説明

金属不純物を分離する方法

吸水性ポリマー粒子を含有する生成物材料流から金属不純物を分離する方法であり、その際に生成物材料流は、35〜90℃の温度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性ポリマー粒子を含有する生成物材料流(Produktmassenstrom)から金属不純物を分離する方法に関する。
【0002】
吸水性ポリマー粒子は、おむつ、タンポン、生理用ナプキン及び他の衛生用品を製造するため、しかしまた農業造園における保水剤としても、使用される。吸水性ポリマー粒子は超吸収体とも呼ばれる。
【0003】
吸水性ポリマー粒子の製造は、モノグラフ"Modern Superabsorbent Polymer Technology", F.L. Buchholz及びA.T. Graham, Wiley-VCH, 1998, p.71-103に記載されている。
【0004】
吸水性ポリマー粒子の性質は、例えば、使用される架橋剤量を通じて調節されることができる。架橋剤量が上昇するにつれて、遠心機保持容量(Zentrifugenretentionskapazitaet, CRC)は低下し、かつ21.0g/cm2の圧力下での吸収(AUL0.3psi)は最大値を通過する。
【0005】
例えばおむつ中での膨潤されたゲル床の透過性(SFC)及び49.2g/cm2の圧力下での吸収(AUL0.7psi)のような応用特性を改善するには、吸水性ポリマー粒子は一般的に表面後架橋される。これにより前記粒子表面の架橋度は上昇し、それにより49.2g/cm2の圧力下での吸収(AUL0.7psi)及び遠心機保持容量(CRC)は、少なくとも部分的に結び付きを外れることができる。この表面後架橋は、水性ゲル相中で実施されることができる。しかし好ましくは、乾燥され、粉砕され、かつふるい分けされたポリマー粒子(ベースポリマー)が、その表面上に表面後架橋剤でコーティングされ、熱的に表面後架橋され、かつ乾燥される。そのために適した架橋剤は、吸水性ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシラート基と共有結合を形成することができる化合物である。
【0006】
欧州特許出願公開(EP-A1)第1 422 257号明細書には、磁気分離器を用いて吸水性ポリマー粒子を含有する生成物材料流から不純物を分離する方法が記載されている。
【0007】
本発明の課題は、吸水性ポリマー粒子を製造するための改善された方法、特により少ない生成物損傷及び不純物のより選択的な分離を提供することであった。
【0008】
前記課題は、
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、酸基を有する少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー、
b)少なくとも1つの架橋剤、
c)少なくとも1つの開始剤、
d)任意に、a)に挙げたモノマーと共重合可能な1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマー及び
e)任意に、1つ又はそれ以上の水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合することによって吸水性ポリマー粒子を製造するにあたり、金属不純物を、吸水性ポリマー粒子を含有する生成物材料流から磁気分離器を用いて分離することとし、
前記生成物材料流が35〜90℃の温度を有することにより特徴付けられる、吸水性ポリマー粒子の製造方法によって解決される。
【0009】
生成物材料流の温度は、好ましくは40〜80℃、特に好ましくは45〜70℃、極めて特に好ましくは50〜60℃である。
【0010】
生成物材料流中の吸水性ポリマー粒子の含水量は、好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜10質量%、極めて特に好ましくは2.5〜5質量%であり、かつEDANAにより推奨された試験法No. WSP 230.2-05"Moisture Content"に従って測定される。
【0011】
本発明では、吸水性ポリマー粒子を製造する際の磁気分離器の使用が、追加の機械負荷のために摩耗くずの増加をまねくという知見が基礎となっている。
【0012】
磁気分離はしばしば、吸水性ポリマー粒子を製造する際の最後の処理工程である。故に、この摩耗くずは、もはや取り除かれず、かつそれゆえ生成物特性を悪化させる。
【0013】
吸水性ポリマー粒子の機械的安定性は、温度調節により及び付加的に最小水分の調節により、明らかに高められることができる。それに対して高すぎる温度は磁場を弱める。
【0014】
それに対して、高すぎる温度と結び付いた高すぎる含水量は回避されるべきである、それというのも、吸水性ポリマー粒子の粘着性がこの場合に増加するからである。
【0015】
吸水性ポリマー粒子が、例えば表面後架橋のために、より高い温度、例えば160℃を超える温度で、熱的に処理される場合には、吸水性ポリマー粒子は極めて低い含水量を有する。故に、吸水性ポリマー粒子の含水量を磁気分離器の上流で高めることは有利である。
【0016】
含水量は通常、適した混合装置中での水又は水溶液の添加により高められる。有利には、高速混合器具を備えたミキサーが使用される、それというのも、これにより吸水性ポリマー粒子の塊状化傾向(Verklumpungsneigung)が最小限になるからである。塊状化傾向の別の影響因子は、吸水性ポリマー粒子の温度及び湿潤に使用される水溶液のイオン強度である。塊状化傾向は、温度が上昇するにつれ、かつイオン強度が上昇するにつれて、低下する。
【0017】
磁気分離器の内部表面は、好ましくは少なくとも60°、特に好ましくは少なくとも90°、極めて特に好ましくは少なくとも100°の接触角を水に対して有する。接触角は、湿潤挙動の尺度であり、かつDIN 53900に従って測定される。磁気分離器の内部表面は、生成物材料流と直接接触する面である。
【0018】
有利に、磁気分離器の磁石は、水に対して相応する接触角を有する高分子材料製のコーティング又はジャケットを有する。適したジャケットは、例えば、高分子材料製のケースであることができ、この中へ磁石が挿入される。
【0019】
適した高分子材料は、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、フッ素化ポリオレフィン、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂である。特に好ましい高分子材料は、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素化ポリオレフィンである。
【0020】
高分子材料でのコーティング又はジャケットは、磁石を非常に遮へいし過ぎないために厚すぎてはならず、しかしまた、十分な寿命を保証するために薄すぎてはならない。
【0021】
水に対して本発明による接触角を有する内部表面により、特に吸水性ポリマー粒子の含水量が磁気分離器の上流で高められた場合に、磁気分離器中での生成物粘着が回避される。
【0022】
使用される磁石は通常、少なくとも0.6T、特に好ましくは少なくとも0.9T、極めて特に好ましくは少なくとも1.1Tの磁束密度を有する。
【0023】
磁気分離器の磁石は通常、生成物流路中に直接存在する。生成物流路は限定されていない。適した生成物流路は例えば、吸水性ポリマー粒子が空気圧で又は重力で搬送される管路である。生成物流路の直径は、好ましくは5〜50cm、特に好ましくは15〜40cm、極めて特に好ましくは20〜35cmである。
【0024】
有利に、磁気分離器は上から下へ貫流される。この場合に、吸水性ポリマー粒子が、本質的にそれらの自重に基づいて磁気分離器に導かれることが可能である。
【0025】
磁石の距離は、生成物流のために十分な間隙を提供し、かつ他方では間隙中央での十分な磁場の強さが保証されているように選択されるべきである。
【0026】
本発明による方法において、好ましくは棒磁石が使用される。棒磁石の直径は、好ましくは5〜30mm、特に好ましくは5〜20mm、極めて特に好ましくは5〜10mmである。棒磁石間の間隙幅は、好ましくは5〜30mm、特に好ましくは8〜25mm、極めて特に好ましくは10〜20mmである。
【0027】
有利に、複数の磁石が並列に及びずらして上下に配置される。それにより磁気分離器の分離効率は高められる。
【0028】
有利に、棒磁石は、磁化可能でない材料、例えば合金鋼製のケース中に存在する。このケース上で分離された金属材料は、棒磁石を抜き出すことにより容易に除去されることができる。この種の系は、例えば、名称EASY CLEANクリーナビリティシステム(S+S Separation and Sorting Technology GmbH、Schoenberg、DE)で入手可能である。
【0029】
磁気分離器の表面ローディングは、好ましくは2〜15g/cm2s、特に好ましくは4〜12g/cm2s、極めて特に好ましくは6〜8g/cm2sである。表面ローディングは、1cm2の断面積を1sで生成物の流れ方向に対して垂直に通過する生成物質量[g]である。
【0030】
低すぎる表面ローディングの場合には、金属不純物は、層流中で磁石の周囲を回りうる。高すぎる表面ローディングの場合には、既に分離された金属不純物が再び磁石からたたき落とされうる。
【0031】
生成物材料流は、付加的に、ガス流、例えば空気又は工業用窒素をさらに含むことができる。ガス流は、好ましくは5g/kg未満、特に好ましくは4g/kg未満、極めて特に好ましくは3g/kg未満の含水量を有する。
【0032】
有利に、本発明による方法において付加的に渦電流検出器が使用される。渦電流検出器は、フェライト系及び非フェライト系の金属不純物の検出に適している。この種の不純物は例えば、生成物と接触するフェライト系鋼もしくはオーステナイト鋼製のプラント部品の摩耗により生じうる。
【0033】
生成物に接触するプラント部品に適した材料は、炭素を例えば少なくとも0.08質量%含有するオーステナイト鋼である。有利に、オーステナイト鋼は、鉄、炭素、クロム、ニッケル及び任意にモリブデンに加えて、さらに別の合金成分、好ましくはニオブ又はチタンを含有する。
【0034】
好ましい材料は、DIN EN 10020による材料番号1.45xxを有する材料であり、ここでxxは0〜99の自然数であることができる。特に好ましい材料は、材料番号1.4541及び1.4571を有する鋼、特に材料番号1.4541を有する鋼である。
【0035】
渦電流検出器は、交番磁場を発生させ、それにより金属中で、渦電流検出器により発生される磁場とは逆の磁場が形成され、それにより当初の交番磁場は、測定できる程度に変わる。
【0036】
渦電流検出器は、非フェライト系金属材料製の試験体、例えば3.5mmの直径を有するステンレス鋼球を用いて、校正されることができる。
【0037】
生成物流路中の渦電流検出器用のアダプタはもちろん、非金属材料、好ましくはセラミック製である。
【0038】
本発明による方法において、付加的な渦電流検出器が多様な位置で使用されることができる。しかし、生成物サイロ又は詰め替えステーションの直前での使用が特に有利である。
【0039】
渦電流検出器を用いて検出されるフェライト系及び非フェライト系の金属不純物は、例えば生成物路中に存在しているダイバータを用いて規格外サイロへ、排出されることができる。
【0040】
吸水性ポリマー粒子は、モノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合により製造され、かつ通常、水に不溶である。
【0041】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、すなわち23℃での水への溶解度は、典型的には少なくとも1g/100g水、好ましくは少なくとも5g/100g水、特に好ましくは少なくとも25g/100g水、極めて特に好ましくは少なくとも35g/100g水である。
【0042】
適したモノマーa)は、例えばエチレン系不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。アクリル酸が極めて特に好ましい。
【0043】
適した別のモノマーa)は、例えばエチレン系不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0044】
不純物は、重合にかなりの影響を及ぼしうる。故に、使用される原料は、できるだけ高い純度を有するべきである。故に、モノマーa)を特別に精製することはしばしば有利である。適した精製方法は、例えば、国際公開(WO-A1)第2002/055469号、国際公開(WO-A1)第2003/078378号及び国際公開(WO-A1)第2004/035514号に記載されている。適したモノマーa)は、例えば、国際公開(WO-A1)第2004/035514号に従って精製された、アクリル酸99.8460質量%、酢酸0.0950質量%、水0.0332質量%、プロピオン酸0.0203質量%、フルフラール類0.0001質量%、無水マレイン酸0.0001質量%、ジアクリル酸0.0003質量%及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.0050質量%を有するアクリル酸である。
【0045】
モノマーa)の全量に対するアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50mol%、特に好ましくは少なくとも90mol%、極めて特に好ましくは少なくとも95mol%である。
【0046】
モノマーa)は通常、重合防止剤、好ましくはヒドロキノンモノエーテルを貯蔵安定剤として含有する。
【0047】
モノマー溶液は、中和されていないモノマーa)を基準としてそれぞれ、ヒドロキノンモノエーテルを好ましくは250質量ppmまで、より好ましくは最大でも130質量ppm、特に好ましくは最大でも70質量ppm、より好ましくは少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、殊に約50質量ppm含有する。例えば、モノマー溶液の製造のために、相応する含量のヒドロキノンモノエーテルを有する酸基を有するエチレン系不飽和モノマーが使用されることができる。
【0048】
好ましいヒドロキノンモノエーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0049】
適した架橋剤b)は、架橋に適した少なくとも2個の基を有する化合物である。この種の基は、例えば、ポリマー鎖へラジカル重合により導入されることができるエチレン系不飽和基及びモノマーa)の酸基と共有結合を結合することができる官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成することができる多価の金属塩も、架橋剤b)として適している。
【0050】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマーネットワーク中へラジカル重合により導入されることができる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えば、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 530 438号明細書に記載されたようなエチレングリコールジメタクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、アリルメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 547 847号明細書、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 559 476号明細書、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 632 068号明細書、国際公開(WO-A1)第93/21237号、国際公開(WO-A1)第2003/104299号、国際公開(WO-A1)第2003/104300号、国際公開(WO-A1)第2003/104301号及び独国特許出願公開(DE-A1)第103 31 450号明細書に記載されたようなジアクリラート及びトリアクリラート、独国特許出願公開(DE-A1)第103 31 456号明細書及び独国特許出願公開(DE-A1)第103 55 401号明細書に記載されたようなアクリラート基に加えて別のエチレン系不飽和基を有する混合アクリラート、又は例えば独国特許出願公開(DE-A1)第195 43 368号明細書、独国特許出願公開(DE-A1)第196 46 484号明細書、国際公開(WO-A1)第90/15830号及び国際公開(WO-A2)第2002/032962号に記載されたような架橋剤混合物である。
【0051】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、テトラアルコキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート及びトリアリルアミンである。
【0052】
極めて特に好ましい架橋剤b)は、アクリル酸又はメタクリル酸でジアクリラート又はトリアクリラートへとエステル化されたポリエトキシル化及び/又はポリプロポキシル化されたグリセリンであり、これらは例えば国際公開(WO-A1)第2003/104301号に記載されている。3〜10エトキシル化されたグリセリンのジアクリラート及び/又はトリアクリラートが特に有利である。1〜5エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジアクリラート又はトリアクリラートが極めて特に好ましい。3〜5エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリラートが最も好ましく、殊に3エトキシル化グリセリンのトリアクリラートである。
【0053】
架橋剤b)の量は、モノマーa)を基準としてそれぞれ、好ましくは0.05〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%、極めて特に好ましくは0.3〜0.6質量%である。架橋剤含量が上昇するにつれて、遠心機保持容量(CRC)は低下し、かつ21.0g/cm2の圧力下での吸収は最大値を通過する。
【0054】
開始剤c)として、重合条件下でラジカルを発生させる全ての化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤が使用されることができる。適したレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。好ましくは、熱開始剤及びレドックス開始剤の混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸が使用される。しかし、還元成分として、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩及び重亜硫酸ナトリウムの混合物が好ましくは使用される。この種の混合物は、Brueggolite(登録商標) FF6及びBrueggolite(登録商標) FF7(Brueggemann Chemicals; Heilbronn; DE)として入手可能である。
【0055】
酸基を有するエチレン系不飽和モノマーa)と共重合可能なエチレン系不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルアクリラート、ジメチルアミノプロピルアクリラート、ジエチルアミノプロピルアクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラートである。
【0056】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースが使用されることができる。
【0057】
通常、モノマー水溶液が使用される。このモノマー溶液の含水量は、好ましくは40〜75質量%、特に好ましくは45〜70質量%、極めて特に好ましくは50〜65質量%である。モノマー懸濁液、すなわち過剰のモノマーa)、例えばナトリウムアクリラートを有するモノマー溶液を使用することも可能である。含水量が上昇するにつれて、その後の乾燥の際のエネルギー消費が上昇し、かつ含水量が低下するにつれて、重合熱はなお不十分にのみ導出されることができる。
【0058】
好ましい重合防止剤は、最適な作用のために溶存酸素を必要とする。故に、モノマー溶液から重合の前に、不活性化、すなわち不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素での貫流により、溶存酸素が取り除かれ、かつモノマー溶液中に含まれる重合開始剤が失活されることができる。好ましくは、重合の前のモノマー溶液の酸素含量は、1質量ppm未満、特に好ましくは0.5質量ppm未満、極めて特に好ましくは0.1質量ppm未満に低下される。
【0059】
適した反応器は、例えば混練反応器又はベルト反応器である。ニーダー中で、モノマー水溶液又は水性モノマー懸濁液の重合の際に生じるポリマーゲルは、例えば、国際公開(WO-A1)第2001/038402号に記載されたように、互いに反転する撹拌シャフトにより連続的に粉砕される。ベルト上での重合は、例えば、独国特許出願公開(DE-A1)第38 25 366号明細書及び米国特許(US)第6,241,928号明細書に記載されている。ベルト反応器中での重合の場合にはポリマーゲルが生じ、このゲルはさらなる処理工程において、例えば押出機又はニーダー中で、粉砕されなければならない。
【0060】
しかしまた、モノマー水溶液を滴下し、かつ発生した液滴を加熱されたキャリヤーガス流中で重合させることも可能である。この場合に、重合及び乾燥の処理工程は、国際公開(WO-A2)第2008/040715号及び国際公開(WO-A1)第2008/052971号に記載されたように、統合されることができる。
【0061】
得られたポリマーゲルの酸基は通常、部分的に中和されている。中和は、好ましくはモノマーの段階で実施される。中和は、好ましくはモノマーの段階で実施される。これは通常、中和剤を水溶液として又は好ましくはまた固体として、混入することにより行われる。中和度は、好ましくは25〜95mol%、特に好ましくは30〜80mol%、極めて特に好ましくは40〜75mol%であり、ここで、常用の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにそれらの混合物が使用されることができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩も使用されることができる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に好ましく、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにそれらの混合物がしかしながら極めて特に好ましい。
【0062】
しかしまた、中和を重合後に、重合の際に生じるポリマーゲルの段階で実施することも可能である。さらに、中和剤の一部が既にモノマー溶液に添加され、かつ重合後にポリマーゲルの段階で初めて所望の最終中和度に調節されることによって、酸基の40mol%まで、好ましくは10〜30mol%、特に好ましくは15〜25mol%を重合の前に中和することが可能である。ポリマーゲルが少なくとも部分的に重合後に中和される場合には、ポリマーゲルは好ましくは機械的に、例えば押出機を用いて粉砕され、その際に中和剤は噴霧され、ふりかけられ(uebergestreut)又は注ぎ入れられ、ついで注意深く混合されることができる。それに加えて、得られたゲル状物は均質化するためにさらに何度も押し出されることができる。
【0063】
ついで、ポリマーゲルは、残留含水量が好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%、極めて特に好ましくは2〜8質量%になるまで好ましくはベルト乾燥器を用いて乾燥され、ここで、残留含水量は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 230.2-05"Moisture Content"に従って測定される。高すぎる残留水分の場合に、乾燥されたポリマーゲルは、低すぎるガラス転移温度Tgを有し、かつさらに加工するのが困難であるに過ぎない。低すぎる残留水分の場合に、乾燥されたポリマーゲルは脆すぎ、かつ引き続き粉砕工程において、低すぎる粒度を有する望ましくない大量のポリマー粒子(微粒分)が生じる。前記ゲルの固体含量は、乾燥前に、好ましくは25〜90質量%、特に好ましくは35〜70質量%、極めて特に好ましくは40〜60質量%である。選択的に、しかしまた、乾燥のために、流動床乾燥器又は加熱されたパドル乾燥器が使用されることができる。
【0064】
乾燥されたポリマーゲルは、この後に粉砕され、かつ分級され、その際に粉砕のために、通常、一段階又は多段階のロールミル、好ましくは二段階又は三段階のロールミル、ピンミル(Stiftmuehlen)、ハンマーミル又は振動ミルが使用されることができる。
【0065】
生成物画分として分離されたポリマー粒子の平均粒度は、好ましくは少なくとも200μm、特に好ましくは250〜600μm、極めて特に300〜500μmである。生成物画分の平均粒度は、EDANAにより推奨された試験方法No. WSP 220.2-05 "Partikel Size Distribution"を用いて算出されることができ、その際にふるい画分の質量割合は、累積してプロットされ、かつ平均粒度はグラフにより決定される。平均粒度は、この場合に、累積50質量%について得られるメッシュサイズの値である。
【0066】
少なくとも150μmの粒度を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0067】
低すぎる粒度を有するポリマー粒子は、透過性(SFC)を低下させる。故に、小さすぎるポリマー粒子(微粒分)の割合は低いべきである。
【0068】
小さすぎるポリマー粒子は故に通常、分離され、かつ方法へ返送される。これは、好ましくは重合前、重合中又は重合直後に、すなわちポリマーゲルの乾燥の前に行われる。小さすぎるポリマー粒子は、返送前又は返送中に水及び/又は水性界面活性剤で湿らされることができる。
【0069】
後の処理工程において、小さすぎるポリマー粒子を、例えば表面後架橋又は他のコーティング工程の後に、分離することも可能である。この場合に、返送された小さすぎるポリマー粒子は、表面後架橋されているか、もしくはさもなければ、例えば熱分解シリカで、コーティングされている。
【0070】
重合するために混練反応器が使用される場合には、小さすぎるポリマー粒子は好ましくは重合の最後の3分の1の間に添加される。
【0071】
小さすぎるポリマー粒子が極めて早く、例えば既にモノマー溶液に、添加される場合には、それにより、得られた吸水性ポリマー粒子の遠心機保持容量(CRC)は低下する。しかしこれは、例えば架橋剤b)の使用量を適合させることにより、補償されることができる。
【0072】
小さすぎるポリマー粒子が極めて遅く、例えば重合反応器の後方にある装置、例えば押出機中で初めて、添加される場合には、小さすぎるポリマー粒子は得られたポリマーゲル中へわずかに困難を伴って配合されることができるに過ぎない。不十分に配合された小さすぎるポリマー粒子は、しかし粉砕中に乾燥されたポリマーゲルから再びはがれ、故に分級する際に改めて取り除かれ、かつ返送すべき小さすぎるポリマー粒子の量を高める。
【0073】
最大でも850μmの粒度を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0074】
有利に、最大でも600μmの粒度を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0075】
大きすぎる粒度を有するポリマー粒子は、膨潤速度を低下させる。故に、大きすぎるポリマー粒子の割合は同様に低いべきである。
【0076】
大きすぎるポリマー粒子は、故に通常、分離され、かつ乾燥されたポリマーゲルの粉砕へ返送される。
【0077】
前記ポリマー粒子は、それらの性質をさらに改善するために表面後架橋されることができる。適した表面後架橋剤は、前記ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシラート基と共有結合を形成することができる基を有する化合物である。適した化合物は、例えば、欧州特許出願公開(EP-A2)第0 083 022号明細書、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 543 303号明細書及び欧州特許出願公開(EP-A2)第0 937 736号明細書に記載されたような多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド、独国特許出願公開(DE-A1)第33 14 019号明細書、独国特許出願公開(DE-A1)第35 23 617号明細書及び欧州特許出願公開(EP-A2)第0 450 922号明細書に記載されたような二官能性又は多官能性のアルコール、又は独国特許出願公開(DE-A1)第102 04 938号明細書及び米国特許(US)第6,239,230号明細書に記載されたようなβ−ヒドロキシアルキルアミドである。
【0078】
さらに、独国特許(DE-C1)第40 20 780号明細書には環式カーボネートが、独国特許出願公開(DE-A1)第198 07 502号明細書には2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、独国特許(DE-C1)第198 07 992号明細書にはビス−2−オキサゾリジノン及びポリ−2−オキサゾリジノンが、独国特許出願公開(DE-A1)第198 54 573号明細書には2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、独国特許出願公開(DE-A1)第198 54 574号明細書にはN−アシル−2−オキサゾリドンが、独国特許出願公開(DE-A1)第102 04 937号明細書には環式尿素が、独国特許出願公開(DE-A1)第103 34 584号明細書には二環式アミドアセタールが、欧州特許出願公開(EP-A2)第1 199 327号明細書にはオキセタン及び環式尿素が、及び国際公開(WO-A1)第2003/031482号にはモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が、適した表面後架橋剤として記載されている。
【0079】
好ましい表面後架橋剤は、グリセリン、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物及びプロピレングリコール及び1,4−ブタンジオールの混合物である。
【0080】
極めて特に好ましい表面後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オン及び1,3−プロパンジオールである。
【0081】
さらに、独国特許出願公開(DE-A1)第37 13 601号明細書に記載されるような、重合可能な付加的なエチレン系不飽和基を有する表面後架橋剤も使用されることができる。
【0082】
表面後架橋剤の量は、前記ポリマー粒子を基準としてそれぞれ、好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%、極めて特に好ましくは0.05〜0.2質量%である。
【0083】
本発明の好ましい一実施態様において、表面後架橋前、表面後架橋中又は表面後架橋後に、表面後架橋剤に加えて、多価カチオンが前記粒子表面上に施与される。
【0084】
本発明による方法において使用可能な多価カチオンは、例えば、2価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、3価カチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、4価カチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウム及び乳酸アルミニウムが好ましい。金属塩以外に、ポリアミンも多価カチオンとして使用されることができる。
【0085】
多価カチオンの使用量は、前記ポリマー粒子を基準としてそれぞれ、例えば0.001〜1.5質量%、好ましくは0.005〜1質量%、特に好ましくは0.02〜0.8質量%である。
【0086】
表面後架橋は通常、表面後架橋剤の溶液が、乾燥されたポリマー粒子上へ噴霧されるようにして実施される。噴霧に引き続き、表面後架橋剤でコーティングされたポリマー粒子は、加熱乾燥され、その際に表面後架橋反応は、乾燥前並びに乾燥中に行うことができる。
【0087】
表面後架橋剤の溶液の噴霧は、好ましくは、可動式混合器具を備えたミキサー、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサー及びブレードミキサー中で、実施される。ブレードミキサーのような水平ミキサーが特に好ましく、垂直ミキサーが極めて特に好ましい。水平ミキサー及び垂直ミキサーの区別は、混合シャフトの据え付けにより行われ、すなわち水平ミキサーは水平に据え付けられた混合シャフトを有し、かつ垂直ミキサーは垂直に据え付けられた混合シャフトを有する。適したミキサーは、例えば、Horizontale Pflugschar(登録商標) Mischer(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; DE)、Vrieco-Nauta Continuous Mixer(Hosokawa Micron BV; Doetinchem; NL)、Processall Mixmill Mixer(Processall Incorporated; Cincinnati; US)及びSchugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron BV; Doetinchem; NL)である。しかしまた、表面後架橋剤溶液を流動床中で噴霧することも可能である。
【0088】
表面後架橋剤は、典型的には水溶液として使用される。非水性溶剤の含量もしくは全溶剤量を通じて、前記ポリマー粒子への表面後架橋剤の浸透深さが調節されることができる。
【0089】
専ら水が溶剤として使用される場合には、有利には界面活性剤が添加される。それにより、湿潤挙動は改善され、かつ塊状化傾向は減少される。しかし好ましくは、溶剤混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水及びプロピレングリコール/水が使用され、その際に混合質量比は好ましくは20:80〜40:60である。
【0090】
加熱乾燥は、好ましくは接触乾燥器、特に好ましくはパドル乾燥器、極めて特に好ましくはディスク乾燥器中で、実施される。適した乾燥器は、例えばHosokawa Bepex(登録商標) Horizontal Paddle Dryer(Hosokawa Micron GmbH; Leingarten; DE)、Hosokawa Bepex(登録商標) Disc Dryer(Hosokawa Micron GmbH; Leingarten; DE)及びNara Paddle Dryer(NARA Machinery Europe; Frechen; DE)である。さらに、流動層乾燥器も使用されることができる。
【0091】
乾燥は、ミキサー自体中で、そのジャケットの加熱又は熱気の吹き込みにより、行われることができる。下流に接続された乾燥器、例えば棚型乾燥器(Hordentrockner)、回転管炉又は加熱可能なスクリューが同じように適している。特に有利には、流動層乾燥器中で混合及び乾燥される。
【0092】
好ましい乾燥温度は、100〜250℃、好ましくは120〜220℃、特に好ましくは130〜210℃、極めて特に好ましくは150〜200℃の範囲内である。反応ミキサー又は乾燥器中のこの温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、特に好ましくは少なくとも20分、極めて特に好ましくは少なくとも30分、及び通常、最高でも60分である。
【0093】
引き続き、表面後架橋されたポリマー粒子は、改めて分級されることができ、その際に小さすぎる及び/又は大きすぎるポリマー粒子は分離され、かつ方法へ返送される。
【0094】
表面後架橋されたポリマー粒子は、それらの性質をさらに改善するためにコーティングされることができ、又は後で湿潤されることができる。膨潤速度(Anquellgeschwindigkeit)並びに透過性(SFC)の改善に適したコーティングは、例えば無機不活性物質、例えば水に不溶の金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー並びに2価又は多価の金属カチオンである。ダスト結合に適したコーティングは、例えばポリオールである。前記ポリマー粒子の望ましくないケーキング傾向に対する適したコーティングは、例えば熱分解シリカ、例えばAerosil(登録商標) 200、及び界面活性剤、例えばSpan(登録商標) 20である。
【0095】
本発明による方法により製造される吸水性ポリマー粒子は、好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0.2〜10質量%、極めて特に好ましくは0.5〜8質量%の含水量を有し、その際に含水量は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 230.2-05"Moisture Content"に従って測定される。
【0096】
本発明による方法により製造される吸水性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、より好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、極めて特に好ましくは少なくとも26g/gの遠心機保持容量(CRC)を有する。吸水性ポリマー粒子の遠心機保持容量(CRC)は、通常60g/g未満である。遠心機保持容量(CRC)は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 241.2-05"Centrifuge Retention Capacity"に従って測定される。
【0097】
本発明による方法により製造される吸水性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、より好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、極めて特に好ましくは少なくとも26g/gの49.2g/cm2の圧力下での吸収を有する。吸水性ポリマー粒子の49.2g/cm2の圧力下での吸収は通常、35g/g未満である。49.2g/cm2の圧力下での吸収は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 242.2-05"Absorption under Pressure"に類似して測定され、その際に21.0g/cm2の圧力の代わりに49.2g/cm2の圧力に調節される。
【0098】
吸水性ポリマー粒子は、次に記載された試験法を用いて試験される。
【0099】
方法:
測定は、他に記載されない限り、23±2℃の周囲温度及び50±10%の相対空気湿度で実施する。吸水性ポリマー粒子を、その測定前に十分混合する。
【0100】
液体再伝導(Fluessigkeitsweiterleitung (Saline Flow Conductivity))
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷下での膨潤ゲル層の液体再伝導(SFC)を、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 640 330号明細書に記載されたように、吸水性ポリマー粒子からなる膨潤ゲル層のゲル層透過性として測定し、その際に前記の特許出願明細書の19頁及び図8に記載された装置を、ガラスフリット(40)をもはや使用せず、プランジャー(39)がシリンダー(37)と同じプラスチック材料からなり、かつ目下接触面全体にわたって均一に分布された21の同じ大きさの孔を有するように変更した。測定の手順並びに評価は、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 640 330号明細書に対して変わらないままである。流れは自動的に検出される。
【0101】
液体再伝導(SFC)は次のように計算される:
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)
ここで、Fg(t=0)はNaCl溶液の流れ[g/s]であり、これは流れ測定のデータFg(t)の線形回帰分析に基づいてt=0に対する外挿により得られ、L0はゲル層の厚さ[cm]であり、dはNaCl溶液の密度[g/cm3]であり、Aはゲル層の面積[cm2]であり、かつWPはゲル層の静水圧[dyn/cm2]である。
【0102】
含水量(Moisture Content)
吸水性ポリマー粒子の含水量は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 230.2-05"Moisture Content"に従って測定される。
【0103】
遠心機保持容量(Centrifuge Retention Capacity)
遠心機保持容量(CRC)は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 241.2-05"Centrifuge Retention Capacity"に従って測定される。
【0104】
49.2g/cm2の圧力下での吸収(Absorption under Pressure)
49.2g/cm2の圧力下での吸収(AUL0.7psi)は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験法No. WSP 242.2-05"Absorption under Pressure"に類似して測定され、その際に21.0g/cm2の圧力(AUL0.3psi)の代わりに49.2g/cm2の圧力(AUL0.7psi)に調節される。
【実施例】
【0105】
例1(ベースポリマーの製造)
脱イオン水、50質量%カセイソーダ液及びアクリル酸の連続的な混合により、アクリル酸/ナトリウムアクリラート溶液を製造したので、中和度は71.3mol%に相当していた。モノマー溶液の固体含量は38.8質量%であった。
【0106】
エチレン系ポリ不飽和架橋剤として、ポリエチレングリコール−400−ジアクリラート(400g/molの平均モル質量を有するポリエチレングリコールから出発するジアクリラート)を使用した。使用量は、モノマー溶液1t当たり架橋剤2kgであった。
【0107】
ラジカル重合を開始するために、モノマー溶液1tあたり、0.25質量%過酸化水素水溶液1.03kg、15質量%ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液3.10kg及び1質量%アスコルビン酸水溶液1.05kgを使用した。
【0108】
モノマー溶液の処理量は20t/hであった。反応溶液は、入口で23.5℃の温度を有していた。
【0109】
個々の成分を以下の量で連続的に、体積6.3m3を有するタイプList Contikneterの反応器(LIST AG、Arisdorf、CH)中へ計量供給した:
モノマー溶液 20t/h
ポリエチレングリコール−400−ジアクリラート 40kg/h
過酸化水素溶液/ペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液 82.6kg/h
アスコルビン酸溶液 21kg/h。
【0110】
架橋剤の添加点と開始剤の添加位置との間で、モノマー溶液を窒素で不活性化した。
【0111】
約50%の滞留時間の後に、製造プロセスから粉砕及びふるい分けにより生じる微粒分(1000kg/h)を反応器へ計量供給するのを付加的に行った。反応器中の反応混合物の滞留時間は15分であった。
【0112】
得られたポリマーゲルをベルト乾燥器上へ装入した。ベルト乾燥器上でポリマーゲルの周りに連続的に空気/ガス混合物を流し、かつポリマーゲルを乾燥させた。ベルト乾燥器中の滞留時間は37分であった。
【0113】
乾燥したポリマーゲルを粉砕し、150〜850μmの粒度画分にふるい分けした。
【0114】
例2(吸水性ポリマー粒子Aの製造)
Schugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron B.V., Doetinchem, NL)中で、例1からのベースポリマーを表面後架橋剤溶液でコーティングし、引き続きNARA Paddle Dryer(GMF Gouda、Waddinxveen、NL)中で180℃で45分間乾燥させた。
【0115】
以下の量をSchugi Flexomix(登録商標)中へ計量供給した:
ベースポリマー 7.5t/h
表面後架橋剤溶液 308.25kg/h。
【0116】
表面後架橋剤溶液は、Denacol EX-810(エチレングリコールジグリシジルエーテル)2.7質量%、脱イオン水73.0質量%及びプロピレングリコール24.3質量%を含有していた。
【0117】
乾燥後に、表面後架橋されたベースポリマーを、NARA Paddle-Cooler(GMF Gouda、Waddinxveen、NL)中で約60℃に冷却し、引き続き改めて150〜850μmの粒度画分にふるい分けした。
【0118】
得られた吸水性ポリマー粒子Aを、40℃及び80%の相対湿度で2もしくは3時間貯蔵した。
【0119】
貯蔵(後湿潤)するために、吸水性ポリマー粒子A各50gを、110mmの直径を有するガラス皿中にはかり入れた。
【0120】
引き続き、吸水性ポリマー粒子を分析した。結果は、第1表にまとめられている:
第1表:含水量の影響(吸水性ポリマー粒子A)
【表1】

【0121】
例3(吸水性ポリマー粒子Bの製造)
Schugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron B.V., Doetinchem, NL)中で、例1からのベースポリマーを表面後架橋剤溶液でコーティングし、引き続きNARA Paddle Dryer(GMF Gouda, Waddinxveen, NL)中で180℃で45分間乾燥させた。
【0122】
以下の量をSchugi Flexomix(登録商標)中へ計量供給した:
ベースポリマー 7.5t/h
表面後架橋剤溶液 318.75kg/h。
【0123】
表面後架橋剤溶液は、Denacol EX-810(エチレングリコールジグリシジルエーテル)2.6質量%、硫酸アルミニウム5.9質量%、脱イオン水68.6質量%及びプロピレングリコール22.9質量%を含有していた。
【0124】
乾燥後に、表面後架橋されたベースポリマーを、NARA Paddle-Cooler(GMF Gouda、Waddinxveen、NL)中で約60℃に冷却し、引き続き改めて150〜850μmの粒度画分にふるい分けした。
【0125】
得られた吸水性ポリマー粒子Bを、40℃及び80%の相対湿度で2もしくは3時間貯蔵した。
【0126】
貯蔵(後湿潤)するために、吸水性ポリマー粒子B各50gを、110mmの直径を有するガラス皿中にはかり入れた。
【0127】
引き続き、吸水性ポリマー粒子を分析した。結果は、第2表にまとめられている:
第2表:含水量の影響(吸水性ポリマー粒子B)
【表2】

【0128】
例4
例2において得られた吸水性ポリマー粒子Aを、40℃及び80%の相対湿度で2もしくは3時間貯蔵し、引き続き23℃もしくは60℃の温度で30もしくは60分間、機械負荷をかけた。
【0129】
貯蔵(後湿潤)するために、吸水性ポリマー粒子A各50gを、110mmの直径を有するガラス皿中にはかり入れた。
【0130】
機械負荷のために、吸水性ポリマー粒子A各25g及び酸化マグネシウムで安定化された二酸化ジルコニウム製の円柱形セラミック体(Zirconia Grinding Media; 1/2" Radius end cylinder; U.S. Stoneware, East Palestine; US)200gを、500ml乾燥フラスコ(注文番号000452; BUECHI Labortechnik AG; Flawil; CH)中へ充填し、引き続きロータリーエバポレーター(傾斜角45°及び回転数60rpm)上で水浴中で撹拌した。前記セラミック体は、約13mmの高さ、約12.5mmの直径及び約7.4gの質量を有していた。
【0131】
引き続き、吸水性ポリマー粒子を分析した。結果は、第3表にまとめられている:
第3表:機械負荷の影響(吸水性ポリマー粒子A)
【表3】

【0132】
例5
例3において得られた吸水性ポリマー粒子Bを、40℃及び80%の相対湿度で2もしくは3時間貯蔵し、引き続き23℃もしくは60℃の温度で30もしくは60分間、機械負荷をかけた。
【0133】
貯蔵(後湿潤)するために、吸水性ポリマー粒子B各50gを、110mmの直径を有するガラス皿中にはかり入れた。
【0134】
機械負荷のために、吸水性ポリマー粒子B各25g及び酸化マグネシウムで安定化された二酸化ジルコニウム製の円柱形セラミック体(Zirconia Grinding Media; 1/2" Radius end cylinder; U.S. Stoneware, East Palestine; US)200gを、500ml乾燥フラスコ(注文番号000452; BUECHI Labortechnik AG; Flawil; CH)中へ充填し、引き続きロータリーエバポレーター(傾斜角45°及び回転数60rpm)上で水浴中で撹拌した。前記セラミック体は、約13mmの高さ、約12.5mmの直径及び約7.4gの質量を有していた。
【0135】
引き続き、吸水性ポリマー粒子を分析した。結果は、第4表にまとめられている:
第4表:機械負荷の影響(吸水性ポリマー粒子B)
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、酸基を有する少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー、
b)少なくとも1つの架橋剤、
c)少なくとも1つの開始剤、
d)任意に、a)に挙げたモノマーと共重合可能な1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマー及び
e)任意に、1つ又はそれ以上の水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合することによって吸水性ポリマー粒子を製造するにあたり、金属不純物を、吸水性ポリマー粒子を含有する生成物材料流から磁気分離器を用いて分離し、
前記生成物材料流が35〜90℃の温度を有することを特徴とする、吸水性ポリマー粒子を製造する方法。
【請求項2】
生成物材料流中の吸水性ポリマー粒子が、1〜20質量%の含水量を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
吸水性ポリマー粒子の含水量が、磁気分離器の上流で高められる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
水に対する磁気分離器の内部表面が、少なくとも60°の接触角を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
磁気分離器の内部表面が、フッ素化ポリオレフィンでコーティングされている、請求項4記載の方法。
【請求項6】
磁気分離器の表面ローディングが2〜15g/cm2sである、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
棒磁石を磁気分離器として使用する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
棒磁石が5〜30mmの直径を有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
棒磁石が、磁化可能でない材料製のケース中に存在する、請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
モノマーa)が、部分的に中和されたアクリル酸である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
吸水性ポリマー粒子の少なくとも95質量%が、少なくとも150μmの粒度を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
吸水性ポリマー粒子の少なくとも95質量%が、最大でも600μmの粒度を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
吸水性ポリマー粒子が表面後架橋されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
吸水性ポリマー粒子が少なくとも15g/gの遠心機保持容量を有する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2012−511602(P2012−511602A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540044(P2011−540044)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066531
【国際公開番号】WO2010/066680
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】