲーム盤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、野球場を模した野球ゲーム盤の投球部から捕球部へ向けて発射した鋼球ボールを、バッティング部で回転させるバットにより打ち返すように構成した野球ゲーム盤において、ホームベースの位置近くに、下方に回動可能とされる平板形状の可動プレートを有し、投球部と捕球部との間の盤面下側には前後左右に移動可能とした磁石を配置したことを特徴とする。
【0007】
また、磁石は、投球部側又は捕球部側を揺動軸として左右に揺動可能な揺動板に固定され、該揺動板が盤面に対して前後に摺動可能に設けられた載置台に取付けられ、揺動板の揺動により左右に移動し、載置台の摺動移動により前後に移動することを特徴とする。
【0008】
そして、可動プレートは、投球部側端部又は端部近くに下方に垂下する垂下部を有し、載置台の前端に垂下部を当接し、載置台が投球部側に移動したとき、垂下部と載置台の前端との当接が外れて可動プレートの捕球部側端部を降下させるように回動することを特徴とする。
【0009】
更にこの野球ゲーム盤は、載置台と野球ゲーム盤のバックスクリーン後方に設ける変化球つまみを連結する変化球杆を有しており、該変化球杆は棒状の本体部の前端をクランク形状とされて垂直部及び水平部を形成し、この垂直部を載置台の底板を下から上に貫通させて水平部を揺動板と係合させ、変化球つまみの前後移動により載置台を前後に移動させ、変化球つまみの左右への傾斜により本体部を回転させて垂直部を左右に回動させることによって水平部を左右に移動させ、水平部と係合する揺動板を左右に揺動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る野球ゲーム盤は、ホームベース位置の可動プレートと合せて投球部と捕球部との間に前後左右に移動可能な磁石を有している為、可動プレートによりホームベース位置でボールが消えるように盤面の下方に落下させ、磁石を左右に移動させてボールの走る方向を左右に曲げて遊ぶことができるほか、ボールが磁石の位置を通過するときに磁石を前後に移動させることにより直線的に走るボールの速度を変化させることも可能となり、ボールの変化を多くした野球ゲームを楽しむことができる。
【0011】
また、磁石を左右に揺動可能な揺動板に固定し、この揺動板を前後に摺動可能な載置台に取付けている為、単純な構造で磁石を前後左右に容易に移動させることができる。
【0012】
そして、可動プレートに設けた垂下部を前後に摺動する載置台に当接して可動プレートを水平に維持している為、磁石の前後操作によって可動プレートの回動を制御することができる。
【0013】
更に、載置台を前後に移動させると共に揺動板を左右に揺動させる1本の操作杆により磁石の前後左右移動を操作し、磁石の前後操作により可動プレートの回動操作も行う為、ボールに変化を与える操作を簡単に行うことができ、また、少ない部品点数で野球ゲーム盤を製造組立できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る野球ゲーム盤の全体斜視図。
【図2】本発明に係る野球ゲーム盤の平面図。
【図3】本発明に係る野球ゲーム盤の内部機構の配置を示す平面図。
【図4】本発明に係る野球ゲーム盤の内部構造を示す平面図。
【図5】本発明に係る野球ゲーム盤の内部構造を示す斜視図。
【図6】本発明に係る野球ゲーム盤の投球機構及び変化球機構を示す分解図。
【図7】本発明に係る野球ゲーム盤の変化球機構の動作を示す斜視図。
【図8】本発明に係る野球ゲーム盤の変化球機構の他の動作を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る野球ゲーム盤は、野球場を模擬した盤面の投球部30から捕球部111へ向けてボールを発射し、発射されたボールをバッティング部10で打ち返すように構成した野球ゲーム盤100において、ホームベースの位置の近くに投球部側を回動軸として下方に回動可能な平板状の可動プレート75を配置し、投球部30と捕球部111との間の盤面内側には前後左右に移動可能とした磁石81を配置し、磁石81は、投球部側又は捕球部側を揺動軸として左右に揺動可能な揺動板85に固定され、該揺動板85は、盤面に対して前後に摺動可能に設けられた載置台91に取付けられ、可動プレート75は、投球部側端部の近くにおいて下方に垂下する垂下部77を有し、載置台91の前端に垂下部77を当接し、磁石81が載置台91と共に投球部側に移動したとき、載置台91の前端と垂下部77との当接が外れて可動プレート75の捕球部側端部を降下させるように回動するものとする。
【0016】
そして、載置台91と野球ゲーム盤100のバックスクリーン後方に設ける変化球つまみ61を連結する変化球杆63を有し、該変化球杆63は棒状の本体部65の前端をクランク形状とされて垂直部67及び水平部66を形成し、垂直部67を載置台91の底板92を貫通させて水平部66を揺動板85と係合させ、変化球つまみ61の前後移動により載置台91を前後に移動させ、変化球つまみ61の左右への傾斜により本体部65を回転させて垂直部67を左右に回動させることによって水平部66を左右に移動させ、水平部66と係合する揺動板85を左右に揺動させることし、一つの変化球つまみ61により磁石81を前後左右に操作可能とすると共に、磁石81を後退させるときに可動プレート75の前方を降下させることができるようにしたものである。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の野球ゲーム盤100の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、本発明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、野球ゲーム盤100の捕球部111側を正面としてピッチャー側である投球部30の方から見たときの方向に従うこととする。
【0018】
図1は本実施形態の野球ゲーム盤100の斜視図を、図2はその平面図を示し、当該野球ゲーム盤100は全体を野球場を模擬して形成されている。野球グランドを模した盤面のダイヤモンド内には、マウンドの位置にボールを発射させる投球部30が設けられ、該投球部30は、ボール発射部31と該ボール発射部31の横から後方に配置されるボール収納部35とが設けられている。また、盤面の前端部には、3個の凹部を並設した捕球部111が設けられ、中央をストライクカウント用、左右をボールカウント用としている。捕球部111よりも後方となる捕球部111の投球部30側にはホームベースが描かれており、このホームベースの更に投球部30側には可動プレート75が配置されている。また、この可動プレート75の両側にはバッター人形を配置するバッティング部10が配置されている。
【0019】
そしてゲーム盤の後方側でバックスクリーン125を模した位置の外方には外縁後端部を弓形に湾曲させた投球操作部40が張出しており、その上面板は外縁部よりも低い高さで設けられている。また、該投球操作部40には投球部30からボールを発射させる投球つまみ41、可動プレート75の前端を上下に回動させると共に盤面の内側に設ける磁石81を前後左右に移動させる変化球つまみ61が設けられ、この2つのつまみは投球操作部40の上面板の下方から突出するように配置されている。
【0020】
そして、ゲーム盤の前方側外方には外縁前端部を弓形に湾曲させた打撃操作部20が張出しており、その上面板は外縁部よりも低い高さで設けられている。また、該打撃操作部20には、バットを回転させる打撃つまみ21が上面板の下方から突出するように配設されている。
【0021】
また、前記投球部30の斜め前方にはピッチャー人形を配置する投手立設部131が配備され、1塁、2塁、3塁の各塁の位置には各ランナー人形を配置する走者立設部135がそれぞれ配備され、前記バッティング部10にはバッター人形を配置する打者立設部として後述する回転軸穴17を有した回転歯車の一部上面が露出している。そして、盤面の内野守備位置及び外野守備位置には、凹部で形成したボールを捕球する野手部113が7ヶ所に配備されるとともに、該野手部113の後方には各野手人形を配置する野手立設部137がそれぞれ配備されている。更に、1塁側方には、ストライクカウント、ボールカウント及びアウトカウントを表示するカウント表示部121が配備され、棒状体であるピンをピン孔に挿入してカウント数を表示可能としている。
【0022】
また、外野の後方側周囲にはボールが入ると、ファウル、1塁打、2塁打、3塁打、アウト、となる各受入口115が形成され、グランドのセンター後方のバックスクリーン125にはスコアーボードなどが描かれるものである。
【0023】
そして、図3に破線で示すように、野球ゲーム盤100の下面において前端から後端に延設されるカバー140が設けられ、野球ゲーム盤100の盤面の下方には、図4及び図5に示すように、投球機構、ボール変化機構、及び、打撃機構が配設されるものであり、この投球機構、ボール変化機構、及び、打撃機構がカバー140の内側に設けられる。
【0024】
即ち、該カバー140の後端近傍にはボールを発射するための投球つまみ41と、発射されたボールを変化させる変化球つまみ61が配置され、カバー140の前端近傍には打撃つまみ21が配置され、カバー140の略中央に前記投球つまみ41に連動する投球機構を、該投機構よりも前方に前記変化球つまみ61に連動するボール変化機構を配置し、該ボール変化機構の可動プレート75の側方に回転歯車15を配置した打撃機構をホームベース下方位置の近くに有し、該打撃機構は前記打撃つまみ21に接続する構成とされている。
【0025】
前記投球機構は、盤面に対して前後に移動可能とされる台座板52がカバー140の略中央に設けられた摺動レール51の間に取付けられ、この台座板52の上方には盤面上面のボール発射部31に突出する棒状の発射体53が設けられ、台座板52を前後に摺動させる発射操作杆43が台座板52の側方からカバー140の後方までの長さで配置され、発射操作杆43の後端に投球つまみ41が設けられるものである。
【0026】
更に、台座板52を摺動レール51の前端に当接するように付勢する発射弾性体45を有し、この発射弾性体45によって台座板52即ち発射体53を前方に付勢し、投球つまみ41を後方に移動させて発射弾性体45を伸ばし、投球つまみ41から指を離すと発射弾性体45の復元力により発射体53(台座板52)を前方に素早く移動させ、投球部30のボール発射部31に位置するボールを捕球部111に向けて発射することができる。
【0027】
この投球部30は、図1及び図2に示したように、ボール発射部31の略中間側方に開口部37を形成するようにボール収納部35を有し、該ボール収納部35はボールの直径よりも僅かに大きな幅であってボールの複数個を収納できる長さの溝を形成するように壁体が盤面から立設されてボール収納部35とボール発射部31を形成し、ボール収納部35の底面は開口部37に向って僅かに低くなる傾斜が設けられ、一列に並べられた全てのボールが開口部37に向って転がるように形成されている。
【0028】
そしてボール発射部31は、ボール収納部35の開口部37の位置から後方に向って発射体53が盤面下方からボール発射部31内に貫通する溝孔33を有し、開口部37の位置よりも後方は発射体53の幅に合せてボール発射部31の幅を細くすることによりボールが開口部37の位置よりもボール発射部31の後方に移動することを阻止し、開口部37の位置から前方へはボールの直径よりも僅かに大きな幅の間隙を形成するように壁体を盤面から立設しており、開口部37の位置から前方のボール発射部31の底面は僅かに上昇させる傾斜としている。
【0029】
この底面の傾斜により、投球つまみ41を後方に移動させて発射体53を後方に移動させることによって開口部37の位置においてボール発射部31に空間を形成したとき、開口部37からこのボール発射部31の空間に転がるように移動したボールを開口部37近くの所定位置に止めておくことができるものである。
【0030】
尚、ボール発射部31は、開口部37の位置から後方には上面板を設け、発射体53の後退量を見せないようにし、発射するときのボールの速さをバットを操作する攻撃側の遊戯者に予想させないようにしている。
【0031】
また、ボール変化機構は、磁石81を固定した揺動板85を取付けた載置台91と、載置台91の前方に設けられる可動プレート75で構成し、載置台91を摺動枠71の溝部73に収納して前後に摺動可能とし、摺動枠71の前端位置で可動プレート75を支持するものであり、該可動プレート75の後端近傍に設けた軸部76により可動プレート75の前端が上下に回動するように支持しているものである。
【0032】
この可動プレート75は、その上面が平面とされる平板形状の板状態であり、その上面を盤面の上面と同一高さとする高さに設けられ、盤面のホームベース位置近くに設けられる穴部を塞ぐ形状とされるものであり、該可動プレート75の後端には、可動プレート75と略直交するように下方に垂下する垂下部77を有し、この垂下部77を載置台91の前端に当接して可動プレート75を水平に維持しているものである。
【0033】
尚、可動プレート75が降下したときの先端位置には、盤面下方に落下したボールを捕球部111のボールカウント用である一塁側の凹部に導く誘導路79が形成されている。
【0034】
そして、磁石81を固定する揺動板85は、可動プレート75よりも僅かに低い高さに配置され、図6に示すように、矩形の平板状形状とされてその前端近くに設けた磁石固定部88に磁石81が固定されるものであり、後端近くに軸穴86を有して水平方向の左右に揺動可能に載置台91に取付けられるものである。
【0035】
また、揺動板85は、図6の(A)にその下面を示すように、揺動板85の裏面において軸穴86よりも前方位置である揺動板85の略中間位置において、中央に間隙を設けるようにした挟持板87を有するものである。
【0036】
そして、載置台91は、摺動枠71の溝の幅に合せた横幅を有する平板状の底板92を有し、底板92の前端には底板92から垂直に立設した前端板93を有し、前端板93よりも後方に前端板93と平行として前端板93よりも低い高さとする支持板94を有し、底板92の後端には支持板94と同一高さの上面を有する厚肉部95を有するものである。
【0037】
更に、この厚肉部95の上面には、揺動板85の軸穴86に挿入可能とされる円柱状の軸突起96を有し、この軸突起96を揺動板85の軸穴86に挿入して支持板94により揺動板85の中間を下方から支持しつつ揺動板85の軸穴86を揺動中心として揺動板85の捕球部側端部を水平方向の左右に揺動可能とするものである。
【0038】
また、載置台91の底板92には貫通溝97が厚肉部95の前端位置から前方に向けて底板92の前後方向中心線の位置に所要の長さで形成され、この貫通溝97には後述する変化球杆63の前端を貫通させるものである。
【0039】
尚、この載置台91は、摺動枠71の溝部73内に設けた弾性体69により摺動枠71の溝部73に沿って前方に付勢され、前端板93を可動プレート75の垂下部77に押し付けるように設けられるものである。
【0040】
そして、変化球杆63は、図6に示したように、その前端をクランク形状とするようにして垂直部67及び水平部66を形成し、この垂直部67で載置台91の底板92に設けた貫通溝97を貫通して水平部66を底板92の上方に位置させ、この水平部66を揺動板85に設けた挟持板87の間隙に位置させるようにして揺動板85に係合させるものであり、垂直部67の下端から後方に延びる変化球杆63の本体部65は投球機構の台座板52の下を貫通して後方に延び、本体部65の後端に変化球つまみ61を有するものである。
【0041】
従って、図7に示すように、変化球つまみ61を後方に移動させると、本体部65から上方に延設される垂直部67が載置台91の厚肉部95前端に当接されることにより載置台91を後方に移動させるものである。また、変化球つまみ61を右又は左に傾けると変化球杆63の本体部65を右又は左に回転させることができるものである。
【0042】
そして、図8に示すように、変化球つまみ61を右に傾けると、本体部65の回転により水平部66は本体部65の真上位置から右側に移動することとなり、揺動板85の間隙に挿入された水平部66の右移動により揺動板85の揺動軸を中心に揺動板85の前端を右側に移動させ、揺動板85に固定した磁石81を投球部30と捕球部111を結ぶ線の右側に位置させることができる。
【0043】
また、変化球つまみ61を左側に傾けると、変化球杆63の本体部65が左側に回転し、水平部66を本体部65の真上位置よりも左側に移動させ、揺動板85の前端を左側に移動させるように揺動板85が揺動軸を中心に揺動し、揺動板85の前端近くに固定した磁石81を投球部30と捕球部111を結ぶ線の左側に位置させることができる。
【0044】
そして、変化球つまみ61を後方に移動させて載置台91(揺動板85及び磁石81)を後方に移動させたとき、図7に示したように、載置台91の前端板93と可動プレート75の垂下部77との当接が離れて前端板93と垂下部77との間に空間が生じると、後端近くを回動軸とする可動プレート75は自重によってその前端を下方に移動させるように回動することとなる。
【0045】
尚、変化球つまみ61から遊戯者が指を離すと、載置台91は弾性体69により前方に付勢され、前端板93を垂下部77に押し当てて垂下部77を垂直状態とし、垂下部77を垂直状態に押圧保持して可動プレート75を水平状態とするものである。
【0046】
また、打撃機構は、打撃つまみ21の下端から投球部側に延びる連結部23と、連結部23の先端側から左右に広がり、投球部側に平行に延びる2本の作動部25を有し、この作動部25の後端近くにおいて各々外側を歯部とするラック27を有し、該ラック27と噛合する平歯車である回転歯車15を有すると共に、打撃用弾性体29により作動部25(打撃つまみ21)を後方の投球部側に付勢しているものである。
【0047】
そして、回転歯車15は、盤面のバッティング部10の下方に位置し、その上面中心に矩形の回転軸穴17を有し、バット形状とした打棒11の一端から垂下する打撃軸13の下端が挿入可能とされ、打撃軸13の下端を回転軸穴17に挿入したとき、打撃軸13及び打棒11と回転歯車15とを一体に回転可能とするものである。なお、回転軸穴17の上面は盤面に露出され、打撃軸13の下端が挿入されることになる。また、打棒11は、バット形状とした打棒に限られることはなく、例えば、バット形状の打棒を有したバッター人形としても良い。
【0048】
従って、打撃用弾性体29の弾性力に抗して打撃つまみ21を引くように移動させると、ラック27により回転歯車15を回転させて回転歯車15の回転軸穴17に挿入された打撃軸13と共に打棒11を回転させることができ、盤面上に位置する打棒11は先端を捕球部側に振るように回動し、打撃つまみ21から指を離すことにより打撃用弾性体29の弾性力により打撃つまみ21、連結部23、作動部25、ラック27が投球部側に移動して打棒11を回転させ、投球部30から発射されたボールを打つことができる。
【0049】
尚、打棒11の打撃軸13を右側の回転歯車15の回転軸穴17に挿入すれば左打者として遊ぶことができ、打棒11の打撃軸13を左側の回転歯車15の回転軸穴17に挿入すれば右打者として遊ぶことができる。
【0050】
従って、この野球ゲーム盤100では、ボール収納部35にボールを装填しておき、投球つまみ41を後方に引いてボール収納部35からボールを転がせて1個のボールをボール発射部31に移動させ、投球つまみ41から指を離すことにより投球部30から捕球部111に向けてボールを発射することができる。
【0051】
そして、変化球つまみ61を右又は左に傾けることにより、揺動板85の先端を右又は左に揺動させて磁石81を投球部30と捕球部111を結ぶ線上から右又は左に移動させ、発射されたボールを直線的に走らせるのみでなく、磁力によって右又は左に曲げるように投球コースを変化させることができる。
【0052】
又、ボールがホームベースに到達する直前に変化球つまみ61を後方に引くと、載置台91(磁石81)が投球部側に移動して可動プレート75の前端が降下し、ボールが盤面の下に落下して誘導路79を介して捕球部111における一塁側のボールカウント用の凹部に転がり込むことになる。
【0053】
更に、ボールを投球部30から発射する際に変化球つまみ61を引いて可動プレート75の先端を降下させておき、ボールがホームベースの直前に到達したときに変化球つまみ61を戻してボールがストライクコースを通るようにするのみでなく、ボールが磁石81の位置を通過するときに変化球つまみ61から指を離し、弾性体69により載置台91(磁石81)を素早く前方に移動させ、可動プレート75を水平に戻すと共に磁力によってボールを加速させて延びるボールに変化させることもできる。
【0054】
このように、ボールを加速させたりボールを左右に曲げるように変化させ、更にホームベース位置でボールが消えるようにボールを盤面の下に落下させるなどの変化を、一つの変化球つまみ61により操作できる為に種々の変化操作が容易となり、ボールを左に曲げるときは変化球つまみ61を左に、ボールを右に曲げるときは変化球つまみ61を右に傾けるため、操作とボール変化のイメージとが共通し、操作を誤ることなく容易に楽しむことができる。
【0055】
また、可動プレート75の上下移動を載置台91の前後移動で操作し、載置台91の上に揺動板85を設けて磁石81を左右に移動させることとし、この操作を一本の変化球杆63で操作可能とした為、部品点数を少なくし、組立の手数を少なくして製造を容易としているものである。
【0056】
尚、図5等に示した打撃機構や投球機構、ボール変化機構の操作機構は、カバー140に組付けるようにしているも、打撃機構の打撃つまみ21や作動部25及び回転歯車15、ボール変化機構の可動プレート75や載置台91を規制しつつ支持する摺動枠71、更には投球機構の摺動レール51などを盤面の裏に取付けて盤面の裏面に各機構の部材を組み付けるようにして、カバー140を単に盤面の裏面に固定するようにすることもある。
【0057】
また、矩形の板状体である揺動板85は、その後端側である投球部側を揺動中心とする場合のみでなく、捕球部側である前端側を揺動中心とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、野球場を模した野球ゲーム盤100であって、打撃機構を操作する打撃つまみ21、投球機構を操作する投球つまみ41、ボールを変化させるボール変化機構を操作する一つの変化球つまみ61を有しているため、守備側の遊戯者は夫々一つの投球用の投球つまみ41とボールを変化させる変化球つまみ61を操作して変化の多いボールを捕球部111に入れることができ、攻撃側の遊戯者は打撃つまみ21を操作して変化するボールを打ち返すことにより、容易に野球ゲームを楽しむことができる。
【符号の説明】
【0059】
10 バッティング部 11 打棒
13 打撃軸 15 回転歯車
17 回転軸穴
20 打撃操作部 21 打撃つまみ
23 連結部 25 作動部
27 ラック
30 投球部 31 ボール発射部
33 溝孔 35 ボール収納部
37 開口部
40 投球操作部 41 投球つまみ
43 発射操作杆 45 発射弾性体
51 摺動レール 52 台座板
53 発射体 61 変化球つまみ
63 変化球杆 65 本体部
66 水平部 67 垂直部
69 弾性体
71 摺動枠 73 溝部
75 可動プレート 76 軸部
77 垂下部 79 誘導路
81 磁石 85 揺動板
86 軸穴 87 挟持板
88 磁石固定部
91 載置台 92 底板
93 前端板 94 支持板
95 厚肉部 96 軸突起
97 貫通溝
100 野球ゲーム盤 111 捕球部
113 野手部 115 受入口
121 カウント表示部 125 スコアーボード
131 投手立設部
135 走者立設部 137 野手立設部
140 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野球場を模した野球ゲーム盤の投球部から捕球部へ向けて発射した鋼球ボールを、バッティング部で回転させるバットにより打ち返すように構成した野球ゲーム盤において、盤面のホームベースの位置近くに、下方に回動可能とされる平板形状の可動プレートを有し、前記投球部と前記捕球部との間の盤面下側には前後左右に移動可能とした磁石を配置したことを特徴とする野球ゲーム盤。
【請求項2】
前記磁石は、前記投球部側又は前記捕球部側を揺動軸として左右に揺動可能とされる揺動板に固定され、該揺動板が盤面に対して前後に摺動可能に設けられた載置台に取付けられ、前記揺動板の揺動により左右に移動し、前記載置台の摺動移動により前後に移動することを特徴とする請求項1に記載した野球ゲーム盤。
【請求項3】
前記可動プレートは、前記投球部側端部又は端部近くに下方に垂下する垂下部を有し、前記載置台の前端に該垂下部を当接し、前記載置台が前記投球部側に移動したとき、該垂下部と前記載置台の前端との当接が外れて前記可動プレートの捕球部側端部を降下させるように回動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した野球ゲーム盤。
【請求項4】
前記載置台と野球ゲーム盤のバックスクリーン後方に設ける変化球つまみを連結する変化球杆を有しており、該変化球杆は棒状の本体部の前端をクランク形状とされて垂直部及び水平部を形成し、該垂直部を前記載置台の底板を貫通させて該水平部を前記揺動板と係合させ、該変化球つまみの前後移動により前記載置台を前後に移動させ、該変化球つまみの左右への傾斜により本体部を回転させて該垂直部を左右に回動させることによって該水平部を左右に移動させ、該水平部と係合する前記揺動板を左右に揺動させることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載した野球ゲーム盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−152292(P2012−152292A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12263(P2011−12263)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000128234)株式会社エポック社 (21)