説明

野球又はソフトボールの成形モールド及びその成形方法

【課題】野球又はソフトボールの製造コストを低減すると共に、ボールの外観要求を満足できる野球又はソフトボールの成形モールド及びその成形方法を提供する。
【解決手段】ボールの外形に対応する二つの8字形のモールド部材を有し、前記二つのモールド部材を湾曲して互いに結合することにより、球体の外形を形成すると共に、なう部に中空部が形成され、前記2枚のモールド部材の上端にその内部と連通する突出状の注料溝が設けられ、前記注料溝の両側に前記モールド部材の内部と連通する通気溝が形成され、前記2枚のモールド部材を互いに結合することにより、球体の中空部が形成され、同時に、前記二つの注料溝を結合することにより、材料注入チャンネルが形成され、前記二つの通気溝を結合することにより、通気チャンネルが形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球又はソフトボールの成形モールド及びその成形方法に関し、特に野球又はソフトボールの製造コストを低減すると共に、球体の外観要求を満足できる野球又はソフトボールの成形モールド及びその成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1及び図2に示すように、従来の野球又はソフトボールの構造は、主に弾性力を有するボール芯(10)と前記ボール芯(10)の外表面を包覆するボール革(11)から構成される。前記ボール革(11)は、2枚ヒョウタン形のシート素材を互いに縫うことにより構成されると共に、前記ボール芯(10)を内部に包覆することにより、ボールを構成する。前記ボール革(11)の連接箇所に縫い目が設けられることにより野球又はソフトボールの外観要求を満足する。前記縫い目が人工的に完成するため、作業人員の操作能力に対して高い要求がある。しかし、現在人力のコストが続けて高くなるから、製品の製造コストも高くなってしまう。一方、前記ボール革(11)の素材は、天然皮革のほうが多い、野球用皮革を生産する技術を持っている工場の数がすくない。天然皮革の値段も高いため、製品のコストが低減できない原因となり、故に製品の市場競争力が向上し難しい。又、互いに縫った2枚のボール革(11)によるボールの使用に制限があり、湿度の高い環境や雨天で使用すると、前記ボール革(11)の縫い目(12)の隙間から水が浸入することにより、ボール芯(10)の浸水になり、ボールの質量が増加してしまう、更に、濡れたボール芯(10)は変形しやすくなり、ボールのバンドとボールの物性に悪影響を与え、ボールの使用寿命を低減してしまう恐れがある。
【0003】
図3及び図4に示すように、前記の問題を解決するために、新たな野球やソフトボールが開発され、これはPU(ポリウレタン)素材である半球体の表皮(20)を製造し、従来のボール革(11)の代わりに前記半球体の外部表皮(20)をボール芯(21)の外部に設置するものである。この方式により、機械化でボールの表皮を製造して人口製造のコストを低減すると共に、天然革の代わりにPU素材でよい密閉性で浸水の防止を同時に達成できるが、金型の制限で製造したボール表面の中央にモールドライン(22)が現れ、ボール外観の美観性を保ちながら当該モールドライン(22)を消すために二次加工を進行しなければならないので、製造工程を複雑になる問題を存在する。
【0004】
又、前記野球又はソフトボールの球体は、現在良く使用されるものであるため、特に特許文献又は非特許文献に記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
更に、前記ボール芯(21)の外部に前記半球体の表皮(20)を設置する方式は、うまく接合しない場合、前記半球体の表皮(20)と前記ボール芯(21)が分離してしまう問題を発生しやすく、球体の性能にも悪影響を与える恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、製造コストを低減し、加工工程が易くなると共に、ボール芯とボール表皮との結合性を強くなり、ボールの使用功能を保つことができる野球又はソフトボールの成形モールド及びその成形方法を提供する。
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明に係わる第1の実施例の成形モールドは、球体の外形に対応する二つの8字形のモールド部材を有し、前記二つのモールド部材を互いに結合することにより、球体の外形を形成し、前記二つのモールド部材が柔軟性の材料から構成され、前記二つのモールド部材を互いに結合する箇所の内側に縫い目溝が設けられ、又、前記二つのモールド部材を互いに結合する箇所に材料注入チャンネルと通気チャンネルが設けられる。
【0008】
前記成形モールドを使用する野球又はソフトボールの成形方法は、1.先ずボールの外形に対応する二つの8字形のモールド部材を互いに結合することにより、中空部を有するモールドが形成される。2.次に、液体に加熱したPU素材を前記モールドの中空部に注入し、前記モールドの材料注入チャンネルを封閉した後、前記モールドを揺れることにより、前記PU素材が前記中空部の裏面に均一にボールの皮層を形成する。3.前記ボールの皮層の内部にボール芯の素材を注入し、そのボール芯の素材を固化することによりボール芯を形成する。4.前記モールドを外した後、ボールを取得する。
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明に係わる第2の実施例の成形モールドを有する。第2の実施例と前記第1の実施例の差異は、前記二つのモールド部材の接合箇所の内表面に複数の位置決めロッドが設けられることであり、前記位置決めロッドは、球心を支持することにより、球皮の厚さを制御する功能を有する。
【0010】
前記第2の実施例の成形モールドを使用する野球又はソフトボールの成形方法は、1.独立にボール芯を成形する。2.互いに結合した球体モールドの中空部に前記ボール芯を設置し、同時に前記ボール芯が前記二つのモールド部材内の位置決めロッドによって位置決められる。3.PU素材を流動の液体状態に加熱すると共に、注料溝からモールドの中空部に適量に注入し、流体状のPU素材によって前記ボール芯を包覆することにより、ボールの皮層を形成する。4. 前記モールドを外した後、球体を取得する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、本発明の成形モールドと成形方法は、二つのモールド部材を互いに結合することにより、球体モールドが形成され、柔軟性のモールド部材を外しやすい、更に、前記二つのモールド部材を互いに結合する箇所の内側に縫い目溝が設けられることにより、球皮における縫い目が形成することができるので、球体の外観要求を満足でき、又、成形後のモールドラインが縫い目に隠されるため、二次加工が不要となる。前記モールドの設計が精密で、前記成形方法が簡単であるので、野球又はソフトボールの球体の品質と生産効率を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の野球又はソフトボールの構成を示す一部分解斜視図である。
【図2】従来の野球又はソフトボールの構成を示す斜視図である。
【図3】従来の野球又はソフトボールの他の構成を示す一部分解平面図である。
【図4】従来の野球又はソフトボールの他の構成を示す平面図である。
【図5】本発明に係る成形モールドを示す分解斜視図である。
【図6】本発明に係る成形モールドを示す斜視図である。
【図7】本発明に係る成形方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る第2の実施例の成形モールドを示す分解斜視図である。
【図9】本発明に係る他の成形方法を示すフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。尚、下記実施例は、本考案の好適な実施の形態を示したものにすぎず、本考案の技術的範囲は、下記実施例そのものに何ら限定されるものではない。
【0014】
図5と図6に示すように、本発明に係わる第1の実施例の成形モールドは、球体の外形に対応する二つの8字形のモールド部材(30)(40)を有し、前記二つのモールド部材を湾曲して互いに結合することにより、ボールの外形を形成すると共に、内部に中空部が形成され、前記二つのモールド部材(30)(40)が柔軟性の材料(例えば、ゴム、シリコンやプラスチック素材など)から構成されるため、変形の能力を有する。
【0015】
前記モールド部材(30)周辺の外表面に段差面が形成されることにより、結合箇所(31)が形成され、前記結合箇所(31)の内表面に窪みの縫い目溝(32)が設けられる。前記モールド部材(30)の上端にその内部と連通する突出状の注料溝(33)が設けられ、前記注料溝(33)の両側に前記モールド部材(30)の内部と連通する通気溝(34)が形成される。
【0016】
前記モールド部材(40)周辺の外表面に段差面が形成されることにより、結合箇所(41)が形成され、前記結合箇所(41)の内表面に窪みの縫い目溝(42)が設けられる。前記モールド部材(40)の上端にその内部と連通する突出状の注料溝(43)が設けられ、前記注料溝(43)の両側に前記モールド部材(40)の内部と連通する通気溝(44)が形成される。
【0017】
前記2枚のモールド部材(30)(40)を互いに結合することにより、完全の球体の中空部が形成され、前記結合箇所(31)(41)が前記モールド部材(30)(40)を結合するエッジを提供し、同時に、前記二つの注料溝(33)(43)を結合することにより、材料注入チャンネルが形成され、前記二つの通気溝(34)(44)を結合することにより、通気チャンネルが形成される。
【0018】
図7に示すように、前記成形モールドを使用する野球又はソフトボールの成形方法は、先ずボールの外形に対応する二つの8字形のモールド部材(30)(40)を互いに結合することにより、中空部を有するモールドが形成される。
次に、流動状態の液体に加熱したPU素材を前記注料溝(33)(43)から前記モールドの中空部に注入し、封閉カバー(50)によって前記モールドの前記注料溝(33)(43)を封閉した後、前記モールドを揺れることにより、前記PU素材が前記中空部の裏面に均一に球皮層(60)を形成する。前記球皮層(60)を形成すると、前記通気溝(33)(34)が前記モールド内部の圧力バランスを確保するための排気機能を有する。
そして、前記封閉カバー(50)を外して前記球皮層(60)の内部に球心の素材を注入し、その球心の素材を固化することにより球心(70)を形成する。前記球心の素材はPU材料、又は弾性力と硬質特性を有する複合材料であり、そして前記球皮層(60)と前記ボール芯(70)を緊密に結合する。
最後に、前記モールド部材(30)(40)の柔軟特性によって前記モールドを外すことにより、ボールを取得する。
【0019】
ボール表面の美観性を向上するために、前記ボールの外表面における材料注入チャンネルに対応する部位に対して削除加工を行うことができ、前記縫い目溝(32)(42)によって成形した縫い目部分に対して着色スプレー加工を行うことにより、縫い目の部分を着色する。
【0020】
本発明に係わる第1の実施例の成形モールドと成形方法による製造した野球やソフトボールは、二枚のモールド部材(30)(40)を互いに結合することにより、ボールに対応するモールドの中空部が形成され、柔軟性を有するモールド部材(30)(40)が取り外しやすく、且つ前記モールド部材(30)(40)内における窪み状の縫い目溝(32)(42)により、球皮層(60)表面の縫い目を形成することができるため、ボール外観の美観性を満足できる。また、前記成形後のモールドラインが球体の縫い目に隠されるため、二次加工が不要となる。前記モールドの設計が構造簡単且つ設計の精密で、前記成形方法が簡単であるので、野球又はソフトボールの球体の品質と生産効率を大幅に向上することができる。更に、前記球皮層(60)を形成したから、球心(70)を成形することにより、前記球皮層(60)と前記ボール芯(70)との結合効果を更に向上し、球体の品質と功能を確保することができる。
【0021】
図8に示すように、本発明に係わる第2の実施例の成形モールドを示す。第2の実施例と前記第1の実施例とは殆ど等しく、二枚の8字形のモールド部材(30)(40)を湾曲して互いに結合することにより、ボールに対応するモールドの中空部が形成される。異なるのは、前記二つのモールド部材の接合箇所(31)(41)の内表面に複数の位置決めロッド(35)(45)が設けられることであり、前記位置決めロッド(35)(45)は、ボール芯を支持することにより、球皮の厚さを制御する功能を有する。
【0022】
図9に示すように、前記第2の実施例の成形モールドを使用する野球又はソフトボールの成形方法は、独立にボール芯(80)を成形する。前記ボール(80)は、PU素材、ゴム、コルク及び多層の毛糸から選ばれる一つである。
次に、前記2枚のモールド部材(30)(40)を互いに結合した球体モールドの中空部に前記ボール芯(80)を設置し、同時に前記ボール芯(80)が前記二つのモールド部材(30)(40)内の位置決めロッド(35)(45)によって位置決められる。
そして、PU素材を流動の液体状態に加熱すると共に、注料溝(33)(43)からモールドの中空部に適量に注入し、流体状のPU素材によって前記ボール芯(80)を包覆することにより、ボールの表皮(90)を形成する。
最後に、前記モールド部材(30)(40)の柔軟特性によって前記モールドを外すことにより、ボールを取得する。
【0023】
球体表面の美観性を向上するために、前記球体の外表面における材料注入チャンネルに対応する部位に対して削除加工を行うことができ、前記縫い目溝(32)(42)によって成形した縫い目部分に対して着色スプレー加工を行うことにより、縫い目の部分を着色する。
【0024】
本発明に係わる第2の実施例の成形モールドと成形方法による製造した野球やソフトボールは、位置決めロッド(35)(45)によってボール芯(80)を支持した後に、球皮(90)を成形する方式と、モールド部材(30)(40)の通気溝(34)(44)の設置により、球皮(90)の厚さの均一性及び球体の標準規格(例えば、耐圧数値、弾力係数など)を確保することができるので、球体の品質と性能を確保することができる。
【0025】
上記図面に示された線、比例又は部材の厚さは、拡大又は簡素化するために示されることもあり、又、本明細書に使用される部材の名称は、実施例を説明するために付けるものであり、本発明を制限するためではない。上記詳細な説明は、本発明における実施例を通じて本発明を説明するものであるが、前記実施例は本発明の特許請求の範囲を制限するものではなく、本発明の技術要旨に離脱しない何れかの補正や変化すること、例えば等しい効果への変形実施例は、本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、前記の構成を有するので、野球又はソフトボールの製造コストを低減すると共に、球体の外観要求を満足できる野球又はソフトボールの成形モールド及びその成形方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0027】
(従来の部分)
10 球心
11 球皮
12 縫い目
20 半球体の外部皮
21 球心
22 モールドライン
(本願の部分)
30 モールド部材
31 結合箇所
32 縫い目溝
33 注料溝
34 通気溝
35 位置決めロッド
40 モールド部材
41 結合箇所
42 縫い目溝
43 注料溝
44 通気溝
45 位置決めロッド
50 封閉カバー
60 球皮層
70 球心
80 球心
90 球皮

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールの外形に対応する二つの8字形のモールド部材を有し、前記二つのモールド部材を湾曲して互いに結合することにより、球体の外形を形成すると共に、なう部に中空部が形成され、前記2枚のモールド部材の上端にその内部と連通する突出状の注料溝が設けられ、前記注料溝の両側に前記モールド部材の内部と連通する通気溝が形成され、前記2枚のモールド部材を互いに結合することにより、球体の中空部が形成され、同時に、前記二つの注料溝を結合することにより、材料注入チャンネルが形成され、前記二つの通気溝を結合することにより、通気チャンネルが形成されることを特徴とする野球又はソフトボールの成形モールド。
【請求項2】
前記二つのモールド部材の接合箇所の内表面に複数の位置決めロッドが設けられることを特徴とする請求項1に記載の野球又はソフトボールの成形モールド。
【請求項3】
前記2枚のモールド部材周辺の外表面に段差面が形成されることにより、結合箇所が形成され、前記結合箇所の内表面に窪みの縫い目溝が設けられ、前記結合箇所が前記2枚のモールド部材を結合するエッジを提供することを特徴とする請求項1に記載の野球又はソフトボールの成形モールド。
【請求項4】
前記二つのモールド部材がゴム、シリコン又はプラスチック素材である柔軟性の材料から構成されるため、変形の能力を有することを特徴とする請求項1に記載の野球又はソフトボールの成形モールド。
【請求項5】
柔軟性を有する二つの8字形のモールド部材を互いに結合することにより、中空部を有するモールドが形成され、流動状態の液体に加熱したPU素材をモールドの中空部に注入し、封閉カバーによって前記モールドの注料溝を封閉した後、前記モールドを揺れることにより、前記PU素材が前記中空部の裏面に均一に球皮層を形成し、前記球皮層の内部にボール芯の素材を注入し、そのボール芯の素材を固化することによりボール芯を形成し、最後に、前記モールド部材の柔軟特性によって前記モールドを外すことにより、ボールを取得することを特徴とする野球又はソフトボールの成形方法。
【請求項6】
前記球心の素材は、PUであることを特徴とする請求項5に記載の野球又はソフトボールの成形方法。
【請求項7】
前記球体を取得した後、その外表面に対して着色スプレー加工を行うことにより着色することを特徴とする請求項5に記載の野球又はソフトボールの成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−200595(P2012−200595A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12314(P2012−12314)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(512019446)