説明

金属光沢領域を含む印刷物の製造方法及び印刷装置

【課題】金属粉や金属箔により表現される金属光沢領域を含む印刷物における、絵柄と金属光沢領域の描画位置精度が向上する印刷方法と印刷装置を得る。
【解決手段】金属光沢領域と絵柄領域を含む印刷されるべき画像データをデータ処理して、絵柄基本データ及び前記金属光沢領域に対応する接着柄基本データを作成する工程、微小液滴吐出方法を使用し、絵柄基本データに従い描画基材に絵柄を印刷する工程、印刷された絵柄の座標を計測し絵柄座標計測データを得る工程、絵柄基本データと絵柄座標計測データを比較し演算して絵柄位置誤差を算出する工程、接着柄基本データに絵柄位置誤差を適用して、接着柄修正データを得る工程、微小液滴吐出方法を使用し、接着柄修正データに従い描画基材に接着剤層を形成する工程、描画基材上の接着剤層に金属粉又は金属箔を付着して金属光沢領域を形成する工程を含む印刷物の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属粉や金属箔を貼り付ける印刷物の製造方法と印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば絵画や掛け軸などの復刻印刷物、ポスター、店頭や店内の垂幕などの中には、絵柄や文字などがインキ等の着色材で表現される絵柄領域と、金属粉や金属箔で表現される金属光沢領域を含むものがある。
【0003】
これら金属光沢領域を含む印刷物の一例である復刻印刷物は、従来、例えば、紙基材に、絵柄印刷層をインクジェット印刷により形成し、絵柄印刷層を形成した紙基材を台紙に貼り、紙基材に接着剤層をオフセット印刷により形成し、接着剤層に金属箔を貼り、これを硬化させ、さらに金箔上絵柄印刷層をオフセット印刷により形成するなどの工程を経て印刷されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−118219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、平版印刷、活版印刷、凹版印刷やインクジェット印刷などの印刷法は、個々に特有の印刷誤差を有する。通常、単一の印刷方法を用いる印刷であっても、CMYKなどの版を重ねる多色刷りにあっては、慎重に見当あわせが行われる。
【0005】
また、一般に、単一の印刷物に2種以上の印刷方法を併用すると版の見当合わせが、著しく困難となる。
【0006】
さらに、描画(印刷)基材として紙を用いると、紙基材は、水分により伸縮する。印刷過程において紙基材に伸縮をもたらす水は、紙基材に含まれる水分、空気中の湿度のみならず、オフセット印刷に使用する水、インキに含まれる水などがある。同様に描画基材が板であっても、水分の増減、その他の原因で、基材が反ることもある。
【0007】
さらに、復刻印刷物、ポスター、垂幕などは、例えば、一辺が1mを超える大判印刷物が多く、そのなかに絵柄と金属光沢領域が混在し、複数版の見当あわせが難しい。すなわち、複数版を重ねて印刷すると、柄の位置精度を保ち難い。
【0008】
上記従来の印刷物は、インクジェット印刷方式とオフセット印刷方式を併用しているので、絵柄と接着材層の見当あわせが困難である。また、紙基材を使用する場合に、インクジェット印刷により絵柄を形成する工程で、インキに含まれる水などにより紙基材が伸縮する。そして、台紙に貼り付ける工程を経て、オフセット印刷工程が行われる。このため、紙基材の伸縮に起因する絵柄と接着剤層の位置誤差が不可避となる。
【0009】
また、復刻印刷物や垂幕などは一般に少量生産であり、オフセット印刷を採用すれば、版の作成などの時間と費用を少量の生産物に必要な費用に吸収できず、結果として印刷物が高価になる。
【0010】
そこで、本発明は、金属光沢領域を含む印刷物における、絵柄と金属光沢領域の描画位置精度を向上した印刷物の製造方法と印刷装置を得ることを課題とする。
また、本発明は、金属光沢領域を含む印刷物における、少量生産に適した印刷物の製造方法と印刷装置を得ることを課題とする。
【0011】
本発明のその他の課題は、本発明の説明により明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様にかかる印刷物の製造方法は、以下の工程からなる。
イ 金属粉または金属箔により描画される金属光沢領域と絵柄領域を含む印刷されるべき画像データをデータ処理して、絵柄基本データ及び前記金属光沢領域に対応する接着柄基本データを作成する工程
ロ 描画基材をベッドに固定する工程
ハ 微小液滴吐出方法を使用し、前記絵柄基本データに従い、ベッドに固定された前記描画基材に、絵柄を印刷する工程
ニ ハの工程で印刷された前記絵柄の座標を計測し、絵柄座標計測データを得る工程
ホ 前記絵柄基本データと前記絵柄座標計測データを比較し演算して絵柄位置誤差を算出する工程
へ 前記接着柄基本データに前記絵柄位置誤差を適用して、接着柄修正データを得る工程
ト 微小液滴吐出方法を使用し、前記接着柄修正データに従いベッドに固定された前記描画基材に、接着剤層を形成する工程
チ ベッドから取り外した描画基材上又は前記ベッドに固定された描画基材上の前記接着剤層に金属粉又は金属箔を付着して金属光沢領域を形成する工程
【0013】
本発明にかかる印刷物の製造方法の好ましい実施態様にあっては、前記ロの工程が、描画基材の裏面をベッドに当接して固定する工程であって、
描画基材の裏面とベッドの固定位置が、少なくとも描画基材の周辺部分に一箇所存在し、さらに、描画基材の中央から半径50mmの円内にある少なくとも一箇所に存在する状態で、前記描画基材をベッドに固定する工程であってもよい。
【0014】
本発明にかかる印刷装置は、金属粉または金属箔により描画される金属光沢領域と絵柄領域を含む画像を印刷するために用いるものであり、
絵柄記録ヘッドに設けられた吐出口より着色液を描画基材に吐出して描画基材に絵柄を印刷するとともに、接着柄記録ヘッドに設けられた吐出口より接着剤を描画基材に吐出して前記金属光沢領域に対応する接着剤層を形成する印刷装置において、
描画基材を固定するための固定手段を有するベッドと、
前記絵柄記録ヘッドを前記ベッドに対してX軸、Y軸方向に駆動する絵柄記録ヘッド駆動手段と、
前記接着柄記録ヘッドを前記ベッドに対してX軸、Y軸方向に駆動する接着柄記録ヘッド駆動手段と、
前記接着柄記録ヘッド駆動手段により前記接着柄記録ヘッドと一体に駆動され、絵柄を計測する光学センサと、
絵柄基本データ記録部、接着柄基本データ記録部、絵柄位置誤差演算部、接着柄修正演算部を有する制御装置を有し、
前記絵柄基本データ記録部には、前記絵柄領域描画のための絵柄基本データが記録され、
前記接着柄基本データ記録部には、前記接着剤層描画のための接着柄基本データが記録され、
前記絵柄記録ヘッド駆動手段は、前記絵柄基本データに従い駆動され、前記描画基材に絵柄を印刷し、
前記絵柄位置誤差演算部は、前記光学センサにより計測された絵柄座標計測データと、前記絵柄基本データを比較し演算して絵柄位置誤差を算出し、
前記接着柄修正演算部は、前記接着柄基本データに前記絵柄位置誤差を適用して接着柄修正データを算出し、
前記接着柄記録ヘッド駆動手段は、前記接着柄修正データに従い駆動され、前記描画基材に接着剤層を形成することを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる印刷装置の好ましい実施態様にあっては、前記ベッドは当接する描画基材の裏面と前記ベッドの表面を固定するための複数の固定手段を備え、 一の固定手段と、前記一の固定手段に最近接する他の固定手段との間隔が100mm以内である間隔関係にあり、全ての前記複数の固定手段が前記間隔関係を満足する位置に存在するものであってもよい。
【0016】
以上説明した本発明、本発明の実施態様、これらに含まれる構成要素は可能な限り組み合わせて実施することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる印刷物の製造方法は、その他の特徴とともに、絵柄の描画と接着剤層の形成は、両者共に微小液滴吐出方法を採用している。また、印刷絵柄の座標誤差を計測して当該誤差を接着柄基本データに適用して接着柄修正データを得て、この修正データを用いて接着剤層を形成することを特徴とする。
【0018】
本発明にかかる印刷物の製造方法は版を重ねて印刷するものであるが、絵柄の描画と接着剤層の形成を同一の印刷形式で行うため、印刷方式に特有の誤差は一種のみである。さらに、絵柄の座標誤差を計測し接着柄修正データを得て接着剤層を形成するため、版を重ねることに起因する誤差が一層極小化される。よって、絵柄と金属光沢領域の位置精度が向上した印刷物を得ることができる製造方法である。
【0019】
さらに、微小液滴吐出方法を採用したので、印刷版の作成が不要であり、また、オフセット印刷法やグラビヤ印刷法などに比較して、多彩な色表現が可能である。このため、少量印刷物を安価に製造でき、また、極彩色の表現に相応しい、印刷物の製造方法である。
【0020】
本発明の好ましい実施態様にかかる印刷物の製造方法は、ベッドと描画基材の固定位置が、描画基材の周辺部、さらに描画基材の中央部分にある状態で、描画基材とベッドを固定する。そして、描画基材がベッドに固定された状態を維持して、絵柄の印刷を行い、また同様の状態で接着剤層の形成を行う。よって、描画基材の伸縮や反りなどが防がれ、より一層、絵柄と金属光沢領域の位置精度が向上した印刷物を得ることができる製造方法である。
【0021】
本好ましい実施態様にかかる印刷方法は、微小液滴吐出方法の優れた特徴を維持しつつ、負の特性である水分の多い着色液を使用することによる描画基材の伸縮や反りを克服したものである。本好ましい実施態様は、特に、紙基材を用いる印刷方法に好ましい。
【0022】
本発明にかかる印刷装置は、他の構成要素とともに、描画された絵柄座標を計測する光学センサを備え、絵柄座標の位置誤差を算出して、接着柄基本データに当該位置誤差を適用して、接着柄修正データを作成する。そして、接着柄修正データに従い、接着剤層を形成する。このため、より絵柄と接着剤層(ひいては金属光沢領域)の位置精度が向上した印刷物を印刷できる印刷装置となる。
【0023】
また、絵柄記録ヘッドと接着柄記録ヘッドは、独立に駆動される構成であり、接着柄記録ヘッドの保守、点検、手入れが容易となる特徴がある。
【0024】
本発明の好ましい実施態様にかかる印刷装置は、複数の固定手段を備え、 一の固定手段と、前記一の固定手段に最近接する他の固定手段との間隔が100mm以内である間隔関係にあり、全ての前記複数の固定手段が前記間隔関係を満足する位置に存在するので、描画基材の大きさに拘わらず、描画基材がベッドによりより一層拘束された態様で固定される。このため、水分の増減などに起因する描画基材の伸縮や反りが生じることなく、印刷を行うことができ、ひいては、より一層絵柄と接着剤層(ひいては金属光沢領域)の位置精度が向上した印刷物を印刷できる印刷装置となる。本印刷装置は、特に、紙基材の印刷装置として好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施例にかかる印刷物の製造方法と印刷装置をさらに説明する。本発明の実施例に記載した部材や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載のない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。
【0026】
本発明において、微小液滴吐出方法とは、微小なインク滴をシート状媒体に高速で吐出し、所定の図柄を印刷する方法である。いわゆるインクジェットプリントと称される印刷方法がその代表である。
【0027】
図1は本発明の製造方法により印刷された出来上がり印刷物7の平面説明図であり、図2は図1A−A’線の断面説明図である。図1、図2は、発明を説明するための説明図であり、理解を容易にするなどの目的で、縦横の縮尺、構成部分の長さ比率は実物と異なる。以下の説明図(図3、4、6、7、8、9、10)についても同様である。
【0028】
出来上がり印刷物7は、描画基材5の表面上に、金属光沢領域11、12と絵柄14、16、17が描画されている。金属光沢領域11、12は、接着剤層13を形成し、接着剤層13の固化前にその表面に金属粉20を付け、接着剤層13の固化により、金属粉20を固定したものである。接着剤層13はインクジェットプリントにより形成されたものである。絵柄14、16、17は、インクジェットプリントにより印刷されたものである。
【0029】
金属光沢領域11は、描画基材5の表面に絵柄17を描画し、絵柄17の表面に接着剤層13を形成してさらに金属粉20を付けたものである。金属光沢領域12は、描画基材の表面に直接接着剤層13を形成して、さらに金属粉20を付けたものである。本発明における金属光沢領域は、図示する金属光沢領域11と図示する金属光沢領域12の両者を含むものである。
【0030】
描画基材5は、インクジェットプリントによる印刷が可能なものであれば、特に制限はない。描画基材5を例示すれば、紙、布、板、プラスチックフィルムなどが挙げられる。紙は、和紙、洋紙、合成紙を含む。布は、例えば、絹布、麻布、綿布、化繊布などであり、不織布も含まれる。板は、天然板、合板、つき板、プラスチック板を含む。これらの描画基材は、インクジェットインキ適性を有する表面加工剤が塗布されたものが好ましい。表面加工剤は、特に限定するものではないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分としたシリカバインダー、特殊変性ポリアミンを主成分としたインク定着剤などが挙げられる。
【0031】
金属粉は、金属箔であってもよい。金属粉または金属箔の材質は、金、銀、真鍮などである。
【0032】
金属光沢領域の表面側に、さらに、インクジェットプリントにより、塗り重ね絵柄層を印刷してもよい。図3と図4は、金属光沢領域に塗り重ね絵柄層を塗り重ねた出来上がり印刷物の断面説明図である。
【0033】
図3を参照して、描画基材5の表面側に絵柄17が印刷され、重ねて形成された接着剤層13に金属粉20が付けられ、さらにその上に、塗り重ね絵柄18が形成されている。
【0034】
また、図4を参照して、金属粉20が付けられた金属光沢領域の一部分にのみ、塗り重ね絵柄19aが印刷されると同時に、描画基材5の表面に、塗り重ね絵柄19bが印刷されている。
【0035】
図5は本発明にかかる印刷物の製造方法の工程説明図である。図6は絵柄座標計測工程、絵柄誤差算出工程、接着柄修正データ算出工程の一例を説明するための説明図であり、図7は絵柄座標計測工程、絵柄誤差算出工程、接着柄修正データ算出工程の他の例を説明するための説明図であり、図8は絵柄座標計測工程、絵柄誤差算出工程、接着柄修正データ算出工程のさらに他の例を説明するための説明図である。
【0036】
まず、工程イである、絵柄基本データと接着柄基本データを作成する。すなわち、印刷により作成すべき金属粉または金属箔により表現された金属光沢領域と絵柄領域を含む画像を準備する。本発明において、画像は、具象絵画、抽象絵画、写真、文字、抽象的図形など、あるいはこれらの2または3以上の混在物を含む。また、画像は、歴史的文化財、現代絵画、ポスターや垂幕などの原画を含む。また、和紙に描かれた画像(例えば襖絵、掛け軸など)であってもよく、木板に直接描かれた絵画(扉絵、壁画など)であってもよい。
【0037】
画像をスキャナーでスキャンし、RGB画像データまたはCMYK画像データを作成する。次に、作成したデータを編集し、金属光沢データとその他の色データに分ける。ここで、上記金属光沢データは、印刷により接着層を形成し、当該接着層に金属粉または金属箔を付着した金属光沢を表現する領域データとなるので、接着柄基本データと呼ぶ。また、その他の色データは印刷により絵柄を形成する領域データとなるので絵柄基本データと呼ぶ。
【0038】
絵柄基本データには見当マーク印刷のための印刷データを含む場合がある。
【0039】
さらに追加して、金属光沢データ(及び近接領域など)に塗り重ねる色データである、塗り重ね絵柄基本データを作成する場合もある。
【0040】
次に、工程ロを行い、描画基材をベッドに固定する。描画基材として紙など水分を容易に透過する基材を使用する場合には、ベッドの描画基材との当接面は、水分による収縮のない素材で作られることが好ましい。例えば、ステンレススチール、合成樹脂などである。
【0041】
描画基材は、その裏面をベッドに当接してベッドに固定する。固定方法は、図10を参照して後述するベッドに採用した減圧による固定方法や、布海苔や膠などの接着剤を使用した固定方法、あるいは、押さえ板を使用する固定方法などが挙げられる。
【0042】
描画基材の裏面とベッドの固定位置が、少なくとも描画基材の周辺部分に一箇所存在し、さらに、描画基材の中央から、通常、半径50mmの円内、より好ましくは、半径25mmの円内にある少なくとも一箇所に存在することが好ましい。描画基材の伸縮や反りを避けるためである。描画基材をその裏面側から固定する観点から、描画基材の中央部分など印刷される領域の固定手段として、減圧による固定方法や接着剤を使用した固定方法が好ましい。固定器具が表面に存在しても差し支えない描画基材の余白部の固定には、減圧による固定方法や接着剤を使用した固定方法に加えて押さえ板を使用する固定方法を採用することができる。
【0043】
上記複数の固定位置は、相互の間隔が、通常、100mm以内、より好ましくは50mm以内であることが好ましい。このような複数の固定位置の配置は、大判の描画基材(特に紙基材)を使用する場合に好ましい。さらに、また、描画基材とベッドとの複数の固定位置は、描画基材の全面に渡り均等に分布していることが好ましい。後述する減圧を用いた固定方法の場合には、固定位置とは、ベッド表面にある減圧管の開口部を意味する。接着剤を使用する場合は、描画基材の全面をベッドに貼り付けることがより好ましい。
【0044】
工程イと工程ロは、前後関係がなく、どちらを先におこなってもよく、また、同時におこなってもかまわない。
【0045】
続いて、工程ハである絵柄印刷をおこなう。絵柄印刷は、微小液滴吐出方法を使用し、絵柄基本データに従い、ベッドに固定された状態の描画基材の表面に絵柄を印刷する。絵柄基本データは、必要に応じてC、M、Y、Kのデータと必要に応じて単数または複数の特色データを有するので、必要に応じてC、M、Y、Kの各色のインキ液と必要に応じて単数または複数の特色インキ液が吐出され、描画基材の表面に絵柄が印刷される。
【0046】
絵柄印刷工程(工程ハ)に続いて、工程ニである絵柄座標計測を行う。絵柄座標計測工程は、ハの工程で印刷された前記絵柄を計測し、絵柄座標計測データを得る工程である。絵柄座標計測は、例えば、微小点を計測する光学センサを縦軸、横軸に沿って独立に走査し、描画基材の全面を走査することにより行う。走査のための駆動情報と光学センサの検出する色情報を統合することにより、絵柄計測データを得ることができる。また、絵柄座標計測は、例えば、絵柄を写真撮影して、デジタルデータを得ることにより行うことができる。
【0047】
次に、工程ホである絵柄位置誤差算出を行う。絵柄位置誤差算出は、絵柄基本データと絵柄座標計測データを比較し演算して絵柄位置誤差を算出する工程である。
【0048】
図6中に、実線で図示した印刷された絵柄121と、破線で図示した絵柄基本データに基づく図形21を示している。また、印刷された見当マーク123、124、125、126を図示し、絵柄基本データに基づく見当マーク23、24、25、26を図示している。
【0049】
印刷された見当マーク123、124、125、126の座標を、例えば、光学センサを使用して、計測し、絵柄座標計測データを得る(工程ニ)。次に、工程ホである絵柄位置誤差算出を行う。絵柄位置誤差算出工程、引き続く接着柄修正データ算出工程は、例えば、コンピュータを用いて行う。図6に図示した例では、位置誤差は、下方向に距離P、左方向に距離Qである。
【0050】
続いて、工程へである、接着柄修正データを算出する。図6には、接着柄基本データに基づく図形22と接着柄修正データに基づく図形122を図示している。絵柄位置誤差算出工程で得られた位置誤差である、下方向に距離P、左方向に距離Qを接着柄基本データに適用して、下方向と左方向に移動された接着柄修正データを得る。
【0051】
なお、図6は、絵柄基本データ上の図形21の全面に、接着剤層が形成されるものと仮定して、説明した。図7、図8を用いて説明する他の例においても、絵柄基本データ上の図形21の全面に、接着剤層が形成されるものと仮定している。
【0052】
図7に基づき工程ホ、工程への他の例を説明する。図7中で、印刷された絵柄、絵柄基本データに基づく図形、接着柄基本データに基づく図形、接着柄修正データに基づく図形などには、図6と同一符号を付している。図8についても同じである。
【0053】
図7の例では、絵柄基本データの図形21と印刷された絵柄121の座標誤差は左に角度αである。よって、接着柄基本データに左に角度αを適用し、接着柄修正データ(図形122)を得る。
【0054】
図8の例では、絵柄基本データの図形21と印刷された絵柄121の座標誤差は下方向に距離に比例する係数tで伸びている。よって、接着柄基本データに下方向に距離に比例する係数tを適用し、接着柄修正データ(図形122)を得る。
【0055】
なお、図8においては、絵柄基本データの図形21と印刷された絵柄121の縦辺と上部の横辺は一致し、また、見当マーク23と123、及び見当マーク24と124は一致するが、理解の容易のために、その位置をずらせて図示している。
【0056】
絵柄座標計測、絵柄位置誤差算出、接着柄修正データ算出は、描画基材上の全領域を単位におこなってもよく、全領域を複数領域に分割して各領域毎に行ってもよい。また、絵柄座標計測は、見当マークを使用する方法のみならず、例えば、絵柄中の特定箇所を定めて、これを計測のための特定点として行ってもよい。
【0057】
続いて、工程トである微小液滴吐出方法を使用し、前記接着柄修正データに従いベッドに固定された前記描画基材に、接着剤層を形成する工程を行う。接着剤層を形成する接着剤としては、紫外線硬化型樹脂、膠などを用いることができる。紫外線硬化型樹脂の具体例として、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂を挙げることができる。
【0058】
次に、工程ホである金属粉付着を行う。前記工程トで形成した接着剤層が固化する前に、例えば、絵筆などを用いて、金属粉を振り落とすことにより行う。また、金属粉に代えて金属箔を貼り付ける場合もある。金属粉付着工程は、描画基材をベッドに固定した状態のままで行ってもよく、描画基材をベッドから取り外した後におこなってもよい。
【0059】
そして、接着剤層の固化を行う。すなわち、紫外線硬化型樹脂を用いた場合には、紫外線を照射して接着剤層を固化すると同時に、金属粉を固着する。膠を用いた場合には、自然乾燥などの乾燥をする。
【0060】
最後に、必要に応じて、描画基材をベッドから取り外す作業を行う。
【0061】
以上説明した印刷物の製造方法において、接着剤層の形成は、2回(あるいは3回以上)おこなってもよい。すなわち、第一回目に金属光沢領域の全域に接着剤層を形成し、その後、微小液滴吐出装置を印刷開始原点に復帰し、第二回目の接着剤層の形成を行う。第二回目の接着剤層は、第一回目に形成した接着剤層の全域に再度接着剤層を形成してもよく(厚塗り)、第一回目に形成した接着剤層に部分的に重ねて接着剤層を形成してもよい(部分厚塗り)。厚塗りを行うと、金属粉または金属箔の接着力が向上する。部分厚塗りを行うと、グラデーションの表現ができる。
【0062】
本発明にかかる製造方法は、絵柄と接着柄の位置精度が向上する方法であり、同様に、複数回形成する接着剤層の位置精度が向上する。このため、接着剤層の複数回形成を行うについて、好ましい製造方法である。
【0063】
また、本発明にかかる製造方法において、接着剤層の形成は、分割しておこなってもよい。金属粉または金属箔の付着は時間のかかる工程であり、また、接着剤の固化前に完了する必要がある。そこで、例えば、全描画面を2分割して、一の分割面内に接着剤層を形成し、金属粉または金属箔の付着を行う。その後に残る分割面内に接着剤層を形成し、金属粉または金属箔の付着を行う。本発明にかかる印刷物の製造方法は、微小液滴吐出方法により接着剤層を形成することなどから、上記、接着剤層の分割形成を行うにふさわしい方法である。これにより、印刷作業者の作業時間をより自在に配分することが可能となる。
【0064】
さらに、本発明にかかる製造方法において、金属粉付着工程(工程チ)の後に、塗り重ね絵柄を印刷してもよい。塗り重ね絵柄は、微小液滴吐出方法を使用して行うことが好ましい。また、金属粉付着工程(工程チ)を、描画基材をベッドに固定したまま行うことにより、描画基材のベッドへの再固定作業なしに行うことが好ましい。さらに、工程ホにより得られた絵柄位置誤差を使用して、塗り重ね絵柄基本データを修正して塗り重ね絵柄修正データを得て、当該塗り重ね絵柄修正データに従い、塗り重ね絵柄を印刷することがさらに好ましい。上記絵柄位置誤差は、塗り重ね絵柄印刷前に、新たに、絵柄座標または金属光沢座標を計測し、いずれかの位置誤差を算出して得た位置誤差であってもよい。
【0065】
次に、本発明にかかる印刷装置を説明する。図9は印刷装置1の平面説明図であり、図10はベッド81の断面説明図である。
【0066】
印刷装置1は、印刷部2と制御部3に大別できる。印刷部2は、描画基材5を固定するベッド81を有する。ベッド81の周辺外側に、リニアモータのマグネットプレート31、第二Xガイド軸32があり、マグネットプレート31に戴置されたリニアモータ付スライダ341と第二Xガイド軸に戴置されたスライダ342がある。スライダ341とスライダ342に絵柄Yガイド軸33が掛け渡されている。絵柄Yガイド軸33はリニアモータ付スライダ341の移動により、図の左右方向(X軸方向)に移動する。スライダ342は、第二ガイド軸32を摺動する。なお、第二ガイド軸32をリニアモータのマグネットプレートに置換し、スライダ342をリニアモータ付スライダに置換してもよい。
【0067】
絵柄Yガイド軸33には、絵柄記録ヘッド36が設置され、絵柄記録ヘッド36は絵柄Y軸駆動手段35により、図の上下方向(Y軸方向)に移動する。絵柄記録ヘッド36は、微小液滴吐出装置であり、必要に応じてC、M、Y、Kの4色の着色液と、必要に応じて2色の特色着色液をベッド81上の描画基材5に向かって吐出する。
【0068】
絵柄記録ヘッド36を描画開始位置にセットする。制御部からの制御信号に従い、絵柄記録ヘッドが特定の着色液滴を吐出し、その後絵柄Y軸駆動手段35の作動により微小距離移動し、再度特定の着色液滴を吐出し、同様の動作を繰り返して、Y軸終端位置に至ると、一回のY軸走査が終了する。その後、リニアモータの作動により、スライダ341とスライダ342が移動することにより、絵柄Yガイド軸33が微小距離移動して次のY軸走査が同様に行われる。この動作を繰り返して、描画基材5全面の走査を行い、絵柄描画が行われる。
【0069】
また、マグネットプレート31に戴置されたリニアモータ付スライダ441と第二Xガイド軸32に戴置されたスライダ442がある。スライダ441とスライダ442に接着柄Yガイド軸43が掛け渡されている。接着柄Yガイド軸43はリニアモータの作動によるスライダ341の移動により、図の左右方向(X軸方向)に移動する。スライダ442は、第二ガイド軸32を摺動する。なお、第二ガイド軸32をリニアモータのマグネットプレートに置換し、スライダ442をリニアモータ付スライダに置換してもよい。
【0070】
接着柄Yガイド軸43には、接着柄記録ヘッド46が設置され、接着柄記録ヘッド46は接着柄Y軸駆動手段45により、図の上下方向(Y軸方向)に移動する。接着柄記録ヘッド46は、微小液滴吐出装置であり、接着剤の微小液滴を吐出する。
【0071】
接着柄記録ヘッド46は、絵柄記録ヘッドの走査で説明したと同様に、リニアモータの作動によるスライダ441の移動と接着柄Y軸駆動手段45の作動により、描画基材5の全面に渡り走査され、接着剤を吐出する。
【0072】
接着柄記録ヘッド46に隣接して光学センサ47が設置されている。光学センサ47は、接着柄記録ヘッド46と一体として移動、走査される。光学センサ47は、描画基材5上の微小領域毎に反射光の波長を検出し、検出データを制御部3に送信する。
【0073】
図10を参照して、ベッド81の表面には、多数の開口82が形成され、開口82は、直径数mmの円形である。開口82は減圧管83と通じている。描画基材5の裏面62をベッド81の表面に当接させ、減圧管83を真空ポンプ(図示しない)により減圧すると、描画基材がベッド81の表面に固定される。開口82は、通常縦100mm横100mm間隔の格子の交点に、より好ましくは、縦50mm横50mm間隔の格子の交点に存在することが好ましい。複数の開口82を上記のごとく配置すれば、描画基材が100mm×100mm以上、あるいは50mm×50mm以上の大きさであれば、その描画基材の全面にほぼ均等に固定点が配置される。なお、描画基材が覆いかぶさらない開口82は、補助シートなどで覆えばよい。
【0074】
ベッド81に備える固定手段として、上記減圧を利用する手段のほかに、押さえ板を挙げることができる。押さえ板も、描画基材の裏面をベッドに当接して描画基材をベッドに固定する手段である。
【0075】
ベッドの大きさは特に限定されないが、一例を挙げれば、X軸方向6500mm、Y軸方法2650mmである。
【0076】
制御部1は、コンピュータであり、絵柄基本データ記録部51、接着柄基本データ記録部52、絵柄位置誤差演算部53、接着柄修正演算部54と駆動吐出制御部58を含む。
【0077】
続いて、印刷装置1の操作と動作を説明する。
【0078】
まず、印刷物の製造方法で説明したと同様にして、絵柄基本データと接着柄基本データを準備する。そして、絵柄基本データ記録部51に絵柄基本データを記録し、また、接着柄基本データ記録部52に接着柄基本データを記録する。
【0079】
描画基材5を準備し、描画基材5の裏面をベッド81の表面に当接する。真空ポンプを動作させて、減圧管83を減圧状態にして、描画基材5をベッド81に固定する。この後、少なくとも接着剤層形成まで、真空ポンプの動作を継続し、描画基材5をベッドに固定した状態を維持し継続する。
【0080】
次に、駆動吐出制御部58は、絵柄基本データ記録部51に記録された絵柄基本データに従い、リニアモータ(341)、絵柄Y軸駆動手段35に信号を送り、同時に、絵柄記録ヘッド36に信号を送り、絵柄記録ヘッド36を走査しつつ、着色液の微小液滴を吐出して、描画基材5の表面61に絵柄を記録する。
【0081】
次に、駆動吐出制御部58はリニアモータ(441)、接着柄Y軸駆動手段45に信号を送り、光学センサ47を走査する。光学センサ47の検出信号と、駆動吐出制御部58から送信された走査信号が合体されて、絵柄座標計測データが生成され、絵柄座標計測データ記録部55に記録される。
【0082】
続いて、絵柄位置誤差演算部53は、絵柄基本データ記録部51に記録された絵柄基本データと、絵柄座標計測データ記録部55に記録された絵柄座標計測データを比較演算して、誤差値を算出する。誤差値は、誤差値記録部56に記録される。誤差値は、例えば単数または複数の特定点からの距離に加算または減算する数字の場合があり、特定方向からの回転角度の場合があり、特定点からの距離に乗じる係数の場合がある。
【0083】
次に、接着柄修正演算部54は、接着柄基本データ記録部52に記録された接着柄基本データに、誤差値記録部56に記録された誤差値を適用して、接着柄修正データを算出し、これを接着柄修正データ記録部57に記録する。
【0084】
その後、駆動吐出制御部58は、接着柄修正データ記録部57に記録された接着柄修正データに従い、リニアモータ(441)、接着柄Y軸駆動手段45に信号を送り、同時に、接着柄記録ヘッド46に信号を送り、接着柄記録ヘッド46を走査しつつ、接着液の微小液滴を吐出して、描画基材5の表面61に接着剤層を記録する。
【0085】
この後、描画基材5をベッド81から取り外し、または、描画基材5をベッド81に固着した状態を保持しつつ、接着剤層に金属粉または金属箔を付着させる。そして、接着剤層の固化後に、必要に応じて描画基材5をベッド81から取り除き、印刷物が完成する。
【0086】
本印刷装置は、光学センサが描画された絵柄を走査計測し、位置誤差を算出して、接着柄基本データに当該位置誤差を適用して、接着柄修正データを作成する。そして、接着柄修正データに従い、接着剤層を形成するので、より絵柄と接着剤層(ひいては金属光沢領域)の位置精度が向上した印刷物を印刷できる印刷装置となる。
【0087】
また、絵柄記録ヘッドと接着柄記録ヘッドは、独立に駆動される構成であり、接着柄記録ヘッドの保守、点検、手入れが容易となる特徴がある。
【0088】
さらに、光学センサと接着柄記録ヘッドが一体として駆動されることに起因して、絵柄と接着剤層(ひいては金属光沢領域)の位置精度が向上した印刷物を印刷できる。つまり、光学センサと接着柄記録ヘッドの駆動機構が偏差を有していても、当該偏差は、絵柄座標計測時に加算され、接着剤層形成時に減算され、これらが相殺されるからである。ここで偏差とは、例えば、接着柄記録ヘッドの実際移動量が、操作部に記録されている設定移動量よりも大きく(あるいは、小さく)なる現象を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の製造方法により印刷された出来上がり印刷物7の平面説明図である。
【図2】出来上がり印刷物7のA−A’線の断面説明図である。
【図3】金属光沢領域に塗り重ね絵柄層を塗り重ねた一の出来上がり印刷物の断面説明図である。
【図4】金属光沢領域に塗り重ね絵柄層を塗り重ねた他の出来上がり印刷物の断面説明図である。
【図5】本発明にかかる印刷物の製造方法の工程説明図である。
【0090】
【図6】絵柄座標計測、絵柄位置誤差算出、接着柄修正データ算出の一例を説明するための説明図である。
【図7】絵柄座標計測、絵柄位置誤差算出、接着柄修正データ算出の他の例を説明するための説明図である。
【図8】絵柄座標計測、絵柄位置誤差算出、接着柄修正データ算出のその他の例を説明するための説明図である。
【図9】印刷装置1の平面説明図である。
【図10】ベッド81の断面説明図である。
【符号の説明】
【0091】
1 印刷装置
5 描画基材
7 出来上がり印刷物
11、12 金属光沢領域
13 接着剤層
14、16、17 絵柄
18、19a、19b 塗り重ね絵柄
20 金属粉
31 リニアモータのマグネットプレート
32 第二Xガイド軸
33 絵柄Yガイド軸
35 絵柄Y軸駆動手段
36 絵柄記録ヘッド
43 接着柄Yガイド軸
45 接着柄Y軸駆動手段
46 接着柄記録ヘッド
47 光学センサ
【0092】
51 絵柄基本データ記録部
52 接着柄基本データ記録部
53 絵柄位置誤差演算部
54 接着柄修正演算部
61 描画基材の表面
62 描画基材の裏面
81 ベッド
82 開口
83 減圧管
341、441 リニアモータ付スライダ
342、442 スライダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程からなる印刷物の製造方法。
イ 金属粉または金属箔により描画される金属光沢領域と絵柄領域を含む印刷されるべき画像データをデータ処理して、絵柄基本データ及び前記金属光沢領域に対応する接着柄基本データを作成する工程
ロ 描画基材をベッドに固定する工程
ハ 微小液滴吐出方法を使用し、前記絵柄基本データに従い、ベッドに固定された前記描画基材に、絵柄を印刷する工程
ニ ハの工程で印刷された前記絵柄の座標を計測し、絵柄座標計測データを得る工程
ホ 前記絵柄基本データと前記絵柄座標計測データを比較し演算して絵柄位置誤差を算出する工程
へ 前記接着柄基本データに前記絵柄位置誤差を適用して、接着柄修正データを得る工程
ト 微小液滴吐出方法を使用し、前記接着柄修正データに従いベッドに固定された前記描画基材に、接着剤層を形成する工程
チ ベッドから取り外した描画基材上又は前記ベッドに固定された描画基材上の前記接着剤層に金属粉又は金属箔を付着して金属光沢領域を形成する工程
【請求項2】
請求項1に記載した印刷物の製造方法において、
前記ロの工程が、描画基材の裏面をベッドに当接して固定する工程であって、
描画基材の裏面とベッドの固定位置が、
少なくとも描画基材の周辺部分に一箇所存在し、さらに、描画基材の中央から半径50mmの円内にある少なくとも一箇所に存在する状態で、前記描画基材をベッドに固定する工程であることを特徴とする印刷物の製造方法。
【請求項3】
金属粉または金属箔により描画される金属光沢領域と絵柄領域を含む画像を印刷するために用いるものであり、
絵柄記録ヘッドに設けられた吐出口より着色液を描画基材に吐出して描画基材に絵柄を印刷するとともに、接着柄記録ヘッドに設けられた吐出口より接着剤を描画基材に吐出して前記金属光沢領域に対応する接着剤層を形成する印刷装置において、
描画基材を固定するための固定手段を有するベッドと、
前記絵柄記録ヘッドを前記ベッドに対してX軸、Y軸方向に駆動する絵柄記録ヘッド駆動手段と、
前記接着柄記録ヘッドを前記ベッドに対してX軸、Y軸方向に駆動する接着柄記録ヘッド駆動手段と、
前記接着柄記録ヘッド駆動手段により前記接着柄記録ヘッドと一体に駆動され、絵柄を計測する光学センサと、
絵柄基本データ記録部、接着柄基本データ記録部、絵柄位置誤差演算部、接着柄修正演算部を有する制御装置を有し、
前記絵柄基本データ記録部には、前記絵柄領域描画のための絵柄基本データが記録され、
前記接着柄基本データ記録部には、前記接着剤層描画のための接着柄基本データが記録され、
前記絵柄記録ヘッド駆動手段は、前記絵柄基本データに従い駆動され、前記描画基材に絵柄を印刷し、
前記絵柄位置誤差演算部は、前記光学センサにより計測された絵柄座標計測データと、前記絵柄基本データを比較し演算して絵柄位置誤差を算出し、
前記接着柄修正演算部は、前記接着柄基本データに前記絵柄位置誤差を適用して接着柄修正データを算出し、
前記接着柄記録ヘッド駆動手段は、前記接着柄修正データに従い駆動され、前記描画基材に接着剤層を形成することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載した印刷装置において、
前記ベッドは当接する描画基材の裏面と前記ベッドの表面を固定するための複数の固定手段を備え、
一の固定手段と、前記一の固定手段に最近接する他の固定手段との間隔が100mm以内である間隔関係にあり、
全ての前記複数の固定手段が前記間隔関係を満足する位置に存在することを特徴とする印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−34823(P2009−34823A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198461(P2007−198461)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】