説明

釣り用ウキの製造方法

【課題】高品質なウキを高い製品歩留まりで製造可能な釣り用ウキの製造方法を提供する。
【解決手段】下半部の分割面に上半部の分割面を突き合わせ、熱硬化性合成樹脂と発泡剤と硬化剤とが注入されたカプセルを封止し、カプセルに超音波振動を付加して上半部と下半部とを超音波溶着する。これにより、短時間で確実かつ仕上がりも良好にカプセルを組み立てできる。しかも、カプセル内に注入された熱硬化性合成樹脂と発泡剤と硬化剤とを超音波振動により撹拌して発泡させるため、従来法の課題であった、初回ショット時より最終ショット時のウキ本体の方が軽量化する点を解決ができる。これにより、高品質なウキを高い製品歩留まりで製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は釣り用ウキの製造方法、詳しくは発泡プラスチック(プラスチックフォームまたは合成樹脂発泡体)からなるウキ本体を有した釣り用ウキの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、以下のプロセスで釣り用ウキは製造されていた。
例えば、特許文献1(特開2005−87165号公報)にはウキの製造方法が開示されている。すなわち、まず液状の熱硬化性合成樹脂(ポリウレタン)と発泡剤と硬化剤とをプレミックスした成形材料を加熱金型内に充填し、ウキ本体を注型発泡成形する。このとき、ウキ本体の所定位置に錘を埋め込む。次に、良品のウキ本体に対して、例えば白色での下地塗装を行う。その後、ウキ本体の表面を研磨し、次に赤色での部分的な塗装、青色での部分的な塗装、ニス塗りなどの仕上げ塗装を順次施す。そして浮力検査を行い、検査に合格したものを製品とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−87165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この製法には、以下の欠点があった。すなわち、主に浮力の面で品質が一定とならず、製造歩留まりが低下していた。これは、次の理由による。
第1に、加熱金型に充填される成形材料は、一般的にウキ本体の生産性を高めるため、例えば50ショット分(1ショットが10個取りの場合、500個分)の熱硬化性合成樹脂と発泡剤と硬化剤とがプレミックスされている。そのため、ショットの回数が後のものほど発泡剤による熱硬化性合成樹脂の発泡度が大きくなり、熱硬化性合成樹脂の密度が低下し、ウキ本体が軽くなっていた。その結果、基準値から0.1g程度の誤差で不良品となるような重量規格が厳密なウキについては、製品歩留まりが低下していた。
第2に、加熱金型を用いてウキ本体を注型発泡成形した場合、ウキ本体の外周面にバリが発生していた。バリの形状や厚さは個々のウキ本体で異なる。そのため、バリの除去には熟練を要し、バリ除去時にウキ本体の表面に傷を付け、製品歩留まりをさらに低下させていた。
【0005】
そこで、この発明は、高品質なウキを高い製品歩留まりで製造することができる釣り用ウキの製造方法を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、熱可塑性合成樹脂からなるカプセルを2分割した上半部と下半部とを作製する分割カプセル作製工程と、上記下半部内に、ウキ本体の注型発泡成形用の液状の熱硬化性合成樹脂と発泡剤と硬化剤とを注入する注入工程と、この注入工程の後、上記下半部の分割面に上記上半部の分割面を突き合わせることにより、上記カプセル内に上記熱硬化性合成樹脂、上記発泡剤および上記硬化剤を封止する封止工程と、この封止工程の後、このカプセルに超音波振動を付加することにより、その上半部と下半部とを超音波溶着するとともに、このカプセル内で上記熱硬化性合成樹脂と上記発泡剤と上記硬化剤とを撹拌してこれを発泡させることにより、上記ウキ本体を成形する超音波振動工程とを備えた釣り用ウキの製造方法である。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、カプセルの下半部の分割面に上半部の分割面を突き合わせて、1個のカプセルに、ウキ本体の設定密度に応じた分量の熱硬化性合成樹脂と発泡剤とを注入し、所定量の液状の熱硬化性合成樹脂と所定量の発泡剤と硬化剤とを封止する。その後、この状態で、カプセルに超音波振動を付加する。これにより、上半部と下半部との分割面同士が、接着剤などを使用することなく、短時間のうちに確実かつ外観的な仕上がりも良好に超音波溶着される。しかも、この超音波振動によりカプセル内の材料が撹拌されて発泡剤の作用によって熱硬化性合成樹脂が発泡し、これがカプセル内に充填されて硬化することでウキ本体が成形される。
【0008】
このように、ウキ本体の1個分の熱硬化性合成樹脂と発泡剤とを硬化剤とカプセルに注入し、これをカプセルの上半部と下半部とを超音波溶着する際に発泡させる方法を採用したため、従来の数十ショット分の熱硬化性合成樹脂と発泡剤と硬化剤とをプレミックスする方法の課題であった、初回ショット時より最終ショット時のウキ本体の方が軽量(低密度)化する欠点を解決することができる。以上のことから、高品質なウキを高い製品歩留まりで製造することができる。
【0009】
釣り用ウキの種類としては、例えば棒ウキ、斜めウキ、水平ウキ、ドングリウキ、ナツメウキ、環付ウキ、カゴウキなどを採用することができる。カプセルの形状は、ウキの種類に応じて適宜変更される。また、このような熱可塑性合成樹脂からなるカプセルの超音波溶着と、カプセル内での熱硬化性合成樹脂の発泡とを伴うウキの製造方法は、ルアーや餌木の製造にも応用することができる。
熱可塑性合成樹脂としては、例えば、超音波振動が伝達され易いポリプロピレン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどを採用することができる。
カプセルの上半部とは、縦置きまたは横置き状態のカプセルの略上半分である。また、カプセルの下半部とは、縦置きまたは横置き状態のカプセルの略下半分である。
上半部および下半部の作製方法としては、例えば、射出成形、圧縮成形などを採用することができる。
【0010】
ウキ本体とは、発泡プラスチックからなり、釣り用ウキに所定の浮力を与えるウキの本体部分である。
ウキ本体の成形材料である液状の熱硬化性合成樹脂としては、熱硬化性ポリウレタン(例えばアキレス株式会社製、アキレスエアロン−R;R液)などを採用することができる。
発泡剤としては、例えば液状のHC(ハイドロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)などを採用することができる。その他、熱硬化性合成樹脂には、ジメチルポリシロキサン系シリコーンオイルなどの整泡剤などを所定量添加することができる。
硬化剤としては、例えば液状のイソシアネートなどを採用することができる。例えば、アキレス株式会社製、アキレスエアロン−R;I液である。
超音波溶着(超音波ウェルダー)とは、超音波振動による摩擦発熱等を利用し、超音波振動が伝達され易い熱可塑性合成樹脂からなるパーツ(カプセルの下半部および上半部)の接合面(分割面)を、接着剤や溶剤などを使用せず、瞬時に溶着する方法である。
【0011】
超音波溶着時に用いられる超音波溶着機(超音波ウェルダー)は、電気エネルギーを機械的振動エネルギーに変換し、同時に加圧することで2つのパーツの接合面に高い摩擦熱を発生させ、樹脂を溶融し結合させる装置である。具体的には、50Hzまたは60Hzの電気的信号を発振器により20kHzまたは35kHzの電気的信号に変換する。入力時の電圧は、発振器内部で1000V近くまで増幅され、振動子(圧電素子)へと伝えられる。発振器で増幅された20kHzまたは35kHzの電気信号は発振器から振動子へ伝達され、そこで機械的振動エネルギーに変換される。例えば、20kHzの振動子は1秒間に2万回振動を行うが、その振動エネルギーはアルミ合金やチタン合金製のホーンと呼ばれる共鳴体を介してパーツに伝達される。この振動エネルギーによりパーツの接合面では高い摩擦熱が発生し、熱可塑性合成樹脂の溶融温度まで瞬時に上昇し、一般的に1秒以下で溶着される。なお、安定した溶着を行うには、パーツの受ジグが必要となる。
また、この超音波溶着時、カプセルの振動がその内部にも伝達され、熱硬化性合成樹脂と発泡剤とが撹拌混合される。これにより、カプセル内で熱硬化性合成樹脂が発泡し、これがカプセルの内部空間に充填され、発泡プラスチックからなるウキ本体が成形される。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、上記注入工程では、この下半部内に上記熱硬化性合成樹脂と上記発泡剤と上記硬化剤とを注入する前に、この下半部内に錘を収納する請求項1に記載の釣り用ウキの製造方法である。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、注入工程において、錘をカプセルの下半部の所定位置に収納して、下半部内に熱硬化性合成樹脂と発泡剤と硬化剤とを注入し、その後、下半部と上半部とを突き合わせて、超音波振動によりカプセルを封止するとともに熱硬化性合成樹脂を発泡させるので、錘付きの高品質なウキを、高い製品歩留まりで製造することができる。
錘の素材としては、例えば真鍮、鉛、ステンレスなどを採用することができる。錘の重さ、形状は任意である。ウキ本体内での錘の埋め込み位置としては、例えばウキ本体の下端部など、任意である。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、上記注入工程では、この下半部内に上記熱硬化性合成樹脂と上記発泡剤と上記硬化剤とを注入する前に、この下半部内に、上記カプセルの両端部を貫通する中通し管の一部を収納し、上記封止工程では、この中通し管が、上記カプセルの両端部を貫通した状態でこのカプセル内に封止される請求項1または請求項2に記載の釣り用ウキの製造方法である。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、注入工程において、中通し管をカプセルの下半部の所定位置に収納して、下半部内に熱硬化性合成樹脂と発泡剤と硬化剤とを注入し、その後、下半部と上半部とを突き合わせて、超音波振動によりカプセルを封止するとともに熱硬化性合成樹脂を発泡させるので、中通し管付きの高品質なウキを、高い製品歩留まりで製造することができる。
【0016】
中通し管とは、釣り用ウキに埋め込まれて釣り糸が挿通される中通し孔が内部空間に存在する管体である。中通し孔の長さや形状は限定されない。中通し管の断面形状としては、例えば、円筒形、楕円筒形、三角形以上の多角筒形状などを採用することができる。中通し孔の通常孔径部の直径は、例えばふかせ浮きなどの比較的小型の中通し浮きの場合には1.5〜3mm、好ましくは2〜2.5mmである。その他の中通し管として、例えば入口の直径が5〜7mm、出口の直径が3〜3.4mmのテーパ管を採用することができる。また、入口と出口とは同一直径であるものの、長さ方向の中間部が異径となった中通し管でもよい。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、下半部の分割面と上半部の分割面とを突き合わせることにより、熱硬化性合成樹脂と発泡剤と硬化剤とが注入されたカプセルを封止し、この状態で、カプセルに超音波振動を付加し、上半部と下半部とを超音波溶着する。これにより、短時間のうちに確実かつ外観的な仕上がりも良好にカプセルを組み立てることができる。しかも、カプセル内にはウキ本体の1個分の熱硬化性合成樹脂と発泡剤と硬化剤とを注入し、これをカプセルの超音波溶着時に発泡させる方法を採用したため、従来の数十ショット分の熱硬化性合成樹脂と発泡剤と硬化剤とをプレミックスする方法の課題であった、初回ショット時より最終ショット時のウキ本体の方が軽量化する欠点を解消することができる。このようにして、高品質なウキを高い製品歩留まりで製造することができる。
【0018】
特に、請求項2に記載の発明によれば、注入工程で錘を下半部の所定位置に収納し、その後、下半部と上半部とを超音波溶着するとともに、カプセル内で熱硬化性合成樹脂を発泡させてウキ本体を成形するので、錘を内蔵した高品質なウキを、高い製品歩留まりで製造することができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、注入工程で中通し管を下半部の所定位置に収納し、その後、下半部と上半部とを超音波溶着するとともに、カプセル内で熱硬化性合成樹脂を発泡させてウキ本体を成形するので、中通し管を内蔵した高品質なウキを、高い製品歩留まりで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施例1に係る釣り用ウキの製造方法の超音波振動工程中における釣り用ウキが装着された超音波振動装置の要部拡大縦断面図である。
【図2】この発明の実施例1に係る釣り用ウキの製造方法の一部を示すフローシートである。
【図3】この発明の実施例1に係る釣り用ウキの製造方法の封止工程を示すカプセルの要部拡大縦断面図である。
【図4】この発明の実施例1に係る釣り用ウキの製造方法の超音波振動工程直後における釣り用ウキが装着された超音波振動装置の要部拡大縦断面図である。
【図5】この発明の実施例1に係る釣り用ウキの製造方法により製造された釣り用ウキの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例】
【0022】
図1〜図5に示すように、この発明の実施例1に係る釣り用ウキの製造方法は、釣り用ウキ10を製造するに際して、熱可塑性合成樹脂からなるカプセル11を2分割した上半部12と下半部13とを作製する分割カプセル作製工程と、下半部13内に、ウキ本体14の注型発泡成形用の熱硬化性合成樹脂と発泡剤とを均一に撹拌した液状の主剤aと、液状の硬化剤bとを注入する注入工程と、この注入工程の後、下半部13の分割面に上半部12の分割面を突き合わせることにより、カプセル11内に主剤aと硬化剤bとを封止する封止工程と、この封止工程の後、このカプセル11に超音波振動を付加することにより、その上半部12と下半部13とを超音波溶着するとともに、このカプセル11内で主剤aと硬化剤bとを撹拌してこれを発泡させることで、ウキ本体14を成形する超音波振動工程とを備えたものである。
【0023】
以下、これらの工程を具体的に説明する。
図2(a)に示すように、分割カプセル作製工程では、ドングリ形状の密閉可能な容器である長さ36mm、最大直径22mmのカプセル11を、その長軸に直交する面により上下に略2分割した上半部12と下半部13とを、ABS樹脂(熱可塑性合成樹脂)によりそれぞれ射出成形する。
得られた上半部12の分割面(開口縁)の内周部分には、その先端面に環状突起12aを有した嵌合用のフランジ12bが上半部12と同一素材で一体的に成形されている(図3)。また、下半部13の分割面の外周部分には、このフランジ12bが嵌るフランジ溝13bが形成されている。また、上半部12および下半部13の各中央部分には、カプセル11の長軸方向の両端部を貫通する中通し管15の挿通孔12c、13cがそれぞれ形成されている(図4)。
【0024】
図1および図2(b)に示すように、注入工程では、まず開口部を上に向けた下半部13の底部に、中央部に中通し管15が挿通される貫通孔16aが形成された略独楽形状の錘16が収納され、またこの貫通孔16aと下半部13の挿通孔13cとに、中通し管15の下部が一連に挿通される。このとき、中通し管15の下端部は下半部13の下方へ突出される。中通し管15はABS樹脂製のストレート管で、その長さはカプセル11の軸長方向の長さより長い。錘16は真鍮製で、重さは2〜5gである。
【0025】
次に、図2(c)に示すように、40℃〜50℃に約10分間予熱された下半部13に、ウキ本体14の1個分の主剤a(0.7g)と硬化剤b(0.7g)とを注入する。なお、これらをプレミックスしたものでもよい。主剤aを構成する熱硬化性合成樹脂は液状の熱硬化性ポリウレタン(ポリエーテルポリオール)、発泡剤は液状のペンタフルオロブタンで、発泡剤の添加量は熱硬化性合成樹脂100重量%に対して8重量%である。また、硬化剤bは液状のイソシアネートである。
具体的には、主剤aとしてアキレス株式会社製のアキレスエアロン−R;R液を採用し、硬化剤bとしてアキレス株式会社製のアキレスエアロン−R;I液を採用している。
次いで、40℃〜50℃に約10分間予熱された上半部12を、その挿通孔12cに中通し管15の上部を挿通させた状態で、互いの分割面(接合面)を突き合わせて嵌合する。詳しくは、環状突起12aを環状溝13aに嵌合し、フランジ12bをフランジ溝13bに嵌め合わせることで、上半部12と下半部13とからカプセル11を組み立てる。
【0026】
次に、図1に示すように、このカプセル11を、超音波溶着機の加振ステージの床面に設置された圧延鋼製の受ジグ17に起立状態でセットする。その後、加振ステージの上方からアルミ合金製のホーン18を下降し、受ジグ17とホーン18との間で、カプセル11を0.1MPaの圧力で挟持する。
次いで、この状態を保持し、超音波溶着機Aからの超音波振動をカプセル11に作用させる。具体的には、60Hzの電気的信号を発振器により20kHzの電気的信号に変換する。入力時の電圧は、発振器により1000V近くまで増幅され、圧電素子からなる振動子へと伝達され、機械的振動エネルギーに変換される。このとき、振動子は1秒間に2万回振動し、その振動エネルギーはホーン18を介してカプセル11に伝達される。この振動エネルギーにより上半部12と下半部13との分割面では高い摩擦熱が発生し、ABS樹脂の溶融温度まで1秒以下で到達し、上半部12と下半部13とを溶着する。
【0027】
また、この超音波溶着時、カプセル11の振動がその内部にも伝達され、液状の主剤aと液状の硬化剤bとが撹拌混合される。これにより、カプセル11内で主剤aが発泡し、これがカプセル11の内部空間に充填されて硬化剤cの作用で硬化し、発泡プラスチックからなるウキ本体14が成形される(図4)。
なお、図1および図4において、17aは、受ジグ17の中央部の表裏面を貫通して形成されたカプセル11の下部が挿入される下部支持孔、18aは、ホーン18の下面の中央部に形成されたカプセル11の上部が挿入される上部支持孔である。
次に、超音波溶着機Aからカプセル11を取り出し、そのカプセル11の外へ突出した中通し管15の両端部をカットする。その後、カプセル11の外周面に白色の塗料での下地塗装と、赤色および青色の塗料での部分塗装と、ニスによる仕上げ塗装とを順次施す。塗料の乾燥後、製造された釣り用ウキ10の浮力検査を行い、検査に合格したものを製品とする(図5)。
【0028】
このように、下半部13の分割面と上半部12の分割面とを突き合わせてカプセル11を封止し、この状態でカプセル11に超音波振動を付加し、上半部12と下半部13とを超音波溶着するので、短時間のうちに確実かつ外観的な仕上がりも良好にカプセル11を組み立てることができる。しかも、カプセル11内にはウキ本体14の1個分の主剤aと硬化剤bとを注入し、これをカプセル11の超音波溶着時に発泡させる方法を採用したため、従来の数十ショット分の主剤と硬化剤とをプレミックスする方法の課題であった、初回ショット時より最終ショット時のウキ本体14の方が軽量化する欠点を解消することができる。このようにして、高品質なウキを高い製品歩留まりで製造することができる。
また、注入工程で中通し管15と錘16とをカプセル11内の所定位置に収納し、その後、下半部13と上半部12とを超音波溶着するとともに、カプセル11内で主剤aを発泡させてカプセル11内でウキ本体14を成形するので、中通し管15および錘16を内蔵した高品質なウキを、高い製品歩留まりで製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明の釣り用ウキの製造方法は、浮力が均一なウキを大量生産する技術として有用である。
【符号の説明】
【0030】
10 釣り用ウキ、
11 カプセル、
12 上半部、
13 下半部、
14 ウキ本体、
15 中通し管、
16 錘。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性合成樹脂からなるカプセルを2分割した上半部と下半部とを作製する分割カプセル作製工程と、
上記下半部内に、ウキ本体の注型発泡成形用の液状の熱硬化性合成樹脂と発泡剤と硬化剤とを注入する注入工程と、
この注入工程の後、上記下半部の分割面に上記上半部の分割面を突き合わせることにより、上記カプセル内に上記熱硬化性合成樹脂、上記発泡剤および上記硬化剤を封止する封止工程と、
この封止工程の後、このカプセルに超音波振動を付加することにより、その上半部と下半部とを超音波溶着するとともに、このカプセル内で上記熱硬化性合成樹脂と上記発泡剤と上記硬化剤とを撹拌してこれを発泡させることにより、上記ウキ本体を成形する超音波振動工程とを備えた釣り用ウキの製造方法。
【請求項2】
上記注入工程では、この下半部内に上記熱硬化性合成樹脂と上記発泡剤と上記硬化剤とを注入する前に、この下半部内に錘を収納する請求項1に記載の釣り用ウキの製造方法。
【請求項3】
上記注入工程では、この下半部内に上記熱硬化性合成樹脂と上記発泡剤と上記硬化剤とを注入する前に、この下半部内に、上記カプセルの両端部を貫通する中通し管の一部を収納し、
上記封止工程では、この中通し管が、上記カプセルの両端部を貫通した状態でこのカプセル内に封止される請求項1または請求項2に記載の釣り用ウキの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−170334(P2012−170334A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32158(P2011−32158)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(511043334)株式会社キザクラ (1)
【Fターム(参考)】