説明

金属表面に抗腐食層を生成する剤

金属表面に抗腐食層を形成するための剤が、次なる工程:A) 少なくとも次なるもの:
a) MnO3+, VO3+, VO2+, WO22+, MoO22+, TiO2+, ZrO2+ 及びそれらの混合物から選択されたオキソカチオン、及び、b)式 MXab- のハロゲンコンプレックスアニオン〔式中、 M は、B, Ti, Zr, Si, Alから選択されたもので、 X はF, Cl, Br, Iから選択されたもので、 a は3〜6の整数であり、b は1〜4の整数である〕を含有する水溶液を製造する工程、及び、B) 該溶液を物理的に処理及び/又は化学的に処理することによりインサイチュで当該溶液中で<500 nmの平均粒子径を有するナノ粒子を形成する工程〔上記中、その物理的に処理及び/又は化学的に処理するとは、温度を変化させること、イオン濃度を変化させること、pHの値を変化させること、圧力を変化させること、溶液を過飽和せしめること、溶液を攪拌すること、酸化剤を添加すること及び/又は還元剤を添加することから選択されたものである〕で製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属表面に抗腐食層を生成する剤、当該剤の製造方法、及びその用途に関する。
【0002】
本発明の抗腐食層生成剤は、例えば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、又は、それらの合金などの純金属の基材の表面、あるいは、亜鉛、又は、その合金の電気メッキで形成された表面などの金属表面に、腐食に対して抵抗性のある転化層又は不動態化層を形成するように作用するものである。
【背景技術】
【0003】
腐食から保護するために、金属の部品は、例えば、亜鉛、ニッケル、クロム、アルミニウム、マグネシウム、それらの合金などのベース金属でもって、例えば、電気メッキ被覆せしめられ、そして、その金属被覆物(コーティング)の腐食に対する抵抗性は、さらに、転化層を形成すること、しばしば不動態化層を形成することによって改善せしめられる。不動態化層を形成するため、その金属表面は、多くの場合、クロム (VI)を含有する溶液で処理せしめられる。しかしながら、クロム(VI)化合物は高い毒性と発がん性があることから、最近では、製造業者はクロム(VI)を含有する溶液でもってそうした転化層を製造することから転換を図ってきている。多くの場合、多量のコバルト(II)化合物が、こうしたクロム(III)を含有する処理液に添加されて、製造される転化層の抗腐食作用を高めるようにされている。しかしながら、そうした処理溶液は、また、クロム (III)と、さらに、コバルト(II)の両方が、それらが毒性を有するという点で完全に安全なものでなく、そして、分析上の問題から、転化層がクロム(VI)不含であることを保障することができないという問題を示すものであるということに留意されよう。それ故に、完全にクロムやコバルトを含有していない抗腐食層を製造することが緊急的に必要とされている。
【0004】
最近のプロセスでは、有機ベース又はシリコン有機ベースに基づいたバインダーシステムを有する防護層を製造しており、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、及び、その他の金属に基づいた腐食を阻止する添加物又は層を強化する添加物がそれに加えられる。
【0005】
特許文献1は、亜鉛又は亜鉛合金の表面の腐食に対する抵抗性を高めるためにクロム不含の組成物を開示しており、そこでは、当該組成物はチタンイオン源又はチタネート類、酸化剤、そして、フッ化物並びにII族の金属の化合物を含有し、その組成物は実質的にシリケート類や二酸化ケイ素を含有していない。特に、II族の金属としてストロンチウムが使用されている。
【0006】
特許文献2は、酸化剤、シリケート及び/又は二酸化ケイ素、そして、Ti, Zr, Ce, Sr, V, W, 及び, Moから選択される金属カチオン、それらのオキシ金属アニオン、及び/又は、それらのフルオロ金属アニオンを含有する抗腐食組成物を開示している。
【0007】
これまでのところ知られているクロムを含有していない抗腐食剤は、それらが当該腐食層に関して適切な抗腐食性能を与えていないとか、あるいは、連続したプロセスで使用されるには十分に安定なものでないとか、あるいはその両方といった問題点をかかえている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6 524 403号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 760 401号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、金属表面に、特には亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、又は、それらの合金の表面に、抗腐食層又は転化層を形成するための技術において知られている形成剤であって、クロムやコバルトを含有しない形成剤の問題点を克服するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、次なる工程:
A) 少なくとも次なるもの:
a) MnO3+, VO3+, VO2+, WO22+, MoO22+, TiO2+, ZrO2+ 及びそれらの混合物から選択されたオキソカチオン、及び
b)式 MXab- のハロゲンコンプレックスアニオン〔式中、 M は、B, Ti, Zr, Si, Alから選択されたもので、 X はF, Cl, Br, Iから選択されたもので、 a は3〜6の整数であり、b は1〜4の整数である〕
を含有する水溶液を製造する工程、及び
B) 該溶液を物理的に処理及び/又は化学的に処理することによりインサイチュで当該溶液中で<500 nmの平均粒子径を有するナノ粒子を形成する工程〔上記中、その物理的に処理及び/又は化学的に処理するとは、温度を変化させること、イオン濃度を変化させること、pHの値を変化させること、圧力を変化させること、溶液を過飽和せしめること、溶液を攪拌すること、酸化剤を添加すること及び/又は還元剤を添加することから選択されたものである〕
で製造されるものであることを特徴とする金属表面に抗腐食層を形成するための剤により達成される。
【0011】
本発明の当該剤は、インサイチュ(in situ)で製造され且つ安定であるかあるいは少なくとも準安定なものであるナノ粒子を含有しているという点でとりわけ異なるものである。本発明の当該剤でもって金属表面を処理すると、転化層又は不動態化層が形成される。該処理溶液中でインサイチュで生成されるナノ粒子を、それの生成されるところの転化層中に取り込むこととなり、それにより該処理された金属表面に対して特に高いレベルでの抗腐食作用を提供する。本発明の当該剤においては、こうしたナノ粒子は出発溶液中に含まれる物質を加水分解又は酸化することによりインサイチュで生成される。当該ナノ粒子は、外部からその溶液中に、既に存在しているナノ微粒子状の粒子の形態で、加えられるものではない。本発明に従ってインサイチュで生成されたナノ粒子は、良好に、転化層に取り込まれ、それによりこうした層は、外部からナノ粒子が添加されている、例えば、シリカ溶液あるいはシリケート溶液の形態で添加されている抗腐食溶液を適用することにより生成されるといったものより、より密度が高いものとなり、かくしてより腐食に抵抗性のものとなるということが、驚くべきことに見出された。
【0012】
本発明の該剤の中のナノ粒子は、出発溶液を物理的に処理する及び/又は化学的に処理することによりインサイチュで生成され、それによりコロイド状の溶液を生成せしめるものである。当該ナノ粒子が生成していることは、チンダルランプを使用することによって容易に検出することができる。当該ナノ粒子は<500 nmの平均粒子径のものである。本発明の好ましい具体例では、工程 B) で生成されたナノ粒子は、<250 nmの平均粒子径のもの、好ましくは<200 nmの平均粒子径のもの、特に好ましくは<150 nmの平均粒子径のものである。
【0013】
該ナノ粒子は、該ハロゲンコンプレックスアニオン及び/又はオキソカチオンから加水分解あるいは酸化により生成せしめられる。該ナノ粒子は、かくして、実質的に金属又は半金属(メタロイド)の酸化物を含有している。
【0014】
本件出願人は理論に拘束されるものではないが、物理的及び/又は化学的処理によりインサイチュでナノ粒子を生成せしめることは、ある種の処理法によりなされるもので、その処理により、出発溶液の当初の平衡状態が平衡でない状態に変えられ、そして、当該系が準安定状態で安定化せしめられることになると推定される。平衡状態から平衡でない状態に変えることは、温度を変化させたり、濃度を変化させたり、pH値を変化させたり、圧力を変化させたり、溶液を過飽和にせしめたり、溶液を攪拌せしめたり、酸化剤を添加せしめたり及び/又は還元剤を添加せしめることによりなされることができる。本発明の好ましい具体例では、インサイチュでナノ粒子を生成せしめることは、溶液を過飽和にせしめたり及び/又は溶液を攪拌することによりなされる。
【0015】
本発明の当該剤は、市販用製品として、金属表面を処理する前に、様々な形態並びに生成状態として調製されることができる。好ましくは、本発明の当該剤は、使用の前に希釈される濃縮物の形態で提供される。本発明の当該剤は、オキソカチオン及びハロゲンコンプレックスアニオンを含有する水溶液を工程 A) に従って生成せしめ、そして、ナノ粒子が工程 B) に従ってインサイチュで形成されると、市販用の製品として適するものとなっている。
【0016】
本発明の好ましい具体例では、さらなる工程C)において、工程 B)に従って生成された溶液に、過酸化水素、有機過酸化物、アルカリ金属過酸化物、過硫酸塩、過ホウ酸塩、硝酸塩、及び、それらの混合物から選択された酸化作用物質を添加する。そこにおいて、酸化作用物質としては過酸化水素が特に好適である。酸化作用物質を添加することは、抗腐食層を製造するため本発明の当該剤を使用する前に望ましくは行われる。そこでは、本発明の当該剤がそこに含まれる酸化作用物質とともに提供されるか、あるいは、酸化作用物質は、抗腐食層を製造する者の所での本発明の当該剤の使用の寸前に添加せしめられる。
【0017】
抗腐食層を製造するため本発明の当該剤を使用する前にその酸化作用物質を添加すると、その金属からなる表面、特には亜鉛又は亜鉛合金の表面がとりわけ予め不動態化せしめられ、そしてそのことは処理溶液が金属からなる表面に対して非常に攻撃的で且つ少なくとも部分的にそれを溶解しうることから利点がある。
【0018】
本発明の当該剤の好ましい具体例では、さらなる工程D)において、pH値が酸又は塩基により0.5〜5.0の範囲の値、好ましくは1.0〜3.0の範囲の値、特に好ましくは1.3〜2.0の範囲の値に調節される。そうすることは本発明の当該剤を亜鉛又は亜鉛合金の表面に抗腐食層を製造するために使用されるなら特に利点がある。本発明に従えば好ましいものである酸性のpH値に調節すると、金属からなる基材を適度に取り除くことがなされ、その金属表面はそれに付着されている不純物が実質的に完全にない状態とされ、次に当該抗腐食層がその表面の全体にわたって完全にそして何らのギャップもなしに形成せしめられることができる。
【0019】
本発明のさらなる好ましい具体例では、本発明の当該剤は、ある種の処理法で製造され、その処理により、工程 B) に従ってナノ粒子を生成せしめることが、常温〜100℃の範囲の温度、好ましくは30℃〜 80℃の範囲の温度、特に好ましくは35℃〜50℃の範囲の温度でなされる。極端に低い温度では、ナノ粒子の生成は、経済的ではない遅い速度でなされる。加えて、当該粒子が一緒に結合してしまい、ナノ粒子としての特性を消失していまう危険がある。温度が高すぎると、準安定状態に到達せず、いかなるナノ粒子も生成しないという問題となる。
【0020】
本発明のさらなる好ましい具体例では、当該剤は、ある種の処理法で製造され、その処理により、工程Aの水溶液のハロゲンコンプレックスアニオンb)が、それらの金属塩の形態で、好ましくはそれらのアルカリ金属塩の形態で、特に好ましくはそれらのナトリウム塩又はカリウム塩の形態で添加せしめられる。ある種の処理法を使用してその固体を添加することが、特に好ましく、その処理により、まず、オキソカチオンa)の水溶液が提供せしめられ、ハロゲンコンプレックスアニオンを含有している固体が添加せしめられ、そして溶解せしめられる。
【0021】
本発明に従っての特に好ましい例では、該ハロゲンコンプレックスアニオンb)は、BF41-, TiF62-, ZrF62-, SiF62-, AlF63- 及び、それらの混合物から選択されたフルオロアニオンである。
【0022】
本発明に従ってのさらに好ましい具体例では、工程 A) の水溶液に、さらに、金属塩、好ましくは金属 B, Ti, Zr, Si 及び/又は Al の塩を添加する。好ましくは当該金属は、金属ハロゲン化物、金属硝酸塩、及び/又は、金属硫酸塩の形態のものが添加される。そうすると、保護作用を示す層の色の形状が修飾される、及び/又は、腐食に対して保護する作用が高められることになる。
【0023】
本発明のさらに好ましい具体例では、工程 A) で製造された水溶液が、0.1重量%〜0.5重量%の間の濃度、好ましくは0.1重量%〜0.3重量%の間の濃度で該オキソカチオンを含有している。
【0024】
本発明のさらに好ましい具体例では、工程 A) で製造された水溶液が、0.1重量%〜3.0重量%の間の濃度、好ましくは0.5重量%〜2.0重量%の間の濃度で該ハロゲンコンプレックスアニオンを含有している。
【0025】
上記で既に記述したように、本発明の当該剤は使用する前に希釈される濃縮形態で提供されることができる。あるいは、本発明の当該剤は使用するに適した希釈物あるいは濃縮物として提供されているものであることができる。その場合、望ましくは、工程C)において酸化作用物質を添加する前に、あるいは、その後に、前記工程 B) で得られた溶液を、1:3〜1:5の間の比率でもって水で希釈せしめる。
【0026】
抗腐食層を製造するために本発明の当該剤を使用するのは、金属表面を該剤で直接処理すること、好ましくは金属表面を有する物品を当該剤に浸漬することによるか、あるいは、当該剤の中にそうした物品を回転させて入れることによりなされる。浸漬すること又は回転させて入れることによる使用は、好ましくは、20〜100℃の範囲、好ましくは30〜70℃の範囲、より好ましくは40〜60℃の範囲の処理浴の温度、そして、特に好ましくは約50℃でなされる。
【0027】
金属表面を処理浴の中に浸漬せしめたりあるいは回転させて入れたり、あるいは、処理浴の中でそうすることにより、抗腐食層を製造するための最も適切な処理時間は、例えば、処理溶液の組成、処理温度、金属表面の性状、腐食に対する所望される抵抗性の程度などの各種様々なパラメーターに応じて変えられる。亜鉛又は亜鉛合金の表面の場合には、適切な処理時間は、10〜120秒の範囲、好ましくは20〜60秒の範囲である。
【0028】
さらに、本発明の優れた点、特徴及び具体的な態様は、以下の実施例を参照することにより明白となるであろう。
【実施例】
【0029】
〔実施例並びに比較例〕
本発明の剤並びに比較の組成物を製造するために、オキソアニオンa)の水溶液を製造する。次に、少し攪拌しながら、ハロゲンコンプレックスアニオンの成分b)、本例ではフルオロアニオンの成分を、固体状態で、上記で製造した溶液800mLに溶解せしめる。次に、当該溶液を、激しく攪拌(プロペラーアジテーター、700rpm〜1000rpmの間)することにより物理的に処理せしめること及び/又は化学的に処理せしめることを行う。チンダルランプでもってナノ粒子が形成するのをチェックする。次に、得られた溶液を水でもって1Lにする。
【0030】
抗腐食層を形成せしめるのに使用する前に、上記で製造された溶液を水でもって1:4の比率で希釈せしめる(1Lの該溶液+3Lの水)。次に1リットルの10% H2O2溶液を添加し、NaOH又はHNO3でそのpHの値を1.5〜1.8の間の値に調整する。以下の表1に示すように、物理的処理及び/又は化学的処理を施し、そして製造された溶液(バッチあたり5Lの溶液)のそれぞれの成分を取得した。
【0031】
【表1】

【0032】
溶液処理として攪拌処理を行わないと(溶液1b〜11b)、何らのチンダル効果も観察されず、故に、何らナノ粒子形成がなされなかったことが、表1で示されている。攪拌処理を行った場合も、それをしなかった場合も、フルオロアニオン成分をその遊離酸の形態で使用したなら(溶液2a, 2b, 4a, 4b, 7a, 7b, 9a, 9b, 11a 及び 11b)、同じ結果となった。
【0033】
電気亜鉛メッキ鋼板を、50℃で60秒間溶液に浸漬することにより、表1に具体的に示された上記で製造された処理溶液でもって処理した。次に当該板を、水でリンス処理し、DIN 50021 SS (塩スプレーテスト)に従って、ドラムウエアー並びにi)最初の腐食現象及びii)5%の白色のサビが生じて、比較が可能となるまでの期間に関して、腐食テストにかけた。その結果を表2に示す。
【0034】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次なる工程:
A) 少なくとも次なるもの:
a) MnO3+, VO3+, VO2+, WO22+, MoO22+, TiO2+, ZrO2+ 及びそれらの混合物から選択されたオキソカチオン、及び
b)式 MXab- のハロゲンコンプレックスアニオン〔式中、 M は、B, Ti, Zr, Si, Alから選択されたもので、 X はF, Cl, Br, Iから選択されたもので、 a は3〜6の整数であり、b は1〜4の整数である〕
を含有する水溶液を製造する工程、及び
B) 該溶液を物理的に処理及び/又は化学的に処理することによりインサイチュで当該溶液中で<500 nmの平均粒子径を有するナノ粒子を形成する工程〔上記中、その物理的に処理及び/又は化学的に処理するとは、温度を変化させること、イオン濃度を変化させること、pHの値を変化させること、圧力を変化させること、溶液を過飽和せしめること、溶液を攪拌すること、酸化剤を添加すること及び/又は還元剤を添加することから選択されたものである〕
で製造されるものであることを特徴とする金属表面に抗腐食層を形成するための剤。
【請求項2】
前記工程 B) に従って生成された溶液に、過酸化水素、有機過酸化物、アルカリ金属過酸化物、過硫酸塩、過ホウ酸塩、硝酸塩、及び、それらの混合物から選択された酸化作用物質を添加する追加の工程C)を有していることを特徴とする請求項1に記載の剤。
【請求項3】
前記工程 C) に従って製造された溶液のpHを、酸又は塩基により0.5〜5.0の範囲の値、好ましくは1.0〜3.0の範囲の値に、特に好ましくは1.3〜2.0の範囲の値に調整する追加の工程D)を有していることを特徴とする請求項2に記載の剤。
【請求項4】
前記工程 B) に従ってナノ粒子を形成することが、ハロゲンコンプレックスアニオンb)に関してその溶液を過飽和せしめること及び/又はその溶液を攪拌することによりなされるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の剤。
【請求項5】
前記工程 B) に従ってナノ粒子を形成することが、常温〜100℃の間の範囲の温度、好ましくは30℃〜80℃の間の範囲の温度、特に好ましくは35℃〜50℃の間の範囲の温度でなされるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の剤。
【請求項6】
前記工程 A) の水溶液中のハロゲンコンプレックスアニオンb)が、それらの金属塩の形態で、好ましくはそれらのアルカリ金属塩の形態で、特に好ましくはそれらのナトリウム塩又はカリウム塩の形態で添加されるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の剤。
【請求項7】
前記工程 A) の水溶液に、さらに金属塩、好ましくは金属 B, Ti, Zr, Si 及び/又は Al の塩であり、且つ、好ましくは金属ハロゲン化物、金属硝酸塩及び/又は金属硫酸塩の形態のものを添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の剤。
【請求項8】
前記工程 A) で製造された水溶液が、0.1重量%〜0.5重量%の間の濃度、好ましくは0.1重量%〜0.3重量%の間の濃度で該オキソカチオンを含有しているものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一に記載の剤。
【請求項9】
前記工程 A) で製造された水溶液が、0.1重量%〜3.0重量%の間の濃度、好ましくは0.5重量%〜2.0重量%の間の濃度で該ハロゲンコンプレックスアニオンを含有しているものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一に記載の剤。
【請求項10】
前記工程C)において酸化作用物質を添加する前に、前記工程 B) で得られた溶液を、1:3〜1:5の間の比率でもって水で希釈せしめることを特徴とする請求項2〜9のいずれか一に記載の剤。
【請求項11】
前記ハロゲンコンプレックスアニオンb)を、BF41-, TiF62-, ZrF62-, SiF62-, AlF63- 及びそれらの混合物から選択することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一に記載の剤。
【請求項12】
前記工程 B) において形成されたナノ粒子が、<250 nmの平均粒子直径のもの、好ましくは<200 nmの平均粒子直径のもの、特に好ましくは<150 nmの平均粒子直径のものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一に記載の剤。

【公表番号】特表2010−532816(P2010−532816A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500230(P2010−500230)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053346
【国際公開番号】WO2008/119675
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(501084813)アトテッヒ・ドイッチュランド・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】