説明

釣用竿受け装置

【課題】釣竿を保冷箱に対して支持させることができるとともに、支持した釣竿に負荷が掛かった状態であっても釣竿を竿受け部から簡単な動作で容易に取り外すことができる釣用竿受け装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の釣用竿受け装置1は、保冷箱の外壁面に着脱可能に取り付けられる取り付け部8と、釣竿20を受けて支持するための竿受け部6と、取り付け部8と竿受け部6とを連結する連結部2とを備える。竿受け部6は、連結部2に対して回動可能に取り付けられ、釣竿20を竿受け部6から側方に解放できる解放位置(破線位置)と回動規制手段4によりその回動が規制される竿受け位置(実線位置)との間で少なくとも回動できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿を受けて支持するための釣用竿受け装置に関し、特に保冷箱の外壁面に着脱可能な釣用竿受け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クーラーボックスなどの保冷箱に釣竿を受けるための竿受け装置を設けることが既に知られている。例えば、特許文献には、保冷箱の外壁に上下方向の保持孔を形成した保持部を設けるとともに、前記保持孔に支留されて前記保持部に保持される釣竿支持用の竿受け部材によって釣竿の手元側の基部を受け止めることにより、保冷箱をアンカーとして活用して釣竿をオーバーハング状態で支持できるようにした竿受け装置が開示されている。
【0003】
そのようなタイプの従来の竿受け装置の概念図が図6に示されている。図示のように、特許文献1に開示されるタイプの竿受け装置100は、前側の竿受け部材106の上側に折れ曲がるフック状の受け部106aによって釣竿102の基部102aの下面を下側から受け止める(釣竿102の基部102aの前部を前側の竿受け部材106の受け部106aに載置する)とともに、後側の竿受け部材108(一般に、前側の竿受け部材106よりも下側に取り付けられる)の下側に折れ曲がるフック状の受け部108aによって釣竿102の基部102aの上面を上側から支持する(釣竿102の基部102aの後部を後側の竿受け部材108の受け部108aに掛止する)ことにより、保冷箱130をアンカーとして利用して釣竿102をオーバーハング状態で支持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−280310号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来から知られるこのタイプの竿受け装置100では、該装置100によって図6に示されるように釣竿102を支持した状態で釣竿102の仕掛けに魚が掛かって釣竿102の竿先が下方に引き込まれると、竿受け部材106,108の受け部106a,108aに釣竿102が食い込み、釣竿102を受け部106a,108aから取り外すことが困難になる。すなわち、竿受け部材106,108の受け部106a,108aに釣竿102が食い込んだ状態で釣竿102を受け部106a,108aから離脱させるためには、魚の引きに抗して比較的大きな力で釣竿102を立ち起こし、その起こした状態のまま釣竿102をフック状の受け部106a,108aを乗り越えるように引き出す必要があり、その作業は比較的面倒である。しかも、掛かった魚が左右に泳ぐなどして竿先が左右に振らている状態では素早く受け部106a,108aから釣竿102を外すことは更に困難となり、また、その状態で無理に釣竿102を立ち起こしてしまうと、その勢いで、釣糸が切れたり、掛かった魚が仕掛けから外れたりする虞もある。
【0006】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、釣竿を保冷箱に対して支持させることができるとともに、支持した釣竿に負荷が掛かった状態であっても釣竿を竿受け部から簡単な動作で容易に取り外すことができる釣用竿受け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、保冷箱の外壁面に着脱可能に取り付けられることにより釣竿を受けて支持する釣用竿受け装置であって、保冷箱の外壁面に着脱可能に取り付けられる取り付け部と、釣竿を受けて支持するための竿受け部と、前記取り付け部と前記竿受け部とを連結する連結部とを備え、前記竿受け部は、前記連結部に対して回動可能に取り付けられ、釣竿を竿受け部から側方に解放できる解放位置と回動規制手段によりその回動が規制される竿受け位置との間で少なくとも回動できることを特徴とする。
【0008】
この請求項1に記載の発明によれば、釣竿を受けて支持するための竿受け部が、釣竿を竿受け部から側方に解放できる解放位置と回動規制手段によりその回動が規制される竿受け位置との間で少なくとも回動できるため、竿受け位置で釣竿を保冷箱に対して確実に支持させることができるとともに、支持した釣竿に負荷が掛かった状態であっても竿受け部を解放位置に回動させることにより釣竿を竿受け部から容易に取り外すことができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記竿受け部で支持される釣竿の側方への移動によって前記回動規制手段が作動されることにより、前記竿受け位置にある前記竿受け部の回動規制が解除されることを特徴とする。
【0010】
この請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、竿受け部で支持される釣竿を側方へ移動させるという簡単な動作で、回動規制手段による竿受け部の回動規制を解除して、竿受け部を解放位置へと回動させることができる。したがって、竿受け部からの釣竿の取り外し操作を更に容易ならしめることができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記連結部を保冷箱の外壁面と略平行に保持すると同時に保冷箱の外壁面に対する前記取り付け部の取り付け状態を保持する保持部を更に備えることを特徴とする。
【0012】
この請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、連結部と取り付け部とを同時に安定した姿勢で保持できる保持部の保持機能により、保冷箱に対して釣竿をガタ付かせることなく確実且つ安定して支持することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、釣竿を保冷箱に対して支持させることができるとともに、支持した釣竿に負荷が掛かった状態であっても釣竿を竿受け部から簡単な動作で容易に取り外すことができる釣用竿受け装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る釣用竿受け装置を保冷箱に取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【図2】図1の釣用竿受け装置の斜視図である。
【図3】釣竿を支持した状態の図1の釣用竿受け装置の側面図であり、回動規制手段および竿受け部の作動状態を示している。
【図4】釣竿を支持した状態の第2の実施形態に係る釣用竿受け装置の側面図であり、回動規制手段および竿受け部の作動状態を示している。
【図5】釣竿を支持した状態の第3の実施形態に係る釣用竿受け装置の側面図であり、回動規制手段および竿受け部の作動状態を示している。
【図6】(a)は従来の竿受け装置を保冷箱に取り付けた状態を示す概略側面図、(b)は(a)の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る釣用竿受け装置の実施形態について説明する。
図1〜図3は本発明の第1の実施形態を示している。図1には、本実施形態に係る釣用竿受け装置1が他の竿受け60と共に保冷箱50の外壁面に取り付けられた状態で示されている。この図において、釣用竿受け装置1は、竿受け60と協働して釣竿20を支持するが、竿受け60が釣用竿受け装置1に取って代えられてもよい(すなわち、両方とも釣用竿受け装置1であってもよい。その場合には、図1中の左側の釣用竿受け装置1が図1中の右側の釣用竿受け装置1に対して上下逆に取り付けられる)。
【0016】
図1に示される釣用竿受け装置1および竿受け60の取り付け状態では、前側(図1の右側)の釣用竿受け装置1の後述する上側に折れ曲がるL字型の竿受け部6(図2参照)によって釣竿20の手元側の基部20aの下面が下側から受け止められる(釣竿20の基部20aの前部が前側の釣用竿受け装置1の竿受け部6に載置される)とともに、後側(図1の左側)の竿受け60(一般に、前側の釣用竿受け装置1よりも下側に取り付けられる)の下側に折れ曲がるフック状の受け部60aによって釣竿20の基部20aの上面が上側から支持される(釣竿20の基部20aの後部が後側の竿受け60の受け部60aに掛止される)ことにより、保冷箱50をアンカーとして利用して釣竿20がオーバーハング状態で支持される。
【0017】
図2および図3には釣用竿受け装置1の構造が明確に示されている。図示のように、釣用竿受け装置1は、保冷箱50の外壁面に着脱可能に取り付けられるカップ状の吸着盤から成る取り付け部8と、釣竿20の基部20aを受けて支持するための竿受け部6と、取り付け部8と竿受け部6とを連結する連結部2とを備える。
【0018】
取り付け部8は、公知の吸着盤と同様に保冷箱50の外壁面に押し付けられて弾性変形することにより内側空間に形成される負圧で保冷箱50の外壁面に吸着されるものであり、カップ形状の頂部付近に軸方向に延びる軸部8aを有する。この軸部8aには、取り付け部8を外側から全体的に覆うカップ状の保持部10が軸部8aに沿って進退可能に取り付けられるとともに、連結部2が回動自在に支持されている。そして、連結部2は、軸部8aに沿う水平位置(図3に二点鎖線で示される位置)と軸部8aに対して略垂直な押し付け位置(図3に実線で示される位置)との間で支軸16を中心に回動できるとともに、水平位置では保持部10との間に隙間sを形成して保持部10の軸部8aに沿う進退を許容することにより保冷箱50の外壁面からの取り付け部8の取り外しを可能にし、一方、前記押し付け位置では保持部10を取り付け部8に対して押し付けることにより保冷箱50の外壁面に対する取り付け部8の取り付け状態(吸着状態)を保持する。また、この押し付け位置において、保持部10は、連結部2を保冷箱50の外壁面と略平行に保持する(図1参照)と同時に、連結部2と協働して保冷箱50の外壁面に対する取り付け部の取り付け状態を保持する。
【0019】
また、本実施形態において、L字型の竿受け部6は、釣竿20の基部20aを支持するための(基部20aが載置される)支持面6aを有する本体部と、支持面6a上に支持される釣竿20(基部20a)を側方から支持して支持面6aからの釣竿20(基部20a)の脱落を防止する側方支持部6bとから成る。また、竿受け部6は、連結部2に対して支軸12を中心に回動可能に取り付けられており、釣竿20(基部20a)を竿受け部6から側方に解放できる解放位置(図3に破線で示される位置)と後述する回動規制手段によりその回動が規制される竿受け位置(図3に実線で示される位置)との間で少なくとも回動できるようになっている。
【0020】
前記竿受け位置で竿受け部6の回動を規制する前記回動規制手段は、本実施形態では、連結部2に回動可能に取り付けられるレバー部材4として構成される。具体的に、このレバー部材4は、支持面6aと対向するように斜め上方に延びて支持面6a上に支持される釣竿20(基部20a)と当接可能な作動部4aと、その先端の作用面9が竿受け部6の本体部の支持面6aの端部と当接することにより竿受け部6の回動を規制できる回動規制部4bとによって略L字状に形成される。そして、レバー部材4は、回動規制部4bの作用面9が支持面6aと当接して竿受け部6を竿受け位置に保持する(竿受け部6の回動を規制する)回動規制位置(図3に実線で示される位置)と回動規制部4bの作用面9が支持面6aから離脱して竿受け部6の解放位置への回動を許容する回動許容位置(図3に破線で示される位置)との間で支軸14を中心に回動することができる。
【0021】
したがって、上記構成によれば、レバー部材4を回動規制位置に位置させるとともに竿受け部6を竿受け位置に位置させて、回動規制部4bの作用面9を支持面6aに当接させた状態、すなわち、竿受け部6が竿受け位置に保持されてその回動が規制された状態では、図3に実線で示されるように、竿受け部6の支持面6a上で釣竿20(基部20a)を支持することができる。この場合、釣竿20の重量によって回動規制部4bの作用面9と支持面6aとの当接状態が維持される。そして、魚が掛かったなどして釣竿20を釣用竿受け装置1から取り外す場合には、竿受け部6で支持される釣竿20(基部20a)を連結部2側へ向けて側方(水平方向)にスライドさせてレバー部材4の作動部4aに当て付けると、レバー部材4が支軸14を中心に反時計方向に(上方に)回動して、回動規制部4bの作用面9と支持面6aとの当接状態が解除される。したがって、それにより竿受け位置にある竿受け部6の回動規制が解除され、竿受け部6はその解放位置へ向けて時計方向へ回動できて大きく開放し、その結果、釣竿20を連結部2から離間させるように側方(水平方向)に引き出せば、釣竿20を釣用竿受け装置1から簡単に取り外すことができる。
【0022】
以上説明したように、本実施形態によれば、釣竿20を受けて支持するための竿受け部6が、釣竿20を竿受け部6から側方に解放できる解放位置と回動規制手段であるレバー部材4によりその回動が規制される竿受け位置との間で少なくとも回動できるため、竿受け位置で釣竿20を保冷箱50に対して確実に支持させることができるとともに、支持した釣竿20に負荷が掛かった状態であっても釣竿20を側方へ移動して竿受け部6を解放位置に回動させることにより、釣竿20を竿受け部6から容易に取り外すことができる。
【0023】
また、本実施形態によれば、竿受け部6で支持される釣竿20を側方へ移動させるという簡単な動作で、レバー部材4による竿受け部6の回動規制を解除して、竿受け部6を解放位置へと回動させることができる。したがって、竿受け部6からの釣竿20の取り外し操作を更に容易ならしめることができる。
【0024】
また、本実施形態の釣用竿受け装置1は、連結部2を保冷箱50の外壁面と略平行に保持すると同時に保冷箱50の外壁面に対する取り付け部6の取り付け状態を保持する保持部10を更に備えている。連結部2と取り付け部8とを同時に安定した姿勢で保持できるこの保持部10の保持機能により、保冷箱50に対して釣竿20をガタ付かせることなく確実且つ安定して支持することができる。
【0025】
図4は本発明の第2の実施形態を示している。図示のように、本実施形態は竿受け位置で竿受け部6の回動を規制する前記回動規制手段の形態のみが第1の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の回動規制手段は、バネ21によって側方支持部6b側へ付勢されたプッシュロッド22として構成されており、支持面6a上に支持される釣竿20と当接可能な作動部22aと、連結部2の貫通孔2aに挿通される軸部22cと、その先端の作用面23が竿受け部6の本体部の支持面6aの端部と当接することにより竿受け部6の回動を規制できる回動規制部22bとから成る。
【0026】
したがって、この構成では、竿受け部6で支持される釣竿20(基部20a)を連結部2側へ向けて側方(水平方向)にスライドさせて、釣竿20をプッシュロッド22の作動部22aに当て付けると、プッシュロッド22がバネ21の付勢力に抗して水平にスライドし、それにより、回動規制部22bの作用面23と支持面6aとの当接状態が解除される。したがって、それにより竿受け位置にある竿受け部6の回動規制が解除され、竿受け部6はその解放位置へ向けて回動でき、その結果、釣竿20を連結部2から離間させるように側方(水平方向)に引き出せば、釣竿20を釣用竿受け装置1から簡単に取り外すことができる。
【0027】
図5は本発明の第3の実施形態を示している。図示のように、本実施形態は竿受け位置で竿受け部6の回動を規制する前記回動規制手段の形態のみが第1の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の回動規制手段は、連結部2と竿受け部6の本体部との間に介挿されて支軸29を中心に回動することにより竿受け部6の回動状態を制御するレバー体30として構成される。具体的には、レバー体30は、支持面6aから上方へ立ち上がるように延びて支持面6a上に支持される釣竿20(基部20a)と当接可能な作動部30aと、作動部30aに対して略垂直に延び且つその先端の係止端33が竿受け部6の係止溝33に係脱可能に係止することにより竿受け部6の回動を規制できる回動規制部30bとによって略T字状に形成される。
【0028】
したがって、この構成では、竿受け部6で支持される釣竿20(基部20a)を連結部2側へ向けて側方(水平方向)にスライドさせて、釣竿20をレバー体30の作動部30aに当て付けると、レバー体30が支軸29を中心に回動し、それにより、回動規制部30bの係止端33と竿受け部6の係止溝33との係止状態が解除される。したがって、それにより竿受け位置にある竿受け部6の回動規制が解除され、竿受け部6はその解放位置へ向けて回動でき、その結果、釣竿20を連結部2から離間させるように側方(水平方向)に引き出せば、釣竿20を釣用竿受け装置1から簡単に取り外すことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 釣用竿受け装置
2 連結部
4 レバー部材(回動規制手段)
6 竿受け部
8 取り付け部
10 保持部
22 プッシュロッド(回動規制手段)
30 レバー体(回動規制手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保冷箱の外壁面に着脱可能に取り付けられることにより釣竿を受けて支持する釣用竿受け装置であって、
保冷箱の外壁面に着脱可能に取り付けられる取り付け部と、
釣竿を受けて支持するための竿受け部と、
前記取り付け部と前記竿受け部とを連結する連結部と、
を備え、
前記竿受け部は、前記連結部に対して回動可能に取り付けられ、釣竿を竿受け部から側方に解放できる解放位置と回動規制手段によりその回動が規制される竿受け位置との間で少なくとも回動できることを特徴とする釣用竿受け装置。
【請求項2】
前記竿受け部で支持される釣竿の側方への移動によって前記回動規制手段が作動されることにより、前記竿受け位置にある前記竿受け部の回動規制が解除されることを特徴とする請求項1に記載の釣用竿受け装置。
【請求項3】
前記連結部を保冷箱の外壁面と略平行に保持すると同時に保冷箱の外壁面に対する前記取り付け部の取り付け状態を保持する保持部を更に備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の釣用竿受け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−135275(P2012−135275A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290578(P2010−290578)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】