説明

金属箔構造体

【課題】 金属箔成形体同士の種々の係合が可能となる金属箔構造体を提供する。
【解決手段】係合部1は、第1の金属箔成形体5に形成された第1の凹み8と第2の金属箔成形体6に形成された第2の凹み9とからなる。第1の凹み8の形状は、第1の金属箔成形体5における開口面積より、第2の凹み9の内部形状の第1の金属箔成形体5に対する投影面積の方が大きく、且つ第1の金属箔成形体5での形状及び内部形状における第1の金属箔成形体5に平行な断面は円形状を有するように成形されている。第2の凹み9の形状は第1の凹み8の形状にほぼ相似する。第1の凹み8の内面に第2の凹み9の外面を嵌合させると、第1の凹み8の内面で第2の凹み9が抜け止め状態となると共に、回動自由となる。そして第1の金属箔成形体5と第2の金属箔成形体6とが一体化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は金属箔構造体に関し、特にレンジパネル等の金属箔成形体よりなる金属箔構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のアルミニウム箔よりなる金属箔成形体は、機種によりサイズが異なるガスレンジやレンジフードの各々に適合させることが困難となっていた。
【0003】
そこで、特許文献1に示されているような縁巻係合構造及びその製造方法が提案されている。
上記の金属箔成形体は、サイズ適合性を出すため及び汚れやすい部分をより多く覆うためにアルミニウムよりなる金属箔を二枚使用しており、それらを結合し、且つそれらの位置関係を変化させる金属箔構造体として、金属箔の縁同士を重ねて縁巻加工することで形成された縁巻係合構造を用いる。これによって金属箔が互いにスライド自在となり、金属箔成形体の形状変更が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−161938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の金属箔構造体では、一方向にしかスライドできないため、適合サイズの範囲や覆うことのできる範囲に限界がある。又、真っ直ぐに引き出すことが難しく、且つ固定部が2箇所あるため2枚の金属箔が外れてしまった場合、再連結はしにくくなる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、金属箔成形体同士の種々の係合が可能となる金属箔構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、プレス成形された少なくとも2枚の金属箔成形体よりなる金属箔構造体であって、所定部分に第1の凹みが形成された第1の金属箔成形体と、第1の凹みの内面に、抜け止め状態にその外面が嵌合する第2の凹みが形成された第2の金属箔成形体とを備えたものである。
【0008】
このように構成すると、第1の凹みから第2の凹みが抜け止め状態に嵌合する。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第1の凹みの周囲は平坦面を有し、平坦面における第1の凹みの上端での開口面積より、第1の凹みの内部形状の平坦面に対する投影面積の方が大きいものである。
【0010】
このように構成すると、第1の凹みの形状は第1の凹みの上端での開口から第1の凹みの内部形状に向かって拡がる部分を有する形状となる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、第2の凹みの形状は、第1の凹みの形状にほぼ相似するものである。
【0012】
このように構成すると、第1の凹みと第2の凹みとの密着性が高くなる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、第1の凹みの平坦面での形状及び内部形状における平坦面に平行な断面は、円形状を有するものである。
【0014】
このように構成すると、第1の凹みの内面において第2の凹みは回動自在となる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、第1の凹みの内面には、深さ方向に延びる第1の襞が周方向に対して等間隔で平行に複数形成され、第2の凹みの外面には、深さ方向に延びると共に第1の襞の各々に対して係合する第2の襞が周方向に対して平行に複数形成されるものである。
【0016】
このように構成すると、第1の襞及び第2の襞が第1の凹み及び第2の凹みの周方向における回転に対して抵抗となる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、第1の凹みの平坦面での形状及び内部形状における平坦面に平行な断面は、菱形形状又は楕円形状を有するものである。
【0018】
このように構成すると、第1の凹みの内面に対する第2の凹みの固定方向は2方向に限定される。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、第1の凹みの平坦面での形状及び内部形状における平坦面に平行な断面は、正多角形形状を有するものである。
【0020】
このように構成すると、第1の凹みの内面に対する第2の凹みの固定方向が2方向以上となる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、第1の凹みの平坦面での形状及び内部形状における平坦面に平行な断面は、長穴形状を有し、第2の凹みの上端での形状は、長穴形状の幅に相当する長さを直径とする円形状を有し、第2の凹みの外面の形状は、その一部が第1の凹みの幅の方向における内面に接する形状を有するものである。
【0022】
このように構成すると、第1の凹みの内面において第2の凹みが第1の凹みの形状に沿ってスライド自在となると共に、その位置で回動自在となる。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、第1の凹みの平坦面での形状は、外周の一部が突出した円形状を有し、第2の凹みの形状は、上端側の形状が円形状の直径に相当する直径を有する円筒形状を有し、下端側の形状が突出した円形状に投影面積がほぼ一致する筒形状を有し、第2の凹みは、第1の凹みの開口形状に合わせて下端側の形状を沿わせて挿入させた後、深さ方向を軸として回転させることによって第1の凹みに対して抜け止め状態に嵌合するものである。
【0024】
このように構成すると、第1の凹みに第2の凹みを挿入する際の第2の凹みの方向が限定されると共に、第1の凹みに第2の凹みを挿入して回転させると、第1の凹みから第2の凹みが抜けなくなる。
【0025】
請求項10記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、第1の凹みの平坦面での形状は、円形状を有し、内部形状は第1の球冠形状を有し、第2の凹みの形状は、上端側の形状が第1の凹みの平坦面での直径より相当小さな円筒形状を有し、下端側の形状が第1の球冠形状の直径にほぼ等しい第2の球冠形状を有するものである。
【0026】
このように構成すると、第1の凹みの平坦面での円形上の範囲内で第2の凹みの円筒形状が自在に動く。
【0027】
請求項11記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、第1の凹みの内面は、深さ方向に向かってらせん状に進行する凹凸が形成され、第2の凹みは第1の凹みに密着状態に形成されるものである。
【0028】
このように構成すると、第1の凹みの内面の凹凸と第2の凹みの外面の凹凸の関係が雌螺子と雄螺子の関係となる。
【0029】
請求項12記載の発明は、プレス成形された少なくとも2枚の金属箔成形体よりなる金属箔構造体であって、第1の端縁から内方に向かって延びる断面逆U字状の第1の凸部を有する第1の金属箔成形体と、第2の端縁から内方に向かって延びる断面逆U字状に相似する断面形状を有し、第1の凸部に少なくともその一部が重なるように嵌合する第2の凸部を有する第2の金属箔成形体とを備え、第1の凸部と第2の凸部とは、重なる方向に対して抜け止め状態に係合すると共に、延びる方向に対してスライド自在に係合する、金属箔構造体である。
【0030】
このように構成すると、第1の凸部の内面において第2の凸部が第1の凸部の延びる方向にスライド自在となる。
【0031】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明の構成において、第1の凸部の延びる方向における一対の第1の側壁の少なくとも一方には等間隔に第1の突出部が形成され、第2の凸部の延びる方向における一対の第2の側壁には第1の突出部に係合する第2の突出部が等間隔と同一の間隔で形成されるものである。
【0032】
このように構成すると、第1の突出部に第2の突出部が係合すると第1の凸部の内面において第2の凸部がスライドしにくくなる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、第1の凹みから第2の凹みが抜け止め状態に嵌合するので、第1の金属箔成形体と第2の金属箔成形体とが一体化する。
【0034】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1の凹みの形状は第1の凹みの上端での開口から第1の凹みの内部形状に向かって拡がる部分を有する形状となるので、第1の凹みに対する第2の凹みの抜け止め状態が安定する。
【0035】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、第1の凹みと第2の凹みとの密着性が高くなるので、第1の凹みに対する第2の凹みの抜け止め状態がより安定する。
【0036】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、第1の凹みの内面において第2の凹みは回動自在となるので、第1の金属箔成形体に対して第2の金属箔成形体が回動自在に係合する。
【0037】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、第1の襞及び第2の襞が第1の凹み及び第2の凹みの周方向における回転に対して抵抗となるので、任意の位置に回転できると共に回転位置で係止し易いので使い勝手が向上する。
【0038】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、第1の凹みの内面に対する第2の凹みの固定方向は2方向に限定されるので、第1の金属箔成形体に対して第2の金属箔成形体を2方向に限定して固定することが可能となる。
【0039】
請求項7記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、第1の凹みの内面に対する第2の凹みの固定方向が2方向以上となるので、第1の金属箔成形体に対して第2の金属箔成形体を2方向以上の方向で固定することが可能となる。
【0040】
請求項8記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、第1の凹みの内面において第2の凹みが第1の凹みの形状に沿ってスライド自在となると共に、その位置で回動自在となるので、第1の金属箔成形体に対して第2の金属箔成形体が長穴形状の形状に沿ってスライド自在となると共にその位置で回動自在に係合する。
【0041】
請求項9記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、第1の凹みに第2の凹みを挿入する際の第2の凹みの方向が限定されると共に、第1の凹みに第2の凹みを挿入した後、深さ方向を軸として第2の凹みを回転させると第1の凹みから第2の凹みが抜けなくなるため、第1の凹みに第2の凹みを挿入した後、第2の金属箔成形体を回転させると、第1の金属箔成形体に対して第2の金属箔成形体が安定した抜け止め状態に固定される。
【0042】
請求項10記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、第1の凹みの平坦面での円形上の範囲内で第2の凹みの円筒形状が自在に動くので、第1の金属箔成形体に対して第2の金属箔成形体を傾けたり、回動させたりすることが可能となる。
【0043】
請求項11記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、第1凹みの内面の凹凸と第2凹みの外面の凹凸の関係が雌螺子と雄螺子の関係となるので、第1の金属箔成形体に対して第2の金属箔成形体を回転させながら深さ方向に上下に移動させて固定することが可能となる。
【0044】
請求項12記載の発明は、第1の凸部の内面において第2の凸部が第1の凸部の延びる方向にスライド自在となるので、第1の金属箔成形体に対して第2の金属箔成形体が第1の凸部の延びる方向にスライド自在に係合する。
【0045】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明の効果に加えて、第1の突出部に第2の突出部が係合すると第1の凸部の内面において第2の凸部がスライドしにくくなるので、第1の金属箔成形体に対して第2の金属箔成形体のスライド位置の位置決めが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の第1の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの変形過程の外観形状を示した概略斜視図である。
【図2】図1で示した“W”部分の拡大斜視図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインの端面図である。
【図4】図2で示した係合部の第1の凹みから第2の凹みを外した状態の図である。
【図5】図4で示したV−Vラインの端面図である。
【図6】図4で示したVI−VIラインの端面図である。
【図7】第1の実施の形態による金属箔構造体の係合部の成形過程を示した概略工程端面図である。
【図8】この発明の第2の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの拡大斜視図であって、先の第1の実施の形態の図2に対応する図である。
【図9】この発明の第3の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの拡大斜視図であって、先の第1の実施の形態の図2に対応する図である。
【図10】この発明の第4の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの拡大斜視図であって、先の第1の実施の形態の図2に対応する図である。
【図11】図10の第2の金属箔成形体を係合部を軸として反時計回りに回転させていく過程を示した概略正面図である。
【図12】この発明の第5の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの拡大斜視図であって、先の第1の実施の形態の図2に対応する図である。
【図13】図12で示した係合部の第1の凹みから第2の凹みを外した状態の図である。
【図14】この発明の第6の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの拡大斜視図であって、先の第1の実施の形態の図2に対応する図である。
【図15】図14の第1の凹みの平面図である。
【図16】図15で示したXVI−XVIラインの端面図である。
【図17】図15で示したXVII−XVIIラインの端面図である。
【図18】図14の第2の凹みの平面図である。
【図19】図18で示したXIX−XIXラインの端面図である。
【図20】図18で示したXX−XXラインの端面図である。
【図21】図14の第1の凹みに第2の凹みを挿入した状態の平面図である。
【図22】図21で示したXXII−XXIIラインの端面図である。
【図23】図21の第2の凹みを深さ方向を軸として180度回転させた状態の平面図である。
【図24】図23で示したXXIV−XXIVラインの端面図である。
【図25】この発明の第7の実施の形態による金属箔構造体の一方である三口コンロ用汁受マットの平面図である。
【図26】この発明の第7の実施の形態による金属箔構造体の他方である補助マットを上記の三口コンロ用汁受マットに取り付けた状態の平面図である。
【図27】この発明の第8の実施の形態による金属箔構造体である分離型トッププレート覆いの平面図である。
【図28】この発明の第9の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの取付状態の外観形状を示した概略斜視図であって、先の第1の実施の形態の図1に対応する図である。
【図29】図28で示した“X”部分の拡大斜視図である。
【図30】図29で示したXXX−XXXラインの端面図であって、第2の金属箔構造体の動作過程を示した概略端面図である。
【図31】この発明の第10の実施の形態による金属箔構造体の係合部の嵌合過程を示した概略端面図である。
【図32】この発明の第11の実施の形態による金属箔構造体の一方である補助マットの平面図である。
【図33】図32で示したXXXIII−XXXIIIラインの端面図である。
【図34】この発明の第11の実施の形態による金属箔構造体の他方である三口コンロ用汁受マットに上記の補助マットを取り付けた状態の平面図である。
【図35】図34で示したXXXV−XXXVラインの端面図であって、補助マットの取り付け過程を示した概略端面図である。
【図36】この発明の第12の実施の形態による金属箔構造体であるレンジフィルターの外観形状を示した斜視図である。
【図37】図36で示した“Y”部分の拡大斜視図である。
【図38】この発明の第13の実施の形態による金属箔構造体であるレンジフィルターの外観形状を示した斜視図であって、先の発明の第12の実施の形態による金属箔構造体であるレンジフィルター図36に対応するものである。
【図39】図38で示した“Z”部分の拡大斜視図であって、第2の凸部のスライド過程を示した概略拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、この発明の第1の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの変形過程の外観形状を示した概略斜視図である。
【0048】
図1の(1)を参照して、システムキッチンレンジ31の周りを囲うようにレンジパネル3が立設されている。レンジパネル3はプレス成形された矩形形状のアルミニウム箔である金属箔をコの字型に設置させたものからなり、第1の金属箔成形体5はこのレンジパネル3の左袖を構成し矩形シート形状を有する。第1の金属箔成形体5のシステムキッチンレンジ31と対向しない側の面には、係合部1を介して第2の金属箔成形体6が第1の金属箔成形体5と平行に連結して金属箔構造体を構成している。第2の金属箔成形体6は、長辺が第1の金属箔成形体5の長辺よりも長いものからなるプレス成形された矩形シート形状を有する。尚、第2の金属箔成形体6は第1の金属箔成形体5よりも手前側に現れず、長辺側の端部は地面と平行状態にある。
【0049】
このように構成すると、レンジパネル3の左袖を構成するものとして現れるのは、第1の金属箔成形体5のみとなる。
【0050】
図2は、図1の(1)で示した“W”部分の拡大斜視図であり、図3は、図2で示したIII−IIIラインの端面図である。
【0051】
これらの図を参照して、係合部1は、第1の金属箔成形体5に形成された第1の凹み8と、第2の金属箔成形体6に形成された第2の凹み9とからなる。第1の凹み8の形状と第2の凹み9の形状とはほぼ相似しており、第1の凹み8の内面に第2の凹み9の外面が抜け止め状態に嵌合している。
【0052】
このように構成すると、第1の凹み8と第2の凹み9との係合を介して、第1の金属箔成形体5と第2の金属箔成形体6とが連結する。
【0053】
図4は、図2で示した係合部の第1の凹みから第2の凹みを外した状態の図であり、図5は、図4で示したV−Vラインの端面図であり、図6は、図4で示したVI−VIラインの端面図である。
【0054】
これらの図を参照して、第1の凹み8は、平坦面10において円形状となる第1の開口部11から円形状の第1の底面14に向かって拡がるようにテーパーが付いた形状に形成されている。尚、第1の凹み8における平坦面10に平行な断面は円形状を有する。又、第1の開口部11の開口面積より第1の凹み8の内部形状の平坦面10に対する投影面積の方が大きくなる。
【0055】
第2の凹み9は、第1の開口部11の開口面積よりやや小さい開口面積の第2の開口部12と、第1の底面14の面積より小さく且つ第1の開口部11の開口面積より大きい面積の第2の底面15を有し、第1の凹み8にほぼ相似する形状に形成されている。
【0056】
このように構成すると、第1の凹み8と第2の凹み9とを外そうとしたときに、第2の底面15が第1の開口部11に引っかかり抜け止め状態となる。
【0057】
又、第1の凹み8の内面で第2の凹み9が深さ方向を軸中心として回動自在となるため、第1の金属箔成形体5に対して第2の金属箔成形体6が回動自在となる。
【0058】
ここで、図1の(2)に戻って、係合部1を軸として、第2の金属箔成形体6をシステムキッチンレンジ31の方向から見て反時計回りに90度回転させる。すると第2の金属箔成形体6の一部が第1の金属箔成形体5の上方に現れる。
【0059】
このように構成すると、レンジパネル3の左袖が上方に延長され、左袖による囲み範囲が上方に拡大する。
【0060】
次に、図1の(3)を参照して、係合部1を軸として、第2の金属箔成形体6をシステムキッチンレンジ31の方向から見て図1の(2)の状態から更に反時計回りに90度回転させる。すると第2の金属箔成形体6の一部が第1の金属箔成形体5よりも手前に現れる。
【0061】
このように構成すると、レンジパネル3の左袖が手前側に延長され、左袖による囲み範囲が前方に拡大する。
【0062】
図7は、第1の実施の形態による金属箔構造体の係合部の成形過程を示した概略工程端面図である。
【0063】
まず、図7の(1)を参照して、重ね合わせた2枚の金属箔16a及び16bの所定の位置に、仮成形プレス17を押し付けて凹部19を形成する。
【0064】
次に、図7の(2)を参照して、図7の(1)で形成された凹部19の内面に挿入した根元がくびれた成形プレス18に向かって金属箔16a及び金属箔16bの外面から空気圧等の圧力を加えて凹部19の側壁を押し付ける。尚、成形プレス18は油圧等で外観形状が変形可能なものである。
【0065】
このようにすると、2枚の金属箔16a及び16bのそれぞれに、相似する形状の凹みを形成することが容易となる。
【0066】
次に、図7の(3)を参照して、成形プレス18を変形させて開口部12から抜き取ると、第1の開口部11と第1の底面14とからなる第1の凹み8を備えた第1の金属箔成形体5と、第2の開口部12と第2の底面15とからなる第2の凹み9を備えた第2の金属箔成形体6とが形成されている。
【0067】
このようにすると、第1の凹み8の内面に第2の凹み9の外面が嵌合した状態の係合部1を形成することが可能となる。尚、同様の製法で第1の凹み8と第2の凹み9とをそれぞれ1枚ずつ成形した後に、第1の凹み8の内面と第2の凹み9の外面とを嵌合させてもよい。
【0068】
図8は、この発明の第2の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの拡大斜視図であって、先の第1の実施の形態の図2に対応する図である。
【0069】
図を参照して、第1の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネル3のうち、係合部1が、円形状のものから菱形形状のものに置き換わっている。尚、他のレンジパネル3の構成要素は第1の実施の形態によるものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0070】
第1の凹み8の内面に第2の凹み9の外面を嵌合させると、第1の凹み8の角と第2の凹み9の角とが互いに引っかかり、固定される。尚、第1の凹み8の内面と第2の凹み9の外面とは、上記の第2の凹み9を深さ方向を軸として180度回転させたときに、再び嵌合可能となる。
【0071】
このように構成すると、第2の金属箔成形体6を、図8において実線で表された位置又は二点鎖線で表された位置で係合させることが可能となる。尚、第2の凹み9を180度回転させるにあたっては、第1の凹み8及び第2の凹み9が塑性変化しない範囲であれば、第2の凹み9を第1の凹み8から一旦外し、第2の凹み9を回転させてから第1の凹み8の内面に嵌合させ直してもよい。又、第1の凹み8が塑性変化しない範囲であれば、第2の凹み9を第1の凹み8の内面に嵌合させたまま回転させてもよい。
【0072】
図9は、この発明の第3の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの拡大斜視図であって、先の第1の実施の形態の図2に対応する図である。
【0073】
図を参照して、第1の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネル3のうち、係合部1が、円形状のものから楕円形形状のものに置き換わっている。尚、他のレンジパネル3の構成要素は第1の実施の形態によるものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0074】
第1の凹み8の内面に第2の凹み9の外面を嵌合させると、第1の凹み8の曲面と第2の凹み9の曲面とが互いに引っかかり、固定される。尚、第1の凹み8の内面と第2の凹み9の外面とは、上記の第2の凹み9を深さ方向を軸として180度回転させたときに、再び嵌合可能となる。
【0075】
このように構成すると、第2の金属箔成形体6を、図9において実線で表された位置又は二点鎖線で表された位置で係合させることが可能となる。尚、第2の凹み9を180度回転させるにあたっては、第1の凹み8及び第2の凹み9が塑性変化しない範囲であれば、第2の凹み9を第1の凹み8から一旦外し、第2の凹み9を回転させてから第1の凹み8の内面に嵌合させ直してもよい。又、第1の凹み8が塑性変化しない範囲であれば、第2の凹み9を第1の凹み8の内面に嵌合させたまま回転させてもよい。
【0076】
図10は、この発明の第4の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの拡大斜視図であって、先の第1の実施の形態の図2に対応する図であり、図11は、図10の第2の金属箔成形体を係合部を軸として反時計回りに回転させていく過程を示した概略正面図である。
【0077】
これらの図を参照して、第1の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネル3のうち、係合部1が、円形状のものから正六角形形状のものに置き換わっている。尚、他のレンジパネル3の構成要素は第1の実施の形態によるものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0078】
第2の金属箔成形体6は、任意の方向Aに向かって長辺が延びる位置で第1の金属箔成形体5と連結している。尚、第2の実施の形態による係合部1について説明したものと同様の理由により、第2の金属箔成形体6aの位置は固定されている。この時の回転角度を0度とする。
【0079】
ここから第2の凹み9を反時計方向に回転させていくと、回転角度が60度となったところで第1の凹み8の内面と第2の凹み9の外面とが安定した嵌合状態となる。よって、第2の金属箔成形体6は方向Aから反時計回りに60度回った方向の方向Bに向かってその長辺が延びる位置、すなわち図11において一点鎖線で表された位置において固定される。
【0080】
更に第2の凹み9を反時計方向に回転させていくと、回転角度が120度となったところで第1の凹み8の内面と第2の凹み9の外面とが再び安定した嵌合状態となる。よって、第2の金属箔成形体6は方向Bから反時計回りに60度回った方向の方向Cに向かってその長辺が延びる位置、すなわち図11において二点鎖線で表された位置において固定される。
【0081】
更に第2の凹み9を反時計方向に回転させていくと、回転角度が180度となったところで第1の凹み8の内面と第2の凹み9の外面とが再び安定した嵌合状態となる。よって、第2の金属箔成形体6は方向Cから反時計回りに60度回った方向の方向Dに向かってその長辺が延びる位置、すなわち図11において破線で表された位置において固定される。
【0082】
このように構成すると、第2の金属箔成形体6を回転角度60度毎に固定することが可能となる。尚、第2の凹み9を回転させるにあたっては、第1の凹み8及び第2の凹み9が塑性変化しない範囲であれば、第2の凹み9を第1の凹み8から一旦外し、第2の凹み9を回転させてから第1の凹み8の内面に嵌合させ直してもよい。又、第1の凹み8が塑性変化しない範囲であれば、第2の凹み9を第1の凹み8の内面に嵌合させたまま回転させてもよい。
【0083】
図12は、この発明の第5の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの拡大斜視図であって、先の第1の実施の形態の図2に対応する図であり、図13は図12で示した連結部の第1の凹みから第2の凹みを外した状態の図である。
【0084】
これらの図を参照して、第1の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネル3のうち、第1の凹み8が円形状のものから長穴形状を直角に折り曲げた形状のものに置き換わっている。尚、他のレンジパネル3の構成要素は第1の実施の形態によるものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0085】
第1の凹み8は、長穴形状を直角に折り曲げた形状の第1の開口部11から長穴形状を直角に折り曲げた形状の第1の底面14を有する。尚、第2の凹み9は、第2の開口部12の直径が第1の開口部11の幅に相当する長さであり、第2の底面15の直径が第2の底面14の幅に相当する長さとなるように形成されている。
【0086】
このように構成すると、第1の凹み8の内面で第2の凹み9が、第1の凹み8の形状に沿ってスライド自在となるため、第2の金属箔成形体6は第1の金属箔成形体5に対して、第1の凹み8の形状に沿ってスライド自在となる。すなわち、図12において二点鎖線で表された位置に第2の金属箔成形体6をスライドさせることが可能となる。
【0087】
又、第2の凹み9が円形状であるので、第1の凹み8の内面で第2の凹み9は回動自在となるため、第2の金属箔成形体6は第1の金属箔成形体5に対して任意のスライド位置で回動自在でもある。
【0088】
図14は、この発明の第6の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの係合部の第1の凹みから第2の凹みを外した状態の拡大斜視図であって、先の第1の実施の形態の図4に対応する図である。
【0089】
図を参照して、第1の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネル3のうち、第1の凹み8が円形状のものから円形状の第1の底面14と外周の一部が突出した円形状の第1の開口部11とを有する筒形状のものに、第2の凹み9が第1の開口部11とほぼ同一の形状の第2の底面15と円形状の第2の開口部12とを有する筒形状のものに置き換わっている。尚、他のレンジパネル3の構成要素は第1の実施の形態によるものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0090】
図15は、図14の第1の凹みの平面図である。
【0091】
図を参照して、第1の開口部11の形状は、外周の一部が突出した円形状であり、第1の底面14の形状は、第1の開口部11の円形状の中心から突出した外周の先端までの距離を半径とした円形状である。尚、第1の開口部11の円形状の中心と第1の底面14の円形状の中心とは重なり合う。
【0092】
図16は、図15で示したXVI−XVIラインの端面図であり、図17は、図15で示したXVII−XVIIラインの端面図である。
【0093】
これらの図を参照して、第1の凹み8は、上部の形状は、第1の開口部11の形状に投影面積がほぼ一致する筒形状であって、下部の形状は第1の底面14の円形状の直径に相当する円筒形状を有する。
【0094】
図18は、図14の第2の凹みの平面図である。
【0095】
図を参照して、第2の底面15の形状は、図15の第1の凹み8の第1の開口部11とほぼ同一の形状であり、第2の開口部12の形状は、第2の底面15の円形状の直径に相当する直径を有する円形状である。尚、第2の開口部12の円形状の中心と第2の底面15の円形状の中心とは重なり合う。
【0096】
図19は、図18で示したXIX−XIXラインの端面図であり、図20は、図18で示したXX−XXラインの端面図である。
【0097】
これらの図を参照して、第2の凹み9の形状は、上端側の形状が第2の開口部12の円形状の直径に相当する円筒形状を有し、下端側の形状が第2の底面15の形状に投影面積がほぼ一致する筒形状を有するものである。この時、上端側の円筒形状から下端側の筒形状の一部が突出体20として突き出ている。
【0098】
図21は、図14の第1の凹みに第2の凹みを挿入した状態の平面図であり、図22は、図21で示したXXII−XXIIラインの端面図である。
【0099】
これらの図を参照して、第1の開口部11の形状に合わせて第2の凹み9の下端側の形状を沿わせて、第1の凹み8に第2の凹9みが挿入されている。この段階においては、第2の凹み9は第1の凹み8から容易に外れる。
【0100】
図23は、図21の第2の凹みを深さ方向を軸として180度回転させた状態の平面図であり、図24は、図23で示したXXIV−XXIVラインの端面図である。
【0101】
これらの図を参照して、第2の凹み9を深さ方向を軸として回転させていくと、突出部20が第1の開口部11よりも外側に突き出る位置に移動し、第1の凹み8に対して第2の凹み9が抜け止め状態に嵌合する。尚、第2の凹み9の上端部の円筒形状の直径と第1の開口部11の円形状の直径とがほぼ同一であるため、第2の凹み9の水平方向の動きは阻止されている。
【0102】
このように構成すると、係合部1が、所定の位置では容易に外れるが、それ以外の位置では抜け止め状態に嵌合するものとなる。
【0103】
図25は、この発明の第7の実施の形態による金属箔構造体の一方である三口コンロ用汁受マットの平面図であって、図26は、この発明の第7の実施の形態による金属箔構造体の他方である補助マットを上記の三口コンロ用汁受マットに取り付けた状態の平面図である。
【0104】
これらの図を参照して、トッププレート覆い23は、三口コンロ用汁受マット24と補助マット43とからなる。三口コンロ用汁受マット24にはバーナーを通す二つの楕円穴25a及び25bと、一つの丸穴44とが形成されている。一方の楕円穴25aの周囲の四方には、円形の第2の凹み28a〜28dと、楕円形の第2の凹み30a〜30dとが形成されている。尚、他方の楕円穴25bの周囲の四方にも円形の第2の凹み28と楕円形の第2の凹み30とが4つずつ形成されている。
【0105】
一方、補助マット43には一つの丸穴42と、円形の第2の凹み28a〜28dと係合する円形の第1の凹み27a〜27dとが形成されている。三口コンロ用汁受マット24に補助マット43を重ね、円形の第1の凹み27a〜27dと円形の第2の凹み28a〜28dとを係合させると、図26のように三口コンロ用汁受マット24における補助マット43の取付位置が決定し、所望のバーナー間距離Wが定まる。尚、補助マット43を楕円形の第2の凹み30a〜30dと係合する楕円形の第1の凹みを形成したものに変更すると、三口コンロ用汁受マット24における補助マット43の取付位置が上記の取付位置とは異なる位置で決定し、バーナー間距離がWより短い、所望のものに定まる。
【0106】
このようにすると、補助マット43の選択によってバーナー間距離が物理的に定まることになり、バーナー間距離に応じて補助マット43の取り付け位置を調整する必要がない。
【0107】
図27は、この発明の第8の実施の形態による金属箔構造体である分離型トッププレート覆いの平面図である。
【0108】
図を参照して、トッププレート覆い23は分割マット33とフラップ体34a及び34bとからなる。分割マット33は矩形形状であってその中心にバーナー26を通す丸穴44を備える。このトッププレート覆い23をシステムキッチンレンジ31に使用するに当たっては、まず五徳32を取り外し、フラップ体34a及び34bをバーナー26の両脇に配置する。次に分割マット33をバーナー26の位置に合わせて配置する。そして、分割マット33の両端に形成された円形係合部29a〜29dで、分割マット33とフラップ体34a及び34bとを連結させる。この上に五徳32を再び載せる。
【0109】
このように構成すると、分割マット33とフラップ体34とが容易にずれなくなり、使用状態が安定する。
【0110】
図28は、この発明の第9の実施の形態による金属箔構造体であるレンジパネルの取付状態の外観形状を示した概略斜視図であって、先の第1の実施の形態の図1に対応する図である。
【0111】
図28の(1)を参照して、先の第1の実施の形態によるレンジパネル3のうち、第2の金属箔成形体6の位置が第1の金属箔成形体5のシステムキッチンレンジ31と対向しない側の面から対向する側の面へと変わっている。尚、他のレンジパネル3の構成は先の第1の実施の形態と同一であるので、ここでの説明は繰り返さない。
【0112】
図29は、図28の(1)で示した“X”部分の拡大斜視図であり、図30は、図29で示したXXX−XXXラインの端面図であって、第2の金属箔構造体の動作過程を示した概略端面図である。
【0113】
まず、図29を参照して、第1の凹み8は、円形状の第1の開口部11を有する第1の球冠形状35からなる。第2の凹み9は、円形状の第2の開口部12を有する第1の開口部11の直径より相当小さな円筒形状37を上端側の形状とし、第1の球冠形状35の直径にほぼ等しい直径の第2の球冠形状36を下端側の形状としたものからなる。
【0114】
次に、図30の(1)を参照して、第1の金属箔成形体5と第2の金属箔成形体6とはほぼ平行状態にあり、第1の凹み8に第2の凹み9が嵌合している。この状態から第2の金属箔成形体6に矢印の方向の力を加えると、図30の(2)に示されているように、円筒形状37を介して第2の球冠形状36が第1の球冠形状35の内部で回転する。尚、第1の球冠形状35と第2の球冠形状36とは相似する形状であり、第1の球冠形状35の内部で第2の球冠形状36の回転は阻止されないので、第2の金属箔成形体6の回転も阻止されない。第2の金属箔成形体6の端部が第1の金属箔成形体5に接したところで止まる。
【0115】
ここで、図28の(2)に戻って、第2の金属箔成形体6が、金属箔構造体1を軸として下方に傾いている状態が示されている。
【0116】
このように構成すると、第2の金属箔成形体6は第1の金属箔成形体5に対して、第2の金属箔成形体6の端部が第1の金属箔成形体5に接するまでの範囲又は円筒形状37が第1の開口部11に接するまでの範囲で、傾斜自在で且つ回動自在となる。
【0117】
図31は、この発明の第10の実施の形態による金属箔構造体の係合部の嵌合過程を示した概略端面図である。
【0118】
まず、図31の(1)を参照して、第1の凹み8の内面には深さ方向に向かってらせん状に進行する第1の凹凸形状39が形成されている。又、第2の凹み9には第1の凸凹形状39と密着状態に形成され、その形状が第1の凸凹形状39とほぼ相似する第2の凸凹形状40が形成されている。ここで第2の凹み9を深さ方向を軸として矢印の方向に回転させると、第1の凸凹形状39に第2の凸凹形状40が沿って回転し、第2の凹み9が第1の凹み8の内面で深さ方向に進行していく。
【0119】
次に、図31の(2)を参照して、第1の底面14と第2の底面15とが接する地点で、第1の凹み8の内面における第2の凹み9の深さ方向への進行が阻止される。
【0120】
このように構成すると、第1の凹み8と第2の凹み9との関係が、雌螺子と雄螺子の関係となる。
【0121】
又、第1の凹み8に対して第2の凹み9を抜け止め状態に固定させることが可能となる。
【0122】
図32は、この発明の第11の実施の形態による金属箔構造体の一方である補助マットの平面図であり、図33は、図32で示したXXXIII−XXXIIIラインの端面図である。
【0123】
これらの図を参照して、補助マット43は、丸穴44を中心としたドーナツ型に形成された平坦部45と、平坦部45の周囲にドーナツ型で且つ外方に向かって傾斜するように形成された傾斜部46と、傾斜部46の外周から下方に向かってリング状に形成された第1の凸凹形状39とから構成されている。
【0124】
図34は、この発明の第11の実施の形態による金属箔構造体の他方である三口コンロ用汁受マットに上記の補助マットを取り付けた状態の平面図である。
【0125】
図を参照して、トッププレート覆い23は、三口コンロ用汁受マット24と補助マット43とから構成されている。使用に当たっては補助マット43を三口コンロ用汁受マット24の上に設置する。
【0126】
図35は、図34で示したXXXV−XXXVラインの端面図であって、補助マットの取り付け過程を示した概略端面図である。
【0127】
まず、図35の(1)を参照して、バーナー26を通す丸穴50と、丸穴50の外周から上方に向かってリング状の第2の凸凹形状40とが形成されている三口コンロ用汁受マット24を、キッチントッププレート47に嵌め込まれたガードプレート48に覆い被せる。次に補助マット43を三口コンロ用汁受マット24に重ね、第1の凸凹形状39と第2の凸凹形状40とを螺合させる。その状態で補助マット43を深さ方向を軸として矢印の方向に回転させる。
【0128】
次に、図35の(2)を参照して、三口コンロ用汁受マット24に対して第1の凸凹形状39及び第2の凸凹形状40との螺合によって任意の高さで固定された補助マット43の上をバーナーリング49で覆う。
【0129】
このように構成すると、三口コンロ用汁受マット24に対する補助マット43の設置位置を任意の高さで固定することができ、バーナー26の周辺の汚れを効率よく防止することができる。
【0130】
図36は、この発明の第12の実施の形態による金属箔構造体であるレンジフィルターの外観形状を示した斜視図である。
【0131】
図を参照して、レンジフィルター52は、プレス成形され、外周に縁巻加工が施された第1の金属箔成形体5及び第2の金属箔成形体6とから構成されている。第1の金属箔成形体5は矩形形状に近い形状であり、その中央にはフィルター53aを有し、フィルター53aの両脇には第1の端縁54から内方に向かって直線状に延びる一対の第1の凸部56a及び56bが形成されている。第2の金属箔成形体6は第1の金属箔成形体5の幅よりも若干狭い幅の矩形形状に近い形状であり、その中央にはフィルター53bを有し、フィルター53bの両脇には第2の端縁55から内方に向かって直線状に延びる一対の第2の凸部57a及び57bが形成されている。第1の凸部56a及び56bに第2の凸部57a及び57bの一部がそれぞれ重なるように係合している。
【0132】
図37は、図36で示した“Y”部分の拡大斜視図である。
【0133】
図を参照して、第1の凸部56は断面逆U字型であって下方に向かって逆テーパーが付くように形成されており、第2の凸部57はその断面形状が第1の凸部56の断面逆U字型とほぼ相似する形状に形成されている。第1の凸部56と第2の凸部57とは、重なる方向に抜け止め状態に係合すると共に、延びる方向に対してスライド自在に係合している。
【0134】
このように構成すると、レンジフィルター52は第1の凸部56及び第2の凸部57が延びる方向、すなわち矢印の方向に伸縮可能となる。
【0135】
図38は、この発明の第13の実施の形態による金属箔構造体であるレンジフィルターの外観形状を示した斜視図であって、先の発明の第12の実施の形態による金属箔構造体を使用したレンジフィルターの図36に対応するものである。
【0136】
図を参照して、第12の実施の形態によるレンジフィルター52のうち、第1の凸部56が、その側壁の両方に突出する第1の突出部58を等間隔に形成したものに、第2の凸部57が、その側壁の両方に突出する第2の突出部59を第1の突出部58が形成された間隔と同一の間隔で形成したものにそれぞれ置き換わっている。尚、他のレンジフィルター52の構成は第12の実施の形態によるものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0137】
図39は、図38で示した“Z”部分の拡大斜視図であって、第2の凸部のスライド過程を示した概略拡大斜視図である。
【0138】
まず図39の(1)を参照して、第1の凸部56は断面逆U字型であって下方に向かって逆テーパーが付くように形成されており、その壁面に第1の突出部58a及び58bを有する。第2の凸部57は第1の凸部56とほぼ相似する形状に形成されており、その壁面に第2の突出部59a及び59bを有する。尚、第2の突出部59の幅は第1の凸部56の幅より大きく、且つ第1の突出部58の幅より小さい。第1の凸部56の内面には第2の突出部59bを含む第2の凸部57の一部が係合している。第2の突出部59bが第1の凸部56の壁面によって圧迫されているため多少の抵抗はあるが、第2の凸部57は第1の凸部56の内面において矢印の方向に対してスライド自在となっている。
【0139】
次に図39の(2)を参照して、第2の凸部57を第1の端部54から離す方向にスライドさせていくと、第1の突出部58aと第2の突出部59bとが係合すると共に、第1の突出部58bと第2の突出部59cとが係合する。そして第2の凸部57のスライドが位置決めされる。
【0140】
このように構成すると、レンジフィルター52は、第1の凸部56及び第2の凸部57が延びる方向、すなわち矢印の方向に伸縮可能となるとともに、第1の突出部58と第2の突出部59とが係合する箇所において、第1の金属箔成形体5と第2の金属箔成形体6とを固定することができる。すなわち、第1の突出部58及び第2の突出部59の形成位置の間隔に応じた位置決めが可能となる。
【0141】
尚、上記の各実施の形態では、金属箔構造体の例としてレンジパネル等が示されているが、これら以外の金属箔構造体にも同様に適用できる。
【0142】
又、上記の各実施の形態では、2枚の金属箔成形体より金属箔構造体が形成されていたが、2枚以上の金属箔成形体によって形成されてもよい。
【0143】
更に、上記の第1の実施の形態から第5の実施の形態では、第1の凹みの形状が、第1の底面から第1の開口部に向かってテーパーが付くように形成されていたが、第1の凹みの内部形状の平坦面に対する投影面積が第1の開口部の開口面積より大きくなるように形成されていればよい。
【0144】
更に、上記の第1の実施の形態から第6の実施の形態では、第1の底面及び第2の底面は第1の凹み及び第2の凹みの下部の最も径の大きい部分をさすものであって、必ずしも底の平面部分を指すものではない。
【0145】
更に、上記の第1の実施の形態では、第1の凹み及び第2の凹みはほぼ平滑面を有し、共に平坦面に平行な断面は円形状を有するように形成されていたが、第1の凹みには、その内面に深さ方向に延びるシワよりなる第1の襞が周方向に対してほぼ平行に複数形成され、第2の凹みには、その外面に深さ方向に延びると共に第1の襞の各々に対して係合するシワよりなる第2の襞が周方向に対して平行に複数形成されていてもよい。このようにすると、第1の襞及び第2の襞が第1の凹み及び第2の凹みの周方向における回転に対して抵抗となるので、任意の位置に回転できると共に回転位置で係止し易いので使い勝手が向上する。
【0146】
更に、上記の第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、係合部の形状が菱形形状又は楕円形状とされていたが、動物や花等の任意の形状であってもよい。
【0147】
更に、上記の第4の実施の形態では、係合部の形状が正六角形形状とされていたが、他の正多角形形状であってもよい。
【0148】
更に、上記の第5の実施の形態では、第1の凹みの形状が長穴形状を直角に折り曲げたものとされていたが、単なる長穴形状でもよい。
【0149】
更に、上記の第5の実施の形態では、第2の凹みの形状が円形状のものとされていたが、他の形状であってもよい。
【0150】
更に、上記の第6の実施の形態では、第1の底面の形状が円形状とされていたが、その円形状の弧を一部とする他の形状であってもよい。
【0151】
更に、上記の第9の実施の形態及び第10の実施の形態では、第1の凸部及び第2の凸部が直線状に延びるとされていたが、これらは曲線状に延びるものであってもよい。
【0152】
更に、上記の第10の実施の形態では、第1の突出体及び第2の突出体が第1の凸部及び第2の凸部の側壁の両側に形成されていたが、一方の側壁のみに形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0153】
1…係合部
3…レンジパネル
5…第1の金属箔成形体
6…第2の金属箔成形体
8…第1の凹み
9…第2の凹み
10…平坦部
23…トッププレート覆い
27…円形の第1の凹み
28…円形の第2の凹み
29…円形係合部
30…楕円形の第2の凹み
52…レンジフィルター
54…第1の端縁
55…第2の端縁
56…第1の凸部
57…第2の凸部
58…第1の突出部
59…第2の突出部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス成形された少なくとも2枚の金属箔成形体よりなる金属箔構造体であって、
所定部分に第1の凹みが形成された第1の金属箔成形体と、
前記第1の凹みの内面に、抜け止め状態にその外面が嵌合する第2の凹みが形成された第2の金属箔成形体とを備えた、金属箔構造体。
【請求項2】
前記第1の凹みの周囲は平坦面を有し、
前記平坦面における前記第1の凹みの上端での開口面積より、前記第1の凹みの内部形状の前記平坦面に対する投影面積の方が大きい、請求項1記載の金属箔構造体。
【請求項3】
前記第2の凹みの形状は、前記第1の凹みの形状にほぼ相似する、請求項2記載の金属箔構造体。
【請求項4】
前記第1の凹みの前記平坦面での形状及び前記内部形状における前記平坦面に平行な断面は、円形状を有する、請求項3記載の金属箔構造体。
【請求項5】
前記第1の凹みの内面には、深さ方向に延びる第1の襞が周方向に対して等間隔で平行に複数形成され、
前記第2の凹みの外面には、深さ方向に延びると共に前記第1の襞の各々に対して係合する第2の襞が周方向に対して平行に複数形成される、請求項4記載の金属箔構造体。
【請求項6】
前記第1の凹みの前記平坦面での形状及び前記内部形状における前記平坦面に平行な断面は、菱形形状又は楕円形状を有する、請求項3記載の金属箔構造体。
【請求項7】
前記第1の凹みの前記平坦面での形状及び前記内部形状における前記平坦面に平行な断面は、正多角形形状を有する、請求項3記載の金属箔構造体。
【請求項8】
前記第1の凹みの前記平坦面での形状及び前記内部形状における前記平坦面に平行な断面は、長穴形状を有し、
前記第2の凹みの上端での形状は、前記長穴形状の幅に相当する長さを直径とする円形状を有し、前記第2の凹みの外面の形状は、その一部が前記第1の凹みの前記幅の方向における内面に接する形状を有する、請求項2記載の金属箔構造体。
【請求項9】
前記第1の凹みの前記平坦面での形状は、外周の一部が突出した円形状を有し、
前記第2の凹みの形状は、上端側の形状が前記円形状の直径に相当する直径を有する円筒形状を有し、下端側の形状が前記突出した円形状に投影面積がほぼ一致する筒形状を有し、
前記第2の凹みは、前記第1の凹みの開口形状に合わせて前記下端側の形状を沿わせて挿入させた後、深さ方向を軸として回転させることによって前記第1の凹みに対して抜け止め状態に嵌合する、請求項2記載の金属箔構造体。
【請求項10】
前記第1の凹みの前記平坦面での形状は、円形状を有し、前記内部形状は第1の球冠形状を有し、
前記第2の凹みの形状は、上端側の形状が前記第1の凹みの前記平坦面での直径より相当小さな円筒形状を有し、下端側の形状が前記第1の球冠形状の直径にほぼ等しい第2の球冠形状を有する、請求項2記載の金属箔構造体。
【請求項11】
前記第1の凹みの内面は、深さ方向に向かってらせん状に進行する凹凸が形成され、
前記第2の凹みは前記第1の凹みに密着状態に形成される、請求項3記載の金属箔構造体。
【請求項12】
プレス成形された少なくとも2枚の金属箔成形体よりなる金属箔構造体であって、
第1の端縁から内方に向かって延びる断面逆U字状の第1の凸部を有する第1の金属箔成形体と、
第2の端縁から内方に向かって延びる前記断面逆U字状に相似する断面形状を有し、前記第1の凸部に少なくともその一部が重なるように嵌合する第2の凸部を有する第2の金属箔成形体とを備え、
前記第1の凸部と前記第2の凸部とは、重なる方向に対して抜け止め状態に係合すると共に、延びる方向に対してスライド自在に係合する、金属箔構造体。
【請求項13】
前記第1の凸部の前記延びる方向における一対の第1の側壁の少なくとも一方には等間隔に第1の突出部が形成され、
前記第2の凸部の前記延びる方向における一対の第2の側壁には前記第1の突出部に係合する第2の突出部が前記等間隔と同一の間隔で形成される、請求項12記載の金属箔構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2013−15316(P2013−15316A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−207724(P2012−207724)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【分割の表示】特願2007−328179(P2007−328179)の分割
【原出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000222141)東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (106)