説明

金融機関業務処理システム、及びコンピュータプログラム

【課題】 銀行等の店舗において受付をした後の処理において、各処理工程の情報を収集して報知する。
【解決手段】 金融機関業務処理システムは、テラーによる受け付けから処理終了までに要する待ち時間を予想して各顧客に提示するための金融機関業務処理システムであって、各顧客に割り当てられたカルトンの識別情報と、該顧客が依頼した業務処理の内容と、処理開始時刻と、処理終了時刻と、を対応付ける顧客データを記憶する。処理担当者が、顧客に依頼された処理の開始時に、カルトンの識別情報と業務処理と該顧客に関する処理開始時刻を登録し、顧客に依頼された処理を終了するときに、カルトンの識別情報と該顧客に関する処理終了時刻を、既に記録されているカルトンの識別情報及び処理開始時刻に対応付けて登録する。各顧客の依頼業務と算出された業務別の待ち時間に基づいて、各顧客の待ち時間を予想して提示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行などの金融機関における業務処理を効率化する金融機関業務処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行等の店舗窓口においては、各顧客は、番号札発券機器等から番号札の発券を受け、受付順に呼び出されて、銀行の対応を受けている。この発券から受付までの業務を効率化するためのシステムが、例えば、特許文献1と2に開示されている。
【0003】
これらの特許文献に開示されているシステムによれば、顧客は、受付までの間におおよその待ち時間などを知ることができ、受付を待つ苦痛が緩和される。しかし、これらのシステムでは、受付後の処理の進行度等を報知することはできない。従って、顧客は、受付後に、どの程度待たされるのか、処理はどの程度進んでいるのか等の点について有効な情報を得ることができない。
【特許文献1】特公昭61−22339号公報
【特許文献2】特公平07−117970号公報
【0004】
一般に、銀行において、銀行員は、顧客から受け付けた一又は複数ある取引の取引依頼書を通帳等と共にカルトンに乗せ、他顧客との混在等しないよう管理しつつ、必要に応じて各工程の担当者に回付しながら各々の工程を進めていく。しかし、従来では、全体でどれ位の量(数)の処理案件があり、各々の処理状況が現在どうなっているのか、といった所謂一般工場の生産管理のような概念は無い。よって、処理が遅延している顧客、未処理で放置されている顧客等の管理もなされていない。
【0005】
また、銀行等の店内の人員配置に関して、その繁閑に応じた内部応援体制等は、内部管理者の経験・観察に基づいて、指示が行われている。しかし、このような手法は、属人的で普遍性を有せず、さらに、一般的には効率が悪い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、銀行等の店舗において受付をした後の処理において、各処理工程の情報を適切に収集して報知することができるシステムを提供することを目的とする。
また、本発明は、銀行等の店舗において、一店舗のみならず全店舗での処理過程からとった統計データをもとに、管理者等が客観的な判断をすることができ、銀行業務等の運営を効率化することができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる金融機関業務処理システムは、金融機関において、テラーによる受付から処理終了までに要する待ち時間を予想して各顧客に提示するための業務システムであって、
各顧客に割り当てられたカルトンの識別情報と、該顧客が依頼した業務処理の内容と、処理開始時刻と、処理終了時刻と、を対応付ける処理データを記憶する処理履歴記憶手段と、
処理担当者により操作され、顧客に依頼された処理を開始する時に、前記カルトンの識別情報と業務処理と該顧客に関する処理開始時刻を前記処理履歴記憶手段に登録し、前記顧客に依頼された処理を終了する時に、カルトンの識別情報と該顧客に関する処理終了時刻を、既に記録されているカルトンの識別情報及び処理開始時刻に対応付けて前記処理履歴記憶手段に登録する処理端末と、
前記処理履歴記憶手段に蓄積された情報に基づいて、顧客の依頼業務別に待ち時間を求める待ち時間算出手段と、
各顧客の依頼業務と前記待ち時間算出手段で算出された業務別の待ち時間に基づいて、各顧客の待ち時間を予想して提示する手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記金融機関業務処理システムにおいて、前記処理端末は、担当者により操作されて処理の開始を指示する手段と、担当者により操作されて処理の終了を指示する手段と、前記カルトンの識別情報を非接触で読み取る手段を備え、
前記開始指示手段で開始が指示されたときに読み取ったカルトンの識別情報と時刻とを処理履歴記憶部に記憶させ、
開始終了手段で終了が指示されたときに読み取ったカルトンの識別情報をキーとして、そのときの時刻を、既に記憶されている該当カルトンの識別情報に対応付けて前記処理履歴記憶部に記憶させてもよい。
【0009】
また、上記金融機関業務処理システムは、複数の店舗の前記業務システムの処理履歴記憶手段に格納されている情報を収集して、処理及び加工する手段、をさらに備えてもよい。
【0010】
さらに、上記金融機関業務処理システムにおいて、各カルトンには、そのカルトンの識別情報を記憶した非接触ICタグがセットされており、前記処理端末には、ICタグリーダを備えてもよい。
【0011】
また、本発明の第2の観点にかかるコンピュータプログラムは、コンピュータに、
各顧客に割り当てられたカルトンの識別情報と、該顧客が依頼した業務処理の内容と、処理開始時刻と、処理終了時刻と、を対応付ける処理データを記憶する処理履歴記憶手段と、
処理担当者により操作され、顧客に依頼された処理を開始する時に、カルトンの識別情報と業務処理と該顧客に関する処理開始時刻を前記処理履歴記憶手段に登録し、顧客に依頼された処理を終了するときに、カルトンの識別情報と該顧客に関する処理終了時刻を、既に記録されているカルトンの識別情報及び処理開始時刻に対応付けて前記処理履歴記憶手段に登録する処理端末、
前記処理履歴記憶手段に蓄積された情報に基づいて、顧客の依頼業務別に待ち時間を求める待ち時間算出手段、
各顧客の依頼業務と前記待ち時間算出手段で算出された業務別の待ち時間に基づいて、各顧客の待ち時間を予想して提示する手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシステムによれば、業務処理に関する情報をカルトンの情報とともに管理するので、適宜、顧客向けにその情報を表示することができる。従って、顧客や銀行員、それぞれが、進行状況を知ることができる。
また、一店舗のみならず全店舗での処理過程からとった統計データをもとに、管理者等が客観的な判断をすることができ、銀行業務等の運営を効率化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の最良の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
本実施形態に係る金融機関業務処理システムは、図1の平面図に示したような受付カウンター11と、1線カウンター12と、2線カウンター13と、管理者席14と、を備える、銀行等で実装される。図1にあるような出入口から来店した顧客は、最初に受付カウンター11に行き、受付予約をする。その後、1線カウンター12での受付順番をロビーなどで待機し、順番がきたら、1線カウンター12で受付を済ませる。受付後、1線カウンター12での処理や、1線カウンター12の後方に配置された2線カウンター13での処理が完了するのを、再び、ロビーで待つ。全ての処理が終わった時、顧客は1線カウンター12で通帳・伝票等を返却してもらい、再び出入口から退店する。また、1線カウンター12の後方に配置された管理者席14は、店舗全体を管理する管理者が位置する。
【0015】
以上説明した金融機関業務処理システムにおける受付カウンター11には、図2に示すような受付システム16が配備される。1線カウンター12には、図2に示すような1線システム17aや出力システム17bが配備される。同様に、2線カウンター13には、2線システム18が、管理者席14には、制御システム19が配備される。ここで、制御システム19の制御部35は、必ずしも管理者席14に配備される必要はなく、他の場所に配備されてもよい。
【0016】
受付システム16は、顧客に受付番号札を発券する装置であり、図2に示すように、受付端末22と、発券機23と、表示部20と、入力部21と、から構成されている。受付端末22は、来店した顧客が受付処理をする前に、入出金・送金・両替などの希望する処理の内容を入力させると共に、過去の平均待ち時間からおおよその待ち時間を計算し、顧客に報知する。発券機23は、受付端末22からの指示に従って、受付順番と希望する処理用の受付カウンタとを記載した受付番号札を発行する。
【0017】
1線システム17aは、顧客に応接するテラーが使用する端末であり、一般的には、顧客の待合い室と行員の作業室との間のカウンタテーブル近辺、1、2カウンタに1台の割合で配置される。
1線システム17aは、顧客がカウンターに来る前に、顧客が受付システム16で入力した希望処理をテラーに通知し、テラーの準備を可能とし、顧客との会話及び伝票を介して、処理の詳細を入力する。また、1線システム17aは、ICタグのIDの読み取り装置(ICタグリーダ27)を備え、読み取ったIDと入力された処理内容、その他の付随情報を対応付けて制御部35に送る。
【0018】
出力システム17bは、顧客に対して、処理の進捗情報や、呼出アナウンスなどを適宜、出力する。
【0019】
2線システム18は、1線カウンター12で作業するテラーの作業をサポートする作業者により使用されるICタグ読み取り機能付きの端末装置から構成され、カルトンで特定される各案件について作業開始時と作業終了時に、カルトンに取り付けられているICタグのIDを読み取って、制御部35に送る。
【0020】
制御部35は、上記の受付システム16と、1線システム17aと、2線システム18と、から送られてきた種々の情報を受け取り、各顧客毎に、作業の進捗状況を管理し、顧客及び行員に報知することにより、処理を行う。顧客はこれにより、依頼した処理がどの担当によりどの段階まで進んでいるかを判断できる。また、行員の責任者は、業務の繁閑の状態を正確に把握して、人員の配置やその変更を的確に指示できる。
【0021】
次に、受付システム16の構成の詳細について説明する。
【0022】
受付システム16は顧客が入力を行える入力部21(タッチパネル等)と、種々の動作を実行するための画像等を表示する表示部20(モニタ、スピーカ等)と、制御システム19の制御部35と情報を送受信するための通信機器(無線LAN等)と、それらの装置を制御するコンピュータからなる受付端末22と、から構成される。
入力部21を身体障害者等のために音声入力装置等の別形態で代替することも可能である。また、該通信機器は無線LANでなくとも、LANケーブル等の他の通信媒体で代替されることも可能である。
【0023】
発券機23は受付端末22に接続され、顧客に受付番号等の情報を印字して発券する装置である。
【0024】
また、受付端末22、発券機23は、各店舗毎の利用状況などにより、複数個設置する形態もとれる。
【0025】
次に、1線システム17aの構成の詳細について説明する。
【0026】
1線システム17aは銀行員が入力を行える入力部25(キーボード、マウス、タッチパネル等)と、種々の動作を実行するための画像等を表示する表示部24(モニタ等)と、制御システム19の制御部35と情報を送受信するための通信機器(無線LAN等)と、それらの装置を制御するコンピュータからなる1線端末26と、から構成される。
該通信機器は無線LANでなくとも、LANケーブル等の他の通信媒体で代替されることも可能である。
【0027】
ICタグリーダ27は1線端末26に接続され、ICタグ付きカルトン39のICタグから磁気情報を読み取れる磁気センサを有し、当該読み取った情報を1線端末26へ送信する。
【0028】
続いて、出力システム17bの構成の詳細について説明する。
待ち状況表示装置28aは、例えば液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)等で、表示装置用端末29で受信した顧客向けの画像等を表示するものである。
スピーカ28bは、例えば、顧客の受付番号のアナウンス等をするものである。
当該表示装置用端末29は、制御システム19の制御部35からの情報を受信するための通信機器(無線LAN等)と、それらの装置を制御するコンピュータと、から構成される。
【0029】
また、1線端末26、ICタグリーダ27は、1線カウンター12の各カウンター毎に設置され、待ち状況表示装置28a、表示装置用端末29は、1線カウンターに1つ又は2つ設置されるようにしてもよい。それぞれ各店舗毎の利用状況や利用形態(ハイカウンター用、ローカウンター用等)などにより、複数個設置する形態もとれる。
【0030】
次に、2線システム18の構成の詳細について説明する。
【0031】
2線システム18は後方処理を行う銀行員が入力を行える入力部32(キーボード、マウス、タッチパネル等)と、種々の動作を実行するための画像等を表示する表示部31(モニタ等)と、制御部35と情報を送受信するための通信機器(無線LAN等)と、それらの装置を制御するコンピュータからなる2線端末30と、から構成される。
該通信機器は無線LANでなくとも、LANケーブル等の他の通信媒体で代替されることも可能である。
【0032】
ICタグリーダ33は2線端末30に接続され、ICタグ付きカルトン39のICタグから磁気情報を読み取れる磁気センサを有し、当該読み取った情報を2線端末30へ送信する。
【0033】
また、2線端末30、ICタグリーダ33はそれぞれ各店舗毎の利用形態(ハイカウンター用、ローカウンター用等)などにより、複数個設置される形態もとれる。
【0034】
構成の説明の最後に、制御システム19の構成の詳細について説明する。
【0035】
制御部35は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等から構成されており、CPUがROM等に記憶されている各種プログラムを適宜実行することによって、システム全体の動作を制御する。なお、RAMは、CPUがプログラムを実行する際、ワークメモリとして用いられるものである。
【0036】
制御部端末36は管理者が入力を行える入力部38(キーボード等)と、種々の動作を実行するための画像等を表示する表示部37(モニタ、スピーカ等)と、それらの装置を制御するコンピュータと、から構成される。また、制御部35に記録された店内状況情報や集計データを表示することが可能である。
【0037】
経由部34は受付システム16と、1線システム17aと、2線システム18と、から受信した情報を制御部35に送信し、また逆に、制御部35から受信した情報を適切に該各システムへ送信する。例えば、ベースステーションのような中継機器が利用される。
【0038】
以上、本システムの実施形態例における、それぞれの構成を説明してきた。
【0039】
次に、上記構成を備える本システムの具体的動作について説明する。
【0040】
本システムは、上記構成にも述べたように、受付システム16と、1線システム17aと、出力システム17bと、2線システム18と、制御システム19と、から構成される。本システムの動作説明は、顧客の来店から退店への流れに沿って、各システム、及び、各システム間の連携、の動作について説明する。
【0041】
まず、顧客動線の制御に関する具体的動作について説明する。
【0042】
図2に示した受付端末22は、顧客の来店目的(以降、タスク)によって顧客をどこの窓口で受け付けるかを銀行が決めて予め登録したデータを参照して、顧客を呼ぶべき受付窓口を決定する。この決定された受付窓口番号を受付窓口グループデータとする。
受付端末22は、この受付窓口グループデータと、図3に示す受付番号データ40と、を発券機23を介して印字し、発券する。これによって、顧客は、所持している受付番号が呼ばれた時に、自分の順番であることを認識できる。
なお、受付番号データ40は、受付端末22が、発券機23で発券するたびに、受付番号データ40の値を1カウンタ増やし、その値を受付端末22に記憶しているデータである。
【0043】
また、受付端末22は、入金や、振込み等といった顧客の希望するタスク(要件)の選択肢を表示部20に表示し、選択された1以上のタスクを、図3に示すように、タスクデータ41として、先の受付番号データ40とともに、通信機器を介して制御部35に送信する。
【0044】
そして、制御部35は、タスクデータ41を受信し、受信した時刻を来店時刻データ42とし、予測受付待ち時間を計算する。
【0045】
また、制御部35は、受付端末22からの要求毎にカウンタを増やし、1線端末26からの顧客の呼び出し信号を受信する毎にカウンタを減らしていく。このカウンタを制御部35に記録し、これを待ち人数データとする。
【0046】
さらに、制御部35は、計算された予測受付待ち時間データ43と、制御部35に記憶されている最新の待ち人数データと、を受付端末22に、経由部34を介して送信する。
【0047】
予測受付待ち時間データ43は、顧客が1線カウンター12でのテラーによる受付までに待たされる予測時間データである。また、待ち人数データは、その時点での1線カウンター12での受付をまだ済ませていない顧客の人数データである。
【0048】
ここで、受付端末22は、予測受付待ち時間データ43及び待ち人数データを受信し、表示部20にこれらのデータを表示する。これによって、顧客は、1線カウンター12での受付までに待つおおよその時間を把握することができる。
【0049】
上記に述べた該予測受付待ち時間の計算手順を図4にフローチャートで示す。該予測受付待ち時間は、過去のn回の呼び出し時間間隔の平均値に待ち人数を乗じた値とする。該予測受付待ち時間は、制御部35が、受付番号データ40等のデータを受付端末22から受信した時点で計算を開始する。この時間間隔の平均値を求める前段階として、まず、n回の呼び出し時間間隔を計測する必要がある。そこで、テラーが顧客を呼び出した時刻は毎回1線端末26から制御部35に送信される。ところが、窓口営業開始時には前回の呼び出し時刻(pre)が存在せず(ステップS401;No)、最初の呼び出し時刻は次の前回呼び出し時刻として記憶させる必要がある(ステップS409)。また、前回呼び出し時刻(pre)が既に制御部35に記憶されている場合(ステップS401;Yes)、次のステップに進み、呼び出し時間間隔のサンプル数が設定数n個を満たしたかどうかチェックする。これを満たしていない場合(ステップS402;No)、呼び出し時間間隔のサンプル数がn個を満たすまで繰り返し呼び出し時間間隔を計測する(ステップS403〜S409、S401、S402)。ただし、この場合でも、待ち人数が0人の時(ステップS403;Yes)は、次の顧客の実際の待ち時間と計測した呼び出し時間間隔とは異なるため、この呼び出し時間間隔をサンプリング対象にはしない。また、待ち人数が0人でない場合(ステップS403;No)は、計測した呼び出し時間間隔(inter)をサンプリング対象にする(ステップS404)。次に、ステップS404で計測した呼び出し時間間隔(inter)をサンプル数だけ足しあわせ、この平均をとるとテラーの人数が変化した場合に対応できなくなる。そのような場合を回避するために、ステップS404で計測した呼び出し時間間隔にテラー数を乗じたもの(テラーが一人の場合の呼び出し時間間隔)の総和をとり(ステップS405)、その平均を求める(ステップS406)。ただし、テラーが一人の場合の呼び出し時間間隔が極端に短い場合はサンプリングの対象外とする(ステップS407;Yes)。計測した呼び出し時間間隔(inter)をサンプリング対象とする場合(ステップS407;No)、サンプル数nを一つ増加させる(ステップS408)。最後に、ステップS402で過去の呼び出し時間間隔のサンプル数がn個となった場合(ステップS402;Yes)、既にステップS406で求めたテラーが一人の場合の呼び出し時間間隔の平均(mean)をテラー数で除して(ステップS410)、過去のn回の呼び出し時間間隔の平均値が求まる。ここで、この時間間隔の平均値に待ち人数を乗じて、目的の該予測受付待ち時間が求まる。
【0050】
ここまでの、受付番号データ40と、タスクデータ41と、来店時刻データ42と、予測受付待ち時間データ43と、は図3のように、制御部35で一元管理する。すなわち、制御部35に、図3、図8のように共通のクラス(顧客データ52)のデータとして記録する。
【0051】
次に、顧客が一線カウンターで受付を開始し、受付完了までの本システムの具体的動作について説明する。
【0052】
1線システム17aは、受付システム16にて既に発券した受付番号を、ICタグ等が添付されたカルトンの情報と結び付ける。
【0053】
当該結び付けは1線端末26が表示したメニューに従ってテラーが操作することで簡単にできる。ここでの結び付けの処理を、1線端末26の表示部24に表示する画面の遷移図を示した図5を参照して説明する。
【0054】
まず、基本画面で次顧客呼出ボタンを押し(ステップS501)、このボタンを押したという情報は、図3に示したように、1線端末26から制御部35に送信される。この情報を受信した制御部35は、次に表示装置用端末29に待ち状況表示装置28aへの画面表示とスピーカ28bへの音声によって顧客を呼び出す制御情報を送信する。この時、呼び出しされた番号は、例えば5回点滅させるなどして、顧客の注目を集めるようにする。この時の待ち状況画面の表示例が図7である。また、同時に、制御部35は、この顧客呼出ボタンを押したという情報を受信した時刻と、来店時刻と、の時間間隔を受付待ち時間データ44として、これを図3、図8に示すように顧客データ52に付加する。
【0055】
次に、ステップS501によって顧客を呼び出した後、画面には制御部35に既に記憶してある顧客の受付番号データ40、来店時刻データ42、受付待ち時間データ44、タスク(要件)データ41を表示する(ステップS502)。これによって、テラーは顧客が窓口に来る以前に顧客のデータを確認できる。
【0056】
そして、顧客が窓口に来た後、通常は詳細タスク(要件)を選択する(ステップS503)か、受付完了する(ステップS505)が、顧客が窓口に来なかった場合や、必要事項の記入漏れ等でもう一度来て欲しい場合は(ステップS507)、該当する状況を選択して基本画面(ステップS501)に戻る。
【0057】
前述の詳細タスク(要件)を選択した場合(ステップS503)、テラーはより詳細なタスク(要件)を選択でき、最終的な階層でタスク(要件)が確定できる(ステップS504)。
【0058】
ステップS502またはステップS504で詳細タスク(要件)を確定して、詳細タスク(要件)データ47として、これを図3、図8に示すように顧客データ52に付加する。その後、受付を完了する(ステップS505)。この時、テラーは受付完了ボタンを押し、受付完了ボタンが押されたという情報は、図3に示すように制御部35に送信される。このタイミングで、制御部35は、この信号を受信した時刻を1線受付完了時刻データ45として、図3、図8に示すように顧客データ52に付加する。
【0059】
その後、すぐにICタグ付きカルトン39から磁気情報(カルトンを特定できるID)をICタグリーダ27で読み取り、その読み取られたICタグ番号データ46は、制御部35に送信され、受付完了したばかりの顧客の顧客データ52に図3、図8に示すように付加される。
【0060】
ところで、詳細タスク(要件)データ47は制御部35に送信されたが、この詳細タスク(要件)データ47は予測処理待ち時間の計算に利用される。
予測処理待ち時間は制御部35で計算され、予測処理待ち時間データ48として、1線端末26に送信される。
【0061】
また、それら顧客データ(顧客番号、タスク(要件)、処理待ち時間(予想)等)はテラーの確認用に1線システム17aの表示部24に表示され、テラーは顧客におおよその待ち時間を伝えることが出来る(ステップS506)。
この予測処理待ち時間の計算方法は後述する。
【0062】
以上までが、顧客が1線カウンターで受付を開始し、受付完了までの本システムの具体的動作の説明である。
【0063】
続いて、顧客の1線カウンターでの受付完了後から、退店までの本システムの具体的動作の説明をする。
【0064】
タスクが1線で完結する場合は、テラーが一切の処理を行い2線担当者への回付は行われないが、1線で完結しない場合は、1線処理を終えて2線担当者に運ばれたICタグ付きカルトン39のICタグの磁気情報(カルトンを特定できるID)はICタグリーダ33で読み取られる。
【0065】
このICタグ番号データ46は、2線端末30によって、制御部35へ送信される。この時、制御部35はこのICタグ番号データ46を含む顧客データ52を検索し、該当する受付番号データ40、詳細タスク(要件)データ47、来店時刻データ42等を2線端末30に送信する。2線端末30は当該データを受信し、これを表示部31に表示する。
【0066】
続いて、2線担当者の処理の開始ボタン(2線イン)、終了ボタン(2線アウト)が適宜押されることで、この信号は制御部35へ送信され、制御部35は、この信号を受信した時刻をもとに、図3に示したように、2線受付開始時刻データ49、2線受付完了時刻データ50を記録する。なお、2線の工程は必ずしも1つではないことから、前記2線イン、2線アウトの他に、例えば出納イン、出納アウト、検印イン、検印アウト等、適宜最適な工程を追加することも前記手順に則り対応可能である。
【0067】
その後、1線完結のタスクであっても、1線完結以外のタスクであっても、全ての処理は1線カウンターで顧客に通帳・伝票類等を返却することで完了する。この返却時には、まず、ICタグ付きカルトン39のICタグの磁気情報(ICタグ番号データ46)はICタグリーダ33で読み取られる。
【0068】
このICタグ番号データ46は、1線端末26によって、制御部35へ送信される。この時、制御部35はこのICタグ番号データ46を含む顧客データ52を検索し、該当する受付番号データ40、詳細タスク(要件)データ47、来店時刻データ42等を1線端末26に送信する。1線端末26は当該データを受信し、これを表示部24に表示する。このタイミングで、制御部35は、図3、図8に示すように、この信号を受信した時刻と、1線受付完了時刻と、の時間間隔を処理待ち時間データ51として、顧客データ52に付加する。
【0069】
以上までが、顧客の1線カウンターでの受付完了後から、退店までの本システムの具体的動作の説明である。
【0070】
ここで、前述した、予測処理待ち時間の計算方法の模式図を図6に示し、この計算方法を説明する。
【0071】
まず、制御部35は受信した詳細タスク(要件)データ47によって、1線完結のタスクか、1線完結以外のタスクか区別する。ここで、区別された1線完結のタスクの予測処理待ち時間61は予測取引処理時間62と1線予測返却処理時間63の和とする。当該予測取引処理時間62はタスク毎に登録されている基準処理時間64をもとに計算される。具体的には、タスク毎の基準処理時間64の和を予測取引処理時間62とする。また、1線予測返却処理時間63はあらかじめ設定した値を用いる。
【0072】
また、区別された1線完結以外のタスクの予測処理待ち時間65は、予測2線受付待ち時間66と予測取引処理時間67と2線予測返却処理時間68の和とする。当該予測取引処理時間67と当該2線予測返却処理時間68は1線完結のタスクと同様に計算される。該予測2線受付待ち時間66は、2線担当者の中で予測2線残り時間69が最短の時間とする。当該予測2線残り時間69は、処理中のタスクの予測2線残り時間と未処理のタスクの予測2線残り時間の和とする。当該処理中のタスクの予測2線残り時間はタスクの基準処理時間70からタスクの処理経過時間71を差し引いた時間とする。また、未処理のタスクの予測2線残り時間はタスク毎の基準処理時間72の和とする。
以上の計算方法により、予測処理待ち時間61、65は制御部35で計算される。
【0073】
ところで、上記全工程期間中、制御部35は、受付端末22、1線端末26、2線端末30から受信した顧客毎の進捗状況データを表示装置用端末29に送信し、待ち状況表示装置28aで待ち状況を表示させる。その待ち状況画面の表示例が図7である。
【0074】
この待ち状況の表示方法を詳細に説明する。制御部35は1線端末26からの受付完了信号受信後、上記で説明した、顧客毎に予測処理待ち時間61を計算する。それとともに、1線受付完了時刻データ45を顧客データ52に加える。
【0075】
この時、制御部35は、電子回路上で発振器などで得られる一定の周波数信号に基づいて刻まれる電子信号クロックなどを利用して、時間を計測している。
【0076】
待ち状況表示装置28aには、顧客毎に矢印のマークの数で待ち時間を表示させる。例えば、予測処理待ち時間61が15分と計算されれば、3個矢印を表示させる信号を表示装置用端末29に送信する。
【0077】
また、制御部35は、1線受付完了時刻から一定時間経過毎に、表示装置用端末29に一つの矢印のマークを変色させる信号を送信する。これによって、顧客毎の進捗状況を、わかりやすく報知することができる。
【0078】
以上の顧客毎の進捗状況の表示によって、顧客の処理待ち時間に対する精神的苦痛・不満を大幅に軽減することが可能となる。
【0079】
また、この顧客満足度の向上により、コミュニケーションの良化が図られ、本来行うべき様々なセールスがより円滑に行えるようになる。
【0080】
さらに上記実施形態において、制御部35で受信した店内の各処理工程の処理状況、処理待ち状況、対応要員数等を制御部端末36に接続された表示部37で一覧表示することが可能となる。これによって、店舗管理者は、客観的な情報に基づき店内処理状況の監視及び体制の見直しが可能となる。
【0081】
また、店舗が多数ある場合において、上記実施形態を全店舗でとり、店舗間のネットワークを構築し、1局にデータを収集することも可能となる。これによって、全店舗の状況を比較することが可能となり、優れている店舗などを抽出でき、問題工程の洗い出しも行える。
【0082】
さらに、毎日の処理結果の統計をとり、解析を行うことで、店別の処理状況を把握することも容易となる。
【0083】
同様に月別、日別、時間帯別に処理結果の統計をとり、解析を行うことで、各々の特徴を明確にできる。
【0084】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記実施形態の変形態様について、説明する。
【0085】
上記実施形態において、待ち状況表示装置28aでの待ち状況表示方法は、制御部35が、1線受付完了時、2線受付開始時、2線受付完了時、等の時に適宜、待ち状況表示装置28aに、矢印のマークの色で進捗状況を表示させる方法でもよい。例えば、2線受付開始時に矢印一つを変色させ、2線受付終了時に、矢印2つを変色させる信号を表示装置用端末29に送信してもよい。
【0086】
また、本システムは、銀行業務を行う店舗に限らず、郵便局・各役所・社会保険庁・病院等にも、同様に適用できる。
【0087】
また、ICタグ付きカルトンに代えて、バーコード付きカルトン、非接触ICカードを、ICタグリーダに代えてバーコードリーダ、非接触ICカードリーダを用いて本システムを実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施形態に係る金融機関業務処理システムの概要図を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る金融機関業務処理システムの構成を示す図である。
【図3】顧客データとして管理される各データを時間系列順に示した図。
【図4】予測受付待ち時間の計算手順を示すフローチャートである。
【図5】1線システムでのメニューにおける画面遷移図を示す図である。
【図6】予測処理待ち時間の計算方法の概要図を示す。
【図7】待ち状況表示装置での画面表示例を示す図である。
【図8】顧客データのデータ内容を示す概要図である。
【符号の説明】
【0089】
100 金融機関業務処理システム
11 受付カウンター
12 1線カウンター
13 2線カウンター
14 管理者席
16 受付システム
17a 1線システム
17b 出力システム
18 2線システム
19 制御システム
22 受付端末
23 発券機
26 1線端末
27 ICタグリーダ(1線)
28a 待ち状況表示装置
28b スピーカ
29 表示装置用端末
30 2線端末
33 ICタグリーダ(2線)
34 経由部
35 制御部
36 制御部端末
39 ICタグ付きカルトン
40 受付番号データ
46 ICタグ番号データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関において、テラーによる受付から処理終了までに要する待ち時間を予想して各顧客に提示するための業務システムであって、
各顧客に割り当てられたカルトンの識別情報と、該顧客が依頼した業務処理の内容と、処理開始時刻と、処理終了時刻と、を対応付ける処理データを記憶する処理履歴記憶手段と、
処理担当者により操作され、顧客に依頼された処理を開始する時に、前記カルトンの識別情報と業務処理と該顧客に関する処理開始時刻を前記処理履歴記憶手段に登録し、前記顧客に依頼された処理を終了する時に、カルトンの識別情報と該顧客に関する処理終了時刻を、既に記録されているカルトンの識別情報及び処理開始時刻に対応付けて前記処理履歴記憶手段に登録する処理端末と、
前記処理履歴記憶手段に蓄積された情報に基づいて、顧客の依頼業務別に待ち時間を求める待ち時間算出手段と、
各顧客の依頼業務と前記待ち時間算出手段で算出された業務別の待ち時間に基づいて、各顧客の待ち時間を予想して提示する手段と、
を備えることを特徴とする金融機関業務処理システム。
【請求項2】
前記処理端末は、担当者により操作されて処理の開始を指示する手段と、担当者により操作されて処理の終了を指示する手段と、前記カルトンの識別情報を非接触で読み取る手段と、を備え、
前記開始指示手段で開始が指示されたときに読み取ったカルトンの識別情報と時刻とを処理履歴記憶部に記憶させ、
開始終了手段で終了が指示されたときに読み取ったカルトンの識別情報をキーとして、そのときの時刻を、既に記憶されている該当カルトンの識別情報に対応付けて前記処理履歴記憶部に記憶させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の金融機関業務処理システム。
【請求項3】
複数の店舗の前記業務システムの処理履歴記憶手段に格納されている情報を収集して、処理及び加工する手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の金融機関業務処理システム。
【請求項4】
各カルトンには、そのカルトンの識別情報を記憶した非接触ICタグがセットされており、
前記処理端末は、ICタグリーダを備える、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の金融機関業務処理システム。
【請求項5】
コンピュータに、
各顧客に割り当てられたカルトンの識別情報と、該顧客が依頼した業務処理の内容と、処理開始時刻と、処理終了時刻と、を対応付ける処理データを記憶する処理履歴記憶手段と、
処理担当者により操作され、顧客に依頼された処理を開始する時に、カルトンの識別情報と業務処理と該顧客に関する処理開始時刻を前記処理履歴記憶手段に登録し、顧客に依頼された処理を終了するときに、カルトンの識別情報と該顧客に関する処理終了時刻を、既に記録されているカルトンの識別情報及び処理開始時刻に対応付けて前記処理履歴記憶手段に登録する処理端末、
前記処理履歴記憶手段に蓄積された情報に基づいて、顧客の依頼業務別に待ち時間を求める待ち時間算出手段、
各顧客の依頼業務と前記待ち時間算出手段で算出された業務別の待ち時間に基づいて、各顧客の待ち時間を予想して提示する手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−323679(P2006−323679A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147024(P2005−147024)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)