説明

釣 竿

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、元竿端部に軟質材からなる竿尻部材を取り付けた釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、元竿端部に軟質材からなる腹当て部材を離脱可能に取り付ける時は、釣竿素材と軟質材からなる腹当て部材に螺子部を形成して螺合しても、後者の螺子部は変形するから接着剤で固定する以外は、直接取り付けることは出来ず、金属材の取付部材を介して元竿端部に軟質材からなる腹当て部材が例えば実開昭63−124371号公報のように設けられていた。
【0003】前記提案の釣竿では、取付部材と腹当て部材は別材質、別体で形成され、取付部材の凹部に軟質材からなる腹当て部材の内向きの鍔部が係合されているので、結合部が剥離したり切れたりし易く、取付部材は形状が複雑で加工工数が多くコストアップになる欠点があった。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】解決しようとする問題点は、軟質材からなる腹当て部材に螺子部を形成すると螺子部は変形して元竿端部から離脱し易く、形状が複雑な金属材の取付部材を使用するとコストアップになることである。
【0005】本考案の目的は前記欠点に鑑み、元竿端部と軟質材からなる竿尻部材と一体の取付部に夫々螺子部を設けると共に後者の螺子部の変形を規制することで、元竿端部からの離脱を防止すると共にコストの低減を図った釣竿を提供することである。
【0006】
【問題を解決するための手段】本考案は、元竿端部に軟質材からなる竿尻部材を取り付けた釣竿において、前記元竿端部の螺子部に螺合する螺子部を形成した取付部と竿尻部材とを軟質材で一体形成し、前記取付部に該取付部に形成した螺子部の変形を規制する硬質材のリングを配設したことを要旨とするものである。
【0007】
【作用】元竿1の端部1a内周に螺子部1bが刻設されて腹当て部材2と一体の取付部3に形成された螺子部3aが螺合されている。元竿1の端部1aから取付部3が外される時は、引き抜き等による螺子部の変形では外れず、螺子部の螺合方向と反対方向に回動されると外すことが出来る。
【0008】
【実施例】以下、図示の実施例によって本考案を説明すると、図1は第1実施例で竿尻部材を腹当て部材として説明する断面側面図である。
【0009】図1で釣竿は元竿1の端部1a内周に螺子部1bが刻設されて端部1aに腹当て部材2と一体の取付部3が取り付けられている。端部が曲面の腹当て部材2と筒状の取付部3は天然ゴム、人工ゴム、軟質合成樹脂等弾性変形可能な軟質材で一体に形成され、取付部3外周に螺子部3aが形成されて螺子部3aは螺子部1bに螺合されている。取付部3内周には凹部3bが形成されて螺子部3aの変形を規制する金属、セラミック、硬質合成樹脂等の硬質材のリング4が圧入嵌合されて配設されている。元竿1の端部1aから取付部3が外される時は、引き抜き等螺子部の変形では外れず、螺子部の螺合方向と反対方向に回動されると外すことが出来る。元竿1の素材は図示しない芯金に炭素繊維やガラス繊維やアラミド繊維やアルミナ繊維やケプラ繊維及びその他の有機繊維、無機繊維などの高強度繊維で補強した織布等にエポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化樹脂を含浸したプリプレグシ−トが適宜数捲回された後、その外側にテ−ピングが施され、加熱炉の中に入れられて常法に従って熱硬化処理で一体に成形されている。
【0010】前記のように釣竿が構成されると、取付部3に形成された螺子部3aは硬質材のリング4で変形が規制されるから、取付部3に引き抜く方向の力が掛かっても元竿1の端部1aの螺子部1bに螺合された螺子部3aが外れることがない。更に腹当て部材2と取付部3が軟質材で一体に形成されているから、金属材の取付部が不要になり、形状が簡単で加工工数が低減されてコストダウンを図ることが出来る。
【0011】図2は第2実施例で竿尻部材を腹当て部材として説明する断面側面図である。
【0012】図2で釣竿は元竿1の端部1a外周に螺子部1cが刻設されて端部1aに腹当て部材2と一体の取付部3が取り付けられている。端部が曲面の腹当て部材2と筒状の取付部3は天然ゴム、人工ゴム、軟質合成樹脂等弾性変形可能な軟質材で一体に形成され、取付部3内周に螺子部3cが形成されて螺子部3cは螺子部1cに螺合されている。取付部3外周には凹部3dが形成されて螺子部3cの変形を規制する金属、セラミック、硬質合成樹脂等の硬質材のリング5が嵌合配設されている。元竿1の端部1aから取付部3が外される時は、引き抜き等螺子部の変形では外れず、螺子部の螺合方向と反対方向に回動されると外すことが出来る。
【0013】図3は第3実施例で竿尻部材を尻栓として説明する断面側面図である。
【0014】図3で釣竿は元竿1の端部1a内周に螺子部1bが刻設されて端部1aに尻栓6と一体の取付部3が取り付けられている。端部が球面の尻栓6と筒状の取付部3は天然ゴム、人工ゴム、軟質合成樹脂等弾性変形可能な軟質材で一体に形成され、取付部3外周に螺子部3aが形成されて螺子部3aは螺子部1bに螺合されている。取付部3内周には凹部3bが形成されて螺子部3aの変形を規制する金属、セラミック、硬質合成樹脂等の硬質材のリング4が嵌合配設されている。
【0015】図4は第4実施例で竿尻部材を尻栓として説明する断面側面図である。
【0016】図4で釣竿は元竿1の端部1a外周に螺子部1cが刻設されて端部1aに尻栓6と一体の取付部3が取り付けられている。端部が球面の尻栓6と筒状の取付部3は天然ゴム、人工ゴム、軟質合成樹脂等弾性変形可能な軟質材で一体に形成され、取付部3内周に螺子部3cが形成されて螺子部3cは螺子部1cに螺合されている。取付部3外周には凹部3dが形成されて螺子部3cの変形を規制する金属、セラミック、硬質合成樹脂等の硬質材のリング5が嵌合配設されている。元竿1の端部1aから取付部3が外される時は、引き抜き等螺子部の変形では外れず、螺子部の螺合方向と反対方向に回動されると外すことが出来る。
【0017】図5は第2実施例の釣竿の硬質材のリング5を尻手ロ−プ取付環とした第1応用例断面側面図である。
【0018】図5で釣竿の元竿1の端部1aと腹当て部材2と取付部3とリング5は前記第2実施例と同様に構成されている。軟質材の取付部3外周の凹部3dに嵌合されたリング5は例えば金属材とし、リング5に取付金具7が固定され、取付金具7に小環8が取り付けられている。小環8には図示しない尻手ロ−プが取り付けられる。
【0019】尻手ロ−プ取付環を釣竿に取り付けた場合の従来の欠点と第1応用例による効果を説明すると次のようになる。従来、尻手ロ−プ取付環が釣竿に取り付けられる時は、前記実開昭63−124371号公報のように金属の取付部材に尻手ロ−プ取付環が回転自在に嵌合されていた。 このように回転自在に嵌合されていると、尻手ロ−プ取付環等の重みで常に下方向に位置するため、置き竿をしたりする時に引っ掛かったり、釣竿が転動したりする欠点があると共に、釣竿操作時鳴きの異音が発生したり、右利き、左利き等使用する人の癖等により、尻手ロ−プ取付環の所望位置が異なり、右、左又はリ−ルシ−トに対して上や下にセットしたい時があってもそれが出来ない欠点があった。第1応用例のように軟質材の取付部3外周の凹部3dに嵌合されたリング5は滑り止めされるので、取付金具7と小環8が所望位置になるようにリング5を回すことが出来る効果がある。
【0020】図6は第2実施例の釣竿の元竿1の端部外周に尻手ロ−プ取付環9が取り付けられた第2応用例断面側面図である。
【0021】図6で釣竿の元竿1の端部1aと腹当て部材2と取付部3とリング5は前記第2実施例と同様に構成されている。元竿1の端部1a外周の螺子部1cより前側に段部1dが形成されて尻手ロ−プ取付環9が嵌合されている。尻手ロ−プ取付環9には取付金具7が固定され、取付金具7に小環8が取り付けられて小環8には図示しない尻手ロ−プが取り付けられる。
【0022】元竿1の端部1a外周に嵌合された尻手ロ−プ取付環9は、元竿1の螺子部1cに対して取付部3の螺子部3cが螺合されて前側に前進されると、段部1dに尻手ロ−プ取付環9が押し付けられて所望位置に回り止めされ、取付部3の螺子部3cが緩められると、尻手ロ−プ取付環9の回動が自由になる。
【0023】
【考案の効果】本考案は前述のように構成されたから、取付部に形成された螺子部は硬質材のリングで変形が規制されるので、取付部に引き抜く方向の力が掛かっても元竿の端部の螺子部から外れることがなく、更に竿尻部材と取付部が軟質材で一体に形成されているので、金属材の取付部が不要になり、形状が簡単で加工工数が低減されてコストダウンを図ることが出来る等実用上優れた効果を奏する釣竿を提供することが出来る。
【0024】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例で竿尻部材を腹当て部材とした断面側面図である。
【図2】第2実施例で竿尻部材を腹当て部材とした断面側面図である。
【図3】第3実施例で竿尻部材を尻栓とした断面側面図である。
【図4】第4実施例で竿尻部材を尻栓とした断面側面図である。
【図5】第2実施例の釣竿の硬質材のリングを尻手ロ−プ取付環とした第1応用例断面側面図である。
【図6】第2実施例の釣竿の元竿の端部外周に尻手ロ−プ取付環が取り付けられた第2応用例断面側面図である。
1 元竿
1a 端部
2、6 竿尻部材
3 取付部
1b、1c、3a、3c 螺子部
4、5 硬質材のリング

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 元竿端部に軟質材からなる竿尻部材を取り付けた釣竿において、前記元竿端部の螺子部に螺合する螺子部を形成した取付部と竿尻部材とを軟質材で一体形成し、前記取付部に該取付部に形成した螺子部の変形を規制する硬質材のリングを配設したことを特徴とする釣竿。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【公告番号】実公平7−41346
【公告日】平成7年(1995)9月27日
【考案の名称】釣 竿
【国際特許分類】
【出願番号】実願平3−22596
【出願日】平成3年(1991)3月14日
【公開番号】実開平4−110472
【公開日】平成4年(1992)9月25日
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【参考文献】
【文献】実開平2−113967(JP,U)
【文献】実開平1−168163(JP,U)
【文献】実開昭64−41267(JP,U)
【文献】実開昭63−23970(JP,U)
【文献】実開昭62−164769(JP,U)
【文献】実開昭63−124371(JP,U)