説明

釣用仕掛け保持具

【課題】仕掛けが不意に抜け落ちてしまうのを好適に防止することができる釣用仕掛け保持具を提供する。
【解決手段】貫通孔が形成された釣用の仕掛けを保持するための釣用仕掛け保持具1であって、つまみ部10と、このつまみ部10に少なくとも一端が固定された線材20a1,20b1からなり、他端がつまみ部10側へ折り返されてループ状とされた先端部21を有する保持部20と、を備え、先端部21は、その先端に向けてテーパ状に窄まり貫通孔に挿通可能な挿通部21aを有しており、保持部20には、つまみ部10と挿通部21aとの間に、挿通部21aの滑り抵抗よりも大きな滑り抵抗を付与する抵抗部22が設けられている構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣用の仕掛けを保持することができる釣用仕掛け保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貫通孔が形成された仕掛け、例えば、ウキゴム類、シモリ玉やウキ等を保持する釣用仕掛け保持具として、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
この釣用仕掛け保持具では、つまみ部と、このつまみ部に固定された線材からなる保持部とを備えており、仕掛けの貫通孔に保持部を挿通することで、保持部に仕掛けを保持しておくことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−38074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の釣用仕掛け保持具では、保持部に挿通されて保持された仕掛けが、使用中に不意に保持部の先端部から抜け落ちるおそれがあり、その改善が望まれていた。
特に、ホルダー等を介して釣人の衣服等に釣用仕掛け保持具を装着して使用した場合には、仕掛けが衣服等に擦れて先端部へ移動するおそれがあり、不意に先端部から抜け落ちるおそれがあった。また、振動や衝撃等を受けた場合にも、同様に抜け落ちるおそれがあった。
【0006】
本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、仕掛けが不意に抜け落ちてしまうのを好適に防止することができる釣用仕掛け保持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決する本発明の釣用仕掛け保持具は、貫通孔が形成された釣用の仕掛けを保持するための釣用仕掛け保持具であって、つまみ部と、このつまみ部に少なくとも一端が固定された線材からなり、他端が前記つまみ部側へ折り返されてループ状とされた先端部を有する保持部と、を備え、前記先端部は、その先端に向けてテーパ状に窄まり前記貫通孔に挿通可能な挿通部を有しており、前記保持部には、前記つまみ部と前記挿通部との間に、前記挿通部の滑り抵抗よりも大きな滑り抵抗を付与する抵抗部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この釣用仕掛け保持具によれば、ループ状とされた先端部は、その先端に向けてテーパ状に窄まって貫通孔に挿通可能な挿通部を有しているので、保持部に仕掛けを保持する際には、挿通部を貫通孔に挿通することで、保持部に簡単に仕掛けを保持することができる。
そして、保持部には、つまみ部と挿通部との間に、挿通部の滑り抵抗よりも大きな滑り抵抗を付与する抵抗部が設けられているので、保持部に仕掛けが挿通保持された後に、先端部へ向けて仕掛けが移動したとしても、抵抗部の存在によって、先端部へ向けた仕掛けの移動が規制されることとなる。
【0009】
また、前記抵抗部は、線材を山谷状に曲げてなることを特徴とする。
この釣用仕掛け保持具によれば、線材を山谷状に曲げることで保持部に抵抗部を簡単に形成することができる。
【0010】
また、前記抵抗部は、前記先端部の一部が前記つまみ部へ向けて窄まるように形成されてなることを特徴とする。この場合、前記抵抗部は、前記つまみ部へ向けて段付き状に窄まるように形成することができる。
【0011】
この釣用仕掛け保持具によれば、先端部の一部に抵抗部を一体的に形成することができる。つまり、先端部を形成する過程で抵抗部も形成することができ、保持部の形状や加工がシンプルなものとなる。
【0012】
また、抵抗部が、つまみ部へ向けて段付き状に窄まるように形成されることで、先端部へ向けた仕掛けの移動がより確実に規制されることとなる。
【0013】
また、前記抵抗部は、前記つまみ部側へ折り返された他端を前記つまみ部側に絡げることで形成されていることを特徴とする。
【0014】
この釣用仕掛け保持具によれば、つまみ部側へ折り返された他端をつまみ部側に絡げることで抵抗部を簡単に形成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、保持部に簡単に仕掛けを保持することができ、使い勝手がよい。
また、抵抗部による滑り抵抗によって、先端部へ向けた仕掛けの移動が規制されることとなるので、仕掛けが保持部から不意に抜け落ちてしまうのを好適に防止することができる。
【0016】
また、線材を山谷状に曲げてなる抵抗部を備えた構成では、抵抗部を簡単に形成することができるので、生産性に優れ、仕掛けが不意に抜け落ちてしまうのを好適に防止する構成を備えていながら、コストの低減を図ることができる。
【0017】
また、抵抗部が、先端部の一部をつまみ部へ向けて窄まるように形成されてなる構成では、構成がシンプルなものとなり、これによって、生産性の向上を図ることができる。このことは、コストの低減に寄与する。
また、先端部の一部を利用して抵抗部が形成されるので、先端部の一部を利用した分、保持部の全長を短くすることが可能となる。したがって、保持可能な仕掛けの数を減らすことなく、コンパクト化を図ることができる。
また、先端部を形成する過程で抵抗部を簡単に形成することができ、生産性に優れる。
【0018】
また、抵抗部が、つまみ部へ向けて段付き状に窄まるように形成された構成では、先端部へ向けた仕掛けの移動がより確実に規制されることとなるので、使用中に不意に仕掛けが抜け落ちるのをより確実に防止することができる。
【0019】
また、抵抗部が、つまみ部側へ折り返された他端をつまみ部側に絡げることで形成された構成では、つまみ部側に絡げることで抵抗部を簡単に形成することができるので、生産性に優れ、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る釣用仕掛け保持具を示す斜視図、(b)は仕掛けを保持した状態を示す斜視図、(c)は先端部および抵抗部の拡大平面図、(d)は抵抗部における線材の重なり具合を変更した状態を示す拡大平面図である。
【図2】(a)〜(e)は仕掛けを保持する際の様子を示す説明図である。
【図3】使用状態を示す説明図である。
【図4】作用説明図である。
【図5】(a)は本発明の第2実施形態に係る釣用仕掛け保持具の先端部および抵抗部を示す拡大平面図、(b)は拡大側面図である。
【図6】(a)は本発明の第3実施形態に係る釣用仕掛け保持具を示す拡大平面図、(b)(c)は仕掛けを保持する際の様子を示す説明図である。
【図7】(a)(b)は第3実施形態の変形例に係る釣用仕掛け保持具の先端部および抵抗部を示す拡大平面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る釣用仕掛け保持具の先端部および抵抗部を示す拡大平面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る釣用仕掛け保持具の先端部および抵抗部を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る釣用仕掛け保持具の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0022】
(第1実施形態)
図1(a)(b)に示すように、釣用仕掛け保持具1は、貫通孔51が形成された釣用の仕掛け50(図1(b)参照)を保持するための保持具であり、つまみ部10と、このつまみ部10に固定された保持部20とを備えている。
つまみ部10は、樹脂材で形成されており、釣人の指先でつまみ易いように角部の丸くされた板状を呈している。つまみ部10の一端10aには、保持部20を構成する線材の両端20a,20bが埋設されて固定されている。また、つまみ部10の他端10bには、上下方向に貫通する貫通孔11が形成されている。この貫通孔11には、図示しない連結具を装着することができ、この連結具を介してホルダー60(図3参照)等に釣用仕掛け保持具1を取り付けることができる。
また、つまみ部10の上面には、凹凸状の滑り止め12が形成されている。
【0023】
このようなつまみ部10は、樹脂材で一体的に形成してもよいし、例えば、滑り止め12を別体で形成して、これを接着剤等で固着するようにしてもよい。
なお、滑り止め12を別体で形成した場合には、これを接着剤等で固着する際に、線材の両端20a,20bを接着剤等で一緒に固着するようにしてもよい。
【0024】
保持部20は、1本のステンレス製の線材を折り曲げ加工して図1(a)に示す形状に成形したものであり、先端部21と、抵抗部22と、直線部23とを有している。
先端部21は、ループ状とされており、本実施形態では、つまみ部10側へ線材20b1を折り返すことで形成されている。なお、先端部21は、線材20a1,20b1同士が先端部21またはその近傍において接触する状態とされて、閉ループ状とされていてもよいし、また、線材20a1,20b1同士が先端部21またはその近傍において非接触の状態とされて、開ループ状とされていてもよい。本実施形態では、開ループ状とされた例を示している。
【0025】
先端部21は、図1(c)に示すように、平面視で水平方向(紙面と平行となる方向)に扁平とされた略菱形形状とされており、先端に向けてテーパ状に窄まる挿通部21aを備えている。挿通部21aは、仕掛け50の貫通孔51に挿通可能であり、後記するように、貫通孔51への挿通時には、略菱形形状の先端部21が、その弾性によって略菱形形状の短軸方向に窄まるようになっている(図2(b)(c)参照)。
【0026】
抵抗部22は、つまみ部10と先端部21との間において、先端部21に連続して設けられており、本実施形態では、先端部21の近傍部位において線材20a1,20b1を山谷状に曲げ加工(直線部23における線材20a1,20b1の軸線に直交する方向に山谷状となるように曲げ加工)することで形成されている。
【0027】
ここで、抵抗部22の山谷のピッチP2は、先端部21の山谷のピッチP1よりも小さく形成されており、また、抵抗部22における山谷方向の最大幅D2は、先端部21における山谷方向の最大幅D1よりも小さく形成され、さらに、最大幅D2は、仕掛け50の貫通孔51の内径D3よりも大きく形成されている。
【0028】
また、図1(c)に示すように、保持部20の軸線に平行とされた基準線O1に対する先端部21と抵抗部22との線材20a1(他方の線材20b1についても同様)の傾斜を比べると、抵抗部22における傾斜角度θ2は、先端部21における傾斜角度θ1よりも大きくなるように設定されている。つまり、先端部21に比べて抵抗部22では、線材20a1の曲げ角度が急角度となっている。
これにより、仕掛け50を保持部20から抜き取る際の曲げモーメントの入力による曲げ変形は、先端部21よりも抵抗部22の方が小さくなる。つまり、仕掛け50の通過時に、抵抗部22は、先端部21よりも変形し難くなっている。
【0029】
また、これに加えて、抵抗部22のピッチP2は、先端部21のピッチP1よりも小さく、かつ、抵抗部22は複数の山部と谷部とを有しているので、抵抗部22における仕掛け50の貫通孔51との摩擦力は、先端部21におけるものよりも大きくなっている。ここで、仕掛け50の貫通孔51の長さは、抵抗部22のピッチP2よりも長くなっており、抵抗部22を仕掛け50が通過する際には、仕掛け50の貫通孔51に、抵抗部22の山部と谷部とが複数当接する状態となる。このため、これらの山部と谷部との当接力(復元力)により、抵抗部22と貫通孔51との摩擦力は、先端部21における貫通孔51との摩擦力よりも大きくなっている。
【0030】
これらのことから、抵抗部22では、保持部20の軸線に沿う方向への滑り抵抗を、先端部21に比べて増加することができ、これによって、抵抗部22は、先端部21の滑り抵抗よりも大きな滑り抵抗を仕掛け50に対して付与可能となっている。
【0031】
なお、抵抗部22における2本の線材20a1,20b1の重なり具合は、図1(d)に示すように、平面視で重なる(上下方向に重なる)ようにしてもよい。
【0032】
直線部23は、抵抗部22とつまみ部10との間に設けられており、複数の仕掛け50が挿通保持される部分である。直線部23の基端となる端部20a,20bは、つまみ部10の一端10aに埋設されて接続されている。
【0033】
次に、以上のような釣用仕掛け保持具1に対して、仕掛け50を装着する際の作用、および装着した仕掛け50を取り外す際の作用について説明する。
仕掛け50を装着する際には、図2(a)に示すように、仕掛け50の貫通孔51に保持部20の先端部21を近づけ、図2(b)に示すように、先端部21の挿通部21aを貫通孔51内に挿入する。そうすると、この挿入に伴って、貫通孔51の内径D3(図1(c)参照)に先端部21が規制されるようにして、先端部21がその短軸方向(山谷方向)に窄まる状態となる。この場合、先端部21は、前記したように傾斜角度θ1が抵抗部22の傾斜角度θ2に比べて小さくなっているので、曲げモーメントの入力による曲げ変形が抵抗部22よりも大きくなっており、これによって、先端部21がその短軸方向(山谷方向)に、比較的スムーズに窄まることとなる。
【0034】
また、先端部21の有する山部は、各線材20a1,20b1に1つずつであるので、貫通孔51内を先端部21が通過する際の摩擦力は、抵抗部22が通過する際の摩擦力に比べて小さくなり、これによって、先端部21を貫通孔51に比較的スムーズに挿通させることができる(図2(c)参照)。
【0035】
貫通孔51内を先端部21が通過した後、貫通孔51には、続けて抵抗部22が挿入される。貫通孔51に抵抗部22が挿入されると、貫通孔51の内径D3(図1(c)参照)に抵抗部22が規制されるようにして、抵抗部22がその短軸方向(山谷方向)に若干窄まる。この場合、抵抗部22は、前記したように傾斜角度θ2が先端部21の傾斜角度θ1に比べて大きくなっているので、曲げモーメントの入力による各山部(各谷部)の曲げ変形が先端部21よりもそれぞれ小さくなり、これによって、貫通孔51を通過する際に抵抗部22により貫通孔51に付与される抵抗力は比較的大きなものとなる。
【0036】
また、抵抗部22には、ピッチP2の小さい複数の山部と谷部とが形成されているので、貫通孔51内を抵抗部22が通過する際の摩擦力は、先端部21が通過する際の摩擦力に比べて大きくなる。
以上のことから、仕掛け50に抵抗部22を挿通させる際には、先端部21を挿通させる際に比べて大きな滑り抵抗が貫通孔51に付与されることとなり、先端部21を挿通させる際に比べて、比較的大きな押し込み力や引張り力を線材20a1,20b1に加える必要がある。したがって、例えば、仕掛け50の端部から露出した先端部21を、指でつまみながら、他方の指で仕掛け50を把持し、これらを相互に引っ張るようにして力を加える等することで、抵抗部22を貫通孔51に挿通させることが可能となる(図2(d)(e)参照)。
【0037】
貫通孔51に抵抗部22を挿通した後は、図2(e)に示すように、直線部23に仕掛け50が移動することとなるので、この直線部23に仕掛け50を保持することができる。
【0038】
また、保持部20に装着した仕掛け50を取り外す際には、例えば、一方の手の指でつまみ部10をつまみながら、他方の手の指で仕掛け50をつまんで、これを先端部21に向けて引き抜くように移動させることにより行う。
これにより、仕掛け50が直線部23から抵抗部22に移動し、仕掛け50の貫通孔51に抵抗部22が挿入される。そうすると、前記と同様に、挿入に伴って、貫通孔51の内径D3(図1(c)参照)に抵抗部22が規制されるようにして、抵抗部22がその短軸方向(山谷方向)に若干窄まりつつ、仕掛け50に対して、先端部21を通過するときよりも比較的大きな抵抗力が付与されることとなる。
また、このとき、抵抗部22に備わる複数の山部と谷部とにより、先端部21を通過する際に比べて比較的大きな摩擦力が付与されることとなる。
【0039】
したがって、貫通孔51に抵抗部22を通過させる際には、先端部21を通過させる際に比べて、仕掛け50(貫通孔51)に大きな滑り抵抗が付与されることとなり、これによって、比較的大きな引張り力で仕掛け50を引き抜く操作をすることで、抵抗部22を通過させることができる。したがって、仕掛け50は、保持部20から外れ難くなっている。
【0040】
その後、さらに仕掛け50を引き抜く方向に移動させて先端部21を通過させることで、保持部20から仕掛け50を取り外すことができる。
なお、先端部21を通過させる際には、抵抗部22を通過させる際に比べて、仕掛けに50に付与される滑り抵抗は小さくなるので、比較的スムーズに引き抜くことができる。
【0041】
以上のような釣用仕掛け保持具1は、図3に示すように、ホルダー60等を介して釣人の衣服C等に装着して使用することができる。このようなホルダー60に吊り下げられると、図4に示すように、釣用仕掛け保持具1に保持された仕掛け50,55は、重力によって先端部21に向けて集まる状態となり易いが、先端部21の上方に位置する抵抗部22に阻まれて、それ以上下方へ移動してしまうことが防止された状態で保持される。これによって、釣用仕掛け保持具1から仕掛け50,55が不意に脱落するのを好適に防止することができる。
【0042】
以上説明した本実施形態の釣用仕掛け保持具1によれば、ループ状とされた先端部21は、その先端に向けてテーパ状に窄まる挿通部21aを有しているので、保持部20に仕掛け50を保持する際には、挿通部21aを仕掛け50の貫通孔51に挿通することで、保持部20に簡単に仕掛け50を保持することができる。
そして、保持部20には、つまみ部10と先端部21との間に、抵抗部22が設けられているので、保持部20に仕掛け50が挿通保持された後に、先端部21へ向けて仕掛けが移動したとしても、抵抗部22の存在によって、先端部21へ向けた仕掛け50の移動が規制される。これによって、仕掛け50が保持部20から不意に抜け落ちてしまうのを好適に防止することができる。
【0043】
また、ホルダー60等を介して釣人の衣服C等に釣用仕掛け保持具1を装着して使用した場合に、仕掛け50,55が衣服C等に擦れても、先端部21から仕掛け50,55が抜け落ちることがなくなり、使い勝手の向上を図ることができる。また、振動や衝撃等を受けた場合にも、仕掛け50,55が抜け落ちるのを好適に防止することができる。
【0044】
また、抵抗部22は、線材20a1,20b1を山谷状に曲げてなるので、形成が簡単であり、生産性に優れ、仕掛け50(55、以下同じ)の抜け落ちを防止することができる構成でありながら、コストの低減を図ることができる。
【0045】
(第2実施形態)
図5(a)(b)を参照して第2実施形態の釣用仕掛け保持具について説明する。
本実施形態の釣用仕掛け保持具1が前記第1実施形態と異なるところは、先端部21の短軸方向と直交する方向(短軸方向と90度ずれた方向)に山谷状の曲げ加工が施されて抵抗部22が形成されている点である。
【0046】
先端部21は、前記第1実施形態と同様に、図5(a)に示すように、平面視で水平方向に扁平とされた略菱形形状とされており、抵抗部22は、図5(b)に示すように、先端部21の単軸方向と直交する鉛直方向に、山谷状に曲げ加工(直線部23における線材20a1,20b1の軸線に直交する鉛直方向に山谷状となるように曲げ加工)されている。
【0047】
このような釣用仕掛け保持具1によれば、先端部21と抵抗部22とにおいて、山部と谷部との突出方向が相互に異なっているので、先端部21と抵抗部22とで滑り抵抗が付与される方向も相互に異なることとなり、これによって、仕掛け50が保持部20から不意に抜け落ちてしまうのをより好適に防止することができるようになる。したがって、使い勝手のよい釣用仕掛け保持具1が得られる。
【0048】
(第3実施形態)
図6(a)〜(c)を参照して第3実施形態の釣用仕掛け保持具について説明する。
本実施形態の釣用仕掛け保持具1が前記第1,第2実施形態と異なるところは、先端部21の一部に抵抗部22Aが設けられている点である。
【0049】
抵抗部22Aは、先端部21の挿通部21aに連続して、先端部21の一部として設けられており、本実施形態では、挿通部21aの最大幅部210から直線部23(つまみ部10、図1(a)参照、以下同じ)に向けて急激に窄まるように形成されてなる。
【0050】
抵抗部22Aには、図6(a)中二点鎖線で示したように、仕掛け50の端部52が直接的に当接可能であり、この当接によって、挿通部21aへ向けた仕掛け50の移動が阻まれるようになっている。
【0051】
このような釣用仕掛け保持具1において、仕掛け50を装着する際に、図6(b)に示すように、仕掛け50の貫通孔51に挿通部21aを挿入すると、挿入に伴って、貫通孔51の内径D3(図1(c)参照)に対応する大きさに挿通部21aが短軸方向に窄まり、これによって挿通部21aに連続している抵抗部22Aも窄まって重なるようにして、貫通孔51の内径に対応する幅に変形することとなる。
これによって、挿通部21aから抵抗部22Aを通じて直線部23に至る部分が略一律に貫通孔51の内径に対応する幅を有したものとなり、これによって、仕掛け50の貫通孔51への挿通をスムーズに行うことができるようになる。
【0052】
なお、挿通部21aは貫通孔51を貫通すると、図6(a)に示すように、復元力によって短軸方向に広がって復元される。これによって、抵抗部22Aが仕掛け50の端部52に対峙する状態となり、抵抗部22Aに仕掛け50の端部52が当接した際には、挿通部21aの滑り抵抗よりも大きい滑り抵抗が仕掛け50に対して付与される状態となる。
【0053】
このような釣用仕掛け保持具1によれば、先端部21の一部に抵抗部22Aが一体的に形成されているので、先端部21を形成する過程で抵抗部22Aも一緒に形成することができ、保持部20の形状や加工がシンプルなものとなる。これによって、生産性の向上を図ることができる。このことは、コストの低減に寄与する。
また、先端部21の一部を利用して抵抗部22Aが形成されるので、先端部21の一部を利用した分、保持部20の全長を短くすることが可能となる。したがって、保持可能な仕掛け50の数を減らすことなく、コンパクト化を図ることができる。
【0054】
図7(a)(b)は第3実施形態の変形例に係る釣用仕掛け保持具の先端部および抵抗部を示す拡大平面図である。
図7(a)に示した変形例では、抵抗部22Aが、直線部23(つまみ部10)へ向けて段付き状に窄まるように形成されており、段部を形成する2つの傾斜部22aおよび傾斜部22bを有して、これらの傾斜部22aと傾斜部22bとの間が連結部22c連結された構成となっている。
【0055】
このような釣用仕掛け保持具1では、抵抗部22Aが、段部を形成する2つの傾斜部22aおよび傾斜部22bを有しているので、挿通部21a(先端部21)へ向けた仕掛け50の移動がより確実に抑制されることとなり、使用中に不意に仕掛け50が抜け落ちるのをより確実に防止することができる。
【0056】
また、図7(b)に示した変形例では、抵抗部22Aに連続するようにテーパー状に緩やかに窄まる傾斜部23aが設けられている。
【0057】
このような釣用仕掛け保持具1では、抵抗部22Aに連続する傾斜部23aが設けられており、傾斜部23aがテーパー状に緩やかに窄まるように形成されているので、保持部20から仕掛け50を引き抜く際の仕掛け50の移動がスムーズとなり、使い勝手のよい釣用仕掛け保持具1が得られる。
【0058】
(第4実施形態)
図8を参照して第4実施形態の釣用仕掛け保持具について説明する。
本実施形態の釣用仕掛け保持具1が前記第1〜第3実施形態と異なるところは、抵抗部22Bが、つまみ部10側へ折り返された線材20b1(他端)を線材20a1(つまみ部10側)に絡げることで形成されている点である。
【0059】
抵抗部22Bは、線材20b1を線材20a1に螺旋状に絡げることで形成されており、前記した実施形態と同様に、仕掛け50に対して、先端部21(挿通部21a)よりも大きな滑り抵抗を仕掛け50に対して付与することが可能である。
【0060】
このような釣用仕掛け保持具1では、つまみ部10側(線材20a1)に絡げることで抵抗部22Bを簡単に形成することができるので、生産性に優れ、コストの低減を図ることができる。
なお、抵抗部22Bは、コイルスプリング状にして絡げてもよい。また、抵抗部22Bの端部(線材20b1の端部)を抵抗部22Bの近傍で線材20a1に固着(溶着)してもよい。
【0061】
(第5実施形態)
図9を参照して第5実施形態の釣用仕掛け保持具について説明する。
本実施形態の釣用仕掛け保持具1が前記第1〜第4実施形態と異なるところは、線材20a1,20b1とは別体とされた球状の部材を、先端部21の近傍に取り付けることで抵抗部22Cを設けた点である。
【0062】
抵抗部22Cは、樹脂材や合成ゴム材等の弾力性を有する材料からなる球状の部材であり、先端部21の近傍位置において、線材20a1,20b1に固着されている。抵抗部22Cは、前記実施形態で説明した抵抗部22等と同様の作用効果を有するように、先端部21により付与される滑り抵抗よりも大きい滑り抵抗を仕掛け50に対して付与するように、仕掛け50の貫通孔51の内径D3(図1(c)参照)よりも大きな直径を有している。
【0063】
なお、抵抗部22Cは、球状とされたものに限られることはなく、三角形状、断面楕円形状、断面長円形状、四角形状、多角形状、湾曲面を組み合わせた形状等、種々の形状を採用することができる。
【0064】
このような釣用仕掛け保持具1においても、抵抗部22Cの存在によって、先端部21へ向けた仕掛け50の移動が規制され、仕掛け50が保持部20から不意に抜け落ちてしまうのを好適に防止することができる。
【0065】
また、先端部21の近傍に固着することで、抵抗部22Cを簡単に設けることができるので、生産性に優れ、仕掛け50の抜け落ちを防止することができる構成でありながら、コストの低減を図ることができる。
【0066】
前記第1実施形態において、抵抗部22は、線材20a1,20b1を同じ方向に曲げることで形成したが、これに限られることはなく、保持部20の軸線周りに突出方向を相互に異ならせて設けてもよい。また、保持部20の軸線回りに線材20a1,20b1を相互に螺旋状に絡めて設けてもよい。
【0067】
また、線材20a1,20b1は、ステンレス製のものに限られることはなく、他の金属、例えば、形状記憶合金(Ni−Ti合金)で形成してもよいし、合成樹脂製の線材、例えば、ポリアミド、ポリプロピレン等の材料を金型に射出成形することで形成された線材等を用いてもよい。
【0068】
なお、前記各実施形態では、保持部20が2本の線材20a1,20b1で構成された例を示したが、これに限られることはなく、抵抗部22や直線部23等を1本の線材20a1(または20b1)で形成してもよいし、別途、線材を追加して、3本以上の線材で保持部20を構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 釣用仕掛け保持具 21a 挿通部
10 つまみ部 22 抵抗部
20 保持部 22A〜22C 抵抗部
20b1 線材 50 仕掛け
20a1 線材 51 貫通孔
21 先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成された釣用の仕掛けを保持するための釣用仕掛け保持具であって、
つまみ部と、このつまみ部に少なくとも一端が固定された線材からなり、他端が前記つまみ部側へ折り返されてループ状とされた先端部を有する保持部と、を備え、
前記先端部は、その先端に向けてテーパ状に窄まり前記貫通孔に挿通可能な挿通部を有しており、
前記保持部には、前記つまみ部と前記挿通部との間に、前記挿通部の滑り抵抗よりも大きな滑り抵抗を付与する抵抗部が設けられていることを特徴とする釣用仕掛け保持具。
【請求項2】
前記抵抗部は、線材を山谷状に曲げてなることを特徴とする請求項1に記載の釣用仕掛け保持具。
【請求項3】
前記抵抗部は、前記先端部の一部が前記つまみ部へ向けて窄まるように形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の釣用仕掛け保持具。
【請求項4】
前記抵抗部は、前記つまみ部へ向けて段付き状に窄まるように形成されてなることを特徴とする請求項3に記載の釣用仕掛け保持具。
【請求項5】
前記抵抗部は、前記つまみ部側へ折り返された他端を前記つまみ部側に絡げることで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の釣用仕掛け保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−110281(P2012−110281A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262678(P2010−262678)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】