説明

金属被覆セラミック化粧品アプリケータ

金属シースで覆われているセラミック材料から形成されている化粧品アプリケータ。先端部は、クリーム、ローション、トリートメント製品等の塗布時に製品冷却効果をもたらすように設計されている。アプリケータには、化粧品用量と塗布領域との組合せより大きな熱容量を有するように、比較的相当な量のセラミック材料が設けられている。アプリケータは、金属でシージング、被覆、又はめっきされている成形セラミックアプリケータヘッド又はアプリケータ先端部の形である。先端部は、クリーム、ローション、トリートメント製品等の塗布時に、化粧品用量及び塗布領域内のユーザの皮膚の両方に、比較的より大きな製品冷却効果をもたらす。アプリケータは、送達されている製品の温度が皮膚の温度より低いように、アプリケータヘッド又は先端部の熱吸収能により皮膚の温度を下げる手段を提供するように、アプリケータ先端部を構成するセラミック材料中の特定の化合物により処方物が活性化又は強化される可能性がある媒体を供給するように、クリーム、ローション、トリートメント製品等を送達する塗布装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年6月4日に出願された、米国特許仮出願第61/184,246号による優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、アプリケータを含む化粧品パッケージングの分野に関する。より詳細には、本発明は、金属のセラミック材料クラッドから形成されている化粧品アプリケータである。先端部は、クリーム、ローション、トリートメント製品等の塗布時に、製品冷却効果をもたらすように設計されている。
【背景技術】
【0003】
化粧品ユーザの便宜のために、化粧品パッケージングは、パッケージ貯蔵器内に含まれる特定の化粧品を供給するのに適した化粧品アプリケータを含むことが多い。広口瓶又は小瓶の場合、アプリケータは、一方の端部に柄と、特定のクリーム、ローション、ファンデーション若しくはカラー化粧品を塗布するのに適したブラシ、へら又は他のアプリケータ構造の形のアプリケータヘッドとを備えた、棒状アプリケータ(wand)であってもよい。化粧品容器がボトル又はチューブである場合、アプリケータは、ボトル又はチューブのネック部に直接固定されているアプリケータ先端部の形であってもよく、容器から化粧品製品を放出するか又は滲み出させる単数又は複数の開口部即ち単数又は複数の導管が、付加的に設けられていてもよい。アプリケータヘッド又はアプリケータ先端部は、塗布される製品を塗布し広げるのに使用され、更にユーザの皮膚の塗布領域をマッサージするのに役立つ可能性がある。種々の形状及び形態を有するアプリケータヘッド又はアプリケータ先端部が既知であり、それらの複数には、加熱する手段が設けられている。アプリケータヘッド又はアプリケータ先端部を加熱することにより、例えば毛穴を広げることにより、トリートメント及び効能を促進すると言われている。
【0004】
熱と組み合わせて使用されるアプリケータが、例えばフィリップスに対する米国特許第2,298,157号、又はゲレ(Gueret)に対する米国特許出願公開第2007/0206986号などの特許において開示されている。
【0005】
また、ある皮膚状態を冷却することにより、有益な効果を得ることができると考えられる。例えば、目の下の皮膚領域を冷却することにより、腫れが抑制されることが分かっている。過去には、そのような冷却は、例えば冷やした胡瓜のスライス、予め冷やしたクリーム若しくはローション、又は冷やした洗面タオル若しくはクレンジングパッドを用いて実現されてきた。
【0006】
ガラス成分又は金属成分を含むアプリケータヘッド又はアプリケータ先端部を備えた先行技術のパッケージが、パッケージにいくらかの冷却効果をもたらすために使用されてきたが、その有効性は、その成分の比較的小さい熱質量及び他の制約により、一般に制限されてきた。例えばガラスは、落とされると粉々になる可能性がある。いくつかの種類の金属は酸化し、それにより、化粧品製品の変色が起こる可能性がある。銀又は金などの他のより適切な金属は、いかに大量であっても、大部分の化粧品アプリケータに使用するには高価過ぎる。固体の金属及びガラスのいずれも、複雑な形状、構造細部及び表面細部の費用効果的な製造に対する課題を提示する。
【0007】
また、同等の設計(金属、ガラス等)の最新の出願において冷却効果をもたらすために以前に使用された材料は、製品送達ための小さい孔又は通路などの十分に微細な細部を有して成形することが困難又は不可能である。ガラス材料又は金属材料は、製品送達孔又は製品送達通路若しくは製品送達導管などの微細な細部を形成する二次工程を必要とする可能性があり、製造上の制約のせいで、細部は、一般に所望されるものより大きい。孔又は通路に関して、このことにより、例えば、理想的な熱容量特性若しくは熱移動特性又は化粧品製品適合性を有さない可能性がある二次材料(例えば、プラスチック若しくはゴム)を用いて孔又は通路を裏打ちすることが必要になる可能性がある。従って、製品は、例えば最適温度未満で即ち十分に冷却されずに送達される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、先行技術の制限及び欠点のない比較的大きい熱冷却効果をもたらすアプリケータヘッド又はアプリケータ先端部が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、適切な金属でクラッディング(被覆)又はめっきされた、成形若しくは形成されたセラミックアプリケータヘッド又はアプリケータ先端部である。該先端部は、クリーム、ローション、トリートメント製品等の塗布時に、塗布された化粧品用量及び塗布領域内のユーザの皮膚の両方に対して、比較的大きな製品冷却効果をもたらすように設計されている。金属クラッディングは、成形セラミック材料に、滑らかで、不浸透性の、魅力的な表面を提供する。本発明の目的は、送達されている製品の温度が皮膚の温度より低いように、クリーム、ローション、トリートメント製品等を送達する塗布装置を提供することであり、及び、アプリケータヘッド又はアプリケータ先端部の熱吸収能により皮膚の温度を下げる手段を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のアプリケータ先端部の横断面図である。
【図2】図1に示されているアプリケータ先端部の実施形態の斜視図である。
【図3】図1及び図2に示されているアプリケータ先端部の実施形態の立面図である。
【図4】図1〜図3に示されているアプリケータ先端部の実施形態の横断面斜視図である。
【図5】アプリケータ先端部の第二の実施形態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ある量の化粧品製品をユーザの皮膚上の塗布領域に塗布するための本発明の化粧品アプリケータ先端部が、参照番号2で表されて、全般的に図1〜図5に示されている。用語「アプリケータ先端部(アプリケータチップ)」及び「アプリケータヘッド」は、本願を通じて、化粧品製品に関連して使用するために提供されている任意の構造物又は装置であり、製品貯蔵器から引き出されたか若しくは滲み出た且つユーザ身体上の塗布領域に塗布される化粧品製品の装填、供給、移送及び塗布を促進するようになされた且つそれを目的とする表面を含む任意の構造物又は装置を意味するように、同じ意味で用いられている。アプリケータ先端部2は、例えば(図1及び図5に示されている)化粧品製品貯蔵器12を画定しているチューブ容器10のネック部14にしっかり装着されているチューブ端部ディスペンサ16などの、アプリケータ装置上のアプリケータ構造物の形をとってもよい。或いは、アプリケータ先端部は、チューブ又はボトル容器のネック部に固定されているローラボール(図示せず、例えば、回転塗布式のデオドラントアプリケータのような)の形をとってもよい。更に別の代替案として、アプリケータ先端部は、棒状アプリケータ(ワンド:wand)又は柄(図示せず)上のへら、スプレッダ(spreader)、スプーン等の形をとってもよい。
【0012】
アプリケータ先端部2は、熱を伝導することができる化粧品製品P(図1)と共に使用することを目的としている。アプリケータ先端部2は、金属シース52で覆われている(即ち、被覆されている、クラッディングされている、めっきされている等)セラミック材料で作製されている芯50を有する本体6を含む。少なくとも一つのアプリケータ表面8が、本体6上に設けられている。図示の実施形態では、製品送達孔(製品送達オリフィス)20が、アプリケータ表面8に設けられている。本体6内の内部製品送達通路18が、貯蔵器12と孔20との間の流体連通を実現して、製品Pが貯蔵器12から孔20を通ってアプリケータ表面8まで流動又は放出されることを可能にしている。アプリケータ表面8は、貯蔵器12から(破線で概略的に示されている)所定量4の化粧品製品Pを受けるようになされている。アプリケータ先端部2、及び更に詳細にはアプリケータ表面8はまた、例えばユーザの目の下の皮膚の膨れた領域などのユーザの皮膚上の塗布領域に所定量4の化粧品製品Pを塗布するようになされている。所定量4は、事前に選択された、アプリケータ表面8の全領域上に広げられる比較的均一な厚さの製品Pと略等しくすることができる。所定量4の化粧品製品Pは、熱容量(thermal capacity)(熱容量(thermal capacity)は、熱容量(heat capacity)としても既知である)を有する。ユーザの皮膚上の塗布領域もまた、熱容量を有する。本発明上、量4の化粧品の熱容量と塗布領域の熱容量との組合せが、「第一の熱容量」と定義される。
【0013】
本体6は、比較的大きな質量で設けられており、所定量4の化粧品製品Pとユーザの皮膚上の塗布領域との第一の熱容量に対する熱シンク又はヒートシンクとしての機能を果たすのに十分な材料で作製されている。図1の横断面図に示されている通り、本体6の芯50は、アプリケータ表面8の真下に且つ孔20及び通路18の周囲に比較的大量のセラミック材料から形成されている。金属シース52は、先端部2に付加的な質量をもたらす。この比較的大量な金属シース及びセラミック材料及びその材料種は、本体6に、第一熱容量より実質的に大きい第二の熱容量をもたらす。本体6の第二の熱容量は所定量4の化粧品製品とユーザの皮膚上の塗布領域との第一熱容量より大きいため、且つアプリケータ先端部2は一般に周囲大気温度に近い温度になるため、熱の形の熱エネルギーは、所定量4の化粧品製品P又はユーザの皮膚へのアプリケータ先端部2の直接接触のどちらかにより、ユーザの皮膚のより高い温度からアプリケータ先端部へ抜き取られる。換言すれば、本体6の第二の熱容量は、冷却感覚又は効果がユーザの皮膚にもたらされるように、所定量の化粧品製品4及びユーザの皮膚上の塗布領域の第一の熱容量から熱の形で、熱エネルギーを抜き取る。この冷却感覚又は効果は、例えば目の下の皮膚領域に関連する腫れを抑制すると考えられる。冷却効果を更に高め且つアプリケータ先端部2の熱抜取り能力を高めるために、使用の前に、例えばパッケージを冷蔵すること又はアプリケータ先端部2を冷水若しくは他の液体中に浸すことにより、アプリケータ先端部2を冷却することができる。
【0014】
化粧品アプリケータ先端部2には、棒状アプリケータ(図示せず)又はパッケージに本体を取り付ける手段が設けられていてもよい。例えば、図1では、図示のパッケージは、ネック部12を備えたチューブ容器10である。ネック部12は、アプリケータ先端部2を覆って閉鎖キャップ(図示せず)を取り付けるための外ねじ22を含む。先端部2は、上部環状ショルダ28と下部環状ショルダ30との間に画定されている直径減少部26が下にある上部24を有する。チューブ容器10のネック部14の直径減少部32が、上部環状ショルダ28と下部環状ショルダ30との間にある、先端部2の直径減少部26内に受容されている。例えばねじ式取付け、差込み取付け、ロッドインボア式、接着剤接着、溶接、のり接着、締まり嵌め、又は摩擦嵌め等の、棒状アプリケータ又はパッケージに本体を取り付けるための他の手段が提供されてもよい。
【0015】
所定量の化粧品製品とユーザの皮膚の塗布領域との第一の熱容量対アプリケータ先端部の第二の熱容量の比は、少なくとも1:2の範囲内であるが、例えば1:5又は1:10又は1:20又はそれ以上などのより高い比が好ましい。比が高ければ高いほど、冷却効果がより急速に感じられ且つその効果がより長い時間ユーザによって感じられることになる。
【0016】
アプリケータ先端部2の芯52が、セラミック材料から作製されている。セラミック材料は、高温焼成セラミック法、例えば焼結、により作製されていることが好ましい。部品は、例えば射出成形(例えば、コロイド状スラリ)、熱成形、乾式圧縮成形、ゲルキャスティング、熱間等静水圧圧縮成形、スリップキャステング又は他の既知の成形方法により形成されている。或いは、部品は、ジガリング(jiggering)又はジョリイング(jolleying)により作製されていてもよい。セラミック材料は、アルミニウムを含むことが好ましい。更に詳細には、セラミック材料の少なくとも一つの成分が、酸化アルミニウム若しくは窒化アルミニウム又はそれらの組合せから選択される。或いは、アプリケータ先端部2の芯50が、少なくとも部分的に炭化ケイ素から作製されていてもよい。
【0017】
セラミック材料は、本体6に対して0.1%質量から99.9質量%まで含有していることが好ましい。より好ましくは、セラミック材料は、本体に対して94質量%から99.9質量%まで含有している。
【0018】
金属シース52は、金属箔、シートメタル、又は芯50の表面上に別途固定、形成、又は堆積された金属を含む。例示目的で、金属シース52は、比較的厚いように示されている。しかし、金属シースは、任意の適切な厚さであってもよい。金属シース52の厚さは、1オングストロームの薄さであることが好ましく、約6mmの厚さであってもよい。金、銀又はチタンなどの比較的高価な金属では、金属の厚さは、コスト低減のために絶対最小限に抑えられる可能性がある。
【0019】
金属シース52に使用するために選択される金属は、化粧品の処方物(formula)及び溶媒と適合性であるべきである。該金属は、特に化粧品に露呈された場合に耐食性で、化粧品に対して不活性であるべきであり、例えば、該金属は、化粧品製品の有効性、外観又は保存可能期間にマイナスの影響を及ぼすべきではない。本発明の金属シース52に使用するのに適切な金属には、イリジウム、銀、金、チタン、マグネシウム、クロム、銅、真鍮、ステンレス鋼及びアルミニウムが含まれる。シース52は、単一の金属、又は金属の組合せ(例えば、層若しくは積層(ラミネート))、又は合金で作製されていてもよい。銀は、化粧品製品の微生物混入の発生を低減する可能性がある抗菌性を有するため、銀は金属シース52に好適な選択である。
【0020】
金属シース52は、めっき、被覆、箔(foil若しくはleaf)、シートメタル又は他の適切な形状の形で芯50に配置される。金属シース52は、例えば蒸着、めっき(例えば、電気めっき若しくは電解析出)、(機械的若しくは科学的)金めっき術又は金属箔塗布、被覆、クラッディング、シージング、金属蒸着、はんだ付け、スウェッティング等の、周知の金属製造手段或いは方法により配置される。金属シースは、機械的に(例えば、スタンピング、加圧成形、機械加工、鋳造、冷間成形、接着、リヴェット打ち等により)、化学的に(例えば、電気めっき若しくは電解析出により)、又は物理的に(例えば、被覆成形、溶融成形、はんだ付け、つち打ち若しくは熱成形により)芯に取り付けられて形成されてもよい。金属シース52は、蒸着、電気めっき又は電解析出により配置されることが好ましい。
【0021】
図1及び図4に示されている金属シース52は、一般に、外面、塗布面8、孔20の縁部、及び通路18の内側に向いた表面34を含めて、芯50の実質的に全ての表面を覆う。しかし、芯50の表面の全て又はいくつかは、金属シースが無くてもよい。例えば、図5に示されている通り、通路118の内側に向いた表面134は、金属シースが無くてもよい。この場合、本体6の芯50のセラミック材料はまた、塗布領域に塗布される前に通路18を通って流動する化粧品製品の有効性及び/若しくは有益な効果を向上させる鉱物又は他の成分を含んでいてもよい。鉱物には、トルマリン、ヒスイ、方解石、瑪瑙等が含まれる可能性がある。更に、種々の他の化合物、具体的には自然の且つ/又は人工の成分が、セラミック材料に添加されていてもよい。化合物及び/又は鉱物は、製造工程中に、セラミック材料の構造物の内部に捕捉又は結合される。これらの化合物及び/又は鉱物は、製品の送達中且つ塗布中に、送達されている製品の有効性及び/又はセラミック成分の有益な効果を高める可能性がある。使用中、送達されている処方物は、通路118の内側に向いた表面134と接触して、図5に示されている通路118を通って流動すると考えられる。化合物及び/又は鉱物を含有するセラミック材料は、内側に向いた表面134において晒される(即ちクラッディング、めっき又はシースがされていない)ため、通路を通過する製品は、セラミック材料中の化合物及び/又は鉱物の有益な効果に晒されると考えられる(例えば、セラミック材料中の化合物及び/又は鉱物は、製品が通路118内で露呈されたセラミックに接触する際、製品中に滲み出るか又は徐々に溶け込むと考えられる)。
【0022】
通路18、118の円錐形態は、処方物とアプリケータ及び皮膚とアプリケータの両方の間で同時に最大限の熱交換を行うための最適な接触面を提供することにより、装置の熱質量に対してできる限り冷たく製品を送達する。通路18の円錐形状は、アプリケータ先端部2を通過する際に接触するより大きな表面積を化粧品製品に提供することにより、そのような熱移動を促進する。従って、通路は、1度(degrees)以上の且つ45度(degrees)より大きい、含まれている抜き勾配Aを有する、製品が通過して送達される内側に向いた表面34、134を有し、その抜き勾配は、熱吸収(thermal absorption (heat absorption))の最適なバランス、製品の流動、及び製造要件を実現すると考えられる。
【0023】
本発明は、いくつかの方法において独特である。
【0024】
第一に、金属シースは、芯のセラミック材料に、滑らかで、不浸透性の、魅力的な表面を提供する。金属シースは、研磨仕上げ、バニッシング仕上げなどで磨かれて(polished or burnished)、パッケージに豪華な外観及び雰囲気を与えることができる。セラミック芯が、金属、ガラス等で製造されている、同様の目的で設計されたアプリケータでは利用不可能な種々の構成要素表面の選択肢、構成要素材料の選択肢、及び構成要素形状の選択肢を提供する製造技術を利用して作製されるため、比較的低コストで、種々のきめ細かい形状及び形態を製造することができる。配置される金属シースにより、これらの部品は、より安価なセラミック芯構造ではなく、より高価な固体金属構造であるように見えることになる。シースに適切な金属、例えば銀又は金、が選択された場合、本発明に基づいて作製されたアプリケータ先端部は、いくつかの金属に共通な酸化又は腐食の問題が無く、ガラスで製造された同等の部品に比べて、本質的により耐衝撃性を有する。
【0025】
セラミック材料の成分及び構造を細心に選択することにより、送達されている任意の所与の処方物に最適な熱係数及び熱吸収プロファイルを有する熱容量をもたらすように、セラミック材料を具体的に設計することができ、それにより、特定の処方物又はトリートメント処方計画に適合する処方物の性能を高めることができる。このことは、同様の目的に使用される同等の金属構成要素又はガラス構成要素では達成することができない。
【0026】
しかし、金属シースを有するセラミック芯に関して、本発明に基づいて同じ構成要素を作製することにより、孔及び/又は通路は、全直径がセラミックの熱容量に接触している微細な直径の孔及び/又は通路を提供する二次工程無しで所望されるものと同じくらい直径を小さく作製することができ、それにより、冷却効果を高め、且つ容器内に貯蔵されている製品より冷たい可能性がある製品を送達することができる。
【0027】
化学の視点からの本発明の利点は、それが、特定の製品送達の必要性又は製品の化学要件に対して、アプリケータの成分特性及び熱容量特性を修正する手段を提供することができる点にある。金属及びガラスで構成されている同等のアプリケータは、このような方法で操作することができず、その後、それらが送達する処方物は、より望ましいその逆の代わりに、アプリケータ先端部の特性に基づいて設計されなければならない。
【0028】
物理的視点及び製造上の視点からの本発明の利点は、セラミック部分を形成するのに利用可能な技術が、同等の固体の金属構成要素及びガラス構成要素では利用不可能な、又は同じ効果を実現するためにかなりの且つ複雑な二次工程を必要とする、形状、表面の質感及び構成要素の細部を作り出す手段を提供することである。セラミック芯を覆う金属シースは、かなりの低コストで固体金属先端部の利点をもたらす。金属シースは、セラミック芯に、滑らかで、不浸透性の、魅力的な表面を提供する。
【0029】
本技術は、クリーム、ローション、皮膚トリートメント製品、ヘアトリートメント製品、カラー化粧品等を送達するためのアプリケータ及び塗布システム構成要素を製造するのに使用することができる。本技術はまた、クリーム、ローション、皮膚トリートメント製品、カラー化粧品等が塗布されたら、それらを操作し、調整するための道具及び装置を製造するのに使用することができる。
【0030】
アプリケータ先端部は、天然の化学物質若しくは鉱物又は人工の化学物質若しくは鉱物の一つ又は組合せを含有する可能性がある、酸化アルミニウム、及び/または窒化アルミニウム、及び/または炭化ケイ素で構成されているセラミック材料芯で構成されている。セラミック芯は、比較的薄い金属シースで覆われている。先端部は、それ自体が送達されている処方物に対して特定の目的に役に立つ形状で設計されていると考えられる(たとえば、目の下用処方物のために設計された目の下展延(flow−through)用アプリケータ又はローラアプリケータ、ヘアトリートメント用処方物のために設計されたヘアトリートメントアプリケータ等が含まれる)。アプリケータの形状はまた、例えばパッケージに対してそれを保持する付加的な構成要素を必要とせずに、適切なパッケージ又は棒状アプリケータ/柄への容易な組立てを可能にするような方法で設計される。このことは、セラミック材料の製造に固有の方法により促進される。そのような細部は、広範な後処理及び仕上げ作業を必要とせずに、一般に同じ目的に使用される他の材料(金属、ガラス等)で製造することが困難又は不可能である。
【0031】
製品が通って流動するアプリケータ先端部の単数若しくは複数の孔及び/又は単数若しくは複数の通路は、様々な寸法の直径及び位置配列で設計することができ、塗布面自体は、送達の有効性及び塗布物の性能を高める種々の質感及び細部を備えて成形することができる。そのような細部は、広範な後処理及び仕上げ作業を必要とせずに、一般に同じ目的に使用される他の材料(固体の金属、ガラス等)で製造することが困難又は不可能である。
【0032】
アプリケータは、高温焼成セラミック材料(窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素等)で、0.1質量%から99.9質量%まで、しかし好ましくは94質量%から99.9質量%までの窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素等の濃度で、作製されると考えられる。
【0033】
種々の部品の特定の形状及び構造における様々な修正及び変更を、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく施すことができることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの皮膚上の塗布領域にある量の化粧品製品を塗布する化粧品アプリケータ先端部であって、
セラミック材料で作製されている芯と、
前記芯の少なくとも一部分を覆っている金属シースと
を含む、化粧品アプリケータ先端部。
【請求項2】
棒状アプリケータ及びパッケージの少なくとも一つに前記先端部を取り付けるための手段を更に含む、請求項1に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項3】
前記セラミック材料の少なくとも一部はアルミニウムを含む、請求項1に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項4】
前記アルミニウムは、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウム又はそれらの組合せから選択される、請求項3に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項5】
前記セラミック材料の少なくとも一部は炭化ケイ素である、請求項1に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項6】
前記シースは、銀、イリジウム、金、チタン、マグネシウム、クロム、アルミニウム、銅、真鍮及びステンレス鋼の少なくとも一つから選択された金属から作製されている、請求項1に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項7】
前記セラミック材料は、前記芯の質量の0.1質量%から99.9質量%まで含有されている、請求項1に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項8】
前記セラミック材料は、前記芯の質量の94質量%から99.9質量%まで含有されている、請求項1に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項9】
前記セラミック材料は、少なくとも一つの鉱物を更に含む、請求項1に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項10】
前記鉱物は、トルマリン、ヒスイ、方解石、及び瑪瑙の少なくとも一つから選択される、請求項9に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項11】
前記芯は、高温焼成セラミック法により作製される、請求項1に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項12】
前記アプリケータ先端部は、化粧品製品貯蔵器を画定している容器に取り付けられるようになされており、前記アプリケータ先端部は、前記アプリケータ表面に少なくとも一つの製品送達孔を更に含み、前記製品送達孔は、前記製品貯蔵器と流体連通しているようになされている、請求項1に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項13】
前記本体の前記送達孔と前記製品貯蔵器との間に製品送達通路を更に含み、前記製品送達通路は、前記製品貯蔵器から前記製品送達孔までの流体連通を実現する、請求項12に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項14】
前記製品送達通路は、製品が通過して送達される内側に向いた表面を有し、前記表面は、1度以上の且つ45度より大きい、含まれている抜き勾配を有する、請求項13に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項15】
前記セラミック材料は、トルマリン、ヒスイ、方解石、及び瑪瑙の少なくとも一つから選択される少なくとも一つの鉱物を更に含み、前記芯の前記セラミック材料の少なくとも一部分は、前記製品送達通路内で露呈されている、請求項13に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項16】
前記先端部は、ローラボールの形である、請求項1に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項17】
ローラボールの形の前記先端部は、容器のネック部に固定されている、請求項16に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項18】
ローラボールの形の前記先端部は、チューブ及びボトルから選択される容器のネック部に固定されている、請求項16に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項19】
前記アプリケータ先端部は、へら、スプレッダ及びスプーンの内の一つの形である、請求項1に記載の化粧品アプリケータ先端部。
【請求項20】
前記アプリケータ先端部は、棒状アプリケータ及び柄の少なくとも一つの上に固定されている、請求項19に記載の化粧品アプリケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−528673(P2012−528673A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513948(P2012−513948)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/031983
【国際公開番号】WO2010/141159
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)