説明

金融取引システム

【課題】金融機関に来店した顧客に金融サービスを提供しつつ、当該来店顧客に不便さを感じさせずに顔画像を登録して管理することができる金融取引システムを提供する。
【解決手段】情報端末は、来店顧客に対して顔画像取得の承諾入力を促す催告をなし、当該承諾入力に応じて撮像領域に存在する当該来店顧客を撮像して画像データを生成する。情報管理装置は、当該情報端末から送信された当該画像データを受信し、これを顧客特定情報に対応付けて顧客情報データベースに登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関において口座番号等の顧客関連情報の管理及び金融サービスの提供を行う金融取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関では優良顧客に対するセールス強化を目的として、顧客が店舗に来店したときにその顧客が誰であるかを早急に判別したいという要望が高まっている。例えば顧客の保有するキャッシュカード等を利用して顧客の識別を行なう事例があるが、将来的には顧客の顔画像を金融機関のシステム内に保有して、その顔画像に基づいて来店顧客を判別したいという要望もある。顔画像を登録する方法としては、例えば特許文献1又は特許文献2に開示されている技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−110148号公報
【特許文献2】特開2002−41770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顔画像を登録するに当たっては、来店した顧客を、例えば、別室に案内して、当該別室に設置された椅子等の撮影位置に着かせ、服装を整える等の金融取引とは別のオペレーションを経てからカメラによる撮影を行って顔画像を取得する方法が採られる。しかしながら、かかる方法の場合、顧客に不便さを感じさせてしまい、顧客満足度の低下や顔画像の登録率の低下に繋がってしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、金融機関に来店した顧客に金融サービスを提供しつつ、当該来店顧客に不便さを感じさせずに顔画像を登録して管理することができる金融取引システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による金融取引システムは、顧客各々を特定する顧客特定情報を含む顧客関連情報を顧客情報データベースにて管理する情報管理装置と、前記情報管理装置との間で通信網を介して通信自在な情報端末と、前記情報端末との間で前記通信網を介して取引情報を送受信して金融取引を実行する取引装置と、を含む金融取引システムであって、前記情報端末は、撮像指令に応じて撮像領域を撮像して画像データを生成する撮像部と、前記撮像領域に存在する来店顧客に対して顔画像取得の承諾入力を促す催告をなす催告部と、前記来店顧客による前記承諾入力と前記取引情報入力とを受け入れる入力部と、前記入力部への承諾入力に応じて前記撮像指令を前記撮像部に対して発する指令部と、前記撮像部によって生成された画像データを前記情報管理装置に通信網を介して送信する送信部と、を含み、前記情報管理装置は、前記通信網を介して前記画像データを受信する受信部と、前記受信部によって受信された画像データを前記取引情報入力に対応する前記顧客特定情報に対応付けて登録する顔画像登録部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明による金融取引システムによれば、金融機関に来店した顧客に金融サービスを提供しつつ、当該来店顧客に不便さを感じさせずに顔画像を登録して管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例である金融取引システムの構成を示すブロック図である。
【図2】専用端末からの顔画像登録処理を示すシーケンス図である。
【図3】窓口端末からの顔画像登録処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
図1には、本発明の実施例である金融取引システム1の構成が示されている。以下、金融取引システム1が金融機関における情報管理に用いられる場合について説明する。
【0011】
総合受付10、専用端末20、及び窓口端末30は、金融機関の店舗に設けられている。顔画像登録装置40、インターネットバンキング装置50(以下、IB装置と称する。また、取引装置とも称する。)、及び情報管理装置60は、金融機関の中央管理室に設けられている。専用端末20と、窓口端末30と、顔画像登録装置40と、IB装置50と、情報管理装置60とは、例えばインターネットなどの通信網70を介して相互に通信可能である。
【0012】
総合受付10は、金融機関の店舗の入口付近に設けられている。総合受付10には、来店顧客80を専用端末20や窓口端末30に案内・誘導するための番号発券機が備えられている。
【0013】
専用端末20は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報端末であり、店舗の待合ロビーに設けられている。来店顧客80は、専用端末20を自由に操作できる。
【0014】
入力部21は、来店顧客80による各種情報の入力を受け入れる。当該情報の入力としては、例えば、ユーザID及びパスワード等のユーザ認証情報の入力(以下、取引情報入力とも称する)、顔画像の取得を了承するか否かの意思表示(以下、顔画像取得可否と称する)の入力が挙げられる。入力部21は、例えば情報端末のキーボードである。なお、
要求部22は、入力部21に入力されたユーザID及びパスワードを用いてIB装置50によるユーザ認証を得て、その認証の結果得られた口座情報を伴う顧客情報要求を情報管理装置60に対して発する。
【0015】
催告部23は、要求部22の当該要求に応じた情報管理装置60から送信された来店顧客情報を受信し、これに含まれている登録可否フラグが「可」を示す場合に、来店顧客80に対して顔画像取得の承諾入力を促す催告をなす。登録可否フラグは、例えば口座開設時にユーザによって予め登録された情報である。来店時に新規に顔画像の取得を了承する可能性がある場合には「可」として登録され、顔画像の取得を全て拒否する場合には「否」として登録される。催告部23は、例えばディスプレイ等の表示部及び/又はスピーカー等の音声出力部であり、例えば「顔画像の取得のためにお客様を撮影してもよろしいでしょうか?」等の催告を来店顧客80に対して行なう。当該催告は、例えば催告文の画像表示及び/又は音声アナウンスによってなされる。
【0016】
指令部24は、当該催告に応じた来店顧客80による入力部21への入力に基づいて顔画像取得の了承の可否を判定する。指令部24は、来店顧客80が顔画像の取得を了承すると判定した場合には、カメラ25に対して来店顧客80の撮像を指令する。
【0017】
カメラ25は、指令部24からの撮像指令に応じて撮像領域に存在する来店顧客80を撮像し、画像データを生成する。
【0018】
送信部26は、カメラ25によって生成された画像データを取得関連情報と共に顔画像登録装置40に送信する。取得関連情報には、例えば、顔画像の取得店舗名、取得機器、取得日時、顧客特定キー、登録画像有無フラグ、顧客同意通知が含まれる。顧客特定キー(顧客特定情報とも称する)は、顧客各々を特定するための情報である。
【0019】
窓口端末30は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報端末であり、店舗の窓口に設けられている。来店顧客80は、窓口の行員との間で金融取引の商談等を行なう。
【0020】
入力部31は、来店顧客80や行員による各種情報の入力を受け入れる。当該情報の入力としては、例えば、伝票情報入力、本人確認情報入力、顔画像取得可否入力(以下、これらを取引情報入力とも称する。)が挙げられる。伝票情報入力は、例えば口座番号等の伝票記載項目の入力である。本人確認情報の入力は、例えば、来店顧客80によるPIN番号(すなわち暗証番号)の入力、来店顧客80による指静脈等の生体情報の入力、行員による来店顧客80の運転免許証等の証明書の番号確認に基づく本人確認入力のうちの少なくとも1つの入力によってなされる。入力部31は、例えば情報端末のキーボードである。また、本人確認情報の入力を生体情報の入力によって行なう場合には、入力部31は、当該生体情報の認識装置でもある。
【0021】
確認部32は、入力部31に入力された口座情報及び本人確認情報を用いて本人確認を行った後、当該口座情報を伴う顧客情報要求を情報管理装置60に対して発する。確認部32は、口座情報と本人確認情報(例えば、暗証番号、生体情報、証明書番号)とが対応付けられたデータベース(図示せず)を保有しており、入力された口座情報及び本人確認情報を、当該データベースの口座情報及び本人確認情報と照合して本人確認を行なう。
【0022】
催告部33は、確認部32の当該要求に応じた情報管理装置60から送信された来店顧客情報を受信し、これに含まれている登録可否フラグが「可」を示す場合に、来店顧客80に対して顔画像取得の承諾入力を促す催告をなす。催告部33は、確認部32による本人確認後に当該催告を行う。催告部33は、例えばディスプレイ等の表示部及び/又はスピーカー等の音声出力部であり、例えば「顔画像の取得のためにお客様を撮影してもよろしいでしょうか?」等の催告を来店顧客80に対して行なう。当該催告は、例えば催告文の画像表示及び/又は音声アナウンスによってなされる。
【0023】
指令部34は、当該催告に応じた来店顧客80による入力部31への顔画像取得可否の入力に基づいて顔画像取得の了承の可否を判定する。指令部34は、来店顧客80が顔画像の取得を了承すると判定した場合には、カメラ35に対して来店顧客80の撮像を指令する。
【0024】
カメラ35は、指令部34からの撮像指令に応じて来店顧客80を撮像し、画像データを生成する。
【0025】
送信部36は、カメラ35によって生成された画像データを取得関連情報と共に顔画像登録装置40に送信する。
【0026】
顔画像登録装置40は、情報管理装置60への顔画像の登録処理を行なう。
【0027】
受信部41は、専用端末20又は窓口端末30から送信された画像データ及び取得関連情報を通信網70を介して受信する。
【0028】
顔画像一時保持部42は、受信部41によって受信された、顔画像を示す画像データ及び取得関連情報を一時的に保持する。
【0029】
顔画像登録部43は、顔画像一時保持部42に保持されている顔画像と、取得関連情報に含まれる顧客特定キーとを対応付けて顧客関連情報の一部として情報管理装置60に登録する。顔画像登録部43は、取得関連情報に含まれる登録画像有無フラグが「無」を示す場合には顔画像を情報管理装置60に新規登録し、登録画像有無フラグが「有」を示す場合には顔画像を情報管理装置60に追加登録する。登録画像有無フラグは、情報管理装置60によって設定された情報である。情報管理装置60に顔画像が未登録の場合には「無」として設定され、顔画像の登録がある場合には「有」として設定される。
【0030】
IB装置50は、専用端末20との間で取引情報を送受信して、来店顧客80に対してインターネットバンキングサービスを提供する等の金融取引を実行する装置である。
【0031】
認証データベース51は、顧客毎の登録ユーザ認証情報からなるデータベースである。登録ユーザ認証情報には、ユーザID及びパスワードが含まれる。
【0032】
ユーザ認証部52は、専用端末20から送信されたユーザID及びパスワードを、認証データベース51に登録されているユーザID及びパスワードと照合してユーザ認証を行なう。認証できた場合には、認証できた旨及び口座情報を専用端末20に送信する。口座情報には、例えば、店番、科目、口座番号を含まれる。
【0033】
取引処理部53は、ユーザ認証部52による認証後、専用端末20を通じて来店顧客80にインターネットバンキングサービスを提供する。取引処理部53は、来店顧客80の要求に応じて例えば入金や出金等の取引処理を行なう。
【0034】
情報管理装置60は、少なくとも一人の顧客についての顧客関連情報を管理する。顧客関連情報には、顧客毎の例えば顧客特定キー、登録可否フラグ、登録画像有無フラグ、口座番号、顔画像、顔画像の取得店舗名、取得機器、取得日時が含まれる。顧客特定キーは、例えば、顧客情報ファイル(Customers' Information Files)であり、口座開設済み顧客を識別及び検索するために用いられる。登録可否フラグは、顔画像を取得することを顧客が了承しているか否かを示す情報である。登録画像有無フラグは、顔画像が情報管理装置60に既に登録されているか否かを示す情報である。
【0035】
受信部61は、専用端末20又は窓口端末30から送信された顧客情報要求や、顔画像登録装置40から送信された顔画像及び取得関連情報を受信する。
【0036】
顧客情報データベース62は、顧客毎の顧客関連情報からなるデータベースである。顧客関連情報は、顧客特定キーと顔画像その他の情報とが対応付けられて構成されている。
【0037】
顧客情報検索部63は、受信部61によって受信された顧客情報要求に応じて顧客情報データベース62から顧客関連情報を検索する。詳細には、顧客情報検索部63は、顧客情報要求に付随する口座情報に対応する1つの顧客関連情報を来店顧客情報として顧客情報データベース62から取得する。顧客情報検索部63は、来店顧客情報を顧客情報要求元である専用端末20又は窓口端末30に送信する。
【0038】
以下、図2を参照しつつ、専用端末20から顔画像登録を行なう場合の金融取引システム1の動作について説明する。
【0039】
総合受付10の係員が来店顧客80に対して、どこで待つべきか、どの窓口に行くべきかについて案内を行なう。来店顧客80は、通常、番号発券機(図示せず)にて呼び出し番号を取得し、窓口からの呼び出しがあるまでロビーで待機する。総合受付10の係員は、ロビーで待機している来店顧客80に対して、専用端末20を利用した金融取引や金融情報の参照を促すことができる。以下、来店顧客80がインターネットバンキングサービスを利用するために、専用端末20での操作を開始する時点から説明する。
【0040】
先ず、専用端末20の入力部21は、来店顧客80からのユーザID及びパスワード等のユーザ認証情報の入力を受け入れ、これをIB装置50に送信する(ステップS1)。
【0041】
IB装置50のユーザ認証部52は、専用端末20から送信されたユーザID及びパスワードを認証データベース51に登録されている登録ユーザ認証情報と照合してユーザ認証を行なう(ステップS2)。ユーザ認証部52は、ユーザ認証できた場合には、認証できた旨及び口座情報を専用端末20に送信する(ステップS2)。
【0042】
要求部22は、IB装置50から口座情報を受信し、当該口座情報を伴う顧客情報要求を情報管理装置60に発する(ステップS3)。
【0043】
情報管理装置の受信部61は、専用端末20から送信された顧客情報要求を受信する。顧客情報検索部63は、当該顧客情報要求に応じて口座情報に対応する1つの顧客関連情報を顧客情報データベース62から検索し、当該1つの顧客関連情報を来店顧客情報として顧客情報要求元である専用端末20に送信する(ステップS4)。
【0044】
催告部23は、情報管理装置60から送信された来店顧客情報を受信し、これに含まれている登録可否フラグが「可」を示す場合に顔画像取得可否の入力を来店顧客80に促す。この際、催告部23は、例えば「顔画像の取得のためにお客様を撮影してもよろしいでしょうか?」等の催告文を含む確認画面を表示する。指令部24は、来店顧客80の入力に基づいて顔画像取得の了承の可否を判定する(ステップS5)。
【0045】
指令部24は、来店顧客80が顔画像の取得を了承すると判定した場合には、カメラ25に対して来店顧客80の撮像を指令する。カメラ25は、指令部24からの撮像指令に応じて来店顧客80を撮像し、画像データを生成する(ステップS6)。指令部24は、了承判別の直後に撮像指令を発することができるし、了承判別時点から例えば5秒後等の所定時間経過後に撮像指令を発することもできる。また、指令部24は、撮像指令を1回のみ発することができるし、例えば5秒後等の所定間隔毎に例えば3回等の所定回数だけ発することもできる。
【0046】
更に、指令部24は、カメラ25の撮像により得られた画像データに顔認識処理を施し、当該処理の結果に基づいて撮像領域の変更をカメラ25に指令することもできる。撮像領域の変更は、撮像の方向及び/又は倍率を変更することにより実行できる。この場合、カメラ25は当該変更後に変更完了信号を指令部24に対して発する。指令部24は、変更完了信号に応じてカメラ25に撮像指令を再び発する。かかる動作により、撮像領域に来店顧客80の顔部分を含む顔画像データを取得できる。また、撮像領域を来店顧客80の顔部分に合わせて顔にズームした顔画像データを取得することもできる。顔認識処理は、例えば、主成分分析(principal component analysis)により得られた固有顔を用いたもの等の既知の顔認識アルゴリズムにより実行できる。
【0047】
送信部26は、カメラ25によって生成された画像データを取得関連情報と共に顔画像登録装置40に送信する(ステップS7)。なお、指令部24は、ステップS6からS7の間に、以下の処理を行なうこともできる。催告部23は、ステップS6において生成された画像データに基づく顔画像と、当該顔画像を登録して良いか否かを来店顧客80に再確認する確認文の画像とを表示することもできる。この場合、入力部21は来店顧客80による最終確認入力を受け入れ、送信部26は当該最終確認入力を待って画像データを送信する。例えば顔部分のみを切り出して登録する場合に本人確認が望まれる場合が想定されるが、かかる動作によれば、実際に登録される顔画像がどのような形態であるかを来店顧客80が確認し納得することができる。
【0048】
顔画像登録装置40の受信部41は、専用端末20から送信された画像データ及び取得関連情報を通信網70を介して受信する(ステップS8)。
【0049】
顔画像一時保持部42は、受信部41によって受信された画像データ及び取得関連情報を一時的に保持する(ステップS9)。
【0050】
顔画像登録部43は、取得関連情報に含まれる登録画像有無フラグが「無」及び「有」のいずれを示しているか判別する(ステップS10)。
【0051】
顔画像登録部43は、登録画像有無フラグが「無」を示す場合には顔画像を情報管理装置60に新規登録し(ステップS11)、登録画像有無フラグが「有」を示す場合には顔画像を情報管理装置60に追加登録する(ステップS12)。顔画像登録部43は、顔画像一時保持部42に保持されている顔画像と、取得関連情報に含まれる顧客特定キーとを対応付けて顧客関連情報の一部として情報管理装置60に登録する(ステップS13)。顔画像登録部43は、顔画像の登録完了を専用端末20に通知する。
【0052】
なお、顔画像登録部43は、顔画像一時保持部42に保持されている顔画像に対して顔画像処理を施し、当該顔画像が来店顧客80の顔部分を含むと判別した場合にのみ、情報管理装置60に登録することもできる。また、顔画像登録部43は、顔画像一時保持部42に保持されている顔画像に対して顔画像処理を施し、当該顔画像が例えば来店顧客80の胴体や背景等の顔以外の部分も含む場合には、顔部分のみを切り出して情報管理装置60に登録することもできる。
【0053】
来店顧客80は、継続して専用端末20を操作し、IB装置50からインターネットバンキングサービスの提供を受けることができる(ステップS14)。その後、来店顧客80は、自身の順番が到来したときに店舗の窓口に案内され、窓口の行員との間で金融取引の商談等を行なうこともあり得る。
【0054】
以下、図3を参照しつつ、窓口端末30から顔画像登録を行なう場合の金融取引システム1の動作について説明する。来店顧客80は窓口に既に案内されている。
【0055】
先ず、窓口端末30の入力部31は、来店顧客80又は行員からの口座情報及び本人確認情報の入力を受け入れる(ステップS21)。例えば、行員が来店顧客80から取引伝票を受け取り、当該伝票に記載されている店番、科目、口座番号等の伝票情報を入力部31に入力する。また、例えば、来店顧客80が、PIN情報等の暗証番号、又は指静脈等の生体情報を本人確認情報として入力部31に入力する。なお、行員が来店顧客80から提示された運転免許証等の証明書の固有番号を本人確認情報として入力部31に入力することもできる。
【0056】
確認部32は、入力部21に入力された伝票情報及び本人確認情報を用いて本人確認を行なう(ステップS22)。確認部32は、本人確認後、口座情報を伴う顧客情報要求を情報管理装置60に対して発する(ステップS23)。
【0057】
情報管理装置の受信部61は、窓口端末30から送信された顧客情報要求を受信する。顧客情報検索部63は、当該顧客情報要求に応じて口座情報に対応する1つの顧客関連情報を顧客情報データベース62から検索し、当該1つの顧客関連情報を来店顧客情報として顧客情報要求元である窓口端末30に送信する(ステップS24)。
【0058】
催告部33は、情報管理装置60から送信された来店顧客情報を受信し、これに含まれている登録可否フラグが「可」を示す場合に、確認画面を表示して顔画像取得可否の入力を来店顧客80に促す。指令部34は、来店顧客80の入力に基づいて顔画像取得の了承の可否を判定する(ステップS25)。
【0059】
指令部34は、来店顧客80が顔画像の取得を了承すると判定した場合には、カメラ35に対して来店顧客80の撮像を指令する。カメラ35は、指令部34からの撮像指令に応じて来店顧客80を撮像し、画像データを生成する(ステップS26)。指令部24が撮像指令を発するタイミングや回数は、図2のステップS6で説明したのと同様である。また、指令部24は、図2のステップS6で説明したのと同様の顔認識処理を施して撮像の方向や倍率の変更指令をカメラ25に発することもできる。
【0060】
送信部36は、カメラ35によって生成された画像データを取得関連情報と共に顔画像登録装置40に送信する(ステップS27)。
【0061】
顔画像登録装置40の受信部41は、窓口端末30から送信された画像データ及び取得関連情報を通信網70を介して受信する(ステップS28)。
【0062】
顔画像一時保持部42は、受信部41によって受信された画像データ及び取得関連情報を一時的に保持する(ステップS29)。
【0063】
顔画像登録部43は、取得関連情報に含まれる登録画像有無フラグが「無」及び「有」のいずれを示しているか判別する(ステップS30)。
【0064】
顔画像登録部43は、登録画像有無フラグが「無」を示す場合には顔画像を情報管理装置60に新規登録し(ステップS31)、登録画像有無フラグが「有」を示す場合には顔画像を情報管理装置60に追加登録する(ステップS32)。顔画像登録部43は、顔画像一時保持部42に保持されている顔画像と、取得関連情報に含まれる顧客特定キーとを対応付けて顧客関連情報の一部として情報管理装置60に登録する(ステップS33)。顔画像登録部43は、顔画像の登録完了を窓口端末30に通知する。なお、顔画像一時保持部42は、図2のステップS13で説明したのと同様の顔画像認識処理を行なって登録処理を行なうこともできる。
【0065】
行員は、継続して窓口端末30を操作し、来店顧客80との金融取引を行なうことができる(ステップS34)。
【0066】
このようにして、専用端末20又は窓口端末30から取得した顔画像は顧客特定キーと対応付けられて顧客関連情報の一部として情報管理装置60に登録される。顧客関連情報は例えば以下のように利用できる。例えば、来店顧客80が再び来店したときに、総合受付10において来店顧客80の顔画像認識を行い、当該認識処理によって得られた顔画像と、顧客関連情報として既に登録されている顔画像とのマッチングを行う。当該マッチングにより来店顧客80を特定し、窓口担当者に来店顧客80が来店したことを通知する。通知を受けた窓口担当者は、来店顧客80を直ぐに迎え入れ、来店顧客80に対して適切なサービスを提供することができる。
【0067】
また、窓口担当者が、顧客関連情報として既に登録されている顔画像を情報管理装置60の表示部(図示せず)に表示させ、これを見て来店顧客80の顔を予め覚えておくこともできる。この場合、窓口担当者は、来店顧客80が総合受付10に到来した時点で来店顧客80を認識できる。
【0068】
上記に例示したように、本実施例の金融取引システム1においては、来店顧客80がインターネットバンキングサービスの提供を受けているとき、又は窓口において金融取引の商談等を行なっているときに、来店顧客80の顔画像を取得して登録することができる。すなわち、金融サービスの自然な流れの中で来店顧客80の顔画像を取得することができ、顔画像取得のための別途のオペレーション(例えば撮影室への移動など)を必要としない。故に、顔画像の取得に際して来店顧客80に不便さを感じさせずに登録を行なうことができる。かかる動作により、顧客満足度の低下を生じさせることなく、顔画像の登録率を向上させることも期待できる。
【0069】
また、本実施例の金融取引システム1においては、顔画像が既に登録されている場合でも、了承が得られた場合に顔画像を追加登録する。来店顧客80が次回来店したときにこれら複数の顔画像を用いた顔認識処理を行なうことにより、顔認識の精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 金融取引システム
10 総合受付
20 専用端末
21 入力部
22 要求部
23 催告部
24 指令部
25 カメラ
26 送信部
30 窓口端末
31 入力部
32 確認部
33 催告部
34 指令部
35 カメラ
36 送信部
40 顔画像登録装置
41 受信部
42 顔画像一時保持部
43 顔画像登録部
50 インターネットバンキング装置(取引装置)
51 認証データベース
52 ユーザ認証部
53 取引処理部
60 情報管理装置
61 受信部
62 顧客情報データベース
63 顧客情報検索部
70 通信網


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客各々を特定する顧客特定情報を含む顧客関連情報を顧客情報データベースにて管理する情報管理装置と、前記情報管理装置との間で通信網を介して通信自在な情報端末と、前記情報端末との間で前記通信網を介して取引情報を送受信して金融取引を実行する取引装置と、を含む金融取引システムであって、
前記情報端末は、
撮像指令に応じて撮像領域を撮像して画像データを生成する撮像部と、
前記撮像領域に存在する来店顧客に対して顔画像取得の承諾入力を促す催告をなす催告部と、
前記来店顧客による前記承諾入力と前記取引情報入力とを受け入れる入力部と、
前記入力部への承諾入力に応じて前記撮像指令を前記撮像部に対して発する指令部と、
前記撮像部によって生成された画像データを前記情報管理装置に通信網を介して送信する送信部と、を含み、
前記情報管理装置は、
前記通信網を介して前記画像データを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された画像データを前記取引情報入力に対応する前記顧客特定情報に対応付けて登録する顔画像登録部と、を含むことを特徴とする金融取引システム。
【請求項2】
前記催告部は、前記催告に続いて前記画像データに基づく画像表示をなし、
前記入力部は、前記来店顧客による最終確認入力を更に受入れ可能であり、
前記送信部は、前記最終確認入力を待って前記画像データを前記情報管理装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の金融取引システム。
【請求項3】
前記情報端末は、前記取引情報入力に基づいて本人確認処理を行なう確認部を更に含み、
前記催告部は、当該本人確認が完了したときに前記催告をなすことを特徴とする請求項1又は2に記載の金融取引システム。
【請求項4】
前記取引情報入力は、ID番号及びパスワード、口座番号、暗証番号、顧客生体情報、及び証明書番号のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項3に記載の金融取引システム。
【請求項5】
前記指令部は、前記撮像部の撮像により得られた画像データに顔認識処理を施して得られた結果に基づいて、前記撮像領域の変更を前記撮像部に対して指令することを特徴とする請求項1又は4に記載の金融取引システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−50770(P2013−50770A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187012(P2011−187012)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】